「急患よ!彼は妖怪に襲われたみたいで左手から肩にかけての怪我が酷いわ。ジョルノ君よろしく頼むわね。」
「わかりました。」
「わかりました。」
銀髪の女性に呼ばれた少年は部屋に入るとすぐに負傷している村人に駆け寄った。
「先生っ!夫を頼みますっ!」
付き添い人はその村人の妻なのだろう。ヒステリックにはなっていないもののものすごく不安そうな表情で
夫の手を握って付き添っている。一旦妻には離れてもらい
目の前に運ばれた村人を容態を急いで確認する。左上腕が千切れかけていて肩の方にも噛み切られたような
傷が出来ている。気絶しているようで呼吸は非常に弱弱しい。このままじゃ失血死してしまう。
意識を集中させて自分の半身とも言える「幽波紋(スタンド)」を出現させ村人の傷口にそっと触れる。
夫の手を握って付き添っている。一旦妻には離れてもらい
目の前に運ばれた村人を容態を急いで確認する。左上腕が千切れかけていて肩の方にも噛み切られたような
傷が出来ている。気絶しているようで呼吸は非常に弱弱しい。このままじゃ失血死してしまう。
意識を集中させて自分の半身とも言える「幽波紋(スタンド)」を出現させ村人の傷口にそっと触れる。
「ゴールド・エクスペリエンス」
その瞬間まるで奇跡でも起こったように村人の左腕の怪我はたちまち元に戻り、肩の傷も同様に完治している。間に合ったか。
付き添っていた村人の妻は涙を流しながら夫に抱きついて、その反動で夫は未だ残っている激痛を増幅させてのた打ち回っていた。
夫もその痛みで意識を取り戻したみたいだ。コントみたいな荒療治。少年はふぅ…と一息ついて、
付き添っていた村人の妻は涙を流しながら夫に抱きついて、その反動で夫は未だ残っている激痛を増幅させてのた打ち回っていた。
夫もその痛みで意識を取り戻したみたいだ。コントみたいな荒療治。少年はふぅ…と一息ついて、
「まだ痛みは残っていますが怪我を治療して血液も補充しておきました。痛みが残ってるうちは安静にしていてください。
それと傷は治療しましたが感染症があるかもしれませんので後ほど永琳先生に診てもらって下さい。それでは失礼します。」
それと傷は治療しましたが感染症があるかもしれませんので後ほど永琳先生に診てもらって下さい。それでは失礼します。」
説明を加えると村人の夫婦は涙を流しながら
「ありがとうございます!評判どおりのすばらしい先生だ!」
本当に大袈裟に少年を褒め称えた。妖怪や幽霊などの魑魅魍魎が跋扈するこの幻想郷では、いささか大袈裟すぎる。
悪い気はしないのだが何時から僕は神になったのだろうか…
部屋から騒がしい村人が居なくなって軽く一息つくと、詐欺ウサギが持ってきてくれた緑茶を啜る。飲み終えると立ち上がり
背伸びをして軽く体を捻りストレッチをする。少年は物思いにふける様に半年前の事を思い出していた。
ギャングスターを目指していた自分が別の世界で医者ごっこをしているのだ。齢10代にして人生と言うものは
不思議極まりない事を改めて実感する。本当に摩訶不思議。
悪い気はしないのだが何時から僕は神になったのだろうか…
部屋から騒がしい村人が居なくなって軽く一息つくと、詐欺ウサギが持ってきてくれた緑茶を啜る。飲み終えると立ち上がり
背伸びをして軽く体を捻りストレッチをする。少年は物思いにふける様に半年前の事を思い出していた。
ギャングスターを目指していた自分が別の世界で医者ごっこをしているのだ。齢10代にして人生と言うものは
不思議極まりない事を改めて実感する。本当に摩訶不思議。
「明日も天気がよければいいが。」
血のように紅い夕日を眺める。もう少しでこの紅は夜の漆黒に塗りつぶされるであろう。
本来この幻想郷に居るはずのない少年。これは後に幻想郷で現人神の一人と称えられる少年の物語である。
本来この幻想郷に居るはずのない少年。これは後に幻想郷で現人神の一人と称えられる少年の物語である。
半年前
「ここは……どこだ…?」
目を覚まして起き上がるとそこは仲間の亀の中ではなく竹林の中であった。
自分は確か全身スーツの冷気を操るスタンド、ホワイトアルバムとの戦闘でDISCをゲットして亀の中で仮眠していた筈。
だが周りにはブチャラティやトリッシュ。他の仲間も見当たらない。敵スタンド使いの攻撃か!?
周りを確認してみるが攻撃的な気配は一切感じない。ただ透き通るように風が竹林を通り抜ける。
竹やぶが生い茂っていてこんな場所は見た事がない。少なくともイタリアではないであろう。
状況がまったく把握できていない。他の私物は自分が着ている服に入っている財布とハンカチとライター位で他には何もない。
幸いまだ昼だから視界は明るい。が、いつまでもここにいるわけにもいかないだろう。しかしどうしたものか…
自分がなぜ、どのような理由でこんな所に居るのかは定かではないが立ち止まっていても仕方がないのだ。
自分は確か全身スーツの冷気を操るスタンド、ホワイトアルバムとの戦闘でDISCをゲットして亀の中で仮眠していた筈。
だが周りにはブチャラティやトリッシュ。他の仲間も見当たらない。敵スタンド使いの攻撃か!?
周りを確認してみるが攻撃的な気配は一切感じない。ただ透き通るように風が竹林を通り抜ける。
竹やぶが生い茂っていてこんな場所は見た事がない。少なくともイタリアではないであろう。
状況がまったく把握できていない。他の私物は自分が着ている服に入っている財布とハンカチとライター位で他には何もない。
幸いまだ昼だから視界は明るい。が、いつまでもここにいるわけにもいかないだろう。しかしどうしたものか…
自分がなぜ、どのような理由でこんな所に居るのかは定かではないが立ち止まっていても仕方がないのだ。
「とりあえず人を探そう。人間がいればいいが…」
金髪の少年、ジョルノ・ジョバーナは自身のスタンド、ゴールド・エクスペリエンスを発現させ
周りを探索し警戒するように竹やぶの奥へと進んでいった。
なんとしてでも仲間の元へ帰らなければならない……
周りを探索し警戒するように竹やぶの奥へと進んでいった。
なんとしてでも仲間の元へ帰らなければならない……
ジョルノが迷い込んだのは迷いの竹林と呼ばれている竹林でありジョルノが知る由もないのだが
この竹林は普通に入り込んでも方向感覚が麻痺して必ず迷ってしまう。
そしてこの竹林でジョルノは未知との遭遇を果たす事になる。
この竹林は普通に入り込んでも方向感覚が麻痺して必ず迷ってしまう。
そしてこの竹林でジョルノは未知との遭遇を果たす事になる。
何時間歩いたのだろうか。疲労が出てきたのか少し息苦しい。汗で服や下着がへばりつくのがわかる。
かなり奥のほうに来てしまったらしく完全に迷っている。方位磁針もないから方角すらわからない。
夕焼けで空が紅く染まり始めている。日が落ちる前には何とか抜けなければ…
しかし体力的に休まなければキツイな……
かなり奥のほうに来てしまったらしく完全に迷っている。方位磁針もないから方角すらわからない。
夕焼けで空が紅く染まり始めている。日が落ちる前には何とか抜けなければ…
しかし体力的に休まなければキツイな……
とりあえず一休みしようとした時だった。何やら女の子がすすり泣く様な声が聞こえる。
声を頼りに探すと、女の子はすぐに見つかった。唸るような声を出して蹲っている。
ジョルノは警戒こそ怠らないようにその女の子に近寄り声をかけようとして……
声を頼りに探すと、女の子はすぐに見つかった。唸るような声を出して蹲っている。
ジョルノは警戒こそ怠らないようにその女の子に近寄り声をかけようとして……
「大丈夫ですか?何か怪我でもしてい……」
目を疑った。ウサギの耳!?
「だ、大丈夫じゃないよ……痛いよぉ…ひっぐっ…鈴仙めぇ…!」
その少女には黒髪の上にひょっこりとウサギの耳が生えており泣きながら少女は足を押さえて蹲っていた。
ひょこひょこと動いている兎の耳に、ジョルノは唖然としつつも少女の耳にそっと触れてみる。
ひょこひょこと動いている兎の耳に、ジョルノは唖然としつつも少女の耳にそっと触れてみる。
「ひゃあっ!!な、何するんだよーー!!」
「本物!?君は一体何者なんです?」
「何さ!名前を名乗る時は自分からでしょ!あ、痛ッ!!」
「本物!?君は一体何者なんです?」
「何さ!名前を名乗る時は自分からでしょ!あ、痛ッ!!」
スタンド使いなのだろうか。だがこの少女にはゴールド・エクスペリエンスが見えている様子は一切ない。
少女はまた蹲る。よく見ると近くにはかなり浅い落とし穴が幾つかあり、深くはないものの足を
引っ掛ければ簡単に骨折してしまいそうな、そんな落とし穴だった。石も故意にぶつける様な場所に配置されている。
少女はまた蹲る。よく見ると近くにはかなり浅い落とし穴が幾つかあり、深くはないものの足を
引っ掛ければ簡単に骨折してしまいそうな、そんな落とし穴だった。石も故意にぶつける様な場所に配置されている。
僕は引っかかっていなくてよかった。
「ちょっと診せて下さい。これは骨折してますね。そこの穴にはまったんですか?」
少女の左足は足首の所がパンパンに腫れており関節の向きもあらぬ方向へと曲がっており
その左足のふくらはぎはすぐそばの石に強打したのか抉れて骨が見えてしまっている。少女は苦しそうに頷く。
その左足のふくらはぎはすぐそばの石に強打したのか抉れて骨が見えてしまっている。少女は苦しそうに頷く。
「うう……そうだよ…走ってそこに躓いて石に…これも全部鈴仙が悪いんだもん!あうっ!痛いぃ…」
「ほらほら動かないで。動かないで下さいね。」
女の子をなだめる様に優しく、そして丁寧に地面に仰向けで寝かせると
ポケットのハンカチを取り出した。ハンカチでひとまず涙を拭いてあげる。
「ほらほら動かないで。動かないで下さいね。」
女の子をなだめる様に優しく、そして丁寧に地面に仰向けで寝かせると
ポケットのハンカチを取り出した。ハンカチでひとまず涙を拭いてあげる。
「これから曲がってしまった足を元に戻します。今以上に痛みは来るでしょうから
そのハンカチを噛んでいて下さい。」
「やぁ!痛いのやだぁ!」
「今修正しないと一生まともに歩けなくなりますよ。さあハンカチを噛んで。」
「だ、大丈夫だよ。私妖怪だしこの位すぐに「駄目です。ほら噛んで。」う゛う゛!!うぐぅ゛っ!!うううーーーーーー!!!」
そのハンカチを噛んでいて下さい。」
「やぁ!痛いのやだぁ!」
「今修正しないと一生まともに歩けなくなりますよ。さあハンカチを噛んで。」
「だ、大丈夫だよ。私妖怪だしこの位すぐに「駄目です。ほら噛んで。」う゛う゛!!うぐぅ゛っ!!うううーーーーーー!!!」
ゴキャッ!
「う゛う゛う゛ーーーーーーーーーーッ!!!!」
ウサギ耳の少女は激痛の所為か、そのまま気を失った。
数分後、ハッ!ウサギの少女は目を覚ました。
「どうやら大丈夫みたいですね。」
「アンタはさっきの金髪の人間!さっきはよくも……あれ?足が治ってる!?」
「ああ、足の骨折とふくらはぎの損傷は治療しました。といってもパーツを作っただけですから。
血液も補充しましたがしばらく痛みは残ります。」
血液も補充しましたがしばらく痛みは残ります。」
もう一度自分の足を確認してみる。痛みはあるが動くのに支障はない。
「一体どうやって……えっと、治してくれてありがとう……じゃなくてすごく痛かったんだからね!」
「最初に痛いと言ったでしょう。今更ですよ。」
「最初に痛いと言ったでしょう。今更ですよ。」
ジョルノはペースを崩さずいつものように平然と喋る。それに頭に来たのか女の子は
涙目で手をプルプルさせながら顔を真っ赤にして怒る。怒る怒る。
「何よ何よ!人間の癖にっ!!妖怪なめんなぉ!!」
「妖怪……?」
「そうよ。妖怪だもん。さっきも言ったでしょ。」
涙目で手をプルプルさせながら顔を真っ赤にして怒る。怒る怒る。
「何よ何よ!人間の癖にっ!!妖怪なめんなぉ!!」
「妖怪……?」
「そうよ。妖怪だもん。さっきも言ったでしょ。」
先ほどからぴょこぴょこと動く兎の耳の自己主張を見ていると
妖怪でも不思議ではない。半信半疑だが疑っても信じてもどちらにしろ意味はあまりない。
少なくとも今は。
妖怪でも不思議ではない。半信半疑だが疑っても信じてもどちらにしろ意味はあまりない。
少なくとも今は。
「さて、助けたお礼と言ってはなんですがお願いがあります。」
「勝手に助けたくせにいけしゃあしゃあとぉ!こんにゃろめ~!!」
「ハイハイ。とりあえずこの竹林から出る方法を知りませんか?後寝床を確保するために宿などがあれば
そちらも教えてほしいですね。」
「うう~~コイツ調子狂う。まあいいわ。お礼をしっかりするわよ。兎の道に反するもの。いててっ!」
「勝手に助けたくせにいけしゃあしゃあとぉ!こんにゃろめ~!!」
「ハイハイ。とりあえずこの竹林から出る方法を知りませんか?後寝床を確保するために宿などがあれば
そちらも教えてほしいですね。」
「うう~~コイツ調子狂う。まあいいわ。お礼をしっかりするわよ。兎の道に反するもの。いててっ!」
兎の道?
「ありがとうございます。それでは案内お願いしますね。」
そう言い終えるとジョルノは黒髪の女の子を持ち上げて自分の肩に乗せるように持ち上げた。
世に言う肩車である。
世に言う肩車である。
「わわ!何すんのよアンタ!!きゃっ!!変態!!変質者!!」
「まだ痛いんです。相当な傷でしたからまともに歩けないはずですよ。僕がおぶりますから案内お願いしますね。
それと付け足しておきますが、僕は子供の体で興奮するような性癖は持っていないので。」
それと付け足しておきますが、僕は子供の体で興奮するような性癖は持っていないので。」
「ば、馬鹿にしてぇ!なにさ。アタシはアンタよりずっと年上なんだからね!このコロネ頭!」
「肉体年齢は小学生でしょうに。それに僕はコロネではありませんよ。ジョルノ。
ジョルノ・ジョバーナです。あなたのお名前は?」
ジョルノ・ジョバーナです。あなたのお名前は?」
「変な名前。私はてゐ。因幡てゐ。あ、そこ左に曲がってね。」
てゐの言い草にもまったく気にする様子もなくジョルノは歩を進める。
テクテクとゆっくりと歩いていく後姿はまるで肩車をしている兄妹のようでもあった。
テクテクとゆっくりと歩いていく後姿はまるで肩車をしている兄妹のようでもあった。