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【デマ】香川は「ため池があるから」早明浦ダムに出資を拒否した

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sameuradam

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香川県は「ため池があるから早明浦ダムに出資を拒否した」のか?

はじめに

「香川県は“ため池があるから水に困っていない”として、早明浦ダムへの出資を拒否した」

一見もっともらしく聞こえますが、この話には事実と異なる点が多く含まれています。ここでは、公的な資料や記録をもとに、ひとつひとつ丁寧に確認しながら、この話がなぜ誤っているのかを解説していきます。

① 香川県にはなぜたくさんのため池があるのか?

香川県には約12,000ものため池があります(令和3年時点)。これは全国的にも非常に多い数です。

でも、それは「水が豊かだから」ではありません。実はその逆で、水が足りなかったからこそ、昔の人たちは生活や農業用の水を確保するため、たくさんのため池を作る必要があったのです。

💡ポイント
香川は雨が少なく、川も短いため、水資源に恵まれていません。
ため池の多さは「水が足りない地域だった」ことの証です。

② そもそも「ため池の水」は飲めるの?

多くのため池は農業用水のために作られています。
家庭で使う水(上水道)として使えるように整備された池はごく一部にすぎません。

※いつくかのため池については、上水への転用が検討された事があります。

これらのため池が上水転用の「検討止まり」だった主な理由は

🔹 1. 水利権の調整が困難
農業用水としての利用が長年続いており、農業関係者の理解や合意を得るのが難しかった。

🔹 2. 水質の問題
ため池の水は農薬・肥料・濁水などの影響を受けやすく、飲料水として使うには高度な浄水処理が必要だった。

🔹 3. コストとインフラの課題
上水転用には、取水施設・浄水場・配管設備の新設など、多額の投資が必要で、現実的に見合わなかった。

これらの要因により、制度的には転用「可能」でも、実運用には至りませんでした。
つまり、「ため池があるから水に困っていない」というのは、飲み水や生活用水の観点では成り立たない話です。

③ 香川県はダム開発の会議に最初から参加していた

昭和37年(1962年)から、四国の水資源をどう活用するかを話し合う「吉野川総合開発部会」が始まりました。
香川県はこの会議に第1回からきちんと参加しており、水の分け方や費用の分担についても他県と一緒に話し合っています。

もし本当に「水は足りているから要らない」という立場だったのなら、そもそも会議に参加する必要がなかったはずです。

④ 早明浦ダムの役割と香川県の関係

早明浦ダムには主に4つの目的があります

①吉野川流域の洪水対策(主に徳島県)

②川の流れを保つための水量維持(主に徳島県)

③四国4県に新しい水を供給する

④発電(主に愛媛県や電力会社)

この中で香川県が直接関係するのは③の「新しい水の供給」だけです。
「ため池があるから水が必要ない」のであれば、香川にはダム自体必要ありません

香川は水不足を補うために、このダム開発に参加しました。

🧾 結論:この話はなぜ誤りなのか?

「香川県が『ため池があるから出資を拒否した』」という話は、以下の理由から完全に事実とは異なります。

ため池があるから水に困っていない×
渇水が深刻だったため、ため池を多数作った〇

ため池の水で足りるからダムは不要×
ほとんどは農業用水で、飲み水には使えない〇

香川はダムの出資を拒否した×
ダム計画の初期から会議に参加し、出資も議論した〇

📌 最後に

このような「もっともらしく聞こえる話」でも、きちんと事実を調べてみると、真逆であることが少なくありません。歴史や資料に基づいた情報をもとに、正しい理解を深めていくことが大切です。

「ため池があるからダムは不要だった」
この話はシンプルですが、現実にはとても複雑です。そして、香川県が水に苦しんできた歴史を踏まえれば、このデマがどれだけ失礼で的外れか、見えてくるのではないでしょうか。
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