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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
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君と一緒に

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だれでも歓迎! 編集

 それは遠い昔。まだ科学が発展してなく、天災は神々によって起こっているものと信じられていた時。
 とてつもなく大きく、広い、海のような川があったとさ。
 そこ近いある漁村に一人の赤子が天からの授かり物のように捨てられてるのを見つけた。
 その赤子はここらじゃみないような金髪に、青い瞳をしていた。
 赤子は村長姉弟の計らいですくすくと育っていったが、その異様な雰囲気をよしとしない者が多かった。
 時には剥き出しの敵意で少女に近づき、暴力を振るい、聞くに絶えない罵詈雑言を浴びせる者もいた。
 しかし、それでも少女が健やかに成長できたのは村で一番信頼のある村長姉弟のおかげであろう。
 その赤子は数年たって立派な少女となった。紅の着物を好んで着て、それに美しい金髪がよく映える。
 少女が丁度この村に来てから13年がたった日、一隻の漁船が転覆。
 その船に乗っていたのは少女を嘲け笑った村人だった。


 ──君と一緒に


 最初、村人達は何も疑わなかった。少なからず漁に出れば、事故は付きまとうからだ。
 しかし、それから間もない頃、再び高い波に飲み込まれて漁師が死ぬ事故が起きた。
 その漁師も少女をよく思わない村人の一人だった。
 それ以来だった。不幸にも漁船が次々と転覆事故を起こした。死んでいったのは全て、少女を嘲った者達。
「川神様が怒っていらっしゃるのだ……」
「あの女はきっと川神様の遣いだ……」
「あいつを川に還すんだ!」
 と、そういう目で少女を見るようになった。時には少女に面と向かって盾つく者もいた。
「お前が村人を殺したんだろう!」
「証拠もないのに勝手なことばかり言わないで頂戴。口だけは達者なのね」
 と、少女は相手にもせず軽くあしらって、気にしないようにしていた。
 しかし、ある晩のこと。心ない村人によって村長の家が焼かれた。
 幸い、家に誰もいなかったことから怪我人は出なかったが、それが少女にとってどんなに辛かったか。

 火事に集まった人々は少女にこう投げ掛けた。
「お前のせいだ!」
「お前がいるからこんなことになった!」
「出ていけ!」
 ──私のせいで、迷惑をかけてしまう。
 それでも姉弟は少女に優しく接した。お前のせいじゃないのは分かっている、きっとその内みんなも分かってくれる、と。
 しかし、その優しさが少女には辛かった。
「話があるの」
 少女は村長姉弟の前に座り、真剣な表情で口を開いた。
「私を、人身御供にしてほしいの」
「なっ……」
「ダメよっ!」
 姉弟は守るように少女を抱き締めた。しかし、少女はやんわりとその腕を外し、寂しげな笑みを浮かべた。
「……私はこの村の皆を、貴方達を守りたいの」
 お願いします、と少女は額を床につけた。姉弟は悔しそうに唇を噛んだが、何も言えずに俯いていた。
 その翌夜。丑三つ時を指そうとしているときだった。いつもは静かなこの時間、今宵は村人の荒々しい声。
 あらゆる箇所に火が焚かれ、真っ赤な着物に袖を通した少女に浄めの冷水がかけられた。
 本来、人身御供に出る者は真っ白な着物を着るのが定石だが、少女の強い希望で真っ赤な着物を着ている。
 畳が三枚用意された。一枚には米俵が二つ、もう一枚にはその川で取れた魚達、最後の一枚には少女が静かに正座する。
 村の男達が川の中へ三枚を担いで分けいる。進めども進めども、向こう岸は見えない。

 やがて胸から下全てが浸かった時、男達は畳から手を離した。
「川神様ぁっ!どうか、お鎮まりくださいっ!」
 誰かがそう叫んだとき、ザバッと音を荒げて波が高くなり、畳三枚をあっという間に拐っていった。
 村人達は川に向かって跪き、手を合わせてお経を口々に詠んだ。
 ──神など信じない。神が本当にいるのならば、何故私をこんな目に合わせるのか問い詰めてやる。
 川に落ちて行く時、少女は頭の片隅で、そんなことを思っていた。
 目が覚めたとき、その寝心地の良さに思わず瞼をもう一度閉じかけた。
 しかし、違和感を覚え跳ねるように、飛び起きた。
 柔らかい寝心地を感じたのはおびただしい数の黒羽が敷き詰められていたから。
 辺りを見回すと古いが、それでもしっかりとした木でできた家屋のようだった。
「羽のベッドはお気に召さなかったかしら?」
 背後から聞こえた声に慌てて振り向けば、銀色の長い髪に赤い瞳の黒い着物を着崩した同じ齢ほどの少女。
「誰……?」
「はぁ?そんなのこっちの台詞よぉ」
 その黒い少女は髪を風に靡かせながら赤い少女の顔をまじまじと見つめた。
「川から今朝流れてきたのよぉ。何かあったのぉ?」
 それを聞いた少女は歯を食い縛ってうつむいた。
「覚えてないのぉ?」
 少女は冠を振った。

 頭によぎる、村人達から浴びせられた罵詈雑言の嵐。世話になった姉弟達の悲し気な表情。
「……言いたくないのぉ?」
 少女はそれに答えなかった。黒い少女は小さく息を吐くともう一人の少女の前に焼き魚を串に刺さったまま投げた。
「ま、とりあえず食べなさぁい。後、私の名前は水銀燈。貴方は?」
 少女は水銀燈の放り投げた魚を手に取った。
「……名前、……何だったかしら」
「はぁ?記憶ないの?」

「そういうわけじゃないんだけど、……名前だけ、分からない」
「ふぅん、まぁでも名前ないと不便ねぇ」
 水銀燈は顎に手を当てて、いかにも考えているようだ。
「『真紅』でどう?」
「真紅?」
「そう、紅の着物着てるから」
「ふふっ」
 自信満々にそう言う水銀燈の表情に思わず噴き出してしまった。
「何よぉ」
 それがお気に召さなかったらしい水銀燈は不満そうな視線を真紅に送る。
「別に何でもないわ。ただ、分かりやすいって思っただけよ」
 水銀燈はそれを聞いても、なお不満気に眉を寄せていた。やがて真紅がプニっと水銀燈の頬を突ついた。

「ありがとう。助けてくれたんでしょ?」
「……私の島で死なれちゃ困るから助けただけよぉ」
「……貴女の、島?」
「そうよ」
 水銀燈は真紅の手を引いて屋外へ連れ出した。
 外に出るとこの家が立ってるのがやっとのほどの小さい島だというのが分かった。
 しかも、島を囲む水は海ではなく川らしい。舐めてみると全く塩っからさがない。
「何故かは分からない。けど物心付いた時からここで一人で暮らしてるのよぉ」
「ご飯とかは?」
「川がくれるのよぉ」
 必要なものが、必要だと思ったときに、何故か川から流れてくるの。
「寂しくなかったの?」
 川を見ていた水銀燈がくるりと真紅の方を向いた。
「寂しいとは思わなかったけど、貴女が来たってことは寂しかったかもしれないわねぇ」
 そう言いながら笑った水銀燈の顔が何故か凄く眩しくて、思わず目を反らしてしまった。
「真紅ぅ?」
 それを不審に思ったらしい水銀燈が真紅の顔を覗き込む。
「あ、あの羽根は?」
「羽根?」
「そう。私が布団にしてたもの」
「あぁ、あれねぇ」
 その時、少しだけ水銀燈の表情が陰った事に、私は気づかなかった。
「そうよぉ。流れてきたのぉ」
「そう……。ねぇ、水銀燈」
「ん?」
「私、ここで一緒に暮らしてもいい?」
 その質問を聞いた水銀燈は目を丸くさせて真紅を見つめたが、やがてフッと笑うと真紅の頭を撫でた。
「当たり前じゃなぁい。歓迎するわよぉ。ま、いいもんはないけどねぇ」
 肩を竦めてイタズラっぽく笑う水銀燈につられて真紅も優しく微笑んだ。
「よろしく、水銀燈」
「こちらこそよろしくぅ、真紅」
 かくして、二人の、二人だけの生活が幕を開けた。

終わり

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