それぞれの求めるもの
目を開けても、そこにあるのは暗闇だけ。
いや、目を開ける、という表現は間違っている。
今の自分にあるのは目を開けるという記憶を元に勝手に作り出した感覚に過ぎないのだから。
立っているのか座っているのか、もしくは漂っているのか。
何度も考えたソレも実際の答えはどれでもない。あえて言うなれば「在る」だけなのだ。ただそこに。
いや、目を開ける、という表現は間違っている。
今の自分にあるのは目を開けるという記憶を元に勝手に作り出した感覚に過ぎないのだから。
立っているのか座っているのか、もしくは漂っているのか。
何度も考えたソレも実際の答えはどれでもない。あえて言うなれば「在る」だけなのだ。ただそこに。
自分は一体何をしているのだろうか。全てを投げ出し、ただ逃げただけの自分は。
友も仲間も捨て、自分すら捨てて逃げ出し、そして後悔する。
味方にさえつけてしまえば絶対に自分を裏切ることは無い「闇」自ら望んで足を踏み入れた領域。恐怖から逃れる為に。
その結果、確かに死の恐怖は消えた。いつ闇に飲まれるのか、という恐怖も消えた。
だけど新たに生まれた感覚があった。
それは恐怖なのか絶望なのか。もしかすると希望なのかもしれない。
彼等を失う事に対する恐怖。絶望。
それだけならどう転んでも前者なのだ。希望にはなりえない。だけど。
それは彼を失ってしまえば消えてしまう物。
そうなれば後はただ運命を、世界を、全てを、恨んでいればいい。
それだけでいいのだ。希望を無くす代わりに絶望も消える。
いつかはこの思考も消え、自分は完全に闇に溶け同化する。
そして、バテン・カイトスへ――――。
友も仲間も捨て、自分すら捨てて逃げ出し、そして後悔する。
味方にさえつけてしまえば絶対に自分を裏切ることは無い「闇」自ら望んで足を踏み入れた領域。恐怖から逃れる為に。
その結果、確かに死の恐怖は消えた。いつ闇に飲まれるのか、という恐怖も消えた。
だけど新たに生まれた感覚があった。
それは恐怖なのか絶望なのか。もしかすると希望なのかもしれない。
彼等を失う事に対する恐怖。絶望。
それだけならどう転んでも前者なのだ。希望にはなりえない。だけど。
それは彼を失ってしまえば消えてしまう物。
そうなれば後はただ運命を、世界を、全てを、恨んでいればいい。
それだけでいいのだ。希望を無くす代わりに絶望も消える。
いつかはこの思考も消え、自分は完全に闇に溶け同化する。
そして、バテン・カイトスへ――――。
ふと、懐かしい顔が脳裏に浮かぶ。
闇に飲まれる前、そして闇から開放された後の優しい母の笑顔だった。
(とこしえに想う……)
頭の中に母の声が響き、ぶんぶんと大きく首を振る。
自分は一体何を考えているのか。
駄目だ、こんな馬鹿げた考えは。諦めるなんて、らしくない。
グランドフォールだって、自分が行動したから止められた。今度も行動すればなんとかなるかもしれない。
何もせずに逃げ出して後悔するのは一度で十分だ。
今は優しい声をかけてくれる人も励ましてくれる人も支えてくれる人も誰も居ない。だけど、だけど。
闇に飲まれる前、そして闇から開放された後の優しい母の笑顔だった。
(とこしえに想う……)
頭の中に母の声が響き、ぶんぶんと大きく首を振る。
自分は一体何を考えているのか。
駄目だ、こんな馬鹿げた考えは。諦めるなんて、らしくない。
グランドフォールだって、自分が行動したから止められた。今度も行動すればなんとかなるかもしれない。
何もせずに逃げ出して後悔するのは一度で十分だ。
今は優しい声をかけてくれる人も励ましてくれる人も支えてくれる人も誰も居ない。だけど、だけど。
(おトーさん、おカーさん…)
いつまでも見守っていてくれる人は必ずいる。姿は見えなくとも心は繋がっている。
今の自分に出来ること。気を強く持ったからといってあの強大な闇には勝てるはずも無い。
それでも、考える事だけなら嫌という程出来る。
それに彼等が「自分」ごときに負けるわけが無い。他の相手でも同じ事。
そうすれば彼等に必要なのは脱出法と首輪の解除。
一瞬、伝える方法が無いのでは、という嫌な考えが頭をよぎる。
だけどそのすぐ後に浮かんだ、今はもういない大切な友の顔にその不安はかき消された。
(大丈夫!なんとかなるよ。イケるイケる、な!)
母シゼルと短いながらに再会出来たのだ。絶対になんとかなる。
脱出か首輪の解除か。せめてどちらかだけでも解きたい。それが彼等の力になるならば。
そして幸いにも今の自分には明らかに向いている方がある。
―――首輪の解除。
いつまでも見守っていてくれる人は必ずいる。姿は見えなくとも心は繋がっている。
今の自分に出来ること。気を強く持ったからといってあの強大な闇には勝てるはずも無い。
それでも、考える事だけなら嫌という程出来る。
それに彼等が「自分」ごときに負けるわけが無い。他の相手でも同じ事。
そうすれば彼等に必要なのは脱出法と首輪の解除。
一瞬、伝える方法が無いのでは、という嫌な考えが頭をよぎる。
だけどそのすぐ後に浮かんだ、今はもういない大切な友の顔にその不安はかき消された。
(大丈夫!なんとかなるよ。イケるイケる、な!)
母シゼルと短いながらに再会出来たのだ。絶対になんとかなる。
脱出か首輪の解除か。せめてどちらかだけでも解きたい。それが彼等の力になるならば。
そして幸いにも今の自分には明らかに向いている方がある。
―――首輪の解除。
「中」に居る分自分の体の全ての情報が分かる。
ここに来て初めて、ずっと不思議だった「ネレイドはどの様にして自分の状況を把握しているのか」という疑問も解消されていた。
「視える」のだ。何もかも。
光も何もない空間なのに、不思議と全てが視える。
そう、つけているだけじゃ分からない首輪の内側までも。
ここに来て初めて、ずっと不思議だった「ネレイドはどの様にして自分の状況を把握しているのか」という疑問も解消されていた。
「視える」のだ。何もかも。
光も何もない空間なのに、不思議と全てが視える。
そう、つけているだけじゃ分からない首輪の内側までも。
自分だって、晶霊技師だ。
世界一の晶霊技師、ガレノスの一番弟子だった父、同じく有能だった母から受け継いだ血。
現在ガレノスの弟子となり教わった知識。旅の途中で仲間から聞いた知識。
そして、幼き頃からたくさん見てきた機械の「内側」
世界一の晶霊技師、ガレノスの一番弟子だった父、同じく有能だった母から受け継いだ血。
現在ガレノスの弟子となり教わった知識。旅の途中で仲間から聞いた知識。
そして、幼き頃からたくさん見てきた機械の「内側」
ゆっくりと意識を集中させ、思考を一点に集中させる。
「自分」が彼等に出会うまでに。自分の心が壊れる前に。必ず解明してみせる。
そして、己の口で伝えるんだ。それが最期の言葉になろうとも。
「自分」が彼等に出会うまでに。自分の心が壊れる前に。必ず解明してみせる。
そして、己の口で伝えるんだ。それが最期の言葉になろうとも。
放送前から段々と聞こえなくなっていき、現在は完全に遮断されたメルディの思考。
完全に支配しているはずにも関わらず少女はまだあがこうと言うのか。それとも諦めたのか。
しかし、例え少女が何を考えていようとネレイドにとっては些細な事でしかない。
そんな事よりも彼にとってはこれからの方が大切だ。
ゆっくりと立ち上がり辺りを見渡す。
遠くの方から音は聞こえるものの、近くには何もいない。
鳥や虫の鳴き声は無く、風の音すらしない。
不気味な程の静寂に包まれたその場所で、ネレイドは少し場違いな笑みを顔に浮かべた。
完全に支配しているはずにも関わらず少女はまだあがこうと言うのか。それとも諦めたのか。
しかし、例え少女が何を考えていようとネレイドにとっては些細な事でしかない。
そんな事よりも彼にとってはこれからの方が大切だ。
ゆっくりと立ち上がり辺りを見渡す。
遠くの方から音は聞こえるものの、近くには何もいない。
鳥や虫の鳴き声は無く、風の音すらしない。
不気味な程の静寂に包まれたその場所で、ネレイドは少し場違いな笑みを顔に浮かべた。
体の痛みはほとんど感じない。精神力も十分にたまった。
後はキール・ツァイベルを見つけて殺すだけだ。邪魔する奴もみな殺す。
先の放送で、あたかも自分が神であるかの様な口調で話していたあの不快な男も。
いや、あのような小物殺すにも値せん。
我の邪魔をし、我の前に立つものを殺せばいい。あの男が我の前に現れたら、他に違わず殺せばいいのだ。
唯一の不安要素が真の極光を持つ者。
少なくとも現在この島にいる者で使えるのはただ一人だけ。
彼だけは万全の体調で挑まなくてはならない。
他の者であれば闇の極光を使えば防ぐ手立てはない。
後はキール・ツァイベルを見つけて殺すだけだ。邪魔する奴もみな殺す。
先の放送で、あたかも自分が神であるかの様な口調で話していたあの不快な男も。
いや、あのような小物殺すにも値せん。
我の邪魔をし、我の前に立つものを殺せばいい。あの男が我の前に現れたら、他に違わず殺せばいいのだ。
唯一の不安要素が真の極光を持つ者。
少なくとも現在この島にいる者で使えるのはただ一人だけ。
彼だけは万全の体調で挑まなくてはならない。
他の者であれば闇の極光を使えば防ぐ手立てはない。
瞳を閉じ、精神を集中させる。
先程戦いの音が聞こえたのは南東。音の聞こえ方から言ってかなりの距離になる。
数時間前まで同じ場所にいた彼等がそこまで移動したとは考えにくい。
と、なれば――。
ネレイドがその鋭い視線を真っ直ぐ南の方角に向けた。
「こちらか…」
明らかに、それも決して弱くは無い人の気配が無数に感じる場所。
ついでにネレイドには気にかかることがあった。
しばらく前から突然現れた不思議な力の集まり。晶霊か、それ以上の力を蓄えた力。
それは大いなる実りと呼ばれ、星一つ救う程の力を秘めたマナの結晶だった。
もちろんネレイドはそれを知る由も無いが。
先程戦いの音が聞こえたのは南東。音の聞こえ方から言ってかなりの距離になる。
数時間前まで同じ場所にいた彼等がそこまで移動したとは考えにくい。
と、なれば――。
ネレイドがその鋭い視線を真っ直ぐ南の方角に向けた。
「こちらか…」
明らかに、それも決して弱くは無い人の気配が無数に感じる場所。
ついでにネレイドには気にかかることがあった。
しばらく前から突然現れた不思議な力の集まり。晶霊か、それ以上の力を蓄えた力。
それは大いなる実りと呼ばれ、星一つ救う程の力を秘めたマナの結晶だった。
もちろんネレイドはそれを知る由も無いが。
その闇を帯びた表情に冷笑をのせ、ネレイドは歩き出した。
―――自分の世界を取り戻すために。
【メルディ(ネレイド) 生存確認】
状態:ほぼ回復
所持品:BCロッド スカウトオーブ、リバヴィウス鉱、C・ケイジ
基本行動方針:ネレイド…新たなる世界の創造
メルディ…仲間の生存、心を壊さないようにする(全てはキールにかかっている)
第一行動方針:ネレイド…キールを殺す
メルディ…首輪の解明
第二行動方針:ネレイド…器(メルディ)を壊さないようにする
メルディ…脱出方法を考える
第三行動方針:ネレイド…不安要素を無くす(リッドを殺す)
現在位置:B3の森の中
状態:ほぼ回復
所持品:BCロッド スカウトオーブ、リバヴィウス鉱、C・ケイジ
基本行動方針:ネレイド…新たなる世界の創造
メルディ…仲間の生存、心を壊さないようにする(全てはキールにかかっている)
第一行動方針:ネレイド…キールを殺す
メルディ…首輪の解明
第二行動方針:ネレイド…器(メルディ)を壊さないようにする
メルディ…脱出方法を考える
第三行動方針:ネレイド…不安要素を無くす(リッドを殺す)
現在位置:B3の森の中