―――行動の果てには結果という名の答えが待っている。例外はない。
「少し話したいことがある」
そう言ってマクギリスは2代目ゼロを伴い、一つ上の階層を訪れていた。
展示されている数々のひみつ道具への興味は尽きないものの、まずは総司令官との協力に難色を示す2代目を説き伏せる必要があった。
先ほどはどうにかマクギリスに合わせて同意してくれたように見えたが、それが彼女の本心からかけ離れていることはマクギリスでなくても誰にでもわかることだ。
腹芸を身に着けようと努力はしているのだろうが、気が動転したり気を抜いてしまうと彼女本来の正直者の気質が前に出てしまう。
展示されている数々のひみつ道具への興味は尽きないものの、まずは総司令官との協力に難色を示す2代目を説き伏せる必要があった。
先ほどはどうにかマクギリスに合わせて同意してくれたように見えたが、それが彼女の本心からかけ離れていることはマクギリスでなくても誰にでもわかることだ。
腹芸を身に着けようと努力はしているのだろうが、気が動転したり気を抜いてしまうと彼女本来の正直者の気質が前に出てしまう。
「私も貴方と二人で話をしたかった。やはり彼と組むのは考え直した方が良い。今は良くても―――」
「あの人を人と認めぬ態度がいずれ他の参加者との軋轢を生む。そこを乗り越えたとしても彼は自分の世界の人間を奴隷化しようとしている、か?」
「…………そうだ。それに我々の、人間の価値観と彼のそれはあまりにズレすぎている。
さっきの情報交換でも彼は浅垣灯悟をはじめとした敵対的接触をした参加者を扱き下ろしていたが、私には総司令官に非があるとしか思えない」
さっきの情報交換でも彼は浅垣灯悟をはじめとした敵対的接触をした参加者を扱き下ろしていたが、私には総司令官に非があるとしか思えない」
それにはマクギリスも同意するところではある。
総司令官は一貫して己が正義とばかりの主張をしていたが、彼のそのような態度こそが他の参加者との諍いの原因であることは明らかだ。
圧倒的なまでの価値観の違いについても確かにそうなのだろう。だが―――
総司令官は一貫して己が正義とばかりの主張をしていたが、彼のそのような態度こそが他の参加者との諍いの原因であることは明らかだ。
圧倒的なまでの価値観の違いについても確かにそうなのだろう。だが―――
「2代目、価値観のズレと言うが、こういうことはこれから先何度でも起こることだ。
我々参加者は多くの世界、時代を越えて集められた。知識、文化に歴史、価値観の違いなどあって当然のこと。
そのズレが大きいから、自らの正義とは反するからと徒に殺し合いに乗っていない者を排斥すれば、その刃はいずれ君自身に跳ね返ってくることになるぞ」
我々参加者は多くの世界、時代を越えて集められた。知識、文化に歴史、価値観の違いなどあって当然のこと。
そのズレが大きいから、自らの正義とは反するからと徒に殺し合いに乗っていない者を排斥すれば、その刃はいずれ君自身に跳ね返ってくることになるぞ」
「それは、どういう……?」
「私は君を善良な人間だと思う。君の思想、考え方も多くの人間にとって善と呼べるものではあるのだろう。
しかし中には主催に反発する者であっても君を、ゼロという存在を悪と断じる者もいる。あの皇帝ルルーシュなどまさにその筆頭だ。
思想、信条、価値観の違いだけを理由に相手を悪と断じて排斥するような真似をすれば、今度は君が他の誰かにとっての悪として排斥され得る。
そうしても良いのだというお墨付きを他人に対して与えてしまうんだ」
しかし中には主催に反発する者であっても君を、ゼロという存在を悪と断じる者もいる。あの皇帝ルルーシュなどまさにその筆頭だ。
思想、信条、価値観の違いだけを理由に相手を悪と断じて排斥するような真似をすれば、今度は君が他の誰かにとっての悪として排斥され得る。
そうしても良いのだというお墨付きを他人に対して与えてしまうんだ」
(それは……でも、確かにそうなのかも……)
マクギリスに言われ、2代目ゼロことシャーリーも我が身を省みる。
名簿には2代目ゼロと記載されているものの、元の世界ではゼロの交代は公にしていない。ゼロとしての全てを受け継いだ。
全てとは仮面の英雄、正義の味方を標榜する黒の騎士団のトップという立場だけでなく、人をブリタニアとの戦争に駆り立て、殺し合わせる戦争指導者の側面をも含む。
ナナリーの幸せのためであろうと、ブリタニアの圧制を受ける弱者が安心して暮らせる世界を作るためであろうと、戦争を仕掛けるゼロの行為は悪だ。シャーリーはそのように考える。
人によってはゼロの実態に嫌悪を覚えるであろうことは想像に難くない。
それに正義の定義だって人によって様々だ。放送で名前を呼ばれたカラレス総督やナイトオブワンのビスマルクなどはその好例と言える。
98代皇帝シャルルに仕える彼らにとっては弱肉強食を謳うブリタニアの国是こそが正義であり、ブリタニアに反逆するゼロは絶対悪に他ならない。
思想や価値観の違いを理由に同じ主催に抗う者を排斥するのがアリなら、シャーリーも同じく排斥される立場になっても文句は言えないということになる。
名簿には2代目ゼロと記載されているものの、元の世界ではゼロの交代は公にしていない。ゼロとしての全てを受け継いだ。
全てとは仮面の英雄、正義の味方を標榜する黒の騎士団のトップという立場だけでなく、人をブリタニアとの戦争に駆り立て、殺し合わせる戦争指導者の側面をも含む。
ナナリーの幸せのためであろうと、ブリタニアの圧制を受ける弱者が安心して暮らせる世界を作るためであろうと、戦争を仕掛けるゼロの行為は悪だ。シャーリーはそのように考える。
人によってはゼロの実態に嫌悪を覚えるであろうことは想像に難くない。
それに正義の定義だって人によって様々だ。放送で名前を呼ばれたカラレス総督やナイトオブワンのビスマルクなどはその好例と言える。
98代皇帝シャルルに仕える彼らにとっては弱肉強食を謳うブリタニアの国是こそが正義であり、ブリタニアに反逆するゼロは絶対悪に他ならない。
思想や価値観の違いを理由に同じ主催に抗う者を排斥するのがアリなら、シャーリーも同じく排斥される立場になっても文句は言えないということになる。
「君が総司令官と組むことを選んだ私に不信感を抱いたのはわかっているし、そう捉えられても仕方がないことも認めるさ。
だが―――私にもまだ100%君を信じきるわけにはいかない理由がある。君は未だに自分のことを全くと言っていいほど話してくれてないだろ?
主催の連中は様々な世界から参加者を集めたという旨のことは言ったが、それは異能や仮面ライダーなる存在が在る世界とそうでない世界というようなざっくりとした分け方だった。
なのに君は最初から見知った名前の参加者も別の世界、言うなれば細かく枝分かれした並行世界(パラレルワールド)から集められた可能性に気づいていた。何故だ?
いい加減顔を見せて全て話してくれてもいいだろう?ここには私と君の二人しかいないんだ」
だが―――私にもまだ100%君を信じきるわけにはいかない理由がある。君は未だに自分のことを全くと言っていいほど話してくれてないだろ?
主催の連中は様々な世界から参加者を集めたという旨のことは言ったが、それは異能や仮面ライダーなる存在が在る世界とそうでない世界というようなざっくりとした分け方だった。
なのに君は最初から見知った名前の参加者も別の世界、言うなれば細かく枝分かれした並行世界(パラレルワールド)から集められた可能性に気づいていた。何故だ?
いい加減顔を見せて全て話してくれてもいいだろう?ここには私と君の二人しかいないんだ」
マクギリスはここで2代目ゼロの核心に踏み込む決断をした。
向こうから話してくれるのをのんびり待つつもりであったが、彼女がこういう形で参加者と諍いを起こすとは思っていなかった。
こうなると悠長にしていられない。きちんと2代目のパーソナリティや元の世界での事情を聞き出しておかないといざという時のフォローに困る。
マクギリスの方で想像していた2代目ゼロのバックボーンの答え合わせもしておきたかった。
向こうから話してくれるのをのんびり待つつもりであったが、彼女がこういう形で参加者と諍いを起こすとは思っていなかった。
こうなると悠長にしていられない。きちんと2代目のパーソナリティや元の世界での事情を聞き出しておかないといざという時のフォローに困る。
マクギリスの方で想像していた2代目ゼロのバックボーンの答え合わせもしておきたかった。
「…………わかりました」
ここに来てシャーリーも腹を括った。
殺し合いが始まってすぐに出会い、ずっと行動を共にしてきた相手で、そしてこれから先も長く付き合うであろう相手だ。
それにもうとっくに性別にもおおよその年齢にも気づかれていることでもあるし、これ以上秘密を保っていても仕方がない。
マクギリスの前で二代目ゼロとしての仮面を外し、ゲームが始まってから初めて自分の意思で、人前でシャーリーとしての素顔を晒した。
殺し合いが始まってすぐに出会い、ずっと行動を共にしてきた相手で、そしてこれから先も長く付き合うであろう相手だ。
それにもうとっくに性別にもおおよその年齢にも気づかれていることでもあるし、これ以上秘密を保っていても仕方がない。
マクギリスの前で二代目ゼロとしての仮面を外し、ゲームが始まってから初めて自分の意思で、人前でシャーリーとしての素顔を晒した。
「私が2代目ゼロです。本当の名前は……シャーリー・フェネット」
☆
時間的な余裕がなかったこともあり何もかもを詳細に話すことはできなかったが、大まかな事情は説明した。
一般的なブリタニア人の学生で日本のアッシュフォード学園に通っていること、元々は先代ゼロの正体も知らず普通に過ごしていたこと。
黒の騎士団の作戦で民間人だった父を失い、やがてクラスメイトのルルーシュ・ランペルージが先代ゼロだと知ったこと。
一度は心中しようとしたがルルーシュにギアスを掛けられ一年以上彼の記憶を失っていたこと。
一般的なブリタニア人の学生で日本のアッシュフォード学園に通っていること、元々は先代ゼロの正体も知らず普通に過ごしていたこと。
黒の騎士団の作戦で民間人だった父を失い、やがてクラスメイトのルルーシュ・ランペルージが先代ゼロだと知ったこと。
一度は心中しようとしたがルルーシュにギアスを掛けられ一年以上彼の記憶を失っていたこと。
失敗に終わった黒の騎士団によるブリタニアへの反攻作戦、ブラックリベリオンの後、今度は皇帝シャルルのギアスを受けて記憶を改竄されていたこと。
ある日ギアスキャンセラーを持つ男によってギアスで歪められた記憶が全て戻り、疑心暗鬼に陥り、事故死しかけたこと。
その時危険を冒してシャーリーを救ったルルーシュの心に触れ、彼の力になろうと決意したこと。
ルルーシュの偽りの弟で名簿にも名前があるロロ・ランペルージと口論になり、殺されかけたところをルルーシュに庇われたこと。
今際の際のルルーシュから実妹のナナリーが安心して暮らせる世界を作るという願いを聞き、それを受け継ぐために黒の騎士団に入隊したこと。
ルルーシュからシャーリーに従うようギアスを掛けられたロロをはじめ様々な人と対話を重ねる中でいよいよゼロを継ぐ決心を固めたこと。
そしてトウキョウ租界でのブリタニアとの戦闘で重戦術級弾頭フレイヤの発射を阻止し、ついにナナリーの救出に成功したこと。
ある日ギアスキャンセラーを持つ男によってギアスで歪められた記憶が全て戻り、疑心暗鬼に陥り、事故死しかけたこと。
その時危険を冒してシャーリーを救ったルルーシュの心に触れ、彼の力になろうと決意したこと。
ルルーシュの偽りの弟で名簿にも名前があるロロ・ランペルージと口論になり、殺されかけたところをルルーシュに庇われたこと。
今際の際のルルーシュから実妹のナナリーが安心して暮らせる世界を作るという願いを聞き、それを受け継ぐために黒の騎士団に入隊したこと。
ルルーシュからシャーリーに従うようギアスを掛けられたロロをはじめ様々な人と対話を重ねる中でいよいよゼロを継ぐ決心を固めたこと。
そしてトウキョウ租界でのブリタニアとの戦闘で重戦術級弾頭フレイヤの発射を阻止し、ついにナナリーの救出に成功したこと。
「だから最初にブリタニアの礼服を着たルルが現れた時にはもう私の世界のルルとは違うルルだってわかったんです」
「なるほど、そういうことだったか。しかしまだ肝心なことを聞けていない」
「いやもう過去の事は大体話しましたけど……?」
確かに大体の事情は聞けた。しかしマクギリスが一番確かめたいことは別にある。
それを聞けないことにはマクギリスとしても腹を決めることができないのだ。
それを聞けないことにはマクギリスとしても腹を決めることができないのだ。
「答えにくいことかもしれないがどうかここはハッキリと答えてほしい。
君は先代のゼロだったルルーシュを愛しているのか?」
君は先代のゼロだったルルーシュを愛しているのか?」
「うぇええっ!?」
直球すぎる質問にシャーリーの頬だけでなく耳まで赤くなった。
事情説明の中でルルーシュへの好意はぼかしていたが全くもって無駄な努力であった。
しばらくあわあわとしていたが、マクギリスの真剣な眼差しを前に、やがて覚悟を決めた。
事情説明の中でルルーシュへの好意はぼかしていたが全くもって無駄な努力であった。
しばらくあわあわとしていたが、マクギリスの真剣な眼差しを前に、やがて覚悟を決めた。
「……はい。今までも、これから先も、死ぬまでずっと」
「そうか。………そういうことだったんだな」
「はい?」
マクギリスにはわからなかった。
最初にシャーリーに会った時からゲームに乗っていない者同士、良い関係を築きたいとは思っていた。
しかしそれはビジネスパートナー程度の意味合いに過ぎない。そのはずだったというのに気づけばずっと彼女のフォローをしている。
断言できるがマクギリス・ファリドという人間は本来こんなに他人に対して面倒見の良い人間ではない。
つい先ほどの総司令官との諍いについてもそう。交渉をフイにしかけたシャーリーを制止した時、何故か苛立ちは感じなかった。
その理由がわからなかった。けれどこうしてシャーリーと腹を割って話し合って、今ようやく理解できた。
最初にシャーリーに会った時からゲームに乗っていない者同士、良い関係を築きたいとは思っていた。
しかしそれはビジネスパートナー程度の意味合いに過ぎない。そのはずだったというのに気づけばずっと彼女のフォローをしている。
断言できるがマクギリス・ファリドという人間は本来こんなに他人に対して面倒見の良い人間ではない。
つい先ほどの総司令官との諍いについてもそう。交渉をフイにしかけたシャーリーを制止した時、何故か苛立ちは感じなかった。
その理由がわからなかった。けれどこうしてシャーリーと腹を割って話し合って、今ようやく理解できた。
(私が彼女を気に掛けていたのは、見捨てることができなかったのは……ルルーシュへの愛に殉じた彼女の姿が君を思い起こさせるからだったんだな。アルミリア)
元の世界に残して、もとい遺してしまった幼い婚約者に想いを馳せる。
自分が死んだと聞かされて。自分を討ったのが兄のガエリオだと聞かされて彼女は今どんな気持ちでいるのだろうか。
もしも生きて元の世界に帰ることができたら、まず真っ先にアルミリアに会って謝ろうと思った。
シャーリーに出会わなければこんなことも考えなかったかもしれない。
自分が死んだと聞かされて。自分を討ったのが兄のガエリオだと聞かされて彼女は今どんな気持ちでいるのだろうか。
もしも生きて元の世界に帰ることができたら、まず真っ先にアルミリアに会って謝ろうと思った。
シャーリーに出会わなければこんなことも考えなかったかもしれない。
(私には様々な選択肢があったように思う。
すぐにルルーシュの元へ行き、彼の覇道を見極めるか。それとも敢えてゲームに乗って俺の思うままに戦うか。
どちらも魅力的な選択肢だ。今でもそう感じている。だが……もうそれらの道は選べない)
すぐにルルーシュの元へ行き、彼の覇道を見極めるか。それとも敢えてゲームに乗って俺の思うままに戦うか。
どちらも魅力的な選択肢だ。今でもそう感じている。だが……もうそれらの道は選べない)
「我ながら最も自由のない道を選んだものだが、まあ仕方ない。
一番最初に君に出会ってしまったからな。本当に仕方ない」
一番最初に君に出会ってしまったからな。本当に仕方ない」
「マーシャさんもですよ、忘れないでください」
「ああ、そうだな」
マクギリスの中で一つの蟠りが解消された。
だが―――それはこうしてシャーリーを呼び出し、理由をつけて仮面を外させた目的のうちの一つに過ぎない。
だが―――それはこうしてシャーリーを呼び出し、理由をつけて仮面を外させた目的のうちの一つに過ぎない。
《キケン!キケン!ニゲロニゲロ!》
「ハロ?どうしたの?っていうかついて来てたの?」
「どうやら来たようだ」
自らの策が当たったことに気を良くするマクギリス。
その右手には既に紅蓮の起動鍵が握られている。
その右手には既に紅蓮の起動鍵が握られている。
「あ~~~~~」
通路の影から現れたのは一体の怪人。
複数の動物を掛け合わせた異形は総司令官が連れていたNPC。
情報交換の際に総司令官からは支給品で言うことを聞かせているとのことだったが、何故ここに?とシャーリーは訝しむ。
複数の動物を掛け合わせた異形は総司令官が連れていたNPC。
情報交換の際に総司令官からは支給品で言うことを聞かせているとのことだったが、何故ここに?とシャーリーは訝しむ。
「こうして彼女を連れて移動すれば必ず釣り出せると思っていたよ。
君が彼女に向ける情欲に満ちた目には最初から気づいていたんだよ。俺はそういうものには敏感でね」
君が彼女に向ける情欲に満ちた目には最初から気づいていたんだよ。俺はそういうものには敏感でね」
「えっ!?確かに見られてるような変な感じはあったけど……」
「あー……」
「いよいよ我慢しきれなくなったというところか?
仮面で顔を隠している状態ですら女であることを察し、あれほど熱烈な視線を向けていたからな。
素顔まで見てしまって、もうこれ以上のおあずけには耐えられないんだろう?」
仮面で顔を隠している状態ですら女であることを察し、あれほど熱烈な視線を向けていたからな。
素顔まで見てしまって、もうこれ以上のおあずけには耐えられないんだろう?」
敢えて怪人、シャチパンダヤミーの視界からシャーリーを遮るようにして間に立つマクギリス。
それに対してシャチパンダヤミーは露骨に苛立たし気な挙動を見せる。
NPCやロボ子とは違う人間、それもスタイルの良い女を前にして、シャチパンダヤミーの欲望はいや増していた。
高まった欲望は徐々にではあるがきびだんごによる洗脳効果を凌駕しつつあり、故にこうして総司令官の指示なき動きに出ていたのだ。
総司令官がシャーリーを襲わないよう強く命令していればもう少しは抑え込めただろうが、彼女の生死に頓着しない総司令官は特段の指示を出していなかった。
それに対してシャチパンダヤミーは露骨に苛立たし気な挙動を見せる。
NPCやロボ子とは違う人間、それもスタイルの良い女を前にして、シャチパンダヤミーの欲望はいや増していた。
高まった欲望は徐々にではあるがきびだんごによる洗脳効果を凌駕しつつあり、故にこうして総司令官の指示なき動きに出ていたのだ。
総司令官がシャーリーを襲わないよう強く命令していればもう少しは抑え込めただろうが、彼女の生死に頓着しない総司令官は特段の指示を出していなかった。
「あ~~~~~!」
シャチパンダヤミーが邪魔者を排除せんと突撃すると同時にマクギリスが紅蓮を起動。
決して緩慢というわけではないシャチパンダヤミーの動きよりも遥かに速いランドスピナーの高速機動を以って懐まで接近。
その速さは第七世代までのナイトメアを優に超える。
決して緩慢というわけではないシャチパンダヤミーの動きよりも遥かに速いランドスピナーの高速機動を以って懐まで接近。
その速さは第七世代までのナイトメアを優に超える。
「待って!ここで輻射波動砲は……!」
「わかっている。そしてその必要もない」
シャチパンダヤミーが振りかぶった右手の鋭い爪に敢えて合わせるようにして左手のMVSを振るう紅蓮。
シャチパンダヤミーの爪だけが一方的に切り裂かれる。さらに紅蓮がシャチパンダヤミーの腹を蹴り、ランドスピナーを押しつけ回転でガリガリと腹を削っていく。
シャチパンダヤミーの爪だけが一方的に切り裂かれる。さらに紅蓮がシャチパンダヤミーの腹を蹴り、ランドスピナーを押しつけ回転でガリガリと腹を削っていく。
「あ~!?」
蹴とばされ、床を転げ回るシャチパンダヤミー。身体からボロボロとセルメダルが散らばっていく。
爪は壊されたが攻撃手段はまだ他にもある。
起き上がり、シャチのヒレを模した切断性能に長けた弾丸を生成する。正確には、そうしようとした。
爪は壊されたが攻撃手段はまだ他にもある。
起き上がり、シャチのヒレを模した切断性能に長けた弾丸を生成する。正確には、そうしようとした。
一瞬の出来事だった。エナジーウイングを起動した紅蓮が、瞬間移動と見紛うほどの速度で起き上がる直前のシャチパンダヤミーに接近。
禍々しい、鋭利で巨大な右手で頭部を掴み上げたのだった。
禍々しい、鋭利で巨大な右手で頭部を掴み上げたのだった。
「消えろ」
「あぁぁああああああ!!?!?!!!?」
五本の凶悪な形状の鉤爪にガッチリと拘束されては逃れる術もなく、破滅の瞬間が訪れる。
輻射波動、起動。強力な電磁波を流し込まれ、シャチパンダヤミーの身体が超高温化に伴う熱でみるみるうちに膨張していく。
やがて臨界を超えて爆発四散。屋内であることを鑑みた最低出力であってもシャチパンダヤミーの偽りの命を奪うに十分すぎるほどの威力だった。
輻射波動、起動。強力な電磁波を流し込まれ、シャチパンダヤミーの身体が超高温化に伴う熱でみるみるうちに膨張していく。
やがて臨界を超えて爆発四散。屋内であることを鑑みた最低出力であってもシャチパンダヤミーの偽りの命を奪うに十分すぎるほどの威力だった。
これが第九世代ナイトメアフレーム、紅蓮聖天八極式の力の一端だ。
単純な装甲の厚さ、頑強さが意味を為さない必殺兵装・輻射波動に第七世代までとは比べものにならないパワーとマニューバ。
仮面ライダーやスーパー戦隊のスーツに例えれば任意かつノータイム・ノーモーションで発動できる加速能力兼飛行能力に等しいエナジーウイングによる超高速機動。
皇歴2018年時点でのナイトメアとしてはランスロット・アルビオンをも抑えて最強の機体だが、十全に性能を発揮できるのはマクギリス・ファリドが扱ってこそだ。
単純な装甲の厚さ、頑強さが意味を為さない必殺兵装・輻射波動に第七世代までとは比べものにならないパワーとマニューバ。
仮面ライダーやスーパー戦隊のスーツに例えれば任意かつノータイム・ノーモーションで発動できる加速能力兼飛行能力に等しいエナジーウイングによる超高速機動。
皇歴2018年時点でのナイトメアとしてはランスロット・アルビオンをも抑えて最強の機体だが、十全に性能を発揮できるのはマクギリス・ファリドが扱ってこそだ。
モビルスーツやナイトメアフレーム等各種人型機動兵器をパワードスーツ化するにあたって主催による一般人向けの調整が施されている。
が、この紅蓮聖天八極式は元々が人間が乗るという大前提を投げ捨てた代物だったため、調整されてなお極悪なまでの敷居の高さとなっていた。
一般人や少々訓練、場数を積み上げた程度の者では過敏すぎる反応に振り回されること確実、飛行しようものなら事故死待ったなしなピーキーすぎる仕様なのだ。
ポスト・ディザスターの世界でもトップクラスの力量を持つマクギリスが何度か慣熟飛行やNPC相手の実戦を重ねたからこそ100%の性能を発揮しきれるのである。
が、この紅蓮聖天八極式は元々が人間が乗るという大前提を投げ捨てた代物だったため、調整されてなお極悪なまでの敷居の高さとなっていた。
一般人や少々訓練、場数を積み上げた程度の者では過敏すぎる反応に振り回されること確実、飛行しようものなら事故死待ったなしなピーキーすぎる仕様なのだ。
ポスト・ディザスターの世界でもトップクラスの力量を持つマクギリスが何度か慣熟飛行やNPC相手の実戦を重ねたからこそ100%の性能を発揮しきれるのである。
【シャチパンダヤミー(NPC)@仮面ライダーオーズ/OOO 消滅】
「我々は確かにゲームからの脱出、主催者打倒のための同盟を組むことを承諾した。
しかしそれは我々の喉元に突きつけられた刃を甘んじて受け入れるという意味ではない。
理解していただけますね?―――総司令官殿」
しかしそれは我々の喉元に突きつけられた刃を甘んじて受け入れるという意味ではない。
理解していただけますね?―――総司令官殿」
恐らくはシャチパンダヤミーを追って来たのだろう、総司令官が物陰から様子を伺っていた。
125:龍園少年の事件簿 -アッシュフォード学園殺人事件- | 投下順 | 126:そして、和解 |
122:蛮野天十郎:リサイタル | 時系列順 | |
119:鉄人散りて鉄華となる | マクギリス・ファリド | |
二代目ゼロ | ||
総司令官 | ||
シャチパンダヤミー | GAME OVER |