2005.01.24 東京夕刊 18頁 2社 写図有 (全1191字)
新潟県中越地震による上越新幹線脱線事故について国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が24日に提出した中間報告を受け、同省やJR各社は今後、具体的な対策作りに入る。しかし、費用や効果などの面からまだまだ時間がかかりそうだ。=1面参照
●難しい保守
調査委などによると、脱線した「とき325号」の先頭の1号車は、排障器(はいしょうき)と呼ばれるレール上の石などをはねとばす部品と車輪の間にレールがはさまれたことで逆に車両を安定させて止めた。最後尾の10号車は、車体を約30度傾けて、上り線にはみ出しながら走行した。
こうした状況を受けて国交省は、本線レールの内側にもう1本レールを並べる「安全レール」の導入を検討中だ。脱線しても本線レールと安全レールの間に車輪が挟まり、対向する線路にはみ出したり、転覆したりしないようにするためだ。しかし、保守管理が大変になることから異論もでている。
●弱いレール
約3キロにわたるロングレールの破断が最後尾車両の反対線路へのはみ出しにつながった。破断のきっかけになったのはレールの接着絶縁継ぎ目(IJ)。この部分に強い力が加わってぽっきり折れた。
この継ぎ目が一般化したのはここ20年ほどのこと。保守が楽なため、全国の新幹線がIJを入れた数キロにわたるロングレールを使っている。
あるJRの保線の専門家は「絶縁体を挟んでいるため、異常な力がかかるとどうしても弱くなる。何らかの対策が必要だ」という。新幹線の場合、800メートルから1キロごとにIJがあり、上越新幹線全線で約300カ所、東海道新幹線で約1300カ所ある。国交省はIJの強度を上げるなどの対策を検討する方針だ。
●停車素早く
今回の事故に、新幹線全線に導入されている早期地震検知システム(ユレダス)は、有効に機能しなかった。
初期微動(P波)をとらえて、震源や規模を推定、大きな揺れの主要動(S波)が到達する前に送電を止めて列車を停止させる仕組みだ。P波検知から止めるまでは3秒かかる。
しかし、調査委によると、今回の地震の場合は、P波検知が17時56分3秒1で、0・2秒後にS波がきた。JR各社は、止めるまでの時間を約2秒に短縮する新システム導入や検知点を増やすなどの対策を順次、導入する方針だ。
■今後の対策に重要な6項目(国交省事故調査委の指摘)
(1)最後尾の車両は反対線路にはみ出して走り、対向列車に衝突するおそれがあった
(2)先頭車両は、車輪と台車部品の間にレールが挟まり、線路に沿って走行した
(3)レールを固定する多数の金具に脱線した車輪が踏んだ傷があった
(4)レールが左右に外れて移動した
(5)レールの継ぎ目が壊れて左右のレールが切れた
(6)破壊された継ぎ目のすぐ近くで、右レールが2カ所で切れた
【写真説明】
「とき325号」の先頭車両の車輪。排障器と車輪の間にレールをはさんで止まった(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会提供)
朝日新聞社