『遊喜宴楽』
◆
『あの~~……つかぬことを聞いても?』
「なんだい?」
『今これ、どこ向かってるんですか?』
「さあ? ボクにもわからないな♥」
『私の聞き間違いじゃなかったら、さっき猫猫さん? って人のところに戻るって言ってたような……』
「……気が変わった、ってやつかな♠」
『移り気な男性は嫌われますよ』
「測り難きは人心……♥ 機械には少し難しかったかな♠」
『そういうものですか……あと機械じゃないです。一気に可愛くなくなるじゃないですか!』
◆
「匂うんだよね♣」
『あ~~……ヒソカさん、お風呂はちゃんと入った方がいいですよ』
「失礼だなぁ♥ 毎日入ってるよ……匂うのはボクじゃない♦︎」
『というと?』
「強者の匂い、かな♠」
『うわでましたそれ。戦闘狂特有の台詞! どういう匂いなのか全然想像つきませんよ』
「こういうのは理屈じゃないんだ♣ でも、血の匂いが一番近いかもね……♥」
『…………ヒソカさん、よだれよだれ』
◆
ヒソカ=モロウはイリヤを抱えたまま、市街地の中を北西へと進んでいた。
猫猫やエスデスがいる東とは逆方向。
右へ左へと気ままに蛇行を決めながら、奇術師は瞳の奥を光らせる。
そのやや右後ろでは、喋るステッキことマジカルルビーがやいのやいのと文句を垂れていた。
「────くる♣」
『へ?』
ぽつりと、ヒソカの零した呟きにルビーが疑問を返す。
思わずくるりと回り込んだものの、それ以上の追求は許さないとばかりにヒソカの視線は彼方を射抜いていた。
やがて、姿が見えてくる。
無数に群れた建造物。
遮蔽物に適したそれらを無視して、車道の中心を歩く人影。
長身であるヒソカの身の丈を優に越えて、服越しでも異常な筋肉量を見せつける巨漢。
“元”地上最強の男──範馬勇次郎が、ゆらりと足を止めた。
「人攫いとは感心しねェな」
そして、口火を切る。
重たい眼光、獰猛に歪む口元。
肉体の輪郭に沿って、空気が蜃気楼のように歪み、まるで勇次郎という超常を避けているかの如く。
静かに微笑むヒソカの横から、ルビーが空気を読まずに割って入った。
『あーーーちょっと待ってください! この人見た目はこんなんですけど、イリヤさんを助──』
「なーんだ、邪魔が入ったか♥」
ルビーを片手で掴み取り、無理やり黙らせるヒソカ。
暴風雨を思わせる闘気を前にしても、奇術師の笑みは崩れない──どころか、より一層深みを増している。
「せっかく、今からこの子と“遊ぼう”と思ってたのに……♠」
何言ってるんですか、と。
ルビーが口を挟もうとして、遮られる。
ぶわッ──急速に重くなる空気と、質量を伴っているような殺気。
ビリビリと肌が灼かれるのを感じながら、ヒソカは近場の生垣へと背を預けさせるように、丁寧にイリヤを降ろした。
「この子を見てて♣」
『え、言われなくてもそうしますけど……まさか戦うんですか?』
「もちろん♠ あんな素敵なお誘い、応じなくちゃ嘘だろう♦︎」
もしルビーに頭があったなら、間違いなく抱えていただろう。
最初からわかっていたことだが、ここまで戦闘狂を前面に押し出しているとなるとイリヤまで危ない。
あのクソピエロ、なんて独り言を零しながらルビーはイリヤの周りを飛び回る。
「子供を攫うピエロ、ねェ……典型的過ぎて笑えてくるぜ」
「おや……♠ 王道は嫌いかい?」
「ハッ、殺し合いの場に邪道も王道もねェだろう」
ヒソカがイリヤを攫う──たしかに、見ようによってはそう見えるだろう。
こんな凶悪な人相をした長身痩躯のピエロが満身創痍の子供を抱えていたら、まず誰だってそれを警戒する。
けれど、殺し合いという場面で人攫いなどあまりにもメリットが薄い。
加えてさきほどヒソカは、イリヤを人質に取るでもなく、むしろ手厚く保護するように寝かせてみせた。
順当に考えれば、ヒソカはイリヤを保護している身分。
卓越した観察眼を持つ勇次郎が当然、そんなことに気が付かないはずもなく。
言ってしまえば、肩がぶつかったと因縁をふっかける不良の陳腐な言葉となんらかわらない。
「さて……♣」
けれど、それは。
ヒソカ=モロウにとっては、至極の誘い文句。
「ヒソカ=モロウ♥」
「範馬勇次郎」
闘気とオーラ。
似て非なる性質を持つものも、互いの膨大さを五感で感じ取れば、違いなど些末なこと。
ヤる気満々の戦闘狂二人が出逢ったとなれば、もう言葉は不要。
ヒソカは左手にトランプを数枚持ち、右手をフリーに。
勇次郎はロクに構えを見せぬまま、ズボンのポケットに両手を突っ込む。
ゆっくり、ゆっくりと。
散歩をするかのような足取りで両者は距離を縮めてゆき──制空権が触れ合う。
バチリと、静電気が走ったかのような音は錯覚だったのか否か。確かめる術はない。
けれどその“音”は、たしかに闘いのゴングとなった。
「邪ッ!!!!」
先に仕掛けたのは、当然勇次郎。
馳走を前に我慢出来ない駄々っ子のように、ただ本能に任せて飢えた意欲を爆発させた。
右足を軸に腰を鋭く回し、全身のバネを右拳に集中させる。
空気を裂くような風圧とともに、鋼鉄のように硬く締まった拳が一直線に伸びてゆく。
上腕二頭筋と前腕が怒張し、血管が浮き上がるほどに力を込めた右ストレートが、ヒソカの顔面を砕かんと迫った。
「イイ……♦︎」
けれど不発。
正しくは、当たらない。
加速は十分、狙いも正確だったはずの勇次郎の右腕は、突如としてベクトルが捻じ曲げられたのだ。
数センチ横を通り抜ける勇次郎の拳。風圧によって、ヒソカの赤髪が乱れ上がる。
不可思議な現象への疑問を投げ捨て、勇次郎が次の手を打つまで、コンマ一秒も掛からない。
けれどそれは、決してゼロではないのだ。
針の先ほどの空白の時間を、事前準備を整えていたヒソカが僅差で掴み取る。
「すごくイイよ……♠」
ヒソカの鋭い足刀蹴りが、勇次郎の分厚い胸板を捉える。
岩石にゴムを何層も重ねたかのような感触が、靴裏を伝ってヒソカの全身を駆け抜けた。
当然、さしたるダメージは見込めない。
僅かに身動ぐ勇次郎の顔には、余裕の笑みさえ刻まれていた。
しかし、ヒソカの狙いは違う。
蹴りの反動を活かして距離を取ることこそが、奇術師が講じた一手である。
アスファルトよりも強固な勇次郎の肉体を足場に、曲芸じみた動きで宙返り。
そのまま7メートルほど距離を取ることに成功。
勇次郎が念能力者でないことは一目で分かっていた。
念能力者と非念能力者は、それだけで天と地ほどの差がある。
産まれて間もない子供の拳であろうと、今さっきヒソカがやったように『凝』を纏わせれば、それだけで筋骨隆々の男を昏倒させる兵器へ昇華されるのだ。
けれどあの勇次郎は、それを。
ヒソカという彼の世界においてもトップクラスの体術を持つ男が放った一撃を、涼しい顔で受け止めてみせた。
オーラの存在すら知らず、ただ極限まで鍛え上げられた肉体一つで、そんな“ありえない”現象を引き起こしているのだから驚嘆に尽きる。
(────肉弾戦は無謀、か♣)
勇次郎の身体能力は、オーラによる自己強化を鑑みてもヒソカの遥か上。
純粋なスペックなら、グリードアイランドで相対したあのレイザーに勝るとも劣らない。
ゴリゴリの武闘派であるヒソカを以てしても、近接戦闘での勝利は困難を極める。
「墳ッ!!」
アスファルトを踏み抜き、白線の敷かれた破片を撒き散らしながら接近する勇次郎。
対してヒソカは垂直に跳び、数枚のトランプを投擲。
一枚一枚に“周”を纏わせ、亜音速で飛来するそれらの鋭利さは、黒曜石のナイフにも匹敵するだろう。
「トランプ遊びなら賭場でやりな」
けれど、相手はかの範馬勇次郎。
如何にオーラで強化しようと、元は特注でもなんでもない市販の紙切れ。
勇次郎が軽く腕を払うだけで、トランプの群れはぐしゃりとへし折れて吹き飛ぶ。
後に残るのは、着地を待つヒソカのみ。
どんな達人であろうとも地面に足が触れた瞬間、次のアクションに移るのに時間を要する。
それが数秒であろうと、無に等しい刹那ほどの一瞬であろうと、勇次郎の前では変わらない。
その瞬間には、彼の剛腕が炸裂しているのだから。
「悪手だぜ、ヒソカ」
「そうかな♠」
タイミングは完璧。
着地の瞬間に合わせて、勇次郎は拳を放った“はず”だった。
しかし、攻撃は当たらない。タイミングを読み違えるなど勇次郎に限ってあろうはずもない。
答えは至極単純。ヒソカの身体が、宙に浮いていたから。
「手品師(マジシャン)の動きに、無駄なものなんてひとつもない♥」
突然の空中浮遊。
視線を上げる勇次郎へ、トランプの雨が音を置き去りにして降り注ぐ。
一枚一枚は先のそれと変わらない。が、異なるのはその膨大な数量。
出し惜しみを捨てた密度の物量攻撃は、勇次郎を以てしても全て防ぎ切ることはできず。
およそ2割ほど、打ち損じたカードが勇次郎の皮膚を破り、流血に至らせた。
「チィ……!」
舌打ちを鳴らす勇次郎。
しかしその顔は不快に歪んでいるというより、好奇心を隠せない子供のようで。
獰猛な笑みにより牙を見せながら、地上最強は本日二度目の“見上げる”という行為を取った。
────伸縮自在の愛(バンジーガム)。
ヒソカのフリーな右手から伸びる紐状のオーラが、電線に括られていた。
ひとりでにしなる電線と、その真下でぶら下がる格好をしたヒソカを前に、勇次郎は合点がいったように顎を撫でた。
「なるほどなァ」
一撃目の拳が逸れたのは、こいつのせいか。
念を習得していない勇次郎は、バンジーガムの実体を目で見ることは“まだ”不可能。
多少厄介だが、空気の流れの変化やヒソカの思考を先読みすれば対処は十分できる。
範馬勇次郎、人生初の念能力者との対峙。
その感想は、“少し面倒”という世に並び立つことのない非凡なものであった。
「終いじゃねェだろ? もっと魅せてくれよ、奇術師(マジシャン)よォ」
「ご希望の通りに……♣」
見上げたまま、両腕を広げて見せる勇次郎。
絶世の美女の誘いであろうとも比べようもない、圧倒的な強者からの誘惑(コール)。
期待に応えなければ、と。
興奮に瞳孔を広げたまま、空中で右足を思い切り振り抜いた。
ぐい、と勇次郎の身体が引っ張られる。
初撃の足刀が触れた胸板には、すでに伸縮自在の愛(バンジーガム)が接着されていた。
勇次郎の体幹と膂力なら競り合いを制することも苦ではないが、半ばわざと引き寄せられる。
────ああ、ようやくだ……♣
引き寄せられた勇次郎の加速度へ、合わせるようにヒソカが左手を振るう。
常人の目では輪郭を捉えることすら困難な速度と、彼自身の器用さを持ってして行われた、奇術の種。
────ようやく、ボクの好きな戦闘(プレイ)が出来る……♥
勇次郎は当然気付いている。
けれど、それを潰すような真似はしない。
手品の最中にマジシャンの腕を掴む蛮行など、誰に許されようか。
真っ向から迫り来る勇次郎を前にして、ヒソカは口端が裂けんばかりの凶悪な笑みを浮かべる。
────雷の球♦︎
ヒソカの指先から離れた黄色い影。
バレーボールほどの球体が、勇次郎の眼前へ迫り──爆発。
仁王像じみた深い彫りの顔面へと、容赦ない雷撃が襲いかかる。
これは元より、ヒソカの愛用玩具ではない。
数刻前に仕留めたチャンプからくすねた帝具・『快投乱麻ダイリーガー』である。
こんなもので仕留められるなどとは微塵も思っていない。
電撃による筋肉収縮で、勇次郎の今後の動きに支障をきたせるならば御の字。
そうでなくても、一瞬動きを止めることが出来れば次の布石を打つには十分である。
「──おっと♣」
そんなヒソカの目論見は。
毛ほども勢いを落とさず肉薄する鬼(オーガ)により、完膚無きまでに打ち砕かれた。
「チェリャァッッッッ!!!!」
渾身の左フック。
光沢を帯びているかのような剛腕から振るわれるそれは、ヒソカの右頬を打ち抜いた。
砲撃に似た轟音が鳴り渡り、撃ち出された砲弾はヒソカの体躯。
頬に巨大な拳の跡を付けながら水平に吹き飛び、ビルの壁へとめり込んだ。
なぜ──と、疑問に思うことすらバカバカしい。
雷の球はたしかに大した効果は見込めないと思っていたが、生身である限りノーリアクションで耐えられるものではない。
そう思い込んだことが、ヒソカの過ち。
いいや、ヒソカに非はない。
彼は“鬼(オーガ)”の伝説を知りようが無かったから。
理屈は単純。
範馬勇次郎に“雷”は効かない。
落雷の直撃を受けても平然と歩き続ける彼が、作り物の電気などで足を止めるはずがなかった。
「なるほどね……♦︎」
凄まじい威力。
奥歯の一部が欠けている。
もし拳が触れる寸前に『硬』で頬を覆っていなければ、勝負は決していただろう。
技も能力もなにもない、ただ純粋な暴力に対して戦慄を抱くなど、いつぶりだろうか。
(ああ、愉しい……♠)
唇から垂れる血を指先で拭い、悠々と迫る勇次郎の姿を恍惚と見つめる。
うっとりと、恋する乙女のような瞳の奥には、歪んだ感情が息を潜めていた。
(愉しいよ、勇次郎……♥)
黄金郷のマハト、バージル。
間違いなくこの殺し合いにおいても最強格と称される彼らは、もれなく人間(ノーマル)ではなかった。
神谷やチャンプは自分を満足させるには到底至らず、不完全燃焼。
行き場を失った猛りは、発散を求めていた。
そんな折、出会ったのがこの男。
強い人間との一対一、至上のノーマルプレイ。
散々に焦らされた末の極上の料理を前に、ヒソカの興奮はピークに達していた。
「いくぜ」
勇次郎の足元が爆ぜる。
コンクリートが捲れ上がり、塵煙と化すほどの爆発的な加速。
弾丸を思わせるそれは、ヒソカの身体能力では回避は困難だと確信させた。
────伸縮自在の愛♣
なら、助けを借りよう。
右前方の配電盤へ張り付けていたバンジーガムを縮ませ、巻き取り機(ウインチ)の要領で高速移動。
一瞬で引っ張られる身体を、念によって制御して再び勇次郎へ左手を振るう。
────雷の球♦︎
「ケッ!」
当然、無意味。
バンジーガムを高度に駆使した高速移動によってついた隙を、自ら潰すような愚行。
────雷の球♦︎
「手札が尽きたか、ヒソカッ!」
ビル、壁、看板、信号、電柱。
周囲のあらゆる環境を利用した不規則で立体的な高速移動は、勇次郎のリーチでは捉え難い。
けれど繰り出される攻撃が、かすり傷ひとつも負わせられないのであれば興醒めもいいところ。
この移動法に目が慣れるのも、もはや時間の問題だった。
────雷の球♠
4度目の投擲。
怒りのあまり勇次郎はその球体を叩き落とさんと、真上から腕を振るって。
剛腕と球体が接触した瞬間、爆発と熱風が勇次郎の身体に襲いかかった。
「──ッ!」
備えていた攻撃とまるで異なる現象を前に、堪らず勇次郎は身構える。
爆炎が皮膚を微かに焼くのも構わず、勇次郎の頭は戦況分析のために冴え渡っていた。
(ヤロウ……“ブラフ”かッ!)
効かない雷の球を何度も投げていたのは、布石。
もう手が無いと思い込ませることで、勇次郎の油断を誘っていた。
しかしその程度で欺ける男ではないと踏み、ヒソカは二重の“嘘”を仕込んでいた。
それが、今投擲した“爆の球”の表面に仕込まれたタネ。
爆の球を包むハンカチに“薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)”を使用し、雷の球の外装を再現していた。
その精巧な欺瞞は、奇術師の名に相応しい。
「ハッ──!」
勇次郎の顔に獰猛な笑みが舞い戻る。
その刹那、爆煙の中からヒソカの姿が現れた。
距離にして僅か60cm以内。
突然目の前に現れた奇術師に対しても、勇次郎の洞察力は衰えない。
勇次郎の首筋へ狙いを定め、今まさに刺突を繰り出さんとするヒソカの右手には、薄く研ぎ澄まされた十手型の短剣が握られていた。
「そいつが切り札かッ!」
「ご名答♣」
動きは良し、狙いも十分。
爆煙に気を取られたこともあり、ヒソカの攻撃が当たるまでコンマ数秒の猶予しかない。
しかし生憎、ヒソカが事前に下した通り勇次郎相手に肉弾戦を挑むことこそが愚の骨頂なのだ。
彼の持つ短剣、天逆鉾の刃先を俊敏かつ正確な指の動きで掴み取る。
瞬間。
刃が膨れ上がり、ぱんっと破裂した。
「は──?」
呆気に取られる勇次郎。
口を開け、爆ぜる偽物の刃の破片を思わず目で追う。
この瞬間、ヒソカの知略は勇次郎の経験と本能を完全に上回った。
──薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)。
先程爆の球へ仕掛けたように、本物そっくりの外見と質感を再現する念能力。
布や紙などの薄いものにしか貼り付けられないという制約はあるが、ヒソカの器用さをもってすれば幾らでも補える。
そして、それは。
今まさに伸縮自在の愛(バンジーガム)によって形作られた、天逆鉾にも適用される。
紙のように薄く研ぎ澄まされた“刃”の形は、ドッキリテクスチャーの対象内。
光沢を帯びた本物そっくりの刃を前に、勇次郎の鋭すぎる洞察力が仇となったのだ。
いや、ならば。
本物の短剣は、どこへ。
いくら勇次郎の観察眼が鋭くても、“見えないなら”意味がない。
60cmという超ショートレンジの間合いは、勇次郎の視野にヒソカの“左手”を収めさせないため。
奇術師の左手の人差し指からは、紐状のオーラが伸びていた。
「切り札(ジョーカー)は二枚なくちゃ♥ だろ?」
ヒソカの指が動く。
瞬間、括り付けられていた伸縮自在の愛(バンジーガム)は、大きく弧を描く。
その先端に接着された天逆鉾を重りにして、電柱を支点にぐるりと加速。
さながら振り子のように勢いを乗せて返ってきたバンジーガムと天逆鉾は、背後から的確に勇次郎の首裏を切り裂く。
はずだった。
──ガキンッ!
人体が発するにはありえない音が鳴り、天逆鉾があらぬ方向へと弾き飛ばされる。
驚愕するヒソカに対して、勇次郎自身もまたそれ以上に驚いた様子であった。
理解不能の現象を前にしても、結果は変わらない。
渾身の奇術が通用しなかったのだから、ヒソカは距離を取らざるを得なかった。
「なんだ、君もそういう“タネ”を持ってたんだ♣」
「…………本意じゃねェが、どうやらそうらしいぜ」
離れたことで視野が広がり、ヒソカの目は確かに捉える。
勇次郎の首裏から側面にかけての皮膚が、鋼鉄を思わせる黒い金属質に変貌している光景を。
それは、勇次郎でさえ知りえなかったことだった。
“武装色の覇気”──先刻拳を交わした百獣のカイドウがいる海の世界において、猛者のみが獲得できる技術。
数多の海賊達が存在すら知らず命を散らしてゆき、とりわけ素質のある強者であっても会得に相応の歳月を要するそれを。
カイドウという世界トップクラスの覇気使いに触れたことと、範馬勇次郎が無限の成長性を秘めた原石であること。
この二つの要素が噛み合ったことで、わずか数時間での習得に繋がったのだ。
「安心しな、ヒソカ」
だが、勇次郎からすればこれは。
たまたま出来てしまった“偶然の産物”に過ぎない。
「こいつはもう使わねェ」
だからこれは、煽りでもなんでもなく。
この闘いに不純物(ワザ)を混ぜたくないという、勇次郎きっての願望。
しかし何気なく呟かれた勇次郎の言葉は、ヒソカの琴線に触れた。
ゾク
ゾク
ゾク──ッ!
「意地悪だなぁ♥ 勇次郎……♠」
興奮(ボルテージ)は最高潮。
滾るスープに掛けられた一振のスパイス。
────ググ……。
「一度見せておいて、もう使わないなんて……生殺しだ♦︎」
気分はまるで褒美を焦らされる生娘のよう。
無限の可能性を秘める勇次郎には、もはや採点など無粋。
ゴン=フリークスに点数が付けられないのと同様に、範馬勇次郎もまた未知数の化身。
────グググ……!
「だったら、使わせてみな」
猛りを見せるヒソカへ、勇次郎は愉悦を返す。
地上最強直々の挑発は、果たしてこの男ならば可能だというお墨付きなのか否か。
期待に応えるべく、ヒソカは天逆鉾をバンジーガムで引き寄せた。
「──そのつもりだよ……♦︎」
◆
「うう、ん…………」
『あ、イリヤさん起きました?』
「ルビー……あれ、わたし……あのあと…………」
『ちょっと説明が難しいんですけど……一応助けて貰ったみたいですよ。ほら、お腹の傷も手当てされてます』
「え……! そ、その助けてくれた人って!?」
『えーっと……あれ、見てください』
生垣の緑に頭を沈ませていたイリヤは、傍らのルビーの声を浴びて寝ぼけ眼を擦りながら立ち上がる。
言われるがままに視線を凝らしてみれば、あまりの光景に絶句した。
「…………え」
『まぁ、お気持ちは分かります』
そこにあったのは、自分のことなど眼中にないとばかりに闘いに興じる男達の姿。
殺し合いの真っ最中とは思えない邪悪な笑みを浮かべて、ただひたすらに超高度な演武に似たそれを続けている。
「た、戦ってる……! とめ、止めなくちゃ! というかっ、加勢……!」
この二人のうち、どちらかがイリヤをバージルから救出してくれた人物らしい。
戦う力を得て、こうして動けるようになったのだから助太刀するのが筋というもの。
なのに、こうしてイリヤが逡巡する理由は────
(────ど、どっち!?)
正直、どっちも違うと思う。
片や鬼の如き筋肉を見せつける上裸の巨漢と、片や狂気的な笑みを浮かべるピエロ。
どちらも殺し合いに乗った襲撃者と言われた方がよっぽど納得がいく相貌だ。
足が竦んでいる理由は恐怖というよりも困惑に近いか。
助けを求めるように、傍を浮遊するカレイドステッキへと視線を投げた。
「ルビー、どっちが助けてくれたの?」
『ヒソカさんですよ』
「ヒソカってどっち!?」
『あのピエロの方です』
「う……」
よりによってピエロの方か。
開始早々チャンプによってトラウマを植え付けられたせいで、正直乗り気ではない。
よくよく見たら、ヒソカと呼ばれた男の方がチャンプよりもずっと怖い顔をしている気がしてきた。
それでも、ここで割って入らないという選択肢は彼女の頭にはなかった。
「ルビー、また力を貸して!」
『え? ちょ、イリヤさ──』
マジカルルビーを握り締め、颯爽と駆け抜けながらカレイドライナーの姿へ変身。
不格好ながら地を滑る形で両者の間に割って入り、突如の乱入によって生まれた隙にヒソカの隣へと飛び移った。
「ひ、ヒソカさん! わたしも戦いますっ!」
沈黙。
意気込むイリヤに対して、漂う空気は異質だった。
なんというか、冷ややかというか重いというか。
さっきまでの激闘が嘘のように静まり返った場で、ただ一人緊迫する自分がひどく場違いに思えた。
あれ、と左隣を見る。
ヒソカは露骨に肩を落とし、白けた目付きでイリヤを見つめていた。
「えっ」
つづいて、正面を見る。
勇次郎はつまらなさそうに腕を組み、ふんと鼻を鳴らしていた。
「えっ、えっ?」
思っていた展開と違う。
いつでも戦えるよう全身に力を入れていたのに、周囲との温度差に気恥ずかしくなって、萎縮する。
困惑するイリヤを差し置いて、ヒソカが一歩踏み出して切り出した。
「一旦、お預けだね……♠」
「ああ、教育に悪ィ」
彼らのやり取りを見て、イリヤは朧げに理解する。
あ、この人たち多分変な人だ。
どことなく損をしたような気分に駆られて、思わずイリヤはその場にへたりこんだ。
『まぁまぁ、イリヤさんは悪くありませんよ。この人らが特殊なだけなので』
「ルビー……慰められると、余計に恥ずかしいよ……」
深くため息をつき、今になって疲労感と痛みが再発してきた。
ルビーの治癒能力とヒソカの止血によって幾らかマシにはなったが、無理できる怪我ではない。
顔色の悪さを察したのかどうか、ヒソカは再び彼女の身体を抱きかかえる。
「うわっ……!?」
「キミにはまだ壊れてもらっちゃ困るんだ♣ 勇次郎との戦闘(プレイ)を邪魔された分、楽しませてもらわなきゃね……♥」
本能的に危機感を抱くような台詞回しに、申し訳ないがイリヤはゾッとする。
助けてくれたのは有難いが、バージルとは別の方向性で危険人物だ。
自分で動けますから、と無理やり地面に着地してふらりと体勢を崩す。
「見てらんねェな」
と、勇次郎。
鉛のような闘気を纏っていた先程とはまるで違い、父性さえ感じられる落ち着いた所作。
一同の注目を集めた勇次郎は立てた親指を背後へ向けて、くいと顎を動かした。
「奢りだ。飯でも食おうや」
◆
一同が席に着いたのは、なんの変哲もないファストフード店だった。
お言葉に甘えて勇次郎のポケットマネーから各々注文をし、配膳が終わる。
どんな状況なの──と形容しがたい居心地の悪さを感じながら、イリヤはストローの刺さった白ブドウジュースを飲んでいた。
「単刀直入に聞くよ♣」
揚げたてのポテトをケチャップで頂きながら、ヒソカが切り出す。
「勇次郎、北西には“なに”がいたんだい?」
「北西、ねェ」
イリヤは自然と顔を勇次郎へと向ける。
顎に指を添えて、言葉を選んでいるように見えた。
「ボクは北西から強い“気配”を感じて、そっちに向かっていた♦︎
最初はキミがその気配の持ち主なのかと思ったけど……違ったらしい♠
勇次郎、キミはもう“ソレ”と一戦交えてるんじゃないかな♣」
奇術師を前に嘘は許さない、とばかりの鋭く細められた眼光。
それを微風のように受け流しつつ、ビッグサイズのハンバーガーをモキュモキュと咀嚼して。
勇次郎は一度それを置き、深い笑みを見せる。
「“海上最強”、ってやつさ」
「へぇ、随分スケールが大きいな♦︎」
「カイドウっつってな、身の丈が7メートルはあったぜ」
「なんだ、異種(アニマル)か……♣」
分かりやすく落胆するヒソカ。
当然ながら、7メートルもの体躯を持つ人間など彼の知見の中では存在しない。
既にハンバーガーを食べ終えた勇次郎は、二つ目の包み紙を剥きながらニヤァと笑ってみせる。
「そいつは俺に技術(ワザ)を引き出させて、尚も全力を控えていた男だ」
「──へぇ……♥」
ヒソカの顔に活き活きとした笑みが戻った。
勇次郎という武の極地にいるような漢が、力押しだけで終わるはずがないとは思っていた。
数多の手札を切っても尚、偶発的な武装色の覇気以外の技を引き出せなかったのだから、彼我の実力差は見た目以上に離れている。
そんな勇次郎が、手札を尽くしてでも全力を引き出せなかったカイドウという存在。
嗜好に合うかはさておいて、一目見ておくのはアリかもしれない。
────なによりも。
「……そんな、とんでもない人まで来てるんだ……」
顔を俯かせて、分かりやすく動揺するイリヤ。
ヒソカはそれを期待に輝く瞳で見つめていた。
彼女の人となりは、バージルに啖呵をきった姿からある程度察していた。
カイドウ──話に聞く限り間違いなく会場内においても最強クラスの存在。
そんな怪物を放っておけば、数え切れないほどの死人が出ることは明白。
イリヤならば間違いなく、カイドウ討伐に向けて前向きに考えるはずだ。
下手な建造物を凌ぐ体躯と、勇次郎相手にも全力を出さない実力からすると、集団戦闘(パーティプレイ)は避けられないだろう。
異種相手の集団戦など唆られないが、まったく楽しみがないわけではない。
(イリヤの成長を促す為に、参加するのはアリだね……♠)
グリードアイランドでゴンやキルアと協力した時のように、“調理”するためなら協力も厭わない。
イリヤの潜在性と成長性は、光るものがある。数多のハンターを秤に乗せても上澄みと言っていい。
そんな彼女が最大級の危機を前にどんな覚醒を遂げるのか──非常に興味があった。
「次はこっちからいくぜ」
そうして、嚥下を終えた勇次郎が口を挟む。
「ヒソカよォ。お前のその腹の傷、誰にやられた?」
「えっ?」
一人、置いてけぼりだったイリヤが素っ頓狂な声をあげる。
ヒソカの腹部に傷なんて、彼女の目からは見当たらなかったから。
「…………気づいてたんだ♠」
「ああ、最初に見た時からな」
バレるような要素はなかったはずだ。
ドッキリテクスチャーは完璧。仕草も違和感を抱かせないよう注意していた。
四肢の欠損でさえ欺き通すヒソカの技術も、勇次郎の“目”の前では通用しなかったらしい。
「正しくは、自分でつけた傷なんだけどね♣」
「屁理屈はいらねェ。お前程のペテン師が、捨て身じゃないと勝てねェと思うなんざよっぽどだ」
「そ、そうですよ……! というか、そんな状態で戦ってたの!?」
「まぁまぁ、そう急かさないでよ♥」
背もたれに腰を預ける勇次郎と、身を乗り出すイリヤ。
対照的な様子の二人に詰められても尚、ヒソカはあっけらかんとした顔でポテトをつまむ。
「黄金郷のマハト♠ 異種(アニマル)だったから、ボクの性癖外だ♥」
それは暗に、獲物の横取りも構わないというアピール。
意を汲み取った勇次郎は「ほう」と静かに洩らし、野性的な笑みを灯す。
「ボクが戦ったのはB-2だよ♣ 支給品を使ってこの辺りにワープしてきたんだ♠
どういう戦い方をするか、教えた方がいい?」
「いいや、要らねェ」
「だよね♦︎」
ヒソカの目から見て、勇次郎は致命的なまでにマハトと相性が悪い。
遠距離攻撃を持ち合わせていない、純粋な肉弾戦特化である彼が、黄金化の魔法を攻略できるビジョンが浮かばない。
近寄る前に黄金の像に変えられるのが関の山のはずだが──同時に、勇次郎が敗北する姿も想像出来なかった。
想像できないということは、未知数。
どう転ぶか分からないからこそ面白い。
「あ、あの……!」
静寂の隙間に入り込み、おずおずと手を上げるイリヤ。
気まずさを訴えるように、彼女の手元には半分ほど残ったパンケーキとからっぽのジュースが並んでいた。
「ユウジとダークマイト、っていう人……知りませんか!?」
「…………」
「…………」
「そうですか……」
予想はしていたが、返事はない。
今更になって記憶が鮮明に蘇り始めたのか、イリヤは焦燥を押し出していた。
「その、二人は最初にわたしを助けてくれたの! でもその後、すっごい強いおじいさんが来て……ユウジ達は私を逃がしてくれて……」
「なるほど♣ それで、あのピエロとバージルの場面に繋がるわけか♦︎」
「そうです……って、ピエロの方も知ってるの!?」
「まあ、色々あってね♥」
濁すような言葉にイリヤは追求を避ける。
今この瞬間も、二人がやられていないかと気が気ではなかった。
「探し人繋がりで聞くけれど、小蘭って女の子は見てないかな?」
「…………」
「見てない……」
「そんな気はしてたよ♣」
思い出したように訊ねるヒソカ。
芳しくない反応から早々に話を切り上げる。
猫猫とエスデスのことを話そうか迷ったが、勇次郎はともかくイリヤに聞かれたらややこしくなりそうなので黙っておいた。
「嬢ちゃん、そのジジイってのはどこにいた?」
「たしか、H-8かな……」
「ならボクとイリヤがそっちに行こうかな♠ ちょうど、探し人がいる身同士だし♥」
特に異論は出ない。
イリヤからしても少し様子がおかしい点を除けば、ヒソカは戦力として見れば心強い。
上手くやっていけるかはわからないが、イリヤは忙しなく頷いた。
「勇次郎、キミは?」
着いてくるとは思えないが、一応訊ねる。
即答で断られるかと思っていたが、意外にも勇次郎は考え込むように数瞬の間を置いた。
「俺はこの“授業”とやらを通じて、自分の立ち位置ってのが見えてきた」
なんの話だと、口を挟む愚か者はいない。
イリヤの頭ほどの大きさに握られた己の拳をまじまじと見つめては、勇次郎が語る。
「人集めだの脱出の算段だの、そういうのを組み立てんのは俺の仕事(ガラ)じゃねェ。
森口の手の上で踊るようなアホウ共を、一人でも多くぶちのめすまでよ」
結局勇次郎が導き出した答えは、それ。
この強すぎる腕っ節で出来ることなんて、それくらいだから。
弱者を護るためだなんて酔狂なことを言うつもりはない。
カイドウのような桁外れの怪物も、エンシンのような不意討ちを狙う痴れ者も。
ひとり残らず全て叩きのめせば、殺し合いなど起きようはずもない。
それこそが、範馬勇次郎の掲げる“反逆”である。
「っつーわけで、俺は好きにやらせてもらうぜ。まずはマハトってヤロウんとこに行く」
「了解……♣」
方針が定まる。
既に食べ終えた二人に合わせるように、イリヤも急いでパンケーキを頬張って席を立つ。
それまで空気を読んで黙っていたルビーがふわりと宙を舞った。
『ちなみにですが、放送まで残り1時間ほどですよ』
急いだ方がいいかもしれません、と付け加えて。
三者は同時に目配せを行い、とりあえず店を出ることにした。
◆
『イリヤさん、大丈夫ですか? 色々と』
「うん……ありがと、ルビー。なんか色々勉強になったかも……」
休息を終えたはずなのに肩が重いのは、気のせいだと思いたい。
これまでそこそこ変人と出会ってきた自覚はあるが、この数時間でそれらの記憶を塗り替えるほど個性的な人物に見舞われてきた。
ちらりと、その筆頭へと視線を向ければ勇次郎との別れを惜しむように切なそうな顔を浮かべていた。
「こいつを持っていきな」
「おっと……♦︎ どういう風の吹き回しだい?」
背を向けて歩き出していた勇次郎が、不意に立ち止まりヒソカへとなにかを投げる。
受け取ってみれば、それは一見手のひらサイズの貝のようだった。
「その貝は音を取り込む習性があるらしい。上手く使えよ、奇術師」
「へぇ……♥ ありがたく受け取っておこう♦︎」
音貝(トーンダイアル)。
奇しくも先に話題に挙がったカイドウの棲む世界において、娯楽用に養殖されている貝。
ハズレに見えるが、使いようによってはトリックのタネになるだろう。
「勇次郎♣」
「ああ」
「全てが終わったら、また闘ろう……♥」
再び背を向けて北上する勇次郎へ、ヒソカが投げかける。
勇次郎はひらひらと後ろ手を振って応え、やがて姿が見えなくなった。
「さて……♠」
ヒソカの視線がイリヤへ移る。
びくりと分かりやすく肩を震わせる姿は、少なくとも同行者の反応にしては良いものではないだろう。
「ボクらもいこうか♣」
「は、はい」
「ああ……その前に、着替えたい?」
「えっ!?」
カァ、とイリヤの顔が赤らむ。
まさかバレて──いや、考えてみれば当然のことだ。
抱えられながら移動していたのだから、誰であっても気がつくだろう。
失禁の不快さはずっと気になっているし、戦闘に支障をきたすかもしれない。
控えめに頷いたイリヤを見て、ヒソカは服屋の方向を指差す。
「ボクは外で待ってるから、行ってくるといい♦︎」
「──っ、行ってきます!」
『あっ、私もお手伝いしますよ~~!』
駆け込むイリヤとルビーの姿を眺めながら、ヒソカはぼうっと考えに耽る。
流れでH-8へ向かうと言ったが、そちらには猫猫とエスデスがいる。
今万が一にも彼女達と合流してしまったら、エスデスにイリヤを横取りされてしまうのは目に見えている。
(猫猫には止められているけど……その時は、彼女相手でもやるしかないかな♣)
思案は巡る。
脱出を掲げておきながら、この奇術師はやはり己の欲を最優先とする生き物。
イリヤのような純情な善人とは、どうやっても相容れない歪んだ狂人。
ただの気紛れが良い方向に働いているだけで、根本的に住む世界が違うのだ。
その捉えどころのない歪みこそが、ヒソカ=モロウを形作る根幹である。
【E-8 北側/早朝/1日目】
【範馬勇次郎@刃牙らへん】
[状態]:全身に火傷と裂傷(軽微)、疲労(小)、森口への怒り(極大) 、愉悦(極大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本方針:森口を殺す。
0:B-2を目指して北上する。
1:殺し合いに乗った奴らを手当り次第ぶちのめす。
2:カイドウとは次会ったら決着をつける。
3:カイドウの言っていた二人とは…?
4:ヒソカとの再戦が楽しみ。
[備考]
※カイドウとの戦闘により武装色の覇気の片鱗に目覚めました。
覇王色、見聞色の素質があるかどうかは後の書き手さんにお任せします。
【E-8 服屋付近/早朝/1日目】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(小)、胸に刀傷(ほぼ完治)
[装備]:マジカルルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、クラスカード『アーチャー』@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考]:自分と同じように、怯える人達を助けたい。
0:ヒソカさんとH-8を目指す。
1:ユウジやダークマイトさんを探したい。
2:早めに人を集めたい。ヒソカさんと二人きりはちょっと……。
[備考]
※参戦時期はドライ12巻59話終了後です。
【ヒソカ=モロウ@HUNTER×HUNTER】
[状態]:疲労(小)、右頬に打撲、腹部に裂傷(バンジーガムにより接合済み)
[装備]:トランプ(残り僅か)@現実、天逆鉾@呪術廻戦、帝具「快投乱麻ダイリーガー」@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、蔵馬の魔界薬草@幽☆遊☆白書(少量)、音貝(トーンダイアル)@ONEPIECE、チャンプの首輪
[思考]:脱出の手段を探す。集団戦闘では興奮できないからね…♥
0:H-8に向かってみよう♣
1:脱出に役立ちそうな人材か、玩具を探す♦
2:脱出の手段がなければ仕方ないが…僕も振りかかる火の粉は払わざるを得ない…♠
3:マハトとバージルは人間ならきっといいデートができただろう…惜しいね…♥
4:この娘(イリヤ)は美味しく実りそうだ…♥
5:ワイルドハントか…敵討ち(リベンジ)に来てくれるなら、それはそれで楽しいかな♣
6:小蘭は真面目に探して保護する。猫猫には借りができたからね♦
7:カイドウ……イリヤの成長の為に戦うのもアリだな♥
【支給品説明】
【音貝(トーンダイアル)@ONEPIECE】
「音」を取り込む習性を持つ貝。
音楽鑑賞用として用いられるのが一般的だが、ボイスレコーダーのような使い方も可能。
範馬勇次郎に支給され、ヒソカに渡った。
最終更新:2026年09月19日 22:37