轟音、そして爆発。
デーボス軍の兵士集団をまとめて葬る威力を誇るトリニティストレイザー。
この真贋交わる殺し合いの場では有り得なかったはずのダブルトリニティストレイザーは遺憾なくその力を示してみせたと言えよう。
デーボス軍の兵士集団をまとめて葬る威力を誇るトリニティストレイザー。
この真贋交わる殺し合いの場では有り得なかったはずのダブルトリニティストレイザーは遺憾なくその力を示してみせたと言えよう。
「あ、あ、あぁぁ……」
「そんな……」
―――ただし、その対象はギーツではなくバルキリーであるが。
突如としてギーツと入れ替わって射線上へ入ったバルキリーを二つの必殺奥義が蹂躙。
元より大破寸前の有り様だったディーヴァにトドメを刺すにはあまりに過剰であった。
突如としてギーツと入れ替わって射線上へ入ったバルキリーを二つの必殺奥義が蹂躙。
元より大破寸前の有り様だったディーヴァにトドメを刺すにはあまりに過剰であった。
「……ぁ、……な、………なん、で………」
一体何が起きたのか。それを理解する猶予はディーヴァには残されていない。
ただわかるのは助けに来てくれたはずの者の攻撃で己がその機能を停止するのだという事実だけ。
限界を遥かに超えるダメージを受けたバルキリーが変身者のディーヴァの躯体ごと大爆発を起こし、木っ端微塵となった。
ただわかるのは助けに来てくれたはずの者の攻撃で己がその機能を停止するのだという事実だけ。
限界を遥かに超えるダメージを受けたバルキリーが変身者のディーヴァの躯体ごと大爆発を起こし、木っ端微塵となった。
【ディーヴァ@Vivy -Fluorite Eye's Song- 死亡】
「あ~あ、ひっでえ連中もいたもんだなあ?
助けに来たと見せかけてぶっ殺しちまうんだもんなあ。血も涙もないってのはテメエらのことだろうよ」
助けに来たと見せかけてぶっ殺しちまうんだもんなあ。血も涙もないってのはテメエらのことだろうよ」
「あなた……ふ、ふ、ふ……ふざけないでよ!!!よくもこんなこと!!!」
「お前……!!」
バルキリーは突如ギーツのいた場所に現れ、トリニティストレイザーをその身に受けた。
ではギーツはどこにいるか?考えるまでもない、ディーヴァのバルキリーがいた場所だ。
ではギーツはどこにいるか?考えるまでもない、ディーヴァのバルキリーがいた場所だ。
「なーんてな。俺様に勝てるなんて哀れな妄想して楽しかったかあ?
演技だよ、さっきの劣勢はな。位置の入れ替えなんて便利なもん持ってるプレイヤーから有難く頂戴してたんだわ」
演技だよ、さっきの劣勢はな。位置の入れ替えなんて便利なもん持ってるプレイヤーから有難く頂戴してたんだわ」
異能(シギル)・虚空の王(ベルゼブブ)。その奥の手にあたる自身と敵の位置入れ替え能力を使ったのだ。
本来ならコンドウから異能を授けられたアスナが対主催に貢献するべく使うはずだった技は悪辣な同士討ちを起こすために使われた。
それこそが希望だの友情だのを掲げる正義気取りの連中の心を折るに最適な手段だと考えたが故に。
本来ならコンドウから異能を授けられたアスナが対主催に貢献するべく使うはずだった技は悪辣な同士討ちを起こすために使われた。
それこそが希望だの友情だのを掲げる正義気取りの連中の心を折るに最適な手段だと考えたが故に。
果たして効果は絶大だ。
ディアッカから見ても明らかにアメンとキョウリュウグリーンの気勢が削がれ、動揺しているのがわかる。
しかしこんなものは序の口でしかない。真の絶望を味わわせるのはこれからだ。
ディアッカから見ても明らかにアメンとキョウリュウグリーンの気勢が削がれ、動揺しているのがわかる。
しかしこんなものは序の口でしかない。真の絶望を味わわせるのはこれからだ。
《ジャックライズ!》
「ユメちゃん、来るぞ!」
梔子ユメは怒りに打ち震えていた。
ディーヴァを救えなかったばかりか逆に殺害してしまった自分自身に。何よりこのような卑劣な策を声高らかに自慢する冥黒のディアッカに対して。
滅多に抱くことのない怒りの感情に動かされるままに斬りかからんとする。
だが怒りによって前のめりな態勢は守りを疎かにしてしまうものだ。
ディーヴァを救えなかったばかりか逆に殺害してしまった自分自身に。何よりこのような卑劣な策を声高らかに自慢する冥黒のディアッカに対して。
滅多に抱くことのない怒りの感情に動かされるままに斬りかからんとする。
だが怒りによって前のめりな態勢は守りを疎かにしてしまうものだ。
一瞬にしてギーツがアメンの眼前に現れ、キングガブリカリバーを振りかぶる。
だんだんとギーツの速度に慣れてきていたはずのユメからしても信じ難いほどの高速機動。
既に攻撃態勢に移行していた中で不意を突かれたにも関わらず咄嗟にガブリカリバーを構えて防御に移れたのはこれまでの戦闘経験の賜物か。
だんだんとギーツの速度に慣れてきていたはずのユメからしても信じ難いほどの高速機動。
既に攻撃態勢に移行していた中で不意を突かれたにも関わらず咄嗟にガブリカリバーを構えて防御に移れたのはこれまでの戦闘経験の賜物か。
「そらよ!」
それまでと違い、収束した炎と風をキングガブリカリバーの刀身に纏わせた下段からの切り上げ。
ガブリカリバーで防御した瞬間、炎を纏った強烈なまでの衝撃波がアメンに襲いかかった。
ガブリカリバーで防御した瞬間、炎を纏った強烈なまでの衝撃波がアメンに襲いかかった。
「あうぅっ!?」
ガードした両腕ごと持っていかれるのではないかと思うほどの尋常でない衝撃。
さらには炎がまとわりつき、アメンのスーツを灼かんとしてくる。
左腕一本で無造作に放った斬撃としてはあまりにも理不尽な破壊力だ。
ガブリカリバーを手放すことこそなかったが大きくのけ反ってしまう。
さらには炎がまとわりつき、アメンのスーツを灼かんとしてくる。
左腕一本で無造作に放った斬撃としてはあまりにも理不尽な破壊力だ。
ガブリカリバーを手放すことこそなかったが大きくのけ反ってしまう。
これもまた暴風拳と炎身焦熱をベクトル操作によって組み合わせた応用技だ。
刀身に圧縮・コーティングされ、斬撃と同時にベクトル操作で相手に対してのみ解放された炎と風による衝撃をぶつける。
レーザーブーストフォームのカタログスペック上のパワーなど最早何の参考にもならないほどの破壊力を発揮する。
隙だらけの姿を晒したアメンの心臓めがけ右手に持ったサウザンドジャッカーを突き立て―――
刀身に圧縮・コーティングされ、斬撃と同時にベクトル操作で相手に対してのみ解放された炎と風による衝撃をぶつける。
レーザーブーストフォームのカタログスペック上のパワーなど最早何の参考にもならないほどの破壊力を発揮する。
隙だらけの姿を晒したアメンの心臓めがけ右手に持ったサウザンドジャッカーを突き立て―――
「させるか……!」
俊敏な動きで割って入ったキョウリュウグリーンが攻撃を受け止める。正確にはそうしようとした。
しかし膂力の差は如何ともしがたく右腕一本で突き出されたサウザンドジャッカーを両腕で剣を持って受けているにも関わらず完全には止めきれない。
剣によるガードを崩され、切っ先がスーツに触れることを許してしまう。負傷には至らないが既に致命的だ。
しかし膂力の差は如何ともしがたく右腕一本で突き出されたサウザンドジャッカーを両腕で剣を持って受けているにも関わらず完全には止めきれない。
剣によるガードを崩され、切っ先がスーツに触れることを許してしまう。負傷には至らないが既に致命的だ。
「なっ…!何だ、これは……!?力、が……!」
「ありがとうよ。テメエがシコシコ磨いた技も中々悪くねえからこの俺が使ってやる」
ジャックライズによる敵能力の盗用(コピー)は身体の一部にさえ切っ先が当たっていれば発動される。
キョウリュウグリーンの力(テクノロジー)を吸い上げると同時に、相手に対しては一時的な弱体効果を齎す。
元より大きかったギーツとキョウリュウグリーンの個体能力の差を更に突き放す形となった。
キョウリュウグリーンの力(テクノロジー)を吸い上げると同時に、相手に対しては一時的な弱体効果を齎す。
元より大きかったギーツとキョウリュウグリーンの個体能力の差を更に突き放す形となった。
「斬撃無双剣!!」
これ以上の暴虐はさせない。自分を庇ったソウジを傷つけさせない。
怒りと決意を漲らせたアメンがギーツへ飛び掛かり、回転の勢いを乗せた必殺剣技、斬撃無双剣を繰り出した。
心意の後押しも乗った一撃は炎と風の盾をも打ち破る威力が秘められているが―――当たらない攻撃に意味はない。
怒りと決意を漲らせたアメンがギーツへ飛び掛かり、回転の勢いを乗せた必殺剣技、斬撃無双剣を繰り出した。
心意の後押しも乗った一撃は炎と風の盾をも打ち破る威力が秘められているが―――当たらない攻撃に意味はない。
「んな見え見えの大技ブンブンが何で当たると思った?」
忘れるべからず。本来レーザーブーストフォームは高速機動戦を得手とする形態。
瞬時に飛び掛かったアメンの背後へ回り込み、無防備な背中へ今度こそキングガブリカリバーの斬撃を叩き込んだ。
瞬時に飛び掛かったアメンの背後へ回り込み、無防備な背中へ今度こそキングガブリカリバーの斬撃を叩き込んだ。
「あがあああぁっ!?」
先ほど同様、高密度の炎と風を纏った斬撃は一撃でアメンの背部装甲を粉砕し、その全身を炎に包んだ。
片腕で放った一撃のみでアメンは火だるまになりながら五十メートル以上も吹き飛ばされ、変身が強制解除された。
せめてもの救いは炎によるダメージをスーツが引き受けたか変身が解除された生身のユメへの火傷は軽度で済んだことか。
片腕で放った一撃のみでアメンは火だるまになりながら五十メートル以上も吹き飛ばされ、変身が強制解除された。
せめてもの救いは炎によるダメージをスーツが引き受けたか変身が解除された生身のユメへの火傷は軽度で済んだことか。
「ユメちゃん!!」
(このパワーにスピード、さっきまでは手を抜いて戦っていたのか……!
だがそれにしたっておかしい。技巧はともかくあの斬撃の破壊力、ドゴルドのそれに匹敵するか、下手をすれば超えている!
あいつは蛇女と同じくグリオンがプレイヤーの死体を使って兵隊に仕立てたNPCでしかないはず。こんなことが有り得るのか!?
………いや、有り得るんだ!これがゲームである以上は!勝つ可能性そのものは誰にも等しく用意されているのなら!)
だがそれにしたっておかしい。技巧はともかくあの斬撃の破壊力、ドゴルドのそれに匹敵するか、下手をすれば超えている!
あいつは蛇女と同じくグリオンがプレイヤーの死体を使って兵隊に仕立てたNPCでしかないはず。こんなことが有り得るのか!?
………いや、有り得るんだ!これがゲームである以上は!勝つ可能性そのものは誰にも等しく用意されているのなら!)
四凶や五道化、彼らに準ずる強豪マーダーやマーダーに対する主役に強豪の対主催として配置された者たち。
そういった面々ではない、現代社会におけるごく普通の一般人程度の個体能力しか持たない参加者には自力で優勝に至る勝ち筋は果たして存在していないのか?
否である。何をどうしようと絶対に勝てない敵を配置する茅場晶彦ではない。同時にどんな参加者でも理論上は優勝できる可能性を残している。
そういった面々ではない、現代社会におけるごく普通の一般人程度の個体能力しか持たない参加者には自力で優勝に至る勝ち筋は果たして存在していないのか?
否である。何をどうしようと絶対に勝てない敵を配置する茅場晶彦ではない。同時にどんな参加者でも理論上は優勝できる可能性を残している。
四凶や五道化は大いに人数を削ることを期待された、隔絶した戦力を有する圧倒的強者であることには間違いない。
しかし大前提として彼らはいずれは参加者の手で倒される存在なのだ。
主役や他の強者が軒並み芽が出ず序盤で潰れてしまった最悪のケースの保険も兼ねて、支給品やドロップアイテムには極めて強力なものが意図的に混ぜられている。
それらを入手し、使いこなし、また組み合わせることによって理論上は、という但し書きがつくもののごく一般的な参加者でも四凶や五道化を実力で討伐できる余地が与えられている。
しかし大前提として彼らはいずれは参加者の手で倒される存在なのだ。
主役や他の強者が軒並み芽が出ず序盤で潰れてしまった最悪のケースの保険も兼ねて、支給品やドロップアイテムには極めて強力なものが意図的に混ぜられている。
それらを入手し、使いこなし、また組み合わせることによって理論上は、という但し書きがつくもののごく一般的な参加者でも四凶や五道化を実力で討伐できる余地が与えられている。
今の冥黒のディアッカ・エルスマンはまさにその理論上の可能性を掴み取った者だ。
変身ツールとしては高ランクに位置するギーツ・レーザーブーストフォームに吸い上げた力に応じて際限なく戦力を拡張できるサウザンドジャッカー。
更にはレーザーブーストフォームと極めて相性が良く、飛躍的に戦力を高められる二種のソードスキルを獲得し、それらを組み合わせた戦闘技術も確立した。
これによりディアッカはNPCながら五道化や心意システム実装前の四凶を討伐可能な参加者と同等の域に達している。
変身ツールとしては高ランクに位置するギーツ・レーザーブーストフォームに吸い上げた力に応じて際限なく戦力を拡張できるサウザンドジャッカー。
更にはレーザーブーストフォームと極めて相性が良く、飛躍的に戦力を高められる二種のソードスキルを獲得し、それらを組み合わせた戦闘技術も確立した。
これによりディアッカはNPCながら五道化や心意システム実装前の四凶を討伐可能な参加者と同等の域に達している。
「くそっ、トリニティ―――」
「うるせえよ」
キョウリュウグリーンが技を出そうとするよりも圧倒的に速く動きその眼前に立つギーツ。
無造作なヤクザキックもベクトル操作された暴風拳と炎身焦熱と組み合わされば破滅的な威力を持つ。
剣によるガードの上から軽々とキョウリュウグリーンを吹っ飛ばし、その変身を解除させた。
無造作なヤクザキックもベクトル操作された暴風拳と炎身焦熱と組み合わされば破滅的な威力を持つ。
剣によるガードの上から軽々とキョウリュウグリーンを吹っ飛ばし、その変身を解除させた。
「あっ……!あぐ……!!」
早く立ち上がらなければ。そう思うも傷つき、疲れ切った身体の動きはあまりに緩慢だ。筋肉疲労で鉛のように身体が重い。
強き竜の者といえどその肉体は弱く脆い普通の人間に過ぎない。
ソウジが這いつくばったまま動けずにいる間に眼前に迫ったギーツがゆっくりとキングガブリカリバーを振り上げる。
強き竜の者といえどその肉体は弱く脆い普通の人間に過ぎない。
ソウジが這いつくばったまま動けずにいる間に眼前に迫ったギーツがゆっくりとキングガブリカリバーを振り上げる。
《ブレブレ!ブレイド!》
「あぁ?」
遠くから響く電子音声。
ギーツが見やった先では立ち上がったユメが変じた新たな姿、ブレイドアメンが走り出していた。
ギーツが見やった先では立ち上がったユメが変じた新たな姿、ブレイドアメンが走り出していた。
(馬鹿が!間に合うかよ!仲間がぶっ殺される瞬間を見せてやる!)
ブレイドアメンを横目に見やりながら冥黒のディアッカはせせら笑う。
遠くに吹き飛ばした分アメンとギーツには距離がある。ギーツがソウジの首を切り落とす方が早い。
そう確信した次の瞬間―――ギーツの目の前で大剣を力強く振りかぶる黄金のアメンの姿があった。
遠くに吹き飛ばした分アメンとギーツには距離がある。ギーツがソウジの首を切り落とす方が早い。
そう確信した次の瞬間―――ギーツの目の前で大剣を力強く振りかぶる黄金のアメンの姿があった。
「何ぃっ!?」
馬鹿な、有り得ない。奴の動きは注視していた。
高速機動の術を持っていたとしても動きの軌跡ぐらいは捉えられるはずだ。
何よりギーツもまた高速戦闘を得意とするライダーだ。スピードでこうも遅れを取るなど有り得ない。
高速機動の術を持っていたとしても動きの軌跡ぐらいは捉えられるはずだ。
何よりギーツもまた高速戦闘を得意とするライダーだ。スピードでこうも遅れを取るなど有り得ない。
「でぇぇぇえええやあああっ!!」
「ぐぉっ……!!」
咄嗟に左手のガブリカリバーを盾に使い、さらに炎と風の障壁を展開。
キョウリュウグリーンやその力を使うアメンならこれで容易に押し返せた。
だが仮面ライダーブレイド・キングフォームと同等同質の力を有するブレイドアメンに対してそれは甘い計算だ。
障壁などものともせず力押しでギーツを押しやり、凄まじい膂力によってキングガブリカリバーに罅が入る。
ブレイドアメンが渾身の力で大剣を振り抜く。キングガブリカリバーの刀身が折れた瞬間、ギーツは剣を手放し超高速で後退、アメンの刃から逃れた。
キョウリュウグリーンやその力を使うアメンならこれで容易に押し返せた。
だが仮面ライダーブレイド・キングフォームと同等同質の力を有するブレイドアメンに対してそれは甘い計算だ。
障壁などものともせず力押しでギーツを押しやり、凄まじい膂力によってキングガブリカリバーに罅が入る。
ブレイドアメンが渾身の力で大剣を振り抜く。キングガブリカリバーの刀身が折れた瞬間、ギーツは剣を手放し超高速で後退、アメンの刃から逃れた。
(折れた!いや、しかしギラとプリンスの剣をあんなやつに使われるよりはよっぽど良い!)
ソウジとしては出来れば取り戻したいところだったが、これはやむを得ない結果だろう。
ギラもプリンスも、そしてキングも無理に取り戻そうとして命を落とすようなことを望みはすまい。
ギラもプリンスも、そしてキングも無理に取り戻そうとして命を落とすようなことを望みはすまい。
―――だが、恐らくはその望まれていない行為に手を出さねばこの死地は打開できない。
ソウジは傷つき、激しい疲労に苛まれる身体に鞭打って自身のリュックの下へ走り出した。
ソウジは傷つき、激しい疲労に苛まれる身体に鞭打って自身のリュックの下へ走り出した。
「テメエ、どんな手品を使いやがった!?」
「あなたには教えないよ!シノンちゃんの偽者も倒したこの力であなたも…倒す!」
「シノンもやられてたのかよ!?俺以外が不甲斐なさすぎんだろ!?
だがまあ、そんだけの力を持ってるって一点だけは認めてやるよ!
来いよ、グリオン様を差し置いて金色を使う不遜なナチュラル女!シノンの代わりに俺様がぶちのめしてやるよ!!」
だがまあ、そんだけの力を持ってるって一点だけは認めてやるよ!
来いよ、グリオン様を差し置いて金色を使う不遜なナチュラル女!シノンの代わりに俺様がぶちのめしてやるよ!!」
如何にしてブレイドアメンが本来マッハの能力を使っても間に合わない距離を詰められたのか。
その答えはブレイドが持つ十三のラウズカードの一つ、スカラベタイムの力にある。
一定範囲内の時間を止めるタイムの力でギーツの動きを止め、奇襲を仕掛けてキングガブリカリバーの破壊に成功していた。
その答えはブレイドが持つ十三のラウズカードの一つ、スカラベタイムの力にある。
一定範囲内の時間を止めるタイムの力でギーツの動きを止め、奇襲を仕掛けてキングガブリカリバーの破壊に成功していた。
ディアッカはやってはならないことをやった。
絶対に許すまいという心意がブレイドアメンの攻撃力を高めていく。
ジンガと戦った時と同じくリザードアンデッドとジャガーアンデッドの能力、斬撃と速度の強化を行使。
全速力で突っ込み、横一文字に薙ぎ払った一撃がギーツを捉え―――ることはなかった。
絶対に許すまいという心意がブレイドアメンの攻撃力を高めていく。
ジンガと戦った時と同じくリザードアンデッドとジャガーアンデッドの能力、斬撃と速度の強化を行使。
全速力で突っ込み、横一文字に薙ぎ払った一撃がギーツを捉え―――ることはなかった。
「スピードが上がったっつってもこんなもんか。
やっぱ手品の種は単純な超スピード以外の何かってとこみてえだな?」
やっぱ手品の種は単純な超スピード以外の何かってとこみてえだな?」
背後から嘲る声。
咄嗟に振り向き、攻撃に備えるがギーツのサウザンドジャッカーがブレイドアメンの胴体を捉える方が早かった。
炎の火力と風の衝撃を纏った斬撃。他の形態ならこれで勝負はついたがブレイドアメンは違う。
ノックバックこそするものの斬撃の威力にも炎にも耐え抜いてみせる。
咄嗟に振り向き、攻撃に備えるがギーツのサウザンドジャッカーがブレイドアメンの胴体を捉える方が早かった。
炎の火力と風の衝撃を纏った斬撃。他の形態ならこれで勝負はついたがブレイドアメンは違う。
ノックバックこそするものの斬撃の威力にも炎にも耐え抜いてみせる。
「見掛け倒しじゃねえらしいな!だがまともに反撃できなきゃ何の意味もねえぞ!」
「あなたはもう…黙ってて!!」
トリロバイトメタルの力で防御力をも高めた装甲は複数のソードスキルを組み合わせたギーツの斬撃にも耐える。
再び斬りかかるもやはり剣は空を切る。
背後に回り込むという読みで即座に振り向き大剣を振るうがまたも外れ。
再び斬りかかるもやはり剣は空を切る。
背後に回り込むという読みで即座に振り向き大剣を振るうがまたも外れ。
「無理無理、フォームチェンジしたってテメエなんかじゃ到底無理」
すぐ後ろからの囁き。
剣が当たらないならと左腕を振るって殴ろうとするがこれも掠りもしない。
取りも直さず、マッハを発動してすらギーツの本気のスピードには届いていないということだった。
剣が当たらないならと左腕を振るって殴ろうとするがこれも掠りもしない。
取りも直さず、マッハを発動してすらギーツの本気のスピードには届いていないということだった。
「どうして、当たってくれないの……!?」
「もっと相手の動きをよく見ろよ。そんなことも教わらなかったのかよ?」
いつの間にかまたも背後に回り込んだギーツがポンポンとアメンの肩を叩いていた。
振り向きざまのアメンの斬撃を身体をのけ反らせて避け、直後に宙返りで後退していく。
振り向きざまのアメンの斬撃を身体をのけ反らせて避け、直後に宙返りで後退していく。
「今!」
「―――っ!」
好機と捉えたアメンが再びタイムスカラベによる時間停止を発動する。
何しろノータイムノーモーションで発動する能力、視界に捉えさえすれば逃れる術などないはず。
だがユメの確信とは裏腹に停止範囲に収めた空間にギーツの姿はない。
どこへ、と思った瞬間背中に走る衝撃。
何しろノータイムノーモーションで発動する能力、視界に捉えさえすれば逃れる術などないはず。
だがユメの確信とは裏腹に停止範囲に収めた空間にギーツの姿はない。
どこへ、と思った瞬間背中に走る衝撃。
《ジャックライズ!》
「あぅっ……!?」
「俺がいた場所だけ土煙やら土砂やらの動きが止まってるってことは、一定範囲の時間だけを止める技ってわけか。
まっ、それもフェイントの一つもかけられねえ馬鹿なナチュラルには過ぎた玩具ってね。俺様が使ってやるから感謝しろよ」
まっ、それもフェイントの一つもかけられねえ馬鹿なナチュラルには過ぎた玩具ってね。俺様が使ってやるから感謝しろよ」
ディアッカは何も考えず挑発を繰り返していたわけではない。
タイムスカラベの力の性質や弱点を探るために高速機動を繰り返しながらアメンがタイムを使うよう仕向けていた。
リスクを覚悟した賭けでもあったがディアッカは見事賭けに勝った。
敢えて露骨な隙を見せた時に感じた気配の変化を見逃さず、瞬時にその場から超高速離脱。
背後に回り込み、タイムの性質を把握しつつブレイドアメンの力(テクノロジー)を盗むことに成功した。
タイムスカラベの力の性質や弱点を探るために高速機動を繰り返しながらアメンがタイムを使うよう仕向けていた。
リスクを覚悟した賭けでもあったがディアッカは見事賭けに勝った。
敢えて露骨な隙を見せた時に感じた気配の変化を見逃さず、瞬時にその場から超高速離脱。
背後に回り込み、タイムの性質を把握しつつブレイドアメンの力(テクノロジー)を盗むことに成功した。
「くっ……!」
身体から力が抜け出ていく感覚を堪えながら反撃を振るう。
今度は避けられはしなかった。代わりにサウザンドジャッカーで受け止められ、万力を込めてもビクともしない。
ジャックライズで力を吸われたことによる一時的な弱体化だ。
今度は避けられはしなかった。代わりにサウザンドジャッカーで受け止められ、万力を込めてもビクともしない。
ジャックライズで力を吸われたことによる一時的な弱体化だ。
「テメエにもう勝ち目はねえよ。―――つうか…なあ、気づいてねえのか?
テメエ、とっくにバテバテじゃねえか!よっぽど燃費の悪い変身らしいな?」
テメエ、とっくにバテバテじゃねえか!よっぽど燃費の悪い変身らしいな?」
「……!うるさい!」
鍔迫り合いをする中で、ブレイドアメンは仮面越しですらハッキリとわかるほどに肩で息をしている有り様だった。
ブレイド・キングフォームと同質の力を操るブレイドアメンはキングフォームと同じく体力消耗が激しい。
だからこそ戦闘開始した時点のユメはより負担の小さいスカラベレリーフによる変身を選んでいた。
しかしディアッカの策に嵌められディーヴァを殺めてしまった動揺と怒りからその判断力は完全に飛んでしまった。
先ほどの攻防の時点で既に攻撃を振るえば振るうほど加速度的に疲労が蓄積し、目に見えて動きが鈍り、剣を握る力は弱まっていっていたのだ。
ブレイド・キングフォームと同質の力を操るブレイドアメンはキングフォームと同じく体力消耗が激しい。
だからこそ戦闘開始した時点のユメはより負担の小さいスカラベレリーフによる変身を選んでいた。
しかしディアッカの策に嵌められディーヴァを殺めてしまった動揺と怒りからその判断力は完全に飛んでしまった。
先ほどの攻防の時点で既に攻撃を振るえば振るうほど加速度的に疲労が蓄積し、目に見えて動きが鈍り、剣を握る力は弱まっていっていたのだ。
それだけではない。
ディーヴァを撃ってしまった精神的ショック、その元凶たるディアッカへの強すぎる怒りによってユメの集中力は千々に乱れている。
刻一刻と体力消耗と筋肉疲労が積み上がる肉体、怒りで前のめりになりすぎるなど乱れに乱れた精神、それらによって粗雑になる技。
ハッキリと言って今のブレイドアメンは対ジンガ戦の時よりも段違いに弱いのだ。当時は最高に噛み合っていた心技体のバランスが一つも噛み合っていないのだ。
ディーヴァを撃ってしまった精神的ショック、その元凶たるディアッカへの強すぎる怒りによってユメの集中力は千々に乱れている。
刻一刻と体力消耗と筋肉疲労が積み上がる肉体、怒りで前のめりになりすぎるなど乱れに乱れた精神、それらによって粗雑になる技。
ハッキリと言って今のブレイドアメンは対ジンガ戦の時よりも段違いに弱いのだ。当時は最高に噛み合っていた心技体のバランスが一つも噛み合っていないのだ。
「はぁああああっ―――!!」
鍔迫り合いで徐々にギーツに押しやられる状況を打開すべくタックルを発動。
至近距離からのタックルは避けきれず、ノックバックするギーツだがただでは転ばず、サウザンドジャッカーのトリガーを引いていた。
至近距離からのタックルは避けきれず、ノックバックするギーツだがただでは転ばず、サウザンドジャッカーのトリガーを引いていた。
《ジャックライズ!》
「トリニティストレイザー!ってなあ!」
発動するのはキョウリュウグリーンの、立風館ソウジの剣技であるトリニティストレイザー。
サウザンドジャッカーでトライアングルを描き、ブレイドアメンへ向けて撃ち出す。
タックルを放った直後の態勢ではマッハを発動したとて回避することはできない。何よりソウジの技を悪意の者に使われるのは許せない。
サウザンドジャッカーでトライアングルを描き、ブレイドアメンへ向けて撃ち出す。
タックルを放った直後の態勢ではマッハを発動したとて回避することはできない。何よりソウジの技を悪意の者に使われるのは許せない。
「くっ!うぅ……!」
咄嗟にスラッシュの力で斬撃を強化、渾身の力でトリニティストレイザーを受け止める。
ディアッカに言われて初めて強く自覚した疲労の影響は重く、一瞬では弾き返すことができない。
その間に。
ディアッカに言われて初めて強く自覚した疲労の影響は重く、一瞬では弾き返すことができない。
その間に。
「斬撃無双剣」
「えっ……!?」
底冷えするような冷たい声が背後から。
愚かにもトリニティストレイザーを受け止めて足の止まったブレイドアメンの背後から回転の勢いを乗せた斬撃を繰り出すギーツの姿があった。
技に誇りを持つソウジや、キョウリュウグリーンの力に敬意を持つユメとは違う。
トリニティストレイザーも斬撃無双剣も役立つ力としか思わないディアッカにとって、囮に使うことなど当然の思考でしかない。
愚かにもトリニティストレイザーを受け止めて足の止まったブレイドアメンの背後から回転の勢いを乗せた斬撃を繰り出すギーツの姿があった。
技に誇りを持つソウジや、キョウリュウグリーンの力に敬意を持つユメとは違う。
トリニティストレイザーも斬撃無双剣も役立つ力としか思わないディアッカにとって、囮に使うことなど当然の思考でしかない。
《ジャッキングブレイク!》
無防備な背中に斬撃無双剣が直撃。
更には態勢が崩れたことで威力を殺しきれなかったトリニティストレイザーも食らう羽目になり、挟み撃ちの格好となる。
更には態勢が崩れたことで威力を殺しきれなかったトリニティストレイザーも食らう羽目になり、挟み撃ちの格好となる。
「が、はぁっ……!!」
「おっと、まだまだこんなもんじゃねえぞ?」
《ジャックライズ!》
満身創痍の上から更に大きなダメージを受けたブレイドアメンだが、まだまだギーツの追撃は終わらない。
発動したのはブレイドアメンの力であるノータイムでのラウズカード使用。
スラッシュによる斬撃の威力強化、更には暴風拳と炎身焦熱を組み合わせ破壊力を極限まで高めた超高速の連撃だ。
発動したのはブレイドアメンの力であるノータイムでのラウズカード使用。
スラッシュによる斬撃の威力強化、更には暴風拳と炎身焦熱を組み合わせ破壊力を極限まで高めた超高速の連撃だ。
「そらそらそらそらぁっ!!」
一瞬にして放たれた二十を超える数の斬撃。
メタルによる硬化を施そうが関係ない、ブレイドアメンの金色の装甲を次々に斬り抉り、砕いていった。
最後は炎上しながら吹き飛んでいくブレイドアメン。剣を杖にして立ち上がった後、全身を激しく揺り動かしてまとわりついた炎を消す。
さすがにまだ立ち向かってくるのはディアッカとしても予想外。何としつこい女か。
メタルによる硬化を施そうが関係ない、ブレイドアメンの金色の装甲を次々に斬り抉り、砕いていった。
最後は炎上しながら吹き飛んでいくブレイドアメン。剣を杖にして立ち上がった後、全身を激しく揺り動かしてまとわりついた炎を消す。
さすがにまだ立ち向かってくるのはディアッカとしても予想外。何としつこい女か。
「ぅ……ぁ……ま、だ……」
「おいおい諦めが悪すぎんだろ?テメエの力は抜いたからそろそろ逝っとけって」
ディアッカにとってユメはもう用済みだ。
それにとことん痛めつけて弱らせたとはいえ限定的な時間停止という厄介な能力を持つことに変わりはない。
何度目かわからないサウザンドジャッカーの能力行使をしようとトリガーに指をかける。
それにとことん痛めつけて弱らせたとはいえ限定的な時間停止という厄介な能力を持つことに変わりはない。
何度目かわからないサウザンドジャッカーの能力行使をしようとトリガーに指をかける。
《黄雷!未読!》 《黄雷!クロス斬り!》
遠方から響いた電子音声と、ギーツにどこかから飛んできた雷撃が直撃したのは全く同時のことだった。
それ自体はさしたるダメージを与えるものではなかったが、直後に神速で駆ける青い影がギーツへ迫る。
それ自体はさしたるダメージを与えるものではなかったが、直後に神速で駆ける青い影がギーツへ迫る。
「待たせたな、第2ラウンドと行こうじゃないか」
「その声、さっきの緑野郎かよ!」
声の主は立風館ソウジ。しかし今変身する姿はキョウリュウグリーンに非ず。
仲間たちの心意によって作り上げられた聖剣、クロスセイバーと聖剣ソードライバー、そしてワンダーライドブックで変身した仮面ライダークロスセイバー!
ギーツとの剣戟に持ち込み、スラッシュや暴風拳、炎身焦熱等によって高めに高められた斬撃の悉くを捌いていく。
単純な速度だけならギーツが優るがソウジの無駄のない技巧によって互角以上に競り合ってみせる。
仲間たちの心意によって作り上げられた聖剣、クロスセイバーと聖剣ソードライバー、そしてワンダーライドブックで変身した仮面ライダークロスセイバー!
ギーツとの剣戟に持ち込み、スラッシュや暴風拳、炎身焦熱等によって高めに高められた斬撃の悉くを捌いていく。
単純な速度だけならギーツが優るがソウジの無駄のない技巧によって互角以上に競り合ってみせる。
(こいつ、何つうパワーだ!?これだけの力を重ねたのに、この俺様が押されるだと!?
こんな隠し玉を持っていやがったとは!それだけじゃねえ!
反応速度も動きの精度もさっきまでの比じゃねえ!変身ツールのグレードが上がったってだけじゃ説明がつかねえぞ!?何をしやがった!?)
こんな隠し玉を持っていやがったとは!それだけじゃねえ!
反応速度も動きの精度もさっきまでの比じゃねえ!変身ツールのグレードが上がったってだけじゃ説明がつかねえぞ!?何をしやがった!?)
このまま打ち合っても分が悪いと判断し、一旦後退するギーツ。
僅かな猶予が生まれたことを確信したセイバーは疲労の限界か、剣を杖にして膝をついているブレイドアメンの方へ振り向いた。
僅かな猶予が生まれたことを確信したセイバーは疲労の限界か、剣を杖にして膝をついているブレイドアメンの方へ振り向いた。
「ユメちゃん、その変身は今すぐ解くんだ。それ以上は本当に命に関わる」
「は、はい……」
悔しいがこれ以上は戦えない。
アメンの変身が解けるとこれまでの比にならない凄まじい疲労感が全身を駆け巡り、倒れ込んでしまった。
アメンの変身が解けるとこれまでの比にならない凄まじい疲労感が全身を駆け巡り、倒れ込んでしまった。
「か、ぁっ……!は、はっ……!」
手足の筋肉が激しく痙攣し、肺が酸素を求めて激しく運動している。
倒れたままではお荷物になるとわかっているのに動くことができない。
倒れたままではお荷物になるとわかっているのに動くことができない。
「落ち着け、ゆっくりでいいから息を整えるんだ。
その間は俺が奴を近づけさせやしない。むしろ今は離れようとする方が危険だろう」
その間は俺が奴を近づけさせやしない。むしろ今は離れようとする方が危険だろう」
(ソウジ、さん……。何か、雰囲気が……?)
疲労で鈍った頭でもわかる。
皆の心意を乗せてギギスト君が作った聖剣で変身したというだけじゃない。
他にもソウジは何かをしたのだ。
皆の心意を乗せてギギスト君が作った聖剣で変身したというだけじゃない。
他にもソウジは何かをしたのだ。
☆
その支給品は決して使わないと誓ったはずのものだった。
如何にも「人を守りたいならこれを使え」という主催者のメッセージが透けるようで早々に封印し、他人にも使わせまいと思った。
その思いは美嘉とお互いに強くなることを誓った時も変わらなかった。命を投げ捨てて得る一時の強さは本当の強さではないはずだから。
如何にも「人を守りたいならこれを使え」という主催者のメッセージが透けるようで早々に封印し、他人にも使わせまいと思った。
その思いは美嘉とお互いに強くなることを誓った時も変わらなかった。命を投げ捨てて得る一時の強さは本当の強さではないはずだから。
「このゲームの熾烈な激化(インフレ)まで予期していたのか?連中は……」
リュックを開けようとする手が思わず止まる。ユメが戦っているのに、すぐにも合流しなければならないのに。
手の震えを自覚する。当たり前だ、それを使うことは死出の旅路を征くことと同じだとわかりきっているのだから。
手の震えを自覚する。当たり前だ、それを使うことは死出の旅路を征くことと同じだとわかりきっているのだから。
(父さん、母さん、皆、ごめん。俺は……帰ることなくここで死ぬ。受け継いだ技も想いも誰にも何も残さずに死ぬ。
許してくれだなんて言えない。それでもこうしないとここで出会った人たちを誰も守れないから)
許してくれだなんて言えない。それでもこうしないとここで出会った人たちを誰も守れないから)
逆転の切り札である聖剣を使った変身を以ってしても、恐らくそれだけでは奴には勝てない。
聖剣が力不足だとは思わない。不足があるとすればそれはソウジの方。
初めて扱う剣での変身。ぶっつけ本番で乗り切れると考えるにはあまりに相手が悪すぎる。
都合良く使いこなして難なく勝てるビジョンなど微塵も浮かんでこない。
今すぐ練度の問題を埋めることができない以上、他の力で不足を補うしか活路はない。
聖剣が力不足だとは思わない。不足があるとすればそれはソウジの方。
初めて扱う剣での変身。ぶっつけ本番で乗り切れると考えるにはあまりに相手が悪すぎる。
都合良く使いこなして難なく勝てるビジョンなど微塵も浮かんでこない。
今すぐ練度の問題を埋めることができない以上、他の力で不足を補うしか活路はない。
「フゥゥゥゥゥ……」
ソードスキル:痣者(あざもの)。
それは鬼殺の剣士たちの中でも命に関わる極限状態を生き抜いた者にのみ発現する、上弦の鬼とも渡り合える力。
使用者の身体能力を飛躍的に向上させ、体力や負傷の自然回復速度をも引き上げるソードスキルだ。
しかしこれは言うなればその者の残りの寿命を前借りして手に入れる力だ。
痣者は途轍もない例外を除き二十五歳を迎える前に命が尽きる。ソウジが使用を躊躇った理由はまさにこれだ。
既に二十五歳を超えているソウジは痣を出せば最後、一晩で死に至る。
生還するためにゲームに抗っているのに自らの死を前提にした支給品など使えたものではなかった。
それは鬼殺の剣士たちの中でも命に関わる極限状態を生き抜いた者にのみ発現する、上弦の鬼とも渡り合える力。
使用者の身体能力を飛躍的に向上させ、体力や負傷の自然回復速度をも引き上げるソードスキルだ。
しかしこれは言うなればその者の残りの寿命を前借りして手に入れる力だ。
痣者は途轍もない例外を除き二十五歳を迎える前に命が尽きる。ソウジが使用を躊躇った理由はまさにこれだ。
既に二十五歳を超えているソウジは痣を出せば最後、一晩で死に至る。
生還するためにゲームに抗っているのに自らの死を前提にした支給品など使えたものではなかった。
しかし今、ドゴルドをはじめとした獣電戦隊(キョウリュウジャー)が容易く圧倒される強敵たちの存在を知覚して。
キョウリュウグリーンでは逆立ちしても勝つどころかまっとうな勝負の土俵に乗ることすら許されない暴威を誇る魔王の尖兵を前にして。
己の存在全てをベットしなければこれから先の戦いを乗り切ることは不可能だと思い知った。
キョウリュウグリーンでは逆立ちしても勝つどころかまっとうな勝負の土俵に乗ることすら許されない暴威を誇る魔王の尖兵を前にして。
己の存在全てをベットしなければこれから先の戦いを乗り切ることは不可能だと思い知った。
「変身!」
《クロスセイバー!》
聖剣、刃王剣十聖刃とワンダーライドブックをドライバーにセット、走りながら抜刀して一瞬で変身を終える。
やはり途轍もないポテンシャルを秘めていた。今までにないほど力が漲っていくのを感じる。
だが―――懸念していたことも起きていた。直感でわかるのだ、このライダーの力はこんなものではないと。
やはり途轍もないポテンシャルを秘めていた。今までにないほど力が漲っていくのを感じる。
だが―――懸念していたことも起きていた。直感でわかるのだ、このライダーの力はこんなものではないと。
(やはり認められていないんだな、今の俺は)
聖剣が、あるいはワンダーライドブックが、ないしはその両方がまだ立風館ソウジを認めていない。
この真贋交わる殺し合いの中では様々な道具の使用ハードルが下げられ、比較的誰でも力を手に入れられる環境にある。
しかし何でもかんでもフリーパスとはいかず、ある程度の使用条件は残っているものや、使いこなすのに依然高い資質や練度を要求する装備もある。
この真贋交わる殺し合いの中では様々な道具の使用ハードルが下げられ、比較的誰でも力を手に入れられる環境にある。
しかし何でもかんでもフリーパスとはいかず、ある程度の使用条件は残っているものや、使いこなすのに依然高い資質や練度を要求する装備もある。
ソードオブロゴスの剣士たちが使う聖剣群は他の世界のライダーの変身ツールと比較しても特に敷居が高いのだ。
ただ単に振り回したり変身をするだけならまだしも、使いこなし、極めて真価を完全に引き出すとなると一線どころか二線も三線も画するほど難易度が高い。
十分な剣士としての力量のみならず、各種聖剣に対する一定の理解度、物語を作り出す極めて高い次元の創造力を要求してくるのだ。
何故刃王剣十聖刃が運営が選定した正規の支給品、ドロップアイテム群から零れ落ちたのかの理由がここにある。
調整で敷居を下げてもなお真価を出しきるのが困難すぎたため、参加者に支給するには適さないと判断されていたのだ。
ただ単に振り回したり変身をするだけならまだしも、使いこなし、極めて真価を完全に引き出すとなると一線どころか二線も三線も画するほど難易度が高い。
十分な剣士としての力量のみならず、各種聖剣に対する一定の理解度、物語を作り出す極めて高い次元の創造力を要求してくるのだ。
何故刃王剣十聖刃が運営が選定した正規の支給品、ドロップアイテム群から零れ落ちたのかの理由がここにある。
調整で敷居を下げてもなお真価を出しきるのが困難すぎたため、参加者に支給するには適さないと判断されていたのだ。
「それなら、今出せるだけの力で戦うだけだ!」
聖剣は光らない。変身しているスーツはその性能の上限を出させてはくれない。
けれどもそれを言い訳にして引き下がるなんてことだけはできない。
その想いとともに、痣者となった立風館ソウジは戦線へと舞い戻った。
けれどもそれを言い訳にして引き下がるなんてことだけはできない。
その想いとともに、痣者となった立風館ソウジは戦線へと舞い戻った。
| 184:Sの誤算/歌姫は目覚めた | 投下順 | 184:メカトピア落日戦-Vanish- |
| 時系列順 | ||
| マクギリス・ファリド | ||
| 二代目ゼロ | ||
| 総司令官 | ||
| ドラえもん | ||
| 堀北鈴音 | ||
| 冥黒ディアッカ | ||
| 立風館ソウジ | ||
| 梔子ユメ | ||
| 冥黒王ギギスト | ||
| 亀井美嘉 | ||
| 東ゆう | ||
| ラクス・クライン | ||
| ディーヴァ |