アビス本編で
ルークが発した台詞。
全文は
「お、俺が悪いってのか…?俺は…俺は悪くねえぞ、だって
師匠が言ったんだ… そうだ、
師匠がやれって!
こんなことになるなんて知らなかった!誰も教えてくんなかっただろっ!俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!!」
発言したのは
アクゼリュス崩落後、
クリフォトの瘴気の海に浮かぶ
タルタロスの甲板にて。
この直前、ルークは信頼していた
ヴァンに「英雄になれる、自由になれる」と唆され、
外殻大地を支える装置
パッセージリングの一つを破壊してしまった。
それによりルークは意図せずアクゼリュスをクリフォトへ崩落させてしまい、町民のほぼ全員が死亡する大惨事を招いてしまう。
この台詞は仲間達にその事実を指摘された事で、反射的に発したものである。
この発言がきっかけとなり、ルークは仲間から見放されてしまう。
しかし、その後立ち直って仲間と世界のために尽力し、見違える変化を遂げることとなる。
良くも悪くもテイルズオブジアビスを象徴する台詞の一つ。
アビスがシリーズ最大の問題作として賛否両論を受ける最たる原因と言っても良い。
本作におけるパーティーの仲の悪さを端的に示す台詞でもあり、前後のシーンでも何度か発せられる。
彼の言い分通り、そもそもパッセージリングの破壊を企てたのはヴァンであり、彼に最大の責任があるのは当然である。
しかし、誰にも相談せずヴァンの言うとおりに動いてしまったのはルークの落ち度と言える。
そしてその遠因には、アクゼリュスへの道中で「自らが親善大使である」という驕りから身勝手な言動を繰り返し、仲間との信頼を損ねてしまった経緯がある。
それにもかかわらず、自分だけが責任を逃れようとする心の未熟さ(幼さ)がこの台詞に顕れているといえる。
仲間達が怒った理由も
サブイベントで語られる「アクゼリュスを崩落させた事自体ではなく、それに対し言い訳ばかりで反省もせず、思考停止したから」という
ジェイドの台詞に集約される。
実際、ヴァンに促されセフィロトの扉を不用意に開いてしまった
イオンにも同様の責任があるが、彼は自らの過失を認めていた。
散々「親善大使」と威張りながらその責任を理解せず、自らの過失が招いた悲惨な結果から目を逸らし責任を転嫁しようとしたが故に仲間から見捨てられたと言える。
そしてこれを機にルークは誰かに言われるままではなく、自分で何をすべきか考え始め、少しづつ成長していくこととなる。
この時のルークに対するプレイヤーの反応は賛否両論である。
(賛:「親善大使とか偉そうに言っといて逃げるな」「見捨てられて当然」等)
(否:「少々ひどすぎではないか」「ヴァンしか信頼出来ない環境を作ったお前らも悪い」等)
また、彼を批判した仲間キャラに対し「(後に判明する事実に比べ)お前らはルークを責められる立場なのか?」という意見もある。
スタッフからもルークに同情する声が多い、ルークが悪いんですけど等の発言があり、公式にも賛否を招いている事は認知されているようである。
否定意見については、そもそもルークが作中で置かれていた特殊な環境を考慮したものが多い。
表向きルークは記憶喪失者となっているが、実際には7年前に誕生した
レプリカであり、実質的には7歳の子供である。
加えて屋敷に軟禁され一般常識も教えられずに育ったため、まともに育つことは難しかった。
彼が親善大使という要職に選ばれたのも、彼の人物が評価されたのではなく
預言に詠まれていたためで、半ば強引に与えられたポストである。
ヴァンに関しても、彼は意図的にルークの信頼を得るべく関わっており、上述の環境で彼に全幅の信を置いてしまうのもやむを得ない面があった。
最も信頼していた大人に騙され、多くの命を奪ってしまった挙句、目の前で瘴気の泥に沈む子どもを見て正気でいる方が難しいというのは一理あろう。
ましてや実質7歳で敵兵を殺す事すら恐怖する少年に、そのような状況で罪を自覚しろと大人が寄ってたかって責める方が酷、という意見は不思議でもない。
おまけに彼を責めた仲間の中には敵のスパイや薄々事態に気づきながらも確証がないからと傍観していた者もいる。
ルークの態度は確かに悪かったのだが、仲間たちのルークへの態度も相当悪く、これらについても仲間たちへの批判もかなり強い。
もっとも、この時見捨てられなければその後のルークの成長も無かったのだろうが……。
ただ、当時は(ジェイド以外は)ルークの出生の事実が明らかになっておらず、我がままとはいえ年齢相応の青年として見られていた。
前述の通りアクゼリュスへの道中での身勝手な態度も、ヴァンの指示でも何でもなく本人の奢りである。
他人の目線からしたら、そうまでしておいて責任逃れまでされては、嫌悪を通り越して関わり合いにすらなりたくないというのが素直な印象であろう。
(そんな彼の傍に唯一残ったミュウはマジ良心と評価される)
この台詞や場面のみを見た人間からは「こんな性根の腐ったヤツが主人公してるゲームって…」などと散々罵倒されるが、この背景には上述のように極めて特殊な状況や感情があることは理解して頂きたい。
この台詞(シーン)の知名度やインパクトはテイルズオブジアビスという作品、延いてはテイルズオブシリーズという作品群の中でも群を抜いて高い。
ネット上ではテイルズオブシリーズに関係する掲示板などではもちろん、関係ないところでもネットスラングとして使用されることがある。
ちなみに、長髪ルークのキャラTシャツやエクシリアのDLCアタッチメント「ルークの剣」が販売されたが、その台詞も「俺は悪くねぇ!」であった。
良くも悪くも長髪ルークを表現する台詞であると言えるだろう。
なお「テイルズオブフェスティバル」では、スペシャルスキットの際にルーク(鈴木千尋氏)と客席が一緒にこのセリフを絶叫するのがお約束となっている。
余談だか鈴木氏も上記のTシャツをわざと後ろ前(台詞が印刷されてる方)に着たり、後に記念に取って置いたりしている。