夜霧の幻影殺人鬼 - shitsurakurowa @ ウィキ

「頼む頼む頼む！ いつ死ぬか分からないんだ俺は！ だから結婚して欲しいという訳で！ 頼む！ 頼むよーっ！」
「な、なんですかいきなり結婚って……」

銀髪を三つ編みに結ったメイド服を着た少女、十六夜咲夜は、今起きている状況に困惑するしかなかった。

突如、フラウィーという花によって宣告された殺し合い。
そしてそれに反抗した赤髪の少女……ではなく、見知らぬ男性の首が飛ばされるという凄惨な見せしめ。

極めつけは、会場に転送され、名簿を確認した直後のこれ。
タンポポのような髪をした少年……我妻善逸が、咲夜と目が合うなり泣きながら走り寄ってきて、求婚を迫ってきたのだ。

第一、初対面で結婚なんて有り得ないし、男のくせにこんなに涙を流して、みっともないと咲夜は思う。

「俺は弱いんだ！ 今君が想像してるであろう数倍は弱いんだぜ舐めるなよ！」

十六夜咲夜は思考を巡らせる。このうるさい少年を黙らせるにはどうしたら良いか。このままこの少年を放っておいたらゲームに乗っている人物が寄ってくるのは想像に難くない。

何か、この少年を黙らせられる道具がないか、腰を下ろし、支給品袋をあさる。

「なぁ〜頼む、頼むって！ 死ぬなら結婚して幸せになってから死にたいんだよ〜！」

相変わらずコイツはうるさいが、無視して袋を漁り続ける。
すると、待ってましたと言わんばかりに、この少年を黙らせるに最高のアイテムが入っていたではないか。

ゆっくりとその少年の方に向き直り、「えっ、結婚してくれるの！？」という少年の言葉を無視し、少年の胸に『それ』を突き立てた。

◆

(あれ？ 俺……)

ここに飛ばされてから、最初に出会った女の人に押された感覚を覚え、ふと胸を見ると、胸から何かが突き出していた。

その直後、体に力が入らなくなり、ぐらりと後ろ向きに地面に倒れる。

(……俺、死ぬんだ。この女の人に、殺されて)

よくよく考えてみれば、この女の人からは怖い音がした。

ーーそれこそ、善逸が騙された7人の女性よりも、遥かに怖い音が。

薄れゆく意識の中、善逸の脳裏には、一目で心を奪われた少女、竈門禰豆子の姿が映し出されていた。

(そうか……これは、禰豆子ちゃん以外の女の人に求婚した、天罰なんだ)

すると次には、2人の少年の姿が映し出される。
片方は、額に大きな痣を持った少年であり、禰豆子の兄でもある竈門炭治郎。
もう片方は、猪の被り物を被った少年、嘴平伊之助。
2人とも、善逸の仲間であり、友達でもあるのだ。

(炭治郎……伊之助……この女の人には、気をつけてくれよ……
そして、禰豆子ちゃん、守ってあげられなくて本当に、ごめんね……)

そこで、我妻善逸の意識は完全に闇に落ちた。

【我妻善逸@鬼滅の刃 死亡】

◆

「ふぅ……」

咲夜は善逸の死を確認すると、善逸の死体から凶器を抜いた。

咲夜に支給されたのは、かつて善逸達が戦った『下弦の壱』魘夢の歯と骨で作られた針。

善逸が所属する鬼殺隊の隊服は、雑魚鬼の爪や牙程度では裂くことすら叶わないほど頑丈だが、十二鬼月クラスともなると話は別だ。
もっとも、咲夜はそれを知る由もないのだが。

(お嬢様……)

そして、咲夜はもう一度名簿を確認する。
そこには確かに、自らが仕える主であるレミリア・スカーレットの名前があった。

咲夜は、心より忠誠を違う主のために、自らの手を汚すことを選んだのだ。

これから先、更なる強敵に出くわす事もあるだろうし、まず間違いなく幻想郷の仲間からは非難され、忠誠を誓う主からは拒絶されるだろう。

(それでも構わない。私は、お嬢様が元の世界に帰れれば、それで良いのだから)

そう誓った咲夜は、自分のデイパックに善逸の支給品を入れ、最寄りの施設であるトロデーン城へと歩みを進めるのであった。

【C-6/平原/1日目/深夜】

【十六夜咲夜＠東方Project】
[状態]：健康、ゲームに乗る決意
[服装]：永夜抄の時の服装
[装備]：魘夢の歯と骨で作られた針@鬼滅の刃
[道具]：基本支給品一式×2、不明支給品1～5
[思考]
基本：お嬢様(レミリア・スカーレット)を優勝させる
１：お嬢様……
[備考]
参戦時期は後続の書き手様にお任せします

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