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【オープニング】
●うーみー!
 今年も暑い季節がやってきた。各都市では少しずつではあるが海開きが始まりつつある。
 ラッドシティにある小さな村も、その1つだ。その村は辺境にあるが故に海に近く、観光客もそれなりに来ていた。
 ただ、浜辺は狭くそう多くの観光客が来れる訳ではなかったので、殆ど村人専用のプライベートビーチと化している。
 その浜辺に数年前から、観光客とは別の珍客までも浜辺に現れるようになっていた。
「~♪」
 上機嫌に現れたのはフェルプールの集団だった。普段は森や、人気の無い町外れ、放棄領域といった人の生活圏から少し離れた場所に暮らしているピュアリィなのだが、余りの暑さにやってきたのだろうか。
 遠巻きに見る村人達を他所に浜辺で遊んだり、浅瀬で波と戯れるフェルプール達。敵意は見られず、純粋に涼みに来たようだ。
 その姿に安心したのか、子供達がフェルプール達に向かい一緒に遊びに誘う。周りの大人達はいつでも飛び出せるようにして固唾を飲んだが、それも杞憂に終わる。
 フェルプール達は子供達と楽しげに遊び、満足したら帰っていったのだ。
 ピュアリィは凶暴な性格も多く、人里を襲うことも珍しく無いが、全てのピュアリティが敵性であるとは言えない。今回のフェルプール達もその一例だろう。
 それから毎年、フェルプール達は浜辺へやって来ては遊び、帰っていった。
 村人達も慣れたもので、今ではフェルプール達とそれなりに良好な関係を築いている。
 だがしかし、その平穏を乱す者が現れた。
「ヒャッハ~! モンスターは消毒だー!」
 世紀末な叫び声で登場したのは大トカゲに乗った厳つい男達。全員ハゲかモヒカンで耳や鼻、口にピアスを付けている。世紀末が服を着ているかのような姿だった。
 男達はフェルプール達を見つけると手にしたバトルガントレットを構える。
「ヘッヘッヘ……こんな所にピュアリィが居るとはなぁ」
 男達の視線はフェルプール達に集まっている。村人達と良好な関係を築いているフェルプール達だが、その姿はやはりピュアリィ。水着等を着ている筈も無く。
「俺達と一緒に一夏のアバンチュールをエンジョイしようぜぇ!」
 ニヤニヤと下品な笑みを浮かべながらアプローチするリーダー。ただのナンパのようだ。
 しかしフェルプール達も選ぶ権利がある。俺達のナンパはアッサリと失敗した。
「なん……だと……」
 そりゃ登場時の台詞があれじゃダメだろ。
「クソッ! 何でモテないんだ……! ナンパすること153回、全て断られ……ピュアリィならと思ったのに……!」
「お頭……! お頭だけじゃないッス! 俺達もッス……!」
 項垂れるモヒカンを慰めるハゲ共。異様な光景だった。そもそも相手が既に人間じゃない事とかどうでもいいのだろうか。
「お、お前達……! くっ、ならば俺達のスペシャルなバンカーを打ち込んで、分からせてやるっ!」
 そう言うと俺達は服を脱ぎだした。元から裸ジャケットな男達は一瞬でブーメランパンツ姿になった。
「行くぞ! お前達ぃ!」
「応っ!」
 男達はバトルガントレットを手にフェルプール達へ攻撃を仕掛ける。何故脱いだ。
 力ずくで事を運ぼうとする男達を迎え撃つフェルプール達。両者とも一進一退の攻防を展開する。
「あわびっ!」
 謎の断末魔と共に浜辺に倒れるモヒカンとフェルプール。勝者は無く、嫉妬に狂いきれず暴走した男達とそれに巻き込まれたフェルプール達が冷たく横たわっていた。
 男達の暴走により、平和な浜辺が一瞬で凄惨な光景へと一変したのだった。

●新境地
「以上が俺の見た光景だ」
 トンファーの群竜士・リー(cn0006)が酒場に集まったエンドブレイカー達に告げる。
「モヒカン共は彼女いない歴イコール年齢のロンリーウルフだ。毎年夏になるとナンパをしていたのだが連戦連敗。遂にピュアリィに手を出す境地に至ったようだ」
 それはどうなんだ、という声が挙がるが仕方ない。至ってしまったのだから。
「今から行けば丁度フェルプール達と戦闘が始まる直前に着くだろう。皆には悲劇の回避をお願いしたい」
 悲劇の回避……つまりフェルプール達と男達が倒れる事が無ければいい、ということらしい。
「やり方は任せる。人に友好的なフェルプールというのは珍しいからな。無用な被害を出さないようにしてくれ」
 但し、とリーは言う。
「フェルプールにはなるべく攻撃しないでおくといいだろうな。フェルプール達は言うなれば被害者なのだから」
 男達の方は死なない程度にならいいらしい。
「フェルプール達は猫の手の爪部分で引き裂く攻撃と仕草や鳴き声での誘惑をしてくる。男達はバトルガントレットでの攻撃がメインだ」
 そう言ってリーはグラスを手に喉を潤す。
「ま、そんなに気負わなくてもいい。簡単な仕事だぞ。終わったら遊んでくるといいさ」
 俺も行きたかったなぁ、とボヤくリーはエンドブレイカー達を送り出した。

【リプレイ】
●喧嘩両成敗
 海。それは人々を開放的にさせる魅惑の地。男と女の出会いの場でもある。そして、この浜辺でも新たな出会いが起きていた。
「クソッ! 何でモテないんだ……! ナンパすること153回、全て断られ……ピュアリィならと思ったのに……!」
 いや、もう終わっていた。
 モヒカンヘアーに筋骨隆々な体にトゲ付き肩パッド。世紀末という言葉を体現した男はガックリと項垂れていた。or2←な感じ。
「お頭……! お頭だけじゃないッス! 俺達もッス……!」
 項垂れるリーダーを慰めるスキンヘッドの手下達。見事なスキンヘッドは太陽光を反射してリーダーの周囲を後光のように輝かせていた。
「……」
 慰め合うモヒカン達をフェルプール達は冷めた視線を送っていた。
「お、お前達……! くっ、ならば俺達のスペシャルな杭を打ち込んで、分からせてやるっ!」
 そう言うとモヒカン達は一斉にズボンを下ろす。そこには、グイッと食い込むブーメランパンツが。そして裸同然のジャケットも脱ぎ捨て、ブーメランパンツとバトルガントレットのみとなったモヒカン達がフェルプール達へと襲いかかろうとする。
「ストーーップ!」
 高らかな声と共にモヒカン達の足元へ突き刺さるアイスレイピア。声のする方を振り向くモヒカンとフェルプール達。
 そこには到着したばかりのエンドブレイカー達が居た。
「エッチな犯罪許しません!」
 ビシッと指をさすのはアイスレイピアのソーンイーター・レスティーナ(c31063)だ。ワンピースタイプのピッタリと体のラインが出るスク水という水着を着ていた。しかも白い。動く度に規格外の胸がゆっさゆっさと揺れる。足元見れないぐらいデカそうだ。
「私は休暇に来ただけだ。無論騒がしい虫は駆除するがな」
 追憶の錬丹術士・アルファ(c31569)がタバコを咥えながら気だるそうにモヒカン達を見た。
「頭の悪い連中だな」
 実際にその通りだが、改めて言われるとモヒカン達もカチンと来る。
「アァン!? オメェ等には関係ねぇだろうがよぉ?」
 そして以下にも頭悪いですという返答をするモヒカン。
「このような無用な殺生が許される訳がない」
 繊月の射手・ウォルター(c28226)がモヒカン達の前に出る。暑さのためか、台詞に覇気が無い。
「美しい海を汚す者らにはたっぷりと反省して貰わねば」
 ふぅ、と溜息をつくウォルター。その仕草がキザったらしく見えたようで、モヒカン達は大いに憤る。
「こ、この……! このキザ野郎がっ!」
「お、お頭。こんな奴等放っておいて、今はあっちを……」
 怒り心頭といったモヒカンを宥めるハゲが浜辺を指さす。そこには我関せずといった風に遊ぶフェルプール達が。
「お、俺様を無視しやがってぇ~!」
 フェルプール達へ向かおうとするモヒカン達に白い鎖が巻き付く。
「やはり頭が悪いな。言っただろう? 騒がしい虫は駆除する、と」
 心底面倒臭そうに言うアルファから白銀の鎖が伸び、モヒカンとハゲ2人を絡めとっていた。
「命までは取らないから、ね……?」
 レスティーナは具現化させたソーンを腕に纏わせ巨顎化させ、ハゲの腹に食らいつく。同時に空いた手で突き刺さったアイスレイピアを回収する。
「クソッ! こうなりゃ1体でも連れて帰れ!」
 モヒカンが手下に命令し、切り札・エマス(c30188)のマジックカードを避けたハゲがフェルプールへと走る。
「!?」
 突然走ってくるハゲに驚いたフェルプールは慌てて戦闘態勢を取る。
「にゃっ!? ジャマをするにゃーっ!」
 多勢に無勢。ハゲ一人ではフェルプールを連れ去る事は出来ない。鎖を抜け出たモヒカンとハゲが加勢し、フェルプールを連れ去ろうとする。
「にゃにゃ!? にゃんでこんな事するにゃーっ!」
 連れ去ろうとするモヒカン達に必死に抵抗するフェルプール達と、そこへ止めに入るエンドブレイカー達。
「増えたにゃっ! やっぱりニンゲンは敵にゃー!」
 モヒカン達もエンドブレイカー達も敵に見えるフェルプール達はその爪を手当たり次第の敵に振るい出す。
「私達は敵じゃないよ……! 貴女達には何もしないからっ!」
 巨顎化した腕にモヒカンに食らわせつつレスティーナが言う。前衛はレスティーナしか居らず、フェルプールとモヒカンの両方の攻撃が襲いかかる。
「いかんな……!」
 戦闘経験の少ないレスティーナの体力は非常に少ない。それ故にあっという間に弱っていくのが目に見える。
 急いでウォルターが理力と賦活の矢で回復をする。
「ヒャッハァァァ! もうお前ら皆殺しだぜぇ! 俺様達のジャマをする奴は消毒だーーッ!」
 しかしモヒカンのパイルバンカーが回復したばかりのレスティーナを捉える。
 ズドンズドンと、レスティーナに杭を打ち込むモヒカン。グッタリと動かなくなったのを見てパイルバンカーから放り投げる。
「っ、ぁ……」
 杭を打ち込まれた所が破け、そこから血が流れている。立ち上がる気力も無く、戦闘続行は不可能だろう。

●足りない
「村の者っ! 誰かレスティーナを安全な所へっ!」
「クッ……サクヤ姉弟とはぐれてなければ……」
 ウォルターが村人へレスティーナを避難させるように声を掛けているのを耳にしつつエマスは歯を食い縛りながら残像を残しつつモヒカン達のみを攻撃し続ける。フェルプール達の攻撃は出来る限り避け、反撃はしないでいた。
 本来ならあと二人、猛る烈風・アヤセ(c01136)と翔る疾風・セナ(c02046)のサクヤ姉弟が居る筈だった。しかし道中、道に迷っている間にサクヤ姉弟とはぐれてしまったのだ。
 フェルプール達は未だモヒカンとエンドブレイカー達を敵と認識し、モヒカン達はエンドブレイカー達を重点的に、フェルプールには隙あらば連れ去ろうとする。
「オラッ! 梃子摺らせやがって!」
「殺さないだけ俺達優しいなぁ? 暴れんじゃねぇっ!」
 そして遂に、1体のフェルプールがハゲ二人に捕まってしまう。逃げようと藻掻くが、モヒカンのパイルバンカーを何度も受けたフェルプールには抜け出す力が残っていない。
「オラオラッ! お前らにはコレだっ!」
 モヒカンのパイルバンカーから杭が格納され大砲へと変形し、そこから火炎弾がエンドブレイカー達へと放たれる。
「クッ、待ち給え!」
 追いかけようとするエンドブレイカー達を邪魔するようにモヒカンとハゲ、そしてモヒカンへ攻撃をするフェルプール達が進路を塞ぐ。
「待つにゃーっ!」
 フェルプールも追いかけようとするが、ハゲのパイルバンカーで撃ち抜かれ一向に取り戻すことが出来ない。
「む……」
 アルファの花吹雪が止む。多勢に無勢のこの状態で、体力を代償とする回復を使い続けるのは危険過ぎる。
「ウォルター!」
「ダメだ……!」
 エマスの叫びはウォルターの叫びで返される。
 アルファのように複数人回復出来る回復アビリティとは違い、ウォルターのは一人に対して行われる。それがどういう事を示すかは火を見るよりも明らかだった。
「クッ……ここはもう退くしか無いのか……!」
 エマスもウォルターも今はまだ体力に余裕がある。だがそれでも、モヒカンとフェルプール達を相手にするには回復も攻撃も、手数も火力も足りなかった。
「くっ……済まない! この失態は必ずや……!」
 戦線を離脱するエンドブレイカー達。それを追おうとするフェルプール達をモヒカンが止める。
「ヘッヘッヘ……邪魔者は居なくなった……! 後はお前たちだぜぇ……!」
「フシャァーーッ!」
 殺意を剥き出しにしたフェルプール達がモヒカンへと襲いかかる。その結末を見届ける事無く、エンドブレイカー達は浜辺から撤退して行った。



冒険結果:失敗……
最終更新:2013年05月19日 15:25