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東方拳闘士一話

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東方拳闘士 第一話
鬱蒼とした森の中。マジにここはどこだ?と『彼』は思った。
さっきまで杜王町にいた筈だ。初めて入る路地で、こんな所あったっけ?と思って進んでいたら道に迷った。
どうしようかと思った所で突然後ろから声を掛けられ、振り返ったらここにいた。そして約二時間、ずっと森の中を彷徨っている。
「ちくしょう!やっぱりあの女のせいだな!」
ここに来たとき一人の女がいた。
最初はそいつが仕掛けてきたスタンド攻撃だと思ったが、どうもスタンド使いじゃあないらしい。
だがスタンド以外の能力を持っているのは確実だ。『彼』の目の前でその女は『空中に入れた切込み』の中に消えてしまったのだ。
「やっぱり捕まえて人里への道でも聞けばよかったか………ん?」
遠くから、誰かの歌声が聞こえてきた。女の子の声で、あまり上手くは無いが何やら楽しそうに歌っている。こちらに近づいて来るようだ。
「♪~…らら?」
相手もこちらに気付いたようだ。『彼』はその子を見てある種の違和感にとらわれた。
金髪に大きな帽子、背中には妙な羽を生やしている。
だが、それは違和感の原因ではない。確かに背中に羽があるのは変だ。しかしそのクリスマスツリーの飾りみたいな羽を見れば、お遊戯会でずばり『クリスマスツリーの役』

でもやったんだろうと想像できる(絶対やりたくなけど)。
『彼』が感じたのは違和感。目の前の女の子は自分より幼く見える。だが、どうしても年上の様な気がしてならない。そんな感覚だ。
「あなた人間ね?何でこんな所にいるのかしら?この森にも人間がいるなんて知らなかったわ」
言っている事も何だかオカシイ。
だが、それよりも強く感じたのは、自分では絶対に勝てないという感覚だった。一見無害な女の子なのに、圧倒的な力の差を感じる。
もし、目の前の女の子がその気になれば直ぐにでも自分は殺される。それも気分しだいで殺される。HBの鉛筆をベキッとへし折るように…。そう感じた。
そう、こいつはさっきの女と同じ『何らかの能力』を持っている…。
普通の人間は、圧倒的な力の差を感じれば、その場から逃げ出したり、先手を仕掛けたり、相手にヘーコラして怒らせないようにするだろう…。だが、彼は違った。
「ねえ…」
『彼』が口を開く。
「お姉さん…?かな?」
「お姉さん?そうね、多分お姉さん」
「じゃあ、お姉さん…ぼくと――」

紅魔館。
屋敷の主人レミリア・スカーレットは数多くある自室の一つで紅茶を飲んでいた。
「いい香りだわ」
「有り難う御座います。」
メイド長の十六夜・咲夜が紅茶を載せてきたトレーを脇に抱えたままお辞儀をする。
「それで…見つかったのかしら?あいつは」
「残念ながら。フランドールお嬢様はまだ見つかっておりません」
「全く、吸血鬼がこんないい天気に屋敷を抜け出すなんてどうかしてるわ。で、どこに向かった判ったの?」
「部下たちの報告によりますと、妹様が地下に作ったトンネルは、湖の下を抜けて山の麓あたりまで続いているそうです。トンネル自体は既に水没。
妹様は水が入り込む前に破壊しながら進んで行ったので通り抜けられたようです」
ふぅ、とレミリアがため息をついた。
「…岩盤を破壊してトンネルを作るなんて……一体『何』に影響されたのかしら」
「お嬢様の方がお詳しいのでは?」
「あら、私が詳しいのは紅白の方よ」
「次に門番が昼寝している所を見つけたら、ナイフを刺しておきましょうか?」
「そうして頂戴」
そう言ってティーカップに口をつけるレミリア。
「お嬢様ーッ!!」
廊下の方から叫び声が聞こえる。
「噂をすれば、何とやらですね」
バダムッ!
ドアを乱暴に開けて入ってきたのは、紅魔館の門番、紅美鈴。チャイナ服から見える素脚がまぶしい。
「お、お嬢様!!魔理沙がやってきました!!…て、ぎゃああああああああ!!お尻にナイフがあああああああ!!!」
臀部を押さえてのた打ち回る美鈴。
幼な姿の主人はそんな門番を見てため息を付く。
「咲夜。うちの門番はいつから館のガイドになったのかしら?ドロボーを主人の部屋まで案内するなんて」
「おいおい、今日はまだ何にも盗んでないぜ」
ドアの所に現れたのは、見るからに普通の魔女という姿の普通の魔女。霧雨・魔理沙。
が、今日はいつの箒を手にしているが、いつもの帽子は被っていない。
レミリアは闖入者を無視して紅茶を飲んでいる。
主人に代わってメイド長が魔理沙に応えた。
「何の用かしら?お嬢様は今忙しいのよ。あなたが立っている所を逆に辿ると出口だから勝手に帰って」
「酷い言い草だな。せっかく『これ』を拾ってきてやったのに」
「『これ』?」
レミリアも興味を引かれた様に魔理沙の方を向く。魔理沙はドアの影から何かを引っ張り出した。
人だった。
「…誰?」
「あんたの妹だろ?『これ』」
それは頭に魔理沙の帽子を深く被って、力なくうな垂れているフランドール・スカーレットだった。
服は地下を通ったためか、あちらこちらにドロが付き、汚れが目立つ。
「フラン?!」
「フランドールお嬢様!!」
お尻のナイフを抜きながら美鈴が文句を言う。
「そうですよ~。妹様を連れてきたから案内したのにぃ。あんまりです!」
フランは、スカートの裾を握ってたったまま動かない。
「一体これはどういうこと…?」
険しい顔で魔理沙に問うレミリア。
「さあ?山の麓の森で泣いてたんだぜ。太陽の光があるから帰れないって。しょうがないんでツバの広い私の帽子を貸してやったわけだ」
「泣いていた?帰れない?何故?」
「私より詳しい奴に聞くといいぜ」
「どういうこと?フラン。何があったの?あなた…なんで?どうして今朝みたいに『岩盤を砕いて帰ってこなかった』の?」
黙って立っていたフラン。レミリアの問いに顔を上げた。その目にいっぱいの涙を蓄えて。
「…………」
「…何があったのか答えなさいフランドール!」
「……お姉さま~!!」
我慢していた何かが限界に達し、涙を流しながらレミリアに抱きつこうと飛び掛っていく。
と、その瞬間。
ド――z__ンッ
(危ない危ない)
止まった時の世界で咲夜がつぶやく。
(妹様に抱き付かれてはさすがのお嬢様でも危険だわ)
レミリアを抱えて安全な場所へ持っていく。
(……クンクン…お嬢様、今日はバラの香りのシャンプーね)
安全な場所に降ろし、そして。
(美鈴、長い付き合いだったけど、最後の役目よ)
と、レミリアがいた所に涙目で尻を擦っている門番を放る。
…時は動き出す。

「まだお尻がヒリヒリする~…ハッ!ここは!?うおおおおお妹様~!!」
ムギュ!
フランが美鈴に抱きついた。
「助けてくれたのね。咲夜。でも…代えの門番が必要だわ」
「左様で御座いますねお嬢様」
ぽよんッ
フランが美鈴の弾力に跳ね返された!
「きゃん!」
しりもちを付くフラン。
「……ど、どういうことよ咲夜…これは……何で…。跳ね返されてるのよ…?」
「分かりかねます…。私はてっきりバケツと雑巾が必要になるかと…」
「あんたら部下をもっと大事にしてやったらどうだ。ともかくずっとこんな調子だぜ?」
「こ、こんな調子って?」
レミリアが魔理沙を振り仰ぐ。
「見ての通りだぜ。『ありとあらゆる物を破壊できなくなった』って感じか」
「そんな…フラン!」
妹に近づく姉。そして妹の腕を掴んで立ち上がらせる。
「何があったのフラン!!どういうことよ!言いなさい!何があったのよ!!」
襟首を掴まれて揺さぶられるフラン。
「ううう~…お姉さまあああああ!!」
レミリアに抱きつき泣き出すフラン。
15分後、暖かいミルク(血入り)を飲んでやっとフランは落ち着いた。

「で、森の奥で何があったんだ?」
ちゃっかり紅茶をもらっている魔理沙が聞いた。
フランは汚れた服を着替え、高級そうなソファーに埋もれるように座っている。
そんなフランをレミリアとその脇に控える咲夜も見つめている。
尚、門番は自らの職務に戻されていた。
「…私、天気のいい日に森を散歩するって奴をやってみたくてね、森の中を歌いながら歩いていたわ。そしたら…」


フランドールは森を歩いていた。天気はいいが、深い森なので直射日光は中々届かない。
意外に清々しく気分がいいので、歌でも一つ歌いながらスキップを始めた。
「りーんーごーとー、はーちみつ、こいをした~ハウs…らら?」
何曲目かの歌を歌い出した所で、そいつに気付いた。何だか奇怪な服装のそいつに。
「ねえ…お姉さん…?かな?うん、多分お姉さん、綺麗な顔をしたお姉さん」
お姉さん…これまた何だか素敵な響きだ。ましてや綺麗な顔だなんて。自分でも整った顔立ちの自覚はあったし、容姿には自信があるほうだったがそんな風に呼ばれたのは初めてだった。
相手は人間な訳で、フランの知ってる範疇で自分より年上とは考えにくい。
「お姉さん?そうね、多分お姉さん」
そう答えた。するとその子供は言った。
「じゃあ、お姉さん…ぼくと……


   『ジャンケン』してくれない?…」



























TO BE CONTINUED……

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