ビッキー、『過ち』を繰り返す(後編) ◆Rd1trDrhhU
「なるほど、それでゴゴが……」
別室に移動した2人。
ルッカはまず、
ビッキーにゴゴが何をしているのかを説明した。
リオウたちと長い付き合いであるビッキーに無断で勝手に事を運んだ事を、彼女は一切責めはしない。
優しい子なんだな、とルッカは思う。
それに比べて自分はどうなんだろうか。
「結局は、
ナナミには何もしてやれなかった……に等しいんだけどね」
微かに浮かべた笑みは、自分の不甲斐なさを笑ったものだろう。
ルッカが感じたナナミの願いが、正解だったとして……。
ナナミが最期に願った事が『リオウと一緒にいること』だったとして……。
ゴゴがナナミの変わりにそれを実現しても、ナナミ本人の願いが叶ったわけじゃないのだ。
結局はリオウのそばにいるのはナナミじゃなくて、ただのモノマネ師なのだから。
「でもね、リオウにはそれが必要なんじゃないかと思う」
死んだ少女は、何よりも弟の事を一番に考えるような姉であった。
それは短い付き合いであったルッカでも分かる。
ルッカは知らないが、事実、彼女は弟に国を捨てさせてでも自由を与えようとした。
自分は死んだ事にして、弟の元を離れる事さえ決意した。
「最期に彼女はリオウの為になる事を望むはずだって……私は思うの」
全てはリオウの為に。
ならば、彼女の願いもリオウの事を思ってのことなのだろう。
だから、それを叶えてやれば、弟は救われるはずだ。
そんな出来損ないのサイエンスを、ルッカは信じる事にした。
「うん! ナナミちゃんはそういう子だよっ!」
その顔に、久しぶりの笑顔が戻る。
ビッキーは知っていた。
自分を犠牲にするリオウを、ナナミが憂いていた事を。
彼女は破天荒で、自分勝手な行動ばかりしているように見えて、本当は全部リオウのためにあろうとした行動だという事を。
「ルッカちゃんは優しいね」
「……ッ! さ、さぁ……そろそろ、ナナミを休ませてあげましょ!」
ルッカはまたもや真っ赤になって照れる。
当のビッキーに悪気はなく、ただ本心を嘘偽りなく述べただけなのだが。
照れを隠すために早めに作業に移りたいルッカは、ナナミの遺体を持ち上げる。
「あの、ルッカちゃん……それなんだけどね……」
ビッキーが上目遣いで、言いにくそうに言葉を詰まらせる。
だが、ナナミの身体を一瞥すると、意を決したように喋りだした。
「ナナミちゃんを冷たい雪の中に眠らせたくないの……。
だから危険なのは分かってるけど……」
小さな声で「ダメかな?」と付け足した。
テレポートで花園まで飛んで行きたいということだろう。
勿論そんなことをすれば、危険人物に出会う確率は上がる。
それにビッキーのテレポートの精度も完璧ではない。
これは決して賢い選択ではない。
だから、ビッキーはあまり強い形でお願いする事は出来なかった。
「そのつもり。私からしたって命の恩人なんだから」
当たり前じゃない、と言わん気な顔で答えた。
ルッカのモノマネをしていた彼も、その事は了承済みであろう。
「ありがとールッカちゃん!」
ビッキーはそれを聞いて、笑顔を見せる。
感情を隠す事が出来ない彼女を、ルッカは羨ましく思う。
「……私は優しいのよ」
自慢するかのようなその言葉は、ビッキーにも聞こえないような小さな声だった。
「大丈夫ルッカちゃん?」
ビッキーが心配そうに首をかしげる。
さっきの放送で呼ばれた
エイラと
アリーゼは、確かルッカの知り合いだったはず。
ちなみに、彼女はリオウの目の前で、ゴゴのかつての仲間に殺された。
だが、リオウとの情報交換を後回しにしたルッカとビッキーは、その事をまだ知らない。
「……悲しむのは、後にしましょう」
大丈夫だとビッキーに笑顔を見せると、ルッカは気丈にそう告げた。
長生きは出来ないな、と予想はしていた。
エイラは強いが、まっすぐ過ぎる。
こういった殺し合いで生き残るには適さない性格なのだ。
それでも、エイラの名前が呼ばれたのはショックだ。
彼女は腕っ節も強かったが、その心も強く暖かかった。
冒険中はずっと彼女たちの支えになってくれていた。
その彼女が死んだ事実は、ルッカの足元をふらつかせる。
だが今はナナミを休ませるのが先だと考え、ルッカは彼女の事について今は考えない事にする。
別室ではゴゴが頑張ってくれている。
自分達にできる事をしなくては、ナナミにもエイラにも申し訳が立たない。
ルッカは一時的に、エイラの事を心の隅に追いやった。
だから、
カエルが殺し合いに乗った可能性にも、気付く事はなかった……。
「それじゃあ……行くよ……」
「えぇ、大丈夫よ」
その返事を確認すると、ビッキーが「えいっ」と叫ぶ。
ほんの一瞬だった。
時空を越えるときとは違い、真っ暗な異次元を経由したりはしない。
ビッキーの声が響いたその刹那に、鼻に届いた七色の香り。
冷たい廊下が一瞬にして暖かな花園へと変化した。
「やった、成功!」
「うわ……何度見てもすごいわね」
色とりどりの景色の中、ビッキーが嬉しそうに小さくジャンプする。
太陽のような少女が、久しぶりの朝日を全身に浴びながら着地。
大地に降り立った彼女の足の下に、妙な感触があった。
同時に聞こえたのは「ぐぇぇ……」という声。
「あれ? あれれ?」
「ぐえええぇぇぇ!!!」
何事か……と言わんばかりにオロオロと辺りを見渡す少女。
彼女が身体を左右に振るたびに、その足が下の人物にめり込む。
「ちょっと、ビッキー……下……」
こういう行為で喜ぶ人間もいるにはいる、というか結構いるだろう。
しかし、彼女に今踏まれている人物にはそういう趣味はなかったらしい。
少女の下でもがいていた人物に気付いたルッカが、知らせようとしたのだが……時既に遅し。
爆発した怒りが、花園の空気を一変させた。
「いい加減に……シナサーーーーーイ!!!!」
「きゃっ!」
怒号と共に立ち上がったのは、奇妙な格好をした男。
まるでピエロのようだ、とルッカは思う。
足元から現れた人物に押しのけられたビッキーが、可憐な花の上に倒れこんだ。
そんな事は知ったことかと、被害者は次々と感情を叩きつける。
「おいコラ小娘! 人を足蹴にしておいて謝罪もなしか!!!」
咲き誇る命を地団太で殺しながら叫ぶ道化師。
名をケフカという。
かつて、ゴゴたちのいた世界を絶望で包み、今踏み殺している花々よりも多くの命を消し去ってきた悪魔だ。
とはいえ、今回ばかりはビッキーに非があるのだが……。
彼がこんなにも不機嫌なのには理由があった。
神殿に向かおうとしていた彼を立ち止まらせたのは、魔王オディオによる放送だ。
その中で彼が耳にしたのは1人の死者の名前。
ティナ・ブランフォード 。
笑いが止まらなかった。
ティナが死んだのだ。
あの忌々しい小娘が。
笑いが止まらなかった。
この花園の中で、彼はずっと笑っていた。
だが、その至福の時間を邪魔したのが、このドジなテレポート少女である。
「ご、ごめんなさい……。全然気付かなくって……」
「全く! 初対面の人間を踏んづけるなんて。
サイテーなオンナですね~!」
先ほどまでの笑顔から一転、シュンと落ち込んでしまった少女。
そんな少女を、ケフカは容赦なく責め続ける。
彼の口から罵声の言葉が出るたびに、ビッキーの顔が悲しみに歪む。。
「あのまま……私を殺すつもりだったんだな?! あー怖いコワーイ!!」
「ごめん、な……さ……ふぇ……ふぇぇ……」
「ふんっ! 泣き落としですか?! それで許されると……」
ついに言葉を詰まらせてしまった少女だが、それでもなおケフカは罵るのをやめようとはしない。
彼女の顔を覗き込んで、「どうせ嘘泣きなんでしょー」などという始末。
「ちょっとアンタ! 謝ってるんだからもういいでしょう!?」
そんなケフカの非道に怒りを露わにしたのがこの少女。
初めはこちらに責任があるのが分かっていたため、ルッカも事態を黙って見守っていた。
だが、責められ続けているビッキーを見て、ついに我慢が出来なくなったようだ。
「ほー……ついには逆ギレですか……」
「えぇ逆ギレよ。悪い? 女の子を泣かせるなんてアンタの方がサイテーよ!」
ケフカの罵詈雑言など、ルッカには一切通用しない。
彼女にしてみれば、自分のモノマネをしたゴゴのウザさに比べたらこの男のソレなど屁でもない。
一歩も引くことなく、逆に相手を怒鳴りつける。
そんな少女を見て、対する道化師は激昂。
「クワァーーーーーー!!!! なんですって!
元はと言えば、このマヌケ娘が……」
「止めなさいって言ってるでしょう!」
ビッキーに人差し指を向けるケフカ。
それを見て、更に怒りを高める発明少女。
両者一歩も譲らない言葉の応酬が繰り広げられていた。
だがそれは、意外な形で強制終了させられる。
さて、再確認するが……ここは花園だ。
わざわざビッキーがナナミを埋める場所としてここを選んだのは、彼女がここの景色が綺麗だという事を知っていたからである。
彼女はこの場所が気に入っていたのである。
では、何故彼女はここから離れたか。
「ふぇ……ふぇ……」
簡単だ。テレポートしたからだ。
……正確にはテレポートが暴発したからだ。
この花々が撒き散らした……。
「ふぇっーーーくしゅ!」
花粉によって。
彼女は泣いていたわけではない。
クシャミが出そうで出なかっただけだ。
少女の紋章が転送の光を発生させる。
それに包み込まれたのは、この少女ともう1人。
「なんですかこの眼鏡女! シンジラレナーイ!」
ビッキーに指を突きつけていたままの道化師である。
眼鏡の少女よりもビッキーに近い位置にいたので、彼がだけが転送魔法に巻き込まれてしまったらしい。
だが、ルッカと言い争いを続けていたケフカは、ビッキーがテレポートを暴発させた事にも気付いてはいない。
そのまま光は球となり、2人を包み込んで……。
「大体ね! なんなのよそのダッサイ……服……は…………ってあれ?」
少女を1人残して消えた。
キョロキョロと周りを見渡しても、色とりどりの花が風に揺れているだけ。
ビッキーの泣き声も、道化師の金切り声も聞こえない。
「あ! なるほど……ビッキーかぁ……。……って、ちょっと! 嘘でしょ!?」
それがテレポートのせいであることに気が付いたのは、彼女の優れた頭がなせる業だ。
クシャミでテレポートが暴発する事は、彼女自身から聞いていた。
おそらくは、あたりに舞っているこの花粉が原因だろう。
「こんなところに1人で……どうすればいいのよー!」
あまりの事態に立っていられなくなり、大地に尻餅をついてしまう。
あわててディパックを開いて持ち物を確認しても、役に立つものなど見つかるはずもなかった。
ガックリと項垂れた彼女に待っていたのは、追い討ちをかけるような事態。
「その少女を殺したのは……君か?」
「……ッ!」
背後から投げかけられた声にハっとする。
振り返ると、そこにいたのは金髪の美少年。
だが、その顔は不信感と怒りに満ちている。
「ナナミを殺したのは君なのか、と聞いているんだ」
それを聞いて思い出した。
あの道化師に対処した後で埋めようと思っていたナナミの死体を、花の上に寝かせたままだった事に。
そりゃあ死体があれば疑うのも当然か、とルッカは納得する。
頭が冷えてきたのと同時に、少年の発言に疑問が湧く。
「あなた、なんでナナミの事……きゃぁ!」
思い浮かんだ疑問を素直に口にしたルッカの真横を、黒い刃が通り抜けた。
地面に刺さった小型の剣は、邪悪なオーラ発散させ、周りの花を枯らせてから消えた。
何かの魔法なのだろうか。
「僕の質問に答えて貰いたい」
その口調こそ冷静だが、少年の顔は激しい怒りで満ちていた。
そう。彼は怒っていたのだ。
この殺し合いに優勝する事を決意したときから……リオウと、ナナミと戦う事も覚悟していたはずのなのに……。
いざ放送でその死を告げられて、その直後に彼女の死体を前にしたら。
突如として怒りがこみ上げてきたのだ。
切り捨てたはずの感情が、湧き上がって来たのだ。
「答えて……くれないだろうか?」
その怒りをジョウイは静かに抑えようとする。
彼の理想を実現する為に、リルカの魔法を無駄にしないために……。
彼は冷静であろうとする。
奇しくも、彼の親友も『その死体』を見て同じような反応をした。
姉の死を前にして溢れ出しそうな感情を、理性で殺そうとしたのだ。
結果としてリオウの心は、ゴゴという太陽に照らされる。
暗く閉じた心に朝がやってきた彼は、その感情を爆発させたのだ。
だが、リルカを失い、魔王という強敵を前にしたジョウイの決意は固い。
彼の心には……未だ『夜空』が広がっていた。
【E-9 花園 一日目 朝】
【ジョウイ・ブライト@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]:右手のひらに切り傷
[装備]:キラーピアス@
ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
[道具]:回転のこぎり@
ファイナルファンタジーVI、ランダム支給品0~1個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:更なる力を得て理想の国を作るため、他者を利用し同士討ちをさせ優勝を狙う。(ルカや、魔王といった突出した強者の打倒優先)
1:目の前の少女(ルッカ)がナナミを殺したなら、殺害する(?)
2:利用できそうな仲間を集める。 花園or大樹に向かう?遺跡方面(南西)から離れる。
3:仲間になってもらえずとも、あるいは、利用できそうにない相手からでも、情報は得たい。
[備考]:
※名簿を確認済み。
※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所で
2主人公を待っているときです。
※リルカと情報交換をしました。ARMSおよびアナスタシア、トカ、加えて、カイバーベルトやクレストグラフなどのことも聞きました。
※魔王のこともあり、紋章が見当たらなくても、術への警戒が必要だと感じました。常識外のことへも対応できるよう覚悟しました。
【ルッカ@
クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(小)、悲しみ
[装備]:なし
[道具]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@
LIVE A LIVE 、サラのお守り@クロノトリガー
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから。
1:目の前の男に対処する。
2:ナナミを埋葬したい。エイラとアリーゼの死を悲しむのはその後。
3:
ミネア、ビッキー、ゴゴ、リオウたちと合流したい。ルカ、ケフカ(名前は知らない) は警戒。
4:首輪の解除、オートボウガンの改造がしたい。そのための工具を探す。17ダイオードの更なる研究もしたい。
5:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
6:
クロノ達と合流、魔王は警戒。でも魔王に『お守り』は返したい。
[備考]:
※バイツァ・ダスト@
WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
※機界ロレイラルの技術の一部を解明し、物にしました。
※ビッキーと情報交換をしましたが、リオウとは情報交換をし損ないました。
※北の城が別の場所から運ばれてきた物だという事に気付きました。
【場所不明 一日目 朝】
【ビッキー@幻想水滸伝2】
[状態]:健康、テレポート暴発中
[装備]:花の頭飾り
[道具]:不明支給品1~3個(確認済み。回復アイテムは無し)、基本支給品一式
[思考]
基本:決めてない。どうしよう。
1:ふぇっくしゅ!
2:ルッカと一緒に北の城へ帰りたい。
[備考]
※参戦時期はハイランド城攻略後の宴会直前
※ルッカと情報交換をしました。
※テレポートは暴発したものなので、どこへ行くかも分かりません。少しだけなら時間も越えるかも。
【
ケフカ・パラッツォ@ファイナルファンタジーⅥ】
[状態]:不機嫌、テレポート中
[装備]:無し
[道具]:タケシー@サモンナイト3ランダム支給品0~2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:全参加者を抹殺し優勝。最終的にはオディオも殺す。
1:な、なんだ?!
2:積極的には殺しにかからず、他の参加者を利用しながら生き延びる。
3:
アシュレー・ウィンチェスターの悪評をばらまく。
※参戦時期は世界崩壊後~本編終了後。具体的な参戦時期はその都度設定して下さい。
三闘神の力を吸収していますが、制限の為全ては出せないと思われます。
※サモナイ石を用いた召喚術の仕組みのいくらかを理解しました。
◆ ◆ ◆
「よいしょ……っと。全く……」
眠ったリオウをベッドに運び、モノマネ師は一息つく。
少年が穏やかな寝息を立てているのを見て、静かに笑った。
ナナミならそうするからだ。
花園に行ったであろうビッキーたちを待つ間、することもないので近くの椅子に座って、今までの事を考えるとしよう。
「これで2度目よね……」
ナナミの口調でゴゴが呟く。
彼には、あるポリシーがあった。
それは『その場にいない人物の真似はしないこと』。
人は常に変化していくものだ。
例えば、過去に旅をした仲間達の真似をしたとしても、それは現在の彼らの完璧な真似とはいえないだろう。
なぜなら、彼らは常に変化して生き続けているからだ。
同じように、この場にいない人間は、今どんな状況にいるか分からない。
そんな人物のモノマネをしても、不完全なものに終わるだけだ。
ゴゴは目で見たものしか真似したくないのだ。
だが、そのルールを既に2度も破ってしまった。
最初はリオウの真似をしたとき。
会った事もない人物のモノマネをした。
ビッキーから聞いた情報だけで構成されたにしてはかなりの出来栄えであっただろう。
だが、ナナミには見抜かれてしまった事からも分かるとおり、それは完璧なものではなかったのだ。
2度目は、今行っているナナミの真似だ。
死者のモノマネ。
こちらは実際に会った人物なので、出来栄えの方には問題はない。
しかし、彼のポリシーに大きく反するものである事には間違いはない。
なぜ、彼はそんな事をしてしまったのだろうか。
それは、彼のモノマネが完璧であるが故、だ。
1度目はビッキーの、2度目はルッカの精神が、それらのポリシーに反するモノマネをすることを強く望んだ。
彼が自分の主義に反したのは、彼女たちの願いを完璧に真似した結果なのである。
「……難しいものね」
でも、それも仕方ないか、とゴゴは思う。
彼女たちがそう望んだなら、それを実行するのが彼のモノマネだ。
それは仕方がないこと。
でも、それ以外の場合では、そこにいない人物の真似などするつもりはないが。
「…………さて、そろそろ……」
そろそろ、ナナミのモノマネをやめようか……。
彼はそう言おうとした。
先ほどモノマネに失敗したリオウが目の前にいる。
ゴゴは、彼の真似がしたかった。
ポリシーに会わない死者のモノマネを長く続けるのも限界だと思ったのだろう。
でも、彼はそれ以上は何も言わなかった。
『ナナミのモノマネを中断する』事をやめたのだ。
(……『もうちょっとだけ』……だったな……)
リオウが起きるまで、もう少しナナミでいよう。
静かに弟の寝顔を見続けよう。
それが彼女の願いだから。
(……モノマネに流されるのも悪くはないか)
そこでゴゴは気付いた。
人は面白い。
不完全だからこそ変わり続ける……そんな人間は面白いのだ。
だから、自分は人間のモノマネをするのが好きなのかもしれない。
(……ならば……お前はなぜ……)
疑問の矛先は、先ほどこの島に響き渡った声の主。
彼はなぜ人間を恨むのだろうか。
(いや、考えるのは、やめにしよう)
そこで思考を止める。
今、自分はナナミなのだ。
ナナミの真似をしなくては……。
彼女が消えるその瞬間まで、彼女の願いを叶え続けなくては。
ナナミの真似をしながら、リオウの事を眺める。
そこで感じたのは、ほんの少しの物足りなさ。
ゴゴはその正体に気付いていた。
リオウの話を聞いていたら、足りないピースに気付いてしまったのだ。
だからゴゴは、寂しげに笑う。
彼女の願いを叶えてやれなかった事を、申し訳なく思いながら。
ゴゴはナナミがそうするだろうと思い……笑顔のまま数滴だけ涙を零した。
「ごめんね……ナナミ……」
彼女の願いは、リオウと『2人でいる』ことではなく……。
【A-3 北の城(フィガロ城) 一日目 朝】
【ゴゴ@ファイナルファンタジー6】
[状態]:ナナミの物真似中、健康
[装備]:花の首飾り
[道具]:不明支給品1~3個(確認済み。回復アイテムは無し)、基本支給品一式 、天命牙双(右)、
ナナミのデイパック(スケベぼんデラックス@WILD ARMS 2nd IGNITION、基本支給品一式)
[思考]
基本:数々の出会いと別れの中で、物真似をし尽くす。
1:リオウが起きたら、彼の真似をする。
2:ビッキーたちの帰りを待つ。
3:人や物を探索したい。
[備考]
※参戦時期はパーティメンバー加入後です。詳細はお任せします。
※基本的には、『その場にいない人物』の真似はしません。
【リオウ(2主人公)@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]:健康、睡眠中
[装備]:なし
[道具]:閃光の戦槍@サモンナイト3、魔石『マディン』@ファイナルファンタジーⅥ、、基本支給品一式
[思考]
基本:バトルロワイアルに乗らず、オディオ打倒。
1:信頼できる仲間を集める。ジョウイ、
ビクトールを優先。
2:
ルカ・ブライトを倒す。
3:首輪をなんとかしたい。
4:エイラが残した『黒』という言葉が気になる
[備考]:
※名簿を確認済み。
※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所へジョウイに会いに行く前です。
※ビッキーからナナミの死の状況を聞きました。
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最終更新:2010年06月30日 21:24