人形劇
「誰だ、そこに居るのは」
その言葉を聞き、ジェイは驚愕した。
「へぇ、すごいですね、あなた。気配を消して近付いたのに、僕に気付くなんて」
表情を戻し、平然とした口調で目の前の黒髪の少年、リオンに話しかける。
少年は振り向き、ジェイと目が合った。
その目は、希望の欠片も無いほどに、暗く沈んでいた。
一瞬ジェイはその目に奇妙な感覚を覚えたが、少年が喋りだしたので耳を傾けた。
その言葉を聞き、ジェイは驚愕した。
「へぇ、すごいですね、あなた。気配を消して近付いたのに、僕に気付くなんて」
表情を戻し、平然とした口調で目の前の黒髪の少年、リオンに話しかける。
少年は振り向き、ジェイと目が合った。
その目は、希望の欠片も無いほどに、暗く沈んでいた。
一瞬ジェイはその目に奇妙な感覚を覚えたが、少年が喋りだしたので耳を傾けた。
「ふん・・・こんなものに頼りたくは無いがな」
そう言いつつ、手にした機械を掲げる。
「なるほど、センサーか何かのようですね。
それと、さっき僕は二人の死体を見つけたんですが、あれはあなたがやったんですか?」
ジェイは首を回し、ロニとポプラが倒れていた方をちらと見る。
リオンは全く動じることなく、
「・・・何が言いたい」
とだけ言った。ジェイはやれやれと首を振り、更にリオンに一歩近付く。
「あなた、このゲームについてどう思います?」
返事をすること無く、リオンは剣をジェイに向けた。
ジェイは動きを止め、黙ってそれを見つめる。
「説得するつもりか、勧誘なのかは知らないが、どちらにせよ無意味だ。僕はお前を殺すつもりでいる」
「乗ったんですね・・・?これに、本気で」
「お前だって分かって言っているだろう。あの二人をやったのが、僕ということが」
「ええ、傷口は丁度あなたのその剣と同じぐらいでしたよ」
その言葉でリオンは本格的に剣・シャルティエを構えた。
「やる気ですね。まあ僕としても、その方がやりやすいですけど」
そう言いつつ、手にした機械を掲げる。
「なるほど、センサーか何かのようですね。
それと、さっき僕は二人の死体を見つけたんですが、あれはあなたがやったんですか?」
ジェイは首を回し、ロニとポプラが倒れていた方をちらと見る。
リオンは全く動じることなく、
「・・・何が言いたい」
とだけ言った。ジェイはやれやれと首を振り、更にリオンに一歩近付く。
「あなた、このゲームについてどう思います?」
返事をすること無く、リオンは剣をジェイに向けた。
ジェイは動きを止め、黙ってそれを見つめる。
「説得するつもりか、勧誘なのかは知らないが、どちらにせよ無意味だ。僕はお前を殺すつもりでいる」
「乗ったんですね・・・?これに、本気で」
「お前だって分かって言っているだろう。あの二人をやったのが、僕ということが」
「ええ、傷口は丁度あなたのその剣と同じぐらいでしたよ」
その言葉でリオンは本格的に剣・シャルティエを構えた。
「やる気ですね。まあ僕としても、その方がやりやすいですけど」
・・・出会った者は皆殺しにしないといけないから・・・
ジェイも忍刀・紫電を持ち、正面の相手と対峙する。
二人の黒髪の少年は、走り出した。
リオンがシャルティエを振りかぶろうとした瞬間、ジェイの姿が消えた。
と同時に、剣を握る腕から血が噴いた。
顔を歪め、後ろを見やると、確かにそこにジェイは居た。
たった今、血のついた刀をぶらぶらと振っている。
「どうしました?」
「・・・」
一瞬の内に移動し、交差の際にリオンを斬ったジェイは、不敵に言った。
二人の黒髪の少年は、走り出した。
リオンがシャルティエを振りかぶろうとした瞬間、ジェイの姿が消えた。
と同時に、剣を握る腕から血が噴いた。
顔を歪め、後ろを見やると、確かにそこにジェイは居た。
たった今、血のついた刀をぶらぶらと振っている。
「どうしました?」
「・・・」
一瞬の内に移動し、交差の際にリオンを斬ったジェイは、不敵に言った。
再度リオンが剣を構える。
そして今度はその場で剣を振り、地を這う衝撃波を放った。
「この技は・・・」
ジェイは小さくつぶやき、跳び上がりその技を回避する。
そして空中からクナイを投げつけた。
リオンは一瞬不快な顔をし、黙ってそれを打ち落とした。
ついさっき似たような攻撃をあの男から喰らっていたので、対応も早かった。
ジェイの着地際を狙い再度魔神剣を放つも、驚異的な身体の反射力でそれもかわされた。
そのまま横に向けて走るジェイを、リオンは追いかける。
不意にジェイが立ち止まり、クナイを投げつけてきた。
正確に顔の真ん中を狙ったそれを、体を九十度回転させて避ける。
そして更に接近。間合いに入った。
だが、ジェイは突然刀を地面に刺すと、その場から一歩飛び退いた。
リオンは怪訝な顔をしつつも、丸腰の相手に近付く。勿論クナイが飛んでくるのを警戒しながら。
しかし全く予想外のことが起こった。
地面に突き刺さった刀から、突如炎が噴き出したのだ。
「ぐあっ!」
灼熱に包まれ、リオンは身を屈め、もがいた。マントの端が、焦げた。
そして今度はその場で剣を振り、地を這う衝撃波を放った。
「この技は・・・」
ジェイは小さくつぶやき、跳び上がりその技を回避する。
そして空中からクナイを投げつけた。
リオンは一瞬不快な顔をし、黙ってそれを打ち落とした。
ついさっき似たような攻撃をあの男から喰らっていたので、対応も早かった。
ジェイの着地際を狙い再度魔神剣を放つも、驚異的な身体の反射力でそれもかわされた。
そのまま横に向けて走るジェイを、リオンは追いかける。
不意にジェイが立ち止まり、クナイを投げつけてきた。
正確に顔の真ん中を狙ったそれを、体を九十度回転させて避ける。
そして更に接近。間合いに入った。
だが、ジェイは突然刀を地面に刺すと、その場から一歩飛び退いた。
リオンは怪訝な顔をしつつも、丸腰の相手に近付く。勿論クナイが飛んでくるのを警戒しながら。
しかし全く予想外のことが起こった。
地面に突き刺さった刀から、突如炎が噴き出したのだ。
「ぐあっ!」
灼熱に包まれ、リオンは身を屈め、もがいた。マントの端が、焦げた。
「・・・さようなら」
クナイを構え、隙だらけのリオンへ狙いを付けながら、ジェイはそうつぶやいた。
クナイを構え、隙だらけのリオンへ狙いを付けながら、ジェイはそうつぶやいた。
・・・これで、いいんだ。これで・・・
しかしクナイを投げつけようとした瞬間、炎の中から何かが飛来してきた。
「何っ!?」
咄嗟に腕を上げ、防御するも、その腕に鋭い痛みが走り、そこから血が流れ出た。
飛んできたものは、ジェイが突き刺した忍刀・紫電。
それに気をとられ、続いて炎から飛び出してきたリオンに、ジェイは気付かなかった。
あっという間に距離を詰めたリオンの一閃が、ジェイの頸部を切り裂いた。
「う、ぐっ!」
顔を苦痛に歪め、首元を手で押さえる。
致命傷には至らなかったものの、流れた血は彼の体力、精神力を消耗させた。
更に追撃を仕掛けるリオンの突きを、身を沈めて回避する。
リオンはそのまま剣先を下に向け、地面に伏せる少年を刺そうとした。
少年はその場から転がり、そのまま地を這いながらの回し蹴りを撃った。
リオンの体が揺れ、こちらも蹴って応戦した。
だが、伏せた体勢からまるで踊るかのように体を回転させる少年に、その蹴りは届かなかった。
連続してジェイの蹴りがリオンの体を撃った。
「何っ!?」
咄嗟に腕を上げ、防御するも、その腕に鋭い痛みが走り、そこから血が流れ出た。
飛んできたものは、ジェイが突き刺した忍刀・紫電。
それに気をとられ、続いて炎から飛び出してきたリオンに、ジェイは気付かなかった。
あっという間に距離を詰めたリオンの一閃が、ジェイの頸部を切り裂いた。
「う、ぐっ!」
顔を苦痛に歪め、首元を手で押さえる。
致命傷には至らなかったものの、流れた血は彼の体力、精神力を消耗させた。
更に追撃を仕掛けるリオンの突きを、身を沈めて回避する。
リオンはそのまま剣先を下に向け、地面に伏せる少年を刺そうとした。
少年はその場から転がり、そのまま地を這いながらの回し蹴りを撃った。
リオンの体が揺れ、こちらも蹴って応戦した。
だが、伏せた体勢からまるで踊るかのように体を回転させる少年に、その蹴りは届かなかった。
連続してジェイの蹴りがリオンの体を撃った。
──しかし、それは隙だらけだった。
リオンはすぐにそこから二、三歩離れ、隙だらけの少年へ手榴弾を投げようとした。
それより早く、直も回転を続けるジェイは、その体勢から正確にクナイを投げた。
クナイはリオンの首の付け根と肩の間の辺りに刺さった。
手榴弾を取り落とし、そこをかばう。
「──鈴鳴・苦無」
既に立ち上がったジェイが、そうつぶやいた。
動きを止めたリオンに近付きながら、言葉を続ける。
「流石に、爆発まではしてくれないようですね」
刀を拾い、相手に刺さったクナイに目をやりながら、そう言った。
リオンは顔を上げ、強くジェイを睨んだ。
ジェイはその視線を受けながら、先程感じた奇妙な感覚がまた蘇っていた。
「あなたは・・・どうして殺すんですか」
あまり深く考える事無く、ジェイはそう言っていた。
リオンは刺さったクナイを引き抜き、剣を構え直した。
「下らんな。そうするより他に道が無いからだ」
その言葉は、ある意味でとても当たり前のことだった。
だがしかし、ジェイは気になって仕様が無かった。
この人の目は、何か彼の気を引くものがあった。
「・・・お前も、同じだ」
唐突にリオンが言葉をけた。ジェイは目を見張り、彼を見つめた。
「お前の目には、純粋に人殺しをして生き残ろうという鋭く、狡猾な光が感じられない。
まるで誰かに操られているように、暗く沈んでいる」
その言葉は、いくらか自分自身に言っているようにも聞こえた。
ジェイは何も言わず、黙って目の前の少年を見つめた。
今しがた彼が言った言葉こそ、ジェイが彼の目に感じているものだった。
リオンはすぐにそこから二、三歩離れ、隙だらけの少年へ手榴弾を投げようとした。
それより早く、直も回転を続けるジェイは、その体勢から正確にクナイを投げた。
クナイはリオンの首の付け根と肩の間の辺りに刺さった。
手榴弾を取り落とし、そこをかばう。
「──鈴鳴・苦無」
既に立ち上がったジェイが、そうつぶやいた。
動きを止めたリオンに近付きながら、言葉を続ける。
「流石に、爆発まではしてくれないようですね」
刀を拾い、相手に刺さったクナイに目をやりながら、そう言った。
リオンは顔を上げ、強くジェイを睨んだ。
ジェイはその視線を受けながら、先程感じた奇妙な感覚がまた蘇っていた。
「あなたは・・・どうして殺すんですか」
あまり深く考える事無く、ジェイはそう言っていた。
リオンは刺さったクナイを引き抜き、剣を構え直した。
「下らんな。そうするより他に道が無いからだ」
その言葉は、ある意味でとても当たり前のことだった。
だがしかし、ジェイは気になって仕様が無かった。
この人の目は、何か彼の気を引くものがあった。
「・・・お前も、同じだ」
唐突にリオンが言葉をけた。ジェイは目を見張り、彼を見つめた。
「お前の目には、純粋に人殺しをして生き残ろうという鋭く、狡猾な光が感じられない。
まるで誰かに操られているように、暗く沈んでいる」
その言葉は、いくらか自分自身に言っているようにも聞こえた。
ジェイは何も言わず、黙って目の前の少年を見つめた。
今しがた彼が言った言葉こそ、ジェイが彼の目に感じているものだった。
・・・この人は・・・
リオンが剣を構え、走り出した。
ジェイははっとし、しばらく動かずにいたが、再び接近される前に後ろに跳んでいた。
リオンはそのまま追わずに、黙ってジェイの動作を見ていた。
「どうやら、僕達はまだ出会うべきでは無かった様ですね。僕はここで一旦引きます」
そうしてジェイは走り出した。リオンも走って追おうとした。
「──鏡殺」
そう言うと同時に、ジェイの爪が光り、足が速くなった。
やがてリオンは彼を見失った。
レーダーを見ても、反応するのはリオン自身と、彼が手を下した二つの死体だけだった。
リオンが剣を構え、走り出した。
ジェイははっとし、しばらく動かずにいたが、再び接近される前に後ろに跳んでいた。
リオンはそのまま追わずに、黙ってジェイの動作を見ていた。
「どうやら、僕達はまだ出会うべきでは無かった様ですね。僕はここで一旦引きます」
そうしてジェイは走り出した。リオンも走って追おうとした。
「──鏡殺」
そう言うと同時に、ジェイの爪が光り、足が速くなった。
やがてリオンは彼を見失った。
レーダーを見ても、反応するのはリオン自身と、彼が手を下した二つの死体だけだった。
【ジェイ 生存確認】
状態:右腕に刀傷 頸部に切傷 全身にあざ、生傷
所持品:忍刀・紫電 ダーツセット 辞書 クナイ(残り七枚)
第一行動方針:ソロンに従い、ミントを殺す
第二行動方針:ソロンに従い、遭遇した参加者を殺す
第三行動方針:シャーリィを探す
現在位置:D6の草原地帯からG3の洞窟へ移動中
状態:右腕に刀傷 頸部に切傷 全身にあざ、生傷
所持品:忍刀・紫電 ダーツセット 辞書 クナイ(残り七枚)
第一行動方針:ソロンに従い、ミントを殺す
第二行動方針:ソロンに従い、遭遇した参加者を殺す
第三行動方針:シャーリィを探す
現在位置:D6の草原地帯からG3の洞窟へ移動中
【リオン 生存確認】
状態:全身に軽い火傷 上半身に軽い凍傷 腹部に痛み 右腕に刀傷 肩に刺し傷
所持品:シャルティエ 手榴弾×1 簡易レーダー
第一行動方針:ゲーム参加者の殺害
第二行動方針:マリアンとの再会
現在地:D6の草原地帯
状態:全身に軽い火傷 上半身に軽い凍傷 腹部に痛み 右腕に刀傷 肩に刺し傷
所持品:シャルティエ 手榴弾×1 簡易レーダー
第一行動方針:ゲーム参加者の殺害
第二行動方針:マリアンとの再会
現在地:D6の草原地帯