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幻想郷の奇妙な物語 第九話

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shinatuki

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 少女は意識を取り戻した。しかし柔らかく暖かい誰かの手の温もりにまどろみから抜け出せずにいた。だがそれも僅かなもの。
 その腕に抱いたはずの小さな温もりがないのだ。気だるく動かすのも億劫な体を何とか起こし、それを探そうと試みた。そんな彼女を側に座っていた誰かが優しく嗜める。
 毛布に包まれてスヤスヤと寝息を立てて眠る子狐を優しく少女に抱かせる。彼女は見た。目にも鮮やかな紅い髪の女性を。そして意識は再び闇の中へと消えていった。

「美鈴、レミィが呼んでいるわ。この娘と子狐は私が見ておくから」

 軽くノックをしながらパチュリーが部屋の中へ入ってきた。

「あ、はい。わざわざどうしたんです? 珍しいですね、小悪魔にでも任せればいいじゃないですか」
「知らないわよ。何処かへ行ったきりだし……いいから早く咲夜の暴走を止めてきて」
「暴走って、何をしているんですか?」
「オムツ持ってはしゃいでいるの。訳が分からないわ」
「そうなんですか。ところでパチュリー様、哺乳瓶持ってないですか?」
「持っているわけないでしょう……そういえば咲夜がおむつと一緒に持っていたわね」
「それでは鎮圧ついでに哺乳瓶を回収してきます。パチュリー様、後のことよろしくお願いしますね」
「ええ、所で一緒に来た妖精コンビはどうしているの?」
「チルノと大妖精ですか? メイドの妖精たちと遊んでいますよ」
「そう、わかったわ。また串刺しにならないように気をつけてね」
「あははは、善処します」

 美鈴はパチュリーに少女と子狐の世話を任せると大きく息を吸い込み、レミリアの部屋へ向かった。



「お嬢様、ハァハァ」
「うーうー」

 レミリアの自室では絶賛咲夜が暴走中であった。

「ほーらお嬢様、私の胸の谷間で温めたミルクですよー」

 それは真実か否か。それは兎も角、オムツを穿かされたレミリアは、うーうー言いながら必死に咲夜に抵抗していた。ここで哺乳瓶を口にしたらカリスマがどうという問題でなくなる。

「はい、咲夜さん、自重しましょうねぇ~」
「め、めーりんッ! うーうー♪」

 レミリアに萌えすぎた咲夜はこっそり部屋に入った美鈴の姿に気付けず、彼女の奇襲を受けることになる。
 ドムっという鈍い音と共に崩れ落ちる咲夜。それでも意識を失わないのは、今のレミリアの姿を一秒でも長くその眼に焼き付けたいという愛が強いからだ。

「め、美鈴、やってくれるわね」

 涙目になり、うーうー言いながら美鈴にギュッと抱きつくレミリアの姿を心底羨ましそうに眺めながら捨て台詞を吐く瀟洒なはずのメイド。

「レミリアお嬢様も泣かない。換えの下着を持ってきましたからオムツを脱ぎましょうね」

 レミリアはコクリと小さく、そして可愛らしく頷くとベッドの上に横になった。
 そして咲夜は目にしてしまった。美鈴の神業ともいえるオムツ換えテクニックを!

「は、速いッ!」

 それは10秒にも満たない速度、しかもベッドのシーツは一切汚れず、且つ、オムツからドロワーズに換えられるレミリアを一切不快な思いをさせないのだ!

「ぱ、パーフェクトね美鈴……正直負けたわ」

 レベルが違いすぎる。咲夜は負けを認めざるを得ない。褒められて満更でもない美鈴は照れながらも答えた。

「いやぁ~久しぶりだったんですけどね。伊達に百年以上もお嬢様のオムツを換えていないですよ」
「そんな謙遜しなくてもって百年ッ!?」

 ちょっとしたカミングアウト。これに慌てたのは他でもないレミリアだ。

「美鈴! 何言っているのよ! そ、そんなにオムツしてないじゃない!」
「そうでしたっけ? でもおねしょが直らなくて寝る時だけずっとしていたじゃないですか」

 懐かしいなぁと穏やかな顔で過去を懐かしむ美鈴。対照的に顔を真っ赤に染めて大声を立てるレミリア。
 そんな彼女達を眺めながら咲夜はふと疑問に思ったことを口にした。

「妹様……フランドールお嬢様はどうだったの?」
「ああ、フランドールお嬢様ね。オムツが取れるのはレミリアお嬢様より早かったけど癇癪とかがすごくて手が物凄くかかったんですよね」

 今ではいい思い出ですよと語る美鈴。そんな彼女の手を咲夜はガシっと握り締める。

「貴方とはいいお酒が飲めそうね。今夜お酒を飲みながらじっくりとお話を聞かせてもらえないかしら」
「だ、ダメー! ダメよ美鈴! それ以上口にしたらダメッ! クビよクビッ!」
「チッ」
「そこ舌打ちしないッ! いいから美鈴ッ! クッキー焼いてきなさい! これは命令よッ! さっさと行きなさーい!」
「お嬢様、クッキーでしたら私が焼きますよ」

 美鈴にクッキーを作れと命じるレミリアにそれは私の仕事だと告げる咲夜。だが彼女はブンブンと首を横に振る。

「やだー! めーりんのお菓子が食べたいのー!」
「全く、レミリアお嬢様も我侭ですね。でもクッキーかぁ……百年ぶりくらいかな?」

 封印すべき過去の話とは言え、昔のことを思い出し、美鈴に菓子を作るように命じたのだ。美鈴も美鈴で、久しぶりと呟きながらもその表情は嬉しそうだ。
 それは咲夜にとっては初耳だった。自身が紅魔館に来る以前にある程度美鈴がレミリアの世話をしていたことは予測できていたが、まるで今の自分の様にレミリアの世話をしていたことがあるとは想像にもしていなかった。

「あ、咲夜さん。久しぶりなので作るの手伝って貰えません?」
「え、ええ。それはいいけど……」
「レミリアお嬢様、クッキーが焼き上がるまでいい子で待っていて下さいね?」
「は~い♪」
「ん? 咲夜さんどうかしましたか?」
「……クッキーを作る時でいいからちょっと色々聞かせてもらっていいかしら?」
「別に構いませんよ。さぁ行きましょうか。あ、そうだった。この哺乳瓶を借りますね」
「いいわよ」
「では咲夜さん、先に厨房に行っておいて下さい」

 一足先にレミリアの部屋から退いた彼女を見送ったレミリアは嬉しそうに呟いた。

「めーりんのくっきー♪ うーうー♪」

 咲夜は美鈴にちょっと嫉妬した。
 それにしてもレミリアがカリスマを取り戻すのには今しばらくの時間が必要になりそうだ。

 草木も眠る丑三つ時、甘くて香ばしい匂いが紅魔館に漂う。思い思いに仕事をしていた妖精たちは手を止めその香りの元を思い浮かべる。
 いつもと違うけどおいしそうな匂い。今日のお菓子はクッキーね。妖精たちは語り合う。懐かしい香りに心を弾ませる。
 それは当然少女の寝ている部屋にも薄っすらと忍び込み、彼女のお腹を擽る。くぅ~という可愛らしい音と共に彼女は目を覚ました。

「お腹が空いたわ」

 ベッドから体を起こし、その匂いの元を探ってはみるものの食べ物はその部屋には見当たらない。唯一口に含めそうなものはといえば、柔らかそうな布に包れて幸せそうに眠る子狐の横に無造作に置かれた哺乳瓶に残っているミルクだけだ。

「きつねさん、あなたはお腹一杯なのね」

 優しく、子狐を抱きかかえると、よろよろと危なげな足取りで部屋を出て行く。
 扉を開ければそこには先ほどにも増して香ばしい匂いが漂っている。スンスンと可愛らしく匂いを嗅ぐとフラフラと匂いの元へと歩みだした。
 傍から見ればとても危なっかしい。当然その姿をみた美鈴は声をかけずにはいられなかった。

「あ、起きたんだね。それにしても危なっかしいなぁ」
「ふぇ? あ、おはようございます?」

 まるで友人にでも話しかけるかのように声をかけてくる美鈴の姿に、少女は返事を返しながらも頭に疑問符を浮かべていた。

「えーと……」
「こんばんは。初めましてでいいのかな? 私は紅美鈴。ここの門番をやっているよ」
「あ、初めまして。私はマエリベリー・ハーン。親しい人はメリーって呼びます」
「そう、じゃぁメリーさん、そんなに気張らなくていいよ。調子はどうだい?」
「そ、そう……なの? あ、あの、ここはどこ? それと……」
「まぁ落ち着いて。その事を踏まえてお嬢様が、貴方にお話がしたいそうです」
「話って?」

 メリーが質問を美鈴に投げかけたその時、彼女のお腹がまたしても可愛らしくも大きな音で空腹を訴えたのだ。

「あ、えっと……これは……」
「あはは、お腹が空いたんだね。それで足元が覚束無いんだ。お嬢様の部屋にはお菓子があるからね?」

 美鈴はそういうと羞恥心から顔を紅くしているメリーを抱きかかえる。俗にお姫様抱っこと呼ばれる抱え方だ。

「め、美鈴さん!?」
「危なっかしいからこうさせて貰うよ」

 目を丸くして驚くメリーにどうってことないと笑いながらレミリアの下へ連れて行く美鈴。メリーが降ろしてと頼むも彼女は笑ってばかりで取り合わなかった。
 そんな事をしている間にレミリアの部屋の前へと着いてしまった。当然その扉は閉まっている。扉を開けるには、常識的に考えれば抱えているメリーを降ろさねばらない。
 しかし美鈴はそうしなかった。その理由を尋ねたら彼女はきっとこう答えるだろう。『めんどい』と。
 つまり彼女はメリーを抱えたまま扉を開けたのだ。その方法は『脚』だ。スリットから伸びる美鈴の美しい脚、それがスッとドアノブに伸び、起用に回す。そしてそのままゆっくりと押し開ける。

「ちょっと美鈴! はしたないでしょ!」

 メリーを抱えた美鈴に浴びせられたのは咲夜の咎める声。それを彼女は笑って誤魔化す。
 一方の椅子に腰掛け思慮深げにしているポーズを取っていたレミリアはそんな美鈴の姿を見ると目を見開いて大きな声で怒鳴るのだ。

「あー!? 何抱っこしているの! いいなー、その子ばっかりずるいッ!」
「お嬢様?」
「うー? コホンッ。美鈴、その子をそこに座らせなさいな」

 レミリア=(イコール)カリスマ。まるで何も無かったかのように振舞う。

「ようこそ、紅魔館へ」
「紅魔館?」
「そう、この館の名前よ。聞き覚えはないかしら? まぁその辺りも含めてお茶でも飲みながら話をするさね」

 レミリアが咲夜の名を呼ぶといつの間にかメリーと彼女の目の前に紅茶の入ったカップが置かれていたのだ。ちなみに『咲夜さん、私のは?』という美鈴の声は無視された。
 それだけではない。テーブルの上には花の生けられた花瓶しか置いていないのにそれがクッキーの盛られた皿に変わっていたのだ。

「こ、これって……」
「ちょっとした座興ね。あの時と全て同じでは詰まらないでしょう?」
「あの時?」
「そう、そこからね。一つ聞くわ。メリーにとって私は初めましてかしら? それとも久しぶり?」
「何を言っているの? それに私の名前をどうして……」
「私はその狐は知らない。貴方も咲夜を知らない。だけど私は貴方を知っている。それで、貴方は私を知っているの?」

 もはやそこには先ほどの幼さなど微塵もなかった。全てを見通すかのようなその目には見るものに威圧感を覚えさせるレミリアの姿があった。
 彼女の問いにメリーはすぐに返答でない。

「答えられない?」
「ご、ごめんなさい」

 その口調は問い詰めるでもなく、怒るわけでもない。何かその様子を楽しんでいるように感じられる。

「いいのよ。だって怪我をしているんだもの。具合はどうかしら?」

 レミリアに言われようやく頭に包帯が巻かれていることに気付いた。思わず手を頭にやる。もはや痛みなど感じない。

「ふーん。その様子だと包帯を外してもよさそうね」
「あーお嬢様?」
「美鈴、どうしたの?」
「傷跡が完全に無くなるまではそのままに、メリーさんも傷にあんまり触らないでね」
「そうなの? そんなことより紅茶はどう? まともに淹れた咲夜の紅茶は美味しいんだから」

 砂糖を混ぜ、グルグルと紅茶をかき回す。レミリアもメリーの様子を見ながら自らの紅茶に砂糖を落とした。

「ほら、クッキーも食べなさいよ」

 レミリアに促され紅茶を口に含む。そしてクッキーを齧る。

「どう? 美味しいでしょう」
「そうね。レミリアさんは食べないの?」

 レミリアの名前は彼女の口から自然とこぼれた。それを見届けるとレミリアは不敵に笑う。

「貴方は私の名前を知っている……そしてこの館も」
「え、ええ」
「改めて言うわ。久しぶりね、メリー」
「そ、そうね」

 何かを思い出したのか、ソワソワと落ち着きがない。

「わ、私は」
「落ち着きなさいな。慌てても何も答えは出ないわ」

 レミリアは紅茶を啜りながら静かに諭す。

「何年ぶりかしらね?」
「あ、その……」
「私達にとっては数百年振りであり一月振りでもある。理解できて?」

 その問いには首を横に振らざるを得ない。レミリアはそんな彼女の様子に落胆するでも咎めるでもなく、まるで理解できなくて当然とでも言うような口調で尚も話を続ける。

「この美鈴の焼いたクッキー……貴方はここで食べるのは二度目であり初めてでもある」
「言っていることが分からないわ」
「そうよね。では話を変えましょう。貴方は誰なの?」
「私はマエリベリー・ハーン。貴方と会うのは二度目のはずよ」
「ふーん……そうなんだ。私はレミリア・スカーレットよ」

 レミリアは一体何を言わんとしているのか。その真意はメリーだけではなく、その場にいる咲夜や美鈴にさえも分からない。全てを見通すのはレミリア、彼女ただ一人。

「所でそれは何?」

 レミリアの指差すもの。それは彼女の腕に抱かれた子狐だ。
 口を開いて何か言葉を発しようと試みるも上手くいかない。メリーはその子狐が愛すべき、守るべき大切な『家族』であると心で感じていた。なのにその子狐がなぜ家族なのか、守らねばならないのか頭では理解できない。

「答えられないの?」

 それは恥ずべきことに覚えた。大切な存在なのにその名も知らないことが非常に辛く、悲しくなってきた。レミリアの問いに、彼女は俯いて黙りこくってしまう。

「知っているよ。その子狐」

 メリーは驚いて顔を上げ、レミリアの顔を見詰める。しかしレミリアは彼女が言葉を発するよりも先に言葉を紡ぎ、それを遮る。

「でも教えて上げない」
「どうして!?」

 声を少し荒げて問うもレミリアは一切動じない。

「貴方は知らないのでしょう? だったら知るべきではないの。だってその子は貴方とは出会わない。貴方は未来であり過去である」

 レミリアはクスクスとからかうかのように笑い、尚も言葉を紡いだ。

「ここでメリーに問題です。貴方がここに来た原因は何でしょうか? さぁ答えなさい」
「え? あの時のように夢……夢を見ているのかしら?」
「ぶぶー、残念。当たりではずれよ」
「当たりではずれって……答えは何なの?」
「それはね……うん、紅茶のお代わりはどう?」
「いらないわ。それよりも答えを教えて」
「ねーねー美鈴、今度は貴方がお茶を淹れて!」
「畏まりました」

 美鈴は恭しくお辞儀をするとその部屋から出て行った。メイド服さえ着ればメイドそのものと言っても過言ではない、慣れた仕草であった。
 レミリアはそんな彼女の様子を見届けると話を続ける。

「夢は過去や願望を映すもの、貴方は始めて幻想郷に来た時に、懐かしさを覚えていて?」
「いいえ、とっても新鮮だったわ。正直言って、こんな世界がこの世に存在するとは夢にも思わなかったわ。あ、でも夢で見たのよね」
「そう、この幻想郷はこの世界に確かに存在する」
「では私は神隠しにあったとでも言うの?」
「神隠し! 貴方がそれを言うの!? ククッ、あははっ!」

 面白いと言葉に出す代わりに腹を抱えて笑い転げる。だがメリーはそんな彼女の様子に頬をプゥッと膨らませて不平を言う。

「もう、急に笑っちゃって……私、何か面白いことを言ったの?」
「だって、主犯が、ぷぷッ、か、神隠し、あはっ」
「お嬢様、そんなに笑ってどうなされたんです? 紅茶が入りましたよ」

 部屋に戻った美鈴が紅茶を新たに注ぐ。それを口に含み、ようやく笑いが収まったようだ。美鈴はメリーに一声掛けると彼女のカップにも新たに紅茶を注いだ。

「あー面白かった。えーと何処まで話をしたっけ?」
「幻想郷はこの世に確かに存在する、と言う所までお話になられました」

 レミリアの傍らに立つ咲夜が彼女に小さく耳打ちをする。

「あーそうだった。幻想郷は確かに存在する。うん、あの時の貴方は夢を見ていた。過去のね」
「過去……?」
「厳密に言えばあの時の貴方にとって今も過去、過去の夢。でも今は違う。今の貴方は過去の未来の幻影」
「よく言っている意味が分からないわ。……私の前世はこの幻想郷で暮らしていた人ってことかしら?」
「そうであり、そうでない。あの時ならばそれで大よそ正解だったけれどね」
「今は違うと?」
「そう、今の貴方は現(うつつ)であり幻。そこにいてそこにいない」
「もっと分かりやすく言ってもらえない?」
「理解する必要はないの。いえ、理解してはいけないの。だってそれは幻想郷を滅ぼしてしまう」
「どうして?」
「今はただ黙って聞きなさい。八雲紫。彼女は幻想郷の要、いえそのものよ。幻想郷は八雲紫に始まり八雲紫に終わる。博霊の巫女以上に不可侵的な存在よ。でも今の貴方は知らないわよね」

 彼女は一人云々うなり、納得していた。

「蓬莱の薬を服用していなければ、妖怪といえども不老不死とはいかない。果てのない話とはいえ、いつか力は衰える。操る程度が見える程度になったりね」
「ちょっといい? 貴方の話は蓮子と違って抽象的過ぎて分からないわ」

 メリーの問いにレミリアはとても良い笑顔を浮かべて答える。

「うん、だってそれが目的だもの」
「真実を語って、真実を理解させないのが目的?」
「御名答、だってこんな曖昧で混沌とした言葉遣いは、あな……いえ、紫の性分よ。私はただ真似て遊んでいるだけ」
「貴方にとって私は遊び相手?」
「メリー、それは違うわ。私は運命を知っているだけ。全ての行き着く先が見えているの」
「それって面白くないわよ。だって犯人が分かっている推理小説を読んでいるようなものでしょう?」
「それは少し違うよワトソン君。読み終わった推理小説を読むのと同じ感覚よ」
「何も知らない登場人物の行動を、全てを知る神の様な視点で眺めるっていうの? 悪趣味じゃないかしら」
「あらそう?」
「知らないことが分かっていくのが楽しいんじゃない」
「それも一理あるわね。咲夜はどう?」
「え? 私ですか? そうですね」

 突然話を振られた咲夜は指を唇に当てて少し悩みながら答えた。

「そのような本を読まないからわかりません」



第⑨話

かりすまれみりあ、うー♪
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