11/08/06(土)17:01:39 No.6920847 del
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夢だ。蜘蛛の夢だ。現に現れるより、遥かに美しい黒い長い髪をした女の蜘蛛の夢だ。
安楽椅子に腰かけ、眠っていた青年は精神剤の作用か、茫洋とする頭で、無感動に夜の来訪者を見つめていた
「」
何と言ったのか。聞き取ることが出来ない。幽かな明りの、黒い髪が美しかったから、
青年は女の髪を手で梳いた
安楽椅子に腰かけ、眠っていた青年は精神剤の作用か、茫洋とする頭で、無感動に夜の来訪者を見つめていた
「」
何と言ったのか。聞き取ることが出来ない。幽かな明りの、黒い髪が美しかったから、
青年は女の髪を手で梳いた
夢現の逢瀬は、それからも長く長く続いた。それはまるで寄り合わせた糸で橋を造っているかのようだった
穏やかな、そして奇妙なめぐり合いは安楽椅子に腰かけた青年が、
明かりもつけずに女の髪を撫でる事を繰り返すというだけ
穏やかな、そして奇妙なめぐり合いは安楽椅子に腰かけた青年が、
明かりもつけずに女の髪を撫でる事を繰り返すというだけ
やがて、青年は僅かな肉と骨、髪を残して消え去った。
村人達はこれを口々に、あそこの家の弥太郎が『御蟲様(おんむしさま)』に上げられた、と繰り返していた
村人達はこれを口々に、あそこの家の弥太郎が『御蟲様(おんむしさま)』に上げられた、と繰り返していた
真実はただ、一匹の女郎蜘蛛と、夜の帳だけが知っている
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⇒御蟲様
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