漆黒緊急会議
「ユアンさん、もう放送なのにどこへ行っていたんですか?」
戻ってくるやいなや、ザックから様々な容器を取り出す。
「調味料の調達だ。
単独行動をしている者ならともかく、
一度に4人分の食料を奪うことは難しいだろうから、我々にとって、食料調達は死活問題となる。
だが、調味料があればたいていのものはなんとか食べられる。これだけあれば少なくとも最後までは持つだろう」
塩に胡椒に砂糖にタバスコなど、様々な調味料を持ってきている。一応食べる以外にも使えないことはない。
もちろん、水も補給している。残念ながら、肉や果物といったものは見当たらなかったようだ。
戻ってくるやいなや、ザックから様々な容器を取り出す。
「調味料の調達だ。
単独行動をしている者ならともかく、
一度に4人分の食料を奪うことは難しいだろうから、我々にとって、食料調達は死活問題となる。
だが、調味料があればたいていのものはなんとか食べられる。これだけあれば少なくとも最後までは持つだろう」
塩に胡椒に砂糖にタバスコなど、様々な調味料を持ってきている。一応食べる以外にも使えないことはない。
もちろん、水も補給している。残念ながら、肉や果物といったものは見当たらなかったようだ。
一人で会議をしていていまだ朝食を食べ終わっていないのはグリッド。
ケチャップやジャムを物色している。
ユアンが釘を刺しておく。
「まさかないとは思うが、全部使うなよ」
「……大丈夫だ。」
「今の間は…?」
ケチャップやジャムを物色している。
ユアンが釘を刺しておく。
「まさかないとは思うが、全部使うなよ」
「……大丈夫だ。」
「今の間は…?」
間もなく放送が始まった。
グリッドは急いでパンを口に押し込み、ほか3人はメモの用意をし、一言も聞き逃すまいとしている。
【まずは、禁止エリアだ。早く脱落者を知りたい者もいるだろうが、
こちらも重要な内容なのでよく聞くように】
「できれば街道とか川辺は封鎖してほしくないんですけれど…」
最も禁止エリアに引っかかる可能性の高いカトリーヌ。ペンを持つ手にも緊張が走る。
グリッドは急いでパンを口に押し込み、ほか3人はメモの用意をし、一言も聞き逃すまいとしている。
【まずは、禁止エリアだ。早く脱落者を知りたい者もいるだろうが、
こちらも重要な内容なのでよく聞くように】
「できれば街道とか川辺は封鎖してほしくないんですけれど…」
最も禁止エリアに引っかかる可能性の高いカトリーヌ。ペンを持つ手にも緊張が走る。
【では発表する、今から三時間後の午前九時よりF8、午後十二時よりB7
午後三時よりG5、第三回の放送がある午後六時よりB2…】
「ここが禁止エリアになるのか!!?!」
慌てるグリッド。
午後三時よりG5、第三回の放送がある午後六時よりB2…】
「ここが禁止エリアになるのか!!?!」
慌てるグリッド。
【マリー・エージェント、マイティ・コングマン、ロニ・デュナミス…】
さらにコングマンの名前が呼ばれたことで騒ぐ三人。それとは別に、静かに死亡者の発表を聞くユアン。
他に知っている名前も呼ばれる。
フゥ、とため息をつく。わざわざ口に出すことではない。
あのドタバタした空気はある意味救いになっているのも確かだ。
多少不謹慎なところもあるが、ネガティブな思考に陥いるような暇を与えないだから。
他に知っている名前も呼ばれる。
フゥ、とため息をつく。わざわざ口に出すことではない。
あのドタバタした空気はある意味救いになっているのも確かだ。
多少不謹慎なところもあるが、ネガティブな思考に陥いるような暇を与えないだから。
放送終了後、緊急会議を始める4人。
「それにしても、まさかここが禁止エリアに選ばれるとはな。拠点としても、戦場としても有効な場所だと思ったのだが」
半分要塞化しているこの町なら、戦闘にも休息にも使えるだけに、
読みがはずれ、いささか残念そうな顔をする。
「それにしても、まさかここが禁止エリアに選ばれるとはな。拠点としても、戦場としても有効な場所だと思ったのだが」
半分要塞化しているこの町なら、戦闘にも休息にも使えるだけに、
読みがはずれ、いささか残念そうな顔をする。
「それで、どうするんだ? もうここを出るのか?」
「いや、今しばらくとどまる。まさか禁止エリアにわざわざ入ってくるようなバカはいないだろう。
もちろん、裏をかいてくるような参加者もいるにはいるだろうが、それを言うとキリが無い。
ここで十分に休んだあとは…そうだな。F5の森で様子を見よう」
「建物には行かないのか?」
てっきりまた建物に隠れると考えていたグリッド。疑問を呈する。
マップを開き、ユアンが説明を始める。
「西側へ行くためには橋を渡る必要があるが、危険だ。逃げ場が限られる。
G7の教会は、F6が禁止されて分断される可能性がある。よって、不可。分かるな?」
席を立ち、窓のほうへ向かう。
「いや、今しばらくとどまる。まさか禁止エリアにわざわざ入ってくるようなバカはいないだろう。
もちろん、裏をかいてくるような参加者もいるにはいるだろうが、それを言うとキリが無い。
ここで十分に休んだあとは…そうだな。F5の森で様子を見よう」
「建物には行かないのか?」
てっきりまた建物に隠れると考えていたグリッド。疑問を呈する。
マップを開き、ユアンが説明を始める。
「西側へ行くためには橋を渡る必要があるが、危険だ。逃げ場が限られる。
G7の教会は、F6が禁止されて分断される可能性がある。よって、不可。分かるな?」
席を立ち、窓のほうへ向かう。
「C6には、危険な参加者がいるようだ。得体の知れない大爆発があった。E2の方もそうだがな」
C6の方を眺めるユアン。
そのとき、一瞬向こうの空の色が薄れたかと思うと、今度は白く染まり、
次の瞬間には極太の光線(遠くから視認できる、という意味で大きさは把握できる)が発射されていた。
C6の方を眺めるユアン。
そのとき、一瞬向こうの空の色が薄れたかと思うと、今度は白く染まり、
次の瞬間には極太の光線(遠くから視認できる、という意味で大きさは把握できる)が発射されていた。
(ミトス? いや、それにしてはあまりに強大すぎる。なんなんだあれは…?)
「…と、とにかく見てのとおりだ。C6の方には近づかないほうがいい」
全員が頷く。さすがにアレを見ては、近づきたくないのは当然である。
「では、12時までここで休息を取る。
眠りたいなら眠っておけ。時間になったら起こす」
「…と、とにかく見てのとおりだ。C6の方には近づかないほうがいい」
全員が頷く。さすがにアレを見ては、近づきたくないのは当然である。
「では、12時までここで休息を取る。
眠りたいなら眠っておけ。時間になったら起こす」
「はい、質問」
「なんだ?」
「枕元にある盥は何?」
「緊急事態が発生したら、中の水をかけて起こしてやる。そのためのものだ」
「ああ、そう…」
「なんだ?」
「枕元にある盥は何?」
「緊急事態が発生したら、中の水をかけて起こしてやる。そのためのものだ」
「ああ、そう…」
会議が一応終了し、プリムラとカトリーヌは愚痴を言い始める。
「それにしても、見られてるんじゃないってくらい、ピンポイントに突いてきましたね」
「実は監視装置でも付いていたりしてね」
「仕掛けを作るときにあちこち調べましたけれど、監視するような装置はどこにも無かったですけどね」
プリムラと一緒に仕掛けを作っていたカトリーヌ。監視装置が無かったことは覚えているし、断言できる。
「それにしても、見られてるんじゃないってくらい、ピンポイントに突いてきましたね」
「実は監視装置でも付いていたりしてね」
「仕掛けを作るときにあちこち調べましたけれど、監視するような装置はどこにも無かったですけどね」
プリムラと一緒に仕掛けを作っていたカトリーヌ。監視装置が無かったことは覚えているし、断言できる。
「そうだ、監視装置がないなら、誰かが報告しない限り、詳しい場所は知られるはずがない」
グリッドは二人の言葉を踏襲したつもりだったが、そこでふと浮かんできた言葉。
スパイ。密偵。主催者の犬。裏切り者。共犯者。盗撮。
「ちょっと、スパイなんているはずない!…よね?」
「多分いないはず…ですよね?」
慌てる女性陣。
ユアンは少し思案し、落ち着いた様子で話し出す。
「スパイか。ならば、ある意味全員がスパイなのだろうな」
「どういうこと?」
全員がスパイ、という意味不明な言葉に困惑する三人。
「やつ…ミクトランが、我々の状態を把握していたのは分かっているな?」
「「「?」」」
三人の反応の薄さに戸惑う。
「…放送を最後まで聴いていたか? まあいい、とにかく、やつは我々の状態を把握していたんだ。つまり、…」
「首輪…ですか?」
「そうか、なるほど。クジで決めていたのではなかっt」
「そういうことだ」
省られるグリッド。彼は最初から禁止エリアはランダムだ、心配ないと言いたかったらしい。
グリッドは二人の言葉を踏襲したつもりだったが、そこでふと浮かんできた言葉。
スパイ。密偵。主催者の犬。裏切り者。共犯者。盗撮。
「ちょっと、スパイなんているはずない!…よね?」
「多分いないはず…ですよね?」
慌てる女性陣。
ユアンは少し思案し、落ち着いた様子で話し出す。
「スパイか。ならば、ある意味全員がスパイなのだろうな」
「どういうこと?」
全員がスパイ、という意味不明な言葉に困惑する三人。
「やつ…ミクトランが、我々の状態を把握していたのは分かっているな?」
「「「?」」」
三人の反応の薄さに戸惑う。
「…放送を最後まで聴いていたか? まあいい、とにかく、やつは我々の状態を把握していたんだ。つまり、…」
「首輪…ですか?」
「そうか、なるほど。クジで決めていたのではなかっt」
「そういうことだ」
省られるグリッド。彼は最初から禁止エリアはランダムだ、心配ないと言いたかったらしい。
「首輪を通して監視することで、誰が死んだかということ、
そして死と変わらない状態にある参加者がいるということが分かったのだろう」
「でも、いくらなんでも、わざとらしすぎるんじゃありませんか?」
「罠にしろ、馬鹿にしろ、我々の状態がミクトランに筒抜けになっているのは明らかだ」
わざと、ならば参加者は罠にかけられていることになる。
そうでないなら、この程度で首輪を外させない絶対の自信があるか、だ。
単にミクトランが馬鹿だった、という選択肢があるにはある。
今は結論は出せない。
そして死と変わらない状態にある参加者がいるということが分かったのだろう」
「でも、いくらなんでも、わざとらしすぎるんじゃありませんか?」
「罠にしろ、馬鹿にしろ、我々の状態がミクトランに筒抜けになっているのは明らかだ」
わざと、ならば参加者は罠にかけられていることになる。
そうでないなら、この程度で首輪を外させない絶対の自信があるか、だ。
単にミクトランが馬鹿だった、という選択肢があるにはある。
今は結論は出せない。
「ちょっと待って!」
バン、とプリムラが机を叩いて立ち上がる。
胡椒の瓶が揺れる。グリッドが手で支える。
「筒抜けってことは、あんなことやこんなことやそんなことも全部見られてるってワケ?」
「そうなるな」
あんなこと=洗 こんなこと=花、雉 そんなこと=眠 こう解釈していい。
別に体重計とかではないだろう。
バン、とプリムラが机を叩いて立ち上がる。
胡椒の瓶が揺れる。グリッドが手で支える。
「筒抜けってことは、あんなことやこんなことやそんなことも全部見られてるってワケ?」
「そうなるな」
あんなこと=洗 こんなこと=花、雉 そんなこと=眠 こう解釈していい。
別に体重計とかではないだろう。
「ミクトランがド変態なのは分かってたけどここまでだとは思わなかったわ!」
「まだ式は挙げていないのに…」
「やつはドSなのだろうな!」
調子に乗るグリッド。だが、別に間違ってはいないのではないか。
「まだ式は挙げていないのに…」
「やつはドSなのだろうな!」
調子に乗るグリッド。だが、別に間違ってはいないのではないか。
「きっと今も女の子が水浴びしてないかニヤニヤしながら監視しているな。許せん!」
「最低ですね」
「磔にして島流し決定!」
勝手にミクトラン像を作り上げる四人。グリッドの場合、羨ましさが見え隠れしているのは気のせいだろう。
「最低ですね」
「磔にして島流し決定!」
勝手にミクトラン像を作り上げる四人。グリッドの場合、羨ましさが見え隠れしているのは気のせいだろう。
「ミクトランにはスケベ大魔王の称号がピッタリだな!」
グリッドの称号癖。珍しく、反論が無い。
グリッドの称号癖。珍しく、反論が無い。
「そのスケベ大魔王とやらのモラルについては後回しだ。
まあ、こんなイベントを開く時点でそのようなことはたかが知れている。
それよりも、どうやって監視を防ぐか、だが…」
「チョーカーを首輪に被せれば見えませんよね?」
チョーカーをずらすカトリーヌ。本当にすっぽりと隠れた。
「それもそうね」
プリムラもチョーカーをずらす。
「では、私たちも首に何か巻いておくことにしよう。こうすれば、向こうからこちらは見えまい」
「スケベ大魔王敗れたりだな!」
男二人は布を巻きつけて首輪を隠した。
傍から見ると、首輪をしているようには見えないかもしれない。
まあ、こんなイベントを開く時点でそのようなことはたかが知れている。
それよりも、どうやって監視を防ぐか、だが…」
「チョーカーを首輪に被せれば見えませんよね?」
チョーカーをずらすカトリーヌ。本当にすっぽりと隠れた。
「それもそうね」
プリムラもチョーカーをずらす。
「では、私たちも首に何か巻いておくことにしよう。こうすれば、向こうからこちらは見えまい」
「スケベ大魔王敗れたりだな!」
男二人は布を巻きつけて首輪を隠した。
傍から見ると、首輪をしているようには見えないかもしれない。
さて、彼らの間違いが一つ。
ミクトランのしているのは盗聴。別に首輪にカメラは付いていないということだ。
そのことに気付くのがいつになるか、はたまた気付かないまま退場するのかは不明である。
ミクトランのしているのは盗聴。別に首輪にカメラは付いていないということだ。
そのことに気付くのがいつになるか、はたまた気付かないまま退場するのかは不明である。
最後に、グリッドがもう一度確認をする。
「12時までここに留まり、その後F5で様子見。
教会のほうへは行かない。
首輪で監視されてるから気をつける。
ミクトランはスケベ大魔王。
依存は無いな?」
「「「異存なし」」」
「12時までここに留まり、その後F5で様子見。
教会のほうへは行かない。
首輪で監視されてるから気をつける。
ミクトランはスケベ大魔王。
依存は無いな?」
「「「異存なし」」」
CHECK
ミクトランはスケベ大魔王の称号を得ました。
ミクトランはスケベ大魔王の称号を得ました。
【グリッド 生存確認】
所持品:無し
状態:ほぼ健康。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
所持品:無し
状態:ほぼ健康。
基本行動方針:生き延びる。
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動。
【ユアン 生存確認】
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:健康、TPにまだ回復の余地あり
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
第一行動方針:漆黒の翼を生き残らせる
第二行動方針:漆黒の翼の一員として行動。仲間捜し。
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:健康、TPにまだ回復の余地あり
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを信用していない。
第一行動方針:漆黒の翼を生き残らせる
第二行動方針:漆黒の翼の一員として行動。仲間捜し。
【プリムラ 生存確認】
状態:健康
所持品:セイファートキー、ソーサラーリング、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを磔にして島流し決定。
状態:健康
所持品:セイファートキー、ソーサラーリング、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット
基本行動方針:仲間と共に脱出。ミクトランを磔にして島流し決定。
【カトリーヌ 生存確認】
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:健康
基本行動方針:帰りたい。生き延びる。
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本、C・ケイジ
状態:健康
基本行動方針:帰りたい。生き延びる。
現在地:G5の町