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三島3日目・No.1

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私のやんごとなき王子様












3日目






「先生、遅くなりました!」


 私は朝一番、教室に向かう前に職員室に立ち寄り、真壁先生に例の担当希望記入用紙を提出していた。

 頭を下げて用紙を握った腕をずいと差し出した格好のままで止まる私に、


「おう、決めたか」


 と、相変わらずの調子で笑ってそう言うと、先生は用紙を受け取った。次にそこに書かれた部署を見て少し驚いた顔をする。


「……実行委員か。なるほどな、確かに皆の役に立つ立派な仕事だな」

「はい!有難うございますっ」

「おう、実行委員は演劇祭全てを管理するも同然だ。大変だと思うが頑張るんだぞ」


 そう言って私の頭をクシャっと撫でてくれた。


「はい。失礼します!」


 やっと清々しい気持ちが戻って来た。

 職員室から出て行く足取りも軽い。今なら100メートル走で自己ベストが出せそうってくらい軽い。















 私が選んだのは実行委員。三島君が委員長を務める演劇祭の裏方。けれど実行委員が上手く機能していなければ、いくら役者が良くてもいくら舞台設定が良くても、大成功と言う物にはならないだろう。裏方とはいえ責任はとてつもなく重大なのだ。


「うわ、今更怖くなってきちゃった……」


 ふいに襲ってきた責任の重みに思わず軽い目眩すら覚える。それでも何とか足を前へ前へと踏み出し、実行委員会の本部として使われている生徒会室へと向かう。実行委員はきっと既に慌ただしく活動している事だろう。


 生徒会室に着いた私は、恐る恐るノックをした。


「はい」


 中から三島君の声で返事があった。


「小日向……です」

「入りたまえ」


 ガラリと扉を開け中へと入ると、三島君はPCに向かっていた手を止め立ちあがってくれた。


「どうした?」


 私を見て眉をひそめる三島君。うっ、やっぱりこんなギリギリにいきなり現われても困っちゃうよね。


「あの……。私、実行委員として希望をだしたから。その……よろしくお願いします!」


 ぶんっと音が鳴りそうな勢いで頭を下げた。

 顔を上げると三島君は少し驚いたような顔をして、それからすごく優しく微笑んでくれた。


「そうか……。これからよろしく」


 そういう三島君の顔はどこまでも穏やかで、私は三島君ってこんな表情もするんだな――なんてぼんやりとその顔に見入ってしまっていた。


「さぁ、忙しくなるぞ! 小日向君、実は今から演劇祭のパンフレットを依頼した印刷所に行くんだが、ついて来てくれるだろうか?」

「うん! もちろん!」

「そうか……! ははっ、では行こうか!」


 そう言った三島君は、机の角で思いっきり足をぶつけた。


「……っ~~!」


 足を押さえながら声も出さずに苦痛に顔を歪める三島君。


「だ……大丈夫?」

「……問題無い」


 私が顔を覗き込んでそう言うと、きっと前方に視線をやって扉に向って歩き出す。


 ガコン!


 あ、今度は扉に挟まれてる……。


「三島君?!」

「大丈夫だ。何も問題は無い。お……俺とした事がこれ位の事で動揺するとは」

「動揺?」

「もっ、問題無い! 行くぞ、小日向君!」

「はいっ!」


 なぜか敬語の私。

 でも三島君との実行委員、なんだか楽しくなりそう!










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