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『この探偵事務所に爆撃を!』







人間、そっくりな人間が三人はいるそうです。
世間は狭いなんて言いますが、三人とも見つけるとなると、なかなか難しい。
私も二人までは見つけましたがね。残る一人が中々見つからない。


えー、ところが……んっふふ……、世の中分からないものです。




〇




「悪いね、みんな。俺の我儘を聞いて貰っちゃって」

レトロな雰囲気の事務所だった。
八神隆之、レオン・S・ケネディ、上条当麻、フェルンが訪れたとあるビルの一室にある事務所。
そこは時の流れに置いて行かれたかのようであった。

「本当にここが八神様のお宅なのですか」

フェルンが辺りを見渡しながら呟く。
飲みかけの冷え切ったコーヒーがデスクに置かれ、いつ煎れたのか定かではない。
流し台には食後に置きっぱなしになっている汚れた皿。
生活感はあるが、家と呼ぶには狭く、また寝室がない。

「まあ住んでいるとはいえ、家っていうか事務所なんだけどね」

八神は自身の私生活を覗かれたのを気恥ずかしそうにしながら返答した。

「しかし、驚いたな。本当に我が家そっくり……というか、そのものだよ」

道中、見慣れたビルの見慣れた看板を見かけ、まさかと思って八神達が立ち寄った場所だったが。
ここは紛れもなく、

「俺の事務所をここまで精巧に再現したのか……物好きなもんだね」

八神探偵事務所そのものだった。

「随分レトロな趣味だな。探偵さん」
「へえ……レコードか、実物を見るのは初めてかも」

ピンボールを弄るレオン。
上条は興味深そうに、レコードプレイヤーをまじまじと見つめる。
特に科学の最先端である学園都市に住む上条にとっては、レトロな機械は物珍しいのだろう。

ぎしっ

各々が事務所内を練り歩いていた時、新たにドアが開き床が軋む音がした。
レオンがピンボールから手を放し銃に手を掛ける。
フェルンが杖を手に、物音の方向へ向き直る。


「え……!? 木村拓哉!!? キムタクがいる!!?」


先ず第一声は、黄色い声だった。
ピンクの鹿撃ち帽を被り、同じくピンクのケープを羽織った少女は八神を見るなり目を丸くして、大声で別人の名前を叫ぶ。


「あなたは────」

そして、次に声を発したのはフェルンだった。

「まあ」

探偵のような恰好をした少女の横に立つ、二つの小さな角を生やした女性を見て、フェルンが杖を構える。
既に杖の先端からは光が発せられ、いつでも『魔族を殺す魔法』(ゾルトラーク)を撃てるように。


「皆様、気を付けてください。彼女がソリテールです!!」


その名を聞いた瞬間。
上条、レオン、八神が顔をこわばらせた。


〇


「は、あ……は……っ……」

古畑任三郎と神谷実、成人男性ふたりの歩幅と、女子中学生である彼女の歩幅の違いを考慮しても、小林みくるの足取りの重さは際立っていた。
荒い息を吐き出し、顔を真っ赤に染めている。汗で服も肌も濡らしたみくるは、完全に疲弊しきっていた。

「大丈夫かな。小林さん」

見かねた神谷が、優しく声を掛ける。

「すいません、神谷先生……わたし……」
「随分歩いたからね。息が上がっても仕方がないよ」

体力を使い果たしかけていたみくるを労わるように、神谷は言った。

「良ければ、私がおぶろうか」
「そ、そこまでご迷惑をお掛けするわけには……」
「良いんだよ、小林さん。私は大人で君は子供なんだから、頼ってくれて構わない」

子供の手本となるような神谷の振る舞いは、まさに理想的な大人の姿。
先ほどまで殺人ピエロの影に怯えて震えていた人物とはとても思えないほど、いまの彼は頼もしく心優しい医師そのものだった。

「えー……私のこのポットをお使いください」

膝を折り、背中を向ける神谷をよそに、古畑はデイバッグからフリーザのポットを取り出した。
神谷の肩へ伸ばしかけていた手を引っ込め、みくるは古畑の差し出したポッドへと向き直る。

「古畑さん……ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」

己の体力のなさを恥じらいながらも、みくるは吸い込まれるようにポッドへと搭乗した。
古畑から簡単な操作方法を聞くと、ブオンと低い駆動音を響かせ、ポッドは人の歩く速度でゆっくりと前進を始めた。


「ンフフフ……」


「……」


意味深な笑みを浮かべる古畑に、神谷は無言で睨み返した。


「……腕の調子はいかがです、ソリテールさん」

「大丈夫よ、先生。あなたの処置のおかげで大分マシになったわ」

三人のやり取りを少し離れた場所から眺めていたのは、頭部に角を生やした女性だった。
失われた右腕に包帯を巻き、応急手当てを受けたソリテールは、神谷に向かって穏やかに微笑む。

「それは良かった」

紫雨こころと美樹さやかが交戦を始め、古畑たちがその場を退避してから数十分後、ソリテールは彼らの前に姿を現したのだった。
右腕を失った彼女を一目見るなり、神谷は血相を変えて駆け寄り、治療を申し出た。
侍風の男たちに襲われたのだと語ったソリテールは、そのまま古畑たちと行動を共にすることになった。

「でも、少し何処かで休憩したいわ」

ソリテールは残された左腕をあげて、一軒の雑居ビルを指差す。

「その娘も休ませてあげた方がよさそうだし、あそこの建物はどう?」

彼女が指し示したその施設には、看板が掲げられていた。


八神探偵事務所。


〇


「争う意志はないわ。確か名前は……」


フェルンの杖を向けられている状況は、まさしくナイフを首元に突きつけられているのと変わりない。
以前戦った記憶から魔力を圧縮したゾルトラークを、あの速射性で、この距離で撃たれれば無名の大魔族と言えども無事では済まない。
一手仕損じれば、ソリテールの命は呆気なく消え去るだろう。
同じ魔法使いとして、ソリテールはひりつく殺意を肌で感じながら、しかし余裕を崩さずにいた。


『上出来だ、フェルン。よくやった』


「フェルンと言ったわね」


そんな中でも記憶を手繰り寄せ、自身の死の間際の記憶からフェルンの名前を検索し口に出す。

「信じるとでも?」

名を呼ばれたフェルンが僅かに眉を顰める。

「この有様よ」

ソリテールはイゾウに切断され、包帯でグルグルに巻かれた右腕をこれ見よがしにフェルンの前で振って見せた。
フェルンの目に驚きの色があれど、やはり警戒は解かない。
大魔族の腕を斬るほどの猛者がいたことと、目の前の魔族の危険度が下がったことは結びつかないからだ。
この負傷すら人間を騙すための演技かもしれない。
師の教えに忠実に、フェルンは魔族に心を許すことは決してない。

「ま、待ってください! ソリテールさんは三人組に襲われたらしくて」

「その杖が何か知らないが、相手はケガ人だぞ!」

だが、小林みくると神谷実にとっては違った。
人と相容れない魔族という概念すら知らない彼らは、負傷したソリテールに武器らしき杖を向けるのを良しとしない。
咄嗟に二人の間に割り込むみくると、後からそれを庇うように前に出る神谷。
もっとも、神谷はソリテールがどうなっても知ったことではないが。
彼の背後で事態を静観している古畑を意識して、善良な人間の演技を全力でこなしていた。

「……」

心の中で舌打ちをするフェルン。
この二人を肉盾にされては、戦闘に支障をきたす。

「なあ、フェルン……こいつ右腕がない。あの娘の言う通り襲われたんだ」
「逆かもしれませんよ。彼女から襲ったのかも」

さらに上条も、ソリテールの痛々しい姿に同情を露わに警戒を解きかけていた。

「魔族は平然と嘘を吐く生き物です」

「……」

反対に、すでに銃を構えていたレオンは、みくると神谷の射線を避けつつ素早く位置を変え、ソリテールへと容赦なく銃口を突きつけていた。
上条とは違い、数々の異形と死線をくぐり抜けてきたレオンは、人の形をしていようと、人外がどれほど危険で油断ならないかを知り尽くしている。

「フェルンの言う通りよ。けれど、彼女はとても重要なことを忘れているわ」

ソリテールは否定しなかった。
魔族が人類と決してわかり合えない存在であるという事実を。

「魔族が何よりも優先するのは、自分の命」

だからこそ。

「私はこの命の授業で、二度目の生を放棄するつもりはないわ。
 だから、あなたたちがこの首輪を外して森口を倒せるというのなら、喜んで協力する」

合理的であるからこそ、感情に惑わされることなく、純粋に自らの利益のみを追求できる。

「それに、こんな手負いの状態であなたたちと争ったところで勝ち目はないし、何のメリットもないでしょう?
 私は長生きしたいの」

負傷した身で戦闘を起こす不利益さを、ソリテールは至極冷静に解き明かしてみせる。

「それが嘘だという可能性もある」

レオンの指摘に、ソリテールはくすりと微笑んだ。

「……なら、信用の証としてこれを渡すわ。『パンプキン』、というらしいけれど」

ソリテールは「バッグに触れてもいいかしら」と断りを入れ、ゆっくりと中に手を伸ばすと、大きな銃を取り出した。

「精神エネルギーを衝撃波として放つんですって。
 あなたの持っているそれは銃…よね? それよりはマシになるんじゃないかしら。
 片腕のない私なら、これで殺せると思うわ」

ソリテールはそう言い捨てると、銃を構えるレオンの足元へ帝具──『浪漫砲台パンプキン』を放り投げた。

「……分かった。だけど、杖はこのままあんたに向けさせてもらうよ、ソリテール」

「八神様?」

フェルンを制止したのは八神だった。

「このままじゃ、埒が明かない。
 フェルンちゃんが見張っていれば、あのソリテールとかいう奴も迂闊な事はできないはずだ。
 見た感じ、かなり消耗してるみたいだしね」

八神は冷静な視線で、この場にいる全員を見渡す。
小さな鹿撃ち帽を被った少女と医者風の男性、そしてソリテール。
さらにその後ろで八神と同じく静観していた、黒いスーツを着たもじゃもじゃ頭の男性。

「後ろの人達もそれでいいかな」

「えーはい……それで構いません」

八神の提案に、もじゃもじゃ頭の男性──古畑任三郎は同意した。


「……いやぁ、しかし…こんな時に言うのは何ですがね、そっくりだぁ……」


ニヤニヤと懐かしそうに笑う古畑。


「ダンスはお得意で?」


全く身に覚えのないダンスについて尋ねられ、八神はただ首をかしげるしかなかった。



□



□



〇


「魔法使いのハゲと黒岩満、ね……。覚えておくわ。
 私は水商売風の女と、小さな少女に、あとは刀を持った男に襲われたの、間が悪かったわね」

「……古畑さんは青髪の女の子、多分俺を襲った娘と一緒だな、に襲われた。
 そして神谷先生はピエロ風の男に襲われた、と」

「特に殺人ピエロは非常に危険な人物のようです~。えー、決してこちらから手は出さないようにしてください~。
 証拠はありませんが、吉良吉影という人にも注意が必要かもしれません。
 不審な様子がありましたから」

「なるほどね」


危険人物の情報を一通り交換し終えて、八神は腰かけていたデスクチェアからゆっくりと立ち上がる。


「これからの方針について提案したいことがある。
 散策組と待機組の二手に分かれて、行動をしたいと思っているんだ。拠点は八神探偵事務所(ここ)」

僥倖とも言えるこの人数の多さをどう活かすべきか、熟考を重ねていた八神が、静かに口を開く。

「全員で行動した方がいいんじゃありませんか? 人手があった方が、いざって時も」

「みくるちゃんの言っている事は半分正解だけど、この大人数で移動すると今度は小回りが効かなくなる。
 戦うのを避けたほうが良い場面でも、人数の多さで見つかってしまうとかね」

みくるの不安を受け止めつつも、八神は冷静に持論を述べる。
ソリテールを抜いても七人という大所帯はあまりに悪目立ちする。
おまけに、まともな戦力になり得るのはレオン、フェルンの二人だけという過酷な状況だ。
彼らにしても、八神とそれなりに自衛できるとはいえ、五人も護衛しながら戦うのは到底不可能なはずだった。
『幻想殺し』(イマジンブレイカー)を持つ上条当麻も場合によっては、彼ら以上の戦力になるかもしれないが、銃やナイフには無力。

「だから俺とレオンさんで当初の目的通り、西側のD-5を目指すつもり。
 古畑さん達にはここで待機してもらって、俺達が出会った『命の授業』反対派の参加者にはここを目指すように言う」

そう告げた八神の視線は、みくるへと向けられていた。
そして、その視線は一瞬だけ古畑の方へとスライドし、二人の視線が静かに交錯した。


「……」


明らかに疲弊した、戦えない少女を連れ回すわけにはいかない。
その思惑が一致したのだった。


「仲間の確保と情報収集、両方をいっぺんにやろうって事か」

「そういうこと、レオンさん」


無論、みくるのためだけに待機組を分けるわけではない。
ここを当面の拠点とし、殺し合いに反対する者たちを集める足がかりにするのも目的ではある。

幸いな事に、この事務所はマップに載っていない。

殺し合いに乗った参加者達が集まってくる可能性は低い、と八神は判断した。


「禁止エリアや万が一襲われて移動せざるを得ない場合の代替場所も打ち合わせておけば、再合流も難しくない。
 で、フェルンちゃんと上条君には待機組に残って欲しい」

「……どうしてですか?」
「俺も?」

ソリテールに杖を向けたまま、フェルンが声だけで問い返す。

「代わりにソリテールを散策組に連れて行くつもりだからね」

フェルンの表情に劇的な変化はなかったが、その空気には明らかな動揺が滲み出ていた。

「あら、私も待機組が良いわ。休みたかったのに」

「悪いけど、君はほぼ黒に近いグレーだ。俺やレオンさんが見張れる場所にいて貰う。
 その代わり、俺らに協力してくれれば甘い汁は吸わせてあげるよ」

フェルンに任せたいのは、待機組の護衛。
そしてソリテールは八神たちが監視しつつ、戦力として矢面に立ってもらう。それが八神の意図だった。

「君が組んでる『誰かさん』よりは、俺らの味方をした方が得なんじゃない?」

危険を承知の上で、見返りは必ず約束する。
ソリテールと組んでいるであろう人物の存在を匂わせながら、八神は堂々とそう断言した。

「……どうして、私に組んでいる相手がいると分かったの?」

「んっふふふ……えー、はい。
 あなた三人組に襲われたと話していた時、『間』が悪かったとおっしゃられたぁ」

人差し指をすっと額にあてがい、代わりに答えたのは古畑だった。

「古畑さんの言う通り、『運』が悪いなら分かるけど、『間』ってのが少し引っ掛かった。
 まるで遭遇するタイミングがズレていれば、勝てたと言ってるようにも聞こえるからね。
 だからカマをかけさせて貰った」

「……怖いわね、あなたたち」

言動のわずかな違和感から真実へとたどり着く探偵たちに、ソリテールは驚きで目を丸くした。

「そ、ソリテールさん…それって……」
「ええ、組んでたのは夏油傑といって、人間なのに人間を恨んでいる変わり者よ。私も人のことは言えないけれど。
 彼は殺し合いに乗っていたわ。手分けして参加者を狩ろうと、彼から提案されたの。私は乗り気ではなかったのだけれど」

先ほどまでみくるに庇われていたソリテールはあっけからんに言ってのける。

「それにしても。
 あなたは最後まで、夏油のことに気付かなかったの? 同じ探偵というものでも、随分差があるみたい」

「ッッ……!!」

そんなソリテールの様子を見て、みくるは背筋が凍りつくような思いだった。
殺し合いに乗るような人物に無防備な背中を見せたどころか、庇うような真似をしていたなんて……。
物静かで理知的で穏やかな人だとばかり思っていたが、やはりあのフェルンと言う女の人の言う通りとても危険な人物かもしれない。

「……小林さん」

古畑が口を鳴らしながら、みくるへと語りかけた。

「善悪というのは、非常に複雑です。味方していたものが決して善とは限りません……」

探偵としての未熟さを指摘され、みくるはうなだれる。
既にソリテールを一目見た時点で、古畑は何かに勘づいていたのかもしれなかった。
みくるが何も考えずに信用している間にも、人知れず疑い考え続けていたのだろう。

「っ……精進…します……」

ソリテールの言動の違和感にすら気付くことができなかった自分を恥じるばかりだった。
そんなみくるを見るソリテールの目は、実験ネズミを見る研究者のそれだ。
こういう反応をするのかと、刺激を与えて観察をしている。

「八神様!  やはりソリテールを信用してはいけません!」

フェルンが叫ぶ。
銃で言えば引き金にかけた指へ力を込め、今にも魔法を放ちかねない緊張感が走った。

「かもね」

八神もまた、フェルンの言葉を否定しなかった。
恐らく、フェルンの言う通り『魔族と人間は決して共存できない』というのも事実なのだろう。

「だけど、強さだけなら、間違いないんだよね?
 彼女みたいな輩も取り込まないと、きっと俺らは森口に勝てない。
 それにさ。ソリテールとここでやり合えば、絶対に死人が出る。できればそれは避けたい」

「……」

共存は無理でも、一時的な共闘なら成り立たせられる。
いや、そうして利用できるもの全てを利用しなければ、この理不尽な殺し合いを打破することなど不可能。
それが八神の結論だった。

「それに魔族が嘘を吐き人を欺くのなら、それを見抜くのは探偵の仕事だ。口でやり合うのは、弁護士の仕事でもあるしね。
 両方の目線から見ても、少なくとも、今は互いに戦いを避けるのがベストな落としどころだと思う。
 ここはソリテールじゃなく、俺を信じてくれないか?」

「……っ……! 
 …………全く、……フリーレン様が見れば、卒倒するかもしれません」

「ありがとう、フェルンちゃん」

フェルンはあきらめたように、ひとつ大きな溜息を吐いた。

「こんなに話応えのある人間は久しぶりね。あなたには早死にしてほしくないわ」

ソリテールは欠けた右腕の傷痛を忘れたかのように、楽しげに目を細めてみせる。

「そりゃ、どうも」

対する八神は肩をすくめ、あきれたような苦笑いを浮かべて軽く受け流した。



〇



(古畑は俺を疑っている。それは間違いない。だが……決定的な証拠までは掴めていないらしい)

八神とレオンがソリテールを連れ、事務所を発ち数分後、コーヒーを淹れた神谷はソファーに深々と腰を沈める。

(当たり前だ。俺は奴の目の前で、まだ何もしていない。今のところはただの善良な医者だ)

神谷は平然とした面持ちを崩さない。
古畑任三郎がいかに優れた刑事であろうと、刑事であるゆえに犯罪者でなければ彼は対応できない。
結果的にまだ殺人を行っていない神谷に対し、訝しむ事しか古畑にやれることはないのだ。
むしろ、ただの医者である神谷は一般市民。対して刑事である古畑は、それを守らなくてはならない義務すら生じる。

疑いの目を向けているが、同時に庇護しなければならない。
だから、古畑は神谷を傷つけることはおろか追放する事もできない。

刑事と容疑者未満。

それが今の奇妙な二人の関係であり、容疑者にさえならなければ古畑はそれ以上の追及ができない。
不用意に動きボロさえ出さなければ、問題はない、筈だ。


(ああ、あと……君には感謝しなくちゃな、小林さん)


八神から提案された事務所での待機という案を神谷を抱えた古畑が素直に受け入れたのは、紛れもなくあの消耗しきった少女の存在があったからだろう。
疲弊したみくるには休める場所は必要だった。
おかげで、絶好の狩場が手に入るかもしれない。


(万が一あのピエロや毒のガキがここになだれ込んできたら話は別だが……。
 そうでなければ、もうしばらくは優しい神谷先生としてこの集団に紛れていればいい)

(そう易々と俺の正体がバレるはずもない)

八神たちが殺し合いに反対する参加者をこの場所に集めれば集めるほど、それは神谷にとって好都合だった。

(奴らが大勢の参加者を送り込んできたその時に、俺のテリトリーで一網打尽にしてやるだけだ。
 いざとなれば『リスキーダイス』と『排除』のカードもある……)

動く時は一瞬だ。
疑いの目を向けさせる間もなく、大勢を殺しそして古畑も不意を突き抹殺する。
そうすれば余計な駆け引きなど必要なくなる。

だから、今は正体を隠してひっそりと潜伏する。


(お前に俺が止められるか、古畑?)


腹の底で暗い歪んだ笑みを浮かべる神谷に、ふいに低く独特な声が掛けられた。


「神谷先生」

「……なんでしょう?」

古畑が静かに歩み寄り、懐かしむような、どこか遠い目をして口を開く。

「えー……、長いこと刑事をやってますがね、人死にを防ぐなんて事は、そう滅多にできる事じゃありません」

「……」

「人生で一度だけです。たった一度だけ、誰も死なせずに済んだ事がありました。……それは今でも、私の誇りです」


古畑の言葉に秘められた重みを受け止め、神谷は悲痛な面持ちを装って深く頷いてみせた。

「……お察ししますよ。医者も似たようなものです。我々はいつだって、後手に回るしかない……。
 被害者がいなければ刑事はいりませんし、患者がいなければ医者もいらない。私達はある意味で、似たような仕事を背負っているのかもしれませんね」

静かに言い切った古畑へ、神谷は偽りの慈愛に満ちた笑みを向ける。


「神谷先生……、我々が暇でいられることを祈りましょう……。ンフフフ……」


自分が殺し合いに乗っている、決定的な証拠はまだ掴んでいない筈だ。
もし掴んでいるのなら、もっと別の強硬策に打って出ていてもおかしくない。

だが、明らかに神谷の内に眠る牙を見据えて、古畑は圧を掛けていた。

しかしそれは同時に、神谷が無辜の一市民であることを願うかのような、切実さも含んでいる。

「ええ……そうであることを祈りましょうか」

神谷はやはり嘘の笑顔を浮かべて、偽りの言葉を口にした。



【G-5 八神探偵事務所/早朝/1日目】

【古畑任三郎@古畑任三郎】
[状態]:健康、貧血気味
[装備]:フリーザの小型ポッド@ドラゴンボールシリーズ、スタープラチナのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:森口を逮捕する。
1:吉良を警戒、ロックオン中。
2:神谷に対して???
3:八神探偵事務所で待機、暇であることを祈りましょう。
4:────古畑任三郎でした。
※神谷の「ええ、『奴ら』には、もう懲り懲りですよ」の台詞から、殺人ピエロ(ヒソカ)には最低でも仲間が一人いたのを、神谷が隠していると判断しました。


【神谷実@幽☆遊☆白書】
[状態]:ダメージ(小)、全身に裂傷(処置済みのため行動に支障なし)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、リスキーダイス&排除(イリミネイト)のカード@HUNTER×HUNTER、ランダム支給品×0~1
[思考]:皆殺し。優勝したら人類滅亡でも願う。
1:優しい神谷先生(ステルスマーダー)を継続する。古畑は決定的な証拠を掴んでいない。
2:ヒソカと猫猫は次に会ったら始末する。
3:八神探偵事務所で待機しながら、集まった大勢の参加者を一網打尽にする。





(足を引っ張ってばかりだな……)


雑居ビル内の階段に腰を掛け、小林みくるは疲弊しきった体を休ませていた。
酷使した体は安らぎを求め、ようやく手に入った休息に浸かりどっと鉛のように重くなる。
その感覚がみくるは嫌だった。
ただ走って、そして歩いているだけの自分が一番疲れているという事実に、嫌気がする。
誰かに救われて助けられてばかりの自分を唾棄してしまう。

紫雨こころには二度助けられた。吉良吉影の時と、そして美樹さやかの時。
本人も危ないというのに体を張って、危険人物から自分を庇ってくれた。今も彼女はきっとどこかで戦っているのかもしれない。

神谷実にも心配をかけ、古畑にも支給品を借りる有様だ。

ここで待機組を作ったのも、自分への配慮というのは薄々気付いていた。
八神隆之も決してそれだけの為に、この事務所を拠点にしたわけではないのは理解しているが、
それでも足手纏いのみくるが安全に守られる場所が必要だろうと、八神と古畑の思惑が一致したのは事実だ。

(わたしがいなければ……)

八神達はさやかと戦っているこころも見てくると言っていたが、本来は逃がされたみくるがやるべき事だ。
少なくとも古畑は『スタンド』という力を得ているようだ。もしかしたら、みくるがあの場にいなければ古畑が加勢する事もできたかもしれない。
あの場でこころを一人置いていったのは、やはり完全に無力なみくるがいたからなのかもしれない。

考えれば考えるだけ、自分の存在価値が分からなくなってくる。

いっそ、ここにいない方が、なんて……。

「大丈夫か……えーと、小林だったけ?」

負の思考のループを断ち切ったのは、上条当麻の声だった。
ツンツン頭の黒髪を揺らしながらみくるを気に掛けるように顔を覗き込んでくる。
きっと酷い顔をしているだろうと、咄嗟に顔を隠すようにみくるは縮こまった。

「いえ、平気です。休ませてもらっているので……」
「……なんか、俺は読心能力(サイコメトリー)なんてないから、何を考えているかなんて分からないけど、色々悩んでないか」

上条は小林の横に座り、そして笑いながら口を開いた。

「その……わたしのせいで、皆さんに迷惑をお掛けしてばかりで……」
「……うーん……小林に良くしてくれている人たちはさ、きっと皆それをやりたいからやってるだけなんじゃないかな」
「やりたいから……?」
「ああ、俺も……やりたいようにやってるからな。目の前で泣くのを我慢してるような奴がいたら、俺が我慢できないから、助けてる」

上条当麻という男の本質はシンプルだ。
助けたいから助ける。
例えそれが殺し合いをした相手であろうと、あのヴォルデモート卿ですら本当に助けを求めたのなら、上条は迷わずその手を差し伸べるだろう。
そしてそれと特別な事とは捉えていない。普通の事象として、普通の高校生の範疇にあると本気で考えている。

「だから、小林。
 今は皆に助けてもらって良いんじゃないか? 
 何処かで小林の力が必要な時がきっと来るから、その時に皆を助ければいいんだよ」

それ故に。
誰かに助けられ支えられているみくるへ、過剰に負担に思う必要はないと心から言ってのけた。

そんな上条の姿がみくるには眩しく写る。

自分を助けてくれた名探偵のように。

あの憧れた存在みたいに、尊く。

「わたしが……誰かを助けられる時なんて、来ると思いますか……」
「ああ、だって小林はちゃんと頑張ってるんだろ? いつも万年落第寸前の上条さんなんかより、ずっと立派だって」

「……ありがとうございます」

探偵テストも受けられない自分が名探偵になんてなれるか分からないけれど。

「今ので少し…救われました。
 ……いつか、絶対に……上条さんの助けになってみせます」

目の前の、この人の助けになりたいと、みくるは強く思った。
上条だけではない。
こころと古畑も、神谷にも。

自分を支えてくれる人達全員を助けられるように。

「ああ! その時は頼むな。俺は頭を使うのが苦手だから、代わりに小林が考えてくれると助かる」

世辞なんて抜きに、上条は明るく言った。


その時、轟ッ! という爆音が八神探偵事務所が入っているビルを大きく揺らした。
最初上条は地震が起きたのかと考えたが、すぐさまその考えを自ら否定する。


「か……上条さん……!」
「これ……、爆発か……!?」


さらに何度も響く爆音、明らかに地震と言った災害とは異なり、人為的に何かが引き起こされている。

「クソっ、まさか八神さん達が……」

八神達が事務所を発ち、まだ数分も経っていない。距離を考えれば、彼らが戦闘に巻き込まれた可能性は高い。
上条はすぐさま飛び出そうとした。

「……いや、まずはフェルンと古畑さんと話したほうが良いか……」

普段ならば後先考えずに飛び出した上条だが、そうしたいのを堪えて冷静に状況を考える。
先ず、今の自分は集団行動をしており、何も言わずに一人で飛び出せばフェルンたちに余計な心配をかける羽目になる。
下手をすれば、八神達の様子を見に行く班と、上条を探す班とで無駄に人員を割くかもしれない。
さらに、この爆音を引き起こしているのが、異能の力とは限らない。
デイバッグが質量を無視して物を収容できるのは上条も確認している。
すなわち、ロケットランチャーや戦車をはじめ、学園都市のトンデモ兵器などが支給されているかもしれず、それらの兵器は上条の『幻想殺し』では全く対処できない。
かえって足手纏いが増えてしまう。

「俺はフェルンと古畑さんと話してくる。小林はここにいてくれ!!」

みくるの返事すら待たず、上条は飛び上がるように階段から腰を上げ走っていく。

「待ってくださいって……、行っちゃった……」

上条を見送りながら、みくるは一人ぽつんと取り残される。

(ううん。この時間が勿体ない。なにもできないけど、せめて……何か少しでも役に立つ道具くらい、入っていないのか探そう)

みくるはすがるような思いで自らのデイパックへ手を伸ばした。
そういえば、ここまでろくに支給品を確認できていなかった。
吉良吉影との問答のあと、神谷実と出会いそして美樹さやかに襲われて、落ち着いた時間が取れなかったからだ。
特に回収した小川さくらのデイバッグは確認が不十分である。

取り出したアイテムを確認していくが、みくるにはあまりピンとくるものがない。
分かりやすく武器でもあればと思うが、ぱっと見でそのようなものはなかった。

「?」

すると、小川さくらのデイバッグの底に眠っていたスマホがピコンと鳴り、画面が明るくなる。
そこに表示された文字を目にした瞬間、みくるは首を傾げた。

「詳細……名簿……?」

画面には、場違いなほど軽快な通知文が躍っていた。

『おめでとうございます! あなたは抽選に当選しました!!』

「ポイントを支払うことで……参加者の詳細情報が、閲覧できます……?」

みくるは首をかしげながら、液晶画面の光を眩しそうに見つめ、そして立ち上がる。

「こんな時だけど……一応、古畑さんや神谷先生…それに上条さんにも、教えておいた方がいいよね」

この名簿が、もしかしたら古畑達の助けになると信じて……。

【G-5 八神探偵事務所の入った雑居ビルの階段/早朝/1日目】

【小林みくる@名探偵プリキュア!】
[状態]:健康、トラウマ(極大)、殺し合いへの恐怖
[装備]:詳細名簿アプリ(小川さくらのスマホ)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3、小川さくらの支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:名探偵として人を助けたい……けど。
1:八神探偵事務所で待機。
2:いつか、上条さんや古畑さん神谷先生を助けられるようになりたい。
3:詳細名簿…古畑さんや神谷先生にも伝えたほうが良いよね……。
4:あの爆音は……。
[備考]
※明智あんなと出会う前からの参戦です。


【G-5 八神探偵事務所の入った雑居ビル/早朝/1日目】

【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:殺し合いを止める。
1:殺し合いに反抗する参加者と接触する。
2:ハゲ(ヴォルデモート)を警戒。
3:爆音についてフェルンたちと話す。
※右腕が切断された場合発生する、ドラゴンの迎撃及びその他の現象が制限されているかは不明です。
※参戦時期は原作13巻(アニメ版二期)終了以降の何処かです。

【フェルン@葬送のフリーレン】
[状態]:健康、ヴォルデモートへの恐怖
[装備]:フェルンの杖@葬送のフリーレン
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:上条様達と同行。
1:殺し合いに反抗する参加者と接触する。
2:ハゲ(ヴォルデモート)とは戦いたくない。
3:フリーレン様、シュタルク様と合流する。
4:ソリテールを警戒、八神様たちは大丈夫でしょうか……
※マハト編終了後からの参戦です。


【詳細名簿アプリ】
小川さくらに支給
100ポイントを消費する事で、一人分の詳細情報を見る事ができる。
初期ポイントは300ポイント。
12時間経過で100ポイント回復する。






(殺人ピエロには決して手を出すな、か……)

事務所を発った八神は、思考を巡らせる。

(……少し気になるな。会ったことすらないはずの相手を、なぜ古畑さんはあれほど警戒して釘を刺してきたんだ?)

頭の片隅に引っかかる違和感。
まるで、八神達と殺人ピエロが激突するのを避けさせているような。
それがおかしいわけではない。八神達も危険な相手との交戦は極力避けたいとは考えている。

例えば、情報源が……信用できないから、そのピエロ風の男が本当に危険人物か断定できないから……。

(…………考えすぎか)

八神は軽く首を振って思考を切り替えると、散策組の面々に向き直る。

「まずはH-4のエリアを回って、古畑さんとはぐれた紫雨って女の子を探そう。
 今のメンバーなら、あの青髪の女の子と出くわしてもどうにかなりそうだしね。
 それから当初の予定通り、島の中央へ向かう」

「そこまでの移動はどうする?  徒歩では時間がかかりそうだが」

レオンの問いに、八神はポケットから自らの端末を取り出し、いたずらっぽく画面を操作してみせた。

「俺のスマホに『タクシー手配アプリ』ってのが入ってたから、これを使ってみようかと思ってね」

呼び出し音と共に異空間から飛び出したタクシーは。





ボンッッッーーーーー!!!



次の瞬間、大爆発を引き起こし炎上していた。



「あら、爆散しちゃったわ」


「う…そ……だろ……」

嘆く八神をよそに、ソリテールは耳をつんざく爆音と立ち上る黒煙を前にして、他人事のように呑気な声を漏らした。


「さーてと、腹ごなしに丁度いい奴らがいるじゃない。
 ま、さっさと死んじゃってよね」


車を爆散させたのは一人の少女だった。
まるで軍服のような白い服を着た黒髪の少女、外見だけで言えばフェルンとそう歳は変わらなさそうだと八神は思う。
その少女が指先を滑らせると、赤い光球が飛来する。
あれが車を爆発させたのだろうと判断するのに、そう時間は掛からない。
ソリテールは前面に防御魔法を張り、


「ッッ……!!?」

衝撃音とともに、展開していた防御魔法が跡形もなく爆散する。

(私の魔力が制限されているのは、先ほどの仮面の戦士と剣士との戦いで確認済みだけれど、これは────)

お世辞にも、受けたダメージを抜きにしても制限されているソリテールは本調子ではない。
それ故に防御魔法が突破されること自体に驚きはなかったが。

(魔法の性質が変えられている……?)

防御魔法そのものが爆散した事に、ソリテールは瞠目した。
これは攻撃で防御を突破したのではない。防御魔法がその性質を変換させられたのだ。
恐らく、あの少女の力の本質は────

「ソリテール!!」

顔面を鋭い爆炎が焼くよりも早く、レオンが咄嗟に手を伸ばし、ソリテールを激しく押し倒した。
地面に倒れ込みながら、ソリテールはフッと口元を緩める。

「ふふ、人間に助けられるなんて、滅多にない経験ね」

「たまたま躓いて転んだだけさ」

少し離れた位置で様子を伺っていた八神が、怪訝そうに首をひねった。

「どういうことかな。ソリテールの魔法ってやつで攻撃を防いだように見えたんだけど」

「無駄よ。私の爆撃は防げないの」

八神の疑問に答えたのは、煙の向こうから悠然と歩み出てきた少女──バンビエッタ・バスターバインだった。
口元に冷酷な笑みを浮かべ、嘲笑うように三人を見つめる。

バンビエッタは人差し指を立て、自慢げに自身の能力の種明かしを始めた。

「私の霊子が爆発するんじゃない、霊子を打ち込んだものが爆発するのよ」

「親切なんだな。優しすぎて泣けてきたよ。それとも、独り言が癖になってるのか?」

レオンは呆れたように肩をすくめ、視線を鋭くする。

「俺達を舐めてるって感じかな」

嘘を言っている感じではない。
当然、バンビエッタの説明を鵜呑みにするわけではないが。
あの自信満々な顔は、そういった手合いには八神には見えなかった。
虫を踏み潰すのに駆け引きなどいらない。そんな、子供染みた全能感が滲み出ている。

バンビエッタはレオンの顔をじっと見つめると、興味深そうに顎に指を当てた。

「ふーん……あんただけは見逃してあげてもいいわ」

思いがけない提案にレオンが眉をひそめると、女は艶めかしい笑みを浮かべて残りの二人を指さした。
こんなに顔のいい男を味見もせず殺すのは勿体ないと、バンビエッタの表情には描かれている。

「その代わり、角女、あとそこのおっさんを殺すのを手伝ってくれるならね」

「お……、おっさん……?」

八神が、自分の顔を指で差しながら絶句する。
だが、レオンは一瞬の迷いもなく首を横に振った。

「嬉しいお誘いだが、肉食系にはもうウンザリしてるんでね」

レオンはあからさまに嫌そうな顔を浮かべた。

「じゃ、仕方ないわね。全員殺してあげる」

断られたバンビエッタの瞳から温度が消え、殺意が宿る。
次の瞬間、バンビエッタの全身から凄まじい霊圧が溢れ出し、周囲の空気が激しく振動する。

「……げっ」

顔を引き攣らせる八神。

そして彼女の後方を埋め尽くすように、霊子の光球が出現した。
あれら全てが同時に放たれれば、先ほどの爆撃の比ではない規模の大爆発が起こる。

「全員消し飛ばしてやるわッッ!!」

怒号とともに放たれる絶望的な密度の爆撃。
しかし、立ち上がったソリテールは慌てる様子もなく、淡々とそのカラクリを分析していた。

「物を爆弾に変える。強力な能力だけど、対処法は簡単ね」

ソリテールが静かに手をかざすと、膨大な魔力が急速に収束し、無数の剣を生み出し、それらが巨大な質量となって目の前に展開される。

「その分の質量をぶつけて、相殺すればいいだけ」

炸裂する爆炎と魔法で生み出した剣が真っ向から衝突し、互いを相殺して激しい波濤を撒き散らした。
完封されたバンビエッタが苦々しく舌を打つ。

「チッ……角女ッ!」

煙が巻く視界の中で、ソリテールは優雅に振り返り、レオンへと不敵で美しい微笑みを向けた。


「さあ、防御は任せて。勇敢なナイトさん?」

「頼もしい限りだよ、お姫様」


レオンが浪漫砲台パンプキンを構え、銃口をバンビエッタへと向ける。

世にも珍しい人と魔族の共同戦線が幕を上げた。


【G-5 八神探偵事務所付近/早朝/1日目】

【八神隆之@JUDGE EYES:死神の遺言】
[状態]:疲労(小)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:殺し合いの真相を探る。
1:殺し合いに反抗する参加者と接触する。D-5まで向かう。
2:首輪解除の手がかりを探す。
3:名簿の黒岩満が本物なら警戒する。
4:タクシーが…、爆発女を何とかする。紫雨こころって娘も探しておきたかったが、行けそうにないな……。
※本編終了後からの参戦です。

【レオン・S・ケネディ@BIOHAZARD RE:4】
[状態]:健康
[装備]:レクイエム(残弾数5)@バイオハザード レクイエム、浪漫砲台パンプキン@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、レクイエムの予備弾薬(12.7×55mm弾)×15、不明支給品×0~2
[思考]:この島から脱出し、任務に戻る。
1:八神の方針に同調し、情報を集める。D-5まで向かう。
2:積極的に殺しはしないが、降りかかる火の粉は払う。
3:ソリテールと共闘して爆発女をどうにかする。
※ クラウザーとの決着後~サドラーとの決戦前からの参戦です。

【ソリテール@葬送のフリーレン】
[状態]:右腕欠損、負傷(中)、胸に裂傷(小)(どれも治療済み)、魔力消耗(中)、比名子への関心、夏油への興味
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]:夏油との合流を一時保留。回復を優先。
1:マハトには人類との共存を諦めさせたい。
2:人と魔族のハーフ(ダンテ)を危険視。
3:あの子(比名子)は食べてみたい。
4:悪魔に妖怪に呪霊か……。
5:回復しきるまでは、八神達に協力する。優勝を目指すかはまだ未定。でも、もっとお話がしたいわね。…色々と。
※死亡後からの参戦です。



※古畑達と八神達が何時に合流するか、また合流地点の代替場所が何処かは後続にお任せします。



【バンビエッタ・バスターバイン@BLEACH】
[状態]:腹にダメージ、満腹
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、現金、不明支給品×1~2
[思考]
基本思考:さっさと優勝するわ!!
1:目の前の連中を皆殺しにするわ。イケメン(レオン)はちょっと勿体ないけど。
2:陛下に万が一のことがあれば、私が跡を継ぐわ。
[備考]
※参戦時期は二回目の狛村戦の途中からです。


【浪漫砲台パンプキン@アカメが斬る!】
精神エネルギーを衝撃波として撃つ巨大な銃。
さらに使用者がピンチになると威力が増大していく。
銃口が換装可能で、マシンガンバレルやスナイパーバレルを使い分けできる。







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036『遊喜宴楽』 038『カチューシャ』
005『Kの奸計/希望に縋る少女たち』 古畑
005『Kの奸計/希望に縋る少女たち』 神谷
005『Kの奸計/希望に縋る少女たち』 みくる
002『モトリー・クルー』 上条さん
002『モトリー・クルー』 フェルン
002『モトリー・クルー』 八神
002『モトリー・クルー』 レオン
020『毒蜘蛛の胎動』 ソリテール
024『小鹿(バンビ)のグルメ』 バンビ

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最終更新:2026年09月20日 22:30