錯綜する迷穴
「昨日は聞きそびれちゃったんだけど、なんか好いことでもあったのかしら?」
町の一角にある極めて普通の宿屋、その二階の一室の扉に寄りかかった女性が声をかけた。
声を掛けられた男は応答せず、ただ窓から昼の月を眺めている。
「うわ、一丁前にシカトぶっこかれちゃったよ?ユアンのくせに」
女性は両手を上に上げておどけるジェスチャをとったが、一向にユアンは見向きもしない。
「ふふふ…カトリーヌはグリッドの嘘に引っかかったけどそうは問屋が卸さないわ!
でも、このミンツ大一の名・探・偵!!プリムラ様にかかればあんたらが
何をやっていたかなんて全部まるっとゴリっとお見通しだ!!」
もはやガン無視の状態である。ボケを殺されて少し血流が早くなったのか、プリムラの一本毛は小刻みに震えていた。
「推理の鍵はズバりあの箒。グリッドの状態とさっきのやり取りを見れば答えは一目瞭然。つまりは…」
腕組していたユアンの指が少しだけ痙攣した。
「…隠しても仕方ない、か。そうだ、あいつは…」
町の一角にある極めて普通の宿屋、その二階の一室の扉に寄りかかった女性が声をかけた。
声を掛けられた男は応答せず、ただ窓から昼の月を眺めている。
「うわ、一丁前にシカトぶっこかれちゃったよ?ユアンのくせに」
女性は両手を上に上げておどけるジェスチャをとったが、一向にユアンは見向きもしない。
「ふふふ…カトリーヌはグリッドの嘘に引っかかったけどそうは問屋が卸さないわ!
でも、このミンツ大一の名・探・偵!!プリムラ様にかかればあんたらが
何をやっていたかなんて全部まるっとゴリっとお見通しだ!!」
もはやガン無視の状態である。ボケを殺されて少し血流が早くなったのか、プリムラの一本毛は小刻みに震えていた。
「推理の鍵はズバりあの箒。グリッドの状態とさっきのやり取りを見れば答えは一目瞭然。つまりは…」
腕組していたユアンの指が少しだけ痙攣した。
「…隠しても仕方ない、か。そうだ、あいつは…」
「放尿プレイね!」
ゴスン、と鈍い音がしてユアンが崩れ落ちた。
どう転べばここまで小気味良い音が出るのか不思議なくらいに壁に激突した。
「『いいこと思いついた、お前俺の中で放尿しろ(裏声)』とか、
『ユアンザーさんの箒(ブルーム)テクニックにグリッドもよがってるぜ!
アソコも箒もビチョビチョだ!!』とかやっちゃったんでしょ~~?
あんたらがそういう関係だったとは空気読めなくてごめんなさいね。
でもここ全年齢なんだから少しは節度ってものを持って…Noooooooooo!!!」
薄く鼻血か引かれた顔を怒気に染めてユアンは振りかぶっていた。彼の殺気を感じ、ようやくやり過ぎたことに気づいた
プリムラは無駄と知りつつも慌てて両腕で顔をガードする。
二つ縦に連なったユアンの拳がプリムラの顔面を通り過ぎた。彼女の前髪が風圧で靡く。
はっと自分の失態に気づいたユアンは改めて右手を彼女の顔面に近づけ、ゼロ距離で雷球を形成しようとするが、
「二人とも何してるんですか?」
物音に気づいた一人の女性がその場に現れた。
暫しの静寂、ようやく口を開いた彼女の第一声は、
「…すみません。空気を読めなくて…でも、あの、こういうところでそんな特殊(?)なプレイは…」
どう転べばここまで小気味良い音が出るのか不思議なくらいに壁に激突した。
「『いいこと思いついた、お前俺の中で放尿しろ(裏声)』とか、
『ユアンザーさんの箒(ブルーム)テクニックにグリッドもよがってるぜ!
アソコも箒もビチョビチョだ!!』とかやっちゃったんでしょ~~?
あんたらがそういう関係だったとは空気読めなくてごめんなさいね。
でもここ全年齢なんだから少しは節度ってものを持って…Noooooooooo!!!」
薄く鼻血か引かれた顔を怒気に染めてユアンは振りかぶっていた。彼の殺気を感じ、ようやくやり過ぎたことに気づいた
プリムラは無駄と知りつつも慌てて両腕で顔をガードする。
二つ縦に連なったユアンの拳がプリムラの顔面を通り過ぎた。彼女の前髪が風圧で靡く。
はっと自分の失態に気づいたユアンは改めて右手を彼女の顔面に近づけ、ゼロ距離で雷球を形成しようとするが、
「二人とも何してるんですか?」
物音に気づいた一人の女性がその場に現れた。
暫しの静寂、ようやく口を開いた彼女の第一声は、
「…すみません。空気を読めなくて…でも、あの、こういうところでそんな特殊(?)なプレイは…」
「いやいやいや何処を如何したらそういう発想になるのだ……というか何だこのループは」
「こ…これがラブコメ式連鎖的関係崩壊術…」
「こ…これがラブコメ式連鎖的関係崩壊術…」
「で、結局何が聞きたいんだ」
椅子に座って気だるそうにユアンが聞いた。目の前のプリムラは大きな漫画的タンコブを一つ拵え、床に正座している。
「心配していたんですよ。グリッドさんと貴方のことを」
口ごもるプリムラの助け舟といわんばかりに、カトリーヌはテーブルにお茶を置いた。
「なによその眼、私が心配しちゃキャラに合わないってか!表に出ろ!!」
閉じたかどうか限界ギリギリの薄目で睨むユアンにささやかな口撃をするプリムラ。
しかしそんなもので彼我戦力差が変わる訳がない。
「ユアンさんが帰ってくるか、不安でしたから」
カトリーヌはプリムラにお茶を置き、自分の分をテーブルに用意して座った。
「随分軽薄に見られたものだな。まあ、実際そのつもりだったが」
ユアンは軽口を叩くように言った。その眼光は二人をもう一度品定めしているようにも見える。
「ですから、何かあったんだと思いまして。それに…言い難いんですが…」
「あそこまで臭いを漂わせては悪の道も何もないな。箒の主には悪いことをした」
カトリーヌは無言で首肯した。あんな嘘で自分の粗相を誤魔化そうと思うグリッドがどうかしている。
そんな人間に箒に載せた時点でもうこの箒には乗らないとユアンは決めていた。
椅子に座って気だるそうにユアンが聞いた。目の前のプリムラは大きな漫画的タンコブを一つ拵え、床に正座している。
「心配していたんですよ。グリッドさんと貴方のことを」
口ごもるプリムラの助け舟といわんばかりに、カトリーヌはテーブルにお茶を置いた。
「なによその眼、私が心配しちゃキャラに合わないってか!表に出ろ!!」
閉じたかどうか限界ギリギリの薄目で睨むユアンにささやかな口撃をするプリムラ。
しかしそんなもので彼我戦力差が変わる訳がない。
「ユアンさんが帰ってくるか、不安でしたから」
カトリーヌはプリムラにお茶を置き、自分の分をテーブルに用意して座った。
「随分軽薄に見られたものだな。まあ、実際そのつもりだったが」
ユアンは軽口を叩くように言った。その眼光は二人をもう一度品定めしているようにも見える。
「ですから、何かあったんだと思いまして。それに…言い難いんですが…」
「あそこまで臭いを漂わせては悪の道も何もないな。箒の主には悪いことをした」
カトリーヌは無言で首肯した。あんな嘘で自分の粗相を誤魔化そうと思うグリッドがどうかしている。
そんな人間に箒に載せた時点でもうこの箒には乗らないとユアンは決めていた。
「あの、静かにするから、頭の上のお茶、どかしてくんない?」
「奴のことを如何思う?深く考えなくていい」
ようやくプリムラへの責め苦が終わり、三人はテーブルに着く。
「「……」」
「深く考えるなといったろう。ここが禁止エリアになった以上、こうして話をする機会なぞもうないかも知れん」
ユアンはカップを眺め、少し考えてから口を付けた。
「その前に一個聞いていい?前から聞きたかったんだけどなんであんたがリーダーにならなかったの?」
プリムラは小さく手を垂直にあげた。
「お前ならこんな組織のリーダーになりたいか?私が接触したときの編成はこいつとあいつだけだぞ?」
「接触というより、弾着でしたけどね」
親指で指されたカトリーヌはにべもなく言い返した。
「でもさ、私たちを弾除けにするにしてもあんたの性格だと№2なんて柄じゃないでしょ?」
「最初は場の勢いに飲まれただけかと思っていたが、今なら多少は理解できる。
アレには指導者としての天性の才がある。私よりも、な」
女性二人は驚きに眼を合わせる。ユアンはカップに映る虚像に先ほどのグリッドの気迫を見ていた。
「……故に、恐ろしくもある。アレには指導者として絶対的な欠点がある」
「何よ?欠点しかあいつは持ってないでしょ」
プリムラはきっぱりと言った。実際、無能なのだから仕方がない。
「そんなはっきり言わなくても…至らない部分は私たちが補えばいいじゃないですか」
カトリーヌのフォローにユアンは相槌を打った。
「そうだ。そのために下部組織があり、参謀があり、機能が存在している。
指揮官に必要なのは、明確な指針と勘案された意見を聞くこと。
そして採用した意見を率先して遂行すること。大まかにはこれだけしかない」
「それだけなら一応満たしてるわね、あいつ」
少々納得がいかない部分もあるが、確かにコングマンとの戦いを見るに必要十分な条件は満たしている。
「私が不本意ではあるが参謀役をしているのもそこら辺も理由だ。今の私は前線に出ることが出来ん。
部下の前に立てぬ奴には誰もついては行かぬよ」
「前線って…あんた晶霊術士(クレーメルユーザー)でしょ?前線もヘチマもないじゃない」
プリムラは素朴に疑問を放った。箒に乗って、雷を放つ。女性なら典型的な魔女の王道だ。
「晶霊…?マジックユーザーのことか?私の本職は前衛寄りの魔法剣士だ。
レネゲードを作ってからは自前の得物を持つ機会も減ったからな…まったくバツが悪い」
眉間を抓んでうなるユアンを尻目にプリムラはカトリーヌに耳打ちした。
数度の往復を経て、もう一度彼に向き合った。固有名詞は聞き流すことにしたらしい。
何が久しく使ってない、だ。さっき私の前で両手が横切ったのは‘武器を持っているつもり’だったからだろうに。
ようやくプリムラへの責め苦が終わり、三人はテーブルに着く。
「「……」」
「深く考えるなといったろう。ここが禁止エリアになった以上、こうして話をする機会なぞもうないかも知れん」
ユアンはカップを眺め、少し考えてから口を付けた。
「その前に一個聞いていい?前から聞きたかったんだけどなんであんたがリーダーにならなかったの?」
プリムラは小さく手を垂直にあげた。
「お前ならこんな組織のリーダーになりたいか?私が接触したときの編成はこいつとあいつだけだぞ?」
「接触というより、弾着でしたけどね」
親指で指されたカトリーヌはにべもなく言い返した。
「でもさ、私たちを弾除けにするにしてもあんたの性格だと№2なんて柄じゃないでしょ?」
「最初は場の勢いに飲まれただけかと思っていたが、今なら多少は理解できる。
アレには指導者としての天性の才がある。私よりも、な」
女性二人は驚きに眼を合わせる。ユアンはカップに映る虚像に先ほどのグリッドの気迫を見ていた。
「……故に、恐ろしくもある。アレには指導者として絶対的な欠点がある」
「何よ?欠点しかあいつは持ってないでしょ」
プリムラはきっぱりと言った。実際、無能なのだから仕方がない。
「そんなはっきり言わなくても…至らない部分は私たちが補えばいいじゃないですか」
カトリーヌのフォローにユアンは相槌を打った。
「そうだ。そのために下部組織があり、参謀があり、機能が存在している。
指揮官に必要なのは、明確な指針と勘案された意見を聞くこと。
そして採用した意見を率先して遂行すること。大まかにはこれだけしかない」
「それだけなら一応満たしてるわね、あいつ」
少々納得がいかない部分もあるが、確かにコングマンとの戦いを見るに必要十分な条件は満たしている。
「私が不本意ではあるが参謀役をしているのもそこら辺も理由だ。今の私は前線に出ることが出来ん。
部下の前に立てぬ奴には誰もついては行かぬよ」
「前線って…あんた晶霊術士(クレーメルユーザー)でしょ?前線もヘチマもないじゃない」
プリムラは素朴に疑問を放った。箒に乗って、雷を放つ。女性なら典型的な魔女の王道だ。
「晶霊…?マジックユーザーのことか?私の本職は前衛寄りの魔法剣士だ。
レネゲードを作ってからは自前の得物を持つ機会も減ったからな…まったくバツが悪い」
眉間を抓んでうなるユアンを尻目にプリムラはカトリーヌに耳打ちした。
数度の往復を経て、もう一度彼に向き合った。固有名詞は聞き流すことにしたらしい。
何が久しく使ってない、だ。さっき私の前で両手が横切ったのは‘武器を持っているつもり’だったからだろうに。
「あのう、話を戻していいですか?」
カトリーヌはおずおずと手を上げた。
「ああ、すまない。脱線してしまったな…何処まで話したか…」
「グリッドの無能を差し引いても何か欠点があるって所まで」
プリムラは多少不快そうに言って、お茶に口を付けた。少し温くなっている。
「奴は、自分と漆黒の翼という組織の間に線を引くことが出来ない」
ユアンの発言を飲み込めない二人は、詰まった言葉をお茶で流し込んだ。
「俺が奴を殺そうとしたとき、グリッドは言ったよ」
カトリーヌはおずおずと手を上げた。
「ああ、すまない。脱線してしまったな…何処まで話したか…」
「グリッドの無能を差し引いても何か欠点があるって所まで」
プリムラは多少不快そうに言って、お茶に口を付けた。少し温くなっている。
「奴は、自分と漆黒の翼という組織の間に線を引くことが出来ない」
ユアンの発言を飲み込めない二人は、詰まった言葉をお茶で流し込んだ。
「俺が奴を殺そうとしたとき、グリッドは言ったよ」
「ぶはははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!」
詰まった言葉は大笑いで吹き抜けた。プリムラは片手でお腹を抱え、涙目を浮かべて笑っている。
カトリーヌは背中をさすりやんわりと諫めた。
「いや、だって、『俺は漆黒の翼を守る!!!! たとえユアン!!お前に殺されてもなっ!!!!!』ってアンタ、
死んだら守れないでしょ?!彼奴どんだけアホなのよ…ぶはははははっはあははっはあっはっは!!!!」
少々下品とも言える大笑いに1人は眠っているはずの笑われている本人が起きてこないかを心配し、
1人は動じることなく、というよりは心ここにあらずというような目でカップの中を見つめている。
「はははっは…まあ、私達のことを心配してくれたのは嬉しいけどね。
ふーん…まあ、少しは認めてあげても、いいんじゃない?」
少しばかり自分の行為にバツの悪さを感じたのか、プリムラは萎れたように言った。
「だからこそ、彼奴はガラクタだ。現時点では使い物にもならない、な」
ユアンに対面した2人は絶句した。沈黙と中で窓から差し込む陽光が嫌味に思える。
「……何処がよ」
沈黙が痛々しすぎて、プリムラは思わず口を付いた。
グリッドの弁護をする気は更々無かった彼女が、どうしてこんな事を口走ったのかは本人にも分かっていなかった。
「素質と実力は別物だ。今のままなら、未完のまま彼奴は死ぬ」
死ぬ。いつもなら一笑に付すその一言が、彼の口から、この場所で出てくるだけで妙な説得力を持っていた。
詰まった言葉は大笑いで吹き抜けた。プリムラは片手でお腹を抱え、涙目を浮かべて笑っている。
カトリーヌは背中をさすりやんわりと諫めた。
「いや、だって、『俺は漆黒の翼を守る!!!! たとえユアン!!お前に殺されてもなっ!!!!!』ってアンタ、
死んだら守れないでしょ?!彼奴どんだけアホなのよ…ぶはははははっはあははっはあっはっは!!!!」
少々下品とも言える大笑いに1人は眠っているはずの笑われている本人が起きてこないかを心配し、
1人は動じることなく、というよりは心ここにあらずというような目でカップの中を見つめている。
「はははっは…まあ、私達のことを心配してくれたのは嬉しいけどね。
ふーん…まあ、少しは認めてあげても、いいんじゃない?」
少しばかり自分の行為にバツの悪さを感じたのか、プリムラは萎れたように言った。
「だからこそ、彼奴はガラクタだ。現時点では使い物にもならない、な」
ユアンに対面した2人は絶句した。沈黙と中で窓から差し込む陽光が嫌味に思える。
「……何処がよ」
沈黙が痛々しすぎて、プリムラは思わず口を付いた。
グリッドの弁護をする気は更々無かった彼女が、どうしてこんな事を口走ったのかは本人にも分かっていなかった。
「素質と実力は別物だ。今のままなら、未完のまま彼奴は死ぬ」
死ぬ。いつもなら一笑に付すその一言が、彼の口から、この場所で出てくるだけで妙な説得力を持っていた。
「あれから漆黒の翼を奪ったら、何が残ると思う?」
ユアンは窓辺に立って、石畳の街路を俯瞰しながら言った。
再び沈黙が流れる。しかし今回の沈黙には確かな拘束力があった。
グリッドから、彼奴から漆黒の翼を奪う?あり得るはずが無い。
プリムラにしてみれば、彼らと出会ったときから漆黒の翼は結成されていたし、
グリッドは最初から漆黒の翼のリーダーとして、全く不変の理のようにその座にいたのだ。
漆黒の翼を持たないグリッドなど‘想像する余地が無い’。
「1つ、考えていたことがあります。何故、私は彼に選ばれたんでしょうか?」
カトリーヌはカップを両の手で抱え込む様に持って、俯き加減でお茶を見ていた。
「……別に、確かぶつかって出会って向こうの方から強引に勧誘してきたんでしょ?
彼奴の性格なら普通にありそうな話じゃない?」
「でも、私は見ての通り足手まといで、それに方向音痴で、それに……」
カトリーヌの自虐が始まりそうになったのでユアンが顎で先を促す。矢張りその瞳は遙か遠くを覗いている。
「と、とにかく私は全然これっぽっちも役に立ちません。グリッドさんが私を仲間にする理由が無いんです」
清々しい朝にはどうにも不似合いな重々しい空気が三人にまとわりついた。
プリムラはもうこの場の三人の中でこの話の終点、その見当が一致していることを確信していた。
しかし、その弁護に立つ理由も手段も持ち合わせない彼女はこの2人の迂遠な話を唯聞くしかない。
「カトリーヌ、確かお前のグリッドから貰った称号は疾風だったな?」
示し合わせたように淀みなくカトリーヌは応じた。
「はい。そしてユアンさんは大食らいです。私はブーツを履いていたから通るにしても、ユアンさんは道理が通りません」
プリムラは一気に残りを飲み干し、音が鳴るほどにカップをテーブルに叩き付けた。
この感情は疎外感だろうか。プリムラと彼らに引かれた境界線はカップ程度で消せるほど柔くはない。
「で、私の称号が決まっていないことを加えると1つのくっだらない事実が出てくるわけだ?
あんたらの称号は本物の漆黒の翼の借り物って事実が」
「オリジナルは全部で3人。4人目がいれば、お前にその称号が当てられるはずだからな」
ユアンは窓辺に立って、石畳の街路を俯瞰しながら言った。
再び沈黙が流れる。しかし今回の沈黙には確かな拘束力があった。
グリッドから、彼奴から漆黒の翼を奪う?あり得るはずが無い。
プリムラにしてみれば、彼らと出会ったときから漆黒の翼は結成されていたし、
グリッドは最初から漆黒の翼のリーダーとして、全く不変の理のようにその座にいたのだ。
漆黒の翼を持たないグリッドなど‘想像する余地が無い’。
「1つ、考えていたことがあります。何故、私は彼に選ばれたんでしょうか?」
カトリーヌはカップを両の手で抱え込む様に持って、俯き加減でお茶を見ていた。
「……別に、確かぶつかって出会って向こうの方から強引に勧誘してきたんでしょ?
彼奴の性格なら普通にありそうな話じゃない?」
「でも、私は見ての通り足手まといで、それに方向音痴で、それに……」
カトリーヌの自虐が始まりそうになったのでユアンが顎で先を促す。矢張りその瞳は遙か遠くを覗いている。
「と、とにかく私は全然これっぽっちも役に立ちません。グリッドさんが私を仲間にする理由が無いんです」
清々しい朝にはどうにも不似合いな重々しい空気が三人にまとわりついた。
プリムラはもうこの場の三人の中でこの話の終点、その見当が一致していることを確信していた。
しかし、その弁護に立つ理由も手段も持ち合わせない彼女はこの2人の迂遠な話を唯聞くしかない。
「カトリーヌ、確かお前のグリッドから貰った称号は疾風だったな?」
示し合わせたように淀みなくカトリーヌは応じた。
「はい。そしてユアンさんは大食らいです。私はブーツを履いていたから通るにしても、ユアンさんは道理が通りません」
プリムラは一気に残りを飲み干し、音が鳴るほどにカップをテーブルに叩き付けた。
この感情は疎外感だろうか。プリムラと彼らに引かれた境界線はカップ程度で消せるほど柔くはない。
「で、私の称号が決まっていないことを加えると1つのくっだらない事実が出てくるわけだ?
あんたらの称号は本物の漆黒の翼の借り物って事実が」
「オリジナルは全部で3人。4人目がいれば、お前にその称号が当てられるはずだからな」
新しく注がれたカップから立ち上るほんの少しの湯気に2人と1人は隔たっていた。
「普通に考えて、幾らこの場所にその2人がいないからと言ってその称号を見ず知らず出会ったばかりの人間に差し出すか?
あの何よりも仲間に拘るグリッドの中でこれだけが‘理に沿わない’んだよ」
そう、グリッドには向こうの世界で待っている本当の漆黒の翼がある。
本当なら、逃げて、逃げて、元の世界にいる2人のためにもグリッドは生きなければならないのだ。
それを投げ出す様に急拵えに作られた仮初めの翼を守ろうとする。
「あんた、何を言ってるか分かってるの?」
「取り繕った所で、瑕が塞がるわけでもない」
ユアンの言葉は、既にプリムラも、カトリーヌも分かっている。言わなくても済む。
グリッドは、仲間を守りたかったんじゃない。
漆黒の翼という居場所を守りたかったんだ。
「普通に考えて、幾らこの場所にその2人がいないからと言ってその称号を見ず知らず出会ったばかりの人間に差し出すか?
あの何よりも仲間に拘るグリッドの中でこれだけが‘理に沿わない’んだよ」
そう、グリッドには向こうの世界で待っている本当の漆黒の翼がある。
本当なら、逃げて、逃げて、元の世界にいる2人のためにもグリッドは生きなければならないのだ。
それを投げ出す様に急拵えに作られた仮初めの翼を守ろうとする。
「あんた、何を言ってるか分かってるの?」
「取り繕った所で、瑕が塞がるわけでもない」
ユアンの言葉は、既にプリムラも、カトリーヌも分かっている。言わなくても済む。
グリッドは、仲間を守りたかったんじゃない。
漆黒の翼という居場所を守りたかったんだ。
「漆黒の翼を失えば奴には何もないのだよ、多分。だから守るのだ」
孤独は厭だから、1人では立つことが出来ないから、リーダーという仮面がなければ虚勢の1つも張れないから。
だから直ぐに拵えた。誰でも良かった。危険を省みずに漆黒の翼のリーダーという自分を作り上げた。
だから直ぐに拵えた。誰でも良かった。危険を省みずに漆黒の翼のリーダーという自分を作り上げた。
ユアンは席を立ち、天井を仰いだ。
「無論、本人も自覚はないだろうな。元の世界でなら別にそれでも八方丸く収まった筈だ」
道化として生きるのも、小賢しく生きるのも、漆黒の翼の団長という鎧を纏ったグリッドなら上手くやるだろう。
「……4000年変わらなかったものも最後には少し変わったんだ。
このおままごとも、リーダーごっこも何時かは終わる。この場所なら尚更な」
2人はただ、ただ‘何もしないこと’しか出来なかった。
常に目減りしていく参加者、減らない死者。そして一点の曇りもなく理想を高らかと口にする彼らのリーダーは此処にはいない。
ユアンは、グリッドはズボンを乾かして動けないうちに私達を言葉巧みに洗脳し、
この組織をそっくりそのまま奪おうとしているのかとも、プリムラは少し考えた。
そうじゃないのは直ぐに分かった。こんな、グリッドの安寧を守る為だけに機能している組織なんて奪ったって意味がない。
ユアンは案じているのだ。あの情けない紛い物と、その末路を。
「無論、本人も自覚はないだろうな。元の世界でなら別にそれでも八方丸く収まった筈だ」
道化として生きるのも、小賢しく生きるのも、漆黒の翼の団長という鎧を纏ったグリッドなら上手くやるだろう。
「……4000年変わらなかったものも最後には少し変わったんだ。
このおままごとも、リーダーごっこも何時かは終わる。この場所なら尚更な」
2人はただ、ただ‘何もしないこと’しか出来なかった。
常に目減りしていく参加者、減らない死者。そして一点の曇りもなく理想を高らかと口にする彼らのリーダーは此処にはいない。
ユアンは、グリッドはズボンを乾かして動けないうちに私達を言葉巧みに洗脳し、
この組織をそっくりそのまま奪おうとしているのかとも、プリムラは少し考えた。
そうじゃないのは直ぐに分かった。こんな、グリッドの安寧を守る為だけに機能している組織なんて奪ったって意味がない。
ユアンは案じているのだ。あの情けない紛い物と、その末路を。
「私達がいなくなったとき、漆黒の翼が完全に失われたとき、彼奴はグリッドとして立っていられるのか?」
彼女は自身に問う。
必要のない4番目の彼女の、此処にいる意味を。
必要のない4番目の彼女の、此処にいる意味を。
淡い光の向こうで、誰かが此方を見ている。
此方を見ている誰かは、両膝を付いて私に哀願している。
まるで、そう、まるで、
(デジャヴかしら?それともまだ走馬燈の続き?……あはは……私が其処にいるわ)
まるであの時の私のように情けない奴がいる。
一線を踏み越えたことに対する後悔と、自己嫌悪と、ほんの刹那の陶酔と、
それらを必死に体の中で処理しようとする健気さが入り交じった無力な子供が其処にいる。
何とも滑稽な姿だ。あの時の私もそうだったんだな、と思う。
本当になんて無様な子供…
(ん?私って金髪だっけ…?)
疑問と共に、淡い光が弱々しい現実の灯に変遷していく。
泣いているのは何とも別人だった。
此方を見ている誰かは、両膝を付いて私に哀願している。
まるで、そう、まるで、
(デジャヴかしら?それともまだ走馬燈の続き?……あはは……私が其処にいるわ)
まるであの時の私のように情けない奴がいる。
一線を踏み越えたことに対する後悔と、自己嫌悪と、ほんの刹那の陶酔と、
それらを必死に体の中で処理しようとする健気さが入り交じった無力な子供が其処にいる。
何とも滑稽な姿だ。あの時の私もそうだったんだな、と思う。
本当になんて無様な子供…
(ん?私って金髪だっけ…?)
疑問と共に、淡い光が弱々しい現実の灯に変遷していく。
泣いているのは何とも別人だった。
たった1つコロリと横たわるカンテラの明かりに全員が照らされ、彼女の周りで影が蠢いていた。
灯りの一番傍でプリムラが仰け反っている。弱い光が彼女の前面の血を鈍く輝き鈍く照らされている。
前髪で表情から状態を察することが出来ない。
グリッドは彼女の前で両膝を折り呆然としている、手を彼女の血で真っ赤に塗らした彼に常の覇気が無い事は明瞭だった。
この2人を挟むようにして、2人と2人が対峙している。
中継点側にリオンとカイル、出口側にヴェイグとトーマがそれぞれの心中を揺らめかせていた。
灯りの一番傍でプリムラが仰け反っている。弱い光が彼女の前面の血を鈍く輝き鈍く照らされている。
前髪で表情から状態を察することが出来ない。
グリッドは彼女の前で両膝を折り呆然としている、手を彼女の血で真っ赤に塗らした彼に常の覇気が無い事は明瞭だった。
この2人を挟むようにして、2人と2人が対峙している。
中継点側にリオンとカイル、出口側にヴェイグとトーマがそれぞれの心中を揺らめかせていた。
リオンは掴んだカイルの腕を放しながら仮面の奥から正面を見据えた。
彼の目算はこの状況を六分で此方が有利だと判断している。
問題は山積しているが先ず安全の確保を優先すべきだろう。そう彼は考えたかった。
ディムロスは前方三歩、プリムラの真横。喋らないところを見ると取り敢えずは様子見するつもりか。
彼の目算はこの状況を六分で此方が有利だと判断している。
問題は山積しているが先ず安全の確保を優先すべきだろう。そう彼は考えたかった。
ディムロスは前方三歩、プリムラの真横。喋らないところを見ると取り敢えずは様子見するつもりか。
確か、名簿にあった名前は、カイル=‘デュナミス’だ。
プリムラの正面が派手に染まっているが、それにしては妙に地面の血が少ない。
急所さえ外れているなら、後回しにしてもいいだろう。何より、最終手段は此方の嚢中にある。
急所さえ外れているなら、後回しにしてもいいだろう。何より、最終手段は此方の嚢中にある。
リオンは眉間に皺を寄せた。この道を行けばこうなることは、彼は了承していた。
しかし、真逆こうまで早いとは流石に想いもしなかった。
皮肉にも程がある、と悪態も付きたくなる。全くこれだから運命は馬鹿馬鹿しい。
問題はそこの銀髪、名簿の名前はヴェイグ=リュングベルだろう。確か奴と共にいた奴だ。
プリムラの話に従えば、彼女が行きかけの駄賃に刺した奴も銀髪じゃなかったか?
しかし状況はそこまで悲惨じゃない。奴の後ろにトーマが控えているし、
何より戦端を開くにはそこの2人が邪魔だ。これでは戦いは始められない。
とはいえ、悲惨でなくともプリムラの状態が即死から瀕死になっただけで、依然状況は予断を許す気がないらしい。
1つ動かせば確実に奴と斬り合いだという確信に従い、
正面の連中の死角になるようにリオンは腰の後ろの短剣に右手を添えた。
警戒さえしていれば少なくとも済し崩しにそこの男に斬り殺されるという無様な真似は曝さずに
(待て?何で僕は今更命を惜しんでいる?)
ふと脳裏を過ぎった疑問に、リオンは逡巡する。
(殺されても良いと思った。さっきカイルにそう言っただろう?何故だ?)
しかし、真逆こうまで早いとは流石に想いもしなかった。
皮肉にも程がある、と悪態も付きたくなる。全くこれだから運命は馬鹿馬鹿しい。
問題はそこの銀髪、名簿の名前はヴェイグ=リュングベルだろう。確か奴と共にいた奴だ。
プリムラの話に従えば、彼女が行きかけの駄賃に刺した奴も銀髪じゃなかったか?
しかし状況はそこまで悲惨じゃない。奴の後ろにトーマが控えているし、
何より戦端を開くにはそこの2人が邪魔だ。これでは戦いは始められない。
とはいえ、悲惨でなくともプリムラの状態が即死から瀕死になっただけで、依然状況は予断を許す気がないらしい。
1つ動かせば確実に奴と斬り合いだという確信に従い、
正面の連中の死角になるようにリオンは腰の後ろの短剣に右手を添えた。
警戒さえしていれば少なくとも済し崩しにそこの男に斬り殺されるという無様な真似は曝さずに
(待て?何で僕は今更命を惜しんでいる?)
ふと脳裏を過ぎった疑問に、リオンは逡巡する。
(殺されても良いと思った。さっきカイルにそう言っただろう?何故だ?)
「絶……」
反応、遅れること一秒半。
「瞬影迅!!」
目の前の銀髪の動作にリオンは微動だにせず驚愕した。
男の行動の意味は分からないが、紛れもない殺気にリオンの全身が反応する。
(まさか、突進するつもりか?)
「トーマ、寄せろ!!」
叫ぶが先か、リオンはカイルを横に突き飛ばし加速の体勢に入る。どちらが狙われているにせよ、自分が止めるしかない。
リオンに言われるまでもなかったのか、トーマは左手を前に伸ばして扇ぐ様に左から右へ薙いだ。
トーマのフォルスによってグリッドとプリムラの体が不自然に横に動く。
(間に合うか……?)
警戒はしていたとはいえ、トーマは正気とは思えないヴェイグによる錬術加速からの突進に一瞬の虚を突かれた。
既に座標が定まらないヴェイグを抑えることを諦め、2人を避難させる方向へ判断を変えた。
しかしプリムラが手負いであることを考えると急な力を掛けるわけにも行かない。
「ヴェイグ!剣を…ッ!?」
間に合うか、間に合わぬかその限界の距離でトーマは全く望外の図面を見た。
ヴェイグは速度を殺さぬように跳躍し、リオンに向かって飛び込んだのだ。
横への推進力を重視した飛び込みによってヴェイグの靴がグリッドの髪を掠める。
中空でヴェイグは腕を引き、溜めるように‘短剣’を構えている。
反応、遅れること一秒半。
「瞬影迅!!」
目の前の銀髪の動作にリオンは微動だにせず驚愕した。
男の行動の意味は分からないが、紛れもない殺気にリオンの全身が反応する。
(まさか、突進するつもりか?)
「トーマ、寄せろ!!」
叫ぶが先か、リオンはカイルを横に突き飛ばし加速の体勢に入る。どちらが狙われているにせよ、自分が止めるしかない。
リオンに言われるまでもなかったのか、トーマは左手を前に伸ばして扇ぐ様に左から右へ薙いだ。
トーマのフォルスによってグリッドとプリムラの体が不自然に横に動く。
(間に合うか……?)
警戒はしていたとはいえ、トーマは正気とは思えないヴェイグによる錬術加速からの突進に一瞬の虚を突かれた。
既に座標が定まらないヴェイグを抑えることを諦め、2人を避難させる方向へ判断を変えた。
しかしプリムラが手負いであることを考えると急な力を掛けるわけにも行かない。
「ヴェイグ!剣を…ッ!?」
間に合うか、間に合わぬかその限界の距離でトーマは全く望外の図面を見た。
ヴェイグは速度を殺さぬように跳躍し、リオンに向かって飛び込んだのだ。
横への推進力を重視した飛び込みによってヴェイグの靴がグリッドの髪を掠める。
中空でヴェイグは腕を引き、溜めるように‘短剣’を構えている。
(飛び込みからの突撃、スナイプロアと同質の?抜刀…遅いか!?)
リオンは桔梗に左手を寄せながら唸った。何故プリムラを置いて自分を狙うのか、
何故自分は生きたがっているのか、その理由も皆目見当付かない。
奴にとって僕はジューダスを殺した仇だ。
此処で殺されて仕舞えば、それで、全てが綺麗に片づく。
(スタンも死んだ、僕にはもう何も残っていない。何故僕はそれでも生きたがっている!?)
違う、とリオンの中で警報が鳴った。
短剣で切り込むには、スナイプロアを仕掛けるならば構えが早すぎる。間合いも若干遠い。
この警報は何処で鳴っている?
左よりも早く、右手が背中に隠したもう一振りを抜く。
(クロスレンジじゃない?ミドルレンジからの一撃…この技は!?)
リオンは桔梗に左手を寄せながら唸った。何故プリムラを置いて自分を狙うのか、
何故自分は生きたがっているのか、その理由も皆目見当付かない。
奴にとって僕はジューダスを殺した仇だ。
此処で殺されて仕舞えば、それで、全てが綺麗に片づく。
(スタンも死んだ、僕にはもう何も残っていない。何故僕はそれでも生きたがっている!?)
違う、とリオンの中で警報が鳴った。
短剣で切り込むには、スナイプロアを仕掛けるならば構えが早すぎる。間合いも若干遠い。
この警報は何処で鳴っている?
左よりも早く、右手が背中に隠したもう一振りを抜く。
(クロスレンジじゃない?ミドルレンジからの一撃…この技は!?)
「霧氷翔!!」「月閃光!!」
ヴェイグの短剣が冷気を纏い、剣槍へと変質しながらジューダスへ向かう。
右手が導くように生み出された三日月は氷の突きと相殺する。
グリッドを除く全ての視線が、冷えた空気に映えたその月と突きを見ていた。
カイルの視線だけがその光景に別の意味を見いだしている。
ヴェイグの短剣が冷気を纏い、剣槍へと変質しながらジューダスへ向かう。
右手が導くように生み出された三日月は氷の突きと相殺する。
グリッドを除く全ての視線が、冷えた空気に映えたその月と突きを見ていた。
カイルの視線だけがその光景に別の意味を見いだしている。
「どちらだ」
着地と同時に距離を詰めて、ヴェイグは剣を横に薙いだ。
リオンは二刀を重ねて斬撃を止める。
「お前が望まない方が正解だ」
「……そうか」
着地と同時に距離を詰めて、ヴェイグは剣を横に薙いだ。
リオンは二刀を重ねて斬撃を止める。
「お前が望まない方が正解だ」
「……そうか」
トーマはプリムラ達の無事を確認して、動きを止めたヴェイグに手を翳した。
「ヴェイグ。剣を下ろせ」
「止めろ、トーマ。こいつは正気だ」
リオンの言葉にトーマの左腕はびくりと動いて、直ぐに静止した。
洞窟の壁がじっとりと湿って、雫を一滴落とした。
「ああ、俺にも状況は理解できる。だが」
ヴェイグは呼吸を落ち着けて、剣を握る。
暴走するほどに血は上っていない。決して逆上して斬りかかった訳ではない。
自分を刺した相手とは言え、プリムラのことがどうでも良かったという訳でもない。
漆黒の翼の2人を盾と利用して、一瞬の虚を突いて、
慎重に、冷静に、確実に、目の前の死人を切り離そうとした。
リオンだろうと、ジューダスだろうと、この一瞬に関してはどうでも良かった。
死人が、カイルを連れて行く。
たった1つ、このイメージを忌避するために。
それがこの空間が醸し出した幻想か、
死んだはずのジューダスが甦ったことか、
殺人鬼であるリオンが居たことがもたらしたイメージなのかは分からないが、
最大の贖罪の対象であるカイルを失うことだけは許すわけにはいかない。
カイルがこの場所にいるという可能性を忘却していた彼が考えられたのはそれだけだった。
そしてその目的に対してヴェイグに採ることが出来た手段は、死人からカイルを切り離す事だけだった。
そしてその認識は剣を交えて死人が生きたリオン=マグナスであることを認識しても続いている。
「ヴェイグ。剣を下ろせ」
「止めろ、トーマ。こいつは正気だ」
リオンの言葉にトーマの左腕はびくりと動いて、直ぐに静止した。
洞窟の壁がじっとりと湿って、雫を一滴落とした。
「ああ、俺にも状況は理解できる。だが」
ヴェイグは呼吸を落ち着けて、剣を握る。
暴走するほどに血は上っていない。決して逆上して斬りかかった訳ではない。
自分を刺した相手とは言え、プリムラのことがどうでも良かったという訳でもない。
漆黒の翼の2人を盾と利用して、一瞬の虚を突いて、
慎重に、冷静に、確実に、目の前の死人を切り離そうとした。
リオンだろうと、ジューダスだろうと、この一瞬に関してはどうでも良かった。
死人が、カイルを連れて行く。
たった1つ、このイメージを忌避するために。
それがこの空間が醸し出した幻想か、
死んだはずのジューダスが甦ったことか、
殺人鬼であるリオンが居たことがもたらしたイメージなのかは分からないが、
最大の贖罪の対象であるカイルを失うことだけは許すわけにはいかない。
カイルがこの場所にいるという可能性を忘却していた彼が考えられたのはそれだけだった。
そしてその目的に対してヴェイグに採ることが出来た手段は、死人からカイルを切り離す事だけだった。
そしてその認識は剣を交えて死人が生きたリオン=マグナスであることを認識しても続いている。
氷の刀身をもう片方の手の腹で押し、ヴェイグはじりじりと剣と剣の交差位置をリオンに寄せていく。
「悪いが、俺にも俺の事情がある。ここは我を通させて貰う」
「仇か?少なくとも1人、お前には僕を殺す動機がある」
「違う」
一喝したヴェイグは体躯の差で強引にリオンを壁に押し飛ばした。
まだ体力的に完調していないリオンは受け身を取る間もなく壁に叩き付けられる。
ヴェイグは押し切った勢いのまま突進を仕掛け、水平に構えた氷剣をその素ッ首に打ち付けた。
リオンは右手を突き出し躊躇無く剣の根本、即ち氷剣の原型たる短剣の部分を掴む。
「……少し、話が長引きそうだな」
「お前が何も言わずこの手を離せばそれで終わる、この場で朽ちて在るべき場所に還れ」
氷剣は腕力の差に後押しされ、ゆっくりとリオンの喉元に近づいていく。
既にリオンの背中には塞がった壁の冷ややかな感触が伝わっていた。
リオンの背中から魔力が放たれる。ヴェイグは漸くリオンの左手が遊んでいることに気付いた。
二刀は既に、腰に収まっている。リオンは一瞬だけカイルの方を見た。
(この未練がましさの原因は、この少年に会ったからなのか?何にせよ……)
「悪いが、今の僕の命は僕だけがどうこうできるものじゃ無いんだ。まだ、死ぬわけにはいかん」
(亀裂は理解できた。この裏側の円柱状の鉄が邪魔だな。
いや、それよりも問題は、鉄心……いや、この鉄に括られている土塊だ……何が向こうに刺さっているのか……迷う時間は無いか)
「シャル!破砕しろ!!」
背中に隠した左手に握られたコアクリスタルが輝く。
ピシリ、ピシリという音が二回なって、一気に亀裂が‘向こう側からやってきた’。
晶力を通わされた岩々は踊るように崩れていく。
その一瞬の緩みに、リオンは作成した後方の空間に倒れ込むように飛び退いた。
飛び退いた先で今し方観測した鉄心、溜弾砲とその土塊を凝視した。
「悪いが、俺にも俺の事情がある。ここは我を通させて貰う」
「仇か?少なくとも1人、お前には僕を殺す動機がある」
「違う」
一喝したヴェイグは体躯の差で強引にリオンを壁に押し飛ばした。
まだ体力的に完調していないリオンは受け身を取る間もなく壁に叩き付けられる。
ヴェイグは押し切った勢いのまま突進を仕掛け、水平に構えた氷剣をその素ッ首に打ち付けた。
リオンは右手を突き出し躊躇無く剣の根本、即ち氷剣の原型たる短剣の部分を掴む。
「……少し、話が長引きそうだな」
「お前が何も言わずこの手を離せばそれで終わる、この場で朽ちて在るべき場所に還れ」
氷剣は腕力の差に後押しされ、ゆっくりとリオンの喉元に近づいていく。
既にリオンの背中には塞がった壁の冷ややかな感触が伝わっていた。
リオンの背中から魔力が放たれる。ヴェイグは漸くリオンの左手が遊んでいることに気付いた。
二刀は既に、腰に収まっている。リオンは一瞬だけカイルの方を見た。
(この未練がましさの原因は、この少年に会ったからなのか?何にせよ……)
「悪いが、今の僕の命は僕だけがどうこうできるものじゃ無いんだ。まだ、死ぬわけにはいかん」
(亀裂は理解できた。この裏側の円柱状の鉄が邪魔だな。
いや、それよりも問題は、鉄心……いや、この鉄に括られている土塊だ……何が向こうに刺さっているのか……迷う時間は無いか)
「シャル!破砕しろ!!」
背中に隠した左手に握られたコアクリスタルが輝く。
ピシリ、ピシリという音が二回なって、一気に亀裂が‘向こう側からやってきた’。
晶力を通わされた岩々は踊るように崩れていく。
その一瞬の緩みに、リオンは作成した後方の空間に倒れ込むように飛び退いた。
飛び退いた先で今し方観測した鉄心、溜弾砲とその土塊を凝視した。
一気に砂煙が巻き上がりリオンとヴェイグを覆い隠す。トーマは慌ててプリムラの傷に障らないように粉塵を弾き飛ばした。
煙る視界の奥から聞こえた声は、壁に反射し段々細くなっていく。
「トーマ。こいつの相手は僕がしておく。その間に決めろ」
「逃がさんッ!」
トーマは歯を軋らせて唸りながら、手持ちのサック二つの口を握りしめた。
中にある切り札、グミの存在を強く確信する。
やがて粉塵は地面で湿り、不規則な運動を停止した。
煙る視界の奥から聞こえた声は、壁に反射し段々細くなっていく。
「トーマ。こいつの相手は僕がしておく。その間に決めろ」
「逃がさんッ!」
トーマは歯を軋らせて唸りながら、手持ちのサック二つの口を握りしめた。
中にある切り札、グミの存在を強く確信する。
やがて粉塵は地面で湿り、不規則な運動を停止した。
「……どうしろってんだ」
トーマは事態を整理する。
ヒューマが三匹。女は物理的に死にかけ、小僧はいい塩梅に狼狽えて、最後の男は昨日見た気丈さの欠片もない抜け殻の様。
手持ちの回復手段はヴェイグ達とこの小僧が出し惜しみしていないという条件でプリムラのサックに入ったミラクルグミ1つ。
リオンやプリムラの話に因ればもう一つのパイングミでは精神力しか回復しないらしい。
このタイプのグミはカレギアには無かったが、グミそのものの性能はサレのこともあって疑う点はない。
使えば、プリムラは今直面している死から逃れることが出来る。
状況は厳しいがグミという超回復を前提にすればデッドラインまではまだ余裕がある。
トーマは事態を整理する。
ヒューマが三匹。女は物理的に死にかけ、小僧はいい塩梅に狼狽えて、最後の男は昨日見た気丈さの欠片もない抜け殻の様。
手持ちの回復手段はヴェイグ達とこの小僧が出し惜しみしていないという条件でプリムラのサックに入ったミラクルグミ1つ。
リオンやプリムラの話に因ればもう一つのパイングミでは精神力しか回復しないらしい。
このタイプのグミはカレギアには無かったが、グミそのものの性能はサレのこともあって疑う点はない。
使えば、プリムラは今直面している死から逃れることが出来る。
状況は厳しいがグミという超回復を前提にすればデッドラインまではまだ余裕がある。
最低此処までを前提にしなければ、まともに考えることも出来ない。
トーマは逡巡している。無論、たった2つしかないグミを惜しむ等という卑しさは
ミミー=ブレッドの熱に触れた彼には極々常識的な範囲でしか持ち合わせていなかった。
通常ならば何も気兼ねなく使っただろう。
しかし、プリムラの命を救う事で八方が丸く収まるとはトーマにはどうしても思えない。
もし、もしそれで丸く収まるなら‘プリムラが今こうなっている訳が無いのだ’。
突発的に斬られたプリムラ=ロッソ、突発的に斬ったのは小僧、そして斬られたプリムラと縁のあるグリッド。
(こいつは、何の冗談だ?)
予測外の死角から刺されたのはヴェイグ=リュングベル、狂気に当てられて咄嗟に刺したのはプリムラ=ロッソ、
斬られたヴェイグと同道していたのはハロルド=ベルセリオス。
(昨日の夜の再現か……?)
場所・役者・動機、構成している要素は全て違うがそれ以外はほぼ同じ構造だ。
そしてその2つともにトーマは傍観者という立ち位置にいる。
トーマは首を力強く2往復させた。そんな馬鹿げた話は無い。
唯の偶然に振り回されて、適当に似ているように見える要素だけを凝視して、同じだと思いこもうとしているだけだ。
(本来ヴェイグの治癒はグミを使って行われるはずだった)
しかしグリッドはどんな手品を使ったのか分からないが、グミも無しにヴェイグを救って見せた。
此方はリオンというイレギュラーを内包しつつもプリムラをここに引っ提げることに成功した。
そして先ほど洞窟の前で、生き返ったヴェイグを前にしてあの男はプリムラを許した。
完璧だ。完璧すぎる。考え得る最高の形だった筈だ。
ミミー=ブレッドの熱に触れた彼には極々常識的な範囲でしか持ち合わせていなかった。
通常ならば何も気兼ねなく使っただろう。
しかし、プリムラの命を救う事で八方が丸く収まるとはトーマにはどうしても思えない。
もし、もしそれで丸く収まるなら‘プリムラが今こうなっている訳が無いのだ’。
突発的に斬られたプリムラ=ロッソ、突発的に斬ったのは小僧、そして斬られたプリムラと縁のあるグリッド。
(こいつは、何の冗談だ?)
予測外の死角から刺されたのはヴェイグ=リュングベル、狂気に当てられて咄嗟に刺したのはプリムラ=ロッソ、
斬られたヴェイグと同道していたのはハロルド=ベルセリオス。
(昨日の夜の再現か……?)
場所・役者・動機、構成している要素は全て違うがそれ以外はほぼ同じ構造だ。
そしてその2つともにトーマは傍観者という立ち位置にいる。
トーマは首を力強く2往復させた。そんな馬鹿げた話は無い。
唯の偶然に振り回されて、適当に似ているように見える要素だけを凝視して、同じだと思いこもうとしているだけだ。
(本来ヴェイグの治癒はグミを使って行われるはずだった)
しかしグリッドはどんな手品を使ったのか分からないが、グミも無しにヴェイグを救って見せた。
此方はリオンというイレギュラーを内包しつつもプリムラをここに引っ提げることに成功した。
そして先ほど洞窟の前で、生き返ったヴェイグを前にしてあの男はプリムラを許した。
完璧だ。完璧すぎる。考え得る最高の形だった筈だ。
最高の形は、状況を全く好転させていない。
最高の道を選んだ先に辿り着いたのは何一つ代わり映えしない元いた場所。
最高の道を選んだ先に辿り着いたのは何一つ代わり映えしない元いた場所。
(有り得ねえ……有り得ねえが……昨日の夜と今日の朝、この二つが同じ構造になっているとしたら……)
プリムラを助けようと助けまいと状況はもう一周するだけなのではないか?
この小僧が昨日のプリムラと対応しているなら、‘プリムラを助けたとしてもこいつを助けられる保証が無い’。
昨日のハロルドのようにグリッドが憤怒し小僧を半殺しにするか?
昨日のプリムラのように逃げだし、小僧を基点として更なる状況の悪化を招くか?
プリムラを助けようと助けまいと状況はもう一周するだけなのではないか?
この小僧が昨日のプリムラと対応しているなら、‘プリムラを助けたとしてもこいつを助けられる保証が無い’。
昨日のハロルドのようにグリッドが憤怒し小僧を半殺しにするか?
昨日のプリムラのように逃げだし、小僧を基点として更なる状況の悪化を招くか?
死者の発生と生者の怨嗟が連鎖するこの島では、この手合いの事など別段珍しいことではない。これも良くある偶然の筈だ。
ならばなぜこうまで心が竦み怯えているのか?先ほど失せたテルクェスのせいか?
トーマは自分の心中すら計りかねていた。
ならばなぜこうまで心が竦み怯えているのか?先ほど失せたテルクェスのせいか?
トーマは自分の心中すら計りかねていた。
トーマは渦中の連中を無視したくて、今し方開通した道を見る。
最初に辿り着いた南側の入り口と同じ厭な匂いがした。濁っているのに冷え切ったこの気配は気分を悪くさせるのに十分だった。
地面には、幾つもの岩から山ほどの石と礫に格下げされた石と、
それらを不自然に避けて血塗れの砲が一門とそのおまけが其処にあった。
(俺は、俺はどうしたら良い……教えてくれ……ミミー……)
最初に辿り着いた南側の入り口と同じ厭な匂いがした。濁っているのに冷え切ったこの気配は気分を悪くさせるのに十分だった。
地面には、幾つもの岩から山ほどの石と礫に格下げされた石と、
それらを不自然に避けて血塗れの砲が一門とそのおまけが其処にあった。
(俺は、俺はどうしたら良い……教えてくれ……ミミー……)
此処は矢張り良くない場所だ。トーマは苦々しげに唸った。
【トーマ 生存確認】
状態:TP70% 右腕使用不可能 軽い火傷 やや貧血気味 既視感に対する恐怖 プリムラ・ヴェイグ・リオンのサック所持
所持品:イクストリーム マジカルポーチ ハロルドのサック(分解中のレーダーあり) パイングミ
ジェットブーツ 実験サンプル(燃える草微量以外詳細不明) 首輪 スティレット ミラクルグミ
ミスティブルーム、ロープ数本 ウィングパック(食料が色々入っている) 金のフライパン
ハロルドメモ2(現状のレーダー解析結果+α)
首輪 45ACP弾7発マガジン×3 ウグイスブエ(故障)
基本行動方針:ミミーのくれた優しさに従う
第一行動方針:グミを使う?使わない?それとも?
第二行動方針:漆黒を生かす
第三行動方針:キールを探し、ハロルドメモの解読を行う
現在位置:G3洞窟・中央中継点
状態:TP70% 右腕使用不可能 軽い火傷 やや貧血気味 既視感に対する恐怖 プリムラ・ヴェイグ・リオンのサック所持
所持品:イクストリーム マジカルポーチ ハロルドのサック(分解中のレーダーあり) パイングミ
ジェットブーツ 実験サンプル(燃える草微量以外詳細不明) 首輪 スティレット ミラクルグミ
ミスティブルーム、ロープ数本 ウィングパック(食料が色々入っている) 金のフライパン
ハロルドメモ2(現状のレーダー解析結果+α)
首輪 45ACP弾7発マガジン×3 ウグイスブエ(故障)
基本行動方針:ミミーのくれた優しさに従う
第一行動方針:グミを使う?使わない?それとも?
第二行動方針:漆黒を生かす
第三行動方針:キールを探し、ハロルドメモの解読を行う
現在位置:G3洞窟・中央中継点
【プリムラ・ロッソ 生存確認】
状態:意識回復中? 臨死 左下から右上にかけて前面に大規模裂傷
右ふくらはぎに銃創・出血(止血処置済み)切り傷多数(応急処置済み)
所持品:C・ケイジ@I ソーサラーリング ナイトメアブーツ
基本行動方針:???
第一行動方針:???
第二行動方針:キールを探し、ハロルドメモの解読を行う
第三行動方針:グリッドとヴェイグに謝る?
現在地:G3洞窟・中央中継点
状態:意識回復中? 臨死 左下から右上にかけて前面に大規模裂傷
右ふくらはぎに銃創・出血(止血処置済み)切り傷多数(応急処置済み)
所持品:C・ケイジ@I ソーサラーリング ナイトメアブーツ
基本行動方針:???
第一行動方針:???
第二行動方針:キールを探し、ハロルドメモの解読を行う
第三行動方針:グリッドとヴェイグに謝る?
現在地:G3洞窟・中央中継点
【ヴェイグ=リュングベル 生存確認】
状態:HP40% TP50% 他人の死への拒絶 サック未所持
所持品:チンクエディア ミトスの手紙
基本行動方針:今まで犯した罪を償う(特にカイルへ)
第一行動方針:リオンを追い、倒す
第二行動方針:E3に残存していれば、魔杖ケイオスハートを回収する
第三行動方針:キールとのコンビネーションプレイの練習を行う
第四行動方針:もしティトレイと再接触したなら、聖獣の力でティトレイを正気に戻せるか試みる
現在位置:G3洞窟・中央中継点→洞窟南側へ
状態:HP40% TP50% 他人の死への拒絶 サック未所持
所持品:チンクエディア ミトスの手紙
基本行動方針:今まで犯した罪を償う(特にカイルへ)
第一行動方針:リオンを追い、倒す
第二行動方針:E3に残存していれば、魔杖ケイオスハートを回収する
第三行動方針:キールとのコンビネーションプレイの練習を行う
第四行動方針:もしティトレイと再接触したなら、聖獣の力でティトレイを正気に戻せるか試みる
現在位置:G3洞窟・中央中継点→洞窟南側へ
【グリッド 生存確認】
状態:不明 (プリムラの死(という思いこみ)=漆黒の翼の完全崩壊によるアイデンティティの連鎖崩壊?)
所持品:マジックミスト 占いの本 ハロルドメモ ペルシャブーツ
基本行動方針:???
第一行動方針:???
第二行動方針:E3に残存していれば、魔杖ケイオスハートを回収する
第三行動方針:マーダー排除に協力する
現在位置:G3洞窟・中央中継点
状態:不明 (プリムラの死(という思いこみ)=漆黒の翼の完全崩壊によるアイデンティティの連鎖崩壊?)
所持品:マジックミスト 占いの本 ハロルドメモ ペルシャブーツ
基本行動方針:???
第一行動方針:???
第二行動方針:E3に残存していれば、魔杖ケイオスハートを回収する
第三行動方針:マーダー排除に協力する
現在位置:G3洞窟・中央中継点
【リオン=マグナス 生存確認】
状態:HP70% TP80% 右腕はまだ微妙に違和感がある コスチューム称号「ジューダス」 サック未所持
所持品:アイスコフィン 忍刀桔梗 レンズ片(晶術使用可能)
基本行動方針:ミクトランを倒しゲームを終わらせる 可能なら誰も殺さない
第一行動方針:ヴェイグを引きつける
第二行動方針:キールを探し、ハロルドメモの解読を行う
第三行動方針:協力してくれる者を集める
現在地:G3洞窟・中央中継点→洞窟南側へ
状態:HP70% TP80% 右腕はまだ微妙に違和感がある コスチューム称号「ジューダス」 サック未所持
所持品:アイスコフィン 忍刀桔梗 レンズ片(晶術使用可能)
基本行動方針:ミクトランを倒しゲームを終わらせる 可能なら誰も殺さない
第一行動方針:ヴェイグを引きつける
第二行動方針:キールを探し、ハロルドメモの解読を行う
第三行動方針:協力してくれる者を集める
現在地:G3洞窟・中央中継点→洞窟南側へ
【カイル=デュナミス 生存確認】
状態:HP45% TP75% 悲しみ 静かな反発 過失に対するショック 状況に対する混乱
所持品:鍋の蓋 フォースリング ウィス 忍刀血桜 クラトスの輝石 料理大全 要の紋
蝙蝠の首輪 レアガントレット(左手甲に穴)セレスティマント ロリポップ ミントの帽子
基本行動方針:???
第一行動方針:???
現在位置:G3洞窟・中央中継点
状態:HP45% TP75% 悲しみ 静かな反発 過失に対するショック 状況に対する混乱
所持品:鍋の蓋 フォースリング ウィス 忍刀血桜 クラトスの輝石 料理大全 要の紋
蝙蝠の首輪 レアガントレット(左手甲に穴)セレスティマント ロリポップ ミントの帽子
基本行動方針:???
第一行動方針:???
現在位置:G3洞窟・中央中継点
【備考】S・Dはカイルから若干離れた位置にある