面接対策2:グループディスカッション

 面接というよりも、ワーク系統に入るグループディスカッションですが、意見した結果だけではなく意見をまとめる課程も、そのディスカッションでの立ち位置に関しても採点が及びます。一筋縄ではいかない要素の一つです。

グループディスカッションとは

 ディスカッションの流れを申しますと、

  • ある一つの議題を提起する(決められている場合や、複数の選択肢の中から選ぶ場合があります)
  • その議題について、数人で意見を出し合い、議題の回答の方向性を決定する
  • 意見をまとめ、具体的な結論を決定する
  • その結論を発表する

 会議みたいなものですね。この作業を、およそ15分程度の時間で行います。しかしながら、当然試験官は議論についての手引きをしてくれることはなく、受験者は(おそらく)初対面の人間たちばかりです。その中で意見を集約し結論を出す過程は、とても15分という制限時間では難しいです。もちろん具体的な結論に至らずとも、回答の方向性を示すのもまたよろしいかと思います。

 なお、議題については多くの形で提起される場合があります。推測ですが、例としては

  • 原発問題 (結論方向:原発はゼロ? それとも推進? それ以外に、“いずれゼロにする?”他)
  • 消費税議論 (結論方向:据え置きするべき? 上げるべき? それ以外に、“他の税を考える?”“生活必需品は避ける?”“補助をするべき?”他)
  • TPP関連 (結論方向:締結したほうがいい? しないほうがいい? それ以外に、“内容を吟味して品目を決める?”他)

 このような社会問題に端を発する議題は、常套と言えます。結論は大まかに分けられますが、大きい問題だけに細かい選択肢もありますので、ただ一つの回答だけではない、妥協点を汲んだ結論というのも、必要とされます。また、他にも判断をするような議題だけではなく、例として

  • コンピューターの販売が落ちて、スマホ売り上げが伸びている。コンピューターが売れるようにするには?
  • 外国の輸入品が安くなって、国産品が売れなくなっている。どうすればいい?
  • 皆(受験者)が先生だとして、学校のクラスでいじめが発生している。さて、どう解決する?
  • アニメのキャラクターが受験者だとして、皆(受験者)が採用担当だったら、誰を採用する?

 など。変わり種で回答しづらい議題も考えられます。ですので、対策と言うよりは、自分の意見を持って正確に話せるようにすることが重要でしょう。さて、実例を交えながら説明したいと思います。


進め方について

 今回解説の例題として、「首都圏の降雪に関して、どう対策をするべきか?」という議題を考えます。

 今年(2014)は、2月に大雪が2度ありました。交通機関はストップし、各地で雪に起因する事故が発生し、混乱が起こりました。
 道路では、夏タイヤで走る車がスリップし事故、坂を登れず大渋滞が発生。また高速道路が通行止めになり、山梨県では高速道路上で立ち往生した車両が多くありました。首都圏には北陸・東北方面のように除雪車両が多くなく、今回のような大雪にあっては、除雪が間に合いませんでした。
 また電車にあっても、運転見合わせに備え多くの路線で減便、また除雪車両(モーターカー)も無く線路が雪で埋まったり、レール切り替えのポイントに雪がつまり切り替えが出来ず運転見合わせになりました。また、東急東横線にあっては、ブレーキが利かなくなった上ポイント切り替えが出来ず、追突事故まで発生しました。

 このような状況から、首都圏は雪に対して非常に脆弱性があり、対策すべきとの主張が新聞などによってなされました。また、このような雪であっても、平気で夏用タイヤ(縦溝タイヤ)装備の車を走らせようという人々の意識を改善する必要がありますし、そもそも大雪の中であっても出勤を促すような企業の方針もまた、改められるべきだと考えられます。

 しかし、だからといって雪国ほどの装備を首都圏に要求するのは、少し難しい点もあります。今回の大雪は、“30年に1度と言われる大雪”と言われています(地球温暖化によって、大雪が後々増えるかも? と言われる可能性がありますが)。30年に1度しかこのような事態に見舞われないのに、大量の除雪車が必要だろうか。スキーなどに行かないのに、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)やタイヤチェーンを用意する意味があるのだろうか。費用対効果を考えると、数日のために雪国ほどのコストを掛けるのは難しいことです。

 この点を踏まえて、この議題を以て、グループディスカッションを行います。

ブレインストーミング

 議論するにあたっては、いくつか方法がありますが、短時間で行われる形式の場合は、ブレインストーミングを利用するといいでしょう。ブレインストーミングは、直訳すると“脳の嵐”です。方法は至って簡単、

  • とりあえず意見を出す(質よりも量)
  • 出た意見に便乗して意見するのはOK
  • 出た意見について反対する意見、制限する意見は禁止
  • 粗野な意見は大歓迎である

 と、要は議題に関係することであればとりあえず思ったことを口に出せばいいのである。意見を集約するのは次のステップになるので、この段階では結論を考えなくてもよい。

 ※なお、この議題「首都圏の降雪に関して、どう対策をするべきか?」は、“どう対策するべきか”が肝であり、決して“予算を立てて対策すべきかしないべきか”ではない。要は、「数日で溶けて問題なくなるのであるから、お金を掛けて対策するほどではない」という回答はお呼びではない。どこかの知事だっけ

 さて、この議論ではいくつかの回答が予想される。が、私一人では偏った考えでしかない(三人寄れば文殊の知恵、と言われますので、一人ではダメです)ので、今回は流れぐらいを知る程度でいいかと思います。

  • 雪の日の出勤は危ないし、交通機関も乱れるから、会社は特別に休みを設けたらいいと思う
  • 鉄道は、1路線に1台の雪かき車両を設置すれば、遅くてもなんとかなるのでは?
  • 一般道路にもチェーン規制をしたら?
  • 雪の予報があったら、前日に雪国から余裕のある除雪車を借りてこよう
  • 車に簡単に取り付けられて、除雪車みたいに出来る道具を開発したら?
  • ……etc

  実際の議論では色々出てくると思います。それらの意見をホワイトボードなり、ノートなりに書き留めて、次のステップに移りましょう。

解析方法

 この方法は好き好きとその議題に合った方法がありますので、適宜使用してください。私の場合は、マインドマップを使っています。この解析方法は、一つの概念を基準として、芋づる式に内容を書き連ねていく方式です。具体的な方法は、他のサイトなどを参照にしてください。

 今回私は、

  • 公共交通機関(主に鉄道の運行)
  • 道路(自家用車の使用、除雪など)
  • 意識(大雪で出勤するの?)

 の3つを基軸として、解析を行って結論を出しました。ブレインストーミングで出てきた意見をそれぞれ割り当てるようにして、最終的な結論を導き出します。

結論

 この結論は、試験官の前で発表する形になると思います。おそらく発表者を決定して、となります。以下に、私であれば(一人ですけど)こうする、という結論を書いておきます。なお、結論というものは、計算のように“ただ一つの解に達する”ということはありません。解がいくつもある場合や、そもそも無い場合だってあります。ですので、複数の結論が得られても、それが矛盾していない限りは、それもまた一つの結果となります。

 「今回のディスカッションでは、私たちは公共交通機関、道路、意識の三つの面から結論を得ました。一つ目、公共交通機関。特に電車にあっては、出来るだけ運行を制限し、事故防止に努めつつ、山手線など重要路線については、除雪車両を準備し、安全確保を第一に万全の体制で運行すべきだと思います。二つ目、道路の利用については、幹線道路ではチェーン規制を行って、雪対策を行っている車両以外の運行を制限すべきです。また、天候情報を利用して、前日までに除雪車両を積雪地域から借りられるようなシステムを構築すべきだと思います。最後に、首都圏の人間の意識として、“雪は危険だ”と周知すべきです。雪道を夏用タイヤで走ったり、電車が動くかわからないのに会社に行ったり、足下が不安定なのに買い物に行ったり。事故が高い確率で起こります。最大の対策として、社会が雪に対して柔軟に対応し、物理的な物から意識まで幅広く柔軟な対策を講じることが必要である」

 たぶんダメだしされてもおかしくない文章ですが、その場で発表できればこれで十分だと思います。


 グループディスカッションの章、最後にアドバイスと戦略を。

  1. グループディスカッションは、積極的に
    …結局は小さな会議です。無口で何も言わないと、結論も出ないし、見ている試験官の心象も悪くなります。あまり会話が得意でなくても、思っていることを言うだけで参加出来ていますので、少し勇気を出して、一言でも言ってみましょう。
     
  2. 先手必勝! 主導権を握れ!
    …会議は、司会というか進行役がいないと、いつまでたっても結論に到達することが出来ません。しかし就活、気合いの入っている人は前に前に出てきて、会議の主導権を握りに行きます。これは全体の流れを掴み、議論の行方を操作出来る立場にあたります。ですので、主導権を握った人=最後の発表者となり、恐らくは試験官の目から見て一番高評価を得ると思います。もし行きたい会社で、勇気を振り絞れるならば、グループディスカッションが始まった段階から、ガンガン攻めて主導権を握りましょう。私の場合は四人一組で、私以外三人は院生でした。しかし控え室で予め会話の音頭をとり、主導権を握ったままグループディスカッションに入りましたので、見事司会役、発表者となりました(笑)。
     
  3. 発表は胸を張って。
    …もし最後の発表になったら。胸を張ってその結論を述べましょう。グループで出した結論ですから、誰も疑念を抱く人はいないと思います、みんな同じ受験者の立場で応援してくれていますから、出てきた結論を、たとえ自分の信条と違うとわかっていても、口上のように言いましょう。
最終更新:2014年03月05日 19:22