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テイルズオブバトルロワイアル@wiki

天使の失着

最終更新:2019年10月13日 20:25

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天使の失着


「なん、だ、とォ?」
報告を受けたミトス=ユグドラシルの第一声はまさに「素っ頓狂」を具現化したらこうなるだろうと言える物だった。
バキリと乾いた破砕音とその声がその部屋の中を一瞬だけ満たすが、直ぐに静かな沈黙が注がれる。
しかし彼の心中のざわめきは止むことなく寧ろそのボリュームを増していた。
その手の中にあった油性ペンは折れて、彼の掌を黒く染めている。
ゆっくりと汚れた右手を見つめながら、さも何事もなかったかのような振る舞いを自らに無理強いしながら問いを紡ぐ。
「よく聞こえなかった。もう一度報告しろ」
よく聞こえなかった? 嘘を付くなと自分に突っ込みを入れたくもなるさ。
自嘲に唇を歪めたくなるが、それも封殺する。
ユグドラシルはサックから水の入ったボトルを取り出し、一口含んだ。ボトルを置かずに、ボトルの口から水の揺らぐ様を見つめる。
天使であるその身体には肉体的意義は無かったが、精神的に必要だった。報告をした人物にも気取られずに体勢を立て直す時間が要る。
水を飲み込み、衝動的な否定を全て流した。ゴクリと鳴る喉の音が、これは現実の話だと冷酷に教える。

驚いた訳じゃない。ただ、その内容が、あまりにも突飛過ぎただけだ。
それとも、その内容が、少しばかり羨ましかったからだろうか。

『クレス=アルベインと、ロイド=アーヴィング及びヴェイグ=リュングベルが交戦に入りました。
 カイル=デュナミスの動きは観測されていません。戦況は現在拮抗状態です』
側に待機した蒼眼の天使人形、本来の紅を塗り替え支配したアトワイトが再度報告する。何も感情も無い筈の声が確かな動揺を帯びていた。
報告を反芻する本人すら、その事実に面食らっていた。
『ティトレイは、中央地区やや西寄りに移動しました。以後僅かな無音状態でした。その後、断続的に鼾が……』
冗談だろうかと思いたかったのは、寧ろ彼女の方かもしれない。
だが軍医としての経歴に裏打ちされたその経験則は、それが狸寝入りかどうかを検討した上でこの報告に臨んでいた。

『ティトレイ=クロウは、完全に傾眠、いえ、睡眠に入りました』

一定以上の動揺はない。常識外れの報告で彼女のマスターが怒りの矛先を自身に向けるかという恐怖は元より無く、
この情報の信憑性その物に対する疑念は、短時間とはいえ全力で事実の検討に注力していた精神的疲労がそれを奪っていた。
あるのは唯、この情報を事実とした前提に於いて尚理解が出来ないということだけだった。



「3人ともティトレイが退くのを見逃したと言うのか」
ユグドラシルはその睡眠の虚偽の可能性を放棄して、疑問を進める。
こんな下らない話、冗談なら即刻殺して然る所だが、それ故にこの報告が少なくともアトワイトの中で真実であることを意味していた。
しかし、幾らクレスが凶悪な駒だとしても3人もいれば何処かしらに突破点は見いだせるはずだ。
それでも射手であるティトレイを見逃す愚を何故犯すか。
『……断片的な会話内容から判断して、マスターを警戒しているかと』
カイルの口から放たれたミトスという単語、そして喋った本人がリザーブに回った事からアトワイトは他に解釈のしようが無かった。
「それを警戒させない為のティトレイだっただろうがッ!!」
机に拳が叩き付けられバンと大きな音が立ち、置いたボトルが揺れた。
激したユグドラシルの怒声が、微かに人形の髪を揺らす。
其処までの醜態を晒して、漸くユグドラシルは自分が理不尽かに気付いた。
少なくとも責は彼女になく、多く見積もってもティトレイが都合よく動くことを期待することそのものが楽観論だ。
「……怒鳴ってごめん。あと、無理しなくても、ミトスで良い。どうせ名前を呼ぶ奴なんて碌に残ってない」
アトワイト無言で首肯した。眼を髪で覆い顔を背けているが、その態度は土下座よりも重い意味を持っていたことに気付いたからだ。

一度深呼吸をしたユグドラシルは両手を机に突き立ち上がった。今までに記した情報によって白地図は、特に西側が黒く染め上げられている。
一体何を考えてるのだろうか。
3人から距離を離すのは分かる。この霧の中とはいえ、射手は距離を取るが身上。
後衛前衛の隊形を維持すればクレスに気を向けさせて狙撃も、狙撃に気を取らせてクレスの攻撃の自由度を確保するも思いのままだ。
この利を捨てて行うこの休息は完璧に致命的である。
そして、なにより彼らには時間が無いはずだ。
西の浜辺でティトレイに出会った際、“クレスは何らかのタイムリミットを抱えている”という推理をユグドラシルは行った。
その推理が外れていないからこそ彼らは罠と承知で、こちらの手に乗ってきた。そうユグドラシルは判断していた。
そもそもあの浜辺の時点でティトレイには自分たちが漁夫の利を手に収めようとしていることは明白だったはずだ。
ミトスたちの陣営を警戒するなら最初から村に来る必要がないのだ。ロイド達と鉢合わせした段階でミトスを警戒するのは今更と言う他ない。
リスクを承知で彼らは獲物を狩りに此処に来たのだ。
様々な要素を鑑みても、ティトレイ陣営にとって何かを急ぐならユグドラシルは関係無しに、ここは休む手ではない。戦いの理屈から有り得ない。

しかし、ティトレイは“理を外した”。



取るべきアドバンテージと失うべきではないタイミングを逸した。
だからこそ手が読めない。まるで、気紛れの一手が差し込まれたかのようだ。
(どういう積もりだ……何を考えてる。矢張りアトワイトの言う通り、僕を警戒しているというのか……?)
自分を、ミトス=ユグドラシルを戦場に誘い出したいというだけなら分かる。しかしそれにしてもこの手は消極的すぎる。
彼らは自分がコレットの耳を用いて監視している事を知る筈がない。故に本来なら本気で寝る必要がない。
仮に天使の聴覚を欺く為に狸寝入りではなく本気で眠りに入ったというならコレは完全に失策だ。幾らクレスでも1対3なら負けの目も出てくる。
自らどころか自分の鬼札すらも裸に晒して更なる敵を誘うなんて、やはり、どう考えても費用対効果が釣り合わない。
『ミトス、どうしますか』
アトワイトが声を掛ける。それを今考えてるんだよバカ、と怒鳴りそうになる喉に水を注いでユグドラシルは誤魔化した。
だが、確かに彼女の言うことも一つの真実ではある。
この盤上が一つの棋譜で、彼らが観客ならその不可解な一手を一晩掛けて検討するのも一つの娯楽だろう。
だが彼らもまた駒の一人であり、差し手である。不可解だからと手を止めている間にも、大金を積んでも買えない時間は刻々と減っている。
このまま手を拱いていてはどうなるか。
流石にクレスが潰れるまで寝ているとは思えないが、時間は確実にティトレイの陣営に敗色を与える。
この霧を維持するだけでも人形の力を消費しているし、こちらも傍観=現状維持と言う訳にはいかない。
そして、最も危惧すべきはロイド達だ。ロイドを回収しに来たにしては人数が少ない。
後続が彼らを追っていると考えるべきだ。そしてそれはかなりの確率で首輪に対する対処法を持っているはず。
もしそれらがロイド達に合流すればどうなるか、6対1、ティトレイが起きて加勢したとしても戦力比は6対2。話にならない。
そしてエターナルソードと首輪解除の手札がロイド達の手に渡れば人形<コレット>の利すら覆りかねない。単純に人数的に考えてもそれだけでユグドラシルの不利だ。
以上の要素を含めても、ユグドラシルは早急に手を講じる必要があった。




「途方に暮れた思い、というやつだな。全く」
ユグドラシルは堪えきれずに唇を歪ませる。表面的な戦況は拮抗しており、今尚圧倒的な優位を持っている。
とはいえ、少し手を揺さぶられただけでここまで揺らぐとは、自分の情けなさが厭になる。
「だが、無策だと思われては癪だ。ああ、癪だね」
数時間掛けて此方は陣地を押さえているのだ。
それだけでも利としては最上級だというのに、相手が都合良く動かなかったから手を打てませんでした、なんて無能な発言出来る訳がない。
百万歩譲って自分一人ならばそれも許されるだろうが、ここで退いてももうこれ以上の優位は得られないだろう。姉様を蘇らせる好機は此処より無い。
そして何より、生憎と自分の下には駒が居る。見栄くらいは張らなければ、兵は将に従わない。
考えろ、考えろ。
ティトレイの奇手によって盤面は大きく揺らいだ。奇手の意図などこの際捨て置く。
重要なのはこの局面が確実に僕にとって不利だと言うことだ。
眠ったとはいえ何時起きるか分かったものではないティトレイ、そして生意気この上無くこの僕を意識に納めたカイル。
2つの陣営は共に予備戦力を保持して決戦の火蓋を切った。
常時対応出来る戦力を控えられた状況では鉄火場への奇襲も、暗躍して後続戦力を先に叩くことも難しい。
「アトワイト、意見しろ。理屈に沿うならこの状況で打つべき手は?」
アトワイトは数秒思案した後、言葉を作りながら述べた。
『一番の安全策は撤退ですが、此方の勝利条件を考えるにそれは出来ません。優勝は兎も角、貴方の姉を蘇らせることはほぼ不可能になります』
それは既にユグドラシルも思い至った事ではあるが、彼は何も言わなかった。元々彼女は軍略方面の人間ではない。
アトワイト本人もそれは分かっている。だからこそ今問われているのはそれ以外の、一般的な見地からの意見だとも分かっていた。
故にまずは原点を明らかにすることで、事象を明確にする。
『同様に消極的な現状維持も不可能、霧は保って3時間で枯渇します。出来ることは攻撃の二択、直接叩くかカウンターを取るかです』
これも簡単な理屈だった。まずは直接叩く、つまり全力で攻撃をする。一番分かりやすい。
しかしコレだと今闘っている連中か後衛、どちらを叩くにせよ温存されている戦力が邪魔になる。
ならば、もう一つ。カウンターを仕込む。
此方も戦力を2つに分けて、カイルとティトレイの動きに合わせて臨機応変に対処させる。
成程、コレならば背後を突かれる心配はない。一番安全な作戦だ。
『ですが……』
「分かっている。どちらの手を打ったとしても、消耗は避けられない。向こうの手にまんまと乗ってひょこひょこ飛び出すようなものだからな」
言い淀むアトワイトの言葉をユグドラシルが引き継ぐ。
どちらの手を打つにせよ、ユグドラシル陣営を警戒している真っ最中に攻撃を仕掛けるのだ。
しかも総合的な危険度で計るならどちらの手も大差ない。
後手に回っても対応できるようになるとはいえ、二人しかいない戦力を分散させると言うことは敵に各個撃破の自由をくれてやると言うことだ。
どっかの奴も“戦いは数だよ”と言ったか、とにかく、人数を分けると言うことはそれだけで不利である。
『ええ、こう言うのは情けないと謗られても仕方ないですが、既に此方は戦況の支配権を奪われました。ここは一刻も早く先の先を押さえるより無いかと』
陣地にて守備を固め敵の出方を伺うような戦略は既に使えない。むしろ此方が攻めて、向こうがそれに対応するような構図になった。
正にあべこべである。そう、ティトレイの奇策は、彼我の有利不利を一転させてしまった。
ならば出来ることはこの村に入村する挑戦者として積極的に攻め込むことだけである。せめて、まだ状況が三竦みと呼べる内に。


だが、ユグドラシルの表情は、彼が見つめる先にアトワイトの思う様な戦局を更に越えるモノが存在していることをありありと教えていた。
「ならば簡単じゃないか。支配権を奪われたなら、“奪い返せばいい”」
アトワイトがその言葉の意味を計りかねている間に、ユグドラシルは彼女に問う。
「アトワイト、コレットの状態は?」
『あ…はい。95%は制圧しました。さしたる抵抗も受けませんでしたので。ですが』
直ぐさまに思考を切り替え、自身の状況を走査する。
「残り5%が侵攻出来ない?」
『はい。恐らくは陣地線を下げて自閉に回ったものと思われます。その為、依然として天使術は使用できません』
自分で紡ぐ言葉に、アトワイトは微かな違和感を憶えた。自閉に回った、確かにそうだ。だが5%という中途半端さがどうにも引っかかる。
自分自身ではもうひっくり返せない支配率。それは諦めたということなのだろうか、ならば何故彼女は5%を譲らないのか。
まるで私の状況の様じゃないか。まさか、まだ誰かを待ってるというの? 莫迦な娘……期待は捨てた方が、痛くなくて済むのに。
「ふん……しぶといな。まあいい。見極めの時間はお仕舞い……と言いたいところだが、まだ保険を手放すわけにもいくまい」
ユグドラシルはすくっと立った。コレットの耳元に口を近づけてユグドラシルは囁いた。
「もう一度だけ言おうか。聖女を殺めその手を汚したお前に希望を待つ資格などありはしない。大人しく私に従え。
 そうすればその罪だけは私が、若しくはお前の欲する男かがエターナルソードを以って雪いでくれるさ。せめて運命が都合良く回ることを祈ってろ」
コレットの体が微かに震えた。言葉を聞き入れたというよりは、ただ“欲する男”という言葉に反応しただけのように見える。
『……どういう、意味? ミトス、貴方が魔剣を手にするのじゃ無かったの?』
アトワイトはその言葉がコレットに伝わるかどうかよりも、その一点が気になった。言葉通りなら、ミトスは姉を蘇らせる気が無いということ?
「真逆。姉様は確実に蘇らせる。ただ、少しばかり形勢を崩されたからな。選択肢は多く残しておくに越したことはない」
ユグドラシルが鼻で笑うかのような薄い自嘲を零す。その弱々しい虚勢は、ミトスのそれだったとアトワイトは確信した。
『では?』
「現状コレットを姉様の器に使う予定だが、想定外の事態を考慮してそこの木偶もリザーブする。アトワイト、お前に任務を言い渡す」
戸惑いながらもアトワイトはコレットをその場に立たせた。
「お前は霧を維持したまま出来る限り隠密に西地区に迎え。僕が合図をしたら突撃し、チャンバラごっこに興じている連中に一撃を与えてこい。
 その一撃の成否問わず速やかに撤収。再び此処に籠城しろ。入り口は屋上だけだが、お前の晶術があれば昇るのは苦でもないだろう」
『合図? ミトス、貴方は?』
その言葉に、ユグドラシルは子供が悪戯を思いついたような笑みを浮かべ、言った。
「僕は南西に赴き、鏡を作動させる。この僕より有利を奪い去った罪、その重罪を神の裁きにかけてやろうじゃないか」
剣であるアトワイトも、息を呑んだ。まずその表情に、そしてその言葉の意味に。
『発動、するのね。レイ……いえ、ジャッジメントかしら』
「ああ、今からもう一度戦局を引っ繰り返すならコレより最善の手はない。
 あのサウザンドブレイバーの手法をなぞるのは気に入らないが、先達の遺産は有効に活用して呵るべきだ』
サウザンドブレイバー、ミトスに先んじて聞いていたその単語でアトワイトはその戦略のほぼ全てを了解した。
つまり戦局をもう一度混乱に叩き込んで、不都合な盤の構図をリセットするつもりなのだ。
そしてその混乱に私という要素を投入し、カイルやティトレイを巻き込んでより大きな“ユグドラシルが統制可能な混沌”を再び作り出す心算なのだろう。
2つの陣営は昨夜のカイル達とロイド達、そして私はクレス役、ミトスがデミテルと言ったところか。
見劣りする要素は多々あれどその効果は伝え聞く限りにおいては確かに折り紙付きだ。



『具体的には?』
「僕も此処を離れ、南東に赴く。レイで直ぐに実行したい所だが、霧が在るとはいえ光の球をここで生み出しては鐘楼が僕達の拠点だとバレる恐れもある。
 不利を背負った今そんな不用意な事は犯せない。ここはまだ拠点として用いるのだから。
 少しばかり手間だがここを離れて、ジャッジメントで“出来る限りの鏡を狙い撃つ”」
必要なのは大きな混乱であり、レイではそれを望めない。リスクを積んでも多少分散・減衰しても威力を保てるだろうジャッジメントを用いる……気持ちは分かる、が。
『唯でさえ狙いの付けられない術を目測無しでは、危険じゃ? どれだけ民家の鏡に当たるかも期待できないわよ』
「この地図がある。一応ほとんどの鏡は記してあるから、後は測量勝負だ」
そう言ってユグドラシルは地図の皺を伸ばした。ポツポツと記された黒点は、そこの屋根に仕掛けてあるモノを確かに憶えていた。
後は自らの頭に地図を刻み、誤差を含めた補正をかけて実尺と縮尺を合わせるだけだと笑った。
『となると、半端が無いことになるわね。消費も、手間も、リスクも』
工程は間違いなく大儀式級の長さになる。戦闘術などにはとても用いることの出来ない、延々と文言を紡いで計算と補正と制御を行う大魔術となるだろう。
手持ちにミスティシンボルが在るとはいえ、これは人の手に余る。しかもそれを守る“砦”は無く、在るのはただ霧の薄衣のみ。
『せめて、私を使うべきじゃないの? ソーディアンを使えばテトラスペル級が編めることはもう分かっているのだから』
ユグドラシルがソーディアンを持てばそれほどの技巧を成すことが出来ることは、彼女本人がよく知っていた。
少なからず工程を短縮できることには違いはない。
だがアトワイトは自分が無意識にミトスについて必要以上に過保護な発言をしたことに気付かなかった。
ユグドラシルは鼻で笑って、その後冷徹な仮面を被り直す。
「気遣いか? 魅力的だが却下だ、アトワイト。目的と手段を違えるなよ。これは奴らを混乱させるために打つ手だ。
 その後に間隙入れずお前が斬り込むことによってこそそれは為し得る。ジャッジメントを決めるだけじゃ駄目なんだ」
その脳裏にあるのは、矢張り姉へ至る路のみ。
それでこそだ。そう思い直したアトワイトはネジを入れ直すように意識を切り替えた。残る検討要素は何か。
『彼女はどうするの?』
人形がチラリと、そちらを向いた。その壁には、血と体液で醜くあるべきと定められたかのような化粧を施された、一人の女が居た。
いや、その何も映さず濁った瞳を見れば、此方の方がよっぽど人形か。
「ここに置いておく。木偶は木偶といえ、万が一こいつを使う事態が来るかも分からない。
 ジャッジメントが暴発する可能性を考えれば、ここが保管に最も都合が良いからな」
汚らわしいモノを見るのも耐えないか、それとも彼女を汚した自分が汚らわしく思えてしまうからか、
判別の付かない曖昧な動きで彼はミント=アドネードから視線を外した。
「……とにかく、戻ってきて貰った後はコレの守備を任せることになる。荷物は置いていけ。ここ以外の場所に存在する物体の安全は保障できない。
 何より、幾ら先にジャッジメントが降る事を知っているとはいえ、荷を持ったままの奴に避けられる程、神の光は温くない」
それは確かだった。先読みで完全に避けるとなれば、サックは確実に足枷となる。
ましてやもう一度鐘楼に入るなら、外から屋上に向かう必要があるのだ。
アトワイトはサックを開き、中身を確認する。この身体にはサバイバル用具など無意味に等しいし、元々手持ちの支給品も多くない。
矢張り持って行く必要のあるモノはない、と携行できる苦無とピヨチェック以外のモノを置いた。
その横でごとり、と音が鳴った。ミトスのサックが、地図を捌けた机に置かれる。



『……大丈夫なの?』
その一言は、荷を案じた、というのとは少しニュアンスが違っていた。
荷を置いて大丈夫なのか、ではなく、その荷の中のモノを置いて貴方は平気で居られるのか、というものだった。
そのサックの中には、彼の基点にして終点、マーテル=ユグドラシルの意識と大いなる実りが眠っていた。
「不満が無い訳じゃないが、やむを得ない。ジャッジメントの巻き添えを食らって消失、などと三文芝居などになったら目も当てられない。
 それに……この一手、危険なのはむしろ僕の方だからな」
その皮肉気な笑いに、アトワイトは不思議と納得した。護衛無しで膨大な溜めを要する大工程天使術。
中断が許されるなら問題がないが不意を打って消えてしまう可能性だけなら、むしろミトスの方が高い。
そして、それはこの戦いの基本ルールを鑑みれば、自らの手札を奪われてしまうことに直結する。

ならば、最悪の事態に備えて保険を掛けておくのは決して間違ったことでは――――――――――――――――


『貴方……“何を最悪の事態と”考えてるの……?』
その保険は、大いなる実りとマーテルに掛けられたモノであり、決して彼の保障をしない。
いや、“彼が居なくなった後の保障しかしない”。ミトス、貴方は、其処までを視野に入れてしまうの?
剣を呑んだようなアトワイトにユグドラシルは困ったような顔で、微かに笑った。

「言っただろう? ツキが僕に回っていないのなら、せめて選択肢は多いに越したことはない。
 アトワイト、万が一僕が姉様を蘇らせることが叶わなくなったら、“お前がロイドとミントを使って姉様を蘇らせろ”」



内容は酷薄で、口調は子供のようで、故にその言葉は音だけならば心地よく、情報にすれば実に障りだった。
『了解しかねるわ。どういう意味?』
食い下がるようにしてアトワイトはユグドラシルに向かい合う。
「言葉通りだ。お前がその人形を効果的に使えばコレットのフリをするまでもなくロイドを御すことなど容易い。
 優位を絞れるだけ搾り取ってやれ。そうすれば、少なくとも儀式だけは確実に行える」
アトワイトの中にある感情以外の全てが彼の言葉を無条件で首肯した。
ミントを用いてマーテルを蘇らせることがどういう意味を持つか。
コレットの身体が完全に無用になる。
つまり、心置きなく交渉の材料に使えると言うことだ。
適当に腿か腕か、致命傷を避けていたぶれば簡単にロイドは折れる。
そして、都合の良い逃げ道も用意できる。奴らが算段を整えているのなら、そのまま流れに乗って脱出してしまえばいい。
既にミント=アドネードの過去を知る存在はクレスのみだ。コレットを器に使うよりも反対は少ないだろう。
一大決戦を避けて、なるたけ有利な条件を確保しつつ、降伏する。
これはコレで完璧な必勝形だ。
『莫迦を、言わないで』
誰かが叫んだ声を、アトワイトは聞いた。一体誰だろうと、僅かの間だ本気で考えて、ようやくソレが自分の発した音だと理解した。
『自分が死んでもいいから貴方の姉さんを蘇らせろということ? 冗談にしても笑えないわ。
 今更自己犠牲の精神なんて、貴方には似合わないわよ。貴方はあらゆるものを利用して、搾取して、玩んで、遊ぶようにここまで来た。
 そんな貴方が今更、そんな都合の良いストーリーに逃げ込めるなんて、そんなご都合は無いわ』
おかしい。彼女はそう思った。どうして自分は無駄に声を荒げているのだろうか。
「僕はもう命じた」
『そもそも目的と手段が逆転してる。貴方は“貴方の望みとして”姉を蘇らせたいのでしょう?
 マーテルも取り戻せたとしても、願う貴方が居ないんじゃ意味がない。“手段が偏りすぎて目的が破綻してるわ”』
私は、こんな声を荒げたくなかったからここにいるんじゃなかったのか?
「命令だ。従え」
『私は別に彼女を蘇らせたい訳じゃない。マリアンを助けてくれたその恩義はある。でもそれだけよ。分からない、分からないの?』
分からないのは誰だ。ミトスか、私か。私は、何を彼に期待してしまったのか。
『私は、自分以外の全てを顧みない貴方の在り方にこそ、ひれ伏したのよ?』
いや、まだ私は“期待してしまった”のか。よりにもよって私を壊してしまったミトスに。

「頼むよ、三度も言わせるな」
彼女の願いに応える筈のミトスのその言葉は、どこか、凝りを残すモノだった。



アトワイトが去り、再び鐘楼の中に暗闇と沈黙が淀む。
「耳はまだ聞こえてるんだろ? 聞いての通り、もう少しだけ生かしておいてやる」
ユグドラシルは虚空に投げかけるように、ミントに言った。
「だが、期待はするな? どう転んでもお前の心は絶対に生かしては置かないよ。
 必要なのはその身体だけだ。後は丁寧に壊して遊ぶしか、使い途も無いんだから」
嘲るように呪いを吐き捨てるが、既に痙攣する余力もないのか、ミントには反応はない。
舌打ちをして、ミトスは手ぶらのまま階段に向かう。ミスティシンボルは首に掛け、邪剣ファフニールは腰の後ろに控えさせていた。
「アトワイトに言われるまでもなく、分かってるんだよ。最初から何かが噛み合ってないことくらい。だからこのムカツキは収まらない」
ぼそりと、誰に当てるでもなく、ユグドラシルは唸った。
そして、気分を変えようとしたのか陽気に謡う。

「戻ってきたら今までの三割増しで暇とお前を潰す。骨と肉と粘液以外、欠片も残るとオモウナヨ?」



そうして彼女の世界は再び無音に包まれた。
どうなるのか、自分はあとどれだけ自分を保てるのか。
そんなことを彼女はもう振り返らない。自らを惜しむ真似は、あの時に全てを出し尽くしてしまった。
あの時に、ほんの少しの躊躇で全てを台無しにした時に。
“喋ることの出来ない舌で、無様に叫び尽くしたあの時に”。


―――――――――か。

でも、誰かが伝えてくれた。そういう確信だけはある。
誰かがこの村に入ってしまった。私の想いは“伝わってしまった”のだ。それを後悔する気力は、もう残されてない。

―――――――――誰か。

声が、聞こえる。声にすら成らない、まるで私のような声を知っている。
既に語る言葉を持たない私の為に、謡ってくれているのだろうか。

―――――――――助けて。

私は、この声を知っている。胸に残る、一つの何かがそう確信させる。
遙か彼方まで見通すように透き通った、何処までも暖かい慈愛の音階。


―――――――――彼女を、助けて―――――――――誰か!!


もう声ですらない、音では伝わらない声。
だからこそそれは、きっと女神のような声だった。




【ミトス=ユグドラシル@ユグドラシル 生存確認】
状態:TP90% 恐怖 状況が崩れた事への怒り 微かな不安? ミントの存在による思考のエラー
所持品(サック未所持):ミスティシンボル 邪剣ファフニール ダオスのマント 地図(鏡の位置が記されている)
基本行動方針:マーテルを蘇生させる
第一行動方針:南東地区へ赴き、鏡による拡散ジャッジメントの術式を成功させる
第二行動方針:最高のタイミングで横合いから思い切り殴りつけて魔剣を奪い儀式遂行
第三行動方針:蘇生失敗の時は皆殺しにシフト(ただしミクトランの優勝賞品はあてにしない)
現在位置:C3村・東地区鐘楼台→南東地区

【ミント=アドネード 生存確認】
状態:TP15% 失明 帽子なし 重度衰弱 左手負傷 左人差指に若干火傷 盆の窪にごく浅い刺し傷 「声」が聞こえる
   舌を切除された 絶望と恐怖 歯を数本折られた 右手肘粉砕骨折+裂傷 全身に打撲傷  全て応急処置済み  
所持品:サンダーマント ジェイのメモ 要の紋@マーテル
基本行動方針:なし。絶望感で無気力化
第一行動方針:…どうすれば…
第ニ行動方針:クレスがとても気になる
現在位置:C3村・鐘楼台二階

【アトワイト=エックス@コレット 生存確認】
状態:TP40% コレットの精神への介入 ミトスへの隷属衝動 思考放棄?
所持品(サック未所持):苦無×1 ピヨチェック エクスフィア強化S・A
基本行動方針:積極的にミトスに従う
第一行動方針:ジャッジメントに合わせて戦闘中の参加者に奇襲を仕掛ける
第二行動方針:成否に関わらずその後鐘楼まで撤退、以後ミントと実りの守備
第三行動方針:コレットの魂を消化し、自らの力とする
第四行動方針:ミトスが死亡した場合、命令を遂行する?
現在位置:C3村・東地区鐘楼台→西地区

【コレット=ブルーネル 生存確認?】
状態:魂をアトワイトにほぼ占領されつつある 無機生命体化 外界との拒絶
所持品:アトワイト・エックス@コレット・ブルーネルと同じ
基本行動方針:待つ
現在位置:アトワイト・エックス@コレット・ブルーネルと同じ


【鐘楼台二階内ドロップアイテム:大いなる実り、ホーリィスタッフ、ミトスのサック、コレットのサック】

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