聖母と信者達、そして。
「いでよ、神の───っ!」
後少しで完成するはずだったモリスンの詠唱は、最後の最後に途切れた。
途切れた集中に、爆発的に高まったマナは耐えきれなくなって弾けて散る。
キラキラと一瞬の名残。
背後に突きつけられた、禍々しい気配。
「突然何だって言うのかな?」
すぐそばで聞こえる声。
先程まで家の前にいた筈の金髪の少年が、いつの間にか見るからに邪気を孕むファフニールの切っ先を向けて立っていた。
氷のように冷たい碧色の瞳は、睨むように目を細める。
口調だけは穏やかなまま。
「これが私の一番の目的だ。邪魔はしないで貰いたい」
横目で背後を確認しつつ、モリスンは凄む。
高々十四~五だろう少年に、気迫で負ける気はなかった。
だが。
「こんな所でそんな魔法を使って…。
どうなるか解ってる?被害甚大だよ」
元々高めだろう声は低くしてもまだボーイソプラノ。
なのに何故だろう、モリスンは圧倒的な威圧感を感じた。
それはまさに人である歴史を逸脱した、絶対的で老獪な、神々しささえ放つ支配者のそれ。
天からの…いや、馬鹿馬鹿しい。
冷や汗がじっとりと背を伝い、口の中が乾く。
「お前の都合なんて関係無いんだ。
ただ、姉さまにまで被害が及ぶようなら…」
ぐ、と剣先が突きつけられる。
後少しで完成するはずだったモリスンの詠唱は、最後の最後に途切れた。
途切れた集中に、爆発的に高まったマナは耐えきれなくなって弾けて散る。
キラキラと一瞬の名残。
背後に突きつけられた、禍々しい気配。
「突然何だって言うのかな?」
すぐそばで聞こえる声。
先程まで家の前にいた筈の金髪の少年が、いつの間にか見るからに邪気を孕むファフニールの切っ先を向けて立っていた。
氷のように冷たい碧色の瞳は、睨むように目を細める。
口調だけは穏やかなまま。
「これが私の一番の目的だ。邪魔はしないで貰いたい」
横目で背後を確認しつつ、モリスンは凄む。
高々十四~五だろう少年に、気迫で負ける気はなかった。
だが。
「こんな所でそんな魔法を使って…。
どうなるか解ってる?被害甚大だよ」
元々高めだろう声は低くしてもまだボーイソプラノ。
なのに何故だろう、モリスンは圧倒的な威圧感を感じた。
それはまさに人である歴史を逸脱した、絶対的で老獪な、神々しささえ放つ支配者のそれ。
天からの…いや、馬鹿馬鹿しい。
冷や汗がじっとりと背を伝い、口の中が乾く。
「お前の都合なんて関係無いんだ。
ただ、姉さまにまで被害が及ぶようなら…」
ぐ、と剣先が突きつけられる。
ミトスはダオスを初期の頃ほど警戒していない。
というのも、彼は中々に強いし、何よりマーテルを守っている。
自分以外がという不満こそあれ、デメリットはなく今の所は協力体勢にもある。
だからこそ、あの合体攻撃も可能だった。
何よりも、こんな事に巻き込みたくない人がいる。
「ミトス、お前には関係」
「あるよ。
ダオス、お前だって解るだろう?
こんな所で戦ったら、彼女の遺志も、姉さまの気持ちも無駄になる」
突然の乱入にダオスも些か驚いたのか、ややきつめに眉を寄せる。
というのも、彼は中々に強いし、何よりマーテルを守っている。
自分以外がという不満こそあれ、デメリットはなく今の所は協力体勢にもある。
だからこそ、あの合体攻撃も可能だった。
何よりも、こんな事に巻き込みたくない人がいる。
「ミトス、お前には関係」
「あるよ。
ダオス、お前だって解るだろう?
こんな所で戦ったら、彼女の遺志も、姉さまの気持ちも無駄になる」
突然の乱入にダオスも些か驚いたのか、ややきつめに眉を寄せる。
だがミトスはそれすらも斬って棄てる。
ここで全体魔法を使えば、確実に死人が出る。
それは仮に剣撃でも変わらない。
もしここで知り合い同士の、或いは知り合いで無くとも戦いが起きれば、最悪マーテルはその身を投げ打ってでも止めに入るだろうから。
「…そんな事させない。」
「…………」
ダオスはその意思を汲み、緩く戦闘体勢を解く。
マーテルの手前、それにさっきのメルディという少女もある。
あまり騒いで起こしてしまっては、いや、起きたとしても落ち着いていられる状況ならば良いのだ。
だが戦闘の騒音で目覚めたとして、果たして落ち着いていられるか。
答えは決まりきっている。
だがモリスンはその眼光を絶やさない。
ピリピリとした空気が肌を突く。
モリスンの迷いは苦渋の表情となり、
そして。
「ミトス!ダオスさん!」
「モリスン!」
「……っ!?」
マーテルとリッドが同時に叫んだ。
緊張状態においては不意打ちとも言える声という攻撃に肩が跳ね、密かに投げ掛けようとしたクナイを思わず取り落とす。
後ろに軽く反動をつけたそれは、力に素直に従って後ろに落ちる。
「!!」
思わず視線がそれを追い、しかし手を伸ばす前にクナイは既にミトスの足の下。
「こざかしい真似はやめなよ」
「今は退け」
前後からの絶対的な圧力。
慌ててロイドがモリスンの前に駆け、ダオスとの間に立つ。
ロイドにとって、ダオスは敵ではない。
メルディを助けた、いわば恩人。
「頼む、俺何があったか知らないけど…、俺はコイツが悪い奴に思えない。
だからやめてくれ」
「私たちは戦うために此処まで来たのでは無いでしょう?
お願いです、もう誰も血を流して欲しくない…
貴方も、それを望んだのでしょう?
話せば、語り合えば、きっと解り合えるわ…!」
マーテルが声を張り上げる。
ここで全体魔法を使えば、確実に死人が出る。
それは仮に剣撃でも変わらない。
もしここで知り合い同士の、或いは知り合いで無くとも戦いが起きれば、最悪マーテルはその身を投げ打ってでも止めに入るだろうから。
「…そんな事させない。」
「…………」
ダオスはその意思を汲み、緩く戦闘体勢を解く。
マーテルの手前、それにさっきのメルディという少女もある。
あまり騒いで起こしてしまっては、いや、起きたとしても落ち着いていられる状況ならば良いのだ。
だが戦闘の騒音で目覚めたとして、果たして落ち着いていられるか。
答えは決まりきっている。
だがモリスンはその眼光を絶やさない。
ピリピリとした空気が肌を突く。
モリスンの迷いは苦渋の表情となり、
そして。
「ミトス!ダオスさん!」
「モリスン!」
「……っ!?」
マーテルとリッドが同時に叫んだ。
緊張状態においては不意打ちとも言える声という攻撃に肩が跳ね、密かに投げ掛けようとしたクナイを思わず取り落とす。
後ろに軽く反動をつけたそれは、力に素直に従って後ろに落ちる。
「!!」
思わず視線がそれを追い、しかし手を伸ばす前にクナイは既にミトスの足の下。
「こざかしい真似はやめなよ」
「今は退け」
前後からの絶対的な圧力。
慌ててロイドがモリスンの前に駆け、ダオスとの間に立つ。
ロイドにとって、ダオスは敵ではない。
メルディを助けた、いわば恩人。
「頼む、俺何があったか知らないけど…、俺はコイツが悪い奴に思えない。
だからやめてくれ」
「私たちは戦うために此処まで来たのでは無いでしょう?
お願いです、もう誰も血を流して欲しくない…
貴方も、それを望んだのでしょう?
話せば、語り合えば、きっと解り合えるわ…!」
マーテルが声を張り上げる。
その言葉は甘いのかも知れない。
甘過ぎて、現実には難しい夢物語なのかも知れない。
それでもジョニーはその必死な横顔に、一瞬だけファラが重なって見えた気がした。
その新緑の髪は彼女に比べて明るく、風に緩やかになびくのに。
リッドも、キールも、一瞬だけ呆けて、すぐにひどく切なげに彼女を見つめて。
「争いは何も生みません。それを説いた彼女のために、私たちは集まった。…違いますか?」
祈るように手を組み、泣き出しそうに表情を歪める。
「…なぁモリスン、わざわざ今じゃ無くても良いんじゃねぇか?
彼女もあぁ言ってるしよ…」
リッドが一歩踏み出し、歯切れ悪く訴える。
キールさえ、頷く。
「………」
モリスンは失念していた。
ここは確かに戦力が集い、メリットも多かった。
ただ、現れたマドンナの存在は。
自らの目的を阻むという最大のデメリットを連れてきたのだ。
此処にいる者は、今のところ基本的に殺しを拒む者達だ。
そこに絶対平和主義の聖母が現れれば、当然の結果が起きる。
その存在は、この場の殆んどの人間の共感を掴むのに十分すぎる程だったのだ。
今此処でダオスに勝負を挑んだとして、恐らく大多数が止めに入る。
丁度、今のように。
ならば半端な戦いで手の内を晒す必要はない。
今は、まだ。
そう。今はまだ、一度退けば良い。
落ち着いたなら、二人になる機会もある筈だ。
不利な状況を自ら作るほど愚かではない。
甘過ぎて、現実には難しい夢物語なのかも知れない。
それでもジョニーはその必死な横顔に、一瞬だけファラが重なって見えた気がした。
その新緑の髪は彼女に比べて明るく、風に緩やかになびくのに。
リッドも、キールも、一瞬だけ呆けて、すぐにひどく切なげに彼女を見つめて。
「争いは何も生みません。それを説いた彼女のために、私たちは集まった。…違いますか?」
祈るように手を組み、泣き出しそうに表情を歪める。
「…なぁモリスン、わざわざ今じゃ無くても良いんじゃねぇか?
彼女もあぁ言ってるしよ…」
リッドが一歩踏み出し、歯切れ悪く訴える。
キールさえ、頷く。
「………」
モリスンは失念していた。
ここは確かに戦力が集い、メリットも多かった。
ただ、現れたマドンナの存在は。
自らの目的を阻むという最大のデメリットを連れてきたのだ。
此処にいる者は、今のところ基本的に殺しを拒む者達だ。
そこに絶対平和主義の聖母が現れれば、当然の結果が起きる。
その存在は、この場の殆んどの人間の共感を掴むのに十分すぎる程だったのだ。
今此処でダオスに勝負を挑んだとして、恐らく大多数が止めに入る。
丁度、今のように。
ならば半端な戦いで手の内を晒す必要はない。
今は、まだ。
そう。今はまだ、一度退けば良い。
落ち着いたなら、二人になる機会もある筈だ。
不利な状況を自ら作るほど愚かではない。
「……解った。」
モリスンは小さく呟くと、戦闘体勢を解いて息を吐く。
それを見てようやくミトスも剣を下ろし、ダオスも完全に力を抜いた。
ロイドが表情を緩め、リッドとキールが顔を見合わせる。
「ありがとう、モリスン」
ジョニーが嬉しそうに微笑む。
「良かった…、皆で彼女の遺志を継ぎましょう。きっと出来るわ」
マーテルが満面の微笑みを見せた。
モリスンは小さく呟くと、戦闘体勢を解いて息を吐く。
それを見てようやくミトスも剣を下ろし、ダオスも完全に力を抜いた。
ロイドが表情を緩め、リッドとキールが顔を見合わせる。
「ありがとう、モリスン」
ジョニーが嬉しそうに微笑む。
「良かった…、皆で彼女の遺志を継ぎましょう。きっと出来るわ」
マーテルが満面の微笑みを見せた。
ファラの遺志を受け継いだ女神を中心に、細い細い糸が信頼として繋がった。
悪夢のような現状で唯一見れる、夢のように甘い、けれど決して崩れないだろう信念。
悪夢のような現状で唯一見れる、夢のように甘い、けれど決して崩れないだろう信念。
「マーテル教…」
その光景が記憶に連なる名前と一致した時、ロイドがぽつりと洩らす台詞は空気に溶けた。
ただ、聞こえたのか否か、ミトスはマーテルを見つめる瞳を少しだけ細めた。
その光景が記憶に連なる名前と一致した時、ロイドがぽつりと洩らす台詞は空気に溶けた。
ただ、聞こえたのか否か、ミトスはマーテルを見つめる瞳を少しだけ細めた。
染まりきれない信者が僅かに俯き、鈍い葛藤にそれと解らぬよう密かに唇を噛み締める時。
取り残された不安定な妹が僅かに寝返りを打ち、滲むような黒い霧を纏いながら小さく唸る時。
取り残された不安定な妹が僅かに寝返りを打ち、滲むような黒い霧を纏いながら小さく唸る時。
どちらも、ほぼ同時に訪れた事象。
【リッド・ハーシェル 生存確認】
状態:背中に刀傷(9割回復)
所持品:ムメイブレード、エルヴンマント
基本行動方針:メルディと合流し、脱出法を探し出す。
第一行動方針:ファラの意志を継ぐ
第二行動方針:できれば危険人物を排除する。
現在位置:C3村
状態:背中に刀傷(9割回復)
所持品:ムメイブレード、エルヴンマント
基本行動方針:メルディと合流し、脱出法を探し出す。
第一行動方針:ファラの意志を継ぐ
第二行動方針:できれば危険人物を排除する。
現在位置:C3村
【ジョニー・シデン 生存確認】
所持品:メンタルリング 稲刈り鎌 アイフリードの旗 BCロッド サバイバルナイフ
状態:健康
基本行動方針:ファラの遺志を継ぐ ゲームからの脱出
第二行動方針:仲間との合流
第三行動方針:同志との合流
現在位置:C3森
所持品:メンタルリング 稲刈り鎌 アイフリードの旗 BCロッド サバイバルナイフ
状態:健康
基本行動方針:ファラの遺志を継ぐ ゲームからの脱出
第二行動方針:仲間との合流
第三行動方針:同志との合流
現在位置:C3森
【エドワード・D・モリスン 生存確認】
状態:TP7割回復
所持品:魔杖ケイオスハート 割れたリバースドール 煙玉(残り二つ) クナイ(足元に一つ) 法術に関する辞書
基本行動方針:ダオス討伐
第一行動方針:演説少女の意志を継ぐ
第二行動方針:法術取得(まずはファーストエイドから?)
第三行動方針:ミクトラン討伐
現在位置:C3村
状態:TP7割回復
所持品:魔杖ケイオスハート 割れたリバースドール 煙玉(残り二つ) クナイ(足元に一つ) 法術に関する辞書
基本行動方針:ダオス討伐
第一行動方針:演説少女の意志を継ぐ
第二行動方針:法術取得(まずはファーストエイドから?)
第三行動方針:ミクトラン討伐
現在位置:C3村
【キール・ツァイベル 生存確認】
状態:疲労
所持品:ベレット、ホーリィリング
基本行動方針:メルディと合流し、脱出法を探し出す
第一行動方針:メルディの介護
現在位置 C3村
状態:疲労
所持品:ベレット、ホーリィリング
基本行動方針:メルディと合流し、脱出法を探し出す
第一行動方針:メルディの介護
現在位置 C3村
【ダオス 生存確認】
所持品:エメラルドリング
状態:TP1/3消費
第一行動方針:モリスンのへの対処
第二行動方針:マーテルを守る
第三行動方針:マーテルと行動
第四行動方針:打開策を考える
第五行動方針:敵は殺す
現在位置:C3村
所持品:エメラルドリング
状態:TP1/3消費
第一行動方針:モリスンのへの対処
第二行動方針:マーテルを守る
第三行動方針:マーテルと行動
第四行動方針:打開策を考える
第五行動方針:敵は殺す
現在位置:C3村
【ミトス 生存確認】
所持品:ロングソード 邪剣ファフニール アトワイト ????
状態:後頭部に打撲
第一行動方針:状況の把握
第二行動方針:マーテルを守る
第三行動方針:マーテルと行動
第四行動方針:打開策を考える
第五行動方針:クラトスとの合流
現在位置:C3村
所持品:ロングソード 邪剣ファフニール アトワイト ????
状態:後頭部に打撲
第一行動方針:状況の把握
第二行動方針:マーテルを守る
第三行動方針:マーテルと行動
第四行動方針:打開策を考える
第五行動方針:クラトスとの合流
現在位置:C3村
【マーテル 生存確認】
所持品:双眼鏡 アクアマント
状態:普通
第一行動方針:ファラの遺志を継ぐ
第二行動方針:ダオス達と行動
第三行動方針:ユアン、クラトスとの合流
現在位置:C3村
所持品:双眼鏡 アクアマント
状態:普通
第一行動方針:ファラの遺志を継ぐ
第二行動方針:ダオス達と行動
第三行動方針:ユアン、クラトスとの合流
現在位置:C3村
【ロイド:生存確認】
状態:健康
所持品:ウッドブレード(自作)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆(Sの仲間及び協力してくれる仲間)で生きて帰る
第一行動方針:事態の把握
第二行動方針: 協力してくれる仲間を探す
第三行動方針:メルディと行動
現在地:C3村
状態:健康
所持品:ウッドブレード(自作)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆(Sの仲間及び協力してくれる仲間)で生きて帰る
第一行動方針:事態の把握
第二行動方針: 協力してくれる仲間を探す
第三行動方針:メルディと行動
現在地:C3村
【メルディ 生存確認】
状態:ネレイドの干渉(気絶により詳しくは不明)
所持品:スカウトオーブ、リバヴィウス鉱
行動方針:不明
現在地:C3村
状態:ネレイドの干渉(気絶により詳しくは不明)
所持品:スカウトオーブ、リバヴィウス鉱
行動方針:不明
現在地:C3村