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  • HIGH VOLTAGE

真贋バトルロワイヤル

HIGH VOLTAGE

最終更新:2025年02月12日 15:51

sinjitsurowa2

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だれでも歓迎! 編集
「ふざけるなァッ!!」

ひらけた無人街に響き渡る怒声。
次の瞬間、癇癪の矛先となった街路樹や街灯、そしてNPC達が哀れにも両断されていく。
手に持ったホットラインを感情のままに付近にいた怪物へと投げ捨て。
制裁と言わんばかりに斬撃と爆撃を瞬時に叩き込み、NPC諸共塵へと還した。
隠密や合理など頭から完全に抜け落ちた、仮にも一流の暗殺者の肩書を持つ者とは思えない所業。
見慣れぬ魔導器(ブラスティア)の操作に苛立ちながらも、ようやっと目当ての名簿を開いたにも関わらず。
余りにも己の意にそぐわないその内容に男───殺し屋ザギの怒りが爆発した。

「オレがいるんだぞ…何故お前がいないユーリ・ローウェルゥッ!!
 おまえがいる場所はオレの居る場所と───そう決まってるだろうがァァッ!!」

初めて傷を与えた男。初めて敗北を味合わせた男。初めてその強さに心奪われた男。
あらゆる初めてを奪った、脳髄の奥底までその名を刻み込んだ愛しき男──ユーリ・ローウェル
取る足らない雑魚を淡々と処理するだけの冷めきった人生に激しい熱を齎した好敵手。
稀に見ない強者と心ゆくまで鎬を削り合い、共に高みへ昇り詰めるべく。
肉体の一部を魔導器(ブラスティア)に変える外法の改造を施すに至った執着の大元。
必ずいると存在を確信していた獲物の不在が、ザギの苛立ちを加速させていった。

「ケンジャクゥ……!!───舐めた真似しやがって…ブチ殺すぞォ!」

無理やり拉致し、枷を嵌め、縛りを設け、闘いを強いる。
船上やノードポリカの闘技場以上に逃げ場のない殺戮に適した最高の舞台。
ここまで完璧な御膳立てを整えておきながら一番肝心な役者がいないとは何事だ。
愚劣極まる人選を行った主催者達への殺意が止めどなく溢れ出る。
今すぐにでも無能共の素っ首を叩き落とし、眼前に並び立てねば気が済まない。

「…うずく……うずきが止まらねぇ…!
 今すぐにでも殺らせろと…オレの刃と魔導器が喚いてやがる!!」

目に映る全てに片っ端から激情をぶつけようと。
発散を遥か上回る勢いで溜まる鬱憤が晴れる訳もなく。
全身を支配する疼きと猛り。それを鎮めるには惚れこんだ男とのめくるめく闘争以外他になし。
乾いた刃に強者の肉を切り裂かせ、暖かな血を啜らせる。
だが、その意中の相手──ユーリ・ローウェルは不参加は確定済み。
ならばもう、餌を求める武具の飢えを満たす手段はないのか。
しけ切った殺し合いを楽しむ術は存在しえないのかと、そう問われれば、答えは否だ。

「クロガネ・スパナ、ハナムラ・ヨウスケ…」

飢えた獣が思い起こすはこの地で最初に出会った新たな二匹の獲物。
奇妙な武装魔導器で全身を武装した熟練の戦士、黒鋼スパナ
使役する魔物との巧みな連携を魅せた軽薄そうな青年、花村陽介。
普段殺しの依頼で相手する、少し刃を振るえば呆気なく死に至る有象無象共とは別格。
ユーリやその取り巻き達と同類。久方ぶりに逢う、己と渡り合える実力者達。

「ククク…ああ、そうだったな。此処は雑魚ばかりじゃねぇ。殺りがいのあるヤツは幾らでもいる。」

自身の標的足りうるは彼らだけではない。
羂索が言うには、一般人でも十分に戦える様に幾つかの調整を施したと聞く。
スパナが装着した武装や自分に支給された"自前以外の刀"が、その言葉の信憑性を高めている。
元来からの強者のみならず、本来歯牙にもかけない弱者が、強者に化ける可能性を秘めた世界。
ユーリの代替品、いや、彼に並ぶ逸材も見つかるかも知れない。

「オマエの代わりになれるヤツらを全員殺してから、その後にまたおまえを殺りに行こう。
 おお…そうだ!それがいい、それが一番だ…!
 ヒャハハハ…!おまえのせいだぞ…おまえのためだ、ユーリィィィッ!!」

此処にいる者全てを魔導器の餌へ変える。本来この刃を受け止めるべき男がいないが為に。
大勢の参加者と無能共の首を、彼への土産として持参してやろう。
自分の不在が原因で、沢山の人間が死んだとなれば、あの男はどう思うだろうか。
怒りか嘆きか、何にせよその感情の昂ぶりが後の闘いのスパイスとなれば。
好敵手無きこの殺し合いにも大きな価値が出てこよう。
実際はユーリがいようといまいと。下す結論は同じく皆殺しだったが、その程度の差異など些末事だ。

「スパナ…ヨウスケ…先ずはアイツラから…
 いや、"今は"駄目だ…最後には逃げやがる連中じゃ今は満足出来ねぇ!!」

ザギが求めるのは、何方か一方が死に絶えるまで続く命懸けの勝負だ。
此方の魔導器の暴走があったとは言え、奴等は最終的に逃走を選んだ。
強さこそ及第点以上あれど、消極的な輩じゃ些か物足りない。
現在に至るまでの時間を通して、溜まりに溜まったストレス解消の相手。
例え何時如何なる状況だろうと敵の首を取りにかかる同類でなければ。

そうして茹だった脳で自分好みの相手との出逢いの手段を考え始めた頃。

「オウオウ、オレ等の縄張り(シマ)で何やがんだ兄ちゃんよぉ!」
「……あ?」

久方ぶりにザギの耳に届いた画面越しではない肉声。
首を上へと傾けると、スタジアムの入り口からぞろぞろと姿を見せる人の群れ。
彫りの深い顔立ち(ツラ)に、背広(スーツ)がはち切れそうな程の屈強な体格(ガタイ)。
揃いも揃って短刀(ドス)に拳銃(チャカ)を携えた野蛮な男衆。
表社会に馴染めず爪弾きにされた裏社会(ヤミ)の住民、総じて"極道"。

彼らは皆NPCだが、本能的に襲う怪物や人型NPC達とは違い。
参加者を積極的に襲えと明確に設定(インプット)されている訳ではない。
唯一つ、会場(フィールド)全体は自分達の縄張りである、とした認識操作。
ただそれだけの一手間で、極道はいとも容易く参加者に害意を振り撒く敵となる。
身内以外の誰かに悪事を働くのに一切の呵責もない。それ程までに相容れぬ存在なのだ。

「その長刀(ナガドス)に義手(メカウデ)!どう考えても一般人(カタギ)じゃねぇな!?」
「…まさかたった一人で襲撃(カチコミ)かァ!?殺(ッ)ぞコラァ!」
「侮辱(ナメ)てんのか!?特攻(ブッコ)みかました度胸(ガッツ)は認めてやるがよォ!」

ひしめき合う集団からまずは三人。
上半身を曝け出した極道達が前に出て正面階段を降りていく。
顔以外の肌に所狭しと刻まれた刺青(もんもん)を堂々見せびらかし。
下品な程に荒れた声量と眼力で威圧しながら、無謀な襲撃者へと対峙する。

「雑魚共が…テメェらじゃ何回殺(や)ろうが逝けねぇんだよ!!」

人の形をし、豊かな感情表現をして、流暢に言葉を交わす。
しかし彼らにはスパナ達のような全身を高揚させる気配をまるで感じない。
つまりはNPC──また"ハズレ"だ。数が多いだけの近隣に湧くの魔獣以下の塵の山。
癇癇に沸き立った激情に燃料を投下する薪に過ぎない。
何の足しにもならない雑魚を早々に片付けようとした所で───ザギの脳裏に一筋の光明が差した。

「!テメー!抜刀(ぬ)く気だな!?」
「上等(ジョートー)だオルァ!!オレの短刀(ドス)で滅多刺しにしたらああ!!」

だらりと下がったザギの腕が腰へと延びる。
動きを見せた外敵の行動に極道たちの語調は更に荒立った。
手の伸びた先、腰の凶器を見るや否や、戦闘の意志有りとみなし。
それに応戦するように全員短刀を抜き放ち、一気に階段を駆け降りる。
周囲に巻き散らす殺気を勢いに変えながら疾走る極道。
彼らが最下段に到達するよりも速く、ザギは刀を手にしたが。
彼が抜いたその刀は、普段腰に差した愛用の双刀ではなかった。

「なんだぁその刀!短(ショ)ッ小(ボ)!!」

刃物と呼ぶには充分だが、刀と呼ぶには余りに小ぶり。
その形状は奇しくも旧時代(オールドタイプ)な忍者が使う"苦無"に近しいか。
自前の武器を押し退けて取り出した刀。ザギはそれを投擲するでも、迫り来る敵に向けるでもなく。
自らの服の首元を引っ張りあげ、金に輝く刃先を自身の身体へとむけたかと思えば。

次の瞬間、何の躊躇いもなく心臓部へ深々と突き刺した。

「…グ、おおお────!」
「自殺!?冗談(マジ)かよあの野郎!」
「怖気(イモ)り通り越して精神薄弱(ヘラ)った!?理解不能(いみわかんね)ーぞ!?」

口元から血を垂らし、苦悶に喘ぐザギに阿呆と内心嘲る極道達。
ザギに抱いていた警戒は露と消え、三人の頭は困惑と嘲笑で埋め尽くされる。
本格的に始まる前から終わったも同然の戦い。
だが、矛を収めるつもりは皆無。謎の自傷を行った理由など知った事ではない。

「苦痛(くる)しいだろ!?慈悲深(やさ)しい俺達が介錯(らく)にしてやらあ!!」

溺れた犬を叩く勢いそのままにザギへと飛び掛かり、一斉にドスを振り下ろす。
最早死体蹴りに等しい極道達の同時攻撃は───三撃揃って空を切った。

「お!?不発(スカ)った!?」
「違え!逃避(にげ)やがったんだ!何処だ!?」

勝ちを確信し切っていたが故に置かれた現状に混乱する極道たち。
半ば遅緩しきっていた警戒を引き締め直した矢先。
彼らの鼓膜が"二つ"の音はキャッチした。

一つ目はコツ、コツ、と。ゆっくり階段を昇る靴音。
二つ目はバチ、バチ、と。火花が弾けるような放電音。

何方も位置は後方。発生源は恐らく消えた襲撃者に違いない。
如何なる手段で逃げおおせ、死角(バック)に回ったかは知るまいが。
不可解であっても所詮死にぞこない。今度こそ確実に仕留めてみせよう。
躊躇(びび)ることなく、背後を振り向いた所で。

「後ろだァ─────ぁれ?」

感じる、強烈な違和感。

「後ろっていうか───真上じゃね?てか、なんか全体的に巨(デ)ッ大(ケ)…─────」

初めは前方、次は後方にいた襲撃者が。
今では何故か己の視界の真上にいて、悠々と階段を昇っている。
それだけではない。
先程駆け下った大階段。居座っていたスタジアム。
最上段に残して来た仲間たちまでの距離までも。
映る景色全てが桁違いに大きく膨れ上がったように見える。
一体これは何だ。不可解な現象を目の当たりにしたせいか些か気分も悪い。
原因を究明すべく双眼と脳を忙しなく動かし、漸く気づく。

「あ、違ぇ。これ──俺らが斬首(ちいさ)くなったんだわ」

世界が見上げる程突然巨大になったのではなく。
自分達の目線が遥か"下"にあるのだと理解して。
分かたれた胴体が遅れて崩れ落ち、意識も途絶えた。

「や、危険(ヤベ)ェ!みんなァ────!!」

一部始終を傍から見ていた誰もが。
仲間の首が跳ぶ瞬間まで、一切攻撃に気づかなかった。
夢幻かと目を疑う異常性に、眼前の敵の脅威を正確に認識。
集団の先頭付近に立っていた極道が声高々に叫ぶ。

「ヤ」

地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)
理不尽極まる強者に対抗しうる切り札。
個で劣るが、数で勝る弱者が。
個を限界まで強化した上で数を以て難敵を迎え撃つ。

「ク」

今はとにかく時間が惜しい。
一刻も速く。
一秒でも速く。
迫り来る危機を脱するために。

「キ」

自身も回数券(ヤク)を取り出しながら。
己の背後で未だ動揺冷めやらぬ同胞達へと。
服用を促すべく首を振り───

「m…──」


バチリ、と迸る閃光。


その中心に立つ"強者"の姿を見た刹那───


「────閃空烈破…!」



────吹き荒れた紅嵐に総身を四散させた。



「ひいいいいいいい!!」

有無を言わさぬ繰り広げられた殺戮劇。
双刀の回転の間合いにいた者は声を出す間もなく塊肉と化し。
範囲外だった者も斬撃の余波に巻き込まれ、浅からぬ傷を負った。
幸か不幸か、集団の端にいて難を逃れた極道の一人は。
凄惨極まる衝撃の光景に、女々しくも悲鳴をあげるしかなかった。

「み、見てたのにまるで分からなかった…!同胞瞬殺(やら)れる瞬間が…!」

先陣を切った三人が目にも止まらぬ速さで殺され。
先頭に立っていた同胞の一人が「危険い」と叫んだその時はまだ。
襲撃者は階段の下で昇って来ていたのを確認している。
それがどうだ。振り向こうとした次の瞬間には。
集団の中心へとするりと入り込み、人体を分解(バラ)す凶風を吹かせた。

「瞬足(はや)過ぎる…!俺らが回数券(ヤク)キメたってあんな速度だせっこねぇ…!」

瞬間移動の如き、神速の脚運び。
人間の身体能力を飛躍的に向上させる薬物、地獄の回数券。
その薬効を理解して尚、常識外れと言わざるを得ない、戦意をへし折る埒外の速度。
そんな非現実を現実に変えられる規格外は、頭にある限り二つ。
裏社会の頂点に立つ全極道希望の星、破壊の八極道か。
或いは────

「に、忍者……!」

怯えで緩んだ口から飛び出た忌むべき単語。
生き残った全ての極道が耳にした途端にどよめき立ち竦む。
一同が想起するは恐怖の象徴。警察も法も恐れない彼らが唯一恐れる存在。
裏社会で悪事かますと必ず来襲する悪夢の体現者。
弱者(ごくどう)を虐げ、踏み躙り、ブッ殺す───絶対的強者(にんじゃ)。

己の脚力のみで空を蹴り、疾風の如く戦場を駆け巡り。
凛々の明星との多対一の戦闘を幾度繰り返してものともしない。
ザギもまた蒙昧な弱者に辟易する強者に違いなく。
その領域を押し上げたのが、心臓に突き刺した刃にある。

天才刀鍛冶四季崎記紀が完成系変体刀十二本が一振り、悪刀『鐚』
刃に帯電した雷が所有者の生命活動を極限まで活性化させる。
その効果たるや、傷を許さず。疲れを許さず。死さえも許さない。
人類の夢を体現するこの世で最も『善』良な刀であるかの如く見せかけて
その実、人が誰しも持ち得る永久の安らぎを奪うこの世で最も『悪』辣な刀。
だがしかし、闘争の為に肉体さえ煩わしいと思う狂人の中では。
『悪』刀は紛れもなく良縁であり、その餌食となる者にとっては紛れもなく『悪』縁であった。

「テメェらは"飾り"だ…」

ぐりん、と緋色の眼が生き残った極道達の方へと向く。
凡そ人間に向けるものとは到底思えない、家畜かそれ以下の塵に注ぐ冷め切った目線。
その狂気の視界に入った誰もが幻視した、避けられぬ"死"。
恐怖に耐えかねたうちの一人が、背を向けてスタジアムへと走った矢先。
"頭部"だけが一瞬で目的地へと到達し、飛来した刃で壁面に打ち付けられた。

「オレの"本命"が来やがるように、全部バラシて飾り立ててやるよォ!!!
 ひひ…ひははっ!ひゃははははははははは─────!!」

本来熱狂が渦巻く球戯場の入り口に、響き渡る絶叫と狂笑。
恥も外聞も全て捨て、抗えぬ生存本能──恐怖に従い我先へと逃走を図る弱者の群れ。
その後を追うように、微かな雷光と共に強者の影が消え去り。
一分と経たずして──会場には再び一時の静寂が返った。


◆◆◆


「病院行ってみねぇか?」

仮面の男、ラウ・ル・クルーゼ。悪逆皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
開幕と混沌を告げる二つの放送が終わり、開示された情報をあらかた咀嚼し終えた矢先。
"帝都八忍"呪血の忍者兄弟(ブラザーズ)が末弟、邪樹右龍は開口一番、同行者へとそう投げ掛けた。

「病院~?オッサンには無縁の場所に思いはりますけど?」

同盟を結んだ連れからの提案にマジアサルファこと、天川薫子は右龍を見やる。
麓から見上げる大山と見紛う迫力の巨躯と、鋼鉄よりも遥かに強固な肉体。
あらゆる怪我を寄せ付けない、右龍の頑強さを言い表すのに余計な言葉など不要。
彼を全身を構成するあらゆる箇所が、その健康優良加減を何より雄弁に物語る。
人間を蝕む病魔(ウイルス)さえ尻尾を巻き、回れ右して一目散に逃げだす偉丈夫。
そんな彼が病院に顔を見せれば、縁者や友人の見舞いか冷やかしとしか思われないだろう。

「まぁ…確かにうちらは今は縫い目の腐れ女にけったいな病気仕込まれとりますけども。
 まさか首謀者が用意した病院に駆け込めば、一発で治る~なんてご機嫌な話したい訳やないやろ?」
「オウオウ薫子(かおる)っち!そりゃお兄ちゃんと比べりゃ頭脳明晰(あたまいい)わけじゃねぇけどよ~。
 流石にオレもそんな夢物語(アホ)な話を恥ずかし気もなくいう訳じゃねぇぞ!
 ……ちっとばかし本気(マジ)でそうも考えてたのは秘密(ナイショ)だぜ?」
「冗談やて。で、病院が目的地って事は…オッサンは"合流最優先"でいきたいワケか?」

薫子は魔法少女の鉄則から、右龍は忍者大原則に乗っ取れば。
第三者に自身や仲間の正体を明かす事は最大の禁足事項(タブー)であるが。
混沌とした状況下に規則(ルール)を気にして。
これから共に肩を並べ戦う相手に情報を秘匿するのは非合理であり不義。
故に元の世界における秘密主義は一時撤廃。諸々の諸事情は概ね共有済み。
それを踏まえた上で右龍の口から病院の文字が飛び出せば。
天才外科医、覇世川左虎──彼の兄の存在に結びつくのは自然な思考の推移。

「応(おう)!一番上手く病院を有効活用出来んのが医者だからな。
 弱体(デバフ)喰らってる今だとお兄ちゃんが施設の力借りに来る可能性はそれなりにあるだろ
 ただな、オレの病院行き理由は合流(ソレ)だけじゃねー。」

「さっきも言ったが一番上手く病院を有効活用出来んのが医者だ。
 "良くも悪くも"な。で、この殺し合いにオレの知る限り医者は二人。
 一人はご存じオレのお兄ちゃんで、もう一人は───"極道"だ。」

怪獣医(ドクター・モンスター)・繰田孔富。
名医(ゴッド・ハンド)の称号を欲しいままとする左虎が最も尊敬する医師であり。
右龍の同胞帝都八忍を幾人も葬った破壊の八極道の一員。
殺し合いの打破に於いても決して避けて通れない忍者にとって不俱戴天の敵。

「お兄ちゃんの医術(テク)は文句なし最上級(ピカイチ)!
 そこに真面な設備がありゃ更に沢山の参加者を救える可能性はグンと上がる。
 だが、その可能性と同じだけ、参加者に地獄見せる力があんのが繰田孔富だ。
 あの怪獣医が先に病院占領(おさ)えた時、どんな厄介(ヤバ)ェ悪事(わるさ)が出来っか。
 医学知識(ガク)のねェオレにゃ想像もできねェ。」

施設の内部構造や置かれた物品まで忠実に再現されている会場内において。
一般的な病院も現実と同等の設備や薬品が存在すると仮定すれば。
豊富な医学知識を持つ者にとっては、無限の手札を与えるに等しい。
善意で扱えばその全てが良薬となり、悪意で扱えば全てはその劇薬と変わる。

病院を制した者が宿敵を殺す最大の好機(チャンス)を物にする。
部下の医師団も悪事を成す土壌も奪われた八極道、一人。
仲間の帝都八忍と裏社会を見通す目を捥がれた呪血の忍者兄弟、二人。
悪に精通する怪獣医が混沌を制し忍者を討つか、兄弟が集い両雄揃った最強の布陣で極道をブッ殺すか。
幸か不幸か────条件は対等(ごぶ)。

「病院は狡猾(わるぢえ)働く悪党が悪事(わるさ)かます為にあるんじゃねー。
 命救う為にあんだ。だから、弱者善人利用しに集る野郎どもが寄り付く前に。
 迅速(なるはや)でオレ達が制圧(おさ)えて安全圏にしときてェのよ」

病を抱えた人々。怪我に苦しむ人々。
そんな弱き者達の駆け込み寺となるのが病院であり。
憔悴した心の拠り所となるのが、従事する医者(ドクター)達だ。
尊敬する義父と兄の背を見て来たからこそ、医療の偉大さは重々承知している。
救いの象徴たる在り方は殺し合いでも変わらない筈。
一縷の希望を求めて来た人々が、少しでも安心して心と傷を癒せる様に。
孔富やルルーシュの様な悪事かます悪党から守り抜く。それが忍者が成すべき責務の一つだ。

「───ってのが俺の都合だ。で薫子っち。オメーはどうだった?
 そっちにもどっか行きてー施設あんなら先付き合うぜ。」
「いや、こっちは特に施設で合流の目安は無いし、オッサンの案で何も文句あらへんよ
 病院抑えといたら、うちのお人よし二人が怪我人連れ添って来はるかもしれへんし。」

薫子の知人は三人。同じ魔法少女、トレスマジアのメンバー花菱はるかと水神小夜。
そして"何故か"場違いな殺し合いに連れて来られた一般人のクラスメイト、柊うてな。
充分人となりを見知った友人ではあるが、だからこそ彼女らがどう行動するか指針が読めない。
マゼンタやアズールは間違いなく人助けを優先し、自分の事情は後回しにするタイプ。
うてなはこの魔境で無事の場合は、厳しい事を言うが善良且つ同行者に恵まれた場合のみ。
つまりは何方も同行者の指針に左右されやすい傾向にある。その相手の分からぬ今は同行を読むのは困難。
出来る限り迅速に動く事さえ念頭に置けば、保護や合流はおのずと叶う。
理にかなった方針には黙って頷くのみでいい。

「応(おう)、感謝(サンキュー)な…!
 速いとこ薫子っちの親友(ダチ)とも合流出来るように迅速(なるはや)で行こうぜ。」
「て、当面の目的地は病院でええとして、逃げおった怪獣はどないする?
 ウチら二人でトントンやった奴相手に出来る参加者早々おるとは思わんし。
 なるべく戦力が揃っとるこっちで仕留めなアカンやろ。」

目的地の方針が定まったところで議題は次へと移る。
洗脳と思しき干渉を受けた少女と彼女が変身する大怪獣。
電撃、光線、バリア、テレポート。多彩な能力と驚異的な肉体(フィジカル)を有し。
単独では先ず苦戦必死。忍者と魔法少女の即席同盟でようやく撤退に追い込んだ強敵だ。
此方がまだ万全な内の早期決着が望ましいところだが、現実はそう上手くはいかない。

「怪獣(デカブツ)があのまんま悪事(わるさ)してりゃ即で分かるが…
 薫子っちが言うにゃ、アイツ元は女子高生(じぇーけー)なんだろ?
 人間サイズに戻られちまうと"目"のねェ今のオレ達で探すのはちっとばかり難儀(きび)いぜ。
 派手な騒動(トラブル)がありゃ、速攻(ビョウ)で駆け付ける!がこっちが出来る精一杯だな」
「ったく、コソコソ逃げ回って手間ばっかかけおってからに…
 さっさとブチのめしたるさかいとっとと出てこんかい!デカい図体しとる癖して肝っ玉はノミレベルか!?」

3m近い巨躯に住宅街を崩壊せしめた破壊規模。
右龍らが最後に見た姿そのまままであれば、恐らく補足・追跡は容易であろう。
だが、怪獣は薫子が最初に見た変身前──鬼方カヨコとしての姿を持ち合わせている。
頭部の光輪(ヘイロー)こそ目立つが、人間の姿で巧妙に広い会場内を隠れられると発見は困難を極める。
忍者の監視の目となるぺしゃり烏や鼠坊衆の力を借りられない以上。
彼女が大怪獣として悪事を働くまでは、後手に回らざる負えないのがもどかしい現状。

「一気に真反対(ウラ)まで逃走(トンズラ)したり、連続で使える無法(チート)は早々ねェだろうし
 転移(ワープ)出来てもそう遠くにゃ行ってねー筈だ。ここら駆け回りゃ近いうち遭遇(あ)えんだろ。」
「すぐ会えてもまたええとこで逃げられたら敵わんで。
 こっちはいっぺんはぶちのめしとるし、ウチら見たらすぐ跳んで逃げるやろアイツ」
「と、なると怪獣(デカブツ)を逃がさねー手段も見つけなくっちゃだな!
 っても、んな丁度(ピンポ)で特攻(メタ)れるもん都合よくあるとは思えねーが…」
「せやろか。好き放題出来る能力が野放しになってるなら、その分お灸据えるもんもあるんとちゃいますの?
 例えば、達者な演説してはった兄(あん)さんの能力なんていい例や。
 洗脳し放題やけど解除の手段はない、なんて全然フェアちゃうやろ。
 それを何もせんと黙認しとるなら主催者のやっとる事ちぐはぐ過ぎへんか?」

少なくとも無数の制限や強化アイテムでバランス調整を施している点を鑑みるに。
個々人の能力一つでやりたい放題出来る環境にはなっていない。
羂索達が飽くまで殺し合いを公平に催したいならば。
無法とも思える能力を無力化する支給品や能力が用意されるのが妥当。
すなわち、二人が頭を悩ませる洗脳や転移の対抗札も必ず存在すると考えるべきだ。

「成程(なる)だぜ。つまりは主催が公平(フェア)意識してんなら探しゃそのうち出る。そういうこったな!」
「まあそういう事やけど、なんやざっくりし過ぎやないの?」
「複雑(ムズ)い事は熟慮(かんが)えられる仲間と合流してからだ。
 とにかくオレらは病院を目指す!一般人(パンピー)は救助!仲間と合流して!悪党はブッ殺す!!
 これ位単純明快(さっぱり)してる方が身軽で動きやすいだろうぜ。」
「ま、確かにせなあかん事山済みやしね。きびきび動いて人探さんと話にならんわ。」

目的地と方針を定めると、右龍とサルファは急ぎ北上を開始した。
兼ねてより速さには自信ありの両名。多少の弱体(デバフ)が身体を蝕もうとその速度は健在。
時折NPCが往く手を阻むも、地を駆ける二閃の稲光を止めるには至らない。
群れをなし善良な一般人を脅かす害悪を片手間に駆逐しながら、参加者を捜索する二人。
怪人怪物では全く抑えられなかった探索であったが、突如としてその歩みは止まった。

「気づいたか、薫子っち。」
「ウチらと毛色はちゃうけど魔力っぽい気配を感じる。オッサンは?」
「薫子っちみてーな特別な魔力探知(カン)はオレにゃねぇが…。
 色々鍛えてっからよォ、嗅覚(ハナ)は利くモンだぜ。…こいつァ血の匂いだ。」

魔法少女として備わった感性と忍者の卓越した五感が異変を感じ取る。
一点から漂う異質な気配と嗅ぎ慣れた惨劇の臭気は進路を変える要因として充分。
ホットラインに添付されたマップ情報と照らし合わせながら出所を探る。

「この方角はスタジアムか。丁度見えて来てんぜ。」
「ホンマや。しっかし、何の為にわざわざあんなもん建てたんやろか。
 どう考えても金の無駄やろうに。殺し合いで仲良く球遊びでもしとけいうとんのか」

参加者が一同に会し、サッカーや野球に興じる超次元な映像が一瞬脳裏を過ぎる。
アホか、と下らない妄想に毒を吐き、思考を現実へ戻す。
事件の気配があるならば、馳せ参じ無ければ正義の味方の名折れ。
言葉を交えずとも二人の意志は合致し、稲妻の如き俊敏さで現場へと急行する。

現場に近づくにつれ、濃度を増していく血の匂い。
スタジアムの前に聳え立つ大階段に到着する頃には。
嘔吐きたくなる程の濃く醜悪な臭いをサルファにも克明に嗅ぎ取れる程に強まっていた。
上段から下段にかけて滴り落ちる赤い川が最上部の惨状を想起させる。
一足跳びに階段を飛び越え、その先に待つ地獄と呼称するに足る惨劇を見た。

「なん……やこれ────」

視界いっぱい、見渡す限りの血、肉、そして首。
人から生み出された"赤"を塗り広げるかの如くばら撒かれた肉片。
恐怖で固定された生首の表情は、当時の壮絶な状況を物語っており。
出入口を取り囲む死肉の山は外部からの介入を拒むバリケードのようだった。

「刺青、短刀に麻薬(ヤク)…典型的な極道だな。腕輪(レジスター)は見当たらねぇ。
 つーてぇとコイツらはNPC(モブ)で間違いねェだろうが…」
「随分と趣味が良ぇ輩がいはるようやね。──…ほんま胸糞悪いわ…」

肉の海を平然と直視しし、掻き分けながら遺品や死体の検分を進める右龍。
その所作には一切の動揺が見られない。
顔を顰めるばかりの自分との違いは、間違いなく潜った修羅場(けいけん)の差。
真紅に染まった凄惨極まる光景も、忍者にとってはまだ日常の範囲内。

暴力性、残虐性。
そういった野蛮な類に一番耐性のあると思っていた自分ですら。
悪意の残骸だけでこうも堪えるのならば。その源流に直接晒された時。
はるかや小夜はこの先も正義のヒロインとして戦い抜く事が出来るのだろうか。
一般人であるうてなは世界で生き続ける事が出来るのだろうか。
悪意に満ちた世界で闘う遠く離れた友人達。そのこれからの道程に一抹の不安が過ぎる。

(…何勝手に想像して勝手に呑まれそうになっとんねん。それこそ一番アカンやろ)

「薫子っち、ちょっとキツいかもだが、これ見れっか。」

サルファの傾いた心情に気遣うように右龍が呼び掛ける。
此処で引くのは相棒に毅然とした態度で方へ向かう。
入口に立て掛けるように放置された背中が曝け出された極道の死体。
五体満足──首が無いので、四体満足か。
比較的原型の残った死体には刺青とは別の無数の切り込み線が刻みこまれていた。
無造作ではない、規則性を持った切り口。
唯の裂傷にしか見えないそれは、目を凝らすと何か文字のようにも見えた。
日本語でも英語でもない、異邦の言葉。理解出来たのは、黒幕らによる調整故か。
乱雑な字体から、読み取れた文字はただ一言。

『中で待つ』

「どーやら挑発(おさそい)みたいだぜ。突入(いけ)るか?」
「正直に言うなら関わりたないのが本音や。けど、こんな真似しおるアホたれを野放しにしとけるかいな」

グロテスクな視覚情報を通じて垣間見た、悍ましき殺し合いの世界が内包する悪意の一端。
エノルミータとの対決で女幹部たちに感じる不快感が如何に生温く穏当なものであったかと錯覚する程に。
どこまでも暴力的で凶暴な悪意の形。
NPCとは言え、姿形は人そのもの。仮にも同族相手に人は此処まで残酷になれるのか。
狂気じみた暴力性の発露を躊躇なく実行出来、中規模集団を皆殺しにする実力を持つ人物。
NPCに留まらず、罪なき参加者の元にもその牙を剥けるのならば。
優しき世界に生きる大切な友にその穢れた悪意を向けるのならば。

(させへんわ)

何がなんでも絶対に守り通す。
元より殺し合いと認識した時点で覚悟はしている。
良い子のみんなに顔向け出来ない汚れ役。
純真無垢で最も正義のヒロインらしいマゼンタにも。
最近は変態チックだが高潔な意志を持つアズールにも任せられない。
トレスマジアでそれを担えるのは、性質が"向こう"寄りな自分位なもの。

(はるかや小夜、うてなはんには絶対向けさせへん。)

やられっぱなしは許せない。舐められたら徹底的にぶちのめす。
相手を殴り倒すのが気持ちいい。外面は守ってはいるが、気性の荒さが見え隠れする。
なんと野蛮なことか。清廉潔白でおしとやかな魔法少女向きではない。
殺す気で来た相手の命を奪うのに怖気づいて、いい様にやられるなど真っ平ごめん。
それで友を傷つけられ、悔しい想いをする位なら、例え拳を血で汚す事になっても───。

「…オイオイ~!全身硬直(ガチゴチ)じゃねェか薫子っち~!
 もう少し弛緩(リラックス)してかねーと土壇場で失態(ミス)ッちまうぜ~?」

突如華奢な肩にかかる強烈な圧力。
魔法少女でさえ大きくよろける腕力で両肩を叩かれ。
昏く沈みかけた意識が、痛みで一瞬にして現実へと浮上する。
その後、子が親に純真な心でするように屈託のないにこやかな笑顔でもみもみと。
骨太な巨腕に似合わぬ優しい手付きで肩を揉みしだき始めた。

「ちょ!何急に触ってとんねん!手付ききしょいで!」
「──怖ぇか?薫子っち。」
「な…怖ないわ!アホぬかしなや!」
「虚像(ウソ)が稚拙(ヘタ)だな~おい。極道の山見た時の反応みりゃ一発(パツイチ)で分からあ。
 それによ、気付かなかったのか?ドアの鏡越しに完璧(ばっちし)映ってたぜ。
 糞(クソ)みてーな現実に破れかぶれで神風(とっこう)しようとする悲痛(やけっぱち)な面がよ。」

あんなしかめっ面男館(ホスト)じゃなくても楽勝で分かるぜ、と口角を挙げる右龍。
醜い泥を被ってでも、穢れ無き友の為に誰かを殺す事。
その罪と迷いに頭が一杯になっていたあの時のサルファは、取り繕う事など頭から抜け落ちていた。
例え取り繕えていたとしても。どれだけ身体能力に弱体(デバフ)が掛かろうとて。
少女(オンナ)の感情の機微を見通す艶(い)い男の眼は決して曇る事はない。

「安心しな。美人(マブ)い魔法少女(ヒロイン)の手は汚させやしねぇ。
 黒幕共が強いやがる理不尽なんかに薫子っちの人生(ミチ)歪ませたりしねぇ。」
「オッサン…。」
「魔法少女(かおるっち)じゃ出来ねぇ分は忍者(オレ)がやる。
 忍者(オレ)一人じゃ力不足な部分は魔法少女(かおるっち)が補う。
 忍者と魔法少女──俺ら"二人"で殺し合いをブッ壊す!
 俺達は忍魔同盟(タッグ)だろ?だから抱え込まずドンドン頼ってくれや」
「…せやな。ホンマや。ひとりでガチャガチャ考えて…何の為の同盟やっちゅー話や。」

実にシンプルで当たり前の解決手段だろうか。
魔法少女の矜持を守れなくとも、仲間と友を救い出す。
そんな風に自分で背負い込もうとしていたが。たかが一人に何が出来る。
単独では怪獣相手に死んでいたちっぽけな身だというのに。
それでも、迫り来る困難や現実を打破する為に、自分達は組んだのではなかったか。
パチンと両の頬を叩いて気合を入れ直し。
凝り固まった心に喝を入れてくれた相棒に礼を返すと忍者は爽やかな笑顔で返した。

「ウチは友達(ダチ)を助けに行きたい。でも、近所の悪党はきっちりブッ潰す!
 速攻ぶちのめして次いくで!力貸してくれるか、オッサン!」
「応!任せときな!楽勝で勝てなきゃ怪獣(デカブツ)共も忍殺番長(カタキ)だって倒しゃしねー!」

のしかかっていた重い足取りは何処へやら。
取り戻した勢いをそのままに、狂気の待ち受けるスタジアムへと突入する。
観客席がずらりと並ぶスタジアム内部。
外部と同様、その壁面や床にはペンキを無造作にぶちまけたかの如く。
皆殺しにされた極道達も血や肉片が散乱する。
猟奇的な光景などに今更怯む事なく、通路を闊歩し選手入場を果たした先でその男は立っていた。

「待ちかねたぞ」

ヴィジュアル系バンドのボーカルのような奇抜な髪色と機械仕掛けの左腕が特徴的な細身の男。
サッカーボールを転がすようにNPCの生首を足蹴にしながら待ち構えていた。
名も知らぬ怪獣少女、鬼方カヨコのような無機質かつ無感情な様相とは正反対。
真夏の太陽から降り注ぐ熱波にも似た、肌を突き刺す荒々しい殺気。
男の出自やスタンスなど問うまでもない。誰の目から見ても、間違いなく"乗ってる側"の人間だ。

「応(おう)来てやったぜ!待たせて悪かったな。
 それでテメーか?外(おもて)で挑発かましやがったのは───」

言葉は不要。返礼代わりに返すは痛烈なミドルキック。
ボールは生首。その威力たるやプロ顔負けの必殺蹴球(シュート)。
対話の姿勢に唾吐き捨てる奇襲を、忍者は極太の片腕でキャッチ。
超人じみた威力を受けても微動だにせず、その威力を完全に殺した。

「いい反応だ…悪くねぇ!」
「コミュ障にもほどがあるやろ。流石大層な趣味してはるだけの事はあるわなぁ」
「良蹴球(ナイスシュート)だぜ、悪党!ただこれだけは聞かせろや。
 外のNPC(モブ)と同じ真似、何も関係ねー一般人(パンピー)にもするかよ?」
「…それがおまえらの好みか…?なら、今すぐにでも殺(や)りにいってやる…!!」

そうザギが口角を吊り上げると同時、会場に二対の雷撃が迸る。
憤怒の拳を叩き合わせ、生み出される圧電の閃光。
華奢な身体に装着された、無骨で巨大な雷の腕。
両者から膨れ上がるは、純然たる殺意。
闘争を求め殺戮を繰り返し、堂々恐喝(ガジリ)をかます。
真っ黒な性根に正義の使者の腹は完全に決まった。
悪事(わるさ)を働く者あらば、忍者・ヒロインが来襲たりて悪を誅する。
100%『ブッ殺す』と決めた相手には堂々名乗る。
それが魔法少女・裏社会の流儀(ウラマナー)。

「"帝都八忍" 邪樹右龍」
「"トレスマジア" マジアサルファ」

「テメェはオレ/ウチらがブッ殺/潰す────!!」

「クク…はっ、ひゃはははッ!!
 殺す…!殺すか!!いい…いいぞ!そうでなくっちゃ待っていた甲斐がねェ!」

悪刀に刺激され、研ぎ澄まされた直感(カン)と気配(ニオイ)で分かる。
雑魚相手に不毛な殺戮を続け、時間を潰した一時は決して無駄ではなかったと確信を持って言える。
数だけはいたNPCの死体を手当たり次第にぶちまけ、メッセージを残す。
非戦闘員、消極的な者は死体の山を見ればまず近づかず、戦闘を避けようとする。
死体の山を踏み越えて尚、この地に辿り着くだけの度胸と気概を持った参加者。
それが正義を成す為か、自分と同じく欲求を満たす為かはどうでもいい。
求めるは一度始まれば、完全な決着がつくまで永遠に終わらない至福の死闘(じかん)。

「覚えておけ、オレの名はザギ。お前ら殺す男の名だ…」

二つの雷に呼応するかの如く、胸部のスパークが激しさを増す。
忍者と極道、闇の眷属達が生存競争を繰り広げる異世界。
その流儀を知ってか知らずか、ザギも倣い名乗りを挙げる。
邪魔が入ろうとも、暴走しようとも、命が尽きようとも。
殺し抜くと心に誓った相手に最期の相手の名を刻み込むが為に

「さぁ──おっぱじめようぜェッ!!」

闘技場と化したスタジアム。
この闘いに弱者はいない。強者と強者の喰らい合い。
無効試合(ノーゲーム)では終わらせない。
何方が生きるか死滅(くたば)るか。
さぁ──天にすら届きうる闘争を始めよう。



【エリアG-11とG12の境目/スタジアム/9月2日午前7時】

【天川薫子@魔法少女にあこがれて】
状態:疲労(大) ダメージ(中) 
服装:学生服
装備:トランスアイテム@魔法少女にあこがれて 泥の指輪@魔人探偵脳嚙ネウロ 
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:殺し合いに巻き込んだクソッタレをぶん殴る
00:名乗りはかました。ザギはうちらがブッ潰す
01:病院へ向かい、制圧しておく。マゼンタらはおったらラッキー位やな
02:頭に輪っかつけてる連中にはロクなのがおらんな
03:知り合いとの合流。優先はうてな(一般人)>トレスマジア。なんでうてなはんだけおんねや?
04:あの怪獣(=セレブロ)は絶対に倒す。対抗手段も確保しときたい。
05:殺しとなったら専門家(オッサン)に任せる。その分ウチは敵をぶちのめすだけや。
06:騒がしいオッサンやけど強いな。これで変身しとらんのやから恐れ入るわ
参戦時期:アニメ13話以降 おおむね原作24話以降
備考 鬼方カヨコが正気ではないと思っていますが、その理由や状況までは分かりません。
 現状としてはルルーシュのギアスを疑っています

【邪樹右龍@忍者と極道】
状態:疲労(軽)
服装:私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:殺し合いを終わらせる デカブツ=セレブロは倒す
01:名乗りはかました。ザギは俺らがブッ殺す。
02:孔富より先に病院へ向かい、制圧しておく。お兄ちゃんが先にいるといいけどな。
03:薫子っちには殺しはやらせねー。それは忍者の仕事だ。忍っちの好きなプリンセスみてーな嬢ちゃんだが 見た目以上に気骨(ガッツ)があるな!
04:ルルーシュ・怪獣(デカブツ)対策に洗脳や転移を特攻(メタ)れるもんを探す。
05:女の子が怪獣みてーになっちまうとは。
06:忍っちの好きなプリンセスみてーな嬢ちゃんだが 見た目以上に気骨(ガッツ)があるな!
参戦時期:幼狂死亡友戯終了後から極契大壊嘯までの間 原作82話~87話のいずれか
備考

【ザギ@テイルズオブヴェスペリア】
状態:悪刀『鐚』による活性化、テンション最高潮
服装:いつもの+魔導器、服の内側 心臓部に悪刀
装備:ザギの双剣@テイルズオブヴェスペリア、魔導器@テイルズオブヴェスペリア、悪刀『鐚』@刀語
令呪:残り三画
道具:
思考
基本:戦いを思いっきり楽しむ。優勝したら主催とユーリを殺しに行く
00:ウリュウ・サルファとの闘争を楽しむ。
01:スパナ! 陽介! 覚えたぞ!
02:痛みがねぇ…全然ねぇ…
参戦時期:闘技場(作中で言うザギ三戦目)で撤退後以降
備考
※本来魔導器はエアルがないと使えませんが
 本ロワでは使えます。
※魔導器が支給品枠として扱われてます。
※ホットラインは破壊しました
※悪刀『鐚』による身体能力と再生能力の活性化が行われています。
 心臓部から引き抜くか、悪刀の帯電が無くなると効果が切れます。

【NPCモンスター解説】
  • 極道@忍者と極道
…裏社会で悪事をかます、一般極道。身内には甘く、それ以外には非常に厳しい。
自らの悪事に無頓着であり、自分達を理不尽に虐げられるか弱くい存在であると自認している。
極道技巧(スキル)を持たず、戦闘力は銃や短刀持った一般人と同程度だが。
一人一枚所持している地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)を使用する事で身体能力と再生能力が向上する。
会場全体を縄張りとして認識しており、参加者を見れば自分達のシマに無断で侵入する敵とみなし、恐喝及び襲撃を行う。
地獄の回数券の使用関係なく、生首になってもしばらく普通に喋ったりもする。
使用前であれば、地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)@忍者と極道をドロップする。

047:Brave Souls ─戦わなければ生き残れない─ 投下順 049:Xmas-catastrophe
031:ハザードシンボル 時系列順 050:優しい言葉
候補作022:スパナ×ト×スパナ ザギ 056:more<STRONGLY/2023:我が為のアルケミスト
候補話075:滅亡遊戯と不滅の雷 天川薫子
邪樹右龍

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