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【オープニング】


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 男はその日、仕事で遠くまで出かけていた。夕方に帰れる筈が、想定外のアクシデントにより長引き、帰路に着いたのは日付が変わろうとしている頃だった。
 なるべく近道を利用し、家へと急ぐ男は森の中を進んでいた。月明かりのお陰で視界は良好で迷うことは無い。
「この森を抜ければ……大分時間を短縮出来る筈だ」
 急いでいる男は知る由もない。そこがピュアリィの住処であるということを。
 急いでいる男は気に留めない。自身を囲むように動くピュアリィが立てる物音を。
 故に、急いでいる男は分からない。目の前に出たラビシャンが自身の命を狙っている事を。
「ん? 何だ、ピュアリィか。ってそんな事どうでもいい」
 現れたピュアリィを無視して家路を急ぐ男。何よりも先ず急いで家に帰らないといけない。考えるのはその事だけだった。
「え……?」
 何の音か認識するよりも早く体は動かなかった。目を下に向けると、腹から何かが生えている。
 それが何か把握しようと考えるより先に、腹に焼け付くような痛みが広がる。
「え? あ、刺さ……っ、ごぶっ!」
 背中から何かを刺されたと認識した途端、口から大量の血を吐き出し崩れ落ちる。
 痛い、苦しい、どうして?
 さっきまで頭を満たしていた家へと急ぐ思考は既に無く、痛みと苦しみと不理解だけが頭に浮かぶ。
 その男の前に複数のラビシャンが現れる。
 男は声を出そうとするが出るのは声の混じった吐血のみ。助けを求めるように伸ばした手はラビシャンの爪に貫かれ切り落とされた。
 ゴボゴボと喉に絡まる血糊が叫びを封殺する。切り落とされた痛みを叫ぶ声も出せずのたうち回る男を、ラビシャンはクスクスと笑みを浮かべて見下ろすのみ。
「ヒューッ、ヒューッ……ゴホッ……!」
 痛みに耐えながらも逃げるように這う男は、命尽きるまでラビシャンに取り囲まれ続けた。

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 戦場は事件の起きる数日前の森の中ほどにある湖畔。その周辺をラビシャンは根城にしています。
 障害物は無く、戦場としては何も問題はないでしょう。
 6体のラビシャンは全員同じ爪のアビリティを使用します。
 3体倒せば成功となりますが、不利になると逃げる恐れもありますのでその対策も必要でしょう。
 知らずに縄張りに入ったとはいえ、人を襲うなら退治しなければなりません。
 理不尽な結末を変えれる人、どうかお願いします。

【リプレイ】


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 森を抜け、エンドブレイカー達が湖に着いた時は何故か2人だけとなっていた。
「結局、合流出来ませんでしたね……」
 世界樹の妖精術士・シル(c25139)がため息混じりに言う。
「仕方ありませんね。森は逸れたのに気付くのが遅れると合流は困難ですし……」
 桃宮・ロイ(c31056)がそれに相槌を打ちつつ†・姫巫女・†に手を掛け、シルも同じように銀長杖『シルフィード・ウィング』を構えた。
 2人の前に現れたラビシャンに向かってシルが作り出した重力場がラビシャンを地面に叩きつけるような重力を発生させ、ロイの太刀が近づいてきたラビシャンを袈裟斬りに斬り払う。
「っ!? コイツ、強い!?」
 人間程度、と思って舐めて掛かったのか驚きの色が濃いラビシャン達。
「纏めて掛れば……!」
 1体のラビシャンに同調するように、一斉に攻撃に移るラビシャン達。
 ロイもシルも、ある程度の攻撃は受け流し、避ける事も出来たが実質3対1の戦いとなってくるとそうも行かない。
 ただ、連携を取ることはなく思い思いに攻撃を仕掛けてくるのは不幸中の幸いか。
「動きは止めさせてもらうよ!」
 シルが銀長杖『シルフィード・ウィング』を振り下ろすとそれに従う様に重力場が数体のラビシャンを巻き込み、5倍の重力がラビシャンの体を押し潰す。
「ハァッ!」
 精神統一よりも、先ずは目の前のラビシャンを倒さねばならない。感情の昂ぶりにより目先の敵を倒す事に意識が行くロイは太刀を三日月の形に振るう。
「この程度っ!」
 斬られたラビシャンも負けじと爪を振るい不可視の衝撃波を放ち同時に体力を奪う。
「ニンゲンごときがっ!」
 一太刀浴びせられたことに狩るものとしての矜持が傷付いたのか、ロイに攻撃が集中する。
「私達に、刃向かう意味を、教えてやるっ!」
 ラビシャン達は爪をかざしロイの四方を駆け、すれ違い様に刃を振るい引き裂いていく。
 それでもシルがノーマークになったかというと、そうでもない。シルには未だ2体のラビシャンがマークしていた。
「クスクス……アッチが終わったら、次はアナタよ……!」
 シルに飛び乗り妖艶な笑みを浮かべ、爪を肩へと突き刺すラビシャン。突き刺さった所から次第に毒が広がっていくのが感じられる。
「フフフ……どうしたの? 顔色が悪いわよ? 私の相手もしてくれないとね、オチビちゃん♪」
 わざとらしく腕を組み胸を強調するラビシャン。更に胸を突き出すようにしてぷるんと揺らす。普段は余り気にしていなくとも、あからさまに挑発されては女性であればカチンと来るのだろう。
「むっ……」
 シルの表情が険しくなる。一度気にしてしまうと、どうもそちらに目が行ってしまう。何しろ、ラビシャン達の顔立ちはシルやロイ達とそう大差ない、10代半ばといったところで、しかし胸や尻……特に体毛に隠れていない胸は成熟した大人と言えるだろう。
「大きさだけが全てじゃないよっ!」
 若干ムキになった声で重力場を作り出しラビシャンを押し潰すシル。
「クスクス……ニンゲン、おっきいの、好きなんだよぉ? クスクス……!」
 咄嗟に重力場から逃れたラビシャンが嘲笑う。
「ですがそれ以前に、害獣でしかないピュアリィ共に意味は無い!」
 血を流しつつも弧を描き近づくラビシャンを斬り払うロイは精神を統一しながら言い放つ。怒りを沈め、静かに冷たく光を発する月のように澄んだ心で再びラビシャンと対峙する。

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 エンドブレイカー達とラビシャン達の戦いは、経験と火力の差からか何とかラビシャン達と渡り合っていた。
「クッ……意外としぶといニンゲンッ!」
 少しはデキる獲物、と認識していたラビシャン達は今、その認識を大きく変えねばならなかった。
「ハァ……ッ、ニルちゃん!」
 シルの合図と共に妖精が円を描き2人を癒す。傷は塞がり全快になるが、これ以上はもう使えない。
「ピュアリィ如きに負ける訳には……いかない!」
 傷が癒えたロイは疲労が一番蓄積されているであろうラビシャンへ斬りかかった。袈裟斬り、逆袈裟、振り向きざまの居合と流れる動作でラビシャンを葬る。
「やっと1体……」
 手に残る確かな感触で必殺と知り、敵の攻撃に備えるロイ。しかしそれは無為となる。
「拙い……逃げろっ!」
 長期戦へともつれ込んだ戦いは、癒し手の無いラビシャンにとって不利なものとなっていた。
「しまった……!」
 ロイもシルも、ラビシャンの攻撃に備えて警戒していたのが裏目となり出遅れる。
 急いで追いかける2人を邪魔するように1体のラビシャンが振り返りシルに飛び乗り押し倒す。
「キャッ!?」
「こうなったらオマエだけでもっ!」
 傷だらけのラビシャンは笑っていた。何を思い、何を感じたのかシルには分からないが。
「っ!」
 振り下ろされた爪はシルの杖に阻まれ、同時にロイの居合い斬りの一閃により切り捨てられた。
「ありがとうございます、ロイさん」
「いや、いいよ。それよりも……」
 助け起こされたシルは辺りを見る。既にラビシャンの姿は見えず、湖にはロイとシルの姿しか無かった。
 その後、2人は森に入りラビシャン達を探すも、それらの姿を見ることは叶わなかったが、別のものを見つけることとなった。
「アヤセさん、セナさん!?」
 シルの妖精に導かれ見つけたのは、猛る烈風・アヤセ(c01136)と翔る疾風・セナ(c02046)だ。
「あ……シルさん、ロイさん。……はは、なんと申していいのか……すみません。」
 アヤセを介抱するセナは申し訳なさそうに目を伏せた。
「ここから落ちたのですか……無事で何よりです」
 ロイは上を見上げる。サクヤ姉弟の所まで滑り落ちた跡と、周囲の木の枝が折れているのが見える。
「ラビシャンのような姿が見えたので、もしやと思いそちらに行ったら、こんな有様で……申し訳ないです」
 崖から落ちそうになり、それを助けようとしたセナ諸共落下。木々を掴もうとしたが止まらず、落ちてしまい身動きが取れなくなったそうだ。
「セナだけでも、と言ったのですが聞き入れてもらえず……」
「アヤセを置いていく訳にはいかないよ。もし、ラビシャンやバルバに会ったら、逃げれないじゃないか」
「確かに身動きできないアヤセさんを1人にするのは危険ですね」
 そして、サクヤ姉弟は事の顛末を聞き、より肩を項垂れた。
「仕方ありませんよ。それより、立てます?」
 ロイとセナの手を借り立ち上がるアヤセ。セナの肩を借り、エンドブレイカー達は森を抜けるのだった。




冒険結果:失敗…
最終更新:2013年05月19日 15:30