第564話:ゲオルグの名にかけて無限性の濃度が違う 作: ◆5KqBC89beU
紆余曲折はあったものの、キノは落ち着きを取り戻した。
故に、うっかり忘れていた行動方針をキノは思い出した。
(そういえば、荷物の整理をしようと考えていたんだった)
武器はともかく、地図や名簿などが手元に複数あったところで邪魔なだけだ。
身軽さと動きやすさを犠牲にしてまで、水や食料を大量に持ち歩く必要はない。
(ボクは、荷物をこんなに抱えたまま殺し合いをするつもりだったのか……)
この島でそんなことをするのは、自殺行為に他ならない。
しばらく前までの自分がどれだけ焦っていたかを自覚して、キノは苦笑する。
(潜伏できる場所を確保したら、すぐに使わない物は隠しておこう)
苦い笑みだったが、笑えるだけの余裕があるという証拠だ。
(持ち物を急いで少しだけ捨てても、ほとんど意味はない)
敵にデイパックを投げつけて、その隙に逃げねばならないような事態もありえる。
食料と水の一部をどこかに隠しておくなら、地図や名簿などもそこに隠せばいい。
(ひとまず、禁止エリアにならなそうで誰も行きたがらないような僻地へ行こう)
市街地の外に向かって、キノは歩きだした。
故に、うっかり忘れていた行動方針をキノは思い出した。
(そういえば、荷物の整理をしようと考えていたんだった)
武器はともかく、地図や名簿などが手元に複数あったところで邪魔なだけだ。
身軽さと動きやすさを犠牲にしてまで、水や食料を大量に持ち歩く必要はない。
(ボクは、荷物をこんなに抱えたまま殺し合いをするつもりだったのか……)
この島でそんなことをするのは、自殺行為に他ならない。
しばらく前までの自分がどれだけ焦っていたかを自覚して、キノは苦笑する。
(潜伏できる場所を確保したら、すぐに使わない物は隠しておこう)
苦い笑みだったが、笑えるだけの余裕があるという証拠だ。
(持ち物を急いで少しだけ捨てても、ほとんど意味はない)
敵にデイパックを投げつけて、その隙に逃げねばならないような事態もありえる。
食料と水の一部をどこかに隠しておくなら、地図や名簿などもそこに隠せばいい。
(ひとまず、禁止エリアにならなそうで誰も行きたがらないような僻地へ行こう)
市街地の外に向かって、キノは歩きだした。
似たようなことを考える者は、どこにでもいる。
「……こんばんは」
「……こんばんは」
お互いに懐中電灯の光を向けながら、銀色の瞳をした少女とキノは対峙していた。
「あの……何を、してるんですか?」
訊くまでもなく一目瞭然だったが、それでもキノは問うた。
他の話題をとっさには思いつけず、しかし沈黙は危険だと感じたため、とりあえず
言ってみただけの発言だった。
小首をかしげて、銀の瞳の少女が微笑む。
「埋葬しているように見えますの?」
穴の底に横たわる、土の色に染まった死体の傍らで、少女は笑っている。
「いえ、墓を掘り返して、遺体を調べていたようにしか……」
答えながら、キノは己の不運を呪う。
情報提供者と平和的に接触するため、懐中電灯をつけて歩いてきたのが災いした。
A-1にいた参加者は、まともではなかった。
ただ墓を暴いているだけならまだしも、目撃されたというのに平然としている。
おまけに服は大量の血で変色しており、なおかつ怪しげな紙片を手に持っていた。
関わってしまった時点で既に失敗だった。
(さっさと撃ち殺して、遺品を調べた方がいいかな)
話の途中で銃を抜いて不意打ちするための布石として、キノはしゃべり続ける。
「そこに転がっているのは赤の他人ですし、ボクとしては別にどうでも――」
「今は、まだあなたを殺したくありませんの」
「!?」
台詞を遮られ、密かに銃へ触れようとしていた指先が、動きを止める。
「それでもまだ殺し合いたいと望むなら、今ここで死なせてあげますけれどね」
「どういう、つもりですか?」
静止したキノを、ひどく愉快そうな笑顔が凝視している。
「わたしは確かにこの『ゲーム』を楽しんでいますけれど、ただ単に殺すことのみを
好んでいるわけではありませんの。今ここであなたを襲わない理由は、そうした方が
面白くなりそうだから――これでは納得できませんかしら?」
冗談にしては、驚異的につまらなさすぎる。
油断を誘うための嘘にしては、あまりにも出来が悪すぎる。
「ボクのどこがどう気に入ったのか教えてもらえると、判断材料が増えますね」
銃と指先を死角に隠したまま、キノは穏やかに探りを入れた。
(彼女は嘘をついている)
キノは思う。あれは何かを騙そうとしている者の顔だ、と確信する。
(彼女は楽しんでいない。楽しんでいるんだと思い込みたがっている。自分自身に嘘を
ついて、戦場に適応しようと足掻いているだけだ)
かつて口に出した独り言を、キノは思い出す。
『恐怖を捨てろ。理性を捨てろ。……楽しむんだ、あの零崎みたいに』
つい苦笑しそうになるの我慢して、キノは無表情を維持する。
(彼は、零崎は、何の躊躇いもなく、さも当たり前というように、まるで呼吸をする
ように、人を殺す。彼は殺人を楽しんではいなかった。知っていたはずなのに忘れて
しまっていた。でも、思い出した。今度こそ完全に理解した)
怪物になろうとしている時点で、それは怪物ではない。
狂ってはいるのかもしれないが、ただそれだけだ。
なろうとしてなるのではなく、ふと気がついたらそうなっているもの――それこそが
真に“どうしようもない”ものだ。
必死に真似して同じものになろうとする意思がある限り、それは紛い物でしかない。
皮一枚ほど怪物に近づくことはできても、怪物そのものにはなれない。
(もうボクは零崎を模倣しない。ただ普段と同じように生き残る努力をする)
零崎は、意味もなく必要もなく理由もなく脈絡もなく殺す何かだ。
意味があり必要があり理由があり脈絡があるのなら、零崎の同類ではない。
ここにいる墓荒らしは狂人かもしれないが、零崎の同類ではない。
(この参加者は、都合良く動かせるかもしれない)
墓荒らしへの評価は、“降りかかる火の粉”から“利用すべき障害”になった。
「……こんばんは」
「……こんばんは」
お互いに懐中電灯の光を向けながら、銀色の瞳をした少女とキノは対峙していた。
「あの……何を、してるんですか?」
訊くまでもなく一目瞭然だったが、それでもキノは問うた。
他の話題をとっさには思いつけず、しかし沈黙は危険だと感じたため、とりあえず
言ってみただけの発言だった。
小首をかしげて、銀の瞳の少女が微笑む。
「埋葬しているように見えますの?」
穴の底に横たわる、土の色に染まった死体の傍らで、少女は笑っている。
「いえ、墓を掘り返して、遺体を調べていたようにしか……」
答えながら、キノは己の不運を呪う。
情報提供者と平和的に接触するため、懐中電灯をつけて歩いてきたのが災いした。
A-1にいた参加者は、まともではなかった。
ただ墓を暴いているだけならまだしも、目撃されたというのに平然としている。
おまけに服は大量の血で変色しており、なおかつ怪しげな紙片を手に持っていた。
関わってしまった時点で既に失敗だった。
(さっさと撃ち殺して、遺品を調べた方がいいかな)
話の途中で銃を抜いて不意打ちするための布石として、キノはしゃべり続ける。
「そこに転がっているのは赤の他人ですし、ボクとしては別にどうでも――」
「今は、まだあなたを殺したくありませんの」
「!?」
台詞を遮られ、密かに銃へ触れようとしていた指先が、動きを止める。
「それでもまだ殺し合いたいと望むなら、今ここで死なせてあげますけれどね」
「どういう、つもりですか?」
静止したキノを、ひどく愉快そうな笑顔が凝視している。
「わたしは確かにこの『ゲーム』を楽しんでいますけれど、ただ単に殺すことのみを
好んでいるわけではありませんの。今ここであなたを襲わない理由は、そうした方が
面白くなりそうだから――これでは納得できませんかしら?」
冗談にしては、驚異的につまらなさすぎる。
油断を誘うための嘘にしては、あまりにも出来が悪すぎる。
「ボクのどこがどう気に入ったのか教えてもらえると、判断材料が増えますね」
銃と指先を死角に隠したまま、キノは穏やかに探りを入れた。
(彼女は嘘をついている)
キノは思う。あれは何かを騙そうとしている者の顔だ、と確信する。
(彼女は楽しんでいない。楽しんでいるんだと思い込みたがっている。自分自身に嘘を
ついて、戦場に適応しようと足掻いているだけだ)
かつて口に出した独り言を、キノは思い出す。
『恐怖を捨てろ。理性を捨てろ。……楽しむんだ、あの零崎みたいに』
つい苦笑しそうになるの我慢して、キノは無表情を維持する。
(彼は、零崎は、何の躊躇いもなく、さも当たり前というように、まるで呼吸をする
ように、人を殺す。彼は殺人を楽しんではいなかった。知っていたはずなのに忘れて
しまっていた。でも、思い出した。今度こそ完全に理解した)
怪物になろうとしている時点で、それは怪物ではない。
狂ってはいるのかもしれないが、ただそれだけだ。
なろうとしてなるのではなく、ふと気がついたらそうなっているもの――それこそが
真に“どうしようもない”ものだ。
必死に真似して同じものになろうとする意思がある限り、それは紛い物でしかない。
皮一枚ほど怪物に近づくことはできても、怪物そのものにはなれない。
(もうボクは零崎を模倣しない。ただ普段と同じように生き残る努力をする)
零崎は、意味もなく必要もなく理由もなく脈絡もなく殺す何かだ。
意味があり必要があり理由があり脈絡があるのなら、零崎の同類ではない。
ここにいる墓荒らしは狂人かもしれないが、零崎の同類ではない。
(この参加者は、都合良く動かせるかもしれない)
墓荒らしへの評価は、“降りかかる火の粉”から“利用すべき障害”になった。
○
淑芳の眼前で、小柄な遭遇者の雰囲気が、ほんのわずかに変わった。
(虎が狐の皮を被ってみせたのか、それとも、虎に化けていた狐が本性を現したのか
――いえ、おそらくはどちらも等しく本質ですわね。異なる一面が見えた、と判断
すべきでしょう)
外道らしさを強調した振る舞いを続けながら、かすかに淑芳は安堵する。
(損得勘定で動かせる相手だとすれば、多少は手駒にしやすいはずですわ)
下卑た作り笑いを浮かべつつ、淑芳は言う。
「あなた、さっきわたしを殺そうとしましたわよね。……誤解しないでくださいな、
責めているわけではありませんから。単に必要だと考えたからそうしようと決めた
だけで、楽しいからとか嬉しいからとか、そういった感情とは無関係な行動だったと
お見受けしましたわ。だからこそ、生かしておく価値がありますの」
「そうですか」
返答は短く、そっけない。鋭い視線が無言の圧力となり、話の続きを催促している。
死骸のそばに立ったまま、朗らかな口調で淑芳は語りかけてみせる。
「あなたの目的は“生き残ること”であって、“惨劇を楽しむこと”でも“皆殺しに
すること”でもないはず。違いますかしら?」
戦闘狂でも殺人狂でもないのなら、危険を厭うのが当然だ。
「どちらかといえば、勝算のない戦いは避ける主義です」
応じる声は抑揚に欠け、本音を容易には悟らせない。
(さて、ここからが本番ですわ)
表情を醜悪に歪めながら、淑芳は情報戦を開始する。
「そういう気質の人間が、最後まで絶望することなく、この無限に続く『ゲーム』から
生還できるのか否か。素晴らしい余興ですわ。せいぜい楽しませてくださいね」
「無限に続く?」
戸惑いを淡く滲ませた声が、返ってきた。
「あなた以外の参加者全員が死んでも、あなたは『ゲーム』に参加させられ続ける……
そう言っていますのよ」
淑芳の補足説明に対して、遭遇者は不愉快そうな顔をした。
「優勝者が決定しても主催者は満足せず、何度でも同じことを繰り返す、とでも言う
つもりですか。そんなこと――」
「そんなことは最初から判りきっている懸念事項でしょうに。いちいち偉そうに言う
ような内容ではないことくらい、幼子にだって理解できると思いますわよ。わたしが
しているのは、もっと残酷で無慈悲な話ですわ。あなた、もしかして、『ゲーム』を
やらせたがっている連中は今回の主催者だけだ、なんて思っていましたの?」
似たようなことを考える者は、どこにでもいる。
「今回の主催者が満足したとしても、無限の異世界に存在する主催者どもがそれぞれ
最後の一人となった人物に興味を持って、その優勝者を無限に召喚し続けますわよ。
優勝者や新たな参加者も無限に存在していますけれど、主催者も無限に存在している
以上、どれだけ優勝し続けても『ゲーム』は無限に続いていきますわ」
「!?」
予想外の反論だったらしく、口を開けたまま遭遇者は絶句した。
まるで追撃するかのように、淑芳は嘲笑してみせた。
「そうじゃないかと薄々は感じていましたけれど、あなた、今回が初参加ですわね。
あなたごときが、十七回の『ゲーム』で優勝し続けてきたわたしに勝とうだなんて、
身のほど知らずもいいところですわよ」
真っ赤な嘘だった。淑芳が『ゲーム』に参加させられたのは、今回が最初だ。
無論、この嘘を嘘だと証明できるようなものなど、今ここには存在しない。
(虎が狐の皮を被ってみせたのか、それとも、虎に化けていた狐が本性を現したのか
――いえ、おそらくはどちらも等しく本質ですわね。異なる一面が見えた、と判断
すべきでしょう)
外道らしさを強調した振る舞いを続けながら、かすかに淑芳は安堵する。
(損得勘定で動かせる相手だとすれば、多少は手駒にしやすいはずですわ)
下卑た作り笑いを浮かべつつ、淑芳は言う。
「あなた、さっきわたしを殺そうとしましたわよね。……誤解しないでくださいな、
責めているわけではありませんから。単に必要だと考えたからそうしようと決めた
だけで、楽しいからとか嬉しいからとか、そういった感情とは無関係な行動だったと
お見受けしましたわ。だからこそ、生かしておく価値がありますの」
「そうですか」
返答は短く、そっけない。鋭い視線が無言の圧力となり、話の続きを催促している。
死骸のそばに立ったまま、朗らかな口調で淑芳は語りかけてみせる。
「あなたの目的は“生き残ること”であって、“惨劇を楽しむこと”でも“皆殺しに
すること”でもないはず。違いますかしら?」
戦闘狂でも殺人狂でもないのなら、危険を厭うのが当然だ。
「どちらかといえば、勝算のない戦いは避ける主義です」
応じる声は抑揚に欠け、本音を容易には悟らせない。
(さて、ここからが本番ですわ)
表情を醜悪に歪めながら、淑芳は情報戦を開始する。
「そういう気質の人間が、最後まで絶望することなく、この無限に続く『ゲーム』から
生還できるのか否か。素晴らしい余興ですわ。せいぜい楽しませてくださいね」
「無限に続く?」
戸惑いを淡く滲ませた声が、返ってきた。
「あなた以外の参加者全員が死んでも、あなたは『ゲーム』に参加させられ続ける……
そう言っていますのよ」
淑芳の補足説明に対して、遭遇者は不愉快そうな顔をした。
「優勝者が決定しても主催者は満足せず、何度でも同じことを繰り返す、とでも言う
つもりですか。そんなこと――」
「そんなことは最初から判りきっている懸念事項でしょうに。いちいち偉そうに言う
ような内容ではないことくらい、幼子にだって理解できると思いますわよ。わたしが
しているのは、もっと残酷で無慈悲な話ですわ。あなた、もしかして、『ゲーム』を
やらせたがっている連中は今回の主催者だけだ、なんて思っていましたの?」
似たようなことを考える者は、どこにでもいる。
「今回の主催者が満足したとしても、無限の異世界に存在する主催者どもがそれぞれ
最後の一人となった人物に興味を持って、その優勝者を無限に召喚し続けますわよ。
優勝者や新たな参加者も無限に存在していますけれど、主催者も無限に存在している
以上、どれだけ優勝し続けても『ゲーム』は無限に続いていきますわ」
「!?」
予想外の反論だったらしく、口を開けたまま遭遇者は絶句した。
まるで追撃するかのように、淑芳は嘲笑してみせた。
「そうじゃないかと薄々は感じていましたけれど、あなた、今回が初参加ですわね。
あなたごときが、十七回の『ゲーム』で優勝し続けてきたわたしに勝とうだなんて、
身のほど知らずもいいところですわよ」
真っ赤な嘘だった。淑芳が『ゲーム』に参加させられたのは、今回が最初だ。
無論、この嘘を嘘だと証明できるようなものなど、今ここには存在しない。
○
自分の足元が崩れていくような錯覚を、キノは感じた。
細かく痙攣する己の体を、キノは止めることができない。
(無限の異世界に、主催者どもは無限に存在する……?)
この島には異様なものが集まりすぎていた。
同一の世界に属するとは到底思えないほど数多くの非常識が、ここにはある。
(優勝して主催者を満足させても『ゲーム』は終わらない……?)
無限に続く闘争の中で無限に勝ち続けられるほど、キノは強くない。
無限に戦い続ければ、殺されるときが、いつか必ずやってくる。
(最後の一人になる覚悟があっても、生き残れない……?)
自分の命を守るためには、その場に即した最大限の努力をすること。
昔師匠に教わったことであり、この島で彼女に遺言の形で残された言葉でもある。
(ありえない。師匠の言葉が間違っているはずなんか、ない……!)
キノの眼前で笑う少女は、墓荒らしだ。
彼女は死人の尊厳を踏みにじり、死を悼む者も遺志を継ぐ者も冒涜する。
歯を食いしばり、キノは銃を握った。
それと同時に、墓荒らしが右手の人差し指を立て、キノに突きつける。
「一つだけ、無限の召喚から逃れられるかもしれない方法がありますわ」
墓荒らしを永遠に沈黙させようとしていた腕が、またしても停止する。
銀の瞳から垣間見える意思は、間違いなく善意ではない。
「どんな、方法ですか?」
かすれて震えた小さな声で、キノは口走った。
呪縛しようとするかのように、墓荒らしはささやく。
「主催者を討ち、『ゲーム』を台無しにすることですわ。そんなことをやれる規格外の
参加者を召喚したがるような、無謀な主催者なんていないはずですもの」
それは、キノの師匠が諦めた選択肢だ。
(最善の結末を、師匠は諦めた。諦めて、殺し合うしかないと思って、でもボクを殺す
ことができなくて、だから……ボクに殺されることを選んだ)
墓荒らしの言葉が垂れ流されていく。
「一人きりでは不可能なことですわね。仲間を集め、力を合わせ、共に戦わなければ、
きっと主催者は討てませんから」
キノの思考は止まらない。
(師匠はボクのために死んだ。師匠はボクと道を違えたから、ボクに自分を殺させた)
自分が唇を噛んでいるということに、キノは気づかない。
かつて見た光景が、キノの脳内で再生される。
『いいですか……?』
師匠の遺言が幻聴となり、キノの耳朶を打つ。
『キノ。必ず……必ず、最後まで生き残りなさい。どんな……ことを……しても』
記憶の中にはない言葉が、師匠の声で、さらなる幻聴となり継ぎ足される。
《私のように諦めてしまった者たちを殺してでも、自分と、仲間を、守りなさい》
苦しさを感じ、いつの間にか呼吸を止めていたことをキノは自覚する。
(そんな、だって、師匠は……!)
キノの頭の中で、過去が再演されていく。
駆け寄ってきたヴィルとイルダーナフに、師匠は言う。
『この子を……よろしくお願いしますね……』
師匠は笑っている。思い残すことなど何もないとでもいうように笑っている。
『最後は……この子のために……死んであげて』
再び、師匠の声で、存在しなかったはずの一言が追加される。
《この子のためになら死んでも構わないと思えるような、本当の仲間になってあげて》
息を吸い、吐き出して、己の心臓が脈打つ音を、キノは聞いた。
『愛していますよ、……キノ』
《だから、私のようにはならないでください》
記憶の中の言葉と、初めて耳にする言葉を、キノは幻聴として聞いた。
(師匠の言葉は正しくて、間違っていたのはボクだった)
襲って殺して見捨てて拒絶してきた参加者たちの顔が、キノの脳裏をよぎる。
(ボクがしてきた努力は、この場に即していなかった。間違えてしまっていた)
どんなに後悔しても、殺した相手を生き返らせることはできない。
幾人もの参加者たちに恨まれても仕方のないことを、キノはやった。
(ああ、どうしよう、どうすればいい? 涙を流して、謝って、罪を償う? 今さら
そんなことをしたって……でも、死ぬことだけは絶対にできない。死を受け入れたら
今までにボクのせいで死んだ人たちは無駄死にだと認めるようなものじゃないか。
それだけは駄目だ。師匠の死は無駄なんかじゃない。ボクは生きなければならない。
じゃあ、これから何をしたらいい? 誰でもいい、誰かボクに教えてほしい……!)
細かく痙攣する己の体を、キノは止めることができない。
(無限の異世界に、主催者どもは無限に存在する……?)
この島には異様なものが集まりすぎていた。
同一の世界に属するとは到底思えないほど数多くの非常識が、ここにはある。
(優勝して主催者を満足させても『ゲーム』は終わらない……?)
無限に続く闘争の中で無限に勝ち続けられるほど、キノは強くない。
無限に戦い続ければ、殺されるときが、いつか必ずやってくる。
(最後の一人になる覚悟があっても、生き残れない……?)
自分の命を守るためには、その場に即した最大限の努力をすること。
昔師匠に教わったことであり、この島で彼女に遺言の形で残された言葉でもある。
(ありえない。師匠の言葉が間違っているはずなんか、ない……!)
キノの眼前で笑う少女は、墓荒らしだ。
彼女は死人の尊厳を踏みにじり、死を悼む者も遺志を継ぐ者も冒涜する。
歯を食いしばり、キノは銃を握った。
それと同時に、墓荒らしが右手の人差し指を立て、キノに突きつける。
「一つだけ、無限の召喚から逃れられるかもしれない方法がありますわ」
墓荒らしを永遠に沈黙させようとしていた腕が、またしても停止する。
銀の瞳から垣間見える意思は、間違いなく善意ではない。
「どんな、方法ですか?」
かすれて震えた小さな声で、キノは口走った。
呪縛しようとするかのように、墓荒らしはささやく。
「主催者を討ち、『ゲーム』を台無しにすることですわ。そんなことをやれる規格外の
参加者を召喚したがるような、無謀な主催者なんていないはずですもの」
それは、キノの師匠が諦めた選択肢だ。
(最善の結末を、師匠は諦めた。諦めて、殺し合うしかないと思って、でもボクを殺す
ことができなくて、だから……ボクに殺されることを選んだ)
墓荒らしの言葉が垂れ流されていく。
「一人きりでは不可能なことですわね。仲間を集め、力を合わせ、共に戦わなければ、
きっと主催者は討てませんから」
キノの思考は止まらない。
(師匠はボクのために死んだ。師匠はボクと道を違えたから、ボクに自分を殺させた)
自分が唇を噛んでいるということに、キノは気づかない。
かつて見た光景が、キノの脳内で再生される。
『いいですか……?』
師匠の遺言が幻聴となり、キノの耳朶を打つ。
『キノ。必ず……必ず、最後まで生き残りなさい。どんな……ことを……しても』
記憶の中にはない言葉が、師匠の声で、さらなる幻聴となり継ぎ足される。
《私のように諦めてしまった者たちを殺してでも、自分と、仲間を、守りなさい》
苦しさを感じ、いつの間にか呼吸を止めていたことをキノは自覚する。
(そんな、だって、師匠は……!)
キノの頭の中で、過去が再演されていく。
駆け寄ってきたヴィルとイルダーナフに、師匠は言う。
『この子を……よろしくお願いしますね……』
師匠は笑っている。思い残すことなど何もないとでもいうように笑っている。
『最後は……この子のために……死んであげて』
再び、師匠の声で、存在しなかったはずの一言が追加される。
《この子のためになら死んでも構わないと思えるような、本当の仲間になってあげて》
息を吸い、吐き出して、己の心臓が脈打つ音を、キノは聞いた。
『愛していますよ、……キノ』
《だから、私のようにはならないでください》
記憶の中の言葉と、初めて耳にする言葉を、キノは幻聴として聞いた。
(師匠の言葉は正しくて、間違っていたのはボクだった)
襲って殺して見捨てて拒絶してきた参加者たちの顔が、キノの脳裏をよぎる。
(ボクがしてきた努力は、この場に即していなかった。間違えてしまっていた)
どんなに後悔しても、殺した相手を生き返らせることはできない。
幾人もの参加者たちに恨まれても仕方のないことを、キノはやった。
(ああ、どうしよう、どうすればいい? 涙を流して、謝って、罪を償う? 今さら
そんなことをしたって……でも、死ぬことだけは絶対にできない。死を受け入れたら
今までにボクのせいで死んだ人たちは無駄死にだと認めるようなものじゃないか。
それだけは駄目だ。師匠の死は無駄なんかじゃない。ボクは生きなければならない。
じゃあ、これから何をしたらいい? 誰でもいい、誰かボクに教えてほしい……!)
そして、まるでキノの願望を叶えるかのように、偶然、どこからか声が響き始めた。
『あたくしはこのゲームに宣戦を布告しました』
『手伝えとは言いません。逆らうなとも言いません。
頭を垂れるなら庇護してあげてもよろしい。
けれど、それはあなた達が決める事でしょう』
頭を垂れるなら庇護してあげてもよろしい。
けれど、それはあなた達が決める事でしょう』
『あたくしは12の仲間達と共に生きて進撃しましょう。
あたくしはあなた達の道を縛りはしません。
あたくしがあなた達に求めた事はたった一つ』
あたくしはあなた達の道を縛りはしません。
あたくしがあなた達に求めた事はたった一つ』
『――あたくしのルールに従いなさい』
奪うな、喪うな、そして過つな。
もしも過ちを犯したならば、たとえ赦されずとも悔い改めて進め。
それが、宣告者の――ダナティアの定めたルール。
胸中から絶望が消えたことを実感し、キノは大きく息を吐く。
(……進むべき道が、やっと判った。さっきの放送を聞いて、決心がついた)
現在、キノとダナティアは敵対関係にある。
ダナティアは、自分と仲間を守るためなら、仲間の知人を殺すことさえできる女だ。
(殺人者が「謝りに来た」と言いながら現れた場合、罠だと思ったなら、ダナティアは
迷わず来訪者を殺す。ボクは、ダナティアもその仲間も信用できない)
冷静に、キノは状況を分析する。
(『ゲーム』に抗う勢力の中でも最大だと思われる集団が、ボクを敵だと認識した。
きっと、もう他の対主催勢力にも入り込めない。この島において情報は財宝よりも
効果的な贈り物になる。無差別に他者を害する危険人物の情報なら、なおさらだ。
ダナティアたちと情報交換した連中は、ボクのことを敵として扱う)
もはやキノは逡巡しない。
たった一つしか選択肢が残っていないなら、その道を往けばいい。
(ボクは最後の一人になる。そして、次回の『ゲーム』で仲間を集め、主催者に挑む)
悔い改めて進むために、奪うことも喪うことも過ちを犯すこともキノは厭わない。
(さぁ、どんなことをしても生き残ろう。この場に即した最大限の努力をしよう)
決意を実践するために、まずキノは“利用すべき障害”の顔を見た。
(この墓荒らしには、まだ生きていてもらいたい。他の参加者たちと相討ちになって
くれないと困る。弾薬には限りがあるんだから、無駄遣いは避けないと)
知られても問題ない情報は偽りも隠しもせずに教えよう、とキノは決めた。
墓荒らしは、雲の切れ間から漏れる月光を見上げ、言う。
「さっきの派手な演説について、感想があれば聞かせてもらえませんかしら?」
「あの決意が本物だとすれば……頑張ってほしいですね」
ダナティアたちを狙う殺人者たちには、という部分を伏せて、キノは答えた。
もしも過ちを犯したならば、たとえ赦されずとも悔い改めて進め。
それが、宣告者の――ダナティアの定めたルール。
胸中から絶望が消えたことを実感し、キノは大きく息を吐く。
(……進むべき道が、やっと判った。さっきの放送を聞いて、決心がついた)
現在、キノとダナティアは敵対関係にある。
ダナティアは、自分と仲間を守るためなら、仲間の知人を殺すことさえできる女だ。
(殺人者が「謝りに来た」と言いながら現れた場合、罠だと思ったなら、ダナティアは
迷わず来訪者を殺す。ボクは、ダナティアもその仲間も信用できない)
冷静に、キノは状況を分析する。
(『ゲーム』に抗う勢力の中でも最大だと思われる集団が、ボクを敵だと認識した。
きっと、もう他の対主催勢力にも入り込めない。この島において情報は財宝よりも
効果的な贈り物になる。無差別に他者を害する危険人物の情報なら、なおさらだ。
ダナティアたちと情報交換した連中は、ボクのことを敵として扱う)
もはやキノは逡巡しない。
たった一つしか選択肢が残っていないなら、その道を往けばいい。
(ボクは最後の一人になる。そして、次回の『ゲーム』で仲間を集め、主催者に挑む)
悔い改めて進むために、奪うことも喪うことも過ちを犯すこともキノは厭わない。
(さぁ、どんなことをしても生き残ろう。この場に即した最大限の努力をしよう)
決意を実践するために、まずキノは“利用すべき障害”の顔を見た。
(この墓荒らしには、まだ生きていてもらいたい。他の参加者たちと相討ちになって
くれないと困る。弾薬には限りがあるんだから、無駄遣いは避けないと)
知られても問題ない情報は偽りも隠しもせずに教えよう、とキノは決めた。
墓荒らしは、雲の切れ間から漏れる月光を見上げ、言う。
「さっきの派手な演説について、感想があれば聞かせてもらえませんかしら?」
「あの決意が本物だとすれば……頑張ってほしいですね」
ダナティアたちを狙う殺人者たちには、という部分を伏せて、キノは答えた。
○
夜空を見上げ、淑芳は思う。
(わたしとは正反対の道を往きますのね。それでも、目的は同じですの?)
雲の切れ間からは、光が射している。
(だとすれば、気をつけなさい。ここは蠱毒の壷の中……いわば『世界』は偽物で、
悪意に満ちた壷中天のようなものですわ。あなたたちが獲得したその光も、所詮は
主催者の用意した灯明でしかありませんのよ)
上空の『月』は、淑芳の故郷に浮かぶ月――太陰星君のいる太陰宮――とは違う。
(偽物の光を手にしただけでは、アマワを討つことなどできませんわ)
淑芳は、復讐のための道具として、ダナティアたちも利用すると決めた。
(託すべき情報を記し終え、わたしがあなたたちに殺されに行くときまで……待って
いなさい、ダナティア・アリール・アンクルージュ)
禁止エリアの位置を把握できなければ、目的地への旅路は賭けの連続となる。
何よりも必要なのは、情報だ。
淑芳は、小柄な遭遇者の顔を見る。
(無限の『ゲーム』についての仮説に加えて、参加者による『ゲーム』への宣戦布告を
知った今なら、わたしへの殺意は薄れているでしょう。他の参加者から信用される
ため、とりあえず“生存中の要注意人物に関する情報”を贈り物として使いたい、と
考えるはずですから。“とある死亡者が要注意人物だったという情報”では、あまり
重要性が高くない上に、信憑性も低めに見積もられてしまいますものね)
判りやすくて倒しやすそうな“共通の敵”がいれば、他者との共闘は意外と容易い。
今後も淑芳が悪趣味に行動し続けていた方が、ここにいる遭遇者にとっては好都合だ
ということになる。
「情報交換しませんか? 面白そうなことを教えるなら、相応の情報を見返りとして
提供してあげても構いませんわよ」
いかにも邪悪そうな微笑みを浮かべながら、淑芳は言い放った。
(わたしとは正反対の道を往きますのね。それでも、目的は同じですの?)
雲の切れ間からは、光が射している。
(だとすれば、気をつけなさい。ここは蠱毒の壷の中……いわば『世界』は偽物で、
悪意に満ちた壷中天のようなものですわ。あなたたちが獲得したその光も、所詮は
主催者の用意した灯明でしかありませんのよ)
上空の『月』は、淑芳の故郷に浮かぶ月――太陰星君のいる太陰宮――とは違う。
(偽物の光を手にしただけでは、アマワを討つことなどできませんわ)
淑芳は、復讐のための道具として、ダナティアたちも利用すると決めた。
(託すべき情報を記し終え、わたしがあなたたちに殺されに行くときまで……待って
いなさい、ダナティア・アリール・アンクルージュ)
禁止エリアの位置を把握できなければ、目的地への旅路は賭けの連続となる。
何よりも必要なのは、情報だ。
淑芳は、小柄な遭遇者の顔を見る。
(無限の『ゲーム』についての仮説に加えて、参加者による『ゲーム』への宣戦布告を
知った今なら、わたしへの殺意は薄れているでしょう。他の参加者から信用される
ため、とりあえず“生存中の要注意人物に関する情報”を贈り物として使いたい、と
考えるはずですから。“とある死亡者が要注意人物だったという情報”では、あまり
重要性が高くない上に、信憑性も低めに見積もられてしまいますものね)
判りやすくて倒しやすそうな“共通の敵”がいれば、他者との共闘は意外と容易い。
今後も淑芳が悪趣味に行動し続けていた方が、ここにいる遭遇者にとっては好都合だ
ということになる。
「情報交換しませんか? 面白そうなことを教えるなら、相応の情報を見返りとして
提供してあげても構いませんわよ」
いかにも邪悪そうな微笑みを浮かべながら、淑芳は言い放った。
○
情報交換は、平和的に行われた。
「あなたには、守るべき相手がいますか?」
「今は、いません。背中を預けて戦うべきだった人たちは、この島で死にました」
様々なことが語られた。
「実は、もしも答えがつまらなかったら、今ここで殺そうと思っていましたの」
「……そうですか」
第二回放送について。
「聞き逃したんですか?」
「本当は聞き逃してなんかいなくて、あなたの正直さを試しているだけかもしれません
けれどね。嘘をついたらどうなるかは……判っていますわよね?」
第三回放送の冒頭部分について。
「どうして途中までしか聞けなかったんですか?」
「無粋な輩が襲ってきたせいで聞き逃しましたの」
殺人鬼・零崎人識について。
「さっき言った通りの容姿ですが、服は着替えているかもしれません。会わない方が
いいと思いますよ」
「つまり、『捜して殺し合って相討ちになってください』と言いたいわけですわね」
参加者名簿には載っていないらしい誰かを捜す、片手が義手の青年について。
「突然、銃を撃ってきましたの。その瞬間までは殺気なんて少しもなかったのに」
「…………」
見つけたときには既に殺されていた参加者たちと、その死因について。
「胴体を両腕ごと切断、ですか。つくづく非常識な島だ」
「やはり、市街地は殺人者に狙われやすいんでしょうね」
話題は、当たり障りのないものばかりだった。
「最後に、忠告してあげましょう」
「……聞いておきます」
「誰かを守るために戦う者を、わたしは高く評価していますわ。自分自身のためだけに
戦う者は、己の死を悟った瞬間に抵抗をやめてしまいますから面白くありませんの。
いずれ再会したときにあなたが優勝を目指していたら、興醒めしたわたしは、かなり
不機嫌になるでしょうね。悲惨な死に方をしたくなければ憶えておきなさいな」
「とても、参考になりました」
結局、双方とも自己紹介をしないまま、参加者たちは別れた。
「あなたには、守るべき相手がいますか?」
「今は、いません。背中を預けて戦うべきだった人たちは、この島で死にました」
様々なことが語られた。
「実は、もしも答えがつまらなかったら、今ここで殺そうと思っていましたの」
「……そうですか」
第二回放送について。
「聞き逃したんですか?」
「本当は聞き逃してなんかいなくて、あなたの正直さを試しているだけかもしれません
けれどね。嘘をついたらどうなるかは……判っていますわよね?」
第三回放送の冒頭部分について。
「どうして途中までしか聞けなかったんですか?」
「無粋な輩が襲ってきたせいで聞き逃しましたの」
殺人鬼・零崎人識について。
「さっき言った通りの容姿ですが、服は着替えているかもしれません。会わない方が
いいと思いますよ」
「つまり、『捜して殺し合って相討ちになってください』と言いたいわけですわね」
参加者名簿には載っていないらしい誰かを捜す、片手が義手の青年について。
「突然、銃を撃ってきましたの。その瞬間までは殺気なんて少しもなかったのに」
「…………」
見つけたときには既に殺されていた参加者たちと、その死因について。
「胴体を両腕ごと切断、ですか。つくづく非常識な島だ」
「やはり、市街地は殺人者に狙われやすいんでしょうね」
話題は、当たり障りのないものばかりだった。
「最後に、忠告してあげましょう」
「……聞いておきます」
「誰かを守るために戦う者を、わたしは高く評価していますわ。自分自身のためだけに
戦う者は、己の死を悟った瞬間に抵抗をやめてしまいますから面白くありませんの。
いずれ再会したときにあなたが優勝を目指していたら、興醒めしたわたしは、かなり
不機嫌になるでしょうね。悲惨な死に方をしたくなければ憶えておきなさいな」
「とても、参考になりました」
結局、双方とも自己紹介をしないまま、参加者たちは別れた。
【A-1/島津由乃の死体のそば/1日目・21:55頃】
【キノ】
[状態]:冷静/体中に擦り傷(処置済み/行動に支障はない)
[装備]:懐中電灯/折りたたみナイフ/カノン(残弾4)/森の人(残弾2)
/ヘイルストーム(残弾6)/ショットガン(残弾3)/ソーコムピストル(残弾9)
[道具]:支給品一式×4(うち一つはパンと懐中電灯なし)/師匠の形見のパチンコ
[思考]:潜伏先を探し、そこで荷物を整理して、しばらく使わない物は隠しておきたい
/最後まで生き残る(人殺しよりも保身を優先)/禁止エリアの情報を得たい
/零崎などの人外の性質を持つものはなるべく避けるが、可能ならば利用する
[備考]:第三回放送を完全に聞き逃しましたが、冒頭部分の内容を教わりました。
[状態]:冷静/体中に擦り傷(処置済み/行動に支障はない)
[装備]:懐中電灯/折りたたみナイフ/カノン(残弾4)/森の人(残弾2)
/ヘイルストーム(残弾6)/ショットガン(残弾3)/ソーコムピストル(残弾9)
[道具]:支給品一式×4(うち一つはパンと懐中電灯なし)/師匠の形見のパチンコ
[思考]:潜伏先を探し、そこで荷物を整理して、しばらく使わない物は隠しておきたい
/最後まで生き残る(人殺しよりも保身を優先)/禁止エリアの情報を得たい
/零崎などの人外の性質を持つものはなるべく避けるが、可能ならば利用する
[備考]:第三回放送を完全に聞き逃しましたが、冒頭部分の内容を教わりました。
【李淑芳】
[状態]:精神の根本的な部分が狂い始めているが、表面的には冷静さを失っていない
[装備]:懐中電灯/呪符(30枚)
[道具]:懐中電灯以外の支給品一式(パン4食分・水800ml)
[思考]:外道らしく振る舞い、戦いを通じて団結者たちを成長させ、アマワを討たせる
/役立ちそうな情報を書き記し、託せるように残す
[備考]:第二回放送を完全に聞き逃しましたが、すべての内容を教わりました。
第三回放送を途中から憶えていません。『神の叡智』を得ています。
服がカイルロッドの血で染まっています。契約者ではありません。
『君は仲間を失っていく』と言って、アマワが未来を約束しています。
[状態]:精神の根本的な部分が狂い始めているが、表面的には冷静さを失っていない
[装備]:懐中電灯/呪符(30枚)
[道具]:懐中電灯以外の支給品一式(パン4食分・水800ml)
[思考]:外道らしく振る舞い、戦いを通じて団結者たちを成長させ、アマワを討たせる
/役立ちそうな情報を書き記し、託せるように残す
[備考]:第二回放送を完全に聞き逃しましたが、すべての内容を教わりました。
第三回放送を途中から憶えていません。『神の叡智』を得ています。
服がカイルロッドの血で染まっています。契約者ではありません。
『君は仲間を失っていく』と言って、アマワが未来を約束しています。
- 2007/04/17 本スレ252
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