《テヤンデイ!テヤンデイ!》
しばらく聞いていなかった、それなのにひどく懐かしく感じる声が聞こえた。
正確にはそれは電子音声と呼ぶべきものではあったが、ラクス・クラインの意識を覚醒させるには十分な効果があった。
正確にはそれは電子音声と呼ぶべきものではあったが、ラクス・クラインの意識を覚醒させるには十分な効果があった。
「ぅ、あ……」
ここは何処か、何故自分は屋内の一室と思われる場所で寝かされているのか。
答えを得るより早く激痛が全身を苛む。ラクスにはそれだけで何が起きたのか察することができた。
自分は、いや、自分たちは何者かの攻撃を受けたのだ。そして誰かの助けでこの部屋へと運び込まれた。
その推測を裏付けるような頭部への違和感。いつの間にか髪が短く切られている。
誰が何のために、とは思わない。気絶してしまうほどの襲撃だ、その際に切られた部分はダメになってしまったのだろう。
答えを得るより早く激痛が全身を苛む。ラクスにはそれだけで何が起きたのか察することができた。
自分は、いや、自分たちは何者かの攻撃を受けたのだ。そして誰かの助けでこの部屋へと運び込まれた。
その推測を裏付けるような頭部への違和感。いつの間にか髪が短く切られている。
誰が何のために、とは思わない。気絶してしまうほどの襲撃だ、その際に切られた部分はダメになってしまったのだろう。
「目を覚ましたか」
どこか聞き覚えがなくもない声の主に視線を向け、思わず息を呑んだ。
そこにいたのはとてもではないが生身の人間とは言い難い、怪人としか形容しようのない者だったからだ。
しかし敵意は感じない。それに気絶した女一人、誰でも殺せたはずだ。
そこにいたのはとてもではないが生身の人間とは言い難い、怪人としか形容しようのない者だったからだ。
しかし敵意は感じない。それに気絶した女一人、誰でも殺せたはずだ。
《ラクス!ラクス!》
「まあ、ピンクちゃん?こんなところに……。
もしや貴方がこの子を連れてきてくださったのですか?
それと申し遅れました、私(わたくし)はラクス・クラインと申します」
もしや貴方がこの子を連れてきてくださったのですか?
それと申し遅れました、私(わたくし)はラクス・クラインと申します」
「我は冥黒王ギギスト。この姿を見て動じはしても表に出さぬその胆力、流石にここまで生き残った者だけはあるようだな。
だが質問は的外れだ。我はその玩具とは無関係。それは2代目ゼロにくっついていた支給品であろう」
だが質問は的外れだ。我はその玩具とは無関係。それは2代目ゼロにくっついていた支給品であろう」
2代目ゼロ。メラの脅威を伝えるため、ラクスたちが会おうとしていた鉄華兵団の代表。
ここが何処かの屋内で2代目ゼロの名が出るとなれば答えは一つしかない。
ここが何処かの屋内で2代目ゼロの名が出るとなれば答えは一つしかない。
「ここは大博物館、ゼロの言葉を借りるならばひみつ道具博物館なのですね?」
「そうだ。貴様らがこの場所を目指して移動していたことは理解している。我らの集団も貴様らより僅かに先に到着していたからな。
襲撃を受けた貴様の同行者のこと、襲撃者と戦っている者の救援に向かったこちらの同行者のことなど話すべきことは数多あるが…それより先に早急に解決せねばならんことがある。
このままでは獅子身中の虫によってゼロが喧伝した鉄華兵団の姿は失われ、我らは奴の駒に成り下がることになろう」
襲撃を受けた貴様の同行者のこと、襲撃者と戦っている者の救援に向かったこちらの同行者のことなど話すべきことは数多あるが…それより先に早急に解決せねばならんことがある。
このままでは獅子身中の虫によってゼロが喧伝した鉄華兵団の姿は失われ、我らは奴の駒に成り下がることになろう」
ギギストの手にはこの部屋にあった鏡を再錬成して形成した水晶玉が握られていた。
ラクスに見せつけるように翳した水晶の向こうには倒れ、リルルに介抱されたゼロの姿と今後の対応を迫られる鉄華兵団の姿があった。
ラクスに見せつけるように翳した水晶の向こうには倒れ、リルルに介抱されたゼロの姿と今後の対応を迫られる鉄華兵団の姿があった。
☆
「…ふん、貴公も意固地な物だな。
こんな状態のゼロについていく者など最早おらんだろうに。
まあいい、ゼロを休ませた後、ひみつ道具の回収と新しい来訪者の情報交換を行いたい。
…また逃げる準備も考えて置かねばな。
あの高速移動の刺客が此方に来るとも限らん。」
こんな状態のゼロについていく者など最早おらんだろうに。
まあいい、ゼロを休ませた後、ひみつ道具の回収と新しい来訪者の情報交換を行いたい。
…また逃げる準備も考えて置かねばな。
あの高速移動の刺客が此方に来るとも限らん。」
ゼロが倒れたこの状況は総司令官にとって実に都合が良かった。
マクギリスを味方につけているだけで単独では無力な小娘。起動鍵も人の好さを突いてまんまと奪うことができた。それも合法的に、だ。
ゼロ本人の同意を得ている以上マクギリスも表立って追及はできまい。
動揺を隠せない様子のドラえもんをチラリと横目に見やる。今は頼りない様子もあるがいずれこの総司令官が盛り立ててやらねば。
マクギリスを味方につけているだけで単独では無力な小娘。起動鍵も人の好さを突いてまんまと奪うことができた。それも合法的に、だ。
ゼロ本人の同意を得ている以上マクギリスも表立って追及はできまい。
動揺を隠せない様子のドラえもんをチラリと横目に見やる。今は頼りない様子もあるがいずれこの総司令官が盛り立ててやらねば。
(そうとも。鉄華兵団と名乗るのだ。その上に立つのは人間などではない、我らロボットだ。
マクギリス、今は精々足掻くがいい。いずれ小娘も貴様も合法的に排除し、英雄ドラえもんこそを代表の座に据えてやる。
私が人間どもとの折衝に向かぬのであれば、それができるドラえもんを表の顔に立て、私が傍で集団の主導権を握れば良いのだ)
マクギリス、今は精々足掻くがいい。いずれ小娘も貴様も合法的に排除し、英雄ドラえもんこそを代表の座に据えてやる。
私が人間どもとの折衝に向かぬのであれば、それができるドラえもんを表の顔に立て、私が傍で集団の主導権を握れば良いのだ)
配下のシャチパンダヤミーを破壊され、人間の小娘の善意で命を繋ぐなど屈辱もいいところだった。
適当に話を合わせ、鉄華兵団の一員としてゼロに従うフリをしながら機を見て集団を乗っ取るべく準備を進めてきた。
今はまさしくそれを結実させる時。上手く立ち回り、ゼロもマクギリスも追い出し、ドラえもんとともに鉄華兵団を掌握するのだ。
適当に話を合わせ、鉄華兵団の一員としてゼロに従うフリをしながら機を見て集団を乗っ取るべく準備を進めてきた。
今はまさしくそれを結実させる時。上手く立ち回り、ゼロもマクギリスも追い出し、ドラえもんとともに鉄華兵団を掌握するのだ。
―――だが総司令官が字義通りの鉄面皮の下に秘めた野心はゼロが倒れてから数分と経たぬうちに頓挫することとなる。
「理解するぞ、総司令官よ。ゼロが倒れた機を見逃さず、組織を己の色に塗り替えるべく動くその野心。実にわかりやすい。
しかし逃げる準備、とは聞き捨てならぬな。こちらの同行者が襲撃者との戦闘に向かったことを知っての物言いか?」
しかし逃げる準備、とは聞き捨てならぬな。こちらの同行者が襲撃者との戦闘に向かったことを知っての物言いか?」
「私はラクス・クラインです。危ういところを助けていただき、ありがとうございます。
総司令官様、それに皆様方。情報交換をお望みでしたら今、この場で行いましょう。私も問い質したいことがあります」
総司令官様、それに皆様方。情報交換をお望みでしたら今、この場で行いましょう。私も問い質したいことがあります」
ゼロが倒れ場が混乱し、総司令官もマクギリスと話し込んでいた間にギギストとラクスが連れ立って会議室まで来ていた。
どちらもこの混乱状況で何が起ころうとしているかを即座に察し、総司令官へ刺すような視線を向けた。
どちらもこの混乱状況で何が起ころうとしているかを即座に察し、総司令官へ刺すような視線を向けた。
「…貴様ら、何時の間に。いや、そういうことか。ついさっきの水晶と同じものでこちらの様子を伺っていたわけか。
ふん、匿ってやったのはこちらの方だというのにな。随分と信用がないらしい」
ふん、匿ってやったのはこちらの方だというのにな。随分と信用がないらしい」
「総司令官殿、そのような言い方はやめてください。
このような見苦しいところを見せてしまい申し訳ない。私はマクギリス・ファリド。緊急時につきゼロに代わって鉄華兵団の代表代行を務めている」
このような見苦しいところを見せてしまい申し訳ない。私はマクギリス・ファリド。緊急時につきゼロに代わって鉄華兵団の代表代行を務めている」
「だ、大丈夫なんですか!?怪我しているんじゃあ……」
心配するドラえもんにラクスがジェスチャーで大丈夫と示す。
一方で鈴音は風向きが変わろうとしていることを感じ取り、ひとまず見に撤することを決めた。
一方で鈴音は風向きが変わろうとしていることを感じ取り、ひとまず見に撤することを決めた。
「私たちが疑義を呈したいのはまさにその代表の代行、このひみつ道具博物館からの退避という方針、意思決定についてです。
急を要する事態であり、また結果として私たちが敵を連れてきてしまったことは理解しています。その点については深くお詫びいたします。
ですが、何故ゼロが一時倒れただけで、私たちとの情報共有よりも優先して代表の交代をこの場で決める必要があったのですか?」
急を要する事態であり、また結果として私たちが敵を連れてきてしまったことは理解しています。その点については深くお詫びいたします。
ですが、何故ゼロが一時倒れただけで、私たちとの情報共有よりも優先して代表の交代をこの場で決める必要があったのですか?」
「何を聞くかと思えば……。貴様が言う通り、急を要する事態だからよ。
組織の危機的状況において何より優先されるべきは速やかな意思決定、そして主催の者どもに抵抗する組織の存続だ。
暫定であれ次のトップを決めねば指揮系統に乱れが生じ、いざ例の刺客がこちらに向かってきた時の迎撃もままなるまい」
組織の危機的状況において何より優先されるべきは速やかな意思決定、そして主催の者どもに抵抗する組織の存続だ。
暫定であれ次のトップを決めねば指揮系統に乱れが生じ、いざ例の刺客がこちらに向かってきた時の迎撃もままなるまい」
「迎撃の心配をするか。ならばこちらから要請をさせてもらおうか。
我らの同行者、梔子ユメと立風館ソウジが件の襲撃者と交戦中だ。もしも高速移動、あるいは高速飛行が可能な戦力を有しているのであれば彼らへの援軍を頼みたい。
主催者へのルートがあるこの施設や非戦闘員への被害を気にするならばそもそも敵をこちらに近づけさせない方策を打つべきではないのか?」
我らの同行者、梔子ユメと立風館ソウジが件の襲撃者と交戦中だ。もしも高速移動、あるいは高速飛行が可能な戦力を有しているのであれば彼らへの援軍を頼みたい。
主催者へのルートがあるこの施設や非戦闘員への被害を気にするならばそもそも敵をこちらに近づけさせない方策を打つべきではないのか?」
ギギストの要求とはつまり鉄華兵団に対する増援の要求だ。
非正規のルートからひみつ道具博物館に進入してきた挙句勝手にディーヴァの救援に人を出した彼らの立場を考慮すれば厚かましいとの謗りを受けても仕方ない。
しかし理にかなっている。マクギリスは即座に答えた。
非正規のルートからひみつ道具博物館に進入してきた挙句勝手にディーヴァの救援に人を出した彼らの立場を考慮すれば厚かましいとの謗りを受けても仕方ない。
しかし理にかなっている。マクギリスは即座に答えた。
「確かに我々は飛行可能なナイトメアフレームを三機所有している。
私の紅蓮聖天八極式と総司令官殿のパーシヴァル、また総司令官殿はゼロからガウェイン・リゼロを貸与されている。
総司令官殿は機動兵器を操る支給品も持っているので実質一人で二機分の戦力を展開することができる。そうですね、総司令官殿?」
私の紅蓮聖天八極式と総司令官殿のパーシヴァル、また総司令官殿はゼロからガウェイン・リゼロを貸与されている。
総司令官殿は機動兵器を操る支給品も持っているので実質一人で二機分の戦力を展開することができる。そうですね、総司令官殿?」
「何を勝手にこちらの戦力を開陳している。まさかこちらから戦力を出すなどと酔狂なことを言うつもりか?」
(今、ラクス・クラインもゼロのことを彼女と…。僕と同じ線からゼロが女性だと気づいたのね)
不機嫌さを隠しもしなくなった総司令官の怒気を感じながらもその程度でマクギリスは動じない。
つい数分前まで同じ施設内にいるはずなのにまるで存在感を感じられなかったラクスとギギストがこの場に現れたことによる風向きの変化を鋭敏に感じ取っているが故に。
それに鈴音と同じくマクギリスもラクスがゼロを女性と見抜いたことを察知した。であればここは総司令官によるゼロの正体暴露を恐れる時ではない。
つい数分前まで同じ施設内にいるはずなのにまるで存在感を感じられなかったラクスとギギストがこの場に現れたことによる風向きの変化を鋭敏に感じ取っているが故に。
それに鈴音と同じくマクギリスもラクスがゼロを女性と見抜いたことを察知した。であればここは総司令官によるゼロの正体暴露を恐れる時ではない。
「勝手に?これは異なことを。彼女たちとの情報交換もまた急務では?そこには当然戦力の開示も含まれる。
それに…こう言ってはなんですがその言いようはまるで私を配下として扱うが如くだ。貴方自身が私をこの鉄華兵団の代表代行として推挙されたはずでは?」
それに…こう言ってはなんですがその言いようはまるで私を配下として扱うが如くだ。貴方自身が私をこの鉄華兵団の代表代行として推挙されたはずでは?」
「貴様……」
つい先ほどの意趣返しとばかりのマクギリスの反論に激昂しかける総司令官だが、目の前にラクスとギギストがいることを思い出し努めて冷静たらんとする。
マクギリスはこちらに反抗的なラクス、ギギストと組んで総司令官を揺さぶってきている。ここは理路整然と論破してみせねばなるまい。
マクギリスはこちらに反抗的なラクス、ギギストと組んで総司令官を揺さぶってきている。ここは理路整然と論破してみせねばなるまい。
「…確かに我らは戦場に急行可能なだけの戦力を有している。だが何故我らが貴重な兵力を出してまで援軍に向かわなければならんのだ?
そもそもこちらの制止を無視して勝手に現場に向かう判断をしたのは貴様らではないか。まさかロクな挨拶も情報交換もしていない身で仲間面をしようなどと思ってはいまいな?」
そもそもこちらの制止を無視して勝手に現場に向かう判断をしたのは貴様らではないか。まさかロクな挨拶も情報交換もしていない身で仲間面をしようなどと思ってはいまいな?」
こちらの言うことを聞かないお前たちはそもそもまだ鉄華兵団の仲間として認められたわけではない。
総司令官はハッキリとそのように言い切った。
総司令官はハッキリとそのように言い切った。
「代表代行の件にしてもそう。これは我々鉄華兵団の問題だ。貴様らに口を挟まれる謂れなどない。
ゼロは心身の消耗が祟り倒れ、代表を務めることができなくなった。だからマクギリスを代表代行として推した。何の不自然があろうか。
大体貴様ら、先ほどから私に敵意を向ければ目の前の問題が解決するとでも思っているのか?見当違いも甚だしい!」
ゼロは心身の消耗が祟り倒れ、代表を務めることができなくなった。だからマクギリスを代表代行として推した。何の不自然があろうか。
大体貴様ら、先ほどから私に敵意を向ければ目の前の問題が解決するとでも思っているのか?見当違いも甚だしい!」
「そこだ、総司令官よ。ゼロはあくまで消耗によって倒れただけで死んだわけでもなければ重篤な傷を負ったわけでもない。
休めばいずれ復帰できることがわかっていながら、否、わかっていたから貴様はこの場この瞬間にリーダーの首の挿げ替えを狙ったのだ」
休めばいずれ復帰できることがわかっていながら、否、わかっていたから貴様はこの場この瞬間にリーダーの首の挿げ替えを狙ったのだ」
ギギストたち一行がまだ鉄華兵団の一員として認められていないという理屈はわかる。
ゼロや総司令官たちと話すことより自分たちの都合を優先して飛び出したのは事実である以上その点で反論することは難しい。
しかしゼロが倒れたのをいいことに内輪だけで勝手に鉄華兵団の体制を変えられてはたまったものではない。それが悪意に基づく行為ならなおさらである。
ゼロや総司令官たちと話すことより自分たちの都合を優先して飛び出したのは事実である以上その点で反論することは難しい。
しかしゼロが倒れたのをいいことに内輪だけで勝手に鉄華兵団の体制を変えられてはたまったものではない。それが悪意に基づく行為ならなおさらである。
「私が鉄華兵団を乗っ取ろうとしているのであればマクギリスではなく私自身が代表代行になっている。下らん言いがかりはよせ」
「ゼロの放送で危険思想をバラされた君が矢面に立ったら集まる人員も集まらないからというだけでしょう?
マクギリスさんに代表代行をするよう言ったのは君だった。つまり君には彼を意のままに動かせる根拠があるということ。
大方ゼロの正体かマクギリスさんの個人的な弱みでも握ったというところじゃないかしら?」
マクギリスさんに代表代行をするよう言ったのは君だった。つまり君には彼を意のままに動かせる根拠があるということ。
大方ゼロの正体かマクギリスさんの個人的な弱みでも握ったというところじゃないかしら?」
ギギストとラクスは総司令官が組織の主導権を握ろうとしていることに気づき、それに反対の立場を取っている。
ならばここが反撃の好機。鈴音はギギストとラクスに加勢することを決断した。
ならばここが反撃の好機。鈴音はギギストとラクスに加勢することを決断した。
「鉄華兵団の結成前のことなど過去の話だろう。それより重要なのは今、誰がどのようにしてこの窮地を凌ぐかだろうが。
この大事な時に負傷をしたわけでもないのに倒れるような者に組織を率いていくことなどできるはずがない。何故それがわからん?」
この大事な時に負傷をしたわけでもないのに倒れるような者に組織を率いていくことなどできるはずがない。何故それがわからん?」
「いいえ!」
他の参加者との敵対や思想の対立など過去のこと。今議論の俎上に上げることではない。
そう主張し、話題を自身に有利な方へ持ちこもうとした総司令官の思惑をラクスの凛とした声が阻む。
そう主張し、話題を自身に有利な方へ持ちこもうとした総司令官の思惑をラクスの凛とした声が阻む。
「私たちはゼロの放送を見て、彼女の言葉を信じてここへ来ることを決めたのです!私たちが信じたのはゼロであって貴方ではありません!
ゼロと貴方の間に何があったか、その仔細を私は存じません。ですがゼロは貴方の過去の行い、人類と対立する思想を知ってなお貴方に手を差し伸べ、放送では自らが矢面に立ちました!
その時点で貴方にはゼロに対し大きな恩義があるはずです。ゼロであれば今私たちの代わりに戦っている梔子ユメさんや立風館ソウジさんを進んで見殺しにする方策は採らないでしょう。
貴方がしようとしていることは恩人であるゼロを蹴落とし、鉄華兵団の理念を貶める行為です。恥を知りなさい!」
ゼロと貴方の間に何があったか、その仔細を私は存じません。ですがゼロは貴方の過去の行い、人類と対立する思想を知ってなお貴方に手を差し伸べ、放送では自らが矢面に立ちました!
その時点で貴方にはゼロに対し大きな恩義があるはずです。ゼロであれば今私たちの代わりに戦っている梔子ユメさんや立風館ソウジさんを進んで見殺しにする方策は採らないでしょう。
貴方がしようとしていることは恩人であるゼロを蹴落とし、鉄華兵団の理念を貶める行為です。恥を知りなさい!」
「理解するぞ、総司令官。自らの罪科は過少に見積もり、他者の過失は針小棒大にして煽り立てるその姿、人間以上に人間らしい。
我が断言しよう。貴様のその躯体を作り上げたのは紛れもなく人間だと」
我が断言しよう。貴様のその躯体を作り上げたのは紛れもなく人間だと」
聞き捨てならぬ言葉であった。ラクスの反論以上にギギストの言葉が。
メカトピアの教義を踏みにじり、総司令官を人間らしいなどと侮辱するギギストの言葉が。
メカトピアの教義を踏みにじり、総司令官を人間らしいなどと侮辱するギギストの言葉が。
「取り消せ、今の言葉は……!人間如きが我らメカトピアの民を作ったなどとはとんだ侮辱だ!!
ドラえもんよ、奴らは今すぐ追放すべきだ!貴様ならわかるだろう!?」
ドラえもんよ、奴らは今すぐ追放すべきだ!貴様ならわかるだろう!?」
同じロボットである英雄ドラえもんなら賛同してくれるはず。そう信じて話を向ける。
だが総司令官の想いとは裏腹にドラえもんが総司令官に向ける視線は実に冷めたものだった。
ドラえもんだけではない。この場にいる参加者全員が総司令官に対して強い不信の眼差しを向けていることにようやく気づいた。
だが総司令官の想いとは裏腹にドラえもんが総司令官に向ける視線は実に冷めたものだった。
ドラえもんだけではない。この場にいる参加者全員が総司令官に対して強い不信の眼差しを向けていることにようやく気づいた。
「総司令官……ぼくはね、この世界でお前が少しは変わったんじゃないかって期待してたんだ。
どこまでも冷徹で、誰のことも思いやることのなかったお前でも、ゼロや色んな人と触れ合って少しでも考えを改めてくれたんじゃないかって……。
だけどそうじゃなかった。ゼロの善意はお前には何も響いてなかった。人から手を差し伸べられてもお前は何も変わらなかったんだね」
どこまでも冷徹で、誰のことも思いやることのなかったお前でも、ゼロや色んな人と触れ合って少しでも考えを改めてくれたんじゃないかって……。
だけどそうじゃなかった。ゼロの善意はお前には何も響いてなかった。人から手を差し伸べられてもお前は何も変わらなかったんだね」
「何だと……」
「お前に言っておかなくちゃいけないことがある。
ぼくは22世紀からタイムマシンで過去の時代に来たお世話ロボットで、軍事用のロボットなんかじゃないんだ。
のび太くんたちと一緒にお前たちメカトピアと戦ったのだって、大人にお前たちの侵攻を知らせても誰も信じてくれなかっただけなんだよ。
ぼくはお前が考えるような英雄なんかじゃなくて、ここにいるほとんどの人と同じ、一参加者でしかないんだ。ぼくも皆と同じ気持ちだ」
ぼくは22世紀からタイムマシンで過去の時代に来たお世話ロボットで、軍事用のロボットなんかじゃないんだ。
のび太くんたちと一緒にお前たちメカトピアと戦ったのだって、大人にお前たちの侵攻を知らせても誰も信じてくれなかっただけなんだよ。
ぼくはお前が考えるような英雄なんかじゃなくて、ここにいるほとんどの人と同じ、一参加者でしかないんだ。ぼくも皆と同じ気持ちだ」
事ここに至ってようやく総司令官は己の思い違いに気づいた。
鉄華兵団の外から見た2代目ゼロと総司令官の信用度には最初から差があったのだ。思想や行動に問題があった総司令官とその総司令官を庇い矢面に立つゼロという差が。
総司令官の主張にも一定の理はある。ギギストから侮辱的とすら言える挑発を受けたのも事実だ。
それでも誰一人として総司令官に同情し、信用を置くことはしない。彼の言葉に理屈が通っていようと心情的な点から味方に立とうと思う者は一人もいない。
主張に理屈が通っていようとも、恩人を恩人と思わず後ろ足で砂をかけるような行いを平然とする者を誰が信じようか。
鉄華兵団の外から見た2代目ゼロと総司令官の信用度には最初から差があったのだ。思想や行動に問題があった総司令官とその総司令官を庇い矢面に立つゼロという差が。
総司令官の主張にも一定の理はある。ギギストから侮辱的とすら言える挑発を受けたのも事実だ。
それでも誰一人として総司令官に同情し、信用を置くことはしない。彼の言葉に理屈が通っていようと心情的な点から味方に立とうと思う者は一人もいない。
主張に理屈が通っていようとも、恩人を恩人と思わず後ろ足で砂をかけるような行いを平然とする者を誰が信じようか。
「ぐっ……ぬうぅ……!」
計算違いを認識した時には既に四面楚歌。
今この集団から追い落とされようとしているのはゼロの仮面を被った小娘ではない。この私だ。
進退窮まったかに思えた時、マクギリスが口を開いた。
今この集団から追い落とされようとしているのはゼロの仮面を被った小娘ではない。この私だ。
進退窮まったかに思えた時、マクギリスが口を開いた。
「総司令官殿、このままでは彼らとの共闘関係の構築もままならないかと。
それに戦闘に向かった梔子ユメは羂索に繋がる手掛かりを持っているかもしれない人物。失うわけにはいかないでしょう。
今こそ我々が戦場に赴き、梔子ユメと立風館ソウジを救援することで彼らの信頼を得るべきでは?」
それに戦闘に向かった梔子ユメは羂索に繋がる手掛かりを持っているかもしれない人物。失うわけにはいかないでしょう。
今こそ我々が戦場に赴き、梔子ユメと立風館ソウジを救援することで彼らの信頼を得るべきでは?」
言葉こそは穏当だが最後通牒であることは明らかだ。
拒否すればマクギリスが実力行使に出るだけに収まらず袋叩きの憂き目に遭うだろう。
総司令官に選択の余地はなかった。
拒否すればマクギリスが実力行使に出るだけに収まらず袋叩きの憂き目に遭うだろう。
総司令官に選択の余地はなかった。
☆
状況は悪く、敵の性格はそれに輪をかけて悪い。
仮面ライダーバルキリーに変身するディーヴァは襲撃者の底知れない戦力に慄きながらも懸命に反撃の機会を伺っていた。
仮面ライダーバルキリーに変身するディーヴァは襲撃者の底知れない戦力に慄きながらも懸命に反撃の機会を伺っていた。
「くっ……!」
パーフェクトストライクが振るう対艦刀を避けたかと思えばフリーダムのライフルによる射撃が飛ぶ。
単調で型通りの動きではあるが、バルキリーは、いやその中身にあたるディーヴァの躯体は既にして満身創痍。
最初の奇襲で重篤な損傷を受けた機体では満足な力は発揮できない。
それでも力を振り絞り、大上段から振り下ろされたストライクの対艦刀を身を捻って躱すとカウンターとしてクロ―による一撃を撃ち込む。
弾ける火花。イレギュラーながら強化形態と呼んで差し支えないジャスティスサーバルとなったバルキリーの攻撃はしかし、フェイズシフトの装甲に阻まれてしまう。
実体の刃しか持たないバルキリーではストライク、フリーダムが有するフェイズシフト装甲を抜くことが困難だ。
そしてその僅か二十メートルほど先では。
単調で型通りの動きではあるが、バルキリーは、いやその中身にあたるディーヴァの躯体は既にして満身創痍。
最初の奇襲で重篤な損傷を受けた機体では満足な力は発揮できない。
それでも力を振り絞り、大上段から振り下ろされたストライクの対艦刀を身を捻って躱すとカウンターとしてクロ―による一撃を撃ち込む。
弾ける火花。イレギュラーながら強化形態と呼んで差し支えないジャスティスサーバルとなったバルキリーの攻撃はしかし、フェイズシフトの装甲に阻まれてしまう。
実体の刃しか持たないバルキリーではストライク、フリーダムが有するフェイズシフト装甲を抜くことが困難だ。
そしてその僅か二十メートルほど先では。
「そらそらそら!てめえらも落ちろってんだよ!!」
空からの奇襲一発でディーヴァたちの集団を壊滅に追い込んだ元凶、冥黒のディアッカが変身するギーツがその機動力を活かしてアメンとキョウリュウグリーンを抑え込んでいた。
バルキリーの援護に行かせないための妨害を優先し、ストライクとフリーダムに処刑される瞬間を見せつける狙いが透けて見える悪趣味極まる戦術だった。
ソウジを、ユメを、ディーヴァを徹底的に嘲弄するが如き態度を見せるディアッカだが、内心では参加者(プレイヤー)への侮りを消していた。
バルキリーの援護に行かせないための妨害を優先し、ストライクとフリーダムに処刑される瞬間を見せつける狙いが透けて見える悪趣味極まる戦術だった。
ソウジを、ユメを、ディーヴァを徹底的に嘲弄するが如き態度を見せるディアッカだが、内心では参加者(プレイヤー)への侮りを消していた。
(この緑野郎の剣術、変な持ち方だが無駄がねえ。動きが速くて力も貧弱ってほど弱くねえ。
剣の軌道も柔軟な上に緩急の付け方が絶妙で読みづらい。技が速くて鋭かっただけのさっきの女よりよっぽど実戦潜ってんな。
うてなの奴がやられるわけだぜ。俺様でもストライクでこいつとやり合うのは骨だ)
剣の軌道も柔軟な上に緩急の付け方が絶妙で読みづらい。技が速くて鋭かっただけのさっきの女よりよっぽど実戦潜ってんな。
うてなの奴がやられるわけだぜ。俺様でもストライクでこいつとやり合うのは骨だ)
ガブリカリバーを逆手持ちにして斬りかかるキョウリュウグリーンの剣術はディアッカにとって見慣れぬ技だが洗練されたものであることはわかる。
十分な力強さ、怒涛の攻めを実現する速さ、そして巧さ、柔軟さ。
勇者と呼んでもいい強さだ。オロチマルガムの力を打ち破ったとしても不思議ではない。
十分な力強さ、怒涛の攻めを実現する速さ、そして巧さ、柔軟さ。
勇者と呼んでもいい強さだ。オロチマルガムの力を打ち破ったとしても不思議ではない。
「ふっ!」
「やあぁっ!」
そしてただ単騎での戦闘に長けているだけではない。
サウザンドジャッカーの斬撃を受け止め、たまらず後退したかに見せて後方からアメンが次々と火炎弾を放ってくる。
巧みな連携。いや、キョウリュウグリーンがアメンの戦いやすい動きを作っているのだ。
仲間と共に戦うことを得手とする戦隊の者の面目躍如と言うべき働きぶりだ。
アメンの方も見事にキョウリュウグリーンの期待に応えている。やはりここまで生き残った者は一味違う。
サウザンドジャッカーの斬撃を受け止め、たまらず後退したかに見せて後方からアメンが次々と火炎弾を放ってくる。
巧みな連携。いや、キョウリュウグリーンがアメンの戦いやすい動きを作っているのだ。
仲間と共に戦うことを得手とする戦隊の者の面目躍如と言うべき働きぶりだ。
アメンの方も見事にキョウリュウグリーンの期待に応えている。やはりここまで生き残った者は一味違う。
「まっ、それも通らなけりゃ意味ねえんだけどな」
空気が歪み、風がうねる。ギーツから発せられる炎が前方一箇所に凝縮され、炎と風で出来た円形の盾を構築した。
アメンが放つ火炎弾の悉く、動作もなく形成された炎と風の盾によって打ち消され、ギーツの装甲にさえ届かず。
レーザーブーストフォームの機能たるベクトル操作を可能とするエネルギーフィールドの展開だけではない。
コンドウを殺して奪い取ったソードスキル、暴風拳(テンペスト)と炎身焦熱(アグニドライブ)をも同時発動。
ベクトル操作によって即席の盾としたのである。
アメンが放つ火炎弾の悉く、動作もなく形成された炎と風の盾によって打ち消され、ギーツの装甲にさえ届かず。
レーザーブーストフォームの機能たるベクトル操作を可能とするエネルギーフィールドの展開だけではない。
コンドウを殺して奪い取ったソードスキル、暴風拳(テンペスト)と炎身焦熱(アグニドライブ)をも同時発動。
ベクトル操作によって即席の盾としたのである。
「撃っても駄目なら、これ!」
《PATCH UP!》 《ザクザク!ザクトル!》
「ブレイブイン!キョウリュウチェンジ!」
遠距離攻撃が通らないとなればキョウリュウグリーンと二人がかりでの接近戦しかない。
先ほどギギストの手で錬成された新たなレリーフグリフバッジを用い変身したその姿はアメンとキョウリュウグリーンを折衷したような姿だった。
キョウリュウジャーの中でもキョウリュウグリーンであることをアメンバッグルが認識しているのか変身音声にはザクトルの名がある。
手にはキョウリュウグリーンと同じくガブリカリバーが握られていた。
先ほどギギストの手で錬成された新たなレリーフグリフバッジを用い変身したその姿はアメンとキョウリュウグリーンを折衷したような姿だった。
キョウリュウジャーの中でもキョウリュウグリーンであることをアメンバッグルが認識しているのか変身音声にはザクトルの名がある。
手にはキョウリュウグリーンと同じくガブリカリバーが握られていた。
「ユメちゃんは良いと思うように動いてくれ!俺が合わせる!」
「はい!」
実質二人のキョウリュウグリーンとなった二人が左右に分かれてギーツへ攻めかかる。
一刻も早くバルキリーの救援に行きたいがここまでの打ち合いで手数でも速度でも優り守りも堅いギーツを抜くのは至難の業とわかった。
過度な焦りは逆に隙を生む。ならば二人の連撃で強引にでも相手の隙を作りだすまでのこと。
一刻も早くバルキリーの救援に行きたいがここまでの打ち合いで手数でも速度でも優り守りも堅いギーツを抜くのは至難の業とわかった。
過度な焦りは逆に隙を生む。ならば二人の連撃で強引にでも相手の隙を作りだすまでのこと。
「剣なら突破できると思ってんのか?」
「うっ……!」
射撃だろうが近接攻撃だろうが関係ない。
アメンの斬撃を剣で受けることすらせず、形成した炎と風の壁でガッシリと受け止める。
それどころかベクトル操作された炎がガブリカリバーを伝い、絡みつくようにしてアメンを灼かんとする。
アメンの斬撃を剣で受けることすらせず、形成した炎と風の壁でガッシリと受け止める。
それどころかベクトル操作された炎がガブリカリバーを伝い、絡みつくようにしてアメンを灼かんとする。
「思ってるさ、二人ならな!」
それを止めるのはキョウリュウグリーン。
アメンの攻撃を防ぎ、その身に迫る炎の障壁に刃を突き立てる。
そのまま二人の刃は二つの異能(シギル)による障壁を突き破り、振り下ろした二つの斬撃がギーツの装甲を捉えた。
アメンの攻撃を防ぎ、その身に迫る炎の障壁に刃を突き立てる。
そのまま二人の刃は二つの異能(シギル)による障壁を突き破り、振り下ろした二つの斬撃がギーツの装甲を捉えた。
「うおっ……!?」
(あー、この程度の強度じゃ破られるか。もっと収束率を上げねえとだな)
二人のキョウリュウグリーンがついにギーツに一撃を加えた雄姿はディーヴァをも奮い立たせる。
もう出し惜しむ必要もない。令呪を発動し、格段に高められたクロ―による攻撃がストライクのフェイズシフトをも突き抜け白い装甲を抉り取った。
ストライクがよろめいた隙に必殺技を起動、フリーダムの懐に飛び込む。
先ほど奇襲のために一斉射撃を放ったフリーダムにディスラプターを撃ち込むエネルギーはない。
目にも止まらぬ高速機動を繰り返し、ヒット&アウェイの要領で高密度のエネルギーを纏ったクロ―を次々と二機に見舞う。
腕部や武装を切り飛ばされ、一箇所にまとまった瞬間に放たれるはバルキリーの必殺キック。
もう出し惜しむ必要もない。令呪を発動し、格段に高められたクロ―による攻撃がストライクのフェイズシフトをも突き抜け白い装甲を抉り取った。
ストライクがよろめいた隙に必殺技を起動、フリーダムの懐に飛び込む。
先ほど奇襲のために一斉射撃を放ったフリーダムにディスラプターを撃ち込むエネルギーはない。
目にも止まらぬ高速機動を繰り返し、ヒット&アウェイの要領で高密度のエネルギーを纏ったクロ―を次々と二機に見舞う。
腕部や武装を切り飛ばされ、一箇所にまとまった瞬間に放たれるはバルキリーの必殺キック。
「これで、終わり……!」
《ジャスティスブラストフィーバー!》
フェイズシフト装甲など関係ない。正義の一撃がストライクとフリーダムを諸共に撃ち砕き、爆発四散させた。
その様子をギーツに変身しているディアッカは落胆半分に見ていた。
その様子をギーツに変身しているディアッカは落胆半分に見ていた。
(あんだけ痛めつけたやつにも負けるとか本当に役に立たねえな、自動操縦のモビルスーツは。
令呪を勘定に入れてなかった俺のミスもあるけどよ。
こうなるとのんびり死体や支給品の回収ってわけにもいかねえ……なら腹いせの一つもしてやるか)
令呪を勘定に入れてなかった俺のミスもあるけどよ。
こうなるとのんびり死体や支給品の回収ってわけにもいかねえ……なら腹いせの一つもしてやるか)
少なくとも驚きや狼狽は含まれていない。
何故なら傀儡のフリーダムを操ったレジィ・スターが一ノ瀬宝太郎らの集団にものの見事に敗走したことを知っているから。
何故なら傀儡のフリーダムを操ったレジィ・スターが一ノ瀬宝太郎らの集団にものの見事に敗走したことを知っているから。
「マジかよ、クソが……!じゃあテメエからやってやるよ!」
ならば腹いせも兼ねてこの状況を利用した一計を案じよう。
さも傀儡を倒されたことが想定外で激昂したとばかりのパフォーマンスを取ってバルキリーへ向き直ってみせる。
当然キョウリュウグリーンとアメンが隙だらけの姿を見逃す道理もない。
さも傀儡を倒されたことが想定外で激昂したとばかりのパフォーマンスを取ってバルキリーへ向き直ってみせる。
当然キョウリュウグリーンとアメンが隙だらけの姿を見逃す道理もない。
「ソウジさん!」
「ああ、同時に行くぞ!」
二人が同時に同じ構えを取る。
並の攻撃ではいくつ重ねてもギーツを倒しきることはできない。必要なのは必殺の一撃。
放つはかつてデーボス軍との戦いの最中、トリンから授かった奥義。
剣術を修めていないユメも今は疑似的にソウジと同じ技を操ることができる。
並の攻撃ではいくつ重ねてもギーツを倒しきることはできない。必要なのは必殺の一撃。
放つはかつてデーボス軍との戦いの最中、トリンから授かった奥義。
剣術を修めていないユメも今は疑似的にソウジと同じ技を操ることができる。
「ああ!?そんなに死にてえかよ、上等だ!」
《ジャックライズ!》
必殺の気勢を見せた二人に応じ、ギーツがキングガブリカリバーを保持した左手の指を器用に動かしてサウザンドジャッカーの技を起動。
技の撃ち合いになると悟ったディーヴァは残された最後の力をここで振り絞ることを決意した。
技の撃ち合いになると悟ったディーヴァは残された最後の力をここで振り絞ることを決意した。
(あの人たち、きっと私の思いを汲んでくれた。
これで動かなくなっても、あいつだけは必ず……!)
これで動かなくなっても、あいつだけは必ず……!)
「「トリニティストレイザー!!」」
アメンとキョウリュウグリーンがトライアングルを描いた必殺の飛ぶ斬撃を放った瞬間、ディーヴァが二画目の令呪を発動。
ギーツはトリニティストレイザーを迎え撃つために技を放つ。
両者の技がぶつかり合った瞬間にこそ最大の隙が生まれる。そこでバルキリーが最期の特攻を仕掛ける即席の必殺連携だ。
気づいたところでこれは防げない。その筈だ。
ギーツはトリニティストレイザーを迎え撃つために技を放つ。
両者の技がぶつかり合った瞬間にこそ最大の隙が生まれる。そこでバルキリーが最期の特攻を仕掛ける即席の必殺連携だ。
気づいたところでこれは防げない。その筈だ。
(―――いや、待て)
技を放ってからようやくソウジが疑念を抱いた。
おかしい。技を起動したはずだというのに、何故奴の剣は光っていない?
それに傀儡の兵がやられたとはいえ、動きの乱れが少々露骨ではなかったか?
おかしい。技を起動したはずだというのに、何故奴の剣は光っていない?
それに傀儡の兵がやられたとはいえ、動きの乱れが少々露骨ではなかったか?
「えっ……」
疑念は最悪の形で的中する。
トリニティストレイザーが着弾する寸前、ギーツの姿が掻き消えた。
入れ替わるように、否、正しく入れ替わってそこにいたのはソウジとユメが助けなければならないはずのライダーで―――
トリニティストレイザーが着弾する寸前、ギーツの姿が掻き消えた。
入れ替わるように、否、正しく入れ替わってそこにいたのはソウジとユメが助けなければならないはずのライダーで―――
| 183:永劫 X:殺してきた時間の意味 | 投下順 | 184:■■■■■落日戦 |
| 169:クライシスアンドエスケープ | 時系列順 | |
| 177:踊る会議 | マクギリス・ファリド | |
| 二代目ゼロ | ||
| 総司令官 | ||
| ドラえもん | ||
| 堀北鈴音 | ||
| 173:最悪ノシュウライ | 冥黒ディアッカ | |
| 立風館ソウジ | ||
| 梔子ユメ | ||
| 冥黒王ギギスト | ||
| 亀井美嘉 | ||
| 東ゆう | ||
| ラクス・クライン | ||
| ディーヴァ |