第四回放送
箱の到着を確認。遂に待ち望んだ箱だ。
少し穴が開いているが問題ない。解れ程度なら片手間にでも繕えるだろう。
蓋が無いが問題はない。トレースは出来ている。
ノイズ甚だ大きいが破砕音確認。
予定通りE5河川中域に分散、流動した蓋を回収開始。
少し穴が開いているが問題ない。解れ程度なら片手間にでも繕えるだろう。
蓋が無いが問題はない。トレースは出来ている。
ノイズ甚だ大きいが破砕音確認。
予定通りE5河川中域に分散、流動した蓋を回収開始。
「――――――――――諸君。
この放送もこれで四度目だ。
確認しよう。諸君、目は覚めているかね?
確認しよう。諸君、目は覚めているかね?
私の声を耳に注ぎ、理解する程度に頭の回転は保たれているかね?
さて、いつもならばまず禁止エリアを言うのだが…
今回は先に死亡者の方から発表しようと思う。聞き給え!
今回は先に死亡者の方から発表しようと思う。聞き給え!
ユアン!カトリーヌ!ジューダス!リアラ!ダオス!デミテル!ジェイ!
スタン=エルロン!ハロルド=ベルセリオス!リッド=ハーシェル!
スタン=エルロン!ハロルド=ベルセリオス!リッド=ハーシェル!
―――――――――――――――以上10名だ!!」
大層濡れて原型を留めていないが、ひとまず蓋の回収を完遂する。
総重量的に見て多少欠けてしまったが問題ではない。
欠けた部分は補えばいい。埋めればいい。嵌めればいい。
まるでパズルだ、完成が待ち遠しい。
総重量的に見て多少欠けてしまったが問題ではない。
欠けた部分は補えばいい。埋めればいい。嵌めればいい。
まるでパズルだ、完成が待ち遠しい。
「ククククク…驚いてくれたか?いや、実に済まない事をしたと思っている。
悪気はなかったのだが、どうにも諸君等が驚く顔が見たくなってね?
ついこのような悪戯をしてみたくなったのだ。
御蔭で君たちのその狐に摘まれたような表情を堪能できた、感謝と謝罪の意を表しよう。
悪気はなかったのだが、どうにも諸君等が驚く顔が見たくなってね?
ついこのような悪戯をしてみたくなったのだ。
御蔭で君たちのその狐に摘まれたような表情を堪能できた、感謝と謝罪の意を表しよう。
勿論、これが諸君にとって事実上不意打ちであることは私も承知している。
このような私の享楽の為に諸君が死亡者の名前を聞き逃すというのは、
ゲームを進行する側としてあってはいけないことだ。
もう一度、もう一度だけ、死者の名前を挙げる。次は聞き逃すことの無いようにし給え。
このような私の享楽の為に諸君が死亡者の名前を聞き逃すというのは、
ゲームを進行する側としてあってはいけないことだ。
もう一度、もう一度だけ、死者の名前を挙げる。次は聞き逃すことの無いようにし給え。
ユアン!カトリーヌ!ジューダス!リアラ!ダオス!デミテル!ジェイ!
スタン=エルロン!ハロルド=ベルセリオス!リッド=ハーシェル!
スタン=エルロン!ハロルド=ベルセリオス!リッド=ハーシェル!
―――――――――――――――以上10名、残り人数は15名だッ!!」
放送内容の順番を入れ替えることにする。
今更効果が有るとは思えないが、先に死亡者を発表すれば
心理的動揺も期待できるだろう。
結界を穿つならば事前の揺さぶりは重要だ。
そして更に布石を打つ。
恐らくもう首輪の機構が露見している可能性が高い。
そこで逆に監視の可能性を嘯いておく。
そもそも彼らに監視が無いことを証明する手段は無いのだ。
「やはり盗聴だけではなく監視もあるかも知れない」
そう疑うだけで呪詛は確実に発症する。
鵜呑にしようが嘘と決めつけようが、逃れられない。
真綿で首を絞めるように、檻を編む。
今更効果が有るとは思えないが、先に死亡者を発表すれば
心理的動揺も期待できるだろう。
結界を穿つならば事前の揺さぶりは重要だ。
そして更に布石を打つ。
恐らくもう首輪の機構が露見している可能性が高い。
そこで逆に監視の可能性を嘯いておく。
そもそも彼らに監視が無いことを証明する手段は無いのだ。
「やはり盗聴だけではなく監視もあるかも知れない」
そう疑うだけで呪詛は確実に発症する。
鵜呑にしようが嘘と決めつけようが、逃れられない。
真綿で首を絞めるように、檻を編む。
「ククククク…実に、実に素晴らしい!!
まったく殺人速度は落ちていない!寧ろ早いくらいじゃないか!
まったく殺人速度は落ちていない!寧ろ早いくらいじゃないか!
その熱意に免じて諸君等に教えてあげよう。
現在3.67…およそ3.67!この数字は、とある倍率なのだが…
諸君らは、開始直後に比べて実に3.76倍、優勝する確率を持っている!
最初は思っていたはずだ…1÷55…単純に考えても優勝出来る可能性は
2%無いと、不可能だと、自分を騙してきたのではないかね?
しかしだ、現実…実際問題としてその可能性は1人当たり6.7%にまで上がっている。
まだまだ少ない、希望と言うには足りないと思うかも知れん…しかし。
ここから先、1人死ぬたびにその倍率の増加速度は爆発的に伸びていく!
これは妄信で虚言でもない…数理的論理だ!!
現在3.67…およそ3.67!この数字は、とある倍率なのだが…
諸君らは、開始直後に比べて実に3.76倍、優勝する確率を持っている!
最初は思っていたはずだ…1÷55…単純に考えても優勝出来る可能性は
2%無いと、不可能だと、自分を騙してきたのではないかね?
しかしだ、現実…実際問題としてその可能性は1人当たり6.7%にまで上がっている。
まだまだ少ない、希望と言うには足りないと思うかも知れん…しかし。
ここから先、1人死ぬたびにその倍率の増加速度は爆発的に伸びていく!
これは妄信で虚言でもない…数理的論理だ!!
さらに言うならばだ。このゲームが55人が一斉に走り出す…徒競走だとしたならば、
もう君たちは既に全行程の七割を踏破している。これは推論ですらない。結果だ。
苦しいと思うかも知れん…辞めたいと思うかも知れん…だが、理解し給え。
既に引き返すべきスタート地点は遥か遠くだと言うことを、
進むべきゴールは、優勝は目の前だ。そう考えた方が楽…且つ現実的だ。
もう君たちは既に全行程の七割を踏破している。これは推論ですらない。結果だ。
苦しいと思うかも知れん…辞めたいと思うかも知れん…だが、理解し給え。
既に引き返すべきスタート地点は遥か遠くだと言うことを、
進むべきゴールは、優勝は目の前だ。そう考えた方が楽…且つ現実的だ。
尤も…この夜の死者は10人。私の予想ではもう少しペースが落ちるかと思っていたが、
依然としてゲームは脈々と進行している。この事実が示すのは1つ。
つまりは、私がそんなことを言うまでもなく、
諸君等の意志は…厳密に言うならその集合的な意志、本能はこのゲームを理解している。
私の気休め程度の言葉など要らぬ杞憂、余計なお節介だ。
実に諸君等の滾る本能に水を差すようで申し訳ない。
諸君等は既に殺し合いをさせられているのではなく…殺し合いをしているのだから。
依然としてゲームは脈々と進行している。この事実が示すのは1つ。
つまりは、私がそんなことを言うまでもなく、
諸君等の意志は…厳密に言うならその集合的な意志、本能はこのゲームを理解している。
私の気休め程度の言葉など要らぬ杞憂、余計なお節介だ。
実に諸君等の滾る本能に水を差すようで申し訳ない。
諸君等は既に殺し合いをさせられているのではなく…殺し合いをしているのだから。
もはや私に出来ることと言えばもはや君たちの背中を、ほんの少し押してやる位しかない」
念を押して今一度戦いを呼びかけることにする。
詭弁ではあるが間違ってはいないので嫌がらせ程度にはなるだろう。
少しでも信念が揺らげばそれを修正するのに更に労力を使わせることが出来る。
いや、ここでは嘘も本当も同じ事だ。私のように。
嫌がらせの本命はここからだ。
詭弁ではあるが間違ってはいないので嫌がらせ程度にはなるだろう。
少しでも信念が揺らげばそれを修正するのに更に労力を使わせることが出来る。
いや、ここでは嘘も本当も同じ事だ。私のように。
嫌がらせの本命はここからだ。
「さて以降12時間の禁止エリアを発表する。私に残された最後の権利だ。
09:00…F5!
12:00…D4!
15:00…C5!
18:00…B3!
12:00…D4!
15:00…C5!
18:00…B3!
以上4箇所、これより三時間置きに封鎖する!」
予定が早まったが事前に準備しておいた結界を張る。
ここまでで心を揺さぶった上での封印だ。
参加者の位置を掌握していなければ、こんな馬鹿げた檻は無い。
ゲームを運行する側としてこれは有ってはならない采配なのだ。
だが、直ぐに全員がその理解に辿り着くだろう。
‘これは参加者の位置を把握していなければ有得ない’ということを。
其処に気付くまでこの狂い染みた暴牌に無用な思考を迫られる。
其処に気付いたとしても、首輪に対して更に疑心を生む。
「位置把握しているのなら監視もしているんじゃないか」
そうして要らぬ消耗を呼ぶ。脳髄の中で勝手に踊る。最高の嫌がらせだ。
ここまでで心を揺さぶった上での封印だ。
参加者の位置を掌握していなければ、こんな馬鹿げた檻は無い。
ゲームを運行する側としてこれは有ってはならない采配なのだ。
だが、直ぐに全員がその理解に辿り着くだろう。
‘これは参加者の位置を把握していなければ有得ない’ということを。
其処に気付くまでこの狂い染みた暴牌に無用な思考を迫られる。
其処に気付いたとしても、首輪に対して更に疑心を生む。
「位置把握しているのなら監視もしているんじゃないか」
そうして要らぬ消耗を呼ぶ。脳髄の中で勝手に踊る。最高の嫌がらせだ。
それに、ここまでに築いた土塊は40、スカスカだ、余白は不快だ。
敷き詰めてやった方が良い。スムーズに進む。
敷き詰めてやった方が良い。スムーズに進む。
万が一誰かが残されたとしても問題は無い。
それもまた檻だ。檻の中で一日悶えて死ねばいい。
結末を選り好みする必要はもう無いのだから。
全てを、何もかもを愉しむだけで良い。
それもまた檻だ。檻の中で一日悶えて死ねばいい。
結末を選り好みする必要はもう無いのだから。
全てを、何もかもを愉しむだけで良い。
「この48時間を切り抜けてきた一騎当千の諸君等ならば、この意味が分かるだろう。
私はこの権利を最大限に行使しようと思う。
諸君等の意志、殺意を尊重、応援しようと思う。
諸君等もまた…私のこの思いを受け取って欲しい」
私はこの権利を最大限に行使しようと思う。
諸君等の意志、殺意を尊重、応援しようと思う。
諸君等もまた…私のこの思いを受け取って欲しい」
「退くな。迷うな。選ぶな」
ぐふふふ
「諸君等が居るべき戦場は‘そちら’だ‘あちら’ではない」
ぐふふ
「悩むことはない!進め!殺せ!諸君等はそちらにいて良い!」
くふふふふ
「さあ三度目の太陽だ!命を賭せ!そして掴み取れ!これにて放送を終了するッ!!」
ぴったり入る。みっしり詰まる。
全部嘘、皆呪い、全て幻。
虚構が世界に充満する。
全部嘘、皆呪い、全て幻。
虚構が世界に充満する。
精霊王は自身の法に束縛され、
破壊神は見事セイファートを打ち破り、
滄我の代行者は毒牙に掛かった。
用済みになった鬼札などもはやどうでも良い。
破壊神は見事セイファートを打ち破り、
滄我の代行者は毒牙に掛かった。
用済みになった鬼札などもはやどうでも良い。
ああ、もうすぐだ。
嘘が誓いに、呪いが絆に、幻が約束に変わる。
筺の修繕が終わるまで、日出から日没までの一抹の夢。
筺の修繕が終わるまで、日出から日没までの一抹の夢。
其処で私は終わっている。