継がれし想い 二つの光
基本的に、チェスの卓上を見下ろすことが出来るのはそのプレイヤーに限る。
もちろん駒を操作するのはそのプレイヤーであって、駒自身は勝手に動くことなど到底不可能なのだ。
ここに、人間が入り乱れ、チェスの卓上で表現された舞台がある。
プレイヤーはただ一人、その舞台を自らの頭脳で作り上げたデミテルただ一人。
「人」というのは自我を持ち、あらゆる行動は自分自身の意思に基づいて決行される。どうして「人」を駒に見立てられるだろうか。
デミテルは駒を操作できる。正確には「その通りに動く」ことが駒としての最低条件だ。
つまり、デミテルはこの状況をチェスの卓上として見立てたと同時に、自分一人の勝利のための駒を用意し、プレイヤー自らがその駒を操ることでチェスが完成する。
チェックメイトは既に決定事項だった。この状況下で駒がプレイヤーに勝てることなど不可能なのだ。
チェックメイトとなる砲撃が放たれるまで、刹那か、久遠か、それはやはりプレイヤーにしか分からない事だ。
もちろん駒を操作するのはそのプレイヤーであって、駒自身は勝手に動くことなど到底不可能なのだ。
ここに、人間が入り乱れ、チェスの卓上で表現された舞台がある。
プレイヤーはただ一人、その舞台を自らの頭脳で作り上げたデミテルただ一人。
「人」というのは自我を持ち、あらゆる行動は自分自身の意思に基づいて決行される。どうして「人」を駒に見立てられるだろうか。
デミテルは駒を操作できる。正確には「その通りに動く」ことが駒としての最低条件だ。
つまり、デミテルはこの状況をチェスの卓上として見立てたと同時に、自分一人の勝利のための駒を用意し、プレイヤー自らがその駒を操ることでチェスが完成する。
チェックメイトは既に決定事項だった。この状況下で駒がプレイヤーに勝てることなど不可能なのだ。
チェックメイトとなる砲撃が放たれるまで、刹那か、久遠か、それはやはりプレイヤーにしか分からない事だ。
しかして、異世界者が交じり合うこの中で、決定事項などが生まれるであろうか。
統一して世の理がある。「この世に絶対というものは一つしか存在しない」。
不確定要素が漂うこの中で、もちろんデミテルもアクシデントを想定してのチェスプレイということは、今までの彼の功績からみても分かるだろう。
だがアクシデントとは、「想定外の事象」のことを指す。
果たして「想定内のアクシデント」は「アクシデント」といえるのだろうか。
舞台はチェス盤へと移り変わる。
統一して世の理がある。「この世に絶対というものは一つしか存在しない」。
不確定要素が漂うこの中で、もちろんデミテルもアクシデントを想定してのチェスプレイということは、今までの彼の功績からみても分かるだろう。
だがアクシデントとは、「想定外の事象」のことを指す。
果たして「想定内のアクシデント」は「アクシデント」といえるのだろうか。
舞台はチェス盤へと移り変わる。
言い忘れていたことが一つ。
「この世に絶対というものは一つしか存在しない」の答えを。
それは「世に在るモノの死」ということのみに限られる。
「死」は平等だ。必ず来るものであり、唯一無二の不可避な事象である。
さて、この「絶対」は、誰に微笑むものだろうか。
「この世に絶対というものは一つしか存在しない」の答えを。
それは「世に在るモノの死」ということのみに限られる。
「死」は平等だ。必ず来るものであり、唯一無二の不可避な事象である。
さて、この「絶対」は、誰に微笑むものだろうか。
何度目かの剣戟が散る。鳶と金はその色を一層濃くし、夜とも思えないほどの闘志が湧き上がっている。
金の主、カイルには状況判断が出来ない。いや、正確には「状況判断の間々ならない状況下」にあるのだ。
飛んでくる威圧を押し払うのみで精一杯なのだ。認めたくはないが、相手にしている鳶の主、ロイドをただの雑魚とは認識できないでいた。
ガキッという剣と剣の交差時、互いが互いを見つめる。
だがこの時、どちらが冷静さを失っているかは、どの人種、どの性情な人から見ても一目両全だっただろう。
ロイドはその瞳を微かに濡らし、だが涙という甘いものは流していない。にも関わらず、その内心は猛りに身を任せているようでもあった。
カイルは思う。この男(どう見ても自分より年上に見えるので、青年とは言いづらい)は何かの出来事で気が狂っているのではないかと。
そして戸惑う。突然襲い掛かってくる状況など、あの最凶の敵であったバルバトスの奇襲で何度も体験している。なのでこの対処もいつも通りにやり過ごす……ハズだったのだ。
だがカイルは見てしまった。少年の潤いの含んだ目を。これに戸惑わない程、カイルの自己心は強く保たれてはいなかった。
剣が離れ、バックステップを取る。少しの距離が出来た。さっきはつられて応戦したけれど、周りも騒いでいるようだ。ここは一つ……。
「とう……スタンさん!! 状況が飲み込めません!! ここは一旦手を……」
沈静化を測ろうとしたカイルの言葉も全てを言い終われないで、ロイドがまたもその手を挙げてきた。
「『虎牙破斬』!!」
下からの切り上げ。一応剣で弾いたものの、その強さは先程の小手合いとは段違いのものだった。
それだけならまだしも、振り上げられた剣は更に降下。カイルを目掛ける。
咄嗟に反応して紙一重でその剣をかわす。同時に、その隙をついてカイルの剣がロイドを標的とした。
「『爆炎剣』!!」
ロイドの虎我破斬と同じような動作。違いは、地面と剣を瞬時に擦り、摩擦を帯びて空気に引火。
少量の火を纏った剣が下からロイドを狙う。
だがロイドもその一撃目を空いている片方の剣で防ぎ、弾かれはしたが一瞬の間を確保した。
上から降り注ぐ爆炎剣の終をロイドも同じように横へと紙一重にかわし、カイルの隙をついた。
「まだだっ!!」
だがカイルもこの隙を見計らったかのように連携の技をその場に当てた。
「『瞬迅剣』!!」
「『爆炎連焼』!!」
突に特化した技と、斬に特化した技がぶつかり合い、爆ぜる。
お互いの剣が震え、身体ごとその場を後ろへともっていかれた。
互いが互いの技を見抜き、かわし、交わり、攻める。
両者は綺麗に着地し、だが先程の剣戟がもうリセットされたかのように、ロイドはまたもその身をカイルへと投じた。
金の主、カイルには状況判断が出来ない。いや、正確には「状況判断の間々ならない状況下」にあるのだ。
飛んでくる威圧を押し払うのみで精一杯なのだ。認めたくはないが、相手にしている鳶の主、ロイドをただの雑魚とは認識できないでいた。
ガキッという剣と剣の交差時、互いが互いを見つめる。
だがこの時、どちらが冷静さを失っているかは、どの人種、どの性情な人から見ても一目両全だっただろう。
ロイドはその瞳を微かに濡らし、だが涙という甘いものは流していない。にも関わらず、その内心は猛りに身を任せているようでもあった。
カイルは思う。この男(どう見ても自分より年上に見えるので、青年とは言いづらい)は何かの出来事で気が狂っているのではないかと。
そして戸惑う。突然襲い掛かってくる状況など、あの最凶の敵であったバルバトスの奇襲で何度も体験している。なのでこの対処もいつも通りにやり過ごす……ハズだったのだ。
だがカイルは見てしまった。少年の潤いの含んだ目を。これに戸惑わない程、カイルの自己心は強く保たれてはいなかった。
剣が離れ、バックステップを取る。少しの距離が出来た。さっきはつられて応戦したけれど、周りも騒いでいるようだ。ここは一つ……。
「とう……スタンさん!! 状況が飲み込めません!! ここは一旦手を……」
沈静化を測ろうとしたカイルの言葉も全てを言い終われないで、ロイドがまたもその手を挙げてきた。
「『虎牙破斬』!!」
下からの切り上げ。一応剣で弾いたものの、その強さは先程の小手合いとは段違いのものだった。
それだけならまだしも、振り上げられた剣は更に降下。カイルを目掛ける。
咄嗟に反応して紙一重でその剣をかわす。同時に、その隙をついてカイルの剣がロイドを標的とした。
「『爆炎剣』!!」
ロイドの虎我破斬と同じような動作。違いは、地面と剣を瞬時に擦り、摩擦を帯びて空気に引火。
少量の火を纏った剣が下からロイドを狙う。
だがロイドもその一撃目を空いている片方の剣で防ぎ、弾かれはしたが一瞬の間を確保した。
上から降り注ぐ爆炎剣の終をロイドも同じように横へと紙一重にかわし、カイルの隙をついた。
「まだだっ!!」
だがカイルもこの隙を見計らったかのように連携の技をその場に当てた。
「『瞬迅剣』!!」
「『爆炎連焼』!!」
突に特化した技と、斬に特化した技がぶつかり合い、爆ぜる。
お互いの剣が震え、身体ごとその場を後ろへともっていかれた。
互いが互いの技を見抜き、かわし、交わり、攻める。
両者は綺麗に着地し、だが先程の剣戟がもうリセットされたかのように、ロイドはまたもその身をカイルへと投じた。
「はああぁぁぁ!!」
「くそっ!!」
カイルは悪態をついてその剣主を見据える。そしてまたも剣の交差。
カイルにはその時しかないと、本能的に悟った。この剣と剣の交差している時間が、目の前の猛っている男との最短の距離にして最大の時間だと思ったのだ。
「アナタは何故俺と戦っているんだ!!」
「父さんをよくも!! 信じていた!! 生きてるって!! でも……」
ロイドの頭がほんの少しうな垂れる。その隙をカイルは攻めない。いや、攻められなかった。
すぐにロイドはカイルを睨む。慕うべき人物の地下での姿。実の父を無残な姿で再会させられてしまった、この状況。
頭に血が上っているという比喩はこの時、まさにロイドに適合した。
正義だとか、犠牲だとか、何かにかこつけて自分を傷つけるようなやり方はロイドは好まない。
何も考えられない。考えたくない。己の心情をぶつける。この様な仕打ちをした敵に!!
ロイドが片手剣でカイルの剣をずらす。そこから剣攻の嵐のように、左右の片手剣を交互順にカイルへと向ける。
かろうじて防いでいるカイルだが、一つ一つの力は半分でも手数では圧倒的にロイドのほうが有利だ。
知らず、カイルは後ろへと後ずさりながら防ぐ形となる。
体勢的にも態勢的にも不利なカイルはいちかばちかの賭けに出た。
ロイドの左手剣を交わした後、咄嗟にそれを足で踏む。そしてやってくる右手剣を自らの剣で食い止め、制止させた。
二回目の会話の時がやって来た。
「俺には何が起こっているのかは分からない!! でも、アナタが悲しんでいるということくらいは、バカな俺にだって分かる!!」
勢いあまって叫び口調になるが、感情をむき出していると悟らせるには十分な効果があった。
ロイドは刹那、呆気に取られた顔をした。だがすぐさまその表情を戻し、
「ハァッ!!」
「ぐっ!」
剣を踏まれている足を蹴りのかせ、ぐらついたカイルに肩を当てる。
「『獅子戦吼』!!」
轟とした闘気を纏わせてカイルにぶつける。もろに喰らったカイルはそのまま吹き飛ばされた。
「がはっ!!」
そのままロイドは佇む。自らが欲した時間を、そして自身に問い掛ける時間を。
「誰が泣いてるって……俺は怒ってるんだ……父さんを殺した奴を、俺は……」
「ぐ……じゃあ、じゃあその涙はなんなんだ!!」
負傷しつつもカイルは剣を杖に見立てて立ち上がり、叫んだ。
ロイドはハッとして自分の目を触る。確かに、コレは濡れた感触。
零れてはいないが、溜まっている。一体何故……。
「俺は知ってる……怒っている時に泣いてるのは、悲しいから怒ってるんだ。じゃないと、怒りで涙なんて出やしない!!」
カイルは叫ぶ。どうやらこの機が、自分と、そして交戦している男との時間の最後だと思って。
「くそっ!!」
カイルは悪態をついてその剣主を見据える。そしてまたも剣の交差。
カイルにはその時しかないと、本能的に悟った。この剣と剣の交差している時間が、目の前の猛っている男との最短の距離にして最大の時間だと思ったのだ。
「アナタは何故俺と戦っているんだ!!」
「父さんをよくも!! 信じていた!! 生きてるって!! でも……」
ロイドの頭がほんの少しうな垂れる。その隙をカイルは攻めない。いや、攻められなかった。
すぐにロイドはカイルを睨む。慕うべき人物の地下での姿。実の父を無残な姿で再会させられてしまった、この状況。
頭に血が上っているという比喩はこの時、まさにロイドに適合した。
正義だとか、犠牲だとか、何かにかこつけて自分を傷つけるようなやり方はロイドは好まない。
何も考えられない。考えたくない。己の心情をぶつける。この様な仕打ちをした敵に!!
ロイドが片手剣でカイルの剣をずらす。そこから剣攻の嵐のように、左右の片手剣を交互順にカイルへと向ける。
かろうじて防いでいるカイルだが、一つ一つの力は半分でも手数では圧倒的にロイドのほうが有利だ。
知らず、カイルは後ろへと後ずさりながら防ぐ形となる。
体勢的にも態勢的にも不利なカイルはいちかばちかの賭けに出た。
ロイドの左手剣を交わした後、咄嗟にそれを足で踏む。そしてやってくる右手剣を自らの剣で食い止め、制止させた。
二回目の会話の時がやって来た。
「俺には何が起こっているのかは分からない!! でも、アナタが悲しんでいるということくらいは、バカな俺にだって分かる!!」
勢いあまって叫び口調になるが、感情をむき出していると悟らせるには十分な効果があった。
ロイドは刹那、呆気に取られた顔をした。だがすぐさまその表情を戻し、
「ハァッ!!」
「ぐっ!」
剣を踏まれている足を蹴りのかせ、ぐらついたカイルに肩を当てる。
「『獅子戦吼』!!」
轟とした闘気を纏わせてカイルにぶつける。もろに喰らったカイルはそのまま吹き飛ばされた。
「がはっ!!」
そのままロイドは佇む。自らが欲した時間を、そして自身に問い掛ける時間を。
「誰が泣いてるって……俺は怒ってるんだ……父さんを殺した奴を、俺は……」
「ぐ……じゃあ、じゃあその涙はなんなんだ!!」
負傷しつつもカイルは剣を杖に見立てて立ち上がり、叫んだ。
ロイドはハッとして自分の目を触る。確かに、コレは濡れた感触。
零れてはいないが、溜まっている。一体何故……。
「俺は知ってる……怒っている時に泣いてるのは、悲しいから怒ってるんだ。じゃないと、怒りで涙なんて出やしない!!」
カイルは叫ぶ。どうやらこの機が、自分と、そして交戦している男との時間の最後だと思って。
「違う!! 俺は憎んでいるんだ!! 父さんを殺した奴を!!」
「憎むなんて言うなよ!! アナタのお父さんはそれを望んでいるのか!?」
ロイドはとうとう、その核心を突かれて手が緩む。だがまだ剣は落とさない。
クラトスが、望む?一体何を?
「父が子を心配しないわけない!! 逆も同じだ!! 俺はいつだって父さんのことを忘れたことはない!! アナタも同じじゃないのか!!」
精一杯叫ぶ。その言葉に一切の余計な含有は無い。ただ、ありのままをぶつける。
不器用だが、それが相手に分かってもらえる一番の方法だ。そのことをカイルは知らない。だからこそ、彼の周りは常に仲間が、仲間は常にカイルの周りにいた。
剣を握るロイドの手が強まる。何かを決め、何かを諦めた、何か。
「クラトスはいつだって俺の前でみんなを守ってくれていた……父さんはいつだって俺の後ろでみんなを支えてくれていた……」
カイルを見据える。だがその表情に先程までの怒気は存在していなかった。
「俺は間違えているみたいだ……でも、もうどうしようもない。この気持ちは、親を想う気持ちはどうにもならない!! ぶつけるしかないんだよ!!」
ロイドも、自らの気持ちを自らの言葉に発する。彼もまたバカ正直で無垢な青年の一人なのだ。
だがカイルにとって、誰よりもその気持ちを理解できた。そして、そうやってバカみたいに叫んで、不器用ながらも気持ちをぶつけるというその姿が、他人事には出来なかった。
カイルは地面を踏みしめ、見据えて剣を構える。
ロイドは双剣を交差させ、自らの体勢をとる。
「俺が止めてみせる……クラトスさんへの想いを……父への想いを真っ直ぐに!!」
言ってカイルは走り出す。距離にしてさほどではない。
「憎むなんて言うなよ!! アナタのお父さんはそれを望んでいるのか!?」
ロイドはとうとう、その核心を突かれて手が緩む。だがまだ剣は落とさない。
クラトスが、望む?一体何を?
「父が子を心配しないわけない!! 逆も同じだ!! 俺はいつだって父さんのことを忘れたことはない!! アナタも同じじゃないのか!!」
精一杯叫ぶ。その言葉に一切の余計な含有は無い。ただ、ありのままをぶつける。
不器用だが、それが相手に分かってもらえる一番の方法だ。そのことをカイルは知らない。だからこそ、彼の周りは常に仲間が、仲間は常にカイルの周りにいた。
剣を握るロイドの手が強まる。何かを決め、何かを諦めた、何か。
「クラトスはいつだって俺の前でみんなを守ってくれていた……父さんはいつだって俺の後ろでみんなを支えてくれていた……」
カイルを見据える。だがその表情に先程までの怒気は存在していなかった。
「俺は間違えているみたいだ……でも、もうどうしようもない。この気持ちは、親を想う気持ちはどうにもならない!! ぶつけるしかないんだよ!!」
ロイドも、自らの気持ちを自らの言葉に発する。彼もまたバカ正直で無垢な青年の一人なのだ。
だがカイルにとって、誰よりもその気持ちを理解できた。そして、そうやってバカみたいに叫んで、不器用ながらも気持ちをぶつけるというその姿が、他人事には出来なかった。
カイルは地面を踏みしめ、見据えて剣を構える。
ロイドは双剣を交差させ、自らの体勢をとる。
「俺が止めてみせる……クラトスさんへの想いを……父への想いを真っ直ぐに!!」
言ってカイルは走り出す。距離にしてさほどではない。
――その時はすぐにやって来た。
一回、二回、三回、互いの剣が弾き合う。
「『魔神剣』!!」
「『蒼葉塵』!!」
激しい鬩(せめ)ぎ合い。しかし両者は一歩もひかない。
数回の剣戟が瞬時に展開され、だがお互いはその攻勢を全く変えない。
「『秋沙雨』!!」
「『蒼葉追連』!!」
無数の突きが空圧と斬突で相殺。互いが間をおかれる。
瞬間か刹那か、偶然か必然か。
「「はあぁぁぁ!!!!」」
互いは見たことのない気を纏わせ、その具現を互いに視認する。
「『魔神剣』!!」
「『蒼葉塵』!!」
激しい鬩(せめ)ぎ合い。しかし両者は一歩もひかない。
数回の剣戟が瞬時に展開され、だがお互いはその攻勢を全く変えない。
「『秋沙雨』!!」
「『蒼葉追連』!!」
無数の突きが空圧と斬突で相殺。互いが間をおかれる。
瞬間か刹那か、偶然か必然か。
「「はあぁぁぁ!!!!」」
互いは見たことのない気を纏わせ、その具現を互いに視認する。
紅の光を纏いし潜在の解放――スピリッツブラスター
白の光を纏いし稀少の邂逅――オーバーリミッツ
白の光を纏いし稀少の邂逅――オーバーリミッツ
二つの閃光は、運命のように共鳴する。
「『猛虎豪破斬』!!」
「『屠龍連撃破』!!」
激しい激昂と旋律は、極限まで高められた肉体によって更に加速した。
結末など不要の、それは美しい奏でだったのかもしれない。
一つ、二つ、その重い剣戟は互いを潰しあい、互いを受け入れている。
猛虎豪破斬の最後の振り下ろしと
屠龍連撃破の最後の切り上げが
D.S.を告げた。
「『猛虎豪破斬』!!」
「『屠龍連撃破』!!」
激しい激昂と旋律は、極限まで高められた肉体によって更に加速した。
結末など不要の、それは美しい奏でだったのかもしれない。
一つ、二つ、その重い剣戟は互いを潰しあい、互いを受け入れている。
猛虎豪破斬の最後の振り下ろしと
屠龍連撃破の最後の切り上げが
D.S.を告げた。
閃光が止んだ時、互いの体躯の光も失われていた。
そしてガンと、重い音が地面を穿つ。
最後の剣戟で打ち負けた者が頭を強打した音だった。
全体重を乗せた振り下ろしと、全体重をのせることが困難な振り上げでは圧倒的に振り上げが不利だったのだ。
踏む込みのみが力の源となる屠龍連撃破――カイルの技は、振り下ろしと双剣の全体重攻撃には耐え切れなかったのだ。
ロイドは着地と同時に勝利を確信した。相手は頭を地面にぶつけて跳ねたのだ。意識など簡単に吹き飛んだだろう。
――だがカイルの意識は完全には消えていなかった。
この時に、カイルは最後の切り札を使った。勝負は最後まで諦めてはならない。
先程はただD.S.を打っただけで、Fin.とは称されていなかった。
闘いはまだ終わっていなかったのだ。
ロイドが完全に足を地面に着けた時、「それ」は降り注いだ。
「『バーンストライク』!!」
地面に倒れながらもカイルは叫ぶ。最後の希望を馳せて。
激突の前に、予めエンチャントの『連携発動』によってバーンストライクを発動待機させていたのだ。
ただこれは、自分の意識が無ければ発動はしない。
不幸中の幸いにして、かろうじてカイルはこの切り札を発動させたのだ。
しかしロイドは油断はしていた。だがその戦闘態勢までは解いてなかった。
だから、間に合ったのだ。
「『粋護陣』!!」
激しい爆音とともにその場が埃と塵で舞う。周りに他の者がいることも気にせずに、彼らは彼らの戦いを繰り広げたのだ。
そしてガンと、重い音が地面を穿つ。
最後の剣戟で打ち負けた者が頭を強打した音だった。
全体重を乗せた振り下ろしと、全体重をのせることが困難な振り上げでは圧倒的に振り上げが不利だったのだ。
踏む込みのみが力の源となる屠龍連撃破――カイルの技は、振り下ろしと双剣の全体重攻撃には耐え切れなかったのだ。
ロイドは着地と同時に勝利を確信した。相手は頭を地面にぶつけて跳ねたのだ。意識など簡単に吹き飛んだだろう。
――だがカイルの意識は完全には消えていなかった。
この時に、カイルは最後の切り札を使った。勝負は最後まで諦めてはならない。
先程はただD.S.を打っただけで、Fin.とは称されていなかった。
闘いはまだ終わっていなかったのだ。
ロイドが完全に足を地面に着けた時、「それ」は降り注いだ。
「『バーンストライク』!!」
地面に倒れながらもカイルは叫ぶ。最後の希望を馳せて。
激突の前に、予めエンチャントの『連携発動』によってバーンストライクを発動待機させていたのだ。
ただこれは、自分の意識が無ければ発動はしない。
不幸中の幸いにして、かろうじてカイルはこの切り札を発動させたのだ。
しかしロイドは油断はしていた。だがその戦闘態勢までは解いてなかった。
だから、間に合ったのだ。
「『粋護陣』!!」
激しい爆音とともにその場が埃と塵で舞う。周りに他の者がいることも気にせずに、彼らは彼らの戦いを繰り広げたのだ。
徐々に足音が近づいてくる。とどめを刺しに来たのだろうか。
仰向けになって行く末を待つ。金の主はもう体を動かす力が無かった。
正確には、頭を強打したせいで朦朧とし、上手く体が動かせないでいたのだ。
そこに鳶の主が顔を出す。そこにも疲れ切った顔があり、カイルは危機にも関わらず目を閉じた。
諦めたわけでも、降参したわけでもない。ただ、こうするのがなんだが自然な気がした。
遠くではまだ戦闘が続いている。父さんも戦っているだろうな。俺は結局、親子とかそういう感情を語れなかったのかなぁ。
最後に、クラトスさんの息子の名前でも聞いておこう。
「アナタの名前は……」
言われた鳶の主は微かに眉を動かし、金の主へと逆に言い放つ。
「相手に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るもんだ」
その言葉に金の主はいらつきもせず、そうかと納得してから答えた。
「俺はカイル、カイル=デュナミス。父さん想いの、ある少女の英雄だ」
言って、自分で恥ずかしくなった。そんな想いの強さとか、誰かにとっての称号とか、あまり口にはしないから。
「俺はロイド、ロイド=アーヴィング。俺だって、父さん想いの、神子想いだ」
自分で言って何がなんだか分からないでいたが、これでまぁ、カイルと互角だろうと勝手にロイドは思った。
カイルは今更にお互いの名前を知り合うのが、何かこそばゆくて、そして恐ろしかった。
今知った者に、殺されるかもしれないのだ。
自分は戦闘不能だ。彼が自分を殺すのはもう時間の問題だろう、と。
仰向けになって行く末を待つ。金の主はもう体を動かす力が無かった。
正確には、頭を強打したせいで朦朧とし、上手く体が動かせないでいたのだ。
そこに鳶の主が顔を出す。そこにも疲れ切った顔があり、カイルは危機にも関わらず目を閉じた。
諦めたわけでも、降参したわけでもない。ただ、こうするのがなんだが自然な気がした。
遠くではまだ戦闘が続いている。父さんも戦っているだろうな。俺は結局、親子とかそういう感情を語れなかったのかなぁ。
最後に、クラトスさんの息子の名前でも聞いておこう。
「アナタの名前は……」
言われた鳶の主は微かに眉を動かし、金の主へと逆に言い放つ。
「相手に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るもんだ」
その言葉に金の主はいらつきもせず、そうかと納得してから答えた。
「俺はカイル、カイル=デュナミス。父さん想いの、ある少女の英雄だ」
言って、自分で恥ずかしくなった。そんな想いの強さとか、誰かにとっての称号とか、あまり口にはしないから。
「俺はロイド、ロイド=アーヴィング。俺だって、父さん想いの、神子想いだ」
自分で言って何がなんだか分からないでいたが、これでまぁ、カイルと互角だろうと勝手にロイドは思った。
カイルは今更にお互いの名前を知り合うのが、何かこそばゆくて、そして恐ろしかった。
今知った者に、殺されるかもしれないのだ。
自分は戦闘不能だ。彼が自分を殺すのはもう時間の問題だろう、と。
だがロイドはカイルの意表をついて、話を始めた。
「最後のお前の、カイルの術には驚いた。けど、俺はまた父さんに助けてもらった」
双剣を前に出して、見据える。今は亡き父のことを想う。
「父さんに習った術で助かった。俺は、どうやらクラトスをまだ越えられないみたいだ」
カイルは目を開く。そして、ロイドの表情を、気持ちを、微かながらに感じた。
「クラトスを殺したのが誰とか、憎しみや恨みなんてのは後回しだ。今はこの状況を、静める」
そして再び剣を構えてカイルに呼びかけた。
「お前のお父さんは、どれだ」
「あの、金髪の長い髪をした……」
カイルは頭だけを浮かして実父の姿を捜す。どうやらかなりの苦戦を強いられているみたいだ。
「分かった。お前も、早く来いよ。父を越えるのは息子の役目だ!!」
言ってロイドは一目散に戦闘を繰り広げている場へと走っていこうとした。
「待って!!」
カイルはロイドを咄嗟に呼びとめ、自分に課せられた使命を全うさせる。
「父さんが、フランベルジュって剣を持ってる。クラトスさんが息子に……アナタに渡してくれって」
ロイドはその事実を聞いて、少なからず顔を綻ばせた。
クラトスが待ってる。クラトスの意志を、継ぐ時が再び来た。
「ありがとよ!! ちょっくら行って来る!!」
そして走り出すロイド。
その気力と体力にカイルは少し呆れたが、自分も脳震盪を起こしているだけで完全に再起不能なわけではない。
一刻も早く体力を整えて、加勢しなければ。
今の状況がどうなっているのか、さっぱり分からない。ある意味ここは深遠の混沌と化している。
ただ、わかった事は一つ。
彼も、ロイドも自分と同じ、父を想う心は同じだということだ。
「早く来いって……こうなったのはアナタのせいじゃないか……」
カイルは愚痴りながらも、仰向けのまま、動けない体のまましばしの休息に入った。
「最後のお前の、カイルの術には驚いた。けど、俺はまた父さんに助けてもらった」
双剣を前に出して、見据える。今は亡き父のことを想う。
「父さんに習った術で助かった。俺は、どうやらクラトスをまだ越えられないみたいだ」
カイルは目を開く。そして、ロイドの表情を、気持ちを、微かながらに感じた。
「クラトスを殺したのが誰とか、憎しみや恨みなんてのは後回しだ。今はこの状況を、静める」
そして再び剣を構えてカイルに呼びかけた。
「お前のお父さんは、どれだ」
「あの、金髪の長い髪をした……」
カイルは頭だけを浮かして実父の姿を捜す。どうやらかなりの苦戦を強いられているみたいだ。
「分かった。お前も、早く来いよ。父を越えるのは息子の役目だ!!」
言ってロイドは一目散に戦闘を繰り広げている場へと走っていこうとした。
「待って!!」
カイルはロイドを咄嗟に呼びとめ、自分に課せられた使命を全うさせる。
「父さんが、フランベルジュって剣を持ってる。クラトスさんが息子に……アナタに渡してくれって」
ロイドはその事実を聞いて、少なからず顔を綻ばせた。
クラトスが待ってる。クラトスの意志を、継ぐ時が再び来た。
「ありがとよ!! ちょっくら行って来る!!」
そして走り出すロイド。
その気力と体力にカイルは少し呆れたが、自分も脳震盪を起こしているだけで完全に再起不能なわけではない。
一刻も早く体力を整えて、加勢しなければ。
今の状況がどうなっているのか、さっぱり分からない。ある意味ここは深遠の混沌と化している。
ただ、わかった事は一つ。
彼も、ロイドも自分と同じ、父を想う心は同じだということだ。
「早く来いって……こうなったのはアナタのせいじゃないか……」
カイルは愚痴りながらも、仰向けのまま、動けない体のまましばしの休息に入った。
夜空はこんなにも綺麗なのに 俺たちは今 何をしているんだろう
【カイル 生存確認】
状態:ロイドと和解 意識衰弱 軽い脳震盪 HP45% TP45%
所持品: 鍋の蓋 フォースリング ディフェンサー
ラビッドシンボル(黒・割れかけ) ウィス
第一行動方針:体力回復のため、少し休憩
第二行動方針:スタンを守る
第三行動方針:リアラを守る
第四行動方針:ハロルドが気になる
現在位置:E2城跡
状態:ロイドと和解 意識衰弱 軽い脳震盪 HP45% TP45%
所持品: 鍋の蓋 フォースリング ディフェンサー
ラビッドシンボル(黒・割れかけ) ウィス
第一行動方針:体力回復のため、少し休憩
第二行動方針:スタンを守る
第三行動方針:リアラを守る
第四行動方針:ハロルドが気になる
現在位置:E2城跡
【ロイド 生存確認】
状態:カイルと和解 HP75% TP65%
所持品:ムメイブレード(二刀流)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆で生きて帰る
第一行動方針:カイルの父を助ける
第二行動方針:リッド、キール、ジェイと行動
第三行動方針:協力者を探す
第四行動方針:メルディを助ける
現在位置:E2城跡
状態:カイルと和解 HP75% TP65%
所持品:ムメイブレード(二刀流)、トレカ、カードキー
基本行動方針:皆で生きて帰る
第一行動方針:カイルの父を助ける
第二行動方針:リッド、キール、ジェイと行動
第三行動方針:協力者を探す
第四行動方針:メルディを助ける
現在位置:E2城跡
※SB・OLが発生しましたが、秘奥義は放たれていないので再度発生させられるかと思います