喪失
「マリ・・・アン・・・」
リオンはマリアンを追おうと疲労しきった体に無理をさせて、必死に走っていた。
あの後、後方で強い光が見えたがそんな事は気にも留めずに走った。
しかしそれも長く続くはずが無い。
既に彼女を見失ってしまっていたリオンは人形のようにガクリと膝を折ってしまった。
あの後、後方で強い光が見えたがそんな事は気にも留めずに走った。
しかしそれも長く続くはずが無い。
既に彼女を見失ってしまっていたリオンは人形のようにガクリと膝を折ってしまった。
マリアン・・・
彼女を守る為ならどんなに血で汚れてもいいと思っていた。
だが、それとは逆にそんな汚れた自分を彼女にだけは見て欲しくないとも思っていた。
彼女のあの自分を見る目・・・
あの信じられないものを見るような、脅えたあの目が心に突き刺さって離れない。
彼女は昔から自分の汚れた部分を知らなかった。
いや、自分が見せまいと必死に努力をしてきた。
例えばヒューゴからの命令での任務は、それがどんなに口に出して言いたくもない内容であっても
彼女にだけはそんな素振りも見せる事は無かった。
それは知られて彼女に嫌われたくなかったから。
己の唯一安らげた場所を失いたくなかったから・・・
しかし見られてしまった・・・人を殺して血で真っ赤に染まった自分を。
そして彼女は去っていった。
まるで心臓を重い鉄の鎖で締め付けられているように、
その現実はリオンの心に容赦なく圧し掛かっていった。
そしてその鉄の鎖は金属の冷たさを持って、内側から体を冷やしてゆく。
その冷たさにどんどん体は冷やされてゆき、その寒さにリオンは震えた。
傷からの出血は確かにあったが、この冷たさはそれによるものとは違っていた。
「嫌われた・・・な」
感情の篭らない掠れた声だった。
だが、それとは逆にそんな汚れた自分を彼女にだけは見て欲しくないとも思っていた。
彼女のあの自分を見る目・・・
あの信じられないものを見るような、脅えたあの目が心に突き刺さって離れない。
彼女は昔から自分の汚れた部分を知らなかった。
いや、自分が見せまいと必死に努力をしてきた。
例えばヒューゴからの命令での任務は、それがどんなに口に出して言いたくもない内容であっても
彼女にだけはそんな素振りも見せる事は無かった。
それは知られて彼女に嫌われたくなかったから。
己の唯一安らげた場所を失いたくなかったから・・・
しかし見られてしまった・・・人を殺して血で真っ赤に染まった自分を。
そして彼女は去っていった。
まるで心臓を重い鉄の鎖で締め付けられているように、
その現実はリオンの心に容赦なく圧し掛かっていった。
そしてその鉄の鎖は金属の冷たさを持って、内側から体を冷やしてゆく。
その冷たさにどんどん体は冷やされてゆき、その寒さにリオンは震えた。
傷からの出血は確かにあったが、この冷たさはそれによるものとは違っていた。
「嫌われた・・・な」
感情の篭らない掠れた声だった。
汚れた自分を見られてしまった。
彼女はとても綺麗で純粋だから、きっとこんな自分は酷く醜く恐ろしい化け物に見えただろう。
だからきっと、彼女はもう笑いかけてくれないだろう。
出会っても『会いたかった』なんて絶対に言ってくれない。
何故、それなのに彼女を追いかけようとしているんだろう。
彼女はとても綺麗で純粋だから、きっとこんな自分は酷く醜く恐ろしい化け物に見えただろう。
だからきっと、彼女はもう笑いかけてくれないだろう。
出会っても『会いたかった』なんて絶対に言ってくれない。
何故、それなのに彼女を追いかけようとしているんだろう。
再び会っても自分は何を言えばいい?
何を言ったってもう何もかも元には戻らないというのに!
絶望、という言葉は正にこのような状況に陥った時に言うのだろう。
しかしそれでもリオンにはまだ、小さな希望という種が鎖で痛みすら伴う心臓に根付いていた。
例え彼女に嫌われたとしても、彼女が生きてくれればそれで・・・
しかしそれでもリオンにはまだ、小さな希望という種が鎖で痛みすら伴う心臓に根付いていた。
例え彼女に嫌われたとしても、彼女が生きてくれればそれで・・・
休みも無く戦い続けた体はついに限界を訴えて、リオンの意識を沈め込もうとしてきた。
もはやリオンにはこのまま思考を続けられそうなほどの精神力も残っていなかった。
だがこのまま倒れるわけにはいかないことは解っている。
それでも必死に足を立たせるとフラフラと遠くの森(体調が万全の状態なら近くに感じたのだろうが、
今のリオンにとっては酷く遠くに見えた。)まで歩いていった。
やがて森へと足を踏み入ると、倒れ込むようにその体を木に預けた。
体中が重く、もはや指を動かすのも億劫なほどリオンは疲労しきっていた。
視線をさまよわすと抜き身のままのシャルティエが血で汚れたままになっている。
あの、赤い髪の男の血だ。
……マリアンはあいつと一緒に行動していたのか。
ならばあの赤い髪の男はマリアンを守っていてくれてたのだろうか?
もはやリオンにはこのまま思考を続けられそうなほどの精神力も残っていなかった。
だがこのまま倒れるわけにはいかないことは解っている。
それでも必死に足を立たせるとフラフラと遠くの森(体調が万全の状態なら近くに感じたのだろうが、
今のリオンにとっては酷く遠くに見えた。)まで歩いていった。
やがて森へと足を踏み入ると、倒れ込むようにその体を木に預けた。
体中が重く、もはや指を動かすのも億劫なほどリオンは疲労しきっていた。
視線をさまよわすと抜き身のままのシャルティエが血で汚れたままになっている。
あの、赤い髪の男の血だ。
……マリアンはあいつと一緒に行動していたのか。
ならばあの赤い髪の男はマリアンを守っていてくれてたのだろうか?
罪悪感よりもマリアンを守る人間を自らの手で減らしてしまったのかという後悔があった。
そしてよりによってマリアンの目の前で殺してしまったという 後悔。
リオンはヨロヨロと手を伸ばして、自分のマントでシャルティエの刀身に付いた血を拭った。
もしまた彼女と会っても、もうこれ以上彼女を怖がらせたくないとの思いからだった。
「すまない・・・シャル・・・」
乾いて血を落とすのには苦労したが、それでもなんとか落としきると
リオンは寒さから身を守るように体を丸め込み瞼を閉じた。
疲れきった体はあっさりと眠りについていった。
そしてよりによってマリアンの目の前で殺してしまったという 後悔。
リオンはヨロヨロと手を伸ばして、自分のマントでシャルティエの刀身に付いた血を拭った。
もしまた彼女と会っても、もうこれ以上彼女を怖がらせたくないとの思いからだった。
「すまない・・・シャル・・・」
乾いて血を落とすのには苦労したが、それでもなんとか落としきると
リオンは寒さから身を守るように体を丸め込み瞼を閉じた。
疲れきった体はあっさりと眠りについていった。
それはこの眠りが全てを忘れさせてくれる事を願っているようだった。
【リオン 生存確認】
状態:極度の疲労 睡眠 全身に軽い火傷 上半身に軽い凍傷 腹部に痛み 右腕に刀傷 肩に刺し傷
所持品:シャルティエ 手榴弾×1 簡易レーダー
第一行動方針:睡眠
第二行動方針:マリアンとの再会(ただし再会を恐れてもいる)
第三行動方針:ゲーム参加者の殺害
現在位置:C7の森
状態:極度の疲労 睡眠 全身に軽い火傷 上半身に軽い凍傷 腹部に痛み 右腕に刀傷 肩に刺し傷
所持品:シャルティエ 手榴弾×1 簡易レーダー
第一行動方針:睡眠
第二行動方針:マリアンとの再会(ただし再会を恐れてもいる)
第三行動方針:ゲーム参加者の殺害
現在位置:C7の森