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紅 kure-nai

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紅 kure-nai ◆nkOrxPVn9c



最後に赤を見たのはいつだっただろう。
その色自体は非常に見慣れたものだった。
それは、ちょっとした不運やミスから生まれる程度のもの。
体から僅かに零れ落ちるそれを見て、少し痛いと感じるだけだ。
それがいっぱい出るなんて、テレビの画面の向こうにしかないことだと思っていた。

だから、私は最初はわからなかったのかもしれない。
なんで目の前で人からから赤い液体を流しているのかということを。


☆ ☆ ☆ ☆

誰もいないはずの朝焼けの町で、二人の男女が歩を進める。
コンクリートの大地を踏みしめて進む先は学び舎、学校。
されど学校に行くこと自体はそれほど望んでいない。

「あのぅ、Dボゥイさん・・・・・・」
「どうしたんだ?」

女、岩崎みなみが問う。
彼女の顔に浮かぶのはささやかな疑問。
それこそ二人の望むモノ。

「ゆたかとは・・・・・・ゆたかとは・・・・・・」
「・・・・・・?」

小早川ゆたか
その名を持つ少女こそが彼女達が捜し求めている者である。
岩崎みなみは知りたかった。
Dボゥイ、そう名乗る目の前の男が何故ゆたかを求めるのだろうかと。
彼がゆたかを知っているということ、
それは裏を返せばゆたかが彼を知っていること、ということになる。
なのに自分は彼を知らなくて、彼も自分を知らない。
ゆたかにとって大切な存在であるならば、どうして私は知らなかったんだろう。
どうして彼を教えて貰えなかったのだろう。
だから彼女は男に問おうとした。

―ゆたかとはどんな関係なんですか?

「ゆたかは何処にいると思いますか?」

たった一文の質問を尋ねたかっただけなのに、
いざ言い出すとまったく別の言葉になってしまう。

「それはわからないな。 だからこうして虱潰しに探すしかない」
「ごめんなさい・・・・・・」
「謝ることはないさ、心配なのはわかる」

なんとも言えない空気で包まれる。
とにかく言葉を発しづらい。
みなみの返事が終わり、訪れるのはまた沈黙。
しかしそれもすぐに終わる。
男でも女でもなく、天に響き渡る道化師の嘲笑によって。


☆ ☆ ☆ ☆


『おまえら人間じゃねぇ!』


「―――ッ!」

瞬間Dボゥイの顔が強張った。
人間ではない。
その事実はわかっていたはずなのに、ここに来てなお彼を苦しめる。
そして己がラダムによって改造されてしまった化け物であることを再認する。
そのために名を捨てたはずだった。
家族を奪われ友を奪われ失うモノなど何もない、だから後はラダムを全て滅するのみ。
そう思っていたはずだった。

それなのに何故あの少女を探し求めているのだろう。
会って一日と時をともにしていない少女なんぞ赤の他人ではないか。
そのような赤の他人に何を求めていたのだろうか。
結局彼は家族という因縁を捨て切れなかったのだ。
故にただの赤の他人に妹を。重ねてしまったのかもしれない。
彼の中の小早川ゆたかという人物は、護るべき少女から護るべき妹へと姿を変えてしまっているのかもしれない。
人を捨て切れないから少女を護れず、
復讐鬼に成り切れないからラダムを殺せない。

化け物という単語が彼の脳内を埋め尽くしていく。
この放送が悪戯から始まった誤報だと知る由もなく。

『いきなりの放送事故失礼したね。 では早速だが第一回定時放送を始めよう・・・・・・おい』
『は、はいピエモン様、それでは禁止エリアの発表を始めます』


放送という言葉にハッとして顔を上げる。
そして神妙は表情でメモを取る用意を始めていた。



・・・・・・
川田章吾
ピッピ
笑点のピンク
ゴマモン

の10名です!』


「ゆたか、どうやら無事だったようだな・・・・・・」

放送を聞き終え、ゆたかとシンヤの名前がないことに安堵する。
人が死んだというのにこのような態度を取るのは死者に失礼なのかも知れない。
己に反省をしつつ出発をしようと隣の少女に促したときであった。

「・・・・・・っ! おいどうした!? しっかりしろ!」


☆ ☆ ☆ ☆


「お邪魔します」
「いらっしゃ~いみなみちゃん」

相変わらずハイテンションな叔母さんに挨拶をして、先輩の家の中に入っていく。
一般的な家庭よりは少し高級な内装の家の中を歩いて先輩の部屋まで歩く。
そして部屋の傍まで着たらノックをする。

「どうぞ」

おっとりとした先輩の声が聞こえてくる。
部屋に入ってくるのが私だとわかった
そしてゆっくり扉を開けてみると・・・・・・


「あらいらっしゃい」
「バルサミコ酢ー」


扉を開けて絶句した。
部屋の中は赤一面。
床は赤い液体で満たされていて、踏むたびにぽちゃんと音を立て、跳ねた液体が足に付着する。
ぬめっとした感触が気持ち悪い。
そこの真ん中に立つのは見知った人影。
何故か別の先輩の生首を抱えている。
でも私は知らない。 こんなに赤い液体を流す先輩なんて。
私は知らない。 赤い液体を流している人の生首なんて。


「どうしたんですかみなみさん?」
「―――ッ!」


思わず後ずさるがもう遅い。
先輩の腕が私の体をがっしり押さえると同時に赤い液体が私の腕に付着する。
真っ赤な真っ赤な液体、これは一体なんなのだろうか。 考えたくもなかった。
私の思考に関係なく液体は流れ続けていく。

「やだなあみなみちゃん、私達何か変かな? ねえゆきちゃん」

生首がしゃべり始める。
そういえば高良先輩は、人間は肺からの空気で声帯を振動させて発音するので、頭だけでしゃべることができないとかウンチクを話していた気がするけど、生首と先輩はそんなこと意にも介さず言葉を繋げる。
液体を流し続けながら。

「特におかしなところはありませんよ」
「じゃあなんでみなみちゃんはこんなに震えているのかな?」

怖い怖い怖い。
そして私は先輩の腕を振り払おうとした。
でも腕が動こうとしない。
振り向けば首のない胴体が私の両腕を押さえていたからだ。
やっぱり液体を流し続けながら。


☆ ☆ ☆ ☆



Dボゥイは困惑していた。
急に倒れてしまった岩崎みなみのことも気がかりだが、
彼女を介抱しているときに現れた第三者に対してだ。

血の臭いがする。
自分には嗅ぎ慣れた臭いであるが、やはり好くものではない。
今まで経験したどの相手とも違う、全く異質の存在。
Dボゥイの本能が告げる、こいつは危険だと。

(こいつは一体・・・・・・)

しかし彼はその意味を理解するには至らず、目の前の女に警戒体制をとるのみ。
Dボゥイの視線の先にいる女、彼女はこれまで彼の人生に置いてまったく接触したことがなかっただろう。
恐らくはその存在を考えたことすらなかったのかも知れない。

彼は知っていた。 人間は憎しみによって狂ってしまうということを。
彼は知っていた。 人間は怒りによって化け物に変わってしまうということを。
彼は知っていた。 人間の愛が憎悪にも似た物にすら歪んでしまうことがあるということを。
彼は知っていた。 故に家族、友、恋人は尊い存在であることを。
そして、だからこそ自分が護らねばならぬということを。


だが、彼は知らなかった。 突き抜けた愛の形が一つだけではないということを。
憎悪ではない、だが彼のいう愛とはまた違う全く異質なもの。
何故目の前のそれを愛と感じることができたのかはわからない。
なんとなくそうだろう、言葉にできない曖昧なもの。
今のDボゥイの目に映る女は

「長門さん長門さん長門さん長門さん長門さん・・・・・・」

恍惚の笑みを浮かべながら大量の鼻血を流していた。
まあぶっちゃけ変態というやつである。

「お、おいお前・・・・・・」

ちょっとだけ勇気を振り絞ってみることにした。


「いやぁ、みのりん因子を感じたと思ったら人違いとは私もうっかりしていたわ」
「みのりん因子? それはともかく鼻血を拭け」

朝倉涼子と名乗った女は失礼、と会釈をしながらも鼻血を拭く。
だがそれも意味はなく、血を吹いたと思ったらすぐに鼻血が垂れる。
本人は岩崎みなみから放たれるみのりん因子なる物質の性だと言っているが、正直Dボゥイにはそれがなんなのかよくわからない。
聞いてみようとしたがそれがなんなのか知ってしまうと(メタ的に)恐ろしい気がして、あえてスルーすることにした。

「・・・・・・じゃあ栓でもしてろ」
「わかった」

流石に鼻血が出続けるのは色んな意味で心配なので、
適当に調達してきたテッシュで栓をしてもらうことにした。



「ともかくお前は殺し合いに乗ってないんだな?」
「もちろん! 私の目的は殺し合いからの脱出。 もちろん最低でも長門さんと二人で」
「長門・・・・・・お前がさっき呟いていた人物の名前か・・・・・・ッ!」

Dボゥイは一つの可能性に思いつく。
長門有希。
それがここに至るまでの道中に出会った人物は唯一の少女である。
名簿にある長門有希という名前も一つだけ。
つまりは彼女こそが朝倉涼子の探し求めている人物なのではないだろうか。
彼女の長門有希への執着は先ほどの行動(というより奇行)を見ればわかる。
こうしてはいられない、早いところ彼女にこのことを教えなければ。
決意を固め、朝倉に通達しようとしたそのときであった。

「そうそう、私の『夫』の名前」
「は?」

一瞬我が耳を疑った。 待てこの少女今なんと言った?

「だから夫だよ夫。 長門は俺の嫁連合会に所属していたけど今じゃあ有希は私の嫁」

Dボゥイの世界が静止した。
別にブラスター化したわけでもないのに脳細胞がぶっ飛びかけた。
この状況を打破しようとしたDボゥイに一つの可能性が浮かべることにする。
長門有希は『男』であり、なんらかの理由で女装をしている。
着る服がなくなったとか姿を誤魔化す必要があるとかあまり考えたくないがこれはある。
うん、むしろこうしておきたい、下手に突っ込むのはやめておこう。
俺の嫁連合会とかなんとか言ったような気もするけど無視だ無視。
そう自己解決しようとするDボゥイであったがそうもいかなったようである。

「あ、うん嫁とか夫とか言っているけど私達女だから。 ちなみに新婚ホヤホヤ」


何かが音を立てて崩れた。
物理的ではなく何かが。
ここで長門⇒女で、朝倉⇒女という図式が確定。
そして二人は夫婦。 朝倉曰く『情事』を行う仲。
パヤパヤなんてレベルじゃない。
Dボゥイはいつのまにか頭を抱えていた。


「まあ世の中色んな人間がいるんだからそれを受け入れることも重y・・・・・・ぬ!?」
「どうしたんだ!?」

朝倉の様子が豹変する。
頬を赤らめ鼻を思いっきり抑えているではないか。
彼女の視線の先に岩崎みなみ。
朝倉に釣られてみなみの様子を伺ってみると、何やら不安そうな表情を浮かべているではないか。
時折彼女の口から漏れる声が彼女の悪夢を具現化させている。
Dボゥイはそんな彼女を見守ることしかできない。
だが、彼は知らなかった。 朝倉涼子という人物がみのりん因子に対して過剰なまでの反応を示すことを。

「駄目だ・・・・・・このままじゃ萌え尽きて(ry」
「燃え尽きて?」

朝倉涼子は長門有希の妻であり、誰よりも彼女のことを愛しているのである。
目にした映像、耳にした音、鼻につく匂い、口にした味、
あるいは物をぶつけたショックで、あるいはただなんとなくで人は何かを思い出す。
同様に、彼女が長門有希を思い出すきっかけがみのりん因子であるだけなのだ。
岩崎みなみから発されるみのりん因子によって刺激された彼女の肉体は一つの変化を見せ始める。
自立神経が過度の興奮とみのりん因子によって刺激を受け、鼻の粘膜が弱くなって毛細血管を切り開く。
本来は性的興奮で鼻血が流れるわけがないのだが、みのりん因子が絡んでいるのでつまりそういうことなのだ。
そこから血液が流れ出すわけだが、不運なことに彼女は鼻を抑えていたのだ。
せき止められた血液はテッシュによって外部に流れることを封じられてしまう。

「うん、それ無理」

だがそれも僅かのことだ。
鼻内に溜まった血液はそれ以上止まることをよしとせず。

「せん・・・・・・ぱ・・・・・・い」

少女の寝言とともに溢れ出した。


☆ ☆ ☆ ☆


赤い液体は止まらない。
生臭い匂いが部屋に充満し、
気づけば液体は私の膝に届くまで侵食していた。
気持ち悪かったはずの液体も、今ではただ生温いとしか感じない。

「だぼだぼだぼだぼ」
「ミコスミコスミコスミコス」

目の前の先輩も生首も今だに血を流し続けている。
何故かとても幸せそうな笑みを浮かべながら。
これはなんだろう。
流れ続けるそれを少し指につけてみて、考える。
ああわかった、鼻血だ。





 【E-3/1日目-朝】

 【朝倉涼子@テラカオスバトルロワイヤル】
 [状態]:健康
 [装備]:鉈@現実 
 [持物]:デイパック、基本支給品一式、ニアデスハピネス@漫画ロワ、長門画像CD
 [方針/行動]
  基本方針:殺し合いからの脱出。
  0:だぼだぼだぼだぼ
  1:Dボゥイ達と情報交換をしつつ、みなみが起きるのを待つ。
  2:知り合いとの合流。(長門との合流を最優先)

 [備考]
  ※カオスロワ5th生還後からの参戦。生還後からまだあまり経っていないものと思われる。
  ※自分の情報操作力について何らかの制限がかかっていると気付いています。

【岩崎みなみ@らき☆すた(原作)】
【状態】:健康、気絶中
【装備】:スペツナズナイフ@現実
【所持品】:支給品一式、不明支給品(0~2)
【思考・行動】
基本方針:殺し合いに乗らずゆたかを見つけ出し護る
0:気絶中
1:Dボゥイと行動する。
2:ゆたかを見つける。
3:学園へ向かう。
4:長門有希が少し気がかり。

【Dボゥイ@アニメキャラ・バトルロワイアル2nd (アニ2)
【状態】:健康
【装備】:日本刀@現実、核鉄「ブレイズオブグローリー」@書き手ロワ2
【所持品】:支給品一式、不明支給品(0~2)
【思考・行動】
基本方針:殺し合いに乗らず、ゆたかを保護、シンヤとの決着をつける。
0:なんなんだアンタ
1:朝倉と情報交換をしつつ、みなみが起きるのを待つ。
2:みなみと行動する。
3:ゆたかを保護する。
4:学園へ向かう。

【備考】
※アニロワ2nd 173話「REASON」の後より参加。


091:後夜祭 投下順 :093我がAA軍は永遠に不滅です
087:ETERNAL DRAGON 時系列順 :093我がAA軍は永遠に不滅です
049:リバーワールド 岩崎みなみ 106:赤い空の窓に消えていくあの子を呼ぶ
Dボウイ
059:GHOST IN THE SHELL 朝倉涼子



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