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  • 「お目汚し失礼します」の方

レスアンカーワン @ ウィキ

「お目汚し失礼します」の方

最終更新:2025年06月20日 16:33

resanchorone

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だれでも歓迎! 編集

目次

  • 目次
    • Part59
      • 一つめ >>102
      • 二つめ >>107
      • 三つめ >>120
    • エイジセレモニーの宝塚記念出走 その① (Part 59 >>170)
    • エイジセレモニーの宝塚記念出走 その② (Part 60 >>12)
    • エイジセレモニーの宝塚記念出走 その③ (Part 60 >>140)
    • エイジセレモニーの宝塚記念出走 その④ (Part 60 >>159)
    • Part60
      • 一つめ(髪を切ったイチちゃんと、オグリさん)(>>77)
      • 二つめ(オグリさんが髪飾りをイチちゃんに預ける話)(>>91)
      • 三つめ(ダイワスカーレットさんとの出会いを果たしたイチちゃん、その後)

Part59

一つめ >>102

 八百屋に並ぶ春野菜や新物を買いに行くイチ…
 ご機嫌に野菜をカゴに入れてく中、見慣れない野菜を見かけてつい買っちゃうイチ…
 買ったはいいものの調理方法が分からないからスマホで調べて早速調理していく中、ふと思い立ちからし菜を使って辛い料理も作っちゃうイチ…
 いつも通りオグリがイチの弁当を食べながら例の野菜を見つけてイチに
「これは何だ?百合根みたいだが、色が緑だ」
 と聞くけどイチは
「さて、なんでしょう?」
 とクスクスと微笑みながらはぐらかすだけで答えてくれない。今日のイチは凄く楽しそうだと思いながら、口に運んだ瞬間ツンとした鼻を抜ける辛味が襲いくる。
 不意打ちだったので思わず咽せてしまい、イチが悪戯が成功した子供のように笑いながら水を差し出す。
「それ、からし菜の浅漬け。普通に湯掻いてもあんまり辛くないから塩で漬けてみたの。」
 水を飲みながらイチを見る。今日のイチはイジワルだなと思いつつも、改めてからし菜を食べる。
 再びツンとした風味が鼻を抜けるが、今度はしっかりと意識して辛味だけではないからし菜を堪能する。
 弁当を食べ終えたオグリは、弁当箱を風呂敷に包んでいるイチに言う。
「イチの料理はやはり美味しいな。それにとても温かい。」
 イチがお粗末様でしたと返事をする。見るからに上機嫌なイチに続けてオグリは言った。
「でも、今日のイチはちょっとイジワルだ。」
「ごめんごめん、何でも食べちゃうオグリを見てたらついね。お詫びに明日はお肉にするね。」
 先程までの雰囲気はどこへやら、その言葉を聞いたオグリは耳と尻尾をピンと張り、興奮気味に本当か?!と喜びを露わにする。
 現金な奴めと思いながらもイタズラを仕掛けたのは事実だ、明日は美味しい生姜焼きを作ってあげようと思いながらオグリと共に寮へと戻って行く2人…

 を茂みから見ていたタマとモニなのであった。

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二つめ >>107

 ガチャリとドアを閉める音で目が覚めた。
 同室のレスアンカーワンことイチが、今日も今日とて朝っぱらから芦毛のシンデレラの為に弁当を届けに行ったのだろう。昨日はやたらと上機嫌に買い出しから帰ってきたから、きっと良いものを買えたのだろうと想像に難くない。
 自分だって掘り出し物を買えたら気分が良くなるのだ、単にそれが食べ物か機械部品かの違いでしかない。
 しかしレースが近いからと早寝したせいで普段よりもかなり早く起きてしまった。
 二度寝しようにもお目目はバッチリ冴えている。
(しゃーなし、早起きは何とやら、たまには健康的に早朝のウマ散歩と洒落込むかー…)
 寝巻きからジョージに着替え、緩く髪を後ろで一纏めにする。どうせこの後制服に着替え直すのだから、髪もその時にセットし直せばいい。
 或いはわざとそのままにしてイチにセッティングしてもらうのもアリだなと考えながら、シューズへ履き替え中庭へと向かった。

 道中は鳥の囀りと、遠くから響くウマ娘たちの声を聴きながらゆるゆると歩いて行く。
 普段は感じない、或いは気にしない日光がポカポカと体を温めてくれている。
(あー…たまにはこういうのもアリかもなー…)
 冴えてた意識が再び微睡んでいくのを感じながら中庭へと向かっていると、視界に芦毛が入り込んだ。
「あれ、オグリ先輩…じゃないや、タマ先輩じゃん、何やってるんです?こんな所で」
「お、モニちゃんやないか。珍しいなぁこんな時間に」
 茂みに潜むは白き稲妻ことタマモクロス先輩だった。
 はて、タマ先輩は
「いやな?ホンマはもうちょい寝とるつもりやったん。けどオグリがやたら上機嫌やったからちょいと後をつけてみたっちゅーわけや」
 なるほど、芦毛のシンデレラ様は愛しのラプンツェルが作ってくれる春野菜の(キッチンで仕込んでいる時につまみ食いした、めちゃくちゃ辛かった。)お弁当が楽しみで仕方なかったらしい。
 となるとオグリ先輩はアレを食べる事になるのだが…
「せや、モニちゃんも一緒に見ようや。旅は道連れ世は情けってゆーからな!」
「それ使い方あってます?まぁ自分もあんなことあった手前、気になりますけど…」

 あんな事、それは数日前に起きたイチの精神崩壊。詳細は省くが、あの出来事以降オグリ先輩とイチの間にあった壁が無くなったように思える。
「お、そうこうしとるうちに来たで。」
 タマ先輩の言葉で現実に引き戻されたあたしは、ちょうどオグリ先輩がイチから受け取った弁当を開けているところだった。
「おーおー、あんなに目ん玉キラキラさせちゃってまぁ…」
「こりゃあオグリの腹の虫もはちゃめちゃに出走しまくりやんなぁ」
 2人して茂みから生暖かい目線を送りつつオグリ先輩が大事そうに、かつしっかりと味わって食べている様子を伺う。
 …あれだけ美味しそうに食べられたらこっちまでお腹が空いてきそうだ。今日の朝ごはんはロールキャベツにしようと思いつつ見ていると、イチの様子がおかしいことに気づく。
「なんや?イッチの奴やたら機嫌良さげやな…」
 どうやらタマ先輩も気付いたようだ。オグリ先輩が何やらイチに聞いているようだが、イチはそれに答える気がないとでも言うように曖昧に微笑んでいる。
 はて、イチは何を企んでいるのかと考えていると、オグリ先輩が急に咽せた。
「おわ!オグリの奴急にどうしたんや?」
「なんかお浸しっぽいの食べたみたいですけど…あ」
「あってなんやあって。モニちゃんなんか知っとんのか?」
 タマ先輩があたしに問いかけてきたので素直に昨日の事を話した。
 オグリ先輩が咽せたのは間違いなくからし菜の漬物だろう。つまみ食いした時にたまたまそれを食べてしまってとんでもない目にあったのだから忘れるはずがない。
「いや、勝手につまみ食いすんはあかんやろ。」
 ご尤もである。
「しっかしオグリ先輩にも苦手な物あったんですねぇ」
「いや、オグリは別にからしだって普通に食うで。ありゃイッチに揶揄われて不意に後方から差された感じやな」
 ウチがやってたみたいにな!と冗談混じりに話すタマ先輩を尻目に2人を見る。イチはイタズラが成功した子供のように笑っていたが、オグリ先輩に水を渡しながら背中を摩っていた。どうやら当初の目的を達成できて満足したようだ。
「あんだけの事があったから心配しとったけど、あれなら大丈夫そうやな!」
「あれ?タマ先輩がストーカーしてたのオグリ先輩の機嫌探るためじゃなかったんですか?」
「そうそう、オグリのストーカーして恥ずかしい所を…って誰がストーカーやねん!ウチかて心配するわ。」

 それもそうかと思いながらタマ先輩と戯れていると、どうやらオグリ先輩が弁当を食べ終えたようで片付けに入っていた。遠目から見てもオグリ先輩の耳が垂れているのが分かったが、イチが何かを言うとそれもすぐに消し飛び、天を衝かんばかりに耳と尻尾が跳ねていた。
(いや、結局喜ばせるんかーい)
 そうこうしているうちに2人の姿が見えなくなった。
「さて、そろそろウチらも部屋に戻ろか。カフェテリアも開く時間やしな。」
 タマ先輩が茂みから出ると同時にワタシも体を伸ばしながら後に続く。
「しっかしホンマ仲ええなぁ、暑すぎてたこ焼き作れんとちゃうか?」
 タマ先輩が笑う。ワタシも釣られて笑い2人してカフェテリアへと向かった。朝日に照らされた道には二つの影が並んでいた。





「おん?モニちゃんケータイ鳴っとるで」
「うえ、こんな時間に誰だ…ろ……」

『2人とも、今夜はスペシャルな夜食用意してるから覚悟しなさい。』
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三つめ >>120

 聖蹄祭でメイド喫茶をやるオグリとタマ…
 反対に執事カフェをやっていたイチとモニ…
 休憩時間に揶揄いついでに会いに行く2人…
 メイド喫茶なので当然入店時の挨拶がある。
 そう、例のアレだ。

「おかえりなさいませ、ご主人様」

 決まり文句を謳いながら迎えたるは"芦毛の怪物"と"白い稲妻"の両名である。本来ならば西へ東へ引っ張りだこな2人が出迎えに来るのは非常に幸運と言えよう。しかし、イチとモニが揶揄いに来るなどゴールドシップが焼きそばにからしをつけるが如く、シンボリルドルフの駄洒落でエアグルーヴのやる気が下がる事のように分かりきっていた。
 であれば後は簡単、イチの級友に休憩に入ったとの旨を受け取り、合わせて2人を配置すれば見事な牙城の完成である。
 タマモクロスは兎も角として、オグリキャップはメイド服に対して羞恥を抱くよりも、イチに対し日頃のお礼を伝える機会に沸き立つ心が勝る。
 攻める側から一転、攻められる側となった2人(主にイチ)はしどろもどろになりつつも目的を果たすべく反撃する。
「な…ん、いや何よご主人様って。私たち見ての通り執事何ですけど?」
「む、確かにそうだ。だがイチたちは今休憩中だと聞いた。なら、今の2人は執事ではなく、私たちのご主人様だ。」
 席へ案内しよう、オグリのストレートボールを受け抵抗虚しくイチはピッチャーフライからのバッターアウト。これには周りの野次ウマたちもオグリの単勝元返しだと嘆きの声を上げる。
「こちらがメニュー表だ、料理はクリークが作ってくれているから誰も絶品だ。」
 渡されたメニューに目を通す。メジャーなものから変わり種までと意外と多い種類に少々驚きつつも、ここは王道のオムライスを注文する。
「じゃあこのオムライスにしよっかな。最近食べてなかったし。」
「オムライスだな、分かった。」
「あと、コーヒーもお願い。」
 オグリがイチの注文を復唱する様を眺めながらイチは思った。コイツ顔がいいなと。
 やや癖っ毛気味なのか、外側に跳ねている髪と長いまつ毛。瞳は青く空を連想させる。極め付けはやはりその芦毛だろう。この見た目に加えて地方からのシンデレラストーリーだ、ポッと出のくせに人気が出るのも癪だがうなづけよう。

(随分と楽しそうにしちゃってまぁ…)
 尻尾はおろか耳までパタパタと震わせているオグリの後ろ姿を見ながらそう独りごちる。
(クリーク先輩からオグリがメイドやるって聞いたから笑いに来たのに…これじゃただオグリに会いに来ただけじゃない、もう)
 メイド喫茶と聞いた瞬間、あのおっちょこちょいのオグリがまともに奉仕出来るわけないと思い、興味半分オグリの弱みを握りたい欲半分で来たけど当てが外れてしまった。モニの方はタマ先輩と漫才してるしこれは失敗かなと考えていると
「待たせたな、ご主人様。コーヒーとクリーク特製オムライスだ。」
 運ばれてきた料理を見るとやはり美味しそうだ。いや、実際美味しいのだろう、何せクリーク先輩が腕によりをかけて作ったのだから。
 さて、冷める前に食べてしまおうとスプーンを持つが、オグリに止められる。
「待ってくれ、このオムライスはまだ未完成なんだ。」
「未完成?これのどこが…あ、もしかして…」
 オグリが懐から何かを取り出す。プラスチックのボトルに入った赤い物体、ケチャップだ。
「あぁ、イチはケチャップは大丈夫だろうか。」
「別に嫌いじゃないけど」
 それはよかったとオグリが言い早速ケチャップをかけようとしているが、どうやら底に溜まってしまい上手く出てこないようだ。量もよく見るとかなり少なくなっている辺り相当数をこなしたのだろう。
 もう少しオグリが悪戦苦闘している様を気分良く見ていたいが、そんな事をしてはせっかくの料理が冷めてしまうし、何より他の人に迷惑が掛かる。そう思いオグリに声をかけようとしたが
「うわ!」
「大丈夫かイチ?!す、すまない…まさかこんなに勢いよく出るとは…すぐに拭くものを」
「あー…大丈夫、これぐらいなら舐めちゃえばいいし。」
 しかしとオグリがゴネそうなのでちゃっちゃと顔についたケチャップを指で拭いそのまま舐めとる。何やら熱い視線を感じるが、これぐらいなら誰でもやるだろうに…
「すまない、イチ…服は汚れていないか?他に跳ねたところは?」
「大丈夫だって。ほら早くオムライスを完成させてちょうだい?」
 そう言うとオグリはようやく仕上げに取り掛かる。下手くそなハートを書いたらその時は写真を撮って笑ってやろうと思っていたが、予想に反して綺麗なハートが描かれた。

「うわ、凄い上手に描くじゃない。意外とこういうの得意なの?」
「いや、そうでもない。今日一日ずっとやっていたからな、今のは今日1番の出来だ。」
 今日はとことんアテが外れる日だなと思いさて今度こそ食べようとすると再びオグリに止められる。
「今度は何よ?」
「イチ、今から私がこのオムライスにおまじないを掛ける。それでもっとこのオムライスは美味しくなるはずだ。」
 おまじない?疑問が湧くがそれを聞く前にオグリはオムライスに体を向け、胸の前に両手をかざす。何をする気かと身構え、同時に自身の直感に従いスマホのカメラを向ける。
「よし、いくぞ。お、美味しくなぁれ、美味しいなぁれ、萌え萌えキュン!!!」
 羞恥からか、上擦った声と共に両の手で作ったハートがオムライスに向けて発射される。
 なるほど、メイド喫茶のお決まりはコレもあったなと思いつつ、オグリの羞恥に悶える姿をバッチリ捉える事ができた。
「さ、さぁ!今度こそ完成だ、食べてくれ!」
「顔真っ赤になるぐらいならやんなきゃいいじゃん。いただきます。」
 少し冷めてしまった、おまじないをかけられたオムライスがいつもより美味しく感じられたのは気のせいではないのだろう。




「タマ先輩タマ先輩、アレワタシにもやって下さいよ。」
「やるかいアホ。ありゃイッチ専用のオプションや。」
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エイジセレモニーの宝塚記念出走 その① (Part 59 >>170)

(イチの有馬記念後に色々あってモニーが宝塚記念に出走できた世界線です。お目汚し失礼します。)

①
「よぉモニちゃん、元気しとるか?」
「タマ先輩」

 この4年ですっかり聞き慣れてしまった声が、更衣室で立ち尽くすアタシを現実に呼び戻した。

「なんや、まだ着替えとらんかったんか。もうちょいでパドック入りの時間やぞ、ちゃっちゃか着替えんとアカンで?」
「いやーそうは言いますけどねぇ…」

 そう返しつつアタックは目の前にある"ソレ"に目をやる。授業の課題で仕方なく、しかし一切の妥協を許さずデザインした"ソレ"は、しかして自らが袖を通すことなど無いのだろうと思っていた。

「早く着替えんと制服姿で走る事になるで。」
「それは…勘弁願いたいっすねー」
「なんや、何躊躇っとん。イッチと2人してデザインしたゆーとったろうに…その

───勝負服」

───"勝負服"
 それは、レースにおける最高峰のG1でのみ着用することを許された文字通りの一張羅。
 これを着る事が出来る者などいかに中央と言えどもほんの一握りのバケモノ達だけだ。
 最も、今目の前にいるチンチクリンの先輩はその一張羅を5度も着た上で3度の勝利を納めている。
 やはりバケモノか。

「おうモニー、今失礼な事考えたやろ」
「いや別に?タマ先輩がちっちゃいなんて考えてませんでしたよ?」
「おう、ウチかて身長伸ばすために毎日セノビック飲んで…って誰が豆粒どチビやねん!!!」
「誰もそこまで言ってない」

 変わらないな、と思いながら先輩なりにアタシを気遣ってくれているのだろう。
 でなきゃこんな時にわざわざ茶化しにこない。
 時間もかなり迫ってきている。このまま制服で走るなど末代まで笑い話になってしまう。
 意を決して勝負服へと袖を通す。

「あ、着替えるんで一応外出てもらえます?どうしてもアタシの裸見たいってんならいいですけど」
「お、ホンマか?ならウチの網膜にモニちゃんの裸体を焼きつけとかなあかんな!」
「え、マジに言ってます?引くわー…」
「おどれが言ったんやろが!!!」

 怒声を上げながら更衣室から出ていく先輩を見送りながら、アタシは一思いに制服を脱いだ。
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エイジセレモニーの宝塚記念出走 その② (Part 60 >>12)

 パドック裏まで轟く歓声に耳を絞りながらも深呼吸を繰り返し気持ちを落ち着ける。
 大丈夫だ、アタシはいつも通りにすればいい。
 周りに、圧力に押し潰されるな。
 必死に波立つ心を落ち着けようとするが、ちっとも収まりゃしない。
 どうやら自分は思いの外小心者だったらしい。
 そうこうしているうちに自分の番が来たようだ。なまじあの太陽神の後という事もあり観客席は冷めやらぬ熱気が渦巻いていた。
 震える足を動かして、パドックへと躍り出る。
 今のアタシには、栄誉ある舞台へのバージンロードではなく、断頭台への13階段のように見えた。
 予想通り太陽神の後ではアタシなどその辺の石ころのようなものだろう。先ほどまでの熱気が数度下がるのが感じられる。

───無理だ

───分不相応のアタシには、この舞台は早すぎる

 OP戦は緊張も不安もあったが、勝利を信じれた
 G3戦は不安を勝ちへの飢えが勝った
 G2戦でアタシはバケモノがバケモノたる所以を知った

 呼吸が浅く、早くなる。酸素が取り込められない。観客の目からは嘲笑、憐憫、好奇、懐疑が向けられる。

───呑まれる

 心が折れそうになった瞬間、

「エイジセレモニー」

 誰かがアタシの名前を呼んだ。

 ハッとあたりを見回す。そこには先輩が、後輩が、級友が、トレーナー達がいた。皆んながアタシを応援してくれている。皆んながアタシの事を信じている。

「モニーちゃーん!」
「カッコいいぞー!」
「今日の逃げ足も期待してんぞー!」
「お前に今日の晩飯賭けてんだからみっともねぇ走りすんじゃねーぞー!」

 そして、アタシのファンもいた。
 純粋にアタシの走りを、姿を、努力を見てくれている人達が、アタシに勇気を与えてくれる。

───なんだ、いるじゃんか。

 なら、勝たなきゃ。与えられるばかりでなく、与えてやろうじゃないか。
 エイジセレモニーの勇姿を、みんなに刻み込んでやる。
 最後に一つ大きく深呼吸する。

───うん、大丈夫だ。

 観客席に向かってアタシは指を突き出し言い放つ。

「勝つのはアタシだ!ギャラリーはライブを楽しみに待ってな!!!」

 言ってやった。えぇ、言ってやりましたとも。踵を返して地下バ道へと向かう。
 すでに観客共の不躾な視線は感じなかった。
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エイジセレモニーの宝塚記念出走 その③ (Part 60 >>140)

 地下バ道へカツカツと足音が響く。
 本馬場へ続くこの道には、アタシとレースに出るウマ娘しかいない…訳でもなく、関係者や友人達が激励を送っていたりしている。
 ええんか?こんな緩くてええんか?
 まぁ、特に注意とかされてないあたり問題無いのだろうが…
 歩いているうちに頭が冷えていく。
 いや、熱くなっているのか?
 ダメだもうどっちか分からない。
 思わず足を止め、その場にしゃがみ込む。

「ぁぁぁあああ〜〜〜たしのバカバカバカバカ!なぁにが勝つのはアタシだだよぉ!柄にもないことしやがってぇ!!!」

 パドックでの啖呵を思い出し悶えるアタシの姿はさぞ滑稽も滑稽、コケコッコーだろう。
 イチがあの田舎者先輩に感化されてからこっちも釣られるように燃えてしまったのが運の尽き…いや、この場合は違うのだろうか?
 まぁどちらにせよこれは完全にイチとオグリ先輩の影響を受けすぎた。
 アタシは熱血スポ根というキャラでは無かろうに。
 はぁぁぁあああ〜〜〜…こちとらG2すら掲示板入りするのがやっとのモブウマ娘だぞ。
 バケモノ蔓延るG1レースにいきなり放り込まれてどないせいってんだよ。
 しかも今回は爆逃げギャルコンビのメジロパーマーとダイタクヘリオスがいる。
 確実にアタシは先行策を強制されるだろう。
 今の今までずっとスタミナに任せた逃げをして来たのだ。土壇場で先行なぞうまく行くわけもない。
───詰みだ。
 これ以上ない程に詰んでいる。
 あぁ、アタシはこのまま何もできずにモブCくらいの感じで蹂躙されるんだ〜…

「はぁ、やっぱりグロッキーになってるわね」

 うずくまる背中に入学以降毎日聞いた声が掛かる。
 レスアンカーワン、アタシの同室で、友人で、ライバルだ。
 しかし、何故ここに?
 暫くの間イチは休養するという事だったはず…さっきも観客席にいたのは見たのだが、ここ関係者でもあんまり入れなかったような。

「アンタのトレーナーに頼まれたからよ。私だって来たくて来たわけじゃないし」
「…何それ、来たくないなら来なけりゃいいじゃん。それとも何?アタシのこと笑いにでもきたワケ?」

 暗澹な気分が胸中を渦巻く。
 あぁ、クソッ気分が悪い…イチのスマした顔を見ていると段々とムカっ腹が立ってきた。
 そうだ、アタシがこんな場所にいるのも、こんな思いをしているのも…アタシが、G1なんてものに出なきゃならなくなったのも全部、全部…全部全部全部全部全部!!!
 コイツがッ!!!

「アンタはいいよね、オグリキャップがいるんだから!アタシには何もないっ、何もないんだよ!取り柄なんてものも、目標だの憧れだの大層なものだってないんだよ!」

 あぁイラつくなぁ…!
 どいつもコイツも、アタシを苛立たせる…!
 アタシを、私を見下しやがって!

「アンタらがいなけりゃ、私は夢なんて見ずに済んだのに…あのまま腐っていけたのに…何で、何で今更…」

───違う、イチは悪くない。
 誰も悪くないんだ。ただ、私が弱かっただけなんだ。そうじゃなきゃ自分を保てないくらい、アタシが弱くて、臆病だったんだ。
 イチはずっと黙っている。
 いっそ見捨ててくれれば楽なのに、イチは気分を害した様子もなく、ただこっちを見ている。

「…で、気は済んだ?」
「…はは、やっぱアンタは強いよ。アタシとは違う。アッチ側なんだよ、貴女は」
「生憎と、ウジウジ腐ってたのは私も同じよ。私なんてそこらの木端と同じよ同じ。アイツがいなきゃそもそも中央から追い出されてたわ」

 あぁ、強いなぁ…
 ホント、貴女は自己評価が低すぎる。
 だからこそ、私には眩しすぎる。

「ま、そんだけ文句言えるんなら上出来ね。気圧されて何も出来ない奴よかよっぽどマシよ」
「…もうちょい優しくしてくれてもよくない?私こう見えて繊細なんだよ?」
「知ってる。でもそれだとアンタ動かないじゃん。ズブいアンタにゃこれくらい鞭使わなきゃ効かないのよ」
「何で鞭…飴ちょうだいよ」
「いいわよ?はい、黒飴」

 イチが上着のポケットから飴を出してこちらに放ってきたのでそのままキャッチする。
 チョイスが渋いっ!大阪のおばちゃんくらいでしょコレ持ってるの。
 まぁ折角くれたんだし食べちゃうか…
 黒飴の包装を破って口に入れる。
 普通の飴と比べるとやはり甘さが控えめ…控えめかコレ?単に甘さのベクトルが違うだけじゃないコレ?

「ねぇ、普通の飴ないの?やっぱ黒飴は渋すぎるって」
「何でよ、美味しいじゃない黒飴」

 そうだった、イチは人に出す料理とかは普通か少しアレンジされた程度のものが多いけど、自分で食べるものは割と変なものとかゲテモノをよく食べるのだ。

「はぁ、なんか悩んでたのがバカみたいじゃんか」
「いいじゃん悩めば。私も有マの時めちゃくちゃ悩んだんだから、アンタも苦悩しなきゃ不公平よ」

 何じゃそりゃ、苦悩するのに公平も不公平もないでしょうよ。

「アンタの言い分は分かるわよ。他ならぬ私自身が経験したんだもの。でもね、そうやっていつまでもウジウジ腐ってたってしょうがないのよ。だってここに、この地獄に飛び込んだのは私たち自身の意思なんだから」

 地獄って言ったよコイツ。
 一応アタシら花の女子高生なんだけど?
 アスリート兼任してるけどまだピチピチのナウイギャル(マルゼン先輩が言ってた)なんだよ?
 いくら何でも達観しすぎだろこやつ。

「ほら、さっさと立ちなさい。もう本馬場まで15分も無いわよ。不戦敗なんてドベよりみっともないわよ」
「ぬぐぐぐ…それはヤダ…」
「なら立つ。立って歩きなさい。何のために脚があると思ってんの」

 両手をついて何とか1人で立ち上がる。
 膝は震えるが、立てないわけじゃない、歩けないわけじゃない。

「よし、立ったわね。1人で立てなきゃどうしようかと思ったけど…」
「そこまでしてもらうわけにゃいかないよ。なけなしのプライドがあるんだよね、こっちにも」
「オーケー、ハッタリもバッチリ。その調子ならもう大丈夫ね」

 あぁもうほんっとコイツは…
 つくづく人に発破をかけるのが上手い。
 だからこそ、イチの周りに人が集まるのだろう。でなければ、ファン投票で出走権を得ることなど出来るわけがない。

「っし、んじゃ行ってくるわ」
「ん、気張りなさい…いややっぱ気張んなくていいわ。アンタはおちゃらけてる方がお似合いよ」
「うわひっどいなー」
「事実でしょ」

 頬を張り気合を入れる。
 イチに背を向けターフに向かう。
 不安に押し潰されそうだ。
 恐怖で体が震えてしまう。
 すくむ脚が歩みを止める。
 全部を無視してアタシは走る。走って走って走って、今この瞬間にアタシの全てを賭けてやる。
 見せてやる、アタシの最後の光を───
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エイジセレモニーの宝塚記念出走 その④ (Part 60 >>159)

「あ、ごめんちょい待ち」
「んぐぇ?!」

 なんか無駄に悲壮な決意を背負ったアイツの襟を掴んで引き留める。首が締まったのか変な声が聞こえたが…まぁ大丈夫っしょ。そんなヤワでもないし。

「急に何さ?!もう行かないとならないんだけど?!」
「いやコレ渡すの忘れてた」
「え、なに。黒飴はもういらない」
「何でよ黒飴美味しいじゃない」

 一応時間を確認するが幸いまだ10分はある。
 2分もいらないしさっさと済ませてしまおう。

「これ、タマ先輩から。さっき渡すの忘れてたってさ」
「これって…タマ先輩の髪飾りじゃん」
「そ、時間ないからちゃっちゃとつけちゃうわよ。こっちに頭よこしなさい」

 タマ先輩から預かった髪飾り…はちまき?を手早くモニーの右耳に着ける。ついでに髪も少し直してやる。よし、我ながらいい出来だわ。これならどこに出しても恥ずかしくないウマ娘ね。

「よし、これでオッケーっと…」
「ぉ、おぉ…なんか、凄く凄いねこれ」
「気合入ったわね?入れ。んじゃ、今度こそ行って来なさい。今日が最後ってわけでもないし、ぶっ壊れてでも走ろうだなんて思わないことね」
「…バレてたか。でも大丈夫、もうそんな気は起きないからさ。タマ先輩たちによろしく言っといて、センターはアタシなんだからさ」

 そう言いながらモニーがターフに再度向かう。
 今度は呼び止めず黙ってその背中を見送る。
 先程までの悲壮感はすでになく、代わりにその背には絶対の自信と覚悟があった。

…それはそれとしてタマ先輩って静電気溜めやすいのかしら。凄いパチパチしてたせいで髪が帯電毛状態になってしまった。

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Part60

一つめ(髪を切ったイチちゃんと、オグリさん)(>>77)

「やめるんだイチ!!!」
 突如寮内に響き渡る怒声。
 トレーニングを終え、汚れた服と身体を洗いに来たウマ娘、明日へ備え各々英気を養っていた周囲のウマ娘たちはなんだなんだと発生源へと意識を向ける。
 そこには芦毛のウマ娘が栗毛のウマ娘の腕を掴み詰め寄っている状況であった。

「急に掴み掛かってきたと思ったら何よ!? 
 ていうか、刃物持ってる相手にいきなり詰め寄るとかどういう神経してんの?!危ないでしょうが!」
「それはこちらのセリフだ!そのハサミで何をしようとしていたんだ!」
「自分の髪切ろうとしてただけでしょうが!」

 ギャイギャイと言い争いが激化しているようだが、原因というのがどうやら栗毛のウマ娘が自分の髪をハサミでテキトーに切ろうとしたことらしい。
 トレセン学園において、ウマ娘が自力で散髪するというのは特段珍しい事ではない。
 昼間は学業、夜間はトレーニングと休養以外では髪を切りに行くタイミングがそこまでない。
 学園内にも床屋はあるが、大多数の生徒は外の行き付けか今回のように自分で切ってしまう。
 まして他者に対してどうこう文句を言う者など余程仲が良い友人であるか、あるいは身内ぐらいなものだろう。
 もっとも、今回の様子を見るにそのどちらでもない余程の変わり者であるようだが。

「寝癖がすぐ直るぐらいにはどストレートなアンタにゃ分かんないでしょうけど、この髪めちゃくちゃ鬱陶しいのよ!私生活に支障が出るくらいには!」
「だからと言って自分で切ることはないだろう!?そんなに綺麗な髪なのに!」
「はぁ〜〜?!コレのどこが綺麗なのよ! 夏はクソ暑いは梅雨は爆発するわ冬は静電気でバチバチするわでいい事ないわい!」

 芦毛のウマ娘…オグリキャップはどうやら栗毛のウマ娘…レスアンカーワンが自力での散髪を行うことに憤りを感じ、制止したようだ。
 なお、静止されたレスアンカーワンは当然の如く怒りを露わにしているが。

「なんやなんや、一体何の騒ぎや!」
「今何時だと思ってんのさー…」

 言い争う2人の元へ小柄な芦毛のウマ娘…タマモクロスと、アンダーツインの黒鹿毛のウマ娘…エイジセレモニーが仲裁に入る。
 ここでは他の生徒の迷惑になると、寮の洗面所からロビーに場所を移し、2人に事情聴取を行った。

「なるほどなぁ、よーするにイッチがテキトーに散髪するんがオグリにゃ許せへんかったっちゅーこっちゃな」
「い、いや…そういうわけでは…」
「いやもなにもあるかい。実際イッチの腕掴み上げてまで止めとったやないかい」
「ん、ぐうぅ…」

 ぐうの音が出てるの初めて見た。
 私はそう思いながらお茶を啜る。
 しかしここまで面倒な事になるとは思いもよらなかった。たかだか他人の髪程度に何を感じているのやらとつくづく思う。
 そりゃあ洗面所で急にハサミで散髪しようとしたら驚いてしまうだろうが、別に珍しい事でもない上に別にこれが初めてというわけでもない。
 何なら月一ペースでやってた時期もあった。
 それくらいこの髪は鬱陶しいのだ。
 春は風で髪にゴミが絡まり、梅雨は湿気で爆発、夏はシンプルに暑く、冬は静電気で常に帯電毛状態。最近はトレーニングが忙しく切れていなかったから、丁度いいと思って切ろうとしたわけなのだ。
 毛先が不揃いなのもそれが原因ではある。

「でもさー、イチが散髪するなんて別に今に始まった事でもないんだし気にしなくてもいーんじゃないの?」
「なにっ、イチは今回が初めてではないのか?!」
「あれ、知らんかったっけ?そういえばオグリ先輩が来た時からずっと伸ばしっぱだっけ」

 言われてみればオグリが転入してから一度も散髪をしていないな。
 今もそうだが、あの時は嫌がらせに精を出しすぎて自分の事を疎かにしていた節があった。
 むむ、これは一度私生活を見直す必要があるかもしれない。後で日記に書いておこう。

「んで、どないすんやイッチ」
「あ、はい?何がですか」
「髪どないすんやって聞いとんねん。オグリは譲らん言うとるやさかい、落とし所つけんと千日手になっまうで?」
「えー…それぐらい好きにさせて欲しいんですけど…」
「まぁまぁイチさんや、愛しのシンデレラ様はイチがターフの上のラプンツェルであって欲しいみたいですぞ〜?」
「せやなぁ、ウチもイッチのその髪切るんは勿体無いと思うわ」
「タマ先輩まで…」

 まさかの3体1という不利対面、勘弁願いたい。
 それに何だラプンツェルって。確かにあれも髪が云々の話だが最終的にバッサリ切ってるではないか。
 思わず天を仰ぐが、視界に映るのは天井と照明だけだ。どうしたものだろうか、本当に鬱陶しいのだこの天パ気味の髪は。

「…いや、すまないイチ。私が悪かった…」

 いよいよ収拾がつかない所まで来ようかという段階でオグリが口を開けた。

「イチを困らせたい訳じゃないんだ…ただ、本当に綺麗な髪だから、切るのは勿体無いと思っただけで…イチの髪は、イチが決める事なんだ。横槍を入れた私が悪いんだ…」
「…ホンマにええんか?オグリ、ずっとイッチの髪褒めとったのに」
「え、何それ。そんな事してたのアンタ」
「私は今のイチしか知らなかったからな、つい…」

 ついって何だついって。今回に関しては私に非は一切ないんだぞコラ。
 というか何だその顔は。アンタは餌箱ひっくり返したハスキーか?その髪モフモフすんぞコラ。
 ハァと一度ため息を吐く。
 オグリに悪意がない以上これ以上は不毛だ、髪だけに。仕方ないからこっちが折れてやろう。

「分かったわよ、今回はこっちが折れてあげる」
「イチ…!」
「ただし、しばらくは朝のお弁当は無しよ」
「な、そんな殺生なぁ…」
「オグリ、今回はここが落とし所や。イッチもこう言っとるんやし、甘んじて受けぇや」
「タマ………うん、そうだな。甘んじて、受けよう」
「よろしい。それはそれとして今回は流石に散髪するから。伸びすぎて鬱陶しいのよ」
「お、それならアタシの行き付け教えるから今度行こうぜい」

 ワイワイとガールズトークに移行する4人を見守るウマ娘がいた。
 寮長のフジキセキである。

(うん、あの様子なら私の出る幕はないようだね。一時はどうなるかと思ったけど…それはそれとして厳重注意はしておかないとね)

 思考を一度打ち切り、やんややんやと花を咲かせている4人のポニーちゃん達に向けて歩き出した。

「んげ、フジ寮長?!」
「話はまとまったようで何よりだよ。だけど今回はちょっとおいたが過ぎたよ、ポニーちゃん?」

(おまけ)

「いやー眼福ですなぁイチの新しい髪型姿は」
「何よそれ。ていうか私は支障が無ければそれで良かったんだけど」
「いやいやイチさんや、それは勿体無いってもんですぜ。アタシと違ってイチは遊べる髪なんだから遊んどかなきゃ損だよ損!」
「そういうもんかしら…」
「そういうもんだよ」
「ふーん…あぁそうだ、モニー」
「ん?なにー」
「私はアンタの髪、結構気に入ってるわよ。
 綺麗なストレートだし、そう卑下にしなくても自信持っていいわよ。」
「…イチってさ、そのうち刺されそうだよね」
「なんでよ」

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二つめ(オグリさんが髪飾りをイチちゃんに預ける話)(>>91)

「ありがとうオグリ、もう大丈夫」
「ん、そうか。それなら良かった」

 イチから身体を離す。
 その目には、鈍感だと言われる私にも分かる程度には不安と恐怖の感情が見えた。

───イチは大丈夫だと言うが…

 これでは、いつかの私のように周りの熱に呑み込まれてしまう。
 どうする、どうすればいい。
 私には、北原達のような仲間がいた。
 タマやクリーク達、ライバルがいた。
 そして、イチがいた。
 今度は私がイチを照らす光になるには…

 瞬間、私の頭に着いているソレを思い出した。
 これは母さんが私にくれた勇気の証。

───母さん、今だけでいい。
───イチにも勇気を分けてあげてくれ。

「…それじゃあ、そろそろ時間だから、行ってくる」
「待ってくれ、イチ」
「?まだ何か…」

 頭からソレを、5連結の菱形の髪飾りを外す。

「これを持っていって欲しい。」
「これ…アンタのお母さんのじゃ」
「あぁ。だが、今はイチに必要なものだ。…まだ怖いんだろう?」
「そんな事…」
「強がらなくていい、私だって怖かったんだ。誰だって怖いんだ。だから、少しでもイチが勇気を持てるように。イチが走り切れるように、私の想いと一緒に駆けてくれ。」

 イチの手に髪飾りを握らせる。
 …やはり僅かに震えている。イチは強がりだからな、無理矢理でもないと背負い込んでしまう。
 だから、私達が勝手に背負ってやろう。
 それでイチが走れるのなら、喜んで。

「………はぁぁぁあああ〜〜〜〜…分かった、分かったわよ。えぇ、認めるわ。正直、怖い。何で私なんかがって思ってる。周りなんてどいつもこいつもバケモノばっかり何だから、そりゃ怖いわよ」
「イチは何でもかんでも背負い過ぎだ。もっと私たちを頼ってくれ。」
「…アンタには言われたか無いわよ」

 うん、いつものイチだ。
 これなら心配いらないだろう。

「っし、んじゃオグリキャップ様から借りたありがた〜い髪飾り着けるから、これ預かってて」
「うん、確かに預かった」

 イチから帽子を受け取る。これは水兵帽を元にしたものと言っていたが、何故水兵帽なのだろう?あとで聞いてみよう。

「…よし!んじゃ、今度こそ行ってくるわ!」
「あぁ!行ってらっしゃい、イチ!」

───本当に、イチは眩しいな

 ターフへ向かうその背は、いつもより大きく見えた。

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三つめ(ダイワスカーレットさんとの出会いを果たしたイチちゃん、その後)

「さぁ今週も始まりました、ドキドキ☆レスアンカーワンのチーム行脚with中央トレセン学園!
 実況は私、cv上田瞳ことゴールドシップがつとめさせていただきます。そしてこちらが解説の」
「解説のエイジセレモニーです、本日はよろしくお願いします」
「いやー今週も始まりましたね、こちらのコーナー」
「はい、何だかんだイチはやってることの関係上自然と交友関係がひろがリングスですからね。よく後輩連中からも慕われていますよ」
「流石は同室、彼女の事をよく知っています。
 さて、今回は1番は譲らないしウオッカにも負けないでお馴染みのダイワスカーレットですね。スピカの中でも割とシンザンに入る彼女ですが、最近は後輩のキタサンブラックが入って来たのでもう中堅です」
「ミスパーフェクトなんて呼ばれ方もしてますよね確か。いやはや我々有象無象のモブウマ娘にはあの体格も相まってゴリラにしか見えないですよ全く」
「おうモニちゃんそれ本人の前で言うなよ?さもなくばゴルシちゃんみたく煎餅にされちまうからな」
「あのゴルシ先輩ですらペラペラの煎餅に?!」
「あぁ、あのぶっとい太ももを見てみろ。あんなものに挟まれちゃあ流石のゴルシちゃんもマリアナ海溝に落とされたシジミみてぇに無力だったぜ」
「あれでもゴリラってゴルシ先輩の同期にも…」
「モニー、命が惜しかったらそれ以上口にするな、いいな?」
「アッハイ」

「さて実況に戻りますが、現在スカーレットがウオッカに対抗してキャベツの千切りを行っていますね」
「やったことある人なら分かると思うけど、あれ意外と難しいんだよなぁ…アタシも一回やってみたけど野菜スティックみたいになっちゃったわ」
「ゴルシちゃんは焼きそばによく使ってるぜー。最近は高くてあんまし使えねぇのがなぁ…っと、脱線しちまった。さて、スカーレットも例に漏れずかなり太めの千切りになってるな。しかもウオッカに煽られてムキになっちまってらぁ」
「ウオッカちゃんとスカーレットちゃんはそれぞれ差し逃げの関係だから、ウオッカちゃんのささやきがまぁ刺さる刺さる。一息つけるでしょうか?」
「スカーレットは一度掛かると中々落ち着きませんからね、少し厳しいかと…あーっとここでレスアンカーワンがウオッカを嗜め、スカーレットの包丁を握る手に自分の手を重ねレクチャーをはじめたぁ!」
「出ましたね、あれぞイチの特技体を密着させてウィスパーボイスで手取り足取り教えるやべーやつです。あれで一体何人のウマ娘を堕としてきたのか分かったもんじゃありません。アタシもやられた」
「やべーぞとんだタラシだ!ラブコメだったらもう10人くらいから迫られてんだろそれ!ここがウマ娘コンテンツで良かったわ」
「全くですね、無防備すぎてあのオグリキャップが注意するレベルですよ」
「嘘だろ…?!あのオグリんがか…!?コイツァとんだダークホースだぜ…!」
「そうこうしてるうちにどうやら他の料理も教えているようですね。あの2人すぐに口喧嘩するなぁ」
「その口喧嘩抑えてるイチの技量の高さが伺えます。仕上げまでバッチリなあたり慣れてんのかな?」
「まぁイチそこら辺気にしないっすからね。良くも悪くもドライなんすよ」
「ホントかー?ホントにドライかアレー?さて、料理も出来上がりイチが片付けに入りました。2人はイチのおかげか割と素直に話してますね」
「さりげない気遣いの鬼、それがイチです」
「さて私たちもそろそろお暇させていただきましょうか。それでは本日はこれまでにございます。実況はゴールドシップと」
「解説のエイジセレモニーでしたー」

───⏰───

「…で?何かもうさ開きがあれば聞いてあげないこともないわよ?」
「い、いやー最近よくイチがうちに来るからよー。折角だからぱかチューブのネタにしようと思ってぇ」
「まぁそこは否定できませんからいいですけど、許可ぐらい取ってください。別に断りゃしないんで」
「お、マジで?んじゃ今度ホラゲー実況でも…」
「ホラーゲームはしませんっ!…んで、アンタの方はなんか遺言ある?」
「待って待って待って何で遺言!?アタシゴルシ先輩と一緒に実況解説しただけじゃん!」
「えぇそうね、それだけならアンタは見逃しあげたわよ。同室のよしみだし…でもねぇ、アンタ私の有る事無い事吹聴したわよね?よってギルティ」
「イチが無自覚ジゴロなのは事実でしょー!?」
「誰がジゴロよ!もう怒ったわ!大人しくゴルシ先輩共々ダートの肥やしになりなさい!」
「「ギャーっ!!!」」

「…なぁ、スカーレット」
「…なによウオッカ」
「イチ先輩は怒らせないようにしようぜ」
「そうね…」
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