Re・Birth
彼女たちが目を覚ましたのはここが魔女の釜の底と化し
その釜が塵と失せてからしばらく後でのことである。
2人は目を見張った。最後に見た景色と真逆だったから。
金髪の少女、コレットはふと上を見上げる。空は高く、何処までも青い。
その釜が塵と失せてからしばらく後でのことである。
2人は目を見張った。最後に見た景色と真逆だったから。
金髪の少女、コレットはふと上を見上げる。空は高く、何処までも青い。
ここは確か部屋だったはずだ。コレットは記憶を辿る。
襲われた夜、堕とされかけた体、助けに来てくれた剣士、傷付いていく剣士、
守り通してくれた剣士、死の淵の剣士、そして―――
ふと最後の記憶に顔を赤らめる。あの時は彼を助けるため無我夢中だったが
流石に彼女は少女、今思えば気恥ずかしいものだったのだろう。
嫌悪感とかそう言った類のものではなかろうが。
普通なら両の手を頬に当てるのだろうが、後ろに回った手枷の為にそれは叶わない。
そうだ、あの剣士は―――そう思ったところ思考は中断された。
自分の横にいた少女が信じられないものを見ているかのような目をしていたからだ。
襲われた夜、堕とされかけた体、助けに来てくれた剣士、傷付いていく剣士、
守り通してくれた剣士、死の淵の剣士、そして―――
ふと最後の記憶に顔を赤らめる。あの時は彼を助けるため無我夢中だったが
流石に彼女は少女、今思えば気恥ずかしいものだったのだろう。
嫌悪感とかそう言った類のものではなかろうが。
普通なら両の手を頬に当てるのだろうが、後ろに回った手枷の為にそれは叶わない。
そうだ、あの剣士は―――そう思ったところ思考は中断された。
自分の横にいた少女が信じられないものを見ているかのような目をしていたからだ。
彼女は誰なのかを考える前に釣られてそちらを見てしまった。
彼女は目がいい、異常な程に。視界の先で倒れている彼と同様に。
彼女は目がいい、異常な程に。視界の先で倒れている彼と同様に。
「「クラトスさん!!」」2人が彼の名を呼んだのはほぼ同時だった。
2人は駆け寄る。すでに息絶えた骸の前に。泣きながら声をかけるが返事などあろうはずもない。
耐えられなくなって地下(今はもう地下ではないが)を出た、誰かいないのか、誰か、そうだ
サレさんは?あの人はきっと―――
サレはいた、かろうじてサレと判別できる程度だったが。
2人は恐慌した、特ににリアラの恐れはコレットの比ではない。
彼女の世界の最強の敵、バルバトス・ゲーティアを同時に見つけたからだ。
リアラは自身の理解の限界に達したのか、顔面蒼白になりその場に座り込んでしまった。
一度襲われたことのあるコレットも精神的に限界寸前になっていた。
辺りを見回した。あの時も自分を守ってくれた剣士、クレス・アルベインの姿を見つけようと。
その視力でコレットは見つけた、クレスではない。
バルバトスと共に襲ってきた最凶の敵、五聖刃のマグニスの遺体を見つけたのだ。
コレットは少し遅れてリアラの感情を共有し、脱力、座り込む2人。
もしここに誰か一人でも来たら2人はあっという間に命を失っていただろう。
それ以前に彼女たちが休息の直後でなかったら
心身衰弱した彼女たちにはこの惨状に耐えられなかったはずだ。
心を病まなかっただけ救いだったといえるかもしれない。
耐えられなくなって地下(今はもう地下ではないが)を出た、誰かいないのか、誰か、そうだ
サレさんは?あの人はきっと―――
サレはいた、かろうじてサレと判別できる程度だったが。
2人は恐慌した、特ににリアラの恐れはコレットの比ではない。
彼女の世界の最強の敵、バルバトス・ゲーティアを同時に見つけたからだ。
リアラは自身の理解の限界に達したのか、顔面蒼白になりその場に座り込んでしまった。
一度襲われたことのあるコレットも精神的に限界寸前になっていた。
辺りを見回した。あの時も自分を守ってくれた剣士、クレス・アルベインの姿を見つけようと。
その視力でコレットは見つけた、クレスではない。
バルバトスと共に襲ってきた最凶の敵、五聖刃のマグニスの遺体を見つけたのだ。
コレットは少し遅れてリアラの感情を共有し、脱力、座り込む2人。
もしここに誰か一人でも来たら2人はあっという間に命を失っていただろう。
それ以前に彼女たちが休息の直後でなかったら
心身衰弱した彼女たちにはこの惨状に耐えられなかったはずだ。
心を病まなかっただけ救いだったといえるかもしれない。
しばらくした後、リアラはコレットに話しかけた。名前を、クラトスと行動していたことを、
サレにコレットの話を聞いて助けに来たことを。コレットも話をした。サレと出会ったこと、
、クレスに出会ったこと、暴走した男性、仲間のシルエット、現れる最強の2人、
死んだ仲間、悪漢に襲われこの城に来たこと、命がけでクレスが守ってくれたこと。
恐怖を共有したことがほぼ初対面の2人の距離を縮めた。年端が近いことも一役買っていた。
まるで互いの恐怖を慰めようと夢中で話す、自分の世界のことまでも。
知らない人から見れば2人は十分に友達に見えるだろう。
サレにコレットの話を聞いて助けに来たことを。コレットも話をした。サレと出会ったこと、
、クレスに出会ったこと、暴走した男性、仲間のシルエット、現れる最強の2人、
死んだ仲間、悪漢に襲われこの城に来たこと、命がけでクレスが守ってくれたこと。
恐怖を共有したことがほぼ初対面の2人の距離を縮めた。年端が近いことも一役買っていた。
まるで互いの恐怖を慰めようと夢中で話す、自分の世界のことまでも。
知らない人から見れば2人は十分に友達に見えるだろう。
精神の均衡を取り戻した2人は瓦礫の中を探索する。
手枷つけたコレットはうまく物を持てないため実質リアラが運ぶ。
正確には手伝ったのだが、リアラに遠まわしに遠慮された。無論コレットは気づかない。
(リーガルさんもこんなに不便だったのかな…)
コレットは少し思い出す、本当の手枷の持ち主を、旅をしたあの頃を。
(でも、もうしいなは、クラトスさんは!!!)
もう帰ってこないあの頃。コレットは嫌悪する。無力で何もできない自分に。
更なる事実を彼女はまだ知らない。聞いていない。
手枷つけたコレットはうまく物を持てないため実質リアラが運ぶ。
正確には手伝ったのだが、リアラに遠まわしに遠慮された。無論コレットは気づかない。
(リーガルさんもこんなに不便だったのかな…)
コレットは少し思い出す、本当の手枷の持ち主を、旅をしたあの頃を。
(でも、もうしいなは、クラトスさんは!!!)
もう帰ってこないあの頃。コレットは嫌悪する。無力で何もできない自分に。
更なる事実を彼女はまだ知らない。聞いていない。
見つけたものは5種。
フランヴェルジュ、オーガアクス、ピヨチェック、苦無1本。
そしてすでに弾切れとなった銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲の前にそれらを集めた。
その他のものは食料含めて破損がひどく、とても使用ができるとは思えなかった。
尤も、無事なものも彼女たちの細腕ではどれも使えたものではない、はずだった。
フランヴェルジュ、オーガアクス、ピヨチェック、苦無1本。
そしてすでに弾切れとなった銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲の前にそれらを集めた。
その他のものは食料含めて破損がひどく、とても使用ができるとは思えなかった。
尤も、無事なものも彼女たちの細腕ではどれも使えたものではない、はずだった。
「やっぱり、サレさんも、クラトスさんも、クレスさんも…」
「うん…」
「うん…」
一通り調べて2人がたどり着いた結論。
リアラが眠りについた後マグニスとバルバトスがここを襲撃。
彼女たちを守るためにクラトス、サレが応戦、先に目が覚めたクレスも
剣を取り戦いに身を投じ、戦闘の果てにクラトスを残して相討ちになった。
その後起こった何かから私たちを守るためにクラトスが天使の力を解放した、
というものだった。
クレスの剣や遺体がない事や1本を残して破損した苦無の存在、
クラトスが持っていたはずのもう一振が無いことなど疑問は多々あるのだが。
クレスは一人逃げ出すような人間ではないというコレットの証言と
苦無はマグニスかバルバトスが隠して持っていた 、という推察から
そう結論付けた。リアラはクラトスのもう一振りを使っている
所を見たことが無かったため深く疑問視しなかった。
リアラが眠りについた後マグニスとバルバトスがここを襲撃。
彼女たちを守るためにクラトス、サレが応戦、先に目が覚めたクレスも
剣を取り戦いに身を投じ、戦闘の果てにクラトスを残して相討ちになった。
その後起こった何かから私たちを守るためにクラトスが天使の力を解放した、
というものだった。
クレスの剣や遺体がない事や1本を残して破損した苦無の存在、
クラトスが持っていたはずのもう一振が無いことなど疑問は多々あるのだが。
クレスは一人逃げ出すような人間ではないというコレットの証言と
苦無はマグニスかバルバトスが隠して持っていた 、という推察から
そう結論付けた。リアラはクラトスのもう一振りを使っている
所を見たことが無かったため深く疑問視しなかった。
クラトスはサレを疑っていたのだが、やはりいい人だったのだ。
「いい人も、悪い人も何で亡くなっちゃうんだろう?」
「コレット…」
「コレット…」
リアラにかける言葉は見つからなかった。事実だからだ。善人、悪人、強者、弱者
みな等しく、確実にいなくなっている。もはや弱肉強食の形すら成り立ってない。
リアラは目を閉じる。自分の仲間たちを、既に1人は居なくなってしまった。
しかし、まだ心を折るわけにはいかない。ハロルドに、ジューダスに、そして、
カイルに会うのだ。なんとしても生きて、生きて帰るのだと、強く思う。
しかしコレットにかける言葉が見つからない。放送と彼女の仲間の話を聞く限り、
彼女の仲間はもう一人しか残っていない。 言葉に窮したリアラは目を伏せた。
目を伏せたその先に、綺麗な石を見つける。吸い込まれそうなその輝きに導かれ
石を拾い、手にかざし、見つめる。榴弾砲から外れた、エクスフィアを。
みな等しく、確実にいなくなっている。もはや弱肉強食の形すら成り立ってない。
リアラは目を閉じる。自分の仲間たちを、既に1人は居なくなってしまった。
しかし、まだ心を折るわけにはいかない。ハロルドに、ジューダスに、そして、
カイルに会うのだ。なんとしても生きて、生きて帰るのだと、強く思う。
しかしコレットにかける言葉が見つからない。放送と彼女の仲間の話を聞く限り、
彼女の仲間はもう一人しか残っていない。 言葉に窮したリアラは目を伏せた。
目を伏せたその先に、綺麗な石を見つける。吸い込まれそうなその輝きに導かれ
石を拾い、手にかざし、見つめる。榴弾砲から外れた、エクスフィアを。
「ねえ、これって何かしら?」
リアラはコレットに尋ねる。コレットは気だるそうに彼女の差し出したものを見る。
「それは、エクスフィア…」
コレットは少し驚いてたようにそれを見る。彼女が知るものがここにある。
「知っているの?教えてくれる?」
リアラは新しい話題に飛びつく。自身としてもこの重苦しい雰囲気を脱したかったのだろう。
「んとね、私の友達から聞いた話なんだけどね。」
リアラはコレットに尋ねる。コレットは気だるそうに彼女の差し出したものを見る。
「それは、エクスフィア…」
コレットは少し驚いてたようにそれを見る。彼女が知るものがここにある。
「知っているの?教えてくれる?」
リアラは新しい話題に飛びつく。自身としてもこの重苦しい雰囲気を脱したかったのだろう。
「んとね、私の友達から聞いた話なんだけどね。」
「エクスフィアっーのは俺たち人間の力を引き出してくれる鉱石なんだ。でも
直接肌につけると毒なんだよ。でも体に直接付けないと 効果が無い。
だから要の紋、抑制鉱石にドワーフの呪紋を彫ったものをセットにして
毒を抑制しながら装備するんだ。要の紋無しで付けちまったら?
別に直ぐ外せばいーよ。 まあ牧場の、ハーフエルフに捕まった人は
体に直接埋め込まれてるらしいけど、そんなのは取り外すだけでも危険だからなー
要の紋のアクセサリを一緒に付けて土台代わりにするしかないんじゃ――ってどうしたの?」
直接肌につけると毒なんだよ。でも体に直接付けないと 効果が無い。
だから要の紋、抑制鉱石にドワーフの呪紋を彫ったものをセットにして
毒を抑制しながら装備するんだ。要の紋無しで付けちまったら?
別に直ぐ外せばいーよ。 まあ牧場の、ハーフエルフに捕まった人は
体に直接埋め込まれてるらしいけど、そんなのは取り外すだけでも危険だからなー
要の紋のアクセサリを一緒に付けて土台代わりにするしかないんじゃ――ってどうしたの?」
コレットは隣のリアラがやけに嬉しそうな顔をしていることに気付き、講談を止めた。
「あ、ごめんなさい。何でもないの、ただちょっと。「ちょっと?」
「とても楽しそうに喋ってるからつい。」
コレットは自覚した、ロイドのことを思い出して明るくなっている自分を。
そして同時に恥ずかしくなった。自分の置かれてる立場を一時でも忘れ浮かれている自分を。
思考をネガティブにループさせる前に、察したリアラは話題を変えてくれた。
「そ、それじゃ使えないね。その、要の紋っていうのが無いし、残念だね。」
「ん、別に体につけなくても道具とか武器とかなら要の紋無しでも大丈夫なんだけど。」
「あ、ごめんなさい。何でもないの、ただちょっと。「ちょっと?」
「とても楽しそうに喋ってるからつい。」
コレットは自覚した、ロイドのことを思い出して明るくなっている自分を。
そして同時に恥ずかしくなった。自分の置かれてる立場を一時でも忘れ浮かれている自分を。
思考をネガティブにループさせる前に、察したリアラは話題を変えてくれた。
「そ、それじゃ使えないね。その、要の紋っていうのが無いし、残念だね。」
「ん、別に体につけなくても道具とか武器とかなら要の紋無しでも大丈夫なんだけど。」
コレットはリアラの武器を見る。ロリホップ、特大のペロペロキャンディのような
それの何処を見渡しても石を填められそうな部分は見当たらない。
「で、でももしかしたら他の武器にはめられるかも、あっ!!」
忘れていたこと総じて3つ。
剣や斧にはめてもリアラには到底使いこなせないことが1つ。
彼女が手枷を後ろにつけていたことが1つ。
そして、彼女がドジっ娘であったことが1つ。
それの何処を見渡しても石を填められそうな部分は見当たらない。
「で、でももしかしたら他の武器にはめられるかも、あっ!!」
忘れていたこと総じて3つ。
剣や斧にはめてもリアラには到底使いこなせないことが1つ。
彼女が手枷を後ろにつけていたことが1つ。
そして、彼女がドジっ娘であったことが1つ。
手に入れた武器に手を出そうとして、結果リアラを巻き込んで
盛大に転んでしまった。倒れる方向に壁があったら問答無用で貫いていただろう。
しかし、先にあったのはロリポップとエクスフィア。
「いたたた…リアラ、大丈夫?怪我は…あ。」
「うん、こちらこそごめん…え?」
ふたりの目が同じものを捕らえる。ロリポップのど真ん中に埋まってしまった、
エクスフィアを。
「くっついてるね。」「うん…」
「取れないね。」「うん…」
「どうしよう?」「えっと…」
盛大に転んでしまった。倒れる方向に壁があったら問答無用で貫いていただろう。
しかし、先にあったのはロリポップとエクスフィア。
「いたたた…リアラ、大丈夫?怪我は…あ。」
「うん、こちらこそごめん…え?」
ふたりの目が同じものを捕らえる。ロリポップのど真ん中に埋まってしまった、
エクスフィアを。
「くっついてるね。」「うん…」
「取れないね。」「うん…」
「どうしよう?」「えっと…」
数秒の沈黙、そして。
「「フフ…フ…あはっははっはっはははっははは―――」」
大笑。このゲーム始まって以来の、悪意の無い大笑い。
思えばゲームが始まって24時間、あまりにいろんなことがありすぎて
こんな静かな時間は無かったかもしれない。ありえるはずのない安らかな日差し。
「「フフ…フ…あはっははっはっはははっははは―――」」
大笑。このゲーム始まって以来の、悪意の無い大笑い。
思えばゲームが始まって24時間、あまりにいろんなことがありすぎて
こんな静かな時間は無かったかもしれない。ありえるはずのない安らかな日差し。
「リアラ、励ましてくれてありがとう。元気が出たよ。まだ大丈夫、
ジーニアスにも、ゼロスにも、ロイドにもまだ出会ってないんだもん
まだこんなトコでへこたれてちゃ駄目だよね?うん。
じゃあここから…どうかしたのリアラ?」
ジーニアスにも、ゼロスにも、ロイドにもまだ出会ってないんだもん
まだこんなトコでへこたれてちゃ駄目だよね?うん。
じゃあここから…どうかしたのリアラ?」
活力溢れんばかりといったコレットに対し、リアラの表情はなんとも切羽詰ったような顔つきだ。
「どういうこと?もしかして生き返らせる方法があるの?」
「え?」
リアラはここまで言ってようやく自分の失言を理解し、
コレットも知っていると考えていた自分を恥じた。 コレットは聞いていないのだ。
放送を、禁止エリアを、この12時間の結果を、知らなかった。
しかし、こで口を噤んだ所でその意味を推し量れないほどコレットは鈍感ではない。
コレットも知っていると考えていた自分を恥じた。 コレットは聞いていないのだ。
放送を、禁止エリアを、この12時間の結果を、知らなかった。
しかし、こで口を噤んだ所でその意味を推し量れないほどコレットは鈍感ではない。
「どういうこと…生き返らせるって…」
「…クラトスさんがあなたの治療をしている間に放送が流れたの。」
「…クラトスさんがあなたの治療をしている間に放送が流れたの。」
コレットの気迫にリアラは観念した。なるだけ主観を交えぬよう事実を伝える。
既にいない、彼らの結果。それを聞いた後、コレットは何とも言えない状態になった。
喜怒哀楽、言葉ではいえないようなその顔にリアラは押し黙った。
既にいない、彼らの結果。それを聞いた後、コレットは何とも言えない状態になった。
喜怒哀楽、言葉ではいえないようなその顔にリアラは押し黙った。
なんで?なんで?なんで?コレットの頭に疑問が浮かんでは消える。
議題は「なんで彼らが死んで私は生きているのか」
自己犠牲や自虐は彼女の性格ではあるのだが。今回の場合は度合いが違った。
もう仲間残った仲間はロイドしかいないという事実。
(しいなの方が、ジーニアスの方が、ゼロスの方が、クラトスさんの方が、私なんかより)
コレットの思考が、自虐から自害に変わるのは時間の問題だったが、先に状況が動いた。
議題は「なんで彼らが死んで私は生きているのか」
自己犠牲や自虐は彼女の性格ではあるのだが。今回の場合は度合いが違った。
もう仲間残った仲間はロイドしかいないという事実。
(しいなの方が、ジーニアスの方が、ゼロスの方が、クラトスさんの方が、私なんかより)
コレットの思考が、自虐から自害に変わるのは時間の問題だったが、先に状況が動いた。
「!!」
コレットは急に東の方を向いた。目を閉じ、聴覚に集中し、自虐は一時思考から排除する。
「誰か、こっちに来てる?…一人じゃない…2,3人?それに…
それにこの音、誰か走ってる?北に?ほかにも…だめ、ノイズが酷くて分かんない。」
「コレット…」リアラもコレットの表情から警戒を強めた。
コレットは急に東の方を向いた。目を閉じ、聴覚に集中し、自虐は一時思考から排除する。
「誰か、こっちに来てる?…一人じゃない…2,3人?それに…
それにこの音、誰か走ってる?北に?ほかにも…だめ、ノイズが酷くて分かんない。」
「コレット…」リアラもコレットの表情から警戒を強めた。
2人は短時間で状況を考える。この城の有様を見る限りとても大規模な術、
コレットが言うにはクラトスが天使術を使ったものだという。
城を吹き飛ばすほどの術が発動したのに私たちはこんな時間まで眠っていた。
本来なら術を目撃した人間が来ている筈なのに。つまり、それ以上の何かが
どこかで今、あるいは既に起こっている。情報が無い以上それは置いておき、
そんな中あえてこちらに来ている人間。いい人か、あるいは―――ともかく
かなり知性派のパーティが来ている。
本来の彼女たちなら迷わず人を信じたのだろう。しかし、今の彼女たちは
自分たちにあえて苦言を呈してくれた人たちの死の上に立っている。
その意識が、2人を疑わせていた。マーダーの可能性を。
もしそうならかなり不味い。睡眠を取って大分回復したとはいえ術系の少女と
手枷をつけた少女。もう守ってくれる人はいない。勝敗は火を見るより明らか。
コレットが言うにはクラトスが天使術を使ったものだという。
城を吹き飛ばすほどの術が発動したのに私たちはこんな時間まで眠っていた。
本来なら術を目撃した人間が来ている筈なのに。つまり、それ以上の何かが
どこかで今、あるいは既に起こっている。情報が無い以上それは置いておき、
そんな中あえてこちらに来ている人間。いい人か、あるいは―――ともかく
かなり知性派のパーティが来ている。
本来の彼女たちなら迷わず人を信じたのだろう。しかし、今の彼女たちは
自分たちにあえて苦言を呈してくれた人たちの死の上に立っている。
その意識が、2人を疑わせていた。マーダーの可能性を。
もしそうならかなり不味い。睡眠を取って大分回復したとはいえ術系の少女と
手枷をつけた少女。もう守ってくれる人はいない。勝敗は火を見るより明らか。
「ロイド…!!」
絶対的な危機を前に彼女は強く彼を思い、そして見つけた。ロイドからの誕生日プレゼント。
心を失った彼女を助けるためにロイドがくれた、要の紋のペンダントを。
そして見つけた。最後に残った、戦う心を。
絶対的な危機を前に彼女は強く彼を思い、そして見つけた。ロイドからの誕生日プレゼント。
心を失った彼女を助けるためにロイドがくれた、要の紋のペンダントを。
そして見つけた。最後に残った、戦う心を。
「ねえ。リアラって、好きな人いる?」
(ごめんロイド、私のせいでいろんな人が傷ついちゃったよ。)
「こんなときに何を言って「いる?」…うん、まだ無事、だと思う。」
(ごめんロイド、私のせいでいろんな人が傷ついちゃったよ。)
「こんなときに何を言って「いる?」…うん、まだ無事、だと思う。」
「そう、わたしもいるんだ。まだ無事だと思う。」
(しいなも、ジーニアスも、ゼロスも、クラトスさんも護れなかった。)
「…そう。」
(しいなも、ジーニアスも、ゼロスも、クラトスさんも護れなかった。)
「…そう。」
「会えるといいね?ううん、絶対会えるよ。保証する。」
(私を護ってくれた人も、みんな護れなかった。)
「ありがとう。でもあなたもきっと会えるよ。」
(私を護ってくれた人も、みんな護れなかった。)
「ありがとう。でもあなたもきっと会えるよ。」
「…そだね。ひとつお願い聞いてくれるかな?このペンダント、預かって欲しいんだ。」
(力が無いのって、こんなに辛かったんだね。)
「…??うん、いいけど。」
作業開始。
(力が無いのって、こんなに辛かったんだね。)
「…??うん、いいけど。」
作業開始。
「ありがとう。リアラは地下に隠れてて。あなたは私が護る。絶対に約束する。」
(でも、この子だけは、絶対護ってみせる。)
「コレット?」
味覚停止・生体組織を最適化。
(でも、この子だけは、絶対護ってみせる。)
「コレット?」
味覚停止・生体組織を最適化。
「だから、あなたは、あなたのままでいて。あなたの思うように生きて。」
(でも、このままじゃ、何も護れないから。)
「コレット!!何を!!」
感覚神経、カット。生体時間を極限まで低速した後、停止。
(でも、このままじゃ、何も護れないから。)
「コレット!!何を!!」
感覚神経、カット。生体時間を極限まで低速した後、停止。
「あ、もう一つお願い…ってもう3個目だよ。図々しいけど最後の一つ聞いてくれるかな?
初めて同い年位の人に会えて、嬉しかったんだ。だ、から… 」
(許してくれるかな?許してくれないだろな。でもね、信じてるよ。)
「あ……ああ…」
発声機能、停止開始。後天性天使翼強制開放。感情停止開始。自我レベルを極限まで減衰。
初めて同い年位の人に会えて、嬉しかったんだ。だ、から… 」
(許してくれるかな?許してくれないだろな。でもね、信じてるよ。)
「あ……ああ…」
発声機能、停止開始。後天性天使翼強制開放。感情停止開始。自我レベルを極限まで減衰。
「嫌いに、な…いで………」
(――ド。)
感情停止完了。天使化全工程、終了。
(――ド。)
感情停止完了。天使化全工程、終了。
辺りが、一瞬光に包まれる。終わったとき、光の中心には少女が頭を垂れていた。
「コレット、大丈――」
リアラが慌ててコレットに寄ろうとした時。コレットに異常が起きた。
背中から聞こえる「びき」という音。手枷を外そうと、否、壊そうとしていた。
彼女は大の男を片手で軽々と持ち上げるほどの力持ちである。その彼女が壊せなかった
手枷を今更壊そうとしている。彼女に手枷は壊せない、今までの彼女には。
続いて「みし」、とか「プチ」、などの音が断続的に聞こえる。自身の筋繊維を破壊しながら
手枷に亀裂を走らせる。バキンと 音がして手枷の接合部は壊された。
コレットの手首は骨に損傷は無いものの 内外の出血で真っ赤になっている。
成り行きをただ見ているしかなかったリアラは慌てて治癒を施そうとした、が。
バチッ!!
近づけたその手を無造作に跳ね除ける。いや、殴ると叩くの中間といったところか。
リアラは反射的に手をさする。その顔は驚きを隠せない。
リアラはようやく気付いた。コレットはこうなることが分かっててこうなった。
私ではペンダントを返せないことも、理解したうえでこうなることを決意した。
しかしコレットはそんなこと蚊ほどにも思っていないかの様に
武器に目を向ける。苦無をさっと拾い残りの武器を見る。
剣ではない、斧でもない、銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲に目をつけ、
持ち上げる。持ち上げるだけならまだしも、それを縦横無尽に振ってみせる。どうやら
手枷を壊すよりこちらの方が簡単な様で、これを武器と決めたらしい。
「コレット、大丈――」
リアラが慌ててコレットに寄ろうとした時。コレットに異常が起きた。
背中から聞こえる「びき」という音。手枷を外そうと、否、壊そうとしていた。
彼女は大の男を片手で軽々と持ち上げるほどの力持ちである。その彼女が壊せなかった
手枷を今更壊そうとしている。彼女に手枷は壊せない、今までの彼女には。
続いて「みし」、とか「プチ」、などの音が断続的に聞こえる。自身の筋繊維を破壊しながら
手枷に亀裂を走らせる。バキンと 音がして手枷の接合部は壊された。
コレットの手首は骨に損傷は無いものの 内外の出血で真っ赤になっている。
成り行きをただ見ているしかなかったリアラは慌てて治癒を施そうとした、が。
バチッ!!
近づけたその手を無造作に跳ね除ける。いや、殴ると叩くの中間といったところか。
リアラは反射的に手をさする。その顔は驚きを隠せない。
リアラはようやく気付いた。コレットはこうなることが分かっててこうなった。
私ではペンダントを返せないことも、理解したうえでこうなることを決意した。
しかしコレットはそんなこと蚊ほどにも思っていないかの様に
武器に目を向ける。苦無をさっと拾い残りの武器を見る。
剣ではない、斧でもない、銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲に目をつけ、
持ち上げる。持ち上げるだけならまだしも、それを縦横無尽に振ってみせる。どうやら
手枷を壊すよりこちらの方が簡単な様で、これを武器と決めたらしい。
「コレット。私、信じてるから。」
リアラは残りの武器を集め、そう言い残して元地下に入っていった。
コレットに聞こえているかは分からない。それでも言わずにはいられなかった。
リアラは残りの武器を集め、そう言い残して元地下に入っていった。
コレットに聞こえているかは分からない。それでも言わずにはいられなかった。
まったくのノーリアクションでコレットは北東を、舞台の全景を見据える。
今の彼女なら北の惨劇も、東の地獄も聞こえるのか。
天使としての鋭敏な感覚が何を突いたか、しかしその瞳は赤黒く淀んでいる。
彼女の仲間が見ればどうなったか一目で分かるだろう。
世界の為に己の全てを犠牲にした少女の成れの果て、
今の彼女なら北の惨劇も、東の地獄も聞こえるのか。
天使としての鋭敏な感覚が何を突いたか、しかしその瞳は赤黒く淀んでいる。
彼女の仲間が見ればどうなったか一目で分かるだろう。
世界の為に己の全てを犠牲にした少女の成れの果て、
マーテルの器、無機生命体、再誕スピリチュア。
天使コレットの覚醒である。
天使コレットの覚醒である。
彼には選択肢がある。
ここに、来るか否か。
ここに、来るか否か。
どちらにしても結果は決まっている。
彼の手の内にその黒き災厄の象徴が佇む限り。
彼の手の内にその黒き災厄の象徴が佇む限り。
不幸が待っている。
【リアラ 生存確認】
状態: TP1/3まで回復 困惑
所持品:エクスフィア強化ロリポップ 料理大全 フルールポンチ1/2人分 ????
フランヴェルジュ、オーガアクス、ピヨチェック 、要の紋
第一行動方針:この場をやり過ごす
第二行動方針:カイルを探す
第三行動方針:避けられない戦いは戦う
現在位置:E2の城跡元地下拷問部屋
状態: TP1/3まで回復 困惑
所持品:エクスフィア強化ロリポップ 料理大全 フルールポンチ1/2人分 ????
フランヴェルジュ、オーガアクス、ピヨチェック 、要の紋
第一行動方針:この場をやり過ごす
第二行動方針:カイルを探す
第三行動方針:避けられない戦いは戦う
現在位置:E2の城跡元地下拷問部屋
【コレット 生存確認】
状態: TP3/4 無機生命体化 (疲労感・精神力磨耗無視)
所持品:銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲(残弾0) 、苦無(残り1)
基本行動方針:防衛本能(攻撃意思に対する完全抹殺及び不明瞭な干渉に対する威嚇)
第一行動方針:非戦闘状態ではリアラに同行する。
第二行動方針:同状態でリアラを完全に見失った場合リアラを捜索する。
第三行動方針:???
現在位置:E2の城跡
状態: TP3/4 無機生命体化 (疲労感・精神力磨耗無視)
所持品:銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲(残弾0) 、苦無(残り1)
基本行動方針:防衛本能(攻撃意思に対する完全抹殺及び不明瞭な干渉に対する威嚇)
第一行動方針:非戦闘状態ではリアラに同行する。
第二行動方針:同状態でリアラを完全に見失った場合リアラを捜索する。
第三行動方針:???
現在位置:E2の城跡
無機生命体の解説
- 五感のうちの触覚(痛覚含む)、味覚の欠落 。及び残りの感覚の強化。
- 発声不可能
- 感情(倫理観含む)の欠落
- 生体時間の停止により睡眠、食事が不要
- 睡眠・休息不可のため非戦闘状態では休憩の2分の1ペースでTP回復。
- 必要ならば身体の損傷を無視して限界以上の力(AT、体力)を発揮可能。
- 術技は問題なく使用可能(詠唱時間は要るが詠唱は必要ない)
- 損傷・回復は通常通りに行われる(HP自動回復やDFが強化されているわけではない)
- ドジっ娘ではない
- 自我の状態に関しては原作に準拠