早明浦ダムwiki ~香川県出資拒否デマ~

【デマ】建設時、香川が出資を拒んだ分は徳島が多くを負担した

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sameuradam

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「建設時、香川が出資を拒んだ分は徳島が多くを負担した」は事実か?

事実ではありません。


ダムの関連法律には「河川法」が存在しますが、
この法律は川の利用や保全に関するルールを定めたもので、多目的ダム建設費用の分担方法は定められていません。

そのため、実際にダムを造るときは
関係する国や自治体が話し合って費用負担を決めています。

早明浦(さめうら)ダムでは、「吉野川総合開発部会」で国と4県が費用分担を協議し

「身替り妥当支出法」

「分離費用」の考え方を加えた方法

で費用を分けました。

これは簡単に言えば、
「ダムから得られる利益の大きさに応じて、建設費を分担する」という、公平なルールです。

早明浦ダム計画は、計画が膨大で関係者が多数、大規模な分水計画、先行投資性が強い用水の開発、早明浦ダムから直接補給を受けない者の費用負担、といった特徴がある。検討・調整は困難を極めたが、“身替り妥当支出法”を採用しながら先駆的に採用した“分離費用(分離容量)”の概念は、その後(1967(昭和42)年以降)の新方式“分離費用身替り妥当支出法”にも取り入れられている。

「香川が出資を拒んだ分」が「治水分費用(洪水調節のための費用)」のことを指している可能性がありますが、
「治水分費用」は、治水効果を受ける地域が負担するというルールがあります(=受益者負担の原則)。

👉【デマ】治水分負担を香川は出資拒否した


吉野川の治水効果は、主に徳島県に及ぶため、この「治水分費用」は徳島県と国が負担すると定められています(出典:早明浦ダム工事誌、河川法関連)。

香川県や愛媛県は吉野川流域ではないため、治水効果を受けない=治水費用の負担義務はありません。

「建設時、香川が出資を拒んだ分は徳島が多くを負担した」という言い方は、制度の仕組みを無視した誤った主張です。

(2)建設に要する費用の用途別負担額およびその負担者
イ)洪水調節および流水の正常な機能の維持に係る費用の額は、建設の費用に要する額に1,000分の573.5を乗じて得た額とし、国は水資源開発公団法(以下「公団法」という)第26条第1項の規定によりその費用の額のうちすでに国が要した額を控除した残額を公団に交付するものとし、その交付金は国及び徳島県において負担するものとする。



「香川が出資を拒んだ」という主張について

これも誤りです。

早明浦ダムの費用は、あらかじめ国と関係自治体で合意された分担方式に基づいて決まっています。

香川が「治水費用の負担を拒否した」という記録は存在せず、そもそも香川にはその義務がありません。

徳島県は自分たちの負担が大きすぎると感じ、「高額すぎる負担は承諾しかねる」と不満を表明していました。
仮に徳島県が「香川県も治水費用を負担すべきだ」と主張していたとしても、その意見が採用されなかっただけの話です。

つまり、

香川が出資を拒んだわけではなく、はじめから香川にその出資義務がなかった

というのが正しい理解です。

「徳島が多く負担した」という事実はあるが、正当な理由がある

「徳島が多くを負担した」という事実は存在しますが、それは「香川の代わりに肩代わりした」からではなく、受益者負担の原則に基づく正当なものです。

徳島は吉野川の治水利益を最も多く受けるため、費用負担も多くなるのは制度上当然のことでした。

まとめ

「建設時、香川が出資を拒んだ分は徳島が多くを負担した」という表現は、制度上も記録上も根拠のない誤解です。

治水費用はもともと徳島が負担すべきもので、香川に負担義務はありません。

香川が何かを拒否した結果、徳島が“損をした”という話ではなく、最初からルールに従って負担が分かれていただけのことなのです。


その3▶【デマ】香川はダム完成後に渇水がきたから慌てて出資した

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