無限桃花~new beginning~
「おのれ‥‥このままでは‥‥済まさんぞ‥‥」
それは瀕死だった。
よもや自分が、あのような小娘に切り捨てられようとは。
よもや自分が、あのような小娘に切り捨てられようとは。
「許さんぞ‥‥礼は必ずしやてろう‥‥私を仕留め損なったことを後悔させてやる‥‥!」
それの名前は練刀寄生といった。 虚ろなる存在、寄生の中でも最強の力を持った寄生四天王の一体。
しかし、それはもはや以前のような力は持っていない。ほんの数日前に、あの黒い刀で斬り付けられてから。
しかし、それはもはや以前のような力は持っていない。ほんの数日前に、あの黒い刀で斬り付けられてから。
ーーー無限桃花
練刀を斬り伏せた少女の名前。練刀はその顔を思い浮かべ苦笑した。
まだ年端もいかぬ小娘に、四天王の一角である自分が敗れようとは。そして、そんな小娘に恐怖してしまったとは。
練刀は見たのだ。あれは人間の能力を超えていた。あの顔は殺戮の悦びに酔っていた。
練刀は考えていた。あれは‥‥あの力は人間より我々寄生に近いのではないか?
練刀を斬り伏せた少女の名前。練刀はその顔を思い浮かべ苦笑した。
まだ年端もいかぬ小娘に、四天王の一角である自分が敗れようとは。そして、そんな小娘に恐怖してしまったとは。
練刀は見たのだ。あれは人間の能力を超えていた。あの顔は殺戮の悦びに酔っていた。
練刀は考えていた。あれは‥‥あの力は人間より我々寄生に近いのではないか?
「ふっ‥‥下らぬ考えだ」
練刀は自らの推論を否定し、現実へ意識を戻した。
練刀の身体は存在から消えかけている。願わくば思考の海に沈み込み、あの小娘の正体を少しでも説き明かしたいと思っていたが、そんな余裕は無かった。
練刀の身体は存在から消えかけている。願わくば思考の海に沈み込み、あの小娘の正体を少しでも説き明かしたいと思っていたが、そんな余裕は無かった。
まずは身を潜めよう。適当な人間に寄生し、体力の回復を待つ。そして、復讐するのだ。奴に。
無限桃花に。
無限桃花に。
練刀は人込みへと向かった。人間が必要だ。誰でもいい。とにかく餌が必要だ。
行き交う人間達を物色し、「栄養」がありそうな「器」を捜す。
行き交う人間達を物色し、「栄養」がありそうな「器」を捜す。
洪水のように行き交う人間達。その光景は寄生である練刀すらも驚く事がある。よくぞここまで増えたものだ、と。
ここで、練刀は一人の少女に目を付ける。
歳は15、6といった所か。背は割と高く、端麗な容姿を持ち、そして、あの小娘のような長い黒髪を持っていた。違いは結ばずに下ろしているという点のみだ。
歳は15、6といった所か。背は割と高く、端麗な容姿を持ち、そして、あの小娘のような長い黒髪を持っていた。違いは結ばずに下ろしているという点のみだ。
「こいつだ。こいつにしよう」
練刀は決意した。この少女の身体で一定期間を過ごし、復讐の足場を固める。この年齢ならば親の保護も受けられるはずだ。危険はない。
いざとなったら自らが手をくだせばいい。
いざとなったら自らが手をくだせばいい。
練刀はそう考えた。そして、その少女に寄生すべく触手をのばしたのだ。そしてゆっくりと、その身体を侵入させようとした。
だが、練刀の身体が少女に触れようとした刹那、その少女は言葉を発した。
それは間違いなく、練刀へと向けられたものだった。
それは間違いなく、練刀へと向けられたものだった。
「お待ちしてました、練刀さん」
そんな馬鹿な‥‥‥‥寄生は普通の人間には感知出来ない。可能だとしたら練刀と同じ寄生か、あの小娘だ。
仮に寄生だとしたら、四天王である練刀に恐れるはずだ。本来ならば近づく事すらない。だが、この少女は言ったのだ。
待っていたーーーと。
仮に寄生だとしたら、四天王である練刀に恐れるはずだ。本来ならば近づく事すらない。だが、この少女は言ったのだ。
待っていたーーーと。
「貴様‥‥‥何者だ!?」
「そういえば実体で会った事はありませんでしたね。もっとも、私が実体を持つ寄生だというのも誰も知りませんし」
「会った事があるというのか?この私と?‥‥‥となると‥‥‥いや‥‥まさか貴様は‥‥!」
「気づきましたか?私です。影糾寄生ですよ」
「何故、貴様がここに‥‥!?」
ーーー影糾寄生。
最強の寄生達である寄生四天王の中でも最も強い存在。全ての寄生の始まりにして終着点。
練刀も、他の四天王である悪世巣も婆盆も、影糾に比べたら無きに等しい存在なのだ。
それは‥‥彼女はまさに、寄生の「神」なのだ。
最強の寄生達である寄生四天王の中でも最も強い存在。全ての寄生の始まりにして終着点。
練刀も、他の四天王である悪世巣も婆盆も、影糾に比べたら無きに等しい存在なのだ。
それは‥‥彼女はまさに、寄生の「神」なのだ。
「何故お前がここにいるのだ?!」
「数日前から監視してたんですよ?あなたが不様に敗れてからずっと‥‥ね?」
「何?どういう事だ!」
「最初はあの無限桃花という女を監視していました。我々の脅威となりうるかどうか‥‥確かめねばなりません。そこへ偶然にも、彼女へ寄生しようとあなたが現れました」
影糾は淡々と語りはじめた。彼女の言葉は穏やかで、透き通った美しい声で発せられていた。
それは寄生である練刀すら聴き入ってしましそうな程だった。
それは寄生である練刀すら聴き入ってしましそうな程だった。
「驚きました。まさか四天王であるあなたと、無限桃花が戦闘をしようとは。しかし、お陰で貴重な情報も集まりました。あなたのお陰です」
「そして、もうあなたに用はありません」
「そして、もうあなたに用はありません」
影糾はそういうと、真っ黒な影をのばし、それは実体となって練刀を貫いた。
その影は不定型な形から徐々に姿を変え、一降りの黒い刀となった。
練刀は恐怖した。その刀はまるで、あの小娘が振るってた刀とうりふたつだったのだ。
その影は不定型な形から徐々に姿を変え、一降りの黒い刀となった。
練刀は恐怖した。その刀はまるで、あの小娘が振るってた刀とうりふたつだったのだ。
「ど‥‥‥どういう事だ!!答えろ!影糾!!」
「あなたとの戦闘を検証した結果、やはりあの女は脅威です。なぜならあの女は‥‥我々寄生を滅殺する能力を持っているからです」
「な‥‥何!それは‥‥‥まさか!」
「その通りです。無限桃花は私と同じ力を持っています。そして、それによってダメージを受けたあなたは助かりません。数日間放置していたのはこの事実を確かめる為でした」
「そんな‥‥そんな事が‥‥」
「これ以上生きながらえても無意味でしょう?もうあなたには何も出来ない。早く私の中へ還りなさい」
「そんな‥‥馬鹿‥‥‥な‥‥‥‥‥」
練刀は最後の言葉を発しながら、ゆっくりと影へと姿を変え、そして消えていった。
「心配しないで、練刀さん。あなたが消えた分の寄生は私がまた新たに造ります。」
その場に残ったのは黒い刀を持つ少女ただ一人だった。そして黒い刀もまた影となり、どこかへ消えていった。
影糾は空を見上げた。
無限桃花。我々寄生の‥‥‥天敵。
無限桃花。我々寄生の‥‥‥天敵。
「無限桃花‥‥‥‥私と同じ力を持つ人間‥‥‥‥どうして‥‥‥」
「どうしてなの?桃花姉さん‥‥‥‥」