「英雄スタンに次ぐ勇者であるこのグリッド様が参加者に選ばれるのも当然か…。だが、果たしてどうしたものか」
彼の名はグリッド。レンズハンター『漆黒の翼』のリーダーであり、自称音速の貴公子であります。
しかし何とも悲しいかな、実際の実力はシースラッグとわたり合える、といったところでありましょうか。
このゲームにひしめいている猛者と対決しても、てんで話にならないのであります。
しかし、彼は生まれついての楽天家であるのでしょうね、今回も本気を出せばなんとかなると思っているようなのであります。
最近の戦歴。ふらりと立ち寄った某闘技場で無謀にもチャンピオンに挑み、瞬殺。
他人のレンズを横取りしようとして、返り討ち。
向こうには覚えられてもいないでしょう。
彼の名はグリッド。レンズハンター『漆黒の翼』のリーダーであり、自称音速の貴公子であります。
しかし何とも悲しいかな、実際の実力はシースラッグとわたり合える、といったところでありましょうか。
このゲームにひしめいている猛者と対決しても、てんで話にならないのであります。
しかし、彼は生まれついての楽天家であるのでしょうね、今回も本気を出せばなんとかなると思っているようなのであります。
最近の戦歴。ふらりと立ち寄った某闘技場で無謀にもチャンピオンに挑み、瞬殺。
他人のレンズを横取りしようとして、返り討ち。
向こうには覚えられてもいないでしょう。
とにかく、純粋な実力で他の大半の参加者には勝てるはずがないのに、
彼の自信はとどまることを知らなかったのであります。
もし危なくなれば、逃げればいいとも思っているのです。
逃げ足の速さだけに関しては、参加者の中でも上位。あの覗き英雄にも、かけっこのチャンピオンにも負けません。
彼の自信はとどまることを知らなかったのであります。
もし危なくなれば、逃げればいいとも思っているのです。
逃げ足の速さだけに関しては、参加者の中でも上位。あの覗き英雄にも、かけっこのチャンピオンにも負けません。
「なんだ? これは。…ミクトランとやら、俺にこんな格好悪い靴を履けというのか?!
これでは勇者の威厳もあったものではないではないか!」
さてさて、袋から出てきたのは、見慣れない袋。見慣れない指輪、見慣れない靴。
袋はC・ケイジ。指輪はフェアリィリング。靴はナイトメアブーツであります。
C・ケイジ以外は単に彼が知らないだけですね。一応彼の世界には存在するものであります。
説明書があったようです。これを見つけなければ、靴を捨ててしまうところでしたね。
これでは勇者の威厳もあったものではないではないか!」
さてさて、袋から出てきたのは、見慣れない袋。見慣れない指輪、見慣れない靴。
袋はC・ケイジ。指輪はフェアリィリング。靴はナイトメアブーツであります。
C・ケイジ以外は単に彼が知らないだけですね。一応彼の世界には存在するものであります。
説明書があったようです。これを見つけなければ、靴を捨ててしまうところでしたね。
「なになに、晶霊術を使うための晶霊を入れておくポーチです? 普段よりも余計に魔法や技が使えます? 足が速くなります?
晶霊術…? よく分からんが、つまりは魔法が使えるということか」
一応彼もレンズハンターということはあって、魔法、つまり、晶術の存在は知っているのです。
といっても、モンスターが使う術だという認識ですし、晶術を使うモンスターと戦うことなどほとんどありませんけれどね。
「試してみるか…。エクスプロード!!」
晶霊術…? よく分からんが、つまりは魔法が使えるということか」
一応彼もレンズハンターということはあって、魔法、つまり、晶術の存在は知っているのです。
といっても、モンスターが使う術だという認識ですし、晶術を使うモンスターと戦うことなどほとんどありませんけれどね。
「試してみるか…。エクスプロード!!」
いきなり大技を繰り出しました。当然こんなもの、今の彼には使えません。不発であります。
「ミクトランめ、どうやら俺を恐れて術に制限をかけたようだな!!」
そんなことはありません。単に彼には使えないだけです。
「なら…ハイヤーボー! ブレイグ!」
そんなことはありません。単に彼には使えないだけです。
「なら…ハイヤーボー! ブレイグ!」
彼は晶術に縁がなかったのです。そう聞こえたのだから仕方ないのです。不発であります。
さてさて、期待していたものが何も出ず、彼は少々寂しくなってきたようであります。
いつもなら、ジョンが慰め、ミリーが罵倒してくれるのでありますが、二人ともいない。
一人では、漆黒の翼も、黒いこうもり傘で空を飛ぶようなものなのであります。
さてさて、期待していたものが何も出ず、彼は少々寂しくなってきたようであります。
いつもなら、ジョンが慰め、ミリーが罵倒してくれるのでありますが、二人ともいない。
一人では、漆黒の翼も、黒いこうもり傘で空を飛ぶようなものなのであります。
「どうやら、まずは漆黒の翼を再結成することが第一のようだな…。
よし、きっとこのグリッド様に師事して欲しいものがいるはずだ。探しに行くとしようか。
できれば一人は俺を慕ってくれる子分格、もう一人は女の子がいいな…。
それはそうと、この靴は一体どれほどの速さなのだ?」
よし、きっとこのグリッド様に師事して欲しいものがいるはずだ。探しに行くとしようか。
できれば一人は俺を慕ってくれる子分格、もう一人は女の子がいいな…。
それはそうと、この靴は一体どれほどの速さなのだ?」
びゅん!
「……素晴らしい! まさに音速の貴公子に相応しい! いや、音速と言うには生ぬるいな。
光速の貴公子グリッドか。 ふふふ…」
光速の貴公子グリッドか。 ふふふ…」
実際は音速にも及んでいないのでありますが。せいぜい、高速の奇行士といったところでしょう。
カトリーヌはおびえていたのです。
ピエールと結婚して、もう一生離れないと決心した矢先にこのイベント。
超方向音痴の彼女は、てっきり王立劇場の舞台裏にでも迷い込んだのかと思ったのですが、そうではないのです。
王立劇場にはこんな広い部隊があるわけないですし、かといって夢ではない。
首輪の機械的な冷たさが、これが現実だということを如実に示しているのです。
ピエールと結婚して、もう一生離れないと決心した矢先にこのイベント。
超方向音痴の彼女は、てっきり王立劇場の舞台裏にでも迷い込んだのかと思ったのですが、そうではないのです。
王立劇場にはこんな広い部隊があるわけないですし、かといって夢ではない。
首輪の機械的な冷たさが、これが現実だということを如実に示しているのです。
彼女はすぐに支給品を確認しました。淡い希望を持って。
出てきたのは、靴に球のようなものに機械。ジェットブーツ、マジックミスト、エナジーブレットという名が付いています。
「え、と。これはなんなのかしら?」
もちろん彼女は見たことのないものばかり。
さらに探ってみると、やはり説明書が付いていました。
靴は足を速くしてくれるもの。球は相手の視界を遮るもの。機械は、相手にショックを与えるもの。
要するに、すべて逃げるために使えるアイテムだということです。
武器を使う訓練など受けたこともない彼女にとって、これはありがたいものでした。
早速ジェットブーツを身につけてみました。
出てきたのは、靴に球のようなものに機械。ジェットブーツ、マジックミスト、エナジーブレットという名が付いています。
「え、と。これはなんなのかしら?」
もちろん彼女は見たことのないものばかり。
さらに探ってみると、やはり説明書が付いていました。
靴は足を速くしてくれるもの。球は相手の視界を遮るもの。機械は、相手にショックを与えるもの。
要するに、すべて逃げるために使えるアイテムだということです。
武器を使う訓練など受けたこともない彼女にとって、これはありがたいものでした。
早速ジェットブーツを身につけてみました。
ギュン!!
「これなら誰からでも逃げられるかも…」
本当にすごい速さです。ジェットのちからで、木々も、建物も、参加者も、あっという間に彼女の遙か後ろへと遠ざかっていきます。
まさにこの速さにかなうものなし、といった感じです。
本当にすごい速さです。ジェットのちからで、木々も、建物も、参加者も、あっという間に彼女の遙か後ろへと遠ざかっていきます。
まさにこの速さにかなうものなし、といった感じです。
ズ ガ ン !!
飛び出すな。ブーツは急に止まれない。
木のかげから飛び出してきたグリッドと衝突してしまいました。
彼女とピエールとの出会いはそうでしたが、
こっちは間違っても廊下でステキな男の人とぶつかる、といった類のものではありません。
そのまま盛大に腐葉土に突っ込んでしまいました。
木のかげから飛び出してきたグリッドと衝突してしまいました。
彼女とピエールとの出会いはそうでしたが、
こっちは間違っても廊下でステキな男の人とぶつかる、といった類のものではありません。
そのまま盛大に腐葉土に突っ込んでしまいました。
(は、早く逃げないと…)
慌ててその場を離れようとするカトリーヌ。
しかし、木の根でこけてヘッドスライディング。慌てて逃げようとしていたグリッドの足を見事に払いました。
「あいたたたたた…」
慌ててその場を離れようとするカトリーヌ。
しかし、木の根でこけてヘッドスライディング。慌てて逃げようとしていたグリッドの足を見事に払いました。
「あいたたたたた…」
なんとか起きようとしたカトリーヌでしたが、そこに寄るグリッドの足音。
(もしかして、殺される……!?)
こんな状況ですし、二回もぶつかったのですから、こう思うのも当然といえば当然でしょう。
でも、放たれたのは予想外の言葉でした。
(もしかして、殺される……!?)
こんな状況ですし、二回もぶつかったのですから、こう思うのも当然といえば当然でしょう。
でも、放たれたのは予想外の言葉でした。
「君の気持ちはよく分かった! 我が漆黒の翼のメンバーに加えてあげようじゃないか!」
「…はい?」
「…はい?」
「その速さ、疾風を名乗るに相応しい」
「はぁ…」
「俺としても、ちょうど漆黒の翼の新メンバーが欲しかったところなのだよ。
本来なら入会金として30000ガルドが必要なのだが、おおまけにまけて、今回はタダにしてあげよう」
「はぁ…」
「俺としても、ちょうど漆黒の翼の新メンバーが欲しかったところなのだよ。
本来なら入会金として30000ガルドが必要なのだが、おおまけにまけて、今回はタダにしてあげよう」
要するに、仲間になって下さい、ということなのでありますね。
最初に会ったのがどこぞのブルアアア!とかじゃなくて運がよかったと言うべきでしょう。
最初に会ったのがどこぞのブルアアア!とかじゃなくて運がよかったと言うべきでしょう。
「あの、質問よろしいでしょうか」
「なんだ?」
「漆黒の翼って、なんでしょうか? なにぶん、私、ほとんど外に出たことがないもので…」
「き、キミ、漆黒の翼を知らないのか?」
「はい。…やっぱりマズかったでしょうか?」
「仕方がない、説明してあげよう。漆黒の翼とは世界最強のレンズハンターの三人のことであり、
モンスターを退治して、レンズを手に入れ、それで貧しい人々を救う、いわば正義の味方なのだ!
そして俺は通称音速の貴公子グリッド!……他の二人は諸々の都合で今はいない。
とまあ、こんなところだ。漆黒の翼に入れるのは、それだけで名誉なことなのだ」
「はぁ…」
「なんだ?」
「漆黒の翼って、なんでしょうか? なにぶん、私、ほとんど外に出たことがないもので…」
「き、キミ、漆黒の翼を知らないのか?」
「はい。…やっぱりマズかったでしょうか?」
「仕方がない、説明してあげよう。漆黒の翼とは世界最強のレンズハンターの三人のことであり、
モンスターを退治して、レンズを手に入れ、それで貧しい人々を救う、いわば正義の味方なのだ!
そして俺は通称音速の貴公子グリッド!……他の二人は諸々の都合で今はいない。
とまあ、こんなところだ。漆黒の翼に入れるのは、それだけで名誉なことなのだ」
「はぁ…」
ちなみに、漆黒の翼は別の意味でそれなりに有名な集団であります。
インフェリアでは同名の集団が、最近入ったお笑いユニット三人組として活動しています。
知っていなくて運がいいのか悪いのか。
インフェリアでは同名の集団が、最近入ったお笑いユニット三人組として活動しています。
知っていなくて運がいいのか悪いのか。
グリッドはいつも通りの強引な勧誘をします。カトリーヌには断り切れません。断るヒマさえ与えてくれませんでした。
彼はレンズハンターよりセールスマンが向いているようです。
オベロン社に入社していたなら、きっと好成績だったでありましょう。
彼はレンズハンターよりセールスマンが向いているようです。
オベロン社に入社していたなら、きっと好成績だったでありましょう。
かくして、カトリーヌは漆黒の翼の一員となったのであります。
ちなみに、通称は疾風のカトリーヌ。ミリーの通称の使いまわしでありますね。
もう一人はおそらく大食らいの○○という通称を付けられるのでしょう。お気の毒に。
ちなみに、通称は疾風のカトリーヌ。ミリーの通称の使いまわしでありますね。
もう一人はおそらく大食らいの○○という通称を付けられるのでしょう。お気の毒に。
【グリッド 生存確認
状態:擦り傷
所持品:C・ケイジ フェアリィリング ナイトメアブーツ
行動方針:漆黒の翼を再結成、危なそうなやつに会ったら逃げる】
状態:擦り傷
所持品:C・ケイジ フェアリィリング ナイトメアブーツ
行動方針:漆黒の翼を再結成、危なそうなやつに会ったら逃げる】
【カトリーヌ 生存確認
状態:擦り傷
所持品:マジックミスト ジェットブーツ エナジーブレット×5
行動方針:死にたくはない】
状態:擦り傷
所持品:マジックミスト ジェットブーツ エナジーブレット×5
行動方針:死にたくはない】
現在位置:F5の森