女神の婚活つづき
作者:◆91wbDksrrE
投稿日時:2010/11/01(月) 01:54:58
投稿日時:2010/11/01(月) 01:54:58
好きだ、というストレートな、豪速球ど真ん中な言葉。
「……な、なによ、突然……急にそんな事言われても……こ、困るんだけど」
それは突然の告白だった。
隣人からの愛を告げる言葉。如何な女神と云えども、いや、女神と言われる存在
だからこそ、そういった言葉に無縁だった彼女、発子・クリーシェにとって、それは酷く
新鮮で、胸を打つ言葉だった。
頬は朱に染まり、言葉に打たれた心臓は、その鼓動をどんどん速めていく。
人間と同じように、安アパートで普段の生活を行っている以上、他の人間との
接触というのは無論ある。あるが……あるからこそ、そういった踏み込んでくる人間
とは、逆に距離を置くように心がけていた。少なくとも、これまでの彼女は。
隣人からの愛を告げる言葉。如何な女神と云えども、いや、女神と言われる存在
だからこそ、そういった言葉に無縁だった彼女、発子・クリーシェにとって、それは酷く
新鮮で、胸を打つ言葉だった。
頬は朱に染まり、言葉に打たれた心臓は、その鼓動をどんどん速めていく。
人間と同じように、安アパートで普段の生活を行っている以上、他の人間との
接触というのは無論ある。あるが……あるからこそ、そういった踏み込んでくる人間
とは、逆に距離を置くように心がけていた。少なくとも、これまでの彼女は。
「そんな素振り……全然無かったじゃない」
だがしかし、今自分に言葉をくれた彼は、そんな素振りを、踏み込んでくる素振りを
これまで全く見せていなかった。だから、油断していたと、そう言える。
彼は言う。これまでもずっと見ていたんだ、と。でも、見ているだけで十分で、こういう
事をしようとは思わなかった、と。
これまで全く見せていなかった。だから、油断していたと、そう言える。
彼は言う。これまでもずっと見ていたんだ、と。でも、見ているだけで十分で、こういう
事をしようとは思わなかった、と。
「……それが、なんで突然?」
当然の疑問に、彼は首を横に振った。自分でも、よくわからないんだ、と。
よくわからないけど……何だか、言葉にしないと、君がいなくなってしまいそうな、
そんな気がして、と口にする彼の顔は、発子のそれと同じくらいに、朱に染まっていた。
よくわからないけど……何だか、言葉にしないと、君がいなくなってしまいそうな、
そんな気がして、と口にする彼の顔は、発子のそれと同じくらいに、朱に染まっていた。
「……あのね、私……普通の人間じゃ、ないよ?」
知ってる。ずっと、君の事、見てたから。そう彼は答えた。
「私、見守る事くらいしかできないわよ? 他に出来るのは、壊す事くらい……貴方の為に、
何かを創ったりとか、そういう事は……できないん、だけど」
何かを創ったりとか、そういう事は……できないん、だけど」
改めて口にすると、悲しくなってくる。自らの生まれ持ったサガであるとは言え、
何かを創るという事ができないという事は、誰かが創る物を、創る事を見守る事しか
できないという事は、実はあまりにも悲しい事なのではないかと、今更ながらに思えて、
発子はその瞳に、僅かに涙を滲ませる。
そんな事はないよ、と、そう言って彼は笑った。
そして、発子の目に浮かびつつあった涙を、そっと指で拭う。
その感触の優しさに、発子は思わず目の前の笑顔を見つめた。
彼は言う。僕のこの気持ちは、紛れもなく、君がいたから生まれたもの。……君が創った
物なんだから、ね。
何かを創るという事ができないという事は、誰かが創る物を、創る事を見守る事しか
できないという事は、実はあまりにも悲しい事なのではないかと、今更ながらに思えて、
発子はその瞳に、僅かに涙を滲ませる。
そんな事はないよ、と、そう言って彼は笑った。
そして、発子の目に浮かびつつあった涙を、そっと指で拭う。
その感触の優しさに、発子は思わず目の前の笑顔を見つめた。
彼は言う。僕のこの気持ちは、紛れもなく、君がいたから生まれたもの。……君が創った
物なんだから、ね。
「……私で、いいの? こんな、ダ女神とか言われちゃうような、ネタキャラ化しつつ
あるような、こんなこんな……こんなダメな女で、本当に、いいの?」
あるような、こんなこんな……こんなダメな女で、本当に、いいの?」
ダメなわけないじゃないか。君じゃなきゃ、ダメなんだから。
彼の言葉に、先程拭ってもらったはずの涙が、再び発子の瞳に溢れる。
ぼやけた視界の向こうにいるはずの彼を確かめるように、発子はそっと彼の背中に
手を回し、力を込めた。
彼の言葉に、先程拭ってもらったはずの涙が、再び発子の瞳に溢れる。
ぼやけた視界の向こうにいるはずの彼を確かめるように、発子はそっと彼の背中に
手を回し、力を込めた。
「……うれしぃよ……」
温かい彼の胸の中で、発子・クリーシェはその両の眼(まなこ)から、涙を溢れさせた。
その涙は、最早拭う必要は無い。
それは悲しみの涙ではなく――喜びの涙だったのだから。
その涙は、最早拭う必要は無い。
それは悲しみの涙ではなく――喜びの涙だったのだから。