薄暗い回廊を歩く、ひとりの青年。頭に真紅のバンダナを鉢巻のように巻く彼は、
周囲に注意を払いつつ、既に打ち捨てられて久しい廃城を闊歩する。
彼――クレス・アルベインは、自分の行動を決めかねていた。
(僕の戦うべき相手は、他の参加者か、それともミクトランと名乗った大柄の男か……)
ミクトランという男を倒すことは、仲間の協力さえ得られればそれほど難しいこととは思えない。
少なくとも参加者に混じっていたあの男、魔王ダオスを倒すよりも難しいということはないだろう。
周囲に注意を払いつつ、既に打ち捨てられて久しい廃城を闊歩する。
彼――クレス・アルベインは、自分の行動を決めかねていた。
(僕の戦うべき相手は、他の参加者か、それともミクトランと名乗った大柄の男か……)
ミクトランという男を倒すことは、仲間の協力さえ得られればそれほど難しいこととは思えない。
少なくとも参加者に混じっていたあの男、魔王ダオスを倒すよりも難しいということはないだろう。
しかし、それでどうなる?
ミクトランを倒した後に、無事にもとの世界に戻れる保証は、一切ない。
それどころか、それまでにもしも自分のかけがえのない仲間が死んでしまったとしたら、
たとえ無事に帰れたとしても、あのとき――ダオスを倒した時に感じたような苦い後悔しか残らないだろう。
ミクトランを倒した後に、無事にもとの世界に戻れる保証は、一切ない。
それどころか、それまでにもしも自分のかけがえのない仲間が死んでしまったとしたら、
たとえ無事に帰れたとしても、あのとき――ダオスを倒した時に感じたような苦い後悔しか残らないだろう。
ならば、自分は何を為せば良いのか?
しばしの思惟の後、クレスはひとつの結論に至った。
『最後まで生き残り、全ての参加者の蘇生を願い、そして全員で生還する』
これ以外に、クレスには自分の納得のいく答えは見つからなかった。
しばしの思惟の後、クレスはひとつの結論に至った。
『最後まで生き残り、全ての参加者の蘇生を願い、そして全員で生還する』
これ以外に、クレスには自分の納得のいく答えは見つからなかった。
目的は決まった。ならば次に行うべきは、その為に必要な力を得ること。
不運なことに、支給品の中には武器になりそうなものはなかった。
だが、最初に飛ばされたこの城ならば、もしかしたら武器の類もあるかもしれない。
クレスは数多い部屋の入り口からひとつを決め、慎重に扉を押し開いた。
そこは、兵士の仮眠所のようだった。並べられた埃まみれの灰色のベッドが年月を感じさせる。
だがしかし、壁に並べられた種々の『武器』は、時代に逆らうかのように真新しいものだった。
「すごい……まるで新品同様に手入れが行き届いている……」
クレスはその中から長剣を抜き、ダマスクス鋼の刃が映す見事な鏡像に思わず嘆息を洩らした。
これも「ゲーム」を円滑にするための措置だろうか?
そうも思ったが、クレスはもうそれ以上は考えないことにした。
ダマスクスソードを鞘に収め、腰に携える。そのとき
不運なことに、支給品の中には武器になりそうなものはなかった。
だが、最初に飛ばされたこの城ならば、もしかしたら武器の類もあるかもしれない。
クレスは数多い部屋の入り口からひとつを決め、慎重に扉を押し開いた。
そこは、兵士の仮眠所のようだった。並べられた埃まみれの灰色のベッドが年月を感じさせる。
だがしかし、壁に並べられた種々の『武器』は、時代に逆らうかのように真新しいものだった。
「すごい……まるで新品同様に手入れが行き届いている……」
クレスはその中から長剣を抜き、ダマスクス鋼の刃が映す見事な鏡像に思わず嘆息を洩らした。
これも「ゲーム」を円滑にするための措置だろうか?
そうも思ったが、クレスはもうそれ以上は考えないことにした。
ダマスクスソードを鞘に収め、腰に携える。そのとき
ドゴゥッ
妙な音とともに衝撃が、城に伝わった。
(これは!? 他にもこの城に人が?)
クレスは、地面がなくなるような錯覚と、そして剣士としての戦闘への期待感を同時に抱いた。
(これは!? 他にもこの城に人が?)
クレスは、地面がなくなるような錯覚と、そして剣士としての戦闘への期待感を同時に抱いた。
【クレス 生存確認】
状態:無傷
所持品:ダマスクスソード ???(支給品数不明)
現在地:E2の城内
行動方針:生き残るためならば戦いも辞さない
状態:無傷
所持品:ダマスクスソード ???(支給品数不明)
現在地:E2の城内
行動方針:生き残るためならば戦いも辞さない