四角く切り取られた木造の部屋がある。
窓から差し込む日差しに照らされた部屋は広く、多くの人を収容することが可能だ。
外へと繋がるドアから部屋の奥へと、色あせた絨毯がまっすぐに伸びている。
それが部屋を二分しており、その左右両側に等間隔で長椅子が並べられている。
絨毯の道の先、一段高くなった場所。四角い机が設えられており、その机の上に聖書らしき本と一体の女神像が置かれている。
その机の正面に、長い髪を編んだ青年が立っていた。
彼は目を閉じると、右手を女神像へと向ける。精神を集中し、脳裏にイメージを構築する。
大気の変動を体で感じる。とりわけ、手をかざした向こうの気温が急激に低下していくのが分かる。
その変動の終了を感じ取ると、青年は力を抜いて再び目を開ける。
机の上に佇む女神像は、澄み渡った氷の檻に閉じ込められていた。
「フォルスは使えるようだな……」
青白い髪をした青年、ヴェイグは呟く。氷のフォルスの使い手である彼は自分の力が使えることに安堵する。
決していい思い出のある力ではないが、このような状況下では頼れるものだった。
そう、今は殺し合いという状況だ。どことも分からない場所で、誰とも分からない男に命じられるままに。
その男が言うには、生き残った者には褒賞として願いを叶えるらしい。そうすることで戦意を煽ろうと言うのだろう。
窓から差し込む日差しに照らされた部屋は広く、多くの人を収容することが可能だ。
外へと繋がるドアから部屋の奥へと、色あせた絨毯がまっすぐに伸びている。
それが部屋を二分しており、その左右両側に等間隔で長椅子が並べられている。
絨毯の道の先、一段高くなった場所。四角い机が設えられており、その机の上に聖書らしき本と一体の女神像が置かれている。
その机の正面に、長い髪を編んだ青年が立っていた。
彼は目を閉じると、右手を女神像へと向ける。精神を集中し、脳裏にイメージを構築する。
大気の変動を体で感じる。とりわけ、手をかざした向こうの気温が急激に低下していくのが分かる。
その変動の終了を感じ取ると、青年は力を抜いて再び目を開ける。
机の上に佇む女神像は、澄み渡った氷の檻に閉じ込められていた。
「フォルスは使えるようだな……」
青白い髪をした青年、ヴェイグは呟く。氷のフォルスの使い手である彼は自分の力が使えることに安堵する。
決していい思い出のある力ではないが、このような状況下では頼れるものだった。
そう、今は殺し合いという状況だ。どことも分からない場所で、誰とも分からない男に命じられるままに。
その男が言うには、生き残った者には褒賞として願いを叶えるらしい。そうすることで戦意を煽ろうと言うのだろう。
だが、そんなことはヴェイグにとってどうでもよかった。
ヴェイグはただ、帰りたいと思った。
自分の大切な人のところへ。自分を待っている人のもとへ。
そのためには生き残らなければならない。最後の1人にならなければならない。
だから、ヴェイグは決意する。戦おうと。
相手が誰であろうと、戦い抜こうと。
ヴェイグはただ、帰りたいと思った。
自分の大切な人のところへ。自分を待っている人のもとへ。
そのためには生き残らなければならない。最後の1人にならなければならない。
だから、ヴェイグは決意する。戦おうと。
相手が誰であろうと、戦い抜こうと。
そして、帰ろう。クレアのもとへ。
考えながら、支給品を確認するため足元のザックに手を伸ばす。地図やコンパスなどの道具に、食料や水。
そして、短剣が二本入っていた。一本は細身でシンプルな短剣だ。残念ながら、攻撃力はあまり期待できそうにない。
そしてもう一本は、水晶で作られた、幅広い刃の青い短剣。その短剣に施された装飾は、水の力を刀身に与えている。
ヴェイグはそれらをすぐに使えるように腰に差す。使い慣れた武器ではないが、武器が入っていただけマシだと思う。
最後に名簿を見つける。ヴェイグはそれに目を通しかけて、止めた。
もし知った人物がいれば、自分の決意は揺らぐだろうから。
武器以外をザックに戻すと、ヴェイグはそれを肩にかける。
身を翻すと、絨毯の上を迷わずに歩いていく。ドアに手をかけ、ヴェイグは草原へと歩き出した。
たとえ、血塗られた道となろうとも。
生き抜くために。
そして、短剣が二本入っていた。一本は細身でシンプルな短剣だ。残念ながら、攻撃力はあまり期待できそうにない。
そしてもう一本は、水晶で作られた、幅広い刃の青い短剣。その短剣に施された装飾は、水の力を刀身に与えている。
ヴェイグはそれらをすぐに使えるように腰に差す。使い慣れた武器ではないが、武器が入っていただけマシだと思う。
最後に名簿を見つける。ヴェイグはそれに目を通しかけて、止めた。
もし知った人物がいれば、自分の決意は揺らぐだろうから。
武器以外をザックに戻すと、ヴェイグはそれを肩にかける。
身を翻すと、絨毯の上を迷わずに歩いていく。ドアに手をかけ、ヴェイグは草原へと歩き出した。
たとえ、血塗られた道となろうとも。
生き抜くために。
数分後、誰もいなくなった教会で。女神像の氷は溶け出していく。
液体となって流れ落ちる水は、まるで女神像の涙のようだった。
液体となって流れ落ちる水は、まるで女神像の涙のようだった。
【ヴェイグ 生存確認
所持品:スティレット チンクエデア
現在位置:H7の教会を出てすぐ
第一行動方針:ゲームに乗る。最後まで生き残る】
所持品:スティレット チンクエデア
現在位置:H7の教会を出てすぐ
第一行動方針:ゲームに乗る。最後まで生き残る】