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夜間潜行

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夜間潜行 ◆L62I.UGyuw




ゴルゴ13。
世界最高の狙撃手。
ありとあらゆる依頼をこなし、その遂行率はほぼ100パーセント。
ゴルゴ13を敵に回して生き延びた者はいない。
一国の大統領。世界を裏から牛耳る大富豪。科学の粋を集めた究極の兵士。人の思念を読む超能力者。
そして機械仕掛けの神ですら、彼に十字架にかけられる運命を辿った。


ゴルゴ13の行動目的は単純にして明快。
首輪を外し、主催者たちの居場所を突き止め、報復する。
そのためにはまずは情報を集め、装備を整える必要がある。それも迅速かつ慎重にだ。

実を言えば、当初彼は南に存在するはずの市街地へ真っ先に向かう予定だった。
無論、多くの参加者が集う可能性が高い街というフィールドは、その他の場所に比べると危険度が高い。
あの開始前の奇妙な空間に居合わせた他の参加者たち。
姿形は判らなかったが、気配だけで『プロ』であると判断できる者たちも混じっていた。
そしてムルムルと呼ばれた少女はこうも言った。

『身体の動きが鈍いと感じているものはおらんか?』

少なくともゴルゴ13の身体に異常はない。
これはすなわち彼を超える、すなわち人間の限界を超える身体能力の持ち主が存在することを意味する。
彼らと遭遇した場合、ゴルゴ13といえども無事で済む保証は無い。
それでもこの状況を打破するためには街を無視して行動することはできないだろう。
何より――街の状況はおそらく時間が経てば経つほど悪化するはずだ。
ならばなるべく早い段階で市街地を探索しておくべきである。
それがゴルゴ13のゲーム開始直後の判断だった。

しかしウィンリィ、ルフィとの情報交換を通じて異世界の情報を得た彼は、方針を変えた。
異世界の存在を仮定した場合、まず真っ先に確認しておくべきことがある。すなわち、ここは一体どういう場所なのか、である。
今までは主に植生を頼りに、東シナ海に位置する島であろうと推測していたが、もはやその推測は当てにならない。
それだけならまだしも、街が全く未知の技術、文化に基いたものであった場合、取るべき行動は全く違ったものとなる。
仮に南方の街がまるで勝手の分からない施設に満ち溢れたものだったらどうなるか?
それは彼の知る『街』になら確実に転がっているはずの数々の道具――それらは彼にかかれば時には強力な兵器にすらなり得る――が存在しない可能性を示唆する。
設備の扱い方を知らぬが故に自滅する破目に陥るかもしれない。
街のルールを知っている者にとってのみ、街は街の機能を果たすのだ。
故に、そのルールを知る者から情報を得ない限り、未知の街に進入することは自殺行為となりかねない。
特に街中での戦闘は絶対不利と考えて間違いない。
そう考え、ゴルゴ13はまず地図上で最も近い人工物――教会へと歩を進めていた。



*****

ぱきり、と小枝を踏み折る音。
風が吹くたびにざわざわと葉が擦れあう。
視界のほとんどを埋め尽くす漆黒の木々は、この先の運命を暗示するかのよう。

木々の合間から漏れる頼りない月明かりを頼りに、二人の少年が森の奥へと分け入っていた。

「あのさ、そういえば」
深くなってきた森を背景に少年の片割れ――安藤が不安そうな声を出す。
「何だ?」
安藤よりも少し幼い外見の少年――鳴海歩はそっけなく応える。
「いや、自分で提案してておいてこう言うのもなんだけど……大丈夫かな?」
「何が?」
「よく考えたら森の中の神社なんて簡単に見つかるのか? ……今も暗くて周りがほとんど見えないんだけど」
深夜の森は安藤の考えていたものよりずっと深い闇に包まれていた。彼の不安はもっともだ。
「まあ、簡単には見つからないだろうな。それどころか俺たちが森から迷わず出られるかも怪しい」
定期試験の難易度を語るかのような気軽さでとんでもない発言をする歩。
焦る安藤。それを察して歩は続ける。
「だが今回に限ればそれほど心配はいらない。神社は山のほぼ頂上にあっただろ? だからとにかく上へ向かえば自ずと神社の近くに着くはずだ。
 その頃には十分明るくなってるはずだから、ちょっと探せばすぐ見つかるさ」
もちろんこれには、途中で誰にも遭遇しなければ、という但し書きがつくのだが。
「あー、なるほど、そりゃそっか。……やっぱりすごいな、鳴海は」
「あいにく褒めたって何も出ないぜ」
その憎まれ口に弟の姿が重なり思わず苦笑する。
そう、どれだけ頭が切れようとも、歩もまたただの学生に過ぎないのだ。
この少年を守らなくては。安藤は「兄」としてそう決意した。



*****

暗闇に包まれた森。その木々の間を淀みなく動く影が一つ。

(……確かに教会はあった。少なくともまるで出鱈目な地図というわけではないようだな……)
ゴルゴ13は既に頭に叩き込んだ地図と、教会周辺の情報を照らし合わせながらそう考えた。
待ち伏せの可能性を考慮して教会に接近することは避けたが、それでも必要十分な情報は手に入った。
(教会は一般的なカトリック式のものだった……そして北の沿岸灯台と道のアスファルト舗装……加えて星の配置……)
結論としては、ここは彼のいた地球か、それに非常に近い世界であると考えて間違いないようだった。
(ならば次は街、だ。日が昇らぬうちに、森との距離が近い箇所から侵入すべきだろう……)

夜の山森は普通の人間にとっては大きな障害となる。
草木による天然の障害物。方向感覚の消失。暗闇への恐怖。
これらは人間を惑わせ、迷わせ、時には命にかかわる事態すら引き起こす。
だが野戦のエキスパートでもあるゴルゴ13にとっては大した問題にならない。
むしろそれらの脅威は隠密行動を取る今のゴルゴ13に味方しているといえる。
並の人間が闇に紛れたゴルゴ13を捕捉することは不可能に近い。

(……地図が正しいなら夜明け前に辿り着けるはずだ)
無論、それは何事もなければ、の話だ。
そして、往々にしてそのような期待は外れるもの。

(……?)
暗闇の中、ほぼ丸腰で山頂方向を目指す若い二人組が左手の視界に入った。
(…………)
一瞬、接触すべきか否か逡巡する。
装備の薄さ。明らかに戦闘訓練を受けていない動き。互いの警戒心の薄さ。敢えて街から離れる行動。
これらの要素を勘案すると二人組が危険人物である可能性は非常に低い。だが、
(ここで時間を浪費したくはない)
ゴルゴ13は、明け方以降、街が平穏無事に済むとは全く思っていない。
日が昇れば視界が大幅に広がる。そうなれば街は強者の狩場となるとほぼ確信している。
実際は既にその状態に近いのだが。
(しかしここで逃せば次は無い、と考えるべきだ……)
非戦闘員がこの場で長時間無事でいることは難しい。
彼らが目的の錬金術師であったらここで逃すことは最悪手となる。
その最悪を防ぐためにも、最低限必要な情報だけは引き出しておきたい。

つまりここで取るべき行動は――



*****

ヤバイ
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバ

イヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ


俺はちょっと前、本物の殺し屋に狙われた。だから分かる。こいつはヤバイ。
状況はその殺し屋「蝉」に襲われたときと似ている。
そう、こんな感じで心当たりもないのに突然正面から襲い掛かられたんだ。
でもあの凶悪なナイフ使いだってこの怪物に比べればミンミン煩いだけの虫だ。
この男がその気になれば瞬きの間に殺されるという確信。格が違う。

死ぬ――死ぬ? 俺が? 嫌だ。そんなのは嫌だ!

どうする。どうすればいい!?

考えろ。
考えろ。考えろ。

逃げる? 振り向く間も与えてくれないだろう。

考えろ。

腹話術? そんなチャチな小細工が効く相手じゃない。

考えろ。考えろ!

いっそ飛びかか「やめておけ」――っ!?

「ひっ」と情けない音が喉から漏れる。
頭から液体窒素を浴びせかけられたような感覚。
カミソリのような視線に全身が切り刻まれる。
蛇に睨まれた蛙。まな板の上の鯉。鷹の前の雀。そんな慣用句が頭を過ぎる。

やめてくれ……頼むから……もう余計なことはしないから……殺さないで……。



*****

鳴海歩もまた焦っていた。
行く手にある大木の裏から無言で体格のいい東洋人の男が現れたのだ。

内心で舌打ちする。
完全に不意を突かれた形になった。しかも俺も安藤も、男の一足の間合いに入ってしまっている。
周囲に気を配っていたはずなのに、こうもあっさりと接近されるとは。
安藤の怯えがはっきりと伝わってくる。俺だって怖い。今すぐ尻尾を巻いて逃げ出したいくらいだ。
そう思ったとき、男が初めて口を開いた。
「やめておけ」
今の脅し文句だけで、それも俺に直接向けられた言葉では無いにもかかわらず、全身の毛穴が開く。
俺に戦闘の心得はない。だが素人二人がこの尋常ならざる男を倒すことなど、天地がひっくり返っても不可能だということくらいは判る。
安藤の腹話術が決まればもしや、とは思うが、この距離で敵意を向けた時点でなんらかの「処置」がなされるのは明らかだ。
そもそもさっきの言葉で安藤は戦意を失っているようだ。
だが……おそらくこの男はこの時点で俺たちを殺すつもりはなさそうだ。
というより殺すつもりならもうとっくに俺たちは物言わぬ肉塊になっているだろう。
ただ、相手の意図が解らない以上、迂闊な行動は取れない。この男は殺人を躊躇うタイプでもないだろう。

黙って男の出方を窺う。僅かな沈黙。緊張。
そして男が再び口を開き、


「錬金術を使えるか?」


予想外に過ぎる質問が飛んできた。




――錬金術――
古代ギリシアで原型が生まれ、中世ヨーロッパで大きく発達した学問。
その名称から金を造る魔法のようなものと誤解されることが多いが、本質は科学に極めて近い。
事実、初期の近代化学の成果の中には錬金術師達がもたらしたものも多く存在する。
錬金術の研究には歴史上多くの人々が関わっており、かのサー・アイザック・ニュートンも熱心な研究者であったとされる。



男の質問に一瞬呆気にとられたものの、歩は自身の頭から錬金術の知識を瞬時に引っぱり出す。
しかしやはり男の問いの真意が理解できない。
(錬金術を「使う」ってのは何だ? どういう意味だ?)
適当な答えを返すわけにもいかず、歩は沈黙する。



*****

レンキンジュツ?

「……知らないようだな。それならいい」
冷たい声でそう言うと同時に男が踵を返した。どうやらこちらへの興味を失ったらしい――助かった……のか?
軽い恐慌状態から脱出する。

でもレンキンジュツ……錬金術?
クズ鉄から金を造るとかいうアレか?
カネを寄こせとか……じゃないよな。
というか今のは一体何だったんだ?
そのまま去ろうとする男の背中に
「待てよ」
あろうことか鳴海が声を投げかけた。
ギョっとして鳴海の顔を見る。心中までは解らないが、鳴海は不敵な表情を取り戻していた。
謎の男は特に反応せず数歩南へ。
「おっさん、首輪を外したいんだろ? 当てがないわけじゃないぜ」
今度は反応があった。立ち止まる男。
まさかとは思ったが、鳴海はこの男に交渉を持ちかける気らしい。
しかもこの手の交渉は初めての経験ではなさそうなのが怖い。
「そのために街で情報収集するつもりだったんだろ? だったら俺たちの話も聞いておいた方がいい。
 例えば……俺たちでもその気になればあんたを殺す方法があるって話なんかをな」
言われた男ではなく俺の方がギクリとする。
これはブラフに近い。そして賭けだ。こんなことを言えば何をされるか分かったもんじゃない。
だが男は特に焦った様子もなく佇んでいる。それが逆に不気味だ。
もうこうなったら鳴海に命を預けるしかない。
俺は鳴海の邪魔をしないよう傍観に徹する。
「それに俺たちは携帯電話も持ってる。こいつの重要性はあんたなら説明するまでもなく分かるだろ。
 ま、先を急ぐっていうなら無理に引き止める気はないけどな」
鳴海の告げる言葉がついに男を振り向かせた。
先程と同じく冷徹な、しかし先程とは全く違う妙に人を落ち着かせる声で、男が言葉を発する。


「……用件を聞こうか……」


【F-8北西/森/1日目 黎明】
【ゴルゴ13@ゴルゴ13】
[状態]:健康
[服装]:
[装備]:ブラックジャックのメス(10/20)@ブラックジャック、ジャスタウェイ(4/5)@銀魂
[道具]:支給品一式、賢者の石@鋼の錬金術師、不明支給品0‾1(武器ではない)
[思考]
基本:主催者に報復する。
 1:二人(安藤(兄)、鳴海歩)から情報を引き出す。
 2:なるべく早く市街地に行って、情報と装備を入手する。
 3:首輪を外すため、錬金術師に接触する。
 4:襲撃者や邪魔者以外は殺すつもりは無い。
[備考]
※ウィンリィ、ルフィと情報交換をしました。
彼らの仲間や世界の情報について一部把握しました。
※奇妙な能力を持つ人間について実在すると認識しました。



【安藤(兄)@魔王 JUVENILE REMIX】
[状態]:疲労(小)
[服装]:猫田東高校の制服(カッターシャツの上にベスト着用)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、バラバラの実@ONEPIECE 不明支給品×1(確認済み)
[思考]
基本:脱出の糸口を探す。主催者と戦うかはまだ保留
 1:ゴルゴ13がちょっと怖い。でも情報は多いほうが……。
 2:神社を目指す。そこで主催に関する情報と脱出を目指す人間を探す。
 3:ユノから連絡があれば天野雪輝と接触し、危険人物でなければ日記を渡して協力する。
 4:首輪を外す手段を探す。できれば竹内理緒と合流したい
 5:殺し合いに乗っていない仲間を集める
 6:殺し合いには乗りたくない。とにかく生き残りたい
 7:潤也が巻き込まれていないか心配。
[備考]
※ 第12話にて、蝉との戦いで気絶した直後からの参戦です
我妻由乃の声と下の名前を認識しました。警戒しています。
※ 無差別日記の効力を知りました。



【鳴海歩@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]:疲労(小)
[服装]:月臣学園の制服
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、無差別日記@未来日記 不明支給品×1 (確認済み)
[思考]
基本:主催者と戦い、殺し合いを止める
 1:ゴルゴ13と情報交換する。特に錬金術について聞き出したい。
 2:神社を目指す。そこで主催に関する情報と脱出を目指す人間を探す。
 3:ユノから連絡があれば天野雪輝と接触し、危険人物でなければ日記を渡して協力する。
 4:首輪を外す手段を探す。できれば竹内理緒と合流したい
 5:殺し合いに乗っていない仲間を集める
 6:何故主催者達は火澄を殺せたのか? 兄貴は何を企んでいるのか?
 7:「爆弾を解除できるかもしれない人間である竹内理緒が呼ばれている」という事実が、どうにも引っかかる
[備考]
 ※第66話終了後からの参戦です。自分が清隆のクローンであるという仮説に至っています
 ※オープニングで、理緒がここにいることには気付いていますが、カノンが生きていることには気付いていません
 ※主催者側に鳴海清隆がいるかもしれない、と思っていますが、可能性はそう高くないとも思っています
 ※我妻由乃の声と下の名前を認識しました。警戒しています
 ※無差別日記の効力を知りました。



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