End of the Game -蒼天層・まずは最初の刀鳴らし-
剣は、鋼と火と水によって精錬される。
思えば、僕の人生はずっとその繰り返しだった。
心を鍛え、磨き、さらに身体を鍛え、傷無く磨き、そして技を鍛える。ずっとその繰り返し。
そうやって鍛えられるものだと思っていた。
第四教練を治め、いつかは奥義さえ伝承されるものだと思っていた。いつかは。
今は村外れの森のイノシシにさえ手こずっていても、いつかは楽に倒せるものだろうと思っていた。いつかは。
思えば、僕の人生はずっとその繰り返しだった。
心を鍛え、磨き、さらに身体を鍛え、傷無く磨き、そして技を鍛える。ずっとその繰り返し。
そうやって鍛えられるものだと思っていた。
第四教練を治め、いつかは奥義さえ伝承されるものだと思っていた。いつかは。
今は村外れの森のイノシシにさえ手こずっていても、いつかは楽に倒せるものだろうと思っていた。いつかは。
ユークリッド騎士団の元団長でもあった父ミゲール。
その父の師でもあり、まだ子供であるはずの僕にさえ剣術の髄を教えてくれた師匠トリスタン。
どこまでも慈しみ、愛してくれた母マリア。
村一番の剣術道場の跡取りとして村の人たちは僕に良くしてくれて。
年相応に気兼ねなく語り合える親友がいて。その横には僕に手作りのぬいぐるみをくれる彼の妹がいて。
その父の師でもあり、まだ子供であるはずの僕にさえ剣術の髄を教えてくれた師匠トリスタン。
どこまでも慈しみ、愛してくれた母マリア。
村一番の剣術道場の跡取りとして村の人たちは僕に良くしてくれて。
年相応に気兼ねなく語り合える親友がいて。その横には僕に手作りのぬいぐるみをくれる彼の妹がいて。
何もかもがあった。僕を満たし得る素材が僕の周りにあった。
その中でゆっくりと、しかし真っ直ぐな白刃を鍛えていくのだと思っていた。
僕はそうやって形成されるのだと信じていた。
その中でゆっくりと、しかし真っ直ぐな白刃を鍛えていくのだと思っていた。
僕はそうやって形成されるのだと信じていた。
でも、僕はまだ知らなかった。
この十余年、磨いてきたのは鉄だけだった。“まだ剣ではなかったのだ”。
火を入れ水を与え、鎚で打って鍛冶は成る。何もかもを凌駕するほどの高温と冷たい水だけが、真の剣を鍛える。
この十余年、磨いてきたのは鉄だけだった。“まだ剣ではなかったのだ”。
火を入れ水を与え、鎚で打って鍛冶は成る。何もかもを凌駕するほどの高温と冷たい水だけが、真の剣を鍛える。
アセリア暦4304年、一本の剣を鍛えた。
心に点いた業火と、全てを濡らした凍る驟雨で。
その剣の色を、僕はきっと知っていたのに。
心に点いた業火と、全てを濡らした凍る驟雨で。
その剣の色を、僕はきっと知っていたのに。
闇に包まれた夜の山を、双月の灯りだけが照らしている。
月光を表面の半分で受け止める山岳は雪も無いのに白く輝き、自らが世界の中心であることを誇示しているかのようだった。
月のもつ神秘を一身に受けた無名の山のその姿は霊峰ファロースの如き神性を発揮し、見る者全てを近付き難くする結界を形成している。
荘厳と静寂に形作られたこの領域に入るのは、稚児か余程の不心得者だけだろう。
月光を表面の半分で受け止める山岳は雪も無いのに白く輝き、自らが世界の中心であることを誇示しているかのようだった。
月のもつ神秘を一身に受けた無名の山のその姿は霊峰ファロースの如き神性を発揮し、見る者全てを近付き難くする結界を形成している。
荘厳と静寂に形作られたこの領域に入るのは、稚児か余程の不心得者だけだろう。
そんな場所に、無粋が響く。神域を泥足で踏み荒らすかのような足音と刃鳴りが煩く夜を阻害する。
やれ不埒者よ姿を現せとばかりに月が煌々と辺りを照らすと、不自然な影が草原にあった。
薄汚れた髪に巻かれた不細工な白ハチマキに、追い剥ぎでもしてきたのかと怪しむほどに汚れの無い黄色の外套。不埒者ではなく浮浪者の類であったか。
その者を辛うじて不埒者にとどめていたのは、その背に負った薄汚れた布に包まれた剣であった。
片手に握った剛斧二つも異常ではあったが、鞘にも納めず背中に背負ったそれはあまりに歪だった。
背負われた長身の剣は柄まで全部、血塗れの襤褸切れに包まれている。
鞘が無かったにしても、あのような巻き方では一度破けば二度と使い物になるまいに。
鞘を買う金もないというのか。それとも、一度抜けば納める必要が無いのか。
そのように見当違いに案じているかのような月を、不埒者は横目で見つめていた。
決して届かぬ星を掴むような若々しさなど微塵も無く“ああ、届いたのか”と気付くような無感動さで。
その視線に月光の輝きが僅かに揺らいだような気がした。天より見下ろすはずの月が、地に這う穢れを畏れている。
だが、その穢れに包まれた剣を背負った不埒者は直ぐに視線を山に向けなおし、歩みを進める。
その道程を月は煌々と照らしていた。石コロ1つ余さず示し、どうか蹴躓くことなく、速やかに失せてくれと懇願する。
河の口の奥に不埒者が入り、完全にその気配が消えた時、再び月が爛々と生気に満ちて輝きだす。
生きている喜びを噛みしめるかのような躍動ある月光は感謝の現れだった。
あの眼は、間合いを測る剣士の其れ。“あと一歩踏み込めば、月まで届いた”だろうから。
やれ不埒者よ姿を現せとばかりに月が煌々と辺りを照らすと、不自然な影が草原にあった。
薄汚れた髪に巻かれた不細工な白ハチマキに、追い剥ぎでもしてきたのかと怪しむほどに汚れの無い黄色の外套。不埒者ではなく浮浪者の類であったか。
その者を辛うじて不埒者にとどめていたのは、その背に負った薄汚れた布に包まれた剣であった。
片手に握った剛斧二つも異常ではあったが、鞘にも納めず背中に背負ったそれはあまりに歪だった。
背負われた長身の剣は柄まで全部、血塗れの襤褸切れに包まれている。
鞘が無かったにしても、あのような巻き方では一度破けば二度と使い物になるまいに。
鞘を買う金もないというのか。それとも、一度抜けば納める必要が無いのか。
そのように見当違いに案じているかのような月を、不埒者は横目で見つめていた。
決して届かぬ星を掴むような若々しさなど微塵も無く“ああ、届いたのか”と気付くような無感動さで。
その視線に月光の輝きが僅かに揺らいだような気がした。天より見下ろすはずの月が、地に這う穢れを畏れている。
だが、その穢れに包まれた剣を背負った不埒者は直ぐに視線を山に向けなおし、歩みを進める。
その道程を月は煌々と照らしていた。石コロ1つ余さず示し、どうか蹴躓くことなく、速やかに失せてくれと懇願する。
河の口の奥に不埒者が入り、完全にその気配が消えた時、再び月が爛々と生気に満ちて輝きだす。
生きている喜びを噛みしめるかのような躍動ある月光は感謝の現れだった。
あの眼は、間合いを測る剣士の其れ。“あと一歩踏み込めば、月まで届いた”だろうから。
そんな月の怯えなど知る由もなく、剣士は消えて失せた。もう月灯りが生きた人間を照らすことは二度と無い。
ぴちゃぴちゃと垂れる雫でさえ姦しい。そう思いたくなるほど、この石室の暗闇は静寂に過ぎた。
クレスはジリジリと仄かに燃えるランタンを掲げながら、その静寂の中で立ち止まる。
D4から東に走り、突き当たった川から沿って山を目指し、源泉を目指した道程、その終着点だった。
進むにつれてどんどんと狭く細くなっていく道を突き進んできたが、クレスの体躯で入れるのはここまでだ。
クレスは暫く川に埋まっていく道を見ながらしばし考え、溜息をつく。
これ以上先となると、泳ぎに達者な小さな女の子かいっそ人魚でもなければ進めないだろう。
仮にそんな稀有な人物がいたとしても、進める距離が僅かに伸びるだけだ。
潜った先に新たな道が無いとも限らないが、源流だけあって流れが激しい。水の中で武器を流してしまえば間抜け以外の何ものでもない。
クレスはジリジリと仄かに燃えるランタンを掲げながら、その静寂の中で立ち止まる。
D4から東に走り、突き当たった川から沿って山を目指し、源泉を目指した道程、その終着点だった。
進むにつれてどんどんと狭く細くなっていく道を突き進んできたが、クレスの体躯で入れるのはここまでだ。
クレスは暫く川に埋まっていく道を見ながらしばし考え、溜息をつく。
これ以上先となると、泳ぎに達者な小さな女の子かいっそ人魚でもなければ進めないだろう。
仮にそんな稀有な人物がいたとしても、進める距離が僅かに伸びるだけだ。
潜った先に新たな道が無いとも限らないが、源流だけあって流れが激しい。水の中で武器を流してしまえば間抜け以外の何ものでもない。
ランタンがじりじりと岩室を炙る中、クレスは鼻をひくつかせた。
誰かが、ここにいたのだろう。流水によって完全に冷え切ったクレスが眼を細めて確信する。
この薄明かりの中でも見つかる痕跡がある訳ではない。強いて言うならば“匂い”。
人体を破壊することへの快楽と、未来での殺戮を夢見て眠るような“陽気”が源泉の口にこびりついている。
クレスは鼻を覆い、頬を不快と僅かに歪める。その匂いにではない。そんな僅かな匂いさえ理解できてしまった自分への不快だった。
不快に耐えかねたように、クレスのランタンを置いて空いた手が魔剣へと伸びる。
ここが終点とは思えないが、これ以上先に進めないのも事実。されども道があるとも思えず。ならばいっそ山ごと――――
誰かが、ここにいたのだろう。流水によって完全に冷え切ったクレスが眼を細めて確信する。
この薄明かりの中でも見つかる痕跡がある訳ではない。強いて言うならば“匂い”。
人体を破壊することへの快楽と、未来での殺戮を夢見て眠るような“陽気”が源泉の口にこびりついている。
クレスは鼻を覆い、頬を不快と僅かに歪める。その匂いにではない。そんな僅かな匂いさえ理解できてしまった自分への不快だった。
不快に耐えかねたように、クレスのランタンを置いて空いた手が魔剣へと伸びる。
ここが終点とは思えないが、これ以上先に進めないのも事実。されども道があるとも思えず。ならばいっそ山ごと――――
そうクレスが決“断”しようとしたとき、山が鳴り響いた。
命惜しさに我が子を供物を差し出す様に、クレスの正面、源泉の隣の岩壁がゆっくりと開いていく。
あまりに紋切り型の隠し扉を前に、クレスは僅かに鼻を鳴らした。どうやら間違いなくここは敵の腹の中らしい。
手近な小石を拾い、扉の向こうの闇へ投げてみれば残響音は遥か奥へと抜けていく。
まだまだ先は長く、察するに地下へと進む道か。ならばこれから入るのは地獄か、虎口か、はたまた墓場か。
命惜しさに我が子を供物を差し出す様に、クレスの正面、源泉の隣の岩壁がゆっくりと開いていく。
あまりに紋切り型の隠し扉を前に、クレスは僅かに鼻を鳴らした。どうやら間違いなくここは敵の腹の中らしい。
手近な小石を拾い、扉の向こうの闇へ投げてみれば残響音は遥か奥へと抜けていく。
まだまだ先は長く、察するに地下へと進む道か。ならばこれから入るのは地獄か、虎口か、はたまた墓場か。
<アセリア暦4304年。地下の墓地に棺あり。
黒き禍の騎士、この封を解きて魔王が蘇るだろう。若き騎士は己が無力の果てに、莫逆の友を失うだろう>
黒き禍の騎士、この封を解きて魔王が蘇るだろう。若き騎士は己が無力の果てに、莫逆の友を失うだろう>
クレスは自分の喉元、その奥が冷え切ったように乾いたのを感じた。
嚥下する唾が粘膜に吸い込まれ、脳よりももっと身近な場所で古傷が呻く。
だが、その疼きを2回の呼吸で治めたクレスは、二本の斧をとランタンを掴み直しその扉へと歩を進める。
虎の顎であろうが、悪鬼の胃の中であろうが、クレス=アルベインにとっては問題ではなかった。
此の扉をくぐった先、何であろうと、何があろうと。
嚥下する唾が粘膜に吸い込まれ、脳よりももっと身近な場所で古傷が呻く。
だが、その疼きを2回の呼吸で治めたクレスは、二本の斧をとランタンを掴み直しその扉へと歩を進める。
虎の顎であろうが、悪鬼の胃の中であろうが、クレス=アルベインにとっては問題ではなかった。
此の扉をくぐった先、何であろうと、何があろうと。
――――――――――――――――――――――Encount!!
瞬間、クレスの眼前に大太刀が出現する。既に十分な加速を得たその刃は、触れれば骨はともかく肉ならば確実に切断するだろう。
だがクレスは鍛錬を積んできた者特有の反射神経故か、間一髪で飛び退いてその殺傷範囲から逃れる。
左のランタンは邪魔と即座に地面に落とし、2本の斧を左右に振り分けて下がり、突如現れた敵を見やる。
上半身だけの体躯、無機的な鋼の肌、厳つい程に先鋭化した肩鎧―――――――虹色の輝槍。
だがクレスは鍛錬を積んできた者特有の反射神経故か、間一髪で飛び退いてその殺傷範囲から逃れる。
左のランタンは邪魔と即座に地面に落とし、2本の斧を左右に振り分けて下がり、突如現れた敵を見やる。
上半身だけの体躯、無機的な鋼の肌、厳つい程に先鋭化した肩鎧―――――――虹色の輝槍。
敵の全体を見ようとしたところに、クレスの視界が輝く光で埋めつくされる。
上空より降り注ぐ光、その光源を確かめようとクレスが見上げると、虹色の美しい刃が5本も落下していた。
クレスは驚愕する暇さえ無いとばかりに左で防ごうとオーガアクスに力を込めるが、思考がその行動に急ブレーキをかける。
あれは唯の武具にあらず、魔力によって形作られたもの。恐らく物理的な防御では不足する。
そう判断したクレスはすぐさまオーガアクスを手放し、更に身を軽くして術の着弾点より退避する。
身代わりとばかりに残されたオーガアクスに虹槍が降り注ぎ、その眩むほどの光が空洞を満たしてクレスの眼前に広がる者たちの輪郭を明らかにした。
上空より降り注ぐ光、その光源を確かめようとクレスが見上げると、虹色の美しい刃が5本も落下していた。
クレスは驚愕する暇さえ無いとばかりに左で防ごうとオーガアクスに力を込めるが、思考がその行動に急ブレーキをかける。
あれは唯の武具にあらず、魔力によって形作られたもの。恐らく物理的な防御では不足する。
そう判断したクレスはすぐさまオーガアクスを手放し、更に身を軽くして術の着弾点より退避する。
身代わりとばかりに残されたオーガアクスに虹槍が降り注ぎ、その眩むほどの光が空洞を満たしてクレスの眼前に広がる者たちの輪郭を明らかにした。
それは機械なのだろうか。それとも生命なのだろうか。それさえ断じられぬ程、彼らは曖昧だった。
上半身だけの鎧が浮遊している。一番素直な形容をするならばそれが最適だろう。
1つの鎧は武者のように尖り、その骨だけの様な腕に大きな剣を握っている。恐らくは前衛型か。
1つの鎧は魔術師のローブのように丸みを帯びており、腕をその中に隠している。先の術はこいつらのものか。
いずれも、どう見積もっても人間とは思えない異形。だが、機械というには余りに骨や生命を連想させる。
クレスが戸惑うのも無理からぬ話だった。
生命と機械が明確に区別されたアセリアには存在せぬ、機械工学と生体工学のハイブリッド。
神の眼の持つ膨大なエネルギーと天上の科学力の結晶たるダイクロフトのモンスター。
近接前衛型モンスター――――ヘルマスター。
術撃後衛型モンスター――――ウィザード。
いずれも精霊とヒトが交わりしアセリアとは根本から文化や思想が異なる、紛れ無き科学的異世界の魔物だ。
他にもナイチンゲールや、唯一クレスの記憶とフィットするバジリスクキング等がその奥に身を潜めている。
上半身だけの鎧が浮遊している。一番素直な形容をするならばそれが最適だろう。
1つの鎧は武者のように尖り、その骨だけの様な腕に大きな剣を握っている。恐らくは前衛型か。
1つの鎧は魔術師のローブのように丸みを帯びており、腕をその中に隠している。先の術はこいつらのものか。
いずれも、どう見積もっても人間とは思えない異形。だが、機械というには余りに骨や生命を連想させる。
クレスが戸惑うのも無理からぬ話だった。
生命と機械が明確に区別されたアセリアには存在せぬ、機械工学と生体工学のハイブリッド。
神の眼の持つ膨大なエネルギーと天上の科学力の結晶たるダイクロフトのモンスター。
近接前衛型モンスター――――ヘルマスター。
術撃後衛型モンスター――――ウィザード。
いずれも精霊とヒトが交わりしアセリアとは根本から文化や思想が異なる、紛れ無き科学的異世界の魔物だ。
他にもナイチンゲールや、唯一クレスの記憶とフィットするバジリスクキング等がその奥に身を潜めている。
プリズムフラッシャの虹光が消え、岩室に暗闇がリロードされる。
唯一の光源であるランタンが地面で赤々と前衛のモンスターの表面だけを僅かに照らしている。
クレスが悪過ぎる視界状況の中で闇のその先を見据えると、冥府より逆流するかのような敵意が迸っている。
目視で確認した以外にも、まだまだ奥に何かが存在することは疑いようも無かった。
は、とクレスは背後から微かに聞こえた擦過音に気付き、半身になって背後を確認する。
しかし時は既に遅く、そこにあったのは無骨に紅く照らされた巨岩の壁が完全に通路を密閉する瞬間だった。
唯一の光源であるランタンが地面で赤々と前衛のモンスターの表面だけを僅かに照らしている。
クレスが悪過ぎる視界状況の中で闇のその先を見据えると、冥府より逆流するかのような敵意が迸っている。
目視で確認した以外にも、まだまだ奥に何かが存在することは疑いようも無かった。
は、とクレスは背後から微かに聞こえた擦過音に気付き、半身になって背後を確認する。
しかし時は既に遅く、そこにあったのは無骨に紅く照らされた巨岩の壁が完全に通路を密閉する瞬間だった。
キィン、と耳障りな電子音が一斉に響く。そして前方の機械は剣を鳴らし、後方の機械は詠唱の光を放ち始める。
置かれた状況が理解できたのならば、早々に死ねと言わんばかりの攻撃開始の合図だった。
眼の前の、そして更に奥の敵意。それらを前に、クレスは戦闘へと意識を向けて背後に手を回す。
だが、その手は途中で止まり、僅かに逡巡したあとにガイアグリーヴァを構え直した。
状況は理解している。退路は断たれた。残されたのは星麗しき蒼空へ通ずる天道ではなく、冥底へと通ずる四万由旬の獄道のみ。
わざわざ“蓋を斬る”つもりもない。逃げる気など毛頭なし。もとより、この心に帰路など無いのだから。
置かれた状況が理解できたのならば、早々に死ねと言わんばかりの攻撃開始の合図だった。
眼の前の、そして更に奥の敵意。それらを前に、クレスは戦闘へと意識を向けて背後に手を回す。
だが、その手は途中で止まり、僅かに逡巡したあとにガイアグリーヴァを構え直した。
状況は理解している。退路は断たれた。残されたのは星麗しき蒼空へ通ずる天道ではなく、冥底へと通ずる四万由旬の獄道のみ。
わざわざ“蓋を斬る”つもりもない。逃げる気など毛頭なし。もとより、この心に帰路など無いのだから。
詠唱が光り輝く、剣が近付く、石化攻撃が待ち構える。
クレスはオーガアクスの位置と状態を確認し、まだ使用可能であることを確認しながら意識を敵へと向ける。
深呼吸一回。それで全ての回路を戦闘用に切り替える。
クレスはオーガアクスの位置と状態を確認し、まだ使用可能であることを確認しながら意識を敵へと向ける。
深呼吸一回。それで全ての回路を戦闘用に切り替える。
「行くぞ!!」
前衛突撃、後衛晶術発射、そして剣士は剛斧を握り敵前衛へと走り抜ける。
盤上で行われる最後の戦い。その始まりは、あまりにオーソドックスな通常戦闘だった。
盤上で行われる最後の戦い。その始まりは、あまりにオーソドックスな通常戦闘だった。
【クレス=アルベイン 生存確認】
状態:HP10% TP25% 第四放送を聞いていない 疲労
善意及び判断能力の喪失 薬物中毒 戦闘狂 殺人狂
(※上記4つは現在ミントの法術により一時的に沈静化。どの状態も客観的な自覚あり。時間経過によって再発する可能性があります)
背部大裂傷+ 全身装甲無し 全身に裂傷 背中に複数穴
所持品:???@ダオスのマントで覆われた魔剣 ガイアグリーヴァ メンタルバンクル
ホーリィスタッフ サンダーマント 大いなる実り 漆黒の翼バッジ×2 コレットのバンダナ装備@若干血に汚れている
基本行動方針:「クレス」として剣を振るい、全部を終わらせる
第一行動方針:眼前の敵を排除
第二行動方針:奥底へ進もう……
第三行動方針:ミクトランを斬る。敵がいれば斬って、少しでもコレット達の敵を減らす。
現在位置:中央山岳地帯・開かれた石室の向こう
状態:HP10% TP25% 第四放送を聞いていない 疲労
善意及び判断能力の喪失 薬物中毒 戦闘狂 殺人狂
(※上記4つは現在ミントの法術により一時的に沈静化。どの状態も客観的な自覚あり。時間経過によって再発する可能性があります)
背部大裂傷+ 全身装甲無し 全身に裂傷 背中に複数穴
所持品:???@ダオスのマントで覆われた魔剣 ガイアグリーヴァ メンタルバンクル
ホーリィスタッフ サンダーマント 大いなる実り 漆黒の翼バッジ×2 コレットのバンダナ装備@若干血に汚れている
基本行動方針:「クレス」として剣を振るい、全部を終わらせる
第一行動方針:眼前の敵を排除
第二行動方針:奥底へ進もう……
第三行動方針:ミクトランを斬る。敵がいれば斬って、少しでもコレット達の敵を減らす。
現在位置:中央山岳地帯・開かれた石室の向こう
※石室へ戻る道は閉ざされました
※オーガアクスはクレスの近くに落ちています
※オーガアクスはクレスの近くに落ちています
【エンカウント(敵に近い←1・2・3・4・5→敵に遠い)】
- ナイチンゲール×2【待機位置4、AI設定:術(プリズムフラッシャ)を優先して使え】
- ウィザード×3【待機位置5、AI設定:術(バーンストライク・スプラッシュ・エンシェントノヴァ・インブレイスエンド)のみ使え】
- ヘルマスター×3【待機位置1、AI設定:近くの敵を狙え】
- バジリスクキング×2【待機位置1、AI設定:近くの敵を狙え(通常攻撃時確率で石化異常)】