query→flash,and the will
「ヴェイグ…といったか?」
「…何だ?」
「…何だ?」
二人の人物が、森に隠れていた。
彼らは共に行動していた仲間と別れ、今に至る。
その二人の内の片方、ジューダスは木にもたれ座る青年ヴェイグに声をかけた。
ロイド達のことが気にかかっているのは、隠すまでもない。
しかし、放送のあった村に向かえば、間違いなく死ぬ確率は高くなる。
自分はまだ倒れる訳にはいかない。
ロイド達の安否を極力考えないように、とジューダスは会話を始めたのである。
もとより、先程から感じていた疑問を問い掛けるためでもあった。
彼らは共に行動していた仲間と別れ、今に至る。
その二人の内の片方、ジューダスは木にもたれ座る青年ヴェイグに声をかけた。
ロイド達のことが気にかかっているのは、隠すまでもない。
しかし、放送のあった村に向かえば、間違いなく死ぬ確率は高くなる。
自分はまだ倒れる訳にはいかない。
ロイド達の安否を極力考えないように、とジューダスは会話を始めたのである。
もとより、先程から感じていた疑問を問い掛けるためでもあった。
「お前が先程使った氷の術、あれは何だ?」
術、という単語を不思議そうな表情で聞くも、ヴェイグは、
「あれはフォルスという…。フォルスといっても色々な種類がある。俺のは氷だ」
と説明する。
「…術、ではないのか?」
「フォルスも術に用いることは出来るが…基本的には違う」
「フォルスも術に用いることは出来るが…基本的には違う」
そしてヴェイグは何よりも、自分が術──彼の世界でいう、導術や陣術と呼ばれるものを使えないと付け加えた。
何より、フォルスは「心の力」だからな、とも。
何より、フォルスは「心の力」だからな、とも。
「じゃあお前はマナの流れを感じないのか?」
「フォルスを発動させる直前、少し感じるくらいだ。…もっとも」
「…もっとも?」
「フォルス…というのは、感情が激しくなると暴走する可能性もある…。その時はマナとやらを沢山感じられると思う。それに、マナという本来は必要ないものを必要とするから…能力者に何らかの影響があるかもしれない」
「…なるほど」
「…もっとも?」
「フォルス…というのは、感情が激しくなると暴走する可能性もある…。その時はマナとやらを沢山感じられると思う。それに、マナという本来は必要ないものを必要とするから…能力者に何らかの影響があるかもしれない」
「…なるほど」
今の言葉でジューダスの疑問は晴れた。
先にヴェイグから攻撃された時…あの時、氷を発生させて攻撃してきたのにも関わらず、マナの流れが皆無と言ってもいい程しか感じられなかったのだ。
それをあの時から気にしていた。
ヴェイグの説明によればフォルス自体は厳密に言えば術ではない事と、
元々マナを必要としない事から、比較的使用せずに済むのだろう。
…この世界のマナは複雑だ。恐らく、正しい型ではない。
本来いるべき場所から外れながらも、居場所を探す迷子のようなものだ。
あらゆる異世界の、あらゆる術に対応するために無理矢理織り交ぜたもの。
例えるなら色で、このマナの色彩は様々な色を混ぜた結果、何と表現していいかも分からないような色彩と化してしまったのだろう。
心なしか、不安定さも感じるのである。
先にヴェイグから攻撃された時…あの時、氷を発生させて攻撃してきたのにも関わらず、マナの流れが皆無と言ってもいい程しか感じられなかったのだ。
それをあの時から気にしていた。
ヴェイグの説明によればフォルス自体は厳密に言えば術ではない事と、
元々マナを必要としない事から、比較的使用せずに済むのだろう。
…この世界のマナは複雑だ。恐らく、正しい型ではない。
本来いるべき場所から外れながらも、居場所を探す迷子のようなものだ。
あらゆる異世界の、あらゆる術に対応するために無理矢理織り交ぜたもの。
例えるなら色で、このマナの色彩は様々な色を混ぜた結果、何と表現していいかも分からないような色彩と化してしまったのだろう。
心なしか、不安定さも感じるのである。
しかし、そうでありながら、マナは正常に機能している。
よくもまあ狂ったり暴発したりしないものだ。
よくもまあ狂ったり暴発したりしないものだ。
──…暴発?
自分の頭に自然と浮かんできた言葉に、更なる疑問を覚える。
暴発はない。それは術を使う上ではのこと。
だが、あるのではないか? 何らかの方法を使えば。
こんな複雑に絡み合ったものが、簡単にほどける訳がない。
では、それは一体?
暴発はない。それは術を使う上ではのこと。
だが、あるのではないか? 何らかの方法を使えば。
こんな複雑に絡み合ったものが、簡単にほどける訳がない。
では、それは一体?
「ヴェイグ」
「…?」
「もう少し様子を見たら、移動を開始したい」
「…?」
「もう少し様子を見たら、移動を開始したい」
突然の言葉に、ヴェイグは驚愕と意外を秘めた目で、
「…何故、急に?」
と聞いた。
ジューダスは一息の後、こう告げた。
ジューダスは一息の後、こう告げた。
「会いたい奴がいる」
「会いたい…奴?」
「会いたい…奴?」
ヴェイグがそう言っている間に、ジューダスは筆記用具を取り出していた。
そして書いた文面をヴェイグに見せる。
そして書いた文面をヴェイグに見せる。
『念のため言ってはおくが、何の反応もしないでくれ。首輪の解除法について考えついたことがある』
ヴェイグは目を大きくした。
自分達を束縛するこの首輪を外すことなど、出来ないと思っていた。
自分の命と運命は、ミクトランの手の上で踊らされているのだと思っていた。
それをジューダスは、取り払う考えがあるというのだ。
自分達を束縛するこの首輪を外すことなど、出来ないと思っていた。
自分の命と運命は、ミクトランの手の上で踊らされているのだと思っていた。
それをジューダスは、取り払う考えがあるというのだ。
ジューダスにも、筆談を急にし始めた理由があった。
盗撮の可能性は…と考え、限りなく低いと確信したためである。
まず盗撮されていると考えた場合、どこから見られているか。
首輪の場合、参加者…とりわけ単独で動いている参加者の姿を見ることは叶わず、首輪自体を何かで覆えば視界は封じられる。
よって違うと考える。
次に各地にあるものとして、拡声器。
これは必ずどこかに死角が生じる。全体を把握したいミクトランにとっては、あまり良い場所とは言えない。
よってこれも違う。
最後に考えられるのが、マナ。
これは本当にどこにでもある。だが、故に情報は莫大となり、逆に手が負えなくなる。
仮に参加者の周囲だけ映すようにするとしても、術を使うなどマナの流れに変化を起こせば、恐らく主催者には一瞬でも見えなくなるだろう。
ミクトランの楽しみでもある、殺し合いを見るのを邪魔する訳でもある。
よってこれも違う。
消去法で行くと、身近なもので考えられる要因は全て消えてしまう。
参加者に1番近いのはやはり首輪だが、それに仕込むメリットは大きくはないのだ。
自ずと導き出される答えは──盗撮はない、ということ。
盗撮の可能性は…と考え、限りなく低いと確信したためである。
まず盗撮されていると考えた場合、どこから見られているか。
首輪の場合、参加者…とりわけ単独で動いている参加者の姿を見ることは叶わず、首輪自体を何かで覆えば視界は封じられる。
よって違うと考える。
次に各地にあるものとして、拡声器。
これは必ずどこかに死角が生じる。全体を把握したいミクトランにとっては、あまり良い場所とは言えない。
よってこれも違う。
最後に考えられるのが、マナ。
これは本当にどこにでもある。だが、故に情報は莫大となり、逆に手が負えなくなる。
仮に参加者の周囲だけ映すようにするとしても、術を使うなどマナの流れに変化を起こせば、恐らく主催者には一瞬でも見えなくなるだろう。
ミクトランの楽しみでもある、殺し合いを見るのを邪魔する訳でもある。
よってこれも違う。
消去法で行くと、身近なもので考えられる要因は全て消えてしまう。
参加者に1番近いのはやはり首輪だが、それに仕込むメリットは大きくはないのだ。
自ずと導き出される答えは──盗撮はない、ということ。
だからジューダスは安心して筆談を始めたのである。
こうなると逆に盗聴されているのは確実であろうが、紙に書かれた文字までは分からない。
こうなると逆に盗聴されているのは確実であろうが、紙に書かれた文字までは分からない。
「…当てがあるのか?」
どちらの意味ともとれる問いをジューダスにするヴェイグ。
「そいつが何処にいるかは分からない。だが、危険な場所に突っ込むような奴ではないから、放送のあった村には行かないだろう」
『まだ予測の段階ではある。だが、今のままでは予測を越えることはない。誰かに検証してもらう必要がある』
『まだ予測の段階ではある。だが、今のままでは予測を越えることはない。誰かに検証してもらう必要がある』
言葉の後に出された紙を見て、
「…では、どうする?」
と少々の沈黙の後に再び問い掛ける。
怪しまれるのではないか、とも思うが、彼は元から口数も少なく物静かな方なので、特に心配することもない。
怪しまれるのではないか、とも思うが、彼は元から口数も少なく物静かな方なので、特に心配することもない。
「そうだな、西はかなりの人数が集まるだろう。危険性も高い…南に向かおう」
『僕は今話している人物に会いに行きたい。奴はかなりの切れ者だからな。首輪や脱出法についても何かヒントを得ているかもしれない』
『僕は今話している人物に会いに行きたい。奴はかなりの切れ者だからな。首輪や脱出法についても何かヒントを得ているかもしれない』
ジューダスは器用に言葉と筆談を続ける。
それを見聞したヴェイグは立ち上がり、ジューダスを見やる。
それを見聞したヴェイグは立ち上がり、ジューダスを見やる。
「放送があった村は…?」
動きが止まる。
少しして、手が動き今回だけは筆談の方が早く進んだ。ジューダスの口が動いたのは、文章を書き終えた後だった。
『言っただろう? 奴は頭がいい。自ら危険に突っ込む真似はしないはずだ』
「…あまり、こう言いたくはないが…ロイド達を追い掛ける訳にはいかない」
「…あまり、こう言いたくはないが…ロイド達を追い掛ける訳にはいかない」
ヴェイグは「だが」と言いそうになって、言葉を喉の奥に追いやった。
きっと、自分よりジューダスの方がもっと辛い。
それを追求するのは、辛さを増させるだけだ。そう思い、ヴェイグは黙った。
今は、彼が提案した首輪解除のことを考えよう。
…しかし。
ジューダスはそう書いたものの、ヴェイグは内容がどこか気になった。
彼の言葉をそのまま信じれば、その人は頭脳明晰で、冷静な性格らしい。
何よりもジューダスはその人物の力を信用している。
…それでも、
きっと、自分よりジューダスの方がもっと辛い。
それを追求するのは、辛さを増させるだけだ。そう思い、ヴェイグは黙った。
今は、彼が提案した首輪解除のことを考えよう。
…しかし。
ジューダスはそう書いたものの、ヴェイグは内容がどこか気になった。
彼の言葉をそのまま信じれば、その人は頭脳明晰で、冷静な性格らしい。
何よりもジューダスはその人物の力を信用している。
…それでも、
「…このゲームで何が起こるのかなんて…誰にも予測はつかない…」
彼は知っていた。このゲームは、人を変える。
何故なら、自分がそうだったから。
目的を達成するためマーダーになっても、今は殺してしまったルーティへの償いをしたいと思っている。
何故なら、自分がそうだったから。
目的を達成するためマーダーになっても、今は殺してしまったルーティへの償いをしたいと思っている。
だが、その逆もあるのではないだろうか? 寧ろゲームの性質上、こちらの確率の方が高いのではないだろうか?
ヴェイグはそれを危惧していた。
ジューダスもヴェイグの呟きを聞いていた。しかし、聞き流した。
筆記用具を片付けると、彼は座ったまま辺りを見渡す。
ヴェイグはそれを危惧していた。
ジューダスもヴェイグの呟きを聞いていた。しかし、聞き流した。
筆記用具を片付けると、彼は座ったまま辺りを見渡す。
「…今はもう少し様子を見る。そうだな…1時間後出発にしよう」
「…分かった」
「…分かった」
ヴェイグは一息おいて返事すると、再び木にもたれ腰かけた。
仰げば、深緑の葉がさあさあと流れ囁いている。
それが聞こえる程、辺りは静かであった。
仰げば、深緑の葉がさあさあと流れ囁いている。
それが聞こえる程、辺りは静かであった。
(…俺は…変わったんだろうか?)
ヴェイグは自分が殺してしまった女性、ルーティ・カトレットのことを思い出していた。
──誰にだって大切なモノくらいあるわよ!!
あの女性はきっと、大切なモノを守るために戦ってきたのだろう。
自分もそうだ。だからこそ、ゲームに乗ると決意した。
だがその結果、自分の大切なモノを失いかけた。
ルーティはどうか。
…彼女の大切なモノは、その過程で、間違いなく自分が「死」という形で奪ってしまったのだ。
それでいて自分は奪ったモノをどう返すかも分からない。
自分もそうだ。だからこそ、ゲームに乗ると決意した。
だがその結果、自分の大切なモノを失いかけた。
ルーティはどうか。
…彼女の大切なモノは、その過程で、間違いなく自分が「死」という形で奪ってしまったのだ。
それでいて自分は奪ったモノをどう返すかも分からない。
…どうすれば償える? どうすれば許してもらえる?
石化する前に聞こえた、心の闇とも言える自分の言葉を思い返す。
石化する前に聞こえた、心の闇とも言える自分の言葉を思い返す。
──死ぬ前に許してほしい? 傲慢だ。
──消した命を忘れて自分だけ救われると思うな。
──消した命を忘れて自分だけ救われると思うな。
首を横に振る。
俺は、生きてる。それは揺るぎない現実。
俺は、忘れない。それは揺るがない決意。
既にいない彼女には、直接許してもらうことも、償いを見てもらうことも出来ない。
だがせめて、消してしまった彼女の大切なモノと引き替えになるくらいのことはしたい。
どんなに大きくたって。
それがヴェイグの、心からの思いだった。
俺は、生きてる。それは揺るぎない現実。
俺は、忘れない。それは揺るがない決意。
既にいない彼女には、直接許してもらうことも、償いを見てもらうことも出来ない。
だがせめて、消してしまった彼女の大切なモノと引き替えになるくらいのことはしたい。
どんなに大きくたって。
それがヴェイグの、心からの思いだった。
(クレア…俺は、逃げない。罪の重さから、人を殺してしまった自分から。だから見ていてくれ、俺のことを。そして、待っていて欲しい…)
【ジューダス:生存確認】
状態:健康
所持品:アイスコフィン、忍刀桔梗、(上記2つ二刀流可)、エリクシール
基本行動方針:ミクトランを倒す
第一行動方針:協力してくれる仲間を探す(特に首輪の解除ができる人物を優先)
第二行動方針:ヴェイグと行動
第三行動方針:ロイド達が気になる
現在位置:B5森林地帯
状態:健康
所持品:アイスコフィン、忍刀桔梗、(上記2つ二刀流可)、エリクシール
基本行動方針:ミクトランを倒す
第一行動方針:協力してくれる仲間を探す(特に首輪の解除ができる人物を優先)
第二行動方針:ヴェイグと行動
第三行動方針:ロイド達が気になる
現在位置:B5森林地帯
【ヴェイグ 生存確認】
状態:右肩に裂傷 強い決意
所持品:スティレット チンクエデア グミセット(パイン、ミラクル)
基本行動方針:生き残る
第一行動方針:ジューダスと行動
第二行動方針:ルーティのための償いをする。
第三行動方針:呼び掛けが気になる
現在位置:B5森林地帯
状態:右肩に裂傷 強い決意
所持品:スティレット チンクエデア グミセット(パイン、ミラクル)
基本行動方針:生き残る
第一行動方針:ジューダスと行動
第二行動方針:ルーティのための償いをする。
第三行動方針:呼び掛けが気になる
現在位置:B5森林地帯