応えるための答え
G5の町までまであの演説が聞こえている―――。
それはつまり、ファラの演説は島のほぼ全域にまで届いていることを意味する。
最も、教会まで届いているかは定かではないが・・・。
必然的に、ファラの声はカイルとミントの耳にも入っていた。
それはつまり、ファラの演説は島のほぼ全域にまで届いていることを意味する。
最も、教会まで届いているかは定かではないが・・・。
必然的に、ファラの声はカイルとミントの耳にも入っていた。
二人は橋から少し西に向かい、自体を把握するためにファラの声を聞いて草原に腰をおろしていた。
「ミントさん聴きましたか!?」
カイルは驚きの表情を隠しきれずに隣にいるミントへと振り向く。
「・・・ハイ」
その顔色は嬉しさを持ち、その中に悲しみを帯びた微妙な表情。
カイルはもしかしたら協力してくれるかもしれないと、そんな期待を込めてミントに顔を向けたのだが、その表情に戸惑ってしまった。
「ど、どうしたのミントさん・・・何かあった?」
「いえ、実は・・・」
ミントはゆっくりと息を吸って吐き、カイルに現実を伝える。
「確かにあの方の声には真剣な想いが感じられました。ですが・・・」
カイルはじっとミントの話しを聞く。
「カイルさんも気付いていらっしゃるとは思いますが、あの方はおそらくもうそう長くはないでしょう」
ミントの顔は至って真剣。その真剣な眼差しゆえ、カイルは思わず俯いてしまう。
確かにカイルは気付いていた。彼女の声に途切れ途切れ異様な咳き込みが混ざっていたこと。
そして『これが最期の仕事になるかもしれない』と言っていたこと。
そこからはみなまで言わずともイヤでも察してしまう。あの声の主は、極めて健康ではないということが。
そこまでカイルにも気付いていて、じゃあこれからどうすればいい?
やっぱり、あの声の下まで行くべきじゃないのか?
そんな衝動に駆られる。僅かな自尊心を持つものなら誰にでも訪れるモノだ。
「ミントさん聴きましたか!?」
カイルは驚きの表情を隠しきれずに隣にいるミントへと振り向く。
「・・・ハイ」
その顔色は嬉しさを持ち、その中に悲しみを帯びた微妙な表情。
カイルはもしかしたら協力してくれるかもしれないと、そんな期待を込めてミントに顔を向けたのだが、その表情に戸惑ってしまった。
「ど、どうしたのミントさん・・・何かあった?」
「いえ、実は・・・」
ミントはゆっくりと息を吸って吐き、カイルに現実を伝える。
「確かにあの方の声には真剣な想いが感じられました。ですが・・・」
カイルはじっとミントの話しを聞く。
「カイルさんも気付いていらっしゃるとは思いますが、あの方はおそらくもうそう長くはないでしょう」
ミントの顔は至って真剣。その真剣な眼差しゆえ、カイルは思わず俯いてしまう。
確かにカイルは気付いていた。彼女の声に途切れ途切れ異様な咳き込みが混ざっていたこと。
そして『これが最期の仕事になるかもしれない』と言っていたこと。
そこからはみなまで言わずともイヤでも察してしまう。あの声の主は、極めて健康ではないということが。
そこまでカイルにも気付いていて、じゃあこれからどうすればいい?
やっぱり、あの声の下まで行くべきじゃないのか?
そんな衝動に駆られる。僅かな自尊心を持つものなら誰にでも訪れるモノだ。
だがミントはその考えを躊躇いがちに制止する。
「・・・あの方の下に向かえば、おそらく他の人たちも集まってくるでしょう。それは善悪問わずにです」
ミントの意見は的を射ていた。確かにそれが今の現状、それが事実。
つまりそれは、言葉にせずともあの声の下―シースリ村―は遅かれ早かれ色んな人たちが集まり、この異常な状況下の中互いに剣を交じ合わせてしまう混沌の戦場へと化してしまう。
ミントの冷静な判断がカイルにはひしひしと伝わってきた。
「・・・あの方の下に向かえば、おそらく他の人たちも集まってくるでしょう。それは善悪問わずにです」
ミントの意見は的を射ていた。確かにそれが今の現状、それが事実。
つまりそれは、言葉にせずともあの声の下―シースリ村―は遅かれ早かれ色んな人たちが集まり、この異常な状況下の中互いに剣を交じ合わせてしまう混沌の戦場へと化してしまう。
ミントの冷静な判断がカイルにはひしひしと伝わってきた。
判っている。ミントさんは自分たちの身を案じて言ってくれているんだ。
そんな危険な場所に行けば死んでしまいますよと、残酷なことを彼女は頑張って諭して言ってくれているんだ。
それだけで今の自分の状態が判る。判ってしまう。
自分は誰かの隣にいて、誰かの隣に自分がいる。
だから言葉を交わし合って、的確に状況を判断できる。
本来はそんな危険な場所に行くべきではないと、臆病な自分が囁いてくる。
だけど・・・
「だけど・・・」
カイルはゆっくり口を開く。
自分の本当の意見を。
自分の素直な気持ちを。
「それでも俺は、あの声の人を助けたい」
知らずに右手が握り拳になっていた。それだけカイルは必死だった。
「英雄なんて肩書きじゃなくて、ただ純粋にあの声の人の気持ちに応えたいんだ」
今度は小さく声を絞る。
「そりゃ、俺の考えは後先なくて、理想主義なのかもしれない。でも」
ミントは黙って聞く。何を考えるわけでもなく、ただカイルの声を聞く。
「それが俺だからね。誰が何て言おうと、これだけは譲れない」
その瞳は確かにカイル自身の強い色が輝いていた。
そんな危険な場所に行けば死んでしまいますよと、残酷なことを彼女は頑張って諭して言ってくれているんだ。
それだけで今の自分の状態が判る。判ってしまう。
自分は誰かの隣にいて、誰かの隣に自分がいる。
だから言葉を交わし合って、的確に状況を判断できる。
本来はそんな危険な場所に行くべきではないと、臆病な自分が囁いてくる。
だけど・・・
「だけど・・・」
カイルはゆっくり口を開く。
自分の本当の意見を。
自分の素直な気持ちを。
「それでも俺は、あの声の人を助けたい」
知らずに右手が握り拳になっていた。それだけカイルは必死だった。
「英雄なんて肩書きじゃなくて、ただ純粋にあの声の人の気持ちに応えたいんだ」
今度は小さく声を絞る。
「そりゃ、俺の考えは後先なくて、理想主義なのかもしれない。でも」
ミントは黙って聞く。何を考えるわけでもなく、ただカイルの声を聞く。
「それが俺だからね。誰が何て言おうと、これだけは譲れない」
その瞳は確かにカイル自身の強い色が輝いていた。
「そうですか」
言って、ミントは
「では参りましょうかw」
なんてニコッとした天使のような微笑みをカイルに向けた。
「え・・・いや、あの」
あまりの呆気なさに困惑するカイル。
恐る恐るミントに声をかける。
「反対してたんじゃ・・・」
だがミントは「いえ」と言って、
「ただ私はシースリ村というところが人でいっぱいになってしまいます。と言いたかっただけです」
間の抜けた声で出発の準備をする。
カイルは開いた口が塞がらない。
(もしかして・・・俺の思い込み!?)
カイルはがっくりと肩を落とす。あまりに自分が真剣すぎたせいで彼女の雰囲気がものすごいぽわんとしていて・・・。
「ダメだ・・・気を持ち直さないと」
パンと頬を両手で叩き、気合いを入れなおす。思いのほか痛かった。
「それに・・・」
ミントが呟く。とても小さな声で。
「え?何か言った?ミントさん」
あまりの小ささに聞き取れなかったのでカイルは問いただすが、
「いいえ、何でもありませんよ」
と茶を濁して歩き出す。
「早くしないと置いていってしまいますよ~」
カイルを急かす。後ろからは「待ってよ~」という嘆きが聞こえてくる。
言って、ミントは
「では参りましょうかw」
なんてニコッとした天使のような微笑みをカイルに向けた。
「え・・・いや、あの」
あまりの呆気なさに困惑するカイル。
恐る恐るミントに声をかける。
「反対してたんじゃ・・・」
だがミントは「いえ」と言って、
「ただ私はシースリ村というところが人でいっぱいになってしまいます。と言いたかっただけです」
間の抜けた声で出発の準備をする。
カイルは開いた口が塞がらない。
(もしかして・・・俺の思い込み!?)
カイルはがっくりと肩を落とす。あまりに自分が真剣すぎたせいで彼女の雰囲気がものすごいぽわんとしていて・・・。
「ダメだ・・・気を持ち直さないと」
パンと頬を両手で叩き、気合いを入れなおす。思いのほか痛かった。
「それに・・・」
ミントが呟く。とても小さな声で。
「え?何か言った?ミントさん」
あまりの小ささに聞き取れなかったのでカイルは問いただすが、
「いいえ、何でもありませんよ」
と茶を濁して歩き出す。
「早くしないと置いていってしまいますよ~」
カイルを急かす。後ろからは「待ってよ~」という嘆きが聞こえてくる。
それに・・・
「カイル君ならそう言うと思ってましたから」
今度も本当に小さな声でミントはそう呟いた。
「カイル君ならそう言うと思ってましたから」
今度も本当に小さな声でミントはそう呟いた。
晴れてカイルは英雄なんて称号にこだわらず
自分の意志を貫く決意を手に入れた
だが完全に英雄を捨てたわけではない
彼は一人の少女の英雄であることに変わりはないのだ
自分の意志を貫く決意を手に入れた
だが完全に英雄を捨てたわけではない
彼は一人の少女の英雄であることに変わりはないのだ
【カイル・デュナミス 生存確認】
状態:全身に軽い打撲 (ほぼ完治)
所持品:鍋の蓋、フォースリング、ラビッドシンボル (黒)
第一行動方針: 声の主の所に行く
第ニ行動方針:リアラとの再会
第三行動方針:父との再会
第四行動方針:仲間との合流
現在位置:F3草原
状態:全身に軽い打撲 (ほぼ完治)
所持品:鍋の蓋、フォースリング、ラビッドシンボル (黒)
第一行動方針: 声の主の所に行く
第ニ行動方針:リアラとの再会
第三行動方針:父との再会
第四行動方針:仲間との合流
現在位置:F3草原
【ミント 生存確認】
状態:健康 TP2/3
所持品:ホーリースタッフ サンダーマント
第一行動方針:シースリ村に向かう
第二行動方針:仲間と合流
現在位置:F3草原
状態:健康 TP2/3
所持品:ホーリースタッフ サンダーマント
第一行動方針:シースリ村に向かう
第二行動方針:仲間と合流
現在位置:F3草原