彼という人
「あーーーーっ!いた!!」
そう叫んだのはプリムラだった。
その視線の先にはグリッドとユアン。グリッドはユアンの箒に乗せられていた。グリッドは器用に箒の上に立ち、腕組みをした。
「はははは!!待たせたな、皆の者!!グリッド様あまたの試練を乗り越え、見参!!」
「着いたから降りろ」
ユアンはそう言うと、グリッドを箒から振り落とした。
「うがっ!!」
ユアンも箒から降りて周りを見渡す。
「お前達も無事だったようだな。とりあえずグリッドを適当な小屋で休ませてやってくれ。まだ大男のダメージが若干残っている」
「…怪我人なのに随分と扱いが悪いんですね…」
そう叫んだのはプリムラだった。
その視線の先にはグリッドとユアン。グリッドはユアンの箒に乗せられていた。グリッドは器用に箒の上に立ち、腕組みをした。
「はははは!!待たせたな、皆の者!!グリッド様あまたの試練を乗り越え、見参!!」
「着いたから降りろ」
ユアンはそう言うと、グリッドを箒から振り落とした。
「うがっ!!」
ユアンも箒から降りて周りを見渡す。
「お前達も無事だったようだな。とりあえずグリッドを適当な小屋で休ませてやってくれ。まだ大男のダメージが若干残っている」
「…怪我人なのに随分と扱いが悪いんですね…」
とりあえず、町の宿屋に場所を移す。
グリッドは粗末なベッドの上で横になり、その傍らで三人は座って会議を始めた。
最初に口を開いたのはユアンだった。
「…まず、結論から言う。私達は恐らく今の状態ではゲームに生き残れない」
「えーーっ」
「そんな……」
思わず声を上げるプリムラとカトリーヌ。
それをユアンが手を出して静止する。
「まあ聞いてくれ。これからはあのようなハッタリ作戦では通用しないだろう。あの時はたまたま地の理がこちらにあり、相手が頭の無い格闘系だった。
私達は本当に運良く生き残ったと言うことを自覚して欲しい。
お前達も主催者の放送を聞いただろう?確実に殺し合いは起きているんだ」
二人は神妙な顔つきでユアンを見る。確かにこのパーティーはユアン以外は戦力になるような者はいなかった。
「私は戦闘経験は深いが、今は武器もない。正直、自分だけならともかくお前達を守り通す自信はない。
だからここは漆黒の翼を解散という形で―――」
すると寝ていたはずのグリッドが勢い良くがばりと起き上がる。
「それは駄目だ!!」
「――と、グリッドが言うからな。本来はそう言いたいのだがそれは出来ない。
残る手段はひとつしかない」
「なんだ?」
三人は身を乗り出した。
ユアンはふう、と溜め息をつく。
ゆっくりと伏せた瞳を開いて、三人を見渡す。目付きはかなり厳しい。
「極力この場は離れない様にしたいが、何かの原因で離れざるを得ない時もあるだろう。その時はお前達は迷わず町から逃げるんだ」
グリッドは粗末なベッドの上で横になり、その傍らで三人は座って会議を始めた。
最初に口を開いたのはユアンだった。
「…まず、結論から言う。私達は恐らく今の状態ではゲームに生き残れない」
「えーーっ」
「そんな……」
思わず声を上げるプリムラとカトリーヌ。
それをユアンが手を出して静止する。
「まあ聞いてくれ。これからはあのようなハッタリ作戦では通用しないだろう。あの時はたまたま地の理がこちらにあり、相手が頭の無い格闘系だった。
私達は本当に運良く生き残ったと言うことを自覚して欲しい。
お前達も主催者の放送を聞いただろう?確実に殺し合いは起きているんだ」
二人は神妙な顔つきでユアンを見る。確かにこのパーティーはユアン以外は戦力になるような者はいなかった。
「私は戦闘経験は深いが、今は武器もない。正直、自分だけならともかくお前達を守り通す自信はない。
だからここは漆黒の翼を解散という形で―――」
すると寝ていたはずのグリッドが勢い良くがばりと起き上がる。
「それは駄目だ!!」
「――と、グリッドが言うからな。本来はそう言いたいのだがそれは出来ない。
残る手段はひとつしかない」
「なんだ?」
三人は身を乗り出した。
ユアンはふう、と溜め息をつく。
ゆっくりと伏せた瞳を開いて、三人を見渡す。目付きはかなり厳しい。
「極力この場は離れない様にしたいが、何かの原因で離れざるを得ない時もあるだろう。その時はお前達は迷わず町から逃げるんだ」
「ちょっと待ってよ!!」
プリムラが更に身を乗り出す。
バン、と床に手を付き衝撃で灯した燭台が揺れる。
「お前達は、てあんたはどうすんのよ!!」
「だから聞け」
ユアンは厳しい顔のまま、あくまでも冷静に言う。
「もし仮にこの町に侵入者が来たら、私が魔法で一斉にこの町を焼き払う」
いきなりの発言に三人はどよめいた。
「そ…そんな事ができるのか!?」
「私を見くびるな。
火事に乗じて敵を攪乱して逃げやすくなるし、上手くいけば敵を煙や火にまいて殺す事もできるだろう。
ただ敵から逃げて追われるよりはましだ。このメンバーは心許ない。敵の足は止めるだけ止めたい。
逃げるだけでは術やらの攻撃を受ける可能性もある。
あたりをうろついている者が火を見てこちらに移動してくるかもしれないが、それを逆手にとって目立たない進路で更に遠くへ逃げる。お前達の靴やらがあれば出来るはずだ」
しかし沈黙していたカトリーヌは不安そうにユアンを訪ねた。
「……でももし悪い人じゃなかったら…」
「甘いな」
カトリーヌの言葉をユアンは一言で一蹴する。
厳しく、何処か冷たさを感じる眼光は緩むことがない。カトリーヌはその眼を見て少々恐怖を感じた。
「侵入者が誰かを確認し、説得する様な猶予など私達にはない。
もし相手に先手を打たれたらどうする?それこそおしまいだ。
私は確実性のある方法を取りたい」
うっ、と三人とも押し黙り、辺りに沈黙の時間が流れる。
ユアンは再び溜め息をした。
「まあ…今の所お前達や私達がこの町に戻る時に誰かに接触しなかった事を考えると、恐らく周りに人はいないだろうからこの作戦は当分先の決行になるだろう。
だが油断するな。町を出て敵の頭数が減った時が勝負だ。最終的には自分の力で生き残るしかない」
少しずつ空が明るくなる。もうすぐ夜明けだ。
心境はますます重くなるのに、時間ばかり追い立てる様に過ぎてゆく。一刻一刻と、修羅の時間が迫っているのだ。
「お前達には酷かもしれないのは承知だ。
だがそれでもこれが殺し合いということは常に頭に入れておけ。
でなければ、今度こそ、死ぬぞ」
そう言い捨てると、ユアンは部屋から出ていった。
カトリーヌは今にも泣きそうな顔をし、プリムラは口を尖らせている。
グリッドは、ははは、俺がいれば心配はないと高らかに笑う。だがその笑い声は虚しく暗い空気を落とした部屋に響くだけだった。
プリムラが更に身を乗り出す。
バン、と床に手を付き衝撃で灯した燭台が揺れる。
「お前達は、てあんたはどうすんのよ!!」
「だから聞け」
ユアンは厳しい顔のまま、あくまでも冷静に言う。
「もし仮にこの町に侵入者が来たら、私が魔法で一斉にこの町を焼き払う」
いきなりの発言に三人はどよめいた。
「そ…そんな事ができるのか!?」
「私を見くびるな。
火事に乗じて敵を攪乱して逃げやすくなるし、上手くいけば敵を煙や火にまいて殺す事もできるだろう。
ただ敵から逃げて追われるよりはましだ。このメンバーは心許ない。敵の足は止めるだけ止めたい。
逃げるだけでは術やらの攻撃を受ける可能性もある。
あたりをうろついている者が火を見てこちらに移動してくるかもしれないが、それを逆手にとって目立たない進路で更に遠くへ逃げる。お前達の靴やらがあれば出来るはずだ」
しかし沈黙していたカトリーヌは不安そうにユアンを訪ねた。
「……でももし悪い人じゃなかったら…」
「甘いな」
カトリーヌの言葉をユアンは一言で一蹴する。
厳しく、何処か冷たさを感じる眼光は緩むことがない。カトリーヌはその眼を見て少々恐怖を感じた。
「侵入者が誰かを確認し、説得する様な猶予など私達にはない。
もし相手に先手を打たれたらどうする?それこそおしまいだ。
私は確実性のある方法を取りたい」
うっ、と三人とも押し黙り、辺りに沈黙の時間が流れる。
ユアンは再び溜め息をした。
「まあ…今の所お前達や私達がこの町に戻る時に誰かに接触しなかった事を考えると、恐らく周りに人はいないだろうからこの作戦は当分先の決行になるだろう。
だが油断するな。町を出て敵の頭数が減った時が勝負だ。最終的には自分の力で生き残るしかない」
少しずつ空が明るくなる。もうすぐ夜明けだ。
心境はますます重くなるのに、時間ばかり追い立てる様に過ぎてゆく。一刻一刻と、修羅の時間が迫っているのだ。
「お前達には酷かもしれないのは承知だ。
だがそれでもこれが殺し合いということは常に頭に入れておけ。
でなければ、今度こそ、死ぬぞ」
そう言い捨てると、ユアンは部屋から出ていった。
カトリーヌは今にも泣きそうな顔をし、プリムラは口を尖らせている。
グリッドは、ははは、俺がいれば心配はないと高らかに笑う。だがその笑い声は虚しく暗い空気を落とした部屋に響くだけだった。
ユアンがベランダで何かを手で転がしながら空を見上げている。
「…誰だ」
人の気配がし、振り向かずに問いかけた。そこにいたのはグリッドだった。
「なんだ?めちゃくちゃな事を言う私を糾弾しに来たか」
するとグリッドは相変わらず高らかに笑ってみせる。
「いやいやいや!お前は本当に漆黒のメンバーの事を考えているんだな」
自分の残酷な提案に対するグリッドの思わぬ言葉。
フッとユアンが顔を歪めて笑う。
「…何の事やら」
ユアンは指で転がしていた刻印の入った指輪を胸にしまった。
「……すっかりお前に巻き込まれてしまったんだ。
どんな手段を使ってもこれからも巻き込まれてやるだけさ」
「…誰だ」
人の気配がし、振り向かずに問いかけた。そこにいたのはグリッドだった。
「なんだ?めちゃくちゃな事を言う私を糾弾しに来たか」
するとグリッドは相変わらず高らかに笑ってみせる。
「いやいやいや!お前は本当に漆黒のメンバーの事を考えているんだな」
自分の残酷な提案に対するグリッドの思わぬ言葉。
フッとユアンが顔を歪めて笑う。
「…何の事やら」
ユアンは指で転がしていた刻印の入った指輪を胸にしまった。
「……すっかりお前に巻き込まれてしまったんだ。
どんな手段を使ってもこれからも巻き込まれてやるだけさ」
【グリッド 生存確認】
所持品:無し
状態:HP三分の二ほど。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
所持品:無し
状態:HP三分の二ほど。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
【ユアン 生存確認】
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:ほぼ健康、TPちょっと消費
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
第一行動方針:漆黒の翼を生き残らせる
第二行動方針:漆黒の翼の一員として行動。仲間捜し。
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:ほぼ健康、TPちょっと消費
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
第一行動方針:漆黒の翼を生き残らせる
第二行動方針:漆黒の翼の一員として行動。仲間捜し。
【プリムラ 生存確認】
状態:健康
所持品:セイファートキー、?、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを石板に縛り付けて海に沈める。
状態:健康
所持品:セイファートキー、?、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを石板に縛り付けて海に沈める。
【カトリーヌ 生存確認】
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:健康
基本行動方針:帰りたい。死にたくない。
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:健康
基本行動方針:帰りたい。死にたくない。
現在地:G5の町