鉛色の休息
「…ここで休憩にしましょう。」
黒髪の少年ジェイはそういって足を止めた。
斜陽はまだ緩く、その影はまだ短い。
「なんだよ、だらしねーな。」
といいながら笑うのは鳶色の二刀剣士ロイド。
「休みたいのは山々だが、ここで足を止めると放送までに間に合わないぞ。」
肩を上下させながら意見するのは青髪の晶霊術士キール。
「ええ、すいませんが疲れまして。」
そう述べるジェイはどう見てもキールよりは疲れていない。
その意味を推し量り赤髪の剣士リッドはジェイに言う。
「もしかして俺やキールのこと気を遣ってくれてんのか?
気持ちは有り難ぇけどよ、俺達なら大丈夫だから先を急ごうぜ。」
彼は彼なりに少年の意を汲み取ったつもりらしい。
ジェイは眉間にしわを寄せ、指を当て、溜め息を付き、言葉を漏らす。
「すいません、回りくどい言い方では伝わりませんでしたね。
三人分のお荷物を持って歩くのは疲れるといったんです。」
一瞬で空気が冷える、辺りが加速度的に重苦しくなる。
「どういう意味だ?」
最初に口を開いたのはロイド。その拳は少し硬く握られている。
「キールさん。あなた先ほど言いましたよね?昨日マスクをした
特殊部隊風の男、カッシェルに襲撃されたと。」
突然の名指しに少し硬直しするもキールは肯定する。
「それは僕の世界の敵なんですが、はっきり言って弱小のレベルに入るんですよね。」
ジェイはこういうが実際の所戦闘能力だけで見ればカッシェルも指折りの能力を持つ。
ただジェイとの相対的な隠密能力とメンタル面の弱さが総合的な印象を弱くしているだけ
である。無論ジェイもそのことを理解しているがそれでもなお引き合いに出すのは
理由がある。が、それは別の話。
「結局回りくどいじゃねえか、言いたいことがあるならはっきり言えよ。」
声を荒げリッドが吠える。
黒髪の少年ジェイはそういって足を止めた。
斜陽はまだ緩く、その影はまだ短い。
「なんだよ、だらしねーな。」
といいながら笑うのは鳶色の二刀剣士ロイド。
「休みたいのは山々だが、ここで足を止めると放送までに間に合わないぞ。」
肩を上下させながら意見するのは青髪の晶霊術士キール。
「ええ、すいませんが疲れまして。」
そう述べるジェイはどう見てもキールよりは疲れていない。
その意味を推し量り赤髪の剣士リッドはジェイに言う。
「もしかして俺やキールのこと気を遣ってくれてんのか?
気持ちは有り難ぇけどよ、俺達なら大丈夫だから先を急ごうぜ。」
彼は彼なりに少年の意を汲み取ったつもりらしい。
ジェイは眉間にしわを寄せ、指を当て、溜め息を付き、言葉を漏らす。
「すいません、回りくどい言い方では伝わりませんでしたね。
三人分のお荷物を持って歩くのは疲れるといったんです。」
一瞬で空気が冷える、辺りが加速度的に重苦しくなる。
「どういう意味だ?」
最初に口を開いたのはロイド。その拳は少し硬く握られている。
「キールさん。あなた先ほど言いましたよね?昨日マスクをした
特殊部隊風の男、カッシェルに襲撃されたと。」
突然の名指しに少し硬直しするもキールは肯定する。
「それは僕の世界の敵なんですが、はっきり言って弱小のレベルに入るんですよね。」
ジェイはこういうが実際の所戦闘能力だけで見ればカッシェルも指折りの能力を持つ。
ただジェイとの相対的な隠密能力とメンタル面の弱さが総合的な印象を弱くしているだけ
である。無論ジェイもそのことを理解しているがそれでもなお引き合いに出すのは
理由がある。が、それは別の話。
「結局回りくどいじゃねえか、言いたいことがあるならはっきり言えよ。」
声を荒げリッドが吠える。
「そんな人たち3人のお守りをするより、1人で行動した方が楽だと言う話です。」
ジェイは悪びれずに淡々と発言を続ける。
「まあ、僕が万全を期すのだったらここで全員殺してから行きますが。
その方が余計な乱数を、不確定要素を潰せますし。」
そこまで言った所でリッドが剣を出す、その目は強く黙れといっている。
「…先ずですね、リッドさん。」
そこまで言った所でロイドとキールが一瞬の内に凍りつく。
先ほどまで剣先の10cm先、刃渡り合わせて約1m先に居たはずのジェイが
リッドの鳩尾を殴っていた。頭が回転を始めた時には既にリッドは地面に倒れている。
「そんな瀕死の体で何が出来るんですか?子供の拳で倒れるその体で。」
ようやく状況を把握したロイドは剣を構える、が。
「ロイドさん。気付いていると思って今まで何も言いませんでしたが
そんな刀で何が出来るんですか?」
攻撃を見透かされたことに驚き、ジェイの指摘についつい自分の木刀を見る。
そして再度、驚愕。自分の木刀が、半分黒ずんで炭化しかけていることに。
常識的に考えれば分かる話だった。あの用意周到に巡らされた焔の罠を
前に多少の火傷で済んだことが有り得ない奇跡、その奇跡が武器にまで
及ぶのは虫の良過ぎる話であると。すでに彼がこの世界で拵えた剣は
握りを除いて炭化寸前の所まで来ていたのだ。もしこの剣で戦闘が行われたのなら
5分持たずに折れるか崩れるかしていた所であろう。
「とりあえず、現状を認識してもらえましたか?分かったらせめてお荷物にならない程度に
体を回復させて、戦えるようになって下さい。仲間は欲しいんですが足手まといは
御免被りたいもので。リッドさーん、聞こえてますかー。…聞こえてませんね。」
ジェイは悪びれずに淡々と発言を続ける。
「まあ、僕が万全を期すのだったらここで全員殺してから行きますが。
その方が余計な乱数を、不確定要素を潰せますし。」
そこまで言った所でリッドが剣を出す、その目は強く黙れといっている。
「…先ずですね、リッドさん。」
そこまで言った所でロイドとキールが一瞬の内に凍りつく。
先ほどまで剣先の10cm先、刃渡り合わせて約1m先に居たはずのジェイが
リッドの鳩尾を殴っていた。頭が回転を始めた時には既にリッドは地面に倒れている。
「そんな瀕死の体で何が出来るんですか?子供の拳で倒れるその体で。」
ようやく状況を把握したロイドは剣を構える、が。
「ロイドさん。気付いていると思って今まで何も言いませんでしたが
そんな刀で何が出来るんですか?」
攻撃を見透かされたことに驚き、ジェイの指摘についつい自分の木刀を見る。
そして再度、驚愕。自分の木刀が、半分黒ずんで炭化しかけていることに。
常識的に考えれば分かる話だった。あの用意周到に巡らされた焔の罠を
前に多少の火傷で済んだことが有り得ない奇跡、その奇跡が武器にまで
及ぶのは虫の良過ぎる話であると。すでに彼がこの世界で拵えた剣は
握りを除いて炭化寸前の所まで来ていたのだ。もしこの剣で戦闘が行われたのなら
5分持たずに折れるか崩れるかしていた所であろう。
「とりあえず、現状を認識してもらえましたか?分かったらせめてお荷物にならない程度に
体を回復させて、戦えるようになって下さい。仲間は欲しいんですが足手まといは
御免被りたいもので。リッドさーん、聞こえてますかー。…聞こえてませんね。」
そう言うとジェイはリッドのエルヴンマントを剥ぎ取り、
半ば呆然としているロイドを尻目にキールに近づく。
「とりあえず周囲の警戒をしておきますからあの2人をよろしくお願いします。
放送の前後に戻ってきますからその後の行動はその時決めましょう。
あ、この外套はお借りしますよ。迷彩が欲しかったもので。
こんなものでもないと城の赤鬼と青鬼に気付かれますから。」
小声でキールにしか分からないように伝える。
「そういう意味か…分かった。しかし何故あのような強引な手段を?
それにあれほどな力なら本当に1人のほうが都合がいいんじゃないか?」
小声で返答、ジェイはやれやれというように再度伝える。
「正直、彼らは僕よりずっと強いですよ。ただ今の余裕のない貴方達相手なら十分勝てる
というだけの話です。それに、汚れ役は慣れているもので。」
そういうとジェイはするりと高台の上に登りすぐに見えなくなった。
半ば呆然としているロイドを尻目にキールに近づく。
「とりあえず周囲の警戒をしておきますからあの2人をよろしくお願いします。
放送の前後に戻ってきますからその後の行動はその時決めましょう。
あ、この外套はお借りしますよ。迷彩が欲しかったもので。
こんなものでもないと城の赤鬼と青鬼に気付かれますから。」
小声でキールにしか分からないように伝える。
「そういう意味か…分かった。しかし何故あのような強引な手段を?
それにあれほどな力なら本当に1人のほうが都合がいいんじゃないか?」
小声で返答、ジェイはやれやれというように再度伝える。
「正直、彼らは僕よりずっと強いですよ。ただ今の余裕のない貴方達相手なら十分勝てる
というだけの話です。それに、汚れ役は慣れているもので。」
そういうとジェイはするりと高台の上に登りすぐに見えなくなった。
「…ガハッ!!」
リッドが目が覚めたとき、すでに斜陽は深く、その影は高く伸びていた。
目が覚めたか、とキールが言い、手に持ったペンで沸いたお湯を指す。
「あいつはどうした!!」
リッドは寝起きとは思えない様相で、すぐさまキールに尋ねる。
「ジェイは周囲の偵察に出てる。分かったらとりあえず飲んで、食べて落ち着け。
ロイドには説明はした。お前にも順に説明する。」
そういいながらキールは羊皮紙に何かを懸命に書いている。
ロイドはひたすら木刀とヴォーパルソードを持って何かをしようとしている。
しばらくして簡易な食事を済ませた後、キールは彼が知る限りのジェイの意図を伝える。
「つまりE2にはバルバトスやマグニスが居るってことか!?」
リッドは声を荒げる。
「奴の話を信じるなら少なくともファラの声が響いた時にはE2の城に居たことになる。
ロイドたちが遭遇していないことを考えると、奴らは南側から北上して城に攻め込んだのだから
無事なら北上してきたはずだ。それが来ていない、つまり怪我で動けずに留まっている
可能性がある。その場合満身創痍のお前や武器が磨耗したロイドを守りきれない
ということだ。」
キールが出した答えはほぼ正確にジェイの心中を射抜いていた。さすがに頭脳労働担当である。
「守りきれねえのはお前も含めてだろ…でもよ?城が崩れたんなら
それに巻き込まれて死んだのかも知れねえだろ?」
少しキールの揚げ足を取った後、再度質問した。
「それを見極める為にここで放送を待っているんだ。
この内容次第では、僕達が城に向かう意味すら消滅する。」
ロイドの手がピタッと止まる。先ほどキールから聞いてはいたが、
それでもこみ上げる不快感は止まらない。
クラトスとコレットの生死の結果しだいでは城に向かう理由さえ無くなってしまうのだ。
「あ~!!やっぱりこんな大剣じゃ上手く加工出来ねー!!
やっぱジューダスから短刀返してもらえばよかった…。」
ロイドは大声で愚痴る。少し不自然な気がしないでもない。
「悪ぃ。んで、なにやってんだお前?」
リッドはロイドの行為を怪訝に見つめる。どうやら木刀を削っているようだ。
リッドが目が覚めたとき、すでに斜陽は深く、その影は高く伸びていた。
目が覚めたか、とキールが言い、手に持ったペンで沸いたお湯を指す。
「あいつはどうした!!」
リッドは寝起きとは思えない様相で、すぐさまキールに尋ねる。
「ジェイは周囲の偵察に出てる。分かったらとりあえず飲んで、食べて落ち着け。
ロイドには説明はした。お前にも順に説明する。」
そういいながらキールは羊皮紙に何かを懸命に書いている。
ロイドはひたすら木刀とヴォーパルソードを持って何かをしようとしている。
しばらくして簡易な食事を済ませた後、キールは彼が知る限りのジェイの意図を伝える。
「つまりE2にはバルバトスやマグニスが居るってことか!?」
リッドは声を荒げる。
「奴の話を信じるなら少なくともファラの声が響いた時にはE2の城に居たことになる。
ロイドたちが遭遇していないことを考えると、奴らは南側から北上して城に攻め込んだのだから
無事なら北上してきたはずだ。それが来ていない、つまり怪我で動けずに留まっている
可能性がある。その場合満身創痍のお前や武器が磨耗したロイドを守りきれない
ということだ。」
キールが出した答えはほぼ正確にジェイの心中を射抜いていた。さすがに頭脳労働担当である。
「守りきれねえのはお前も含めてだろ…でもよ?城が崩れたんなら
それに巻き込まれて死んだのかも知れねえだろ?」
少しキールの揚げ足を取った後、再度質問した。
「それを見極める為にここで放送を待っているんだ。
この内容次第では、僕達が城に向かう意味すら消滅する。」
ロイドの手がピタッと止まる。先ほどキールから聞いてはいたが、
それでもこみ上げる不快感は止まらない。
クラトスとコレットの生死の結果しだいでは城に向かう理由さえ無くなってしまうのだ。
「あ~!!やっぱりこんな大剣じゃ上手く加工出来ねー!!
やっぱジューダスから短刀返してもらえばよかった…。」
ロイドは大声で愚痴る。少し不自然な気がしないでもない。
「悪ぃ。んで、なにやってんだお前?」
リッドはロイドの行為を怪訝に見つめる。どうやら木刀を削っているようだ。
ロイドがいうには炭化した部分を削って使えるようにしているとのこと。
しかし大剣での加工は困難を極め、鳳凰天駆によって纏った炎は彼の剣を満遍なく焦がしている。
ヴォーパルソードを使えばいいのではとキールは提案したのだが。
二刀を扱うには絶妙な剣のバランスが必要であり、
特にこのヴォーパルソードは二刀流で扱うには対の剣が不可欠とのこと。
苦闘するロイドにリッドは自分のデイバックを漁り剣を取り出す。彼が扱う剣とまったく
同じ剣が、もう1本。リッドが言うにはもともとこの「ムメイブレード」は2本セットで
支給されたものだったのだ。しかし自分が普通の剣士であった為、
もう1本は剣が壊れた時の保険としてデイバックの中に入れていたというわけである。
ロイドの話ではそれは自分の世界の武器で、やはり二刀一対で存在していたとのことだ。
「代わりといっちゃなんなんだけどよ、その剣貸してくんねえ?」
リッドが提案した取引、それがムメイブレードとヴォーパルソードの一時的交換である。
メルディとの闘いで分かったことが一つ。この世界で極光を使うことは命をすり減らす
ほどリスクの高い行為であるということ。そしてそれは恐らくメルディも同様、
いや極光の使い手として不完全であるメルディの方がその危険が高い。
もうメルディに極光を使わせるわけにはいかない。つまり自分の剣技でネレイドを止めなくては
ならない。その為の力として、この魔剣に目を付けたという訳である。
「分かった、大事に使ってくれよ。」
そう付け加えてロイドは取引に応じる、この剣を他人に使わせるのは気が引けるが
獲物が無くてはこれからの事も立ち行かない。C3でのリッドの人となりを
信じた上での結論だった。
しかし大剣での加工は困難を極め、鳳凰天駆によって纏った炎は彼の剣を満遍なく焦がしている。
ヴォーパルソードを使えばいいのではとキールは提案したのだが。
二刀を扱うには絶妙な剣のバランスが必要であり、
特にこのヴォーパルソードは二刀流で扱うには対の剣が不可欠とのこと。
苦闘するロイドにリッドは自分のデイバックを漁り剣を取り出す。彼が扱う剣とまったく
同じ剣が、もう1本。リッドが言うにはもともとこの「ムメイブレード」は2本セットで
支給されたものだったのだ。しかし自分が普通の剣士であった為、
もう1本は剣が壊れた時の保険としてデイバックの中に入れていたというわけである。
ロイドの話ではそれは自分の世界の武器で、やはり二刀一対で存在していたとのことだ。
「代わりといっちゃなんなんだけどよ、その剣貸してくんねえ?」
リッドが提案した取引、それがムメイブレードとヴォーパルソードの一時的交換である。
メルディとの闘いで分かったことが一つ。この世界で極光を使うことは命をすり減らす
ほどリスクの高い行為であるということ。そしてそれは恐らくメルディも同様、
いや極光の使い手として不完全であるメルディの方がその危険が高い。
もうメルディに極光を使わせるわけにはいかない。つまり自分の剣技でネレイドを止めなくては
ならない。その為の力として、この魔剣に目を付けたという訳である。
「分かった、大事に使ってくれよ。」
そう付け加えてロイドは取引に応じる、この剣を他人に使わせるのは気が引けるが
獲物が無くてはこれからの事も立ち行かない。C3でのリッドの人となりを
信じた上での結論だった。
「で、お前はさっきから何書いてんだよ?」
このやり取りの間ひたすら羊皮紙に何かを書き込んでいたキールにリッドは尋ねる。
その手を止めずにキールはリッドに聞き返す。
「…なんでジェイは僕を襲わなかったと思う?」
質問の要旨を理解できずにリッドは答える。
「それは、お前が一番後回しでも良かったからじゃねえのか?お前ヒョロいし。」
リッドの回答にキールは筆を止め、リッドを見る。
いつものように怒鳴られるかと思い警戒をしたリッドだが
キールは「そうか。」といっただけで怒りはしなかった。寧ろその顔はどこか物悲しく見える。
羊皮紙に書く作業は終わったらしく、それを折りたたんでリッドに渡す。
リッドが何だこれ?と尋ねても
「唯の保険だ。僕が良いと言うまでそれは見るなよ。」
そういってそっぽを向くのでリッドも言及はしなかった。
リッド自身も気になることがあったため思考を始める。
ジェイによって間合いを潰されたという事実に不自然を覚えたからだ。
(あれは少なくとも速さじゃねえ…なんだったんだ?)
このやり取りの間ひたすら羊皮紙に何かを書き込んでいたキールにリッドは尋ねる。
その手を止めずにキールはリッドに聞き返す。
「…なんでジェイは僕を襲わなかったと思う?」
質問の要旨を理解できずにリッドは答える。
「それは、お前が一番後回しでも良かったからじゃねえのか?お前ヒョロいし。」
リッドの回答にキールは筆を止め、リッドを見る。
いつものように怒鳴られるかと思い警戒をしたリッドだが
キールは「そうか。」といっただけで怒りはしなかった。寧ろその顔はどこか物悲しく見える。
羊皮紙に書く作業は終わったらしく、それを折りたたんでリッドに渡す。
リッドが何だこれ?と尋ねても
「唯の保険だ。僕が良いと言うまでそれは見るなよ。」
そういってそっぽを向くのでリッドも言及はしなかった。
リッド自身も気になることがあったため思考を始める。
ジェイによって間合いを潰されたという事実に不自然を覚えたからだ。
(あれは少なくとも速さじゃねえ…なんだったんだ?)
キールもまた思考の海を泳ぐ、リッドよりも深く、遠く、溺れていく。
(魔剣エターナルソード、ロイドが言うには空間と時間すら操るという剣。
僕達の世界にも存在はしていたがそこまでの力があったとは思わなかったな。
しかしそれが事実だとしてもこの世界の制限下では何処まで力が発揮できるか?
この異空間を破壊するのは不可能だろう。だがもしこの世界に亀裂、鍵穴という
存在があるのならば、鍵の役割はその剣が握っているのかもしれない。
ならば鍵を持つ資格はロイド?いやそれでは足りない。鍵を持つことが出来ても回す力が
足りない。レンズ、魔剣…まだピースが足りない。)
いかんせん全ては机上の空論。あるかどうか分からない鍵を求めるのは早計というもの。
ましてやこの首輪をどうにかしなければこんな推論は無意味だ。
なんとしても考察を他の賢者に検証してもらう必要がある。
(だが、一番足手まといになるこの僕が生き延びる可能性は…)
一番恐れる事態を想像して体が震える。震える体を手で抑え、リッドを見る。
(何としても足手まといになるわけには行かない。リッド、お前だけは、
メルディを助けられる可能性の高いお前だけは、死なせるわけにはいかない。)
(魔剣エターナルソード、ロイドが言うには空間と時間すら操るという剣。
僕達の世界にも存在はしていたがそこまでの力があったとは思わなかったな。
しかしそれが事実だとしてもこの世界の制限下では何処まで力が発揮できるか?
この異空間を破壊するのは不可能だろう。だがもしこの世界に亀裂、鍵穴という
存在があるのならば、鍵の役割はその剣が握っているのかもしれない。
ならば鍵を持つ資格はロイド?いやそれでは足りない。鍵を持つことが出来ても回す力が
足りない。レンズ、魔剣…まだピースが足りない。)
いかんせん全ては机上の空論。あるかどうか分からない鍵を求めるのは早計というもの。
ましてやこの首輪をどうにかしなければこんな推論は無意味だ。
なんとしても考察を他の賢者に検証してもらう必要がある。
(だが、一番足手まといになるこの僕が生き延びる可能性は…)
一番恐れる事態を想像して体が震える。震える体を手で抑え、リッドを見る。
(何としても足手まといになるわけには行かない。リッド、お前だけは、
メルディを助けられる可能性の高いお前だけは、死なせるわけにはいかない。)
その悲壮な覚悟は2人に気付かれる道理は無く、懐かしい武器を振るロイドは
「ジェイの奴遅いな。」と
この後のことを考えながら言った。もう直ぐ夜の時間である。
「ジェイの奴遅いな。」と
この後のことを考えながら言った。もう直ぐ夜の時間である。
ジェイはリッドたちと反対側の高台から双眼鏡で辺りを見回す。
(ようやく痺れが完全に取れましたか。たった一瞬、1m進むだけでこの
痺れ…クライマックス、迂闊に使えませんね。
何時間動けなくなるのか分かったもんじゃない。それに
完全停止というわけではないようだ…今回はリッドさん達が不安定だったから
良かったけど熟練者相手には付け入る隙があるかもしれない。
第一、本格的に使ったら1回で使用不可でしょうね。
主催者が仮発動なんてことをこれ以上許すとも思えないですし。)
双眼鏡が人影を捉える、それは金髪の魔王。
(今回のC3の一件、首謀者が居るのは間違いない。手がかりは
異能で作られた植物の燃えカス、それを燃やしたであろう魔術、
そして存在しないはずの剣士が居た事実。…条件を満たす人物、あるいはその集団を
1つ知っている。だが確証がない。情報が不足している…ならば。)
ジェイは立ち上がって双眼鏡をしまう。
「手っ取り早く、生存者に聞くのが近道ですね。」
あの傷ならば少なくともこちらが死ぬことは無いという確信と共に。
跳躍、ジェイは大地に降り立つ。金色の魔王、ダオスの元に。
「お会いするのはこれで2度目…いや、3度目ですか。『お父さん』。」
3回目の接触でついに2人は対面することになった。
(ようやく痺れが完全に取れましたか。たった一瞬、1m進むだけでこの
痺れ…クライマックス、迂闊に使えませんね。
何時間動けなくなるのか分かったもんじゃない。それに
完全停止というわけではないようだ…今回はリッドさん達が不安定だったから
良かったけど熟練者相手には付け入る隙があるかもしれない。
第一、本格的に使ったら1回で使用不可でしょうね。
主催者が仮発動なんてことをこれ以上許すとも思えないですし。)
双眼鏡が人影を捉える、それは金髪の魔王。
(今回のC3の一件、首謀者が居るのは間違いない。手がかりは
異能で作られた植物の燃えカス、それを燃やしたであろう魔術、
そして存在しないはずの剣士が居た事実。…条件を満たす人物、あるいはその集団を
1つ知っている。だが確証がない。情報が不足している…ならば。)
ジェイは立ち上がって双眼鏡をしまう。
「手っ取り早く、生存者に聞くのが近道ですね。」
あの傷ならば少なくともこちらが死ぬことは無いという確信と共に。
跳躍、ジェイは大地に降り立つ。金色の魔王、ダオスの元に。
「お会いするのはこれで2度目…いや、3度目ですか。『お父さん』。」
3回目の接触でついに2人は対面することになった。
マーテルを初めて傷つけたソロンはダオスに言った。
私には弟子が居ると、その弟子がマーテルを狙っていると。
結局それは嘘ではあったが、奇しくも
その弟子はマーテルの最後を看取る結果となる。
私には弟子が居ると、その弟子がマーテルを狙っていると。
結局それは嘘ではあったが、奇しくも
その弟子はマーテルの最後を看取る結果となる。
あの時も結局ソロンの虚言によって2人の闘いは中断された。
ここに師を弟子へと変えて、虚言の交渉の続きが、虚言の夜が始まる。
ここに師を弟子へと変えて、虚言の交渉の続きが、虚言の夜が始まる。
【リッド 生存確認】
状態:精神力かなり低下 体力の低下
所持品:ヴォーパルソード、ホーリィリング、キールのメモ
基本行動方針:ファラの意志を継ぎ、脱出法を探し出す
第一行動方針:キール、ロイド、ジェイと行動、体力回復
第二行動方針:放送を聞いた後、E2の城に行く
第三行動方針:襲ってくる敵は排除
第四行動方針:メルディを捜す
現在位置:D2西
状態:精神力かなり低下 体力の低下
所持品:ヴォーパルソード、ホーリィリング、キールのメモ
基本行動方針:ファラの意志を継ぎ、脱出法を探し出す
第一行動方針:キール、ロイド、ジェイと行動、体力回復
第二行動方針:放送を聞いた後、E2の城に行く
第三行動方針:襲ってくる敵は排除
第四行動方針:メルディを捜す
現在位置:D2西
【キール 生存確認】
状態:後頭部打撲(回復中)、決意
所持品:ベレット
基本行動方針:脱出法を探し出す 、リッドの死守
第一行動方針:リッド、ロイド、ジェイと行動
第二行動方針:放送を聞いて状況の整理
第三行動方針:情報収集
第四行動方針:メルディを助ける
現在位置:D2西
状態:後頭部打撲(回復中)、決意
所持品:ベレット
基本行動方針:脱出法を探し出す 、リッドの死守
第一行動方針:リッド、ロイド、ジェイと行動
第二行動方針:放送を聞いて状況の整理
第三行動方針:情報収集
第四行動方針:メルディを助ける
現在位置:D2西
【ロイド 生存確認】
状態:普通
所持品:ムメイブレード(二刀流)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆で生きて帰る
第一行動方針:放送を聞いた後、E2の城へ向かう
第二行動方針:リッド、キール、ジェイと行動
第三行動方針:協力者を探す
現在位置:D2西
状態:普通
所持品:ムメイブレード(二刀流)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆で生きて帰る
第一行動方針:放送を聞いた後、E2の城へ向かう
第二行動方針:リッド、キール、ジェイと行動
第三行動方針:協力者を探す
現在位置:D2西
【ジェイ 生存確認】
状態:緊張 全身にあざ TP2/3
所持品:忍刀・紫電 ダーツセット クナイ(三枚) 双眼鏡 エルヴンマント
基本行動方針:目的とする人を捜す
第一行動方針:出来る限り戦闘を回避して目の前の人物からマーテル殺害の真相を知る。
第二行動方針:放送を聴いて状況を把握、3人との合流
第三行動方針:ミントへの謝罪
第四行動方針:シャーリィと合流
第五行動方針:ミトス・ユアンを発見する
現在位置:D3崖下
状態:緊張 全身にあざ TP2/3
所持品:忍刀・紫電 ダーツセット クナイ(三枚) 双眼鏡 エルヴンマント
基本行動方針:目的とする人を捜す
第一行動方針:出来る限り戦闘を回避して目の前の人物からマーテル殺害の真相を知る。
第二行動方針:放送を聴いて状況を把握、3人との合流
第三行動方針:ミントへの謝罪
第四行動方針:シャーリィと合流
第五行動方針:ミトス・ユアンを発見する
現在位置:D3崖下
【ダオス 生存確認】
状態:TP残り70% HP1/8 死への秒読み(およそ半日後に死亡) 壮烈な覚悟
所持品:エメラルドリング ダオスの遺書
基本行動方針:死ぬまでになるべく多くのマーダーを殺害する
第一行動方針:目の前の人物に対処
第二行動方針:C3の件の黒幕を、クレスもろともに断罪する
第三行動方針:遺志を継いでもらえそうな人間は、決して傷付けない
現在位置:D3崖下
状態:TP残り70% HP1/8 死への秒読み(およそ半日後に死亡) 壮烈な覚悟
所持品:エメラルドリング ダオスの遺書
基本行動方針:死ぬまでになるべく多くのマーダーを殺害する
第一行動方針:目の前の人物に対処
第二行動方針:C3の件の黒幕を、クレスもろともに断罪する
第三行動方針:遺志を継いでもらえそうな人間は、決して傷付けない
現在位置:D3崖下