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  • END of the Game ー爪弾きミニゲームー

テイルズオブバトルロワイアル@wiki

END of the Game ー爪弾きミニゲームー

最終更新:2019年10月13日 23:04

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END of the Game ー爪弾きミニゲームー

O.参加者を配置する8×8の盤を「会場」、王を配置する1×1の盤を「本拠地(真)」と以後便宜的に定義する。

第六戦noticeより
1.「会場」と「本拠地」の二つの盤は連続的に隣接していない。

(1)式より
2.特殊移動を除き、駒を「本拠地」に移動させることはできない。

(2)式より
3.この特殊移動を「転移」と定義する。

第六戦noticeより
4.駒を盤の外側へ移動させる場合は“絶対に”「本拠地(真)」を通らなければならない。


(3)(4)式より
5.駒を「会場」の外へ移動させる場合は「会場」より「転移」を行い「本拠地(真)」へ移動しなければならない。




第一戦及び第六戦noticeより
6.王を除く全ての駒の初期配置は「会場」のCD45の2×2マスである。

第一戦及び第六戦noticeより
7.この4マスはその構成が「本拠地(真)」と相似している。

(7)式より
8.この4マスを「本拠地(偽)」と定義する。

(6)(8)式より
9.王を除く全ての駒の初期配置は「本拠地(偽)」である。

主催情報より
10.王を除く全ての駒は初期配置以前に「本拠地(真)」を見たことは無い。

ここで第六戦noticeより
11.「転移」による移動を行う場合「現在位置」と「転移先位置」の2マスを確定させなければならない。

よって(9)(10)(11)式より
12.王を除く全ての駒が「現在位置:会場」より「転移先位置:本拠地」へ「転移」しようとした場合
   「本拠地(真)」の位置を知らない駒の「転移先位置」は自動的に「本拠地(偽)」になる。

(12)式より
13.「本拠地(真)」に一度でも配置されていない駒は「本拠地(真)」に「転移」できない。

(5)(13)式より
14.「本拠地(真)」に一度でも配置されていない駒は「会場」の外へ移動できない。


故に
15.【「本拠地(真)」に一度でも配置されていない王を除く全ての駒は「脱出」出来ない。】/ QED



「つまり――――――――――どういうことなんでしょうか……」

サイグローグはそういって、白煙と共に暗い天井へとぼそり呟いた。



「とまあ、そんなことも最初は思いましたがね……この紋章を頂いた時は……
 ……盤上の駒は、誰一人として脱出不可能……まあ、こんな面倒な手順を踏まずとも……平たく言ってしまえば、
 【本拠地を通らなければ脱出できない】【本拠地に入ったことの無い駒は本拠地を知らない】【本拠地を知らなければ会場から本拠地には入れない】
 この3つの組み合わせというだけなのですがね…………」

そう呟くサイグローグは煙管を左手で弄び、薄暗い部屋の中に紫煙をくゆらせている。
本来の絶望側プレイヤーであるベルセリオスが構築した55の駒を閉じ込める鉄檻を眺めながら、道化は溜息をついた。
1つ1つは簡単に抜けることができるのに、3つ同時には絶対に抜けられない悪魔の監獄。
超技術フィールドでも膨大な監視でもない、たった3つの公式の組み合わせによって構成された王を守る論理の城塞。
エンブレムを手にし主催側の情報を知った今だからこそ、ジャッジでもあるサイグローグはその檻の強固さを実感する。
ベルセリオスは本気で駒を閉じ込めるつもりだったのだ。王に反抗はおろか、あの盤上から出してやる気さえない。
執念さえ感じるほどの完璧主義には、サイグローグでさえ『何もそこまでしなくてもいいのに』という想いを禁じえない。
水の一滴さえ漏らさないこの城壁は、一体王を何から守る為のものなのか。一体何を逃がさないようにするためのものなのか。
道化すらそう疑問を抱きたくなるほど、このシンプルな迷宮は完璧だった。

「私が見る限りでも、抜け穴のない……さながら出口無きラビリンス―――――――――――――――だったはずなのですが」

そう。完璧“だった”。つい先ほどまで―――“更なる迷宮が現れるまでは”。
サイグローグが視線を下げると、紫煙の向こうに見慣れた盤があった。
8×8の、何度見たかもわからない世界、唯一今までと違うのは“そこに駒が一つしか残っていない”ということだけ。
「少しはしゃぎ過ぎてしまいましたか……完全に虚を突かれてしまいました……いやはや、喰えないカミサマです……」
サイグローグが王を動かして放送の一手を行っている間に、全てが変わり、そして終わってしまった。
一体何が起こったのか、何故こうなったのか、こんなの有り得るのか。
様々な“謎”が盤上を蠢き、王と法を司るサイグローグでさえその全容を見渡すことができなくなっている。
「真逆、放送に被せてくるとは思いもしませんでした……
 例えるならば私がツモ山からじゃんぱいを掴んで捨て牌を切るまでに7枚全部をすり替えられたようなもの……
 いやはや、とんだギャンブラーがいたものです……」
迷宮封印<パズルブース>。それが人間の作り上げた絶対の檻に対する、女神の答えだった。
いや、これは最早答えとは呼べないだろう。むしろその真逆……“謎”の極致だ。
『この密室からは絶対に脱出できません。どうやれば脱出できるでしょう?』という問いに対し
『私は脱出しました。さて、どうやって脱出したでしょう?』と応じたのだから。
「場所が場所ならば『質問を質問で返すなあーっ!!』と怒っても良いのでしょうが……神様は学校を出ていないでしょうしねえ……」
サイグローグは煙を目いっぱいに吸い込んで、三度大きな溜息と共に白煙を吐く。
これではまるでトンチだ。屏風の中の虎を捕まえさせるはずが、逆に屏風に消えた虎を探す羽目になっている。
絶望側が用意した謎を更に大きな謎で覆い隠すとは。放送という絶望手によって隠された神の一手―――――それは正しく“神隠し”だった。

「という訳でグリューネ様……私、とんと分かりませぬ……そろそろ、答えを教えて頂けませんでしょうか……?」


そう言ってサイグローグが顔を上げ、盤面から視線を対面へと移す。
そこには、女神はいなかった。代わりに存在感を発揮しているのは、女神が要るべき場所に屹立する一体の像だった。
木目と金属の意匠によって組み上げられた、両腕で自らの胸を抱きしめる聖母マリアの彫像。
聖母が抱擁せしは、咎を持った罪人。その茨の腕に抱かれた罪人は感激のあまり絶叫と自ら血液と共に罪を洗い流す。
故に人はそれをこう呼ぶ。アイゼルネ・ユングフラウ――――――鉄の処女<アイアンメイデン>と。
「鉄の処女といっても、実際は木で出来ているモノが殆どなんですが……その中でも随分と出来の良い品です……通販で買った甲斐がありました……」
何処から持ちだしたのか、何時の間に運び込んだのか。そんなことさえも馬鹿らしくなるほど中世の拷問具はその存在を誇示していた。
通販での謳い文句は縁結び・恋愛運上昇の御守りだといったか。だが、そんな華やいだ効能など消し飛んでしまうほど、その像は赤く染まっていた。
サイグローグが指を弾くと、ガシンと処女が震え、聖母の瞳や扉の隙間からじわりと紅い汁が血涙の如く漏れ出す。
像の股下を大きく濡らす血の池は、とてもではないが1回や2回で出来るものではない。既に処女は10回以上涙を流している。
例え処女の中が二重扉になっていようが、そもそも棘が付いていなかろうが道化にとっては関係無かった。
閉ざされている限り、アイアンメイデンの中がどうなっているかなど誰にも分からない。ならばそこから血が出ようが何が出ようが矛盾など存在しない。
2つの力を備え、天に最も近い場所に座すサイグローグにとって、閉ざされた鉄の処女の内側を弄ぶことなど造作もないのだから。

だが、サイグローグが相対する存在もまた天に座す女神だ。
鉄の処女が恥じらう様にゆっくりと開かれると、そこからグリューネが現れる。
拷問具から出てきたにも関わらずその立ち居振る舞いは一流のモデルの如く優雅で、
先ほどまでメイデンから噴出していた血は一体何だったのかという疑問さえ蕩けてしまう。
「何度問われようとも同じです。私が示したモノが全て。それ以上を答える義務はありません」
そう言ってグリューネは拷問具の中で少しだけ乱れた銀の髪をその手で中空に梳き、どさりと椅子に座る。
普通ならば不調法であるはずの仕草さえ華美に映るその美しさに誰もが思うだろう。
たかが鉄の処女ごときに、この神なる美貌を傷付けることが出来るはずがないと。
サイグローグは知ってか知らずか、女神の美しさから視界を掌で覆うようにして仮面を擦る。
女神に言われずとも、道化にもそれが無駄な問いであることは重々承知していた。
アイアンメイデンに閉じ込める前にも、サイグローグは既にこれと同等な“質問”を女神に繰り返していたのだ。
額のティアラに電気を流した。深い井戸に落とし水を流したetcetc。
およそ考え付く痛みを伴う心無い拷問を幾千幾万と、休む間もなく与え続けたのだ。
その中には当然“女”神にしか通用しないモノや、一目見ればお肉を暫く食べられなくなるモノもあったが、
その全てを克明に記すことさえも憚られる程、その毒に塗れた拷問は悲惨に過ぎた。
「……CERO:Z解放をご購入頂ければ全て公開したのですが……ええ……ま・こ・と……残念無念です……」
煙管を回しながらサイグローグは冗談めかすが、道化にとってこの状況は冗談ほどには笑えるものではない。
普通のプレイヤーならばそれだけで泣き叫びながら、どうか止めてくれと答えを吐露しただろう。
だが女神は決して折れなかった。決して口を開くこと無く、その全てをそよ風の如く流しきったのだ。
アイアンメイデンの前には、拷問のプロを呼んでまで女神の口を割らせようとさえしていたが、それさえも効果が無かった。
ちなみにそのプロがどうなったかと言えば、自慢のドリルで女神を喘がせるよりも前に、
女神の器の大きさに自信を喪失して白化してしまったのでサイグローグが速やかに片付けてしまった。
中年が石コロ遊びに興ずる彫像など、何処に置こうが部屋の景観を損なってしまうのだから。

「まあ、別の意味で十二分に愉しませていただきましたから良しと致しましょう……
 しかし、本当に教えて頂けませんでしょうか……? 一体この一手、如何なる思惑で打たれたのですか……?」
「どうしました、道化。貴方らしくない愚かな問いです……それこそ、答えるとでも?」



道化のくたびれた様な問いかけに、女神は口元を手の甲で押さえ苦笑する。サイグローグもまた、煙管を噛みながら苦虫を潰す様にして笑んだ。
自分の打った一手について「こう打てば貴方はこう打つので、後何手でチェックメイトにできます」などと喋るプレイヤーがいるだろうか。当然反語だ。
その思惑を推測し、自分の戦略の中で愉しむこと。それもまたこの戦いの愉悦の一つなのだから。
もっとも、神の放ったこの一手は推測するどころの話で無かったのも事実ではある。
「何を悩むことがありますか? 私の一手が不服であれば、強制破棄で砕いてしまえばいいでしょう?」
「……クククク、グリューネ様も存外陰湿でいらっしゃる……それが出来れば労苦はありません……」
女神の挑発にサイグローグは自分の額を小突きながら項垂れた。
矛盾を見つけ出してこの一手を破壊してしまう――――確かにそれは最も確実な対応法なのだ。
サイグローグの力ならば僅かな矛盾の一つでもあれば、そこから鎖を撃ち込み粉々のバラバラに砕いてしまえるだろう。
“だが、矛盾があるかどうかも分からないモノ”を一体どうやって砕けというのか。
糠に釘、水に刀、暖簾に腕押し、カニに武器。最後の一つは若干意味合いが異なるが、つまりはそういうことだ。
(得られた駒の情報は飛び飛びの音声だけ……これだけではどうとでも解釈できてしまう……)
これだけの大掛かりな駒の消失、探せば矛盾はあるかもしれない。だが、それを立証することがあまりに困難なのだ。
曖昧過ぎて逆に矛盾を見いだせない。それを見つけ出せなければ、崩しようがない。
ベルセリオスの論理の檻を剛の極みとするならば、グリューネのそれは柔の極み。
人間は神を檻に閉じ込めたが、神は煙か光となってひゅるりと網目から逃げおおせたのだ。
(さらに押し込んで問い詰めても良いのですが…………これ以上は墓穴ですね……)
ならば、この謎の正当性を問い詰めるという手もある。『これでは私が手を進められない。この謎は本当に解けるのですか? 解けなければ矛盾です』と。
だが、サイグローグはそうしなかった。プレイヤーとしての経験は浅くとも、ここまでの戦いを見続けてきた経験がその一手に死の匂いを嗅ぎ取っている。
恐らく、否、間違い無く“グリューネはそれをこそ待っている”。
もしサイグローグがうっかりそれを問うたならば、女神は満面の笑みでこう答えるだろう。

『解けます。では、解けぬ貴方の代わりに今から答えを見せましょう』と。

そうして、悠々と種明かしと共に駒を更に進めるのだ――――――恐らく、チェックメイトまで一気に。
つまりは事実上の絶望側のパスだ。答えを持つグリューネだけが延々と手を進め、その答えを盤上にて示すだろう。
それが矛盾あるものであったならばまだ救いがあるが、もし矛盾が無かったら……恐らく、その時にはサイグローグの逃げ場は無くなっている。
(グリューネ様のあの自信……一か八か、運否天賦に賭けるには少々分が悪いですか……)
人間を観察することを趣味とするサイグローグは、神とは言えどグリューネというプレイヤーをある程度見極めていた。

グリューネというプレイヤーを一言で表すならば『絆が伝説を紡ぎだすバトルロワイアル』だ。

意味や想いなど、一つ一つは弱くか細い糸を紡いで強大な縁とし、圧倒的な火力で攻守ともに圧倒するスタイルを得意とする。
一度陣形が完成すればそれは七色の伝説となる。そうなってしまえば、彼女の奇跡の前に防御も攻撃も全く無意味だ。
ベルセリオスとの戦いからみても、女神が全力で放つ奇跡は多少の矛盾ではビクともしないだろう。
謎が解けずにパスを続けるということは、彼女が奇跡を構築するのを指を食わえて見逃し続けるということだ。
逃げ場無しの状況であのタイムストップ級のクライマックスコンボを食らったならば、サイグローグとて肉片が残るかどうか。

「……おや……もしかして私……かなり窮地ですか……?」


さも今気付いたかのように白々しく、サイグローグは煙管の灰を落とした。
つまり、サイグローグはこの神の一手を壊すことは出来ないし、かといって解けないからと見逃すことも出来ない。
こうして思考するだけでも、彼女に奇跡を生み出す時間を与えてしまっている。
向かい合わざるを得ないのだ、この神が構築した迷宮の謎へと。

「全く……絶望…………王を操る側が『こうさつ』に挑む羽目に陥るとは…………では、参りますよ……」

サイグローグが煙管を虚空に片付けて盤をコツンと指で叩くと、一枚の羊皮紙が現出した。
道化はそこに、何処からか出した羽ペンに黒インクを吸わせ、洒脱な文体で自分の名前を書き記した。
「代行者サイグローグの名に於いて……オーダー発令…………“全軍集結しなさい”……」
その時だ、何処からともなく金属音が鳴り響いたのは。
重厚な白銀の鎧兜と腰に佩いた剣の擦れる音。無数の蹄鉄が地面を撃ち鳴らす音。
それは即ち、戦争音楽。戦士達がその命の価値を今一度問い質す直前の、開戦前のプレリュード。
序章が鳴りやむと、そこには錚々たる演奏者達がいた。彼らは己の楽団の御旗を立ててその出自を隠すことはしない。
魔科学を追及せし北部軍事王国軍――――――――――――――魔導砲2門以下、参軍。
神の眼を封印せし神殿を擁する世界最強の王国軍―――――――――――――七将軍旗下、参陣。
鏡面世界唯一の王国軍、賢王に統治された雪下の王国軍、繁栄世界教会騎士団、推参。
獣王に統治されし王国正規軍、七聖連合宗主国近衛軍、参戦。
ヘイズル神聖王国軍、フレスヴェルグ国家騎士団、ニーズホッグ新帝国軍、直参。
これだけでも半分も数え切れぬほどの軍団“群”が、サイグローグの背後に荒海の如く波打つ。
法を――――そして王を守る秩序の力が、部屋の間取りなど吹き飛ばしてしまうほどに集結していた。

その中から、白馬に乗った一人の騎士が躍り出る。真白き正義の甲冑を輝かせた、あの法の守護騎士だ。
「王の代行として……貴方にこの“群団”の全権を委任します……法の守り手としての務めを果たしなさい……」
横に並んだ騎士――――新任騎士団長にサイグローグは視線を合わせること無く機械的な命令を発する。
目で伝える必要などない。そこに騎士団がいて、そこに王を脅かす反逆者が隠れている。ならば果たすべき任務はたった1ツ。
「Order is only one……“生死不問<デッドオアアライブ>”……謎のヴェールに隠れた卑しき犯罪者7名を――――」
評議会の命令に呼応するように、騎士団長が剣を天に掲げる。それに従う様に、無数の兵士達が槍と剣を力強く構える。
兎にも角にも、消えてしまった7つの駒の存在を再び盤上に確定させなければ話にならない。
存在を確定させてしまえば、どのようにでも対処できる。
隠れているならば、見つけ出すまで。隠れることができる場所を、創りだすまで。彼らが隠れた場所を、棺桶とするまで。

迷宮ごと、焼き払ってしまえ。
「―――――見つけだして処刑せよ……!」



世界が、ひねくれ切ったアルカナルインが爆発した。
そう思えるほどの怒号と無数の足音が織り混ざった地鳴りが、一直線に迸る。
目指すは女神、そしてその奥に隠れた身元不明の7人の容疑者へと。

「考察提示……7つの駒はやはり直接盤の外側へ抜けだした可能性があります」
「反論します。絶望側代行に、ベルセリオスの組み上げた檻の絶対性を確認。“会場の駒は盤外に出る際、絶対に本拠地を通ります”!」
「絶望代行、及び判定者として回答……この檻に関するベルセリオス様の絶対を保障します……“会場の駒は盤外に出る際、絶対に本拠地を通る”……」

サイグローグが提示した一手が一軍の一斉突撃と化し、女神の喉元へ突き抜ける。
だが即座にグリューネが右手で空を横一文字に切ると、地面から真っ赤な溶岩が噴出して騎士の鎧や骨ごと溶解させていく。
女神の神術に対し、サイグローグは法律書を読み上げるように判定をその被害報告と共に告げた。

「ならば、本拠地に到達後にどこかへ隠れた……もしくは到達後、即座に脱出した可能性があります……」
「否定します。絶望側代行に放送時の王の状態を確認。王は本拠地に存在する駒の生体反応を確認していました。そこに抜けはありますか!?
 “参加者が本拠地に存在していならば、王はその生体反応を確認できます!!”」
「絶望代行回答、反論を保障します……“王は本拠地の生体反応を確認できます”
 ……判定者より追加補足……“本拠地内に限定して、王の観測エリアに死角はありません”……」

再び放たれた左翼からの弓矢の雨嵐を、グリューネが放った蒼き輝きが掻き消してしまう。
そして跳ね返った矢の一本一本が放った本人めがけて戻り、その喉や心臓を突き刺していく。
やはりベルセリオスが組み上げた密室は有効に機能している。密室から出る扉は1つ、そしてその扉は常に王の監視下にあったのだ。

「王が“天才”にアンデット化の処置を施していた事実を提示……7駒全てアンデットになった可能性……死体ならば生体反応は確認できません……」
「否認します。判定者に法の効果を確認。“死亡確認無き死者の存在を禁ずる”!!」
「判定者回答……法の効力を認めます……“生者は死を確認しなければ死者にはなれず、死者でなければアンデットにはなれない”……」

だが、更に死角を潰そうと騎士団は右翼から更に重装騎兵二個師団、突撃猟兵四個旅団を投入。
錐行陣で突撃し、前線の死体を蹄鉄でブチブチブチブチとミンチにしながら女神の脇腹を抉りにかかる。
しかし、女神の防壁は未だ機能を続け、氷壁と化した防御の前に騎兵は全て凍死してしまった。
だが戦果報告を紡ぐサイグローグは満足気に笑んだ。これでいい、これであの7駒全てを“会場に閉じ込めた”のだから。
その事実に比べれば、たかが三軍壊滅など必要経費でしかない。所詮は盤外の駒だ。換えは幾らでも効く。
たった一人、たった一人が女神に一太刀入れればいい。それで女神の持つ一手は消滅する。

「駒が全ての首輪を外した・壊した可能性を提示します……生死判定は首輪によるもの…………外してしまえば反応が無くなる可能性がある……!」
「却下します。例え王がそれを認識できなくとも“私達は認識が可能です”!」
「プレイヤーによる否定有効……例え王が知らなくとも、私達は認識できる……首輪の有無は、この謎に影響しない……」

死体の山以上に積み重なっていく痛みと怖れとそれを忘れる為の怒りの断末魔が空間を満たすが、サイグローグの報告にとっては何の阻害にもならない。
無理矢理の脱出・本拠地での潜伏説をほぼ完全に抹消された……否、“本当の意味で7駒を会場に閉じ込めた”騎士団はついに砲撃と共に大攻勢へと転ずる。
この戦争の中で恐らくは最重要となるであろう要衝――会場潜伏説を抑えようと、無数の兵士達が命を散らせていく。
一体何が彼らを戦いへと駆り出しているのだろうか。
それさえも瑣末なことと踏みつぶしながら、騎士たちは謎へと突き進んでいく。
謎に覆い隠された謎を暴き、その答えを殺す為に。


この戦いは、プレイヤーによって生み出された全ての可能性が真実となる資格を持つ。
そして今グリューネは自らが創りだした謎によって自分の持つ一手―――――7駒を王から逃がす1つの可能性を守っている。
だが、それと同等の一手をサイグローグが提示できれば“どちらを真実と選ぶかはプレイヤーの判断だ”。
だからこそサイグローグはこの騎士たちと同じく無数に存在する可能性を、1つでも多く届かせようと雨霰に降り注がせ、
グリューネはその全てを神の一撃で押し流し、サイグローグの放つ騎士たちを鏖殺し尽くす。
相手の持つ可能性を嘘と殺害する為に、自分の持つ可能性を真実と創生するために。
盤上に於ける真実を探す『考察』ではない『こうさつ』。
真実の創り合い、可能性の殺し合い――――――――――――それこそが、彼らの本当の『考殺』に他ならない。

「会場がバテンカイトスである説を用います……! 精神世界であるが故に……駒は全てデータ的存在であり……削除によって消えた可能性が……!!」
「本気で有り得ると思っているのですか!? 絶望側代行に確認。“データであろうとなかろうと、消えた痕跡を王は確認していない”!!」
「絶望代行回答……どちらにせよ痕跡は確認できません……“存在が生身であるかそうでないかはこの謎に影響しない”……!!」

ほぼ全ての兵力を潰され窮地にあるはずのサイグローグが腹の中で笑んだ。
騎士団の殆どを殺しているのが女神の力ではなく、ベルセリオスの密室の硬さであり、
自分が絶対に通れない壁にぶつかって死ねと騎士たちに命じていると理解していながらもなお嗤っていた。
駒は脱出していない。本拠地にも行っていない――――――つまり、まだ会場内だ。兵力の半分を殺して確認した。
そして状況から見て首輪は恐らくまだ解除されていない、更に、データや精神的な存在である可能性も潰した……
それを、更に半分の死体の山で塞いで潰した。ならばこれで終わりだ。
サイグローグが再び王の紋章と法の書を重ね合わせ、守護の光を生み出す。
逃げ場を全て死体で塞がれたグリューネの持つ謎の答えを――――希望の輝きを消し去る、真実の光を!

「ならばこれでチェックです!……宣言・主催者行動<光竜滅牙槍>ッッ……!! 
 【7駒の消失を王が確認……非常事態による特例を発令……“現時点で参加者7名の首輪爆破措置を行いました”】……ッ!!」

生きた意味もろとも木っ端微塵に吹き飛んでいく兵士達、死に行く理由も木っ端微塵に吹き飛ばしていく神術。
その嵐中を辛うじて駆け抜けた法の守護騎士が剣に天の光を収束させ、眩い程の光の龍を女神に向けて穿ち抜いた。
会場の中にいるならば、7駒が何処に隠れていようがこれで死ぬ。首輪によって殺せぬ駒など存在できない。
死ななければ、会場の何処にも存在しない。“会場内から出られないのに、居ない”――――論理破綻だ。法の光の前に女神の迷宮は破壊される。
避けなければ必殺。しかし避けることは許されない光の一撃が女神を狙い穿つ。
駒が消えたからと言って首輪即爆破など、無粋極まりないものだろう。
だが道化にとっては知ったことではない。グリューネが尻込みして7駒の居場所を教えれば爆破を止めればいい。
言わないのであれば……この一手が空気を読んでなかろうが、会場内のどこに隠れていようが、殺してしまえば問題は無い。
どちらにしても希望は潰えて、これにて終了――――――

「無駄です―――――判定者に結果判定要請。王はその死を確認できましたか!?
 “存在しない駒の首輪を爆破を確認することは何人にもできません”!!」

だが、女神の奇跡は容易くなかった。
女神が正面ににかざした右手から蒼き障壁が生み出され、法に輝く光の龍槍を完全に防いでいた。
生死さえ謎のまま。矛盾も真実も覆い隠す闇の底に、光は届かなかった。
そして、空いた左手より振り抜かれた悪魔の槍が一直線に突き進み、守護騎士の鎧を貫いて射抜く。

「くっ……判定……通しです……“王による爆破指示は確かに行われましたが、首輪の爆破を確認できません”…………」

サイグローグによって述べられた結果に盤上が静まりかえる。
爆破すれば問答無用で死亡を確定させる王の首輪も、存在しない人間を殺すことはできない。法に従う無辜の民を斬ることはできない。
剣を以て切り拓くことが出来なかった騎士はガクリと膝をつき、その動きを静止した。
全ては決した。団長につき従う様に、その背後に可能性を失った騎士たちの骸が、海のように横たわっている。
法の光であろうが、謎の持つ闇を全て照らすことはできなかったのだと。




「これでも、届かないというのですか……」
倒れ伏す夥しいほど堆く積まれた騎死の墓標を横目に、サイグローグは口元を押さえて唸りを堪えた。
無論、全てを賭してその王命を遂行しようとした忠臣達に対する労いなどではない。
盤外へ逃げ出した訳ではない。死体で密閉した。
本拠地に隠れ留まっている訳でもない。死骸で封鎖した。
首輪をはずした訳でもない。死蝋で塗り固めた。
不正に消失した訳でもない。死者で閉じ込めた。
生きて出ること叶わぬ死の密室。なのに、その中で殺そうとしても―――――――――――その生死すら確認できない。

額を指で小突きながらサイグローグは頭を捻るが、この謎に対し打開策を見いだせない。
あまりに酷い論理破綻のように見えるのに、何が矛盾が分からないから通さざるを得ないとは何たる皮肉か。
道化は更なる抜け穴を探そうと考えるが、その可能性を一向に見つけられない。
考え得る可能性は全て叩き壊されてしまった。しかも、女神の力ではなくベルセリオスの檻の硬さによって。
ベルセリオスの絶対の檻がなまじ強力過ぎるが故に、可能性を消してしまうのだ。
可能性を考察するサイグローグの姿は、まるで密室に閉じ込められたのが道化の方であり、
懸命に檻から逃げ出す為に存在しない抜け穴を探しているかのようだった。
難易度UNKWOUN所ではない難易度GODの迷宮。ここに、出題者と回答者の立場は完全に逆転していた。

「どうしましたサイグローグ……貴方が次の手を進めぬというのであれば、私が先に手を進めさせていただきますが……?」

グリューネが気力と自信に満ちた声でサイグローグに甘い言葉を紡ぐ。
謎という最強の楯で駒を守りながら、一方的に王まで駒を進めていく心算であることは疑いようもなかった。
(さて…………どうしましょうかね……)
女神の魅惑的な睦言にサイグローグは煙管を銜えて煙を肺に充たし、状況を整理する。
(この状況で私が取ることのできる戦略は2つ……1つは謎を解くことを諦め、この結果を受け入れること……つまり狂剣優勝で戦いを終わらせること……)
7駒が消えてしまった以上は仕方が無い。とりあえず与えられた結果を唯唯諾諾と受け入れて、この戦いを終わらせてしまうこと。
優勝者が決定してしまったのだから、その結果を以て終わらせることも1つの方法ではある。
元よりサイグローグは雇われプレイヤーであるからして、ちゃっちゃっと手仕舞いにしてしまうのもアリではある。
(ですが……これは不可能です……48人のバトルロワイアルでいいならこれで終わらせられるでしょうが……
 “私が代行しているのは55人のバトルロワイアル”……7駒足りない状況では終わらせられません……)
だが悲しいかな雇われプレイヤー。雇用主の指示には従わなければならない。
恐らくグリューネもそこを読んだ上でこの謎を仕掛けている――――――55より減っては不味いということを。
もっとも、グリューネとて本当に7駒に消えられても困るはずなのだから、おあいこだが。
(となればもう1つは、この謎を考え続けること……これも良策とは言えません……それならいっそグリューネ様の回答提示を待った方が早い……)
ここまで考えて可能性が見つからなかったのだ。これ以上時間を費やした所で正解が見つかるとも思えない。
直にグリューネが揚々と彼女自身の持つ可能性――――『正解』を示しに来る。そうなっては手遅れだ。
それまでにサイグローグが正解を見つけそこに矛盾を見出すか、新たな可能性を提示できない限り、
唯一の可能性であるグリューネの奇跡――――『正解』は無二の真実として確定する。
(建前上にはどうとでも取れる謎であるが故に通しになる、しかしその実あり得る解答……可能性は極めて限られている……)
ベルセリオスの創った密室を逆に利用した謎、それが解けるまで道化はパスを強いられ続けて反撃の機会さえ奪われる。
(つまるところ……謎を解けぬ私にはこの七駒に触れることはできない……触れられるとすれば王の喉元に剣を突き付けられた後……
 私に王を守る術は無く…………この戦い、既にしてチェックメイト――――――――遅かれ早かれ終了ということですか……)
女神の放った強烈な手を前に、サイグローグはただ指を銜えて黙り続けるしかないのだ。それは、なんとも。


(―――――――――――――――“面白く、無いですね”……)


サイグローグが机を指で叩きながら黙考する姿を見て、グリューネは自分の一手が道化に通じていることを確信した。
煙も吹かさず、お喋りもせずに考え続けるのは、本気で謎に窮している証だ。
あの道化にはこの謎は解けない。少なくとも、解けるまでに今しばらくの時間はかかるはずだ。
後はその間に手を進めて、全ての“準備”を完成させれば――――――――――――――

「ミニゲームというものが……ございますね……」

その時放たれたサイグローグの言葉を理解するのに、女神ほどの存在でも幾分の時間を必要とした。
負けを認めての諦めか、もがき続ける悪態か。
そのどちらかが出てくると思っていた女神は、まさか無関係な言葉が出てくるとは思いもしなかったのだ。
「かけっこや……鬼ごっこ……ダンスに……スシにウェイトレス……おじさんもいましたし……夢の中にもあります……」
サイグローグは肺に溜めた煙を口からリングにして何個か吐き出し、それが消えるまでぼーっと見上げながら言葉をつづけた。
「得てして……やらなくても良いのですが……物語を全て愉しむとなれば……ついつい挑戦したくなるもの……
 物語を十全に愉しむための……さながら素材のうまみを引き出す香辛料のようなものですか……」
一体何のことを言っているのだろうか。そう思う一方で、グリューネはその道化の言葉から耳を離すことができなくなっていた。
顔を天井に向けながらも、そこ言葉そのものに目があるかのようにサイグローグの意識は盤上から反れていない。
「ですが……強過ぎるスパイスは時として……舌を痺れさえ……料理そのものの風味を殺してしまう……
 料理を純粋に愉しむ為には……むしろ邪魔な存在となってしまう…………」
ねめつける爬虫類の如き視線。いつも通りの気色悪さのはずの気配に、グリューネは今までよりも少しだけ多く唾を飲み込んだ。
盤を見るサイグローグの意識が、僅かに変わったような雰囲気を覚えたのだ。
「故に私はこう思うのです……料理にスパイスをかけるかどうかは……御客様が選べるようでなくてはならないと……
 “それを振りかけないという選択肢があってこそ……スパイスは料理を彩ることができる”のではないかと……」
絶体絶命のはずのサイグローグが呟いたのは、完全敗北の宣言ではなく唯のモノローグだった。
不可視の剣を突き付けたはずのグリューネは、道化の口から出てきた命乞い以外の言葉に眉をひそめる。
「どういう、意味ですか?」
「いえいえ……感服いたしましたということですよ……このサイグローグ……グリューネ様の迷宮……解くことができませんでした……」
それはサイグローグの素直な言葉だった。存在自体が捻くれ捩じれ曲がったこの道化の言葉の中では一番素直だっただろう。
女神の思惑通り、全ては終わる。終わってしまう。永遠に遊べるおもちゃなど存在しない。
「このサイグローグ……本心を申せば……出来ることならばこの遊戯……
 8つの駒で……出来る限り永く永く遊びたかったのですが……この神の一手の前では最早それも叶いませぬ……
 ならばどうして永遠に続けたいなどと我儘を申せましょうか…………終わらぬ物語など無い………しからば……御仕舞でございます……」
そう言ったサイグローグは仮面の奥の瞳を瞼で閉じ、そのまま煙管から煙を吸った。
永く永く味を確かめるように、まるで最後の一服を愉しむように。
グリューネは少しだけ急く様にして言葉を紡ぐ。素直な言葉のはずなのに、小さな針の筵を羽織るような痛みに包まれて。

「認めるのですね? ならばこのゲーム、終了を―――――――」

女神がそう言い切る寸前だった。道化の煙管がガンと盤へと縦に撃ちつけられ、突き刺さったのは。

「ええ、御仕舞ですよ―――――――――――――こんなミニゲーム……下らない“考察ごっこ”はね…………ッ!!」
「なッ!?」

グリューネはまだサイグローグというプレイヤーを理解し切れていなかったのかもしれない。
それを見たグリューネの驚愕を前に道化の口元が喜悦にへし曲がる。
その笑顔は陰鬱な嘲笑であり、狂悦の破顔一笑だった。
サイグローグにとってこの戦いは“自分がどれだけ愉しめるか”でしかないのだ。
それだけが道化の心であり、その心にのみ隷属する。
だから嗤い続ける。だからおどけ続ける。だからアソビツヅケル。
もう終わらせるしかない? 結構、だったら終わる間際まで遊び尽くすだけだ。

全力で、徹底的に―――――――――“盤をブチ壊してでも”。



――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――


『――――――クククク、ハーッハッハッハハハァッ!! あったぞッ! そうか、その手があったわあアァァァッッッ!!』

帳が完全に降り立ち、かつて惨劇を見下ろし続けたあの双月が浮かぶ夜空にミクトランの嘲笑が満たされる。
理解出来ぬものへの恐怖に充たされたあの絶叫、その後の異常な放送事故より幾秒経った後か、
腹の底から、腸をねじり切ってしまうのではと心配してしまうほどの爆笑が闇夜を斬り裂いて放たれた。
座る者の居なくなった野外のウッドチェアに座ったクレスは魔王の外套、その残骸を口で切りながらそれを聞いていた。
『イッ、ヒヒッ、ヒャーヒャヒャヒャ……あ、ああー、済まん、済まん……少々手違いがあった……忘れてほしい……ん? んンん~~~??』
腹を抱えながら背を屈めて息を整えているのが手に取るような笑いから落ち着いたミクトランが、突如ワザとらしく何かに気付いたような声を出す。
『今しがた、新たなる死者の情報が入った。本来ならば次回放送にて伝えるべきだが、特例だ。静聴して聞くが良い』
机に置いたランタンの軟い明りに照らされた、クレスの手がそこで止まった。
『グリッド! キール=ツァイベル! メルディ! カイル=デュナミス! コレット=ブルーネル!』
魔剣の刀身を握っていたクレスの手に力が籠り、掌の生命線につうと血が流れる。
その刀身を魔王の外套で覆っていなければ骨にまで達していただろう。
『ヴェイグ=リュングベル、ティトレイ=クロウ―――――――――――――7名の死亡をたった今確認したッ!』
自らの血に滲んだ手で、クレスは自分の額を擦った。真白い新しきバンダナがその拭った場所だけ紅く染まる。
『以上計14名の死亡確認を宣言するッ! 確かに、確りとッ!!』 
クレスは目を閉じて内側から湧き上がる物を堪えるようにして扉の向こう側に消えた彼女達を思い出す。
大丈夫だ。きっと、無事のはずだ。“これはきっと嘘をなのだと”。
『ここに計54名の死亡を確認したァ……よって、よってこの天上王ミクトランが宣言するゥッ!』
あの時に僕に出来たことは全てした。ここに残った自分が彼女達に対して出来ることは2つしかない。
1つは、祈ること。彼女達の命を、彼らの未来を、それが光り輝いていることを。
『勝者、クレス=アルベイン。彼の者の勝利を以ってッ、ここに、今此処に! バトルロワイアルの終結を宣言するッ!!』

ミクトランの狂気に近い叫びの中で、クレスは押し黙ったまま静かに佇んでいた。
そのクレスの意思を代弁するかのように、クレスの傍で大地に突き刺さった2本の斧が持ち主から放たれる何かに震えていた。
カタカタと小刻みに笑う金属が突き刺さった大地は、闇の中で“何の輝きも見せなかった”。

『ついては優勝者クレス=アルベイン! 開始時の説明通り、貴様に報奨を授けよう。
 即ち! 貴様の“願いを叶え”ッ!! “元の世界へと帰してやろう”ではないかッッッ!!!』

灯りで焙るように俯いていたクレスの顔が僅かに持ちあがる。
優勝者の願い。久しく聞いていなかった言葉に可笑しみを感じたのだった。
なにせ、一番最初は全員を殺してその願いで全員を生き返そうなどとも考えていたのだから。
永く久しく忘れていたもの。それをまさか、今になって手にするとは。

『今より1時間! たった1時間だけD4の禁止エリアを解除する! 
 それまでの間にそこを通過し、D5山岳の河口へと来い!! 貴様の首輪の反応によって“扉が開くようにしておく”。
 首輪を外すのはその中で行う。いいな? 万一にでも首輪が機能していないなどあれば扉に入れんぞ!?』

魔王の布を巻き終えた魔剣を肩から足へかけて、クレスは力無く笑顔の出来そこないを作った。
あの時の決意は、最早遥かな過去。過去から今に至るまでに積み重なり過ぎたモノの前にもう思いだせなくなってしまった。

『さあ、魔剣を携え我が下へ来るが良い優勝者! 
 全ての屍を乗り越えた2%以下の奇跡よ、その奇跡に見合う対価をこの天上王ミクトランが与えようぞッ!!』

今此処にいる僕の願いは、今此処に残る僕に出来ることは――――――――たった1つ。
王の高らかな通告を聞きながら、勝者は双月の夜空を見上げた。



――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――


「これは、一体…………?」
内から湧き上がる驚愕に身体を震わせながらグリューネはそれだけを辛うじて呟いた。
希望側が提示した『7つの駒の消失』の謎に対し道化が提示した応手は、およそ女神の思惑を超えていた。
いきなりの7人死亡の宣告、そして優勝者クレスに対する王の優勝宣言―――つまり、名実ともにバトルロワイアルの終わりだ。
だが、謎を仕掛けた側であるグリューネの驚きはそこではなかった。
7駒を“隠した”グリューネは7つの駒がまだ無事であることを知っている。“王では殺せないのだ”。
王が無理矢理優勝者を決めて、バトルロワイアルを終わらせようとしたと考えれば王が嘘を吐くのは理解できる。

問題は王の優勝者への対応が『第六戦と変わっている』ことだ。

第六戦にて唯一の生存者であった氷剣は魔法陣によって転送され真実の本拠地に辿り着いた。
優勝者が決定したと認めるならば、同じ手法にて同じ結果が出てこなければおかしい。
禁止エリア解除、そして会場の中心への誘い。変化した結末。
そして何より、永遠に遊び続けようとする道化が放ったこの一手、如何なる意味か。
「クククク……“諦めて”してしまえば……分かることもいくつかあります…………
 まず……“まだ7駒は脱出していません”……脱出したというなら、そう示せば良いだけのことですから……」
王の駒を動かしたサイグローグは王を握ったまま、クスクスと笑っていた。
今までよりも僅かに冥く、脂ぎった笑顔だった。
匂いさえ漂う嫌気を放ちながら、サイグローグは言われてみれば当たり前の事実を告げた。
脱出できるならわざわざ隠すなどというクッションを置く必要は無い。それを隠すということはまだ脱出できていないと言っているに等しい。
「ならば何故隠すのか……敵を知り己を知れば百戦危うからずや……グリューネ様の立場になって考えれば分かるというもの……」
サイグローグはそう言って煙管の中に火種を投じ、更なる煙をプカプカと浮かべた。
煙に濁ったその瞳は最早盤面を視ること無く、ただグリューネの瞳の奥だけを見つめ続けている。
「隠すということは、今触られては困るということ……“つまり、まだグリューネ様の奇跡は完成していない”のでしょう……?
 二手や三手では済まぬ、本当の神なる奇跡……この謎は、その時を稼ぐ為の布石……」
この謎がグリューネの、希望側の時間稼ぎであることは明々白々だ。
ベルセリオスの絶対の檻を破る奇跡を創るとなればそれ相応の絆を紡がなければならない。
この神楯はその為のもの。全ての絶対を破る神剣を鍛える為の守りなのだ。

「ならば……まだ遊ぶ時間はあります……時間があるならば……私は遊ぶだけ……
 『謎に包まれし七駒に手は出せない…………?』……結構でございますとも…………
 ええ、逆に……チェス盤をひっくり返して考えれば良いだけ…………」

普通のプレイヤーならば、血眼になって7駒を探し続けるだろう。
あるかどうかも分からぬ正解を求め、トライアンドエラーを繰り返すだろう。
だが、サイグローグは普通ではない。白と黒では分けることのできない異端のプレイヤーなのだ。

「8つの駒で遊べないなら―――――――――――――“1つの駒で8駒分遊び尽くせば良いだけ”でございます……!!」

だからこそ躊躇い無く“捨てる”。触ることの出来ない玩具など必要無い。
触れる玩具で、目いっぱいに遊べば良いだけだと嗤うことができるのだ。


「それがこの謎の答えとなるとでも!?」
激昂するグリューネの詰問に、サイグローグは間断無く応じた。
正解以外では絶対に破ること叶わぬ女神の謎、それをどうやって破るというのか。
「なりますよ……では、謎に対する返答を正式に行いましょう……この消失事件……十中八九“魔剣が関わっています”……
 ……『ならば、それに関わった魔剣の担い手に7駒を“もう一度この世界に戻させれば良いだけ”』でございます…………!!」
ならばどうするか。決まっている。神なる楯を破るは魔王の剣が相場だ。
2人の天使が落ちた――――否、女神が殺したことで、3人の時空剣士による精霊王の縛りも解けている。その力をこの局面で利用しない手は無い。
サイグローグが構築した混沌から、何がどういう心の経過を経てこの結果に至ったかは分からないが“魔剣の力は絶対に関わっている”。
「……何故、魔剣が関わっていると確信できるのです。放送中に王が聞いたたったあれだけの会話から考察可能だと?」
「グリューネ様は実に正直な御方です……駄目ですよ……“あんな露骨に2人だけ殺しては”……魔剣解放狙いが透けているではないですか……」
「っ……ですが、放送前、彼らは一触即発の状態でした。打ち合わせて協力する暇などなかった! どうやって7駒全員で魔剣で脱出すると!?」
「そんなことは知った事ではございません……過程がどうであろうと、それしか答えが無いのですから……
 “とにかく魔剣を使った”……私にとってはそれで十二分でございます……」
息を呑むグリューネを見ながらサイグローグは満足げに微笑んだ。
盤上で展開した謎を見ず、グリューネの差し筋からの逆算だけで道化は正解以外の全てを掌握する。
駒は所詮駒。敵対するはプレイヤー。チェス盤をひっくり返せば駒など見ずとも手は読める。

「魔剣にて閉ざされた謎ならば……魔剣にて開くは道理……魔剣を用いて、もう一度7駒を会場へと呼び戻す……
 これならば『7駒が何処に消えた』という謎を回避できる……これが私の答えです……私はこの謎を―――――――“解きません”……」
エターナルソードが答えを知っている。ならばエターナルソードに答えさせればよい。
それが道化師の答えだった。自分が解く必要は無い。解きたくもないモノを、態々解く必要などないのだ。

道化の提示した解答に、グリューネは唖然としたまま立ち尽くしていた。
そんな女神を見ながら眼筋を歪めたサイグローグは煙を燻らせながら慰めを紡ぐ。
「ククク……申し訳ありませんグリューネ様……恐らくはこの謎……相当の自信を以て構築なされたのでしょうが……
 わざわざ“こんな下らないモノ”に真正面から向き合うほど……このサイグローグ……酔狂ではございませぬ……」
「下らない……と……?」
「ええ、下りませんとも…………全ての可能性が真実となるこの戦いに置いて……唯一の正解など存在しない……
 そんな戦いの中で“謎を問う”ことがどれほど無意味なことか……考えれば分かるというもの……」
それは至極当然のことだ。確かにグリューネは謎という宝箱に7駒という宝石を入れて閉じた。
宝箱に閉じる以上、グリューネは宝箱を閉じる鍵を……正解を最低1つ持っていなければならない。そうでなければ論理破綻になるから。

だが“それは絶対に鍵を使って宝箱を開けなければいけないということではない”のだ。

針金を使ったピッキングも、宝箱そのものを壊すのも、空間を捩じって中身だけ取り出すという方法もある。
それらは鍵を使って開けるよりも無作法でとてもスマートではないが、宝箱の中身を得る手段として“矛盾してはいない”。
「謎への応手など……この程度の屑手で十分……矛盾が無ければそれでいい……
 ……これは殺し合い…………誰が生き残るか、誰が死ぬか……それこそがメインディシュ………
 料理を愉しむに……煩く入る音楽も…………煌びやかな演出も必要無い……
 無理矢理かけられた香辛料など以ての外……料理はただ旨ければそれでいい……」
そう、宝箱に入れたからと言って鍵で開けられるとは限らないように―――
―――謎を創ったからと言って、その答えが出題者の望むものとなるとは限らない。
矛盾さえなければ、正解である必要などないのだ。

「私が楽しみたいのは『バトルロワイアル』でございまして――――ミステリや謎解きがしたければバトルブックの裏にでもお書き下さいませ……ッ!!」

故に、謎を問うことに意味は無い。唯一の真実が存在しないバトルロワイアルに、本当の謎<ミステリィ>など存在しないのだから。



謎を踏み躙るその一言にかける言葉を見失ったグリューネに、サイグローグはおやおやと肩をすくめながら嗤う。
「どうしました……? 何やら御気分が優れぬご様子……まるで……期待していた答えが返ってこなかったと憤懣やるかたなしかの表情……
 もしや……期待していました……? ……グリューネ様の用意した正解に沿って戦いが進むものだと……思いこんでいました……?」
唇を震わせながらも返す言葉を探して息詰まる女神の表情は、溺れた者のそれだった。
サイグローグの惚けたような物言いは、明後日の方を向きながらも全てグリューネの頭上に星と当たる。
「これ見よがしに散りばめられたヒント……もったいぶった言い回し……
 まるで生娘が初めての夜を男から誘ってくれるのを待っているかのよう……
 付き合ってくれると思ったのでしょう……? サインに気付いてくれると……
 伝わって当り前だと…………相手も望んでいるのだと“決めつけていた”でしょう…?」
ああ、それは哀れにも笑える喜劇。
『あ、あんたのことなんかコレッポッチも好きじゃないんだかね、本当なんだから!』と言えば『好き』というサインと思いこんでしまうなんて。
なぜ素直に『お前は俺のことが嫌いなんだな』と考えてはいけないのだろうか。裏の意味までいちいち考えてやなければいけないというのか。
「素直に一撃で7駒を王の元まで運びきってしまえば良かったものを……わざわざ謎で覆い隠すから……こうやって壊されるのです……
 実に無意味……これ即ち徒労の極みでございます……それともまさか……この私が……そんな遊びに付き合うと……本当に思っていたのですか……?」
奥床しさなんて何の役にも立たない。思いは伝わらなくて当り前なんだから。
だから道化は謳う。素直な気持ちを、誰もが誤解しないように、分かりやすい言葉で――――――真実で。

「エロやらしく胸を揺らせば誰もがホイホイついていくと思ったら大間違いでございますよ…………せくしぃねえさん<アフロディーテ>様……ッ!!」
「サイグロォォォォォォォ――――――グウゥゥゥゥゥッッ!!!!!!」

グリューネが激昂と絶叫と共に右手を天高く突き上げる。
美しき女神らしからぬその振る舞いは、グリューネという神から最も縁遠いもののはずだった。
だが、それを取り繕うことなくグリューネはその突き上げた右手に可能な限り全ての神力を集約する。
女神の慧眼にも、今自らに噴出した衝動の正体は分からなかった。
その神性を堕としめる罵詈か、女としての何かを弄るような雑言か。あるいは、自らさえも自覚せぬ内側の隙間を道化に抉られた痛みか。
先ほどまでの拷問などとは比較すらできない痛みに苦しみながら、グリューネは力を具現する。
自分の知らない逆鱗に触れられたグリューネの怒りを代弁するかのように、彼女の前方に巨大な力の塊が形作られる。
「貴方だけは……貴方だけはッ!!」
眼の前の存在が受け入れられない。希望を、心を嘲笑うこの道化を“許せない”。
星の光を集めたかと思うほどに光輝く神の大きな掌が、怒りに震えるグリューネの心を示す様に顕現した。

「そこまで滅びの本懐を遂げたければ……叶えてあげます――――――――ゴッドプレスッ!!」


突き出した右腕をサイグローグへ振り下し、グリューネの最大神術が発射される。
常の天空からの一撃ではなく、水平撃ちで撃ち出されても尚、その威力は神のそれだった。
許せない。認められない。受け入れられない。呼吸をするたびに希望を、光を穢す眼前の存在を許容できない。
女神の中のありとあらゆる拒絶の意思が、大神術に力を与える。
幾千幾万の言葉よりも力ある神撃。道化の一手ごとプレイヤーを確実に潰す程の威力がサイグローグへ直進する。
だが、サイグローグは一歩も動かなかった。動けなかった、ではない。“動く気が無かった”。
全てを滅しかねぬ暴力の前に一歩も退かぬその姿は、サイグローグでなければ勇者のそれだっただろう。
だが、先ほどまでと一切変わらず卑しい微笑を浮かべ続けるサイグローグはペラペラと百科全書を読んでいるだけだった。
グリューネの怒りの眼線さえも見ること無く、残り数枚で終わる本の文章を追い続ける。
「……クククク……怖いですねえ……私の貧弱な肉体では、触れれば一瞬で消し飛んでしまいそうです……
 そこまで気に障りましたか……若干誇張して申したのですが……案外……図星でしたァ……?」
そう言いながらも、サイグローグの視線は本から外れていなかった。
残り2頁で終わるそれを、急く様にに読み続ける。まるでもう読めなくなるかのように。
「しかし……これも私の心の素直な有様でございます……『己が心に従い、己の思うさまを貫く』……烏は実に良いことを言っておりました……
 こんなただ操作が面倒なミニゲームを無理矢理させられるなんて……私……死んでも嫌でございますから……」
「それが遺言か、道化よ……ならばその口ごと……永遠に閉ざしてあげますッ!!」
残り1頁。サイグローグの正面には巌の壁の如く神の掌が迫りくる。
その巨きな手に似合わぬ神速で迫る一撃は、最早アラウンドステップでも避けようがない。CC+3されるよりも早く戦闘不能になるだろう。
「マモレナカッタ……は嫌ですね……“貴方”は……騎士崩れとは違うでしょう……?」
全てを読み終えたサイグローグが本を閉じる。僅かに目を瞑るその仕草は、一見神の威光の前に罪を懺悔するようにも見えた。
だが、浮かび上がるその歪んだ確信から紡がれた言葉が全てを台無しにする。法よ、貴方に問う。“私に罪がありや”?

「“零条違反”―――――――――緊急宣言・その魂に誓いし正義を貫け<エナジーコート>……ッ!!」

“汝に罪無し”。守れ騎士よ、その命を以て。



「!?」
グリューネの驚愕、その視線の先にはゴッドプレスの着弾衝撃波があった。
だが、それはサイグローグではない。女神からサイグローグを覆う様にしてその一歩手前にたった、守護騎士の姿があった。
胸に開いた鎧のヒビから血を流しながらも、己が精神を引き換えに究極の護りを構築するスキルを尽くしてゴッドプレスを防いでいる。
「莫迦な、何故貴方がッ!?」
既に発動し切ったグリューネにゴッドブレスを止める術は無く、ただその懐疑だけを口にする。
その駒がどういう存在であるかを知らぬグリューネではない。
サイグローグに隷属させられているとはいえ、その本質は強きを挫き弱きを救う守護者のはずだ。
「サイグローグ! 今直ぐ退かせなさいッ! 酷使し尽くした騎士をまだ楯として使うなど、恥を知りなさい!」
使役者であるサイグローグにグリューネは退かせるよう叫ぶが、道化は聞こえていないかのように
「どちらのことを言っているのですやら……私は止めませんよ……“この駒では貴方に勝てなさそうですから”……
 もっとも……もともと私が操っている訳ではありませんので……どうしても止めたければ直接騎士に言ってください……」
「くッ……何故、何故貴方はサイグローグに従うのです!? どうしてそこまで――――」
どうして逃げないのか。どうしてあんな邪悪の塊を守るというのか。しかも、何故私から守るというのか。
想いの全てを踏み躙る道化を守り、それを排しようという私を阻むというのか。正義は私に、希望にこそあるはずなのに。
だが、グリューネの問いは最後まで紡がれることは無かった。
悪魔の槍を穿たれながらも輝きを失わぬ蒼き瞳が、命果つる間際にあっても誇りを捨てぬ獅子の如き金色のたてがみが、
血に塗れてもその光を示し続ける真白き鎧が、騎士を包む何もかもが誓いを体現していた。
騎士は自らの意思で、今この死地に立っている。グリューネを敵と見つめている。
守るべきモノを、阻むべきモノを見極めて、その切っ先を向けるべき方向を定めている。
彼だけではない。彼の後ろにあった幾千幾万の死せる騎士たちも皆同じ思いだったのだろう。
その願いが、砕けぬ規律が、神の一撃をここに防いでいる。
「何故……なのです…………」
グリューネはただそう呟くしかなかった。
精神力が尽きようとしているのか、鎧のあらゆる所にに亀裂が走り、楯と剣は砕けて消えた。
それでも尚神の力に立ちはだかる騎士の誓いの護りに、謎によって構成された神の楯と同等、いや、それ以上の硬ささえ錯覚する。
これほどの力が、何故神を阻むのか。その気高さが私に牙をむくのか。
答えを求めて吐露した問いではない。だが、騎士は自らを圧殺する神の力の中で、僅かに口を開いた。
グリューネはその口元を見続ける。どうしても知りたかった。今自分を苦しめているこの力の正体を。
邪悪たるサイグローグを守るという魂の誓い。命を賭けてでも退けぬ意味。守るべき味方と倒すべき敵を分ける境界。

“法とは、一体何なのか”。

ブチン。
だが、その願いは叶わなかった。得られた音は、とても言葉とは言えない肉に拉げる音。
答えはない。肉さえ消滅するほど全ての魂を果たし尽くし、義務を全うした鎧の残骸だけが残っただけだった。


「クククク……【私の一手は全て通し】ですよ?……お忘れになりましたか……?」
茶番劇の頃合いを見計らったようにサイグローグは項垂れるグリューネに声をかける。
その手に持った法の書は、その角からチリチリと燃え上がり中のページもハードカバーも焼き尽くしている。
法は役目を果たした。その力と引き換えに、サイグローグは埃1つ付けること無くブラックスーツを着こなしている。
その一手を殺そうとしても、プレイヤーごと潰そうとしても、何度やろうとも同じこと。
法を司るサイグローグを傷付けることなど、絶対に出来るはずが無いのだ。
「さて……グリューネ様の我儘で大分時間を使ってしまいました……
 そろそろ次の料理を食べましょうか……早くしないと冷めてしまいますよ……?」
そう言いながらニタニタと先ほどまで紅茶を入れていたティーポットを取り出し、新緑の茶葉を淹れる。
そんな鼻につく優雅さを前にグリューネは歯を軋らせた。こうなった以上、サイグローグはもう謎に見向きもしないだろう。
つまり隠した7駒を動かすことに関して障害は無くなった。だが、サイグローグが剣士に狙いをつけた以上安心はできない。
魔剣を用いた何らかの方法で無理矢理、7駒を取り返しに来ないとも限らない。
可能性がある限り、グリューネは道化の一手に応じなければならない。
銀の髪を強く指で梳きながらグリューネは思考した。
グリューネの最善は剣士をC3に固定したまま7駒を急ぎ王の元まで運ぶことだ。
わざわざ敵の誘いに乗る必要は無い。どんな厄介な相手がD5で待ち受けているとも―――――――――

「……待ちなさい……次の料理? この盤上には最早駒は1つです。材料がありません。まさか――――――」
「漸く気付かれましたか……? その通りです……このサイグローグ……何も無償でグリューネ様にお付き合い頂こうとは思っておりません……
 我が夜会に相応しき…………相応の“お土産”は御用意させていただきました……」
顔を上げたグリューネにサイグローグは嫌らしい笑みを満面に浮かべる。
7駒が隠れた以上、盤上に駒は剣士一つしかない。一人では踊ることはできない。“新たな踊り手が現れなければ”。


「出すというのですよ……このサイグローグが……絶望側代行として――――――――『主催戦力』を……ッ!!」



サイグローグが王の紋章を掲げると、煙管で開けた盤の中央がドクンドクンと心臓の如く鳴動する。
「居たのですか、主催戦力が!?」
「これはこれは異なことを……誰が“い”ないなどと言いましたか……? “い”ますよ……中央に……しっかりと……ククククク……!」
盤の中央。それはこの島の中で唯一といっていい程異端の場所だった。
村にも、町にも、教会にも、ありとあらゆる施設に主催に至れるような手掛かりもヒントも無かった。
その中で唯一疑いが向けられているのがこの山岳地帯だ。


駒を欺いた偽本拠地のトラップは山の北に隣接した湖の底。
会場内で首輪を精密に運用する為の施設が中央にあるという学士や天才のかつての推測。
ジョーカーたる客員剣士の初期配置もこの中央。
海神が傷を癒す為に使った洞窟の奥の岩室の存在。

唯一の疑惑、それは最早1つの真実だ。“ここが王の心臓に最も近い場所なのだと”。
ましてや、それを王の使役する駒にて守ろうと云うのだから、最早疑う理由さえ無い。
「つまり……貴方の狙いは……」
「ご賢察でございます……私は王の力を用いて魔剣を奪い、貴方の隠した真実を壊す……
 貴方は魔剣を用いて……王の真実を暴く機会を得る……今更チマチマした考察や小技のやり取りなど面白くありません……
 王の真実と魔剣を賭けての……零距離での殴り合いと参ろうではありませんか……」
サイグローグは諸手を開いてグリューネを誘う。自らの心臓を晒す代わりに、お前の心臓を奪える距離まで近づけと。
遊びを徹底的に追及する、グリューネとは全く違う形のリスク度外視の一手。
ベルセリオスならば絶対に最後まで出し渋ったであろうそれさえも餌に、サイグローグは誘っているのだ。
グリューネは口に手を当ててサイグローグの申し入れを吐き出さないように堪えた。
互いの心臓を貪り合うというおぞましき誘い、しかし、無碍にするにはあまりに惜し過ぎる誘い。
ベルセリオスは徹底して王を表側に引き出そうとはしなかった。
常に盤上の駒を巧みに操り、直接操作を最小限にして全ての流れを掌握してきた。
故にこちらは王に対する全貌を未だ掴み切れず、その不確定情報というヴェールが王を守り続けている。
ともすれば脱出不能ロジックよりも厄介な障壁であり、7駒が王に辿り着いても破れるかは五分五分であったのだ。
だがサイグローグはその守りの力を棄て、攻めに転じようと言っているのだ。
7駒を王に送り込む前に、王の情報を得られれば得られるほど、この後の情勢は有利に傾く。

(受けるべきか……どの道、この後剣士には可能な限り会場を破壊してもらう予定であったことを考えれば……)

あくまでもグリューネの王攻めの本命は不可思議の中に隠した7駒だ。剣士の戦いは直接7駒に影響はしない。
言ってみればこれはグリューネにとってはサブイベントに過ぎない。
行う必要はないが、クリアすれば相応のモノを得ることができる。それはグリューネの王の攻略に大きく寄与する。
ましてや使用する駒は“あの”剣士だ。既に会場破壊を想定して装備の再編は済ませてある。
サイグローグの駒がなんであれ、決して引けを取ることはないだろう。

(それに……万が一……万が一サイグローグに魔剣を利用される事態になれば……“その時は”……)


グリューネはそこまで考えた時だった。グリューネの鼻の頭に熱く湿った何かがかかり、思わず飛びのいてしまう。
顔を下げて視野を広げたさきにあったのは、香り高い湯気を浮かべた緑茶だった。
それを持ったサイグローグはグリューネの驚き顔を堪能した後に言った。
「どうぞグリューネ様……茶柱がたっていますよ……? 運気が向いている証拠でございます……」
「貴方は、要らないのですか?」
「私は結構でございます……出涸らしの……ポットに残った最後のひとしずくで十分でございますよ……」
いけしゃあしゃあとのたまうサイグローグの顔を見て、グリューネは1つの決定を下した。
なによりも、この道化が許せなかった。法の名の下に無法を繰り返し、正義に燃えた騎士たちを無為に殺すその残虐が。
そうまでして心臓を晒すというのなら、我が手に握った魔剣を欲すると云うのならば―――――――

「あえて貴方の誘いに乗ってあげましょう。後悔しても知りませんよ、道化」
「両者合意を確認しました……それでは始めましょうか……どうぞお手柔らかに……クククク……」

グリューネはサイグローグの差し出した緑茶を奪い、酒を煽る様に飲み干す。
その軽薄な笑みも、この瞬間までだ。覚悟せよサイグローグ。
ベルセリオスのゲームを砕く前に、その心臓に魔剣を突き立ててくれようぞ。

「こう見えて私の拳もけっこうお喋りでございまして……色々分かるかもしれませんよ……ただし―――」

――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――Next SubEvent Start


夜空を劈く王の叫びが途絶え、夜が本来持つ静寂が辺りを包みきった頃だった。
夜を僅かに遮る椅子の軋みが夜の村に響く。灯りに照らされたクレスが立ち上がった音だった。
ここの中央に来る前にもう一度拾ったガイアグリーヴァ、そしてティトレイから渡されたオーガアクスを両方纏めて片手に握る。
もうひとつ餞別に得たメンタルバンクルが手首にフィットしていることを確認して、魔王の布に覆われた魔剣を背に背負う。
武器を幾つも持って灯に映るその影は、まるで何処かに戦争に行くかのような有様だった。

だが、その例えは決して誤謬ではない。クレスは今から戦いに行くのだ。
王が招いている。来いと、報奨を授けんと待ち構えている。
無論、これが罠であるということは分かっている。だが、それでもそれがクレスにとって褒美であることは間違っていなかった。

「……すまない。僕は、君が命を賭けて護ったコレット……ちゃんを、君の代わりに守ってあげることも出来ない」
灯りを消す前に西の方を向いて、クレスはそう一言つぶやいた。既に暗夜で見ることはできないが、その方向には1つの土山ががある。
命を賭けて選んだ男の死体が。自分が作った死が埋葬されていると確信していた。
彼は、一人の少女を守り通した。それに引き換え、自分は何一つ守ることが出来ないまま、こうして優勝してしまっている。
この汚れた掌は、何も守ることができない。最後の最後に、自分を救ってくれた人達とさえ離れて、こうして独り立っている。
「だけど……出来ることはするよ……僕にしか、出来ないことを……」
出来ることは、戦うこと。クレス=アルベインとして、剣として、戦いぬくことだけ。
ミクトランが待っていると云うのであれば、丁度良い。恐らく配下の敵もいるかもしれない。なお良い。
それを自分が倒せば、壊せば、ティトレイやコレット達に向かう脅威はその分だけ減る。
そう、倒すのだ。それが、クレスに残された最後の願い。それしか最早願えぬ、歪な剣。

灯りを消すと、世界が本当の闇を取り戻す。その中で、クレスの瞳孔だけが闇色に輝いた。
D4まで一時間。走っていかねば間に合うまいが、この程度の距離なら鍛錬の内だ。

「―――――――――全てを斬って終わらせる。それだけが、僕の望みだ」

そう言って、闇に剣が駆け出した。
世界の中心に、全ての終わりをもたらす為に。

剣を以て真実を切り裂け。そして至れ、本当の終着駅に。


<――――――――――――――――――――――――――――――――――――片道切符代わりにその爪、剥がせていただきますが……ッ!!>




【クレス=アルベイン 生存確認】
状態:HP10% TP25% 第四放送を聞いていない 疲労
   善意及び判断能力の喪失 薬物中毒 戦闘狂 殺人狂
  (※上記4つは現在ミントの法術により一時的に沈静化。どの状態も客観的な自覚あり。時間経過によって再発する可能性があります)
   背部大裂傷+ 全身装甲無し 全身に裂傷 背中に複数穴 コレットのバンダナ装備@若干血に汚れている
所持品:???@ダオスのマントで覆われた魔剣 オーガアクス ガイアグリーヴァ メンタルバンクル
    ホーリィスタッフ サンダーマント 大いなる実り 漆黒の翼バッジ×2
基本行動方針:「クレス」として剣を振るい、全部を終わらせる。
第一行動方針:島の中央・山岳地帯に向かう
第一行動方針:ミクトランを斬る。敵がいれば斬って、少しでもコレット達の敵を減らす。
現在位置:C3村・中央広場→D4経由で中央山岳地帯地下へ

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