「思い出に浸っていればスクラップにされずに済んだものを!」
【名前】 |
レトロワルド |
【読み方】 |
れとろわるど |
【声】 |
北沢洋 |
【登場作品】 |
機界戦隊ゼンカイジャー |
【登場話】 |
第15カイ「ガチョーン!レトロに急旋回!」 |
【所属】 |
キカイトピア/トジテンド王朝 |
【分類】 |
ワルド/キカイノイド |
【世界】 |
レトロトピア |
【トジルギア】 |
レトロトジルギア |
【名産】 |
トキヲモドソード、ナツカシールド |
【名物】 |
ピンクの公衆電話、オート三輪、中華そばの香り |
【モチーフ】 |
レトロ、ブラウン管テレビ、ダイヤル式電話、アンテナ、ベーゴマ、振り子時計、レコード台 |
【詳細】
クダックに「レトロトジルギア」を組み込み、
時代錯誤に誕生したレトロトピアの力を宿す
ワルド怪人。
ブラウン管テレビの顔の上にはダイヤル式の電話と一体化したアンテナが角のように伸び、右腕に振り子時計型の「トキヲモドソード」、左腕にレコード台を象った「ナツカシールド」で武装している。
昔の古いタイプの家電や玩具が合体したような外見が特徴。
レトロトピアを封じ込めた
トジルギアの力を悪用し、頭部アンテナから「レトロ電波」を放出。
あらゆるものを古き良きレトロな物体に変化させてしまう能力を持つ。
ファッションや町並みだけでなくあらゆる物を懐かしいレトロなものへ変えてしまうが、これはタイムスリップなどではなく、あくまで既存の物体を一般的に「レトロ」と認識されている物体に変えてしまうというもの。
ピンクの公衆電話、オート三輪、中華そばの香り、これらが入り交じる世界は正しく「奇怪なレトロの世界」である。
さらにレトロ電波の出力を変えることで周囲に満ちたレトロな物体に思いを馳せ、ノスタルジックな思い出に人々を浸らせてしまうことが出来、「あの頃は良かった」と思考停止させてしまう。
しかしその効果は「あの頃は良かった」と思えるような記憶があることが前提であり、そんな記憶が一切ない場合効果がないどころかむしろ発奮してしまうという抜け穴があった。
第15カイに登場。
活動を開始し、周囲にレトロな物体を配置して悦に浸っていたが、真っ先にツーカイザーに補足され攻撃を受けてしまう。
さらには活躍を奪われまいとするゼンカイジャー達もこぞってやってきたため、作戦も始動段階でまだ倒されるわけにはいかないと、
レトロ電波を放出して介人達をレトロな見た目に変えてしまった。
彼らの装備もレトロなものに変えてしまった結果機能が一時的に消えてしまったようで、変身を解除。
さらには上空にいたクロコダイオーもただの帆船に変わってしまったことで墜落してしまい、妹達の危機にあわてて船を追いかけるゾックス等の混乱に乗じてその場から撤退する。
突如広がった昔懐かしい風景を楽しむ一般市民達だったが、その中に混じって町中を歩く
ステイシー。
弟たちの呪いを解くことを餌にしゴールドツイカー一家を味方につけるはずも失敗したため、
イジルデの誘いを受けたはいいが思うような恩恵を得られていないことから彼と手を切ることも考えていた
ステイシーだったがが、ふと気づくとレトロ電波の影響で沢山の人が踊る光景を目の当たりにする。
それが「竹の子族」であると教えてくれたヤツデに母の面影を見た
ステイシーは蘇った記憶を振り切るようにその場を後にするのだった。
その後逃走していたレトロワルドはレトロ電波のレベルを急上昇させる。
影響を受けた人々が「あの頃は良かった」という思いに浸り、思考停止してしまう中、ジュラン達もまたレトロ電波の影響を受けて過去の記憶に思いを馳せる…のだが。
彼らは違った。
ジュラン「違えわ、違えわ!"良かったあの頃"なんて無かったわ俺達!」
ガオーン「僕は今がパラダァーイス!」
マジーヌ「自分も、あの頃の自分には戻りたくない!」
ブルーン「私もこれから、もっともっとたくさんの事を知るのが楽しみなんです!」
両親がいた頃を思い出している介人、息子たちが行方不明になりそのまま年を取っていく現実を受け止められなくなっているヤツデを見たジュラン達も過去に思いを馳せたものの、
これまでキカイトピアで虐げられていた彼らが思い出したのはトジテンドの圧政によって受けた被害や、周りと馴染めず苦しい思いをしてきたという、思い出したくもない過去だった。
あの頃、良かったことなんて何もなかったという悲しい現実に直面したジュラン達は、「変な能力で介人とヤツデの良いとこ曇らせやがって」と大激怒。
レトロワルドを発見したセッちゃんからの情報で現場に急行する。
そこにいたレトロワルドは
クダックが引く人力車に乗って勝ち誇っていたが、ジュランに人足
クダックが銃撃された衝撃で地面に落下し、
その前でゼンカイザーを除いたちょっとレアな4人での名乗りを行うゼンカイジュラン達を上述のセリフと共に迎え撃とうとした、のだが人足
クダックは猛スピードでその場を逃げ出したため、
「全員集合」と称して時代劇の切られ役侍達よろしく大量の
クダックを呼び出したもののジュラン達によってあっという間に全滅。
たった一人になってしまったところを集中的に攻撃されステレオタイプな…いやレトロチックなダメージ表現でボコボコにされてしまったものの、トキヲモドソードの効果で時間を巻き戻すことでダメージをなかったコトにしてしまう。
しかし彼らは「今を生きる未来人(みらいびと)」ゼンカイジャー。
タイムレンジャーギアを使ってトキヲモドソードの効果を無効化し、負傷が復活してしまったことに戸惑うも、4人が発射したゼンカイフィニッシュバスターの直撃と落下してきたゼンカイジャーのロゴマークに押しつぶされ爆散した。
レトロワルドが倒されたことで世界は元の状態に戻るも、現れた
クダイテストが「レトロな世界、俺にも遊ばせろ!」と言いながらトジルギアを踏みつけたことで
ダイレトロワルドが誕生する。
【余談】
ワルド共通ダジャレ武器はそれぞれ「時を戻そう+ソード」と「懐かしい+シールド」が由来。
トキヲモドソードとナツカシールドのパーツは
マヒルワルドの頭と組み合わせ
ヒドケイワルドに改造された。
古い器物を組み込んだり、物体を古くさせる能力を持つ怪人は存在していたが
特定の時代等と異なり、「レトロ」という概念自体をモチーフにしたのは初。
この
ワルドが誕生した経緯は東映公式サイトにて語られているが、東映本社の社屋には「電話交換室」なる部署が未だに残り、つい最近まで蛍光灯が使われていたことから、
「世界をレトロにする怪人」ということで誕生した。
一般的にレトロとは「懐古趣味」を意味するレトロスペクティブを由来とし、「見ていて懐かしい」と感じる物品などに使われる。
ノスタルジックな~という「ノスタルジー」は郷愁を意味する。
双方昔を懐かしむ考えを指すが、レトロワルドのレトロ電波で登場したピンクの公衆電話、オート三輪、中華そばの香りなどは主に戦時中、あるいは戦後にかけて存在し、現代ではほとんど見かけなくなったモノたちである。
公衆電話は携帯電話、スマートフォンらの普及により姿を消しつつあり、オート三輪も現在は生産が終了し、現役で走行が可能なのは50台を下回るとか。
中華そばはさらに昔は支那そば等とも称され、この名称を使っているラーメン屋もたまにあったりする。
要は現在にはほとんど見られず、実際に見たことはないが「昔に存在していたことを知っている」ものがレトロであり、それに伴い湧き上がる気持ちがノスタルジー…ということか。
ちなみに反対語…というわけではないが、近代的や現代的は「モダン」という。
ちなみに、段階的に作戦を進めていたレトロワルドだが、「昔懐かしい風景を作り上げ、それに夢中になった人間たちを骨抜きにして支配する」という手法を取った某アニメの劇場版に登場した組織と似通った点が見受けられる。
作戦が瓦解したのも「今を生きたい」と願う登場人物の思いゆえにだった。
ただこのレトロワルドの場合、能力の使用に伴い不要な記憶を掘り起こしてしまったことで洗脳が無力化されており、ある意味ワルド怪人に共通する「効果範囲が広すぎる、強力過ぎる」という性質が仇になる形となった。
ただ庶民
キカイノイド達も影響下に置かれているのが確認できるため、ジュラン達だけがあの頃は良かった…と思い返す過去が無かっただけということもある(ただよく見ると何人か効果を振り切ったっぽい
キカイノイドもいるあたりキカイノイド達が抱える闇は深い)。
トジテンドの碌でもない選民思想による市民虐待等は度々描写されてきたが、その支配体制も作戦失敗の要因になってしまった。
逆に言えば
クダックでさえ一般
キカイノイドよりは立場が上として扱われており、過去ジュランに対する暴行にも加担していた事からクダックがベースのワルド怪人であるレトロワルドはそれなりにトジテンドの支配体制の恩恵に預かってきたと考えられる。
自分がそうだから他の連中もそうだろう、という無根拠な思い込みが作戦に孔を開けることになったわけだ。
昔を振り返らせるなら、自分の過去も顧みた方がいい…というわけでもなからろうが、トジテンドの圧政が如何に一般
キカイノイド達を押さえつけ不満を燻ぶらせるものであったかを如実に浮かび上がらせた
ワルドとも言える。
最終更新:2025年05月21日 01:26