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チェンジ・ザ・ワールド☆
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チェンジ・ザ・ワールド☆

2日目・No.3

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私のやんごとなき王子様












 そして放課後。



 昼休みに考えすぎて胃が痛くなった私は保健室で胃薬をもらい、なんとか最後まで授業を受けることが出来た。

 教室で荷物を鞄に詰める私の頭の中は、猛烈な嵐が駆け回っている。それはもう散々たる有様で全然考えがまとまらない。


「美羽、明日までに決められそう?」

「……それが、全然」


 なかなか席を立とうとしない私を心配して声を掛けてきたさなぎに、半分泣きそうな顔で答える。


「正直に先生に決められませんって言って、相談したら? 真壁先生ならきっと真剣に考えてくれるよ」


 明るいさなぎの言葉に、私は活路を見出した気がした。

 確かに真壁先生なら親身になってくれるだろう。


「うん、そうだね……私、先生に相談してみる」

「そうしなよ! 私、図書室で待ってるからさ」

「ありがとう、さなぎ!」


 私はさなぎに見送られ、急いで職員室へと向かった。















 職員室には他の先生方も何名かいて、私の顔を見てはちょっとうんざりしたようなため息を吐いた。

 締め切りぎりぎりまで希望を出さない生徒なんてまずいないから、私の所為で仕事が停滞してるのかもしれない。

 激しく申し訳ないとは思うけど、やっぱり自分で納得した仕事がやりたいのが人情ってものでしょ?

 ぐいっと気合を入れると、真壁先生の横に立って声をかけた。


「先生、お話があります!」

「おう、小日向か。どうした?」


 真壁先生は小テストの採点の手を止め、隣の空いている椅子を引っ張って私に勧めた。

 それに小さく失礼しますと言ってから座る。

 私と膝を突き合わせるようにして笑顔を向ける先生に、私は肩を落とした。


「先生、私、どこを担当したいか全然決められなくって……」

「そうか。何か理由があるのか?」

「――あの、その……今年の演劇祭は私達3年生にとって最後の特別な大きな行事じゃないですか。だから、どこでもいいって妥協したくないんです」

「なるほどな」


 私の薄っぺらい信念に納得してくれた先生は、頷いてまた私の頭をくしゃりと撫でた。


「取りあえず明日が締め切りなんだ、なんとかして明日までには決めようぜ?」

「はい。皆に迷惑かけてるって分かってるんですけど……先生、私、自分がどこの手伝いをすれば一番皆の為になるんだろうって考えたんですけど、よく分からなくって……先生はどう思いますか? 良かったら意見を聞かせてください」


 先生は腕組みをして天井を睨みながらうなり出した。

 本当にこの先生はいつも一生懸命だな。


「う~ん……お前は頭もいいし、案外器用だしなあ。どこを手伝っても十分役に立つと思うんだが……そんなに悩むんなら、消去法してみろ」

「消去法、ですか?」

「ああ、これだけは嫌だってのはないのか?」


 さなぎと同じような事を言ってさりげなく褒めてくれる先生の言葉にちょっと照れながら、それでも一番最初に浮かんだのは鬼頭先生の顔だった。

 でも真壁先生と鬼頭先生って仲良しだからそんな事言えないし、私自身苦手だけど嫌ってるって訳でもないからすぐに考えを消した。

 そしてゆっくりと考えてみたけど、これだけは嫌だと思うような仕事は何一つ思いつかない。

 究極食事当番でも掃除当番でも嫌じゃない。


「――すみません、嫌な仕事ってない、です……」


 私の言葉に先生は嬉しそうに笑うと、


「お前って本当に生徒の鑑だなあ! 担任として嬉しいぞ」


 と言って今度は少し強く私の頭をかき回した。

 ちょっと痛いけど、真壁先生に頭を撫でられるとなんだかお兄ちゃんに褒められてるみたいで嬉しい感じがする。


「まあ、そんなに決められないってんなら、お前俺の手伝いするか?」

「えっ?」


 またこのパターン?

 私は驚いて先生の顔を思わずじっと見つめてしまった。

 多分、変な顔で。

 すぐに先生はぷっと笑って、机の上のファイルから一枚用紙を引き抜いて私に手渡す。


「俺と鬼頭は合宿中に問題が起きないように生徒を管理、指導するのが仕事だ。もちろん人手が足りない時は生徒を手伝う事もあるだろうし、他の先生方と各係のリーダーとの連絡役もしなきゃいけない。やることは山積みだ。小日向が構わないってんなら俺達の手伝いをすれば、もれなく色んな所の手伝いが出来るかもしれないぞ。小間使いのように」

「ようするに、先生方の雑用係って事ですよね?」

「そういう事だ」


 受け取ったプリントには細かい係りの割り振りと、簡単な仕事内容及びタイムスケジュールが書き込まれていた。

 確かに大変そうではあるけど、仕事としてはやりがいがあるかもしれない。鬼頭先生と一緒というのがいささか引っかかるけど。


「――明日までには必ず決めるんで、ギリギリまで考えさせてください。お願いします!」


 ぎゅっと目をつぶって深く頭を下げると、真壁先生は簡単にOKしてくれた。


「ああいいぜ、しっかり悩め。でもあんまり悩みすぎて具合悪くなるなよ?」

「あ、はい。ありがとうございました、失礼します!」


 決めなきゃ。

 タイムリミットは明日の朝のHR。

 高校生活最後の演劇祭、絶対に納得のできる仕事をするんだ!

 私は職員室から出ると、さなぎが待つ図書室へと急いだ。











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