SKIT「五臓六腑に染み渡る優しさ!」
「あ……ありのまま 今 起こりました事を話させていただきます……
『薬物上がりの“狂剣”5振りなら大丈夫だろうと思っておりましたら空間ごと斬滅させられました』
な……何を言っているのかお分かりづらいと思いますが私めも何がどうなったのやら……
盤面がどうにかなりそうでした……潔癖症の神官にお薦めの危険な街ジャンクランドだとか
次元斬発生半径2m分世界が小さくなっただとかそんなチャチなものではありません……
もっと恐ろしい黒刃の片鱗を味わわせていただきました……
と……そんな小動物でも思いつきそうな感想しか浮かばない程、この私動揺しております……!
『薬物上がりの“狂剣”5振りなら大丈夫だろうと思っておりましたら空間ごと斬滅させられました』
な……何を言っているのかお分かりづらいと思いますが私めも何がどうなったのやら……
盤面がどうにかなりそうでした……潔癖症の神官にお薦めの危険な街ジャンクランドだとか
次元斬発生半径2m分世界が小さくなっただとかそんなチャチなものではありません……
もっと恐ろしい黒刃の片鱗を味わわせていただきました……
と……そんな小動物でも思いつきそうな感想しか浮かばない程、この私動揺しております……!
いやしかし、何某か策をお持ちとは思っておりましたが真逆真っ正面から狂剣を強化、いえ狂化してくるとは……!
ですがグリューネ様、いくらなんでもこれはやり過ぎではございませんかぁ……?
集気砲……? 発剄型獅子戦吼……? 剛蹴来……? まさか徒手空拳でこちらの駒を粉砕されるとは……
しかもダジャレ……ダジャレと来ましたか……ダジャレでトンデモアーツにインフレ時空剣技とは……
もしやあれでございましょうか、私を片腹大激痛させて殺す作戦でしょうか……?
何と言う策士…! グリューネ様……おそろしい女(神)!! ですが私負けません……ええ、負けませんとも……
崩壊するな腹筋…! 負けるな横隔膜……! 道化師はお客様を笑わせるのであって、笑ってしまってはいけません……!
クククク……う、ウププププ……ああ、辛い、我慢が…… ああ、白いのが出そう……!
と私ことサイグローグは後ろの棚の喪服の様な色合いのブサかわぬいぐるみを思い出しながら苦悶を浮かべます……
ですがグリューネ様、いくらなんでもこれはやり過ぎではございませんかぁ……?
集気砲……? 発剄型獅子戦吼……? 剛蹴来……? まさか徒手空拳でこちらの駒を粉砕されるとは……
しかもダジャレ……ダジャレと来ましたか……ダジャレでトンデモアーツにインフレ時空剣技とは……
もしやあれでございましょうか、私を片腹大激痛させて殺す作戦でしょうか……?
何と言う策士…! グリューネ様……おそろしい女(神)!! ですが私負けません……ええ、負けませんとも……
崩壊するな腹筋…! 負けるな横隔膜……! 道化師はお客様を笑わせるのであって、笑ってしまってはいけません……!
クククク……う、ウププププ……ああ、辛い、我慢が…… ああ、白いのが出そう……!
と私ことサイグローグは後ろの棚の喪服の様な色合いのブサかわぬいぐるみを思い出しながら苦悶を浮かべます……
―――――耐えました! 頑張った私!! よくやりましたマイ腹筋! さあ、ここから反撃の時間でございますよ……
というよりこの様な一手、梃子摺る道理もありません……
“やりすぎ”……この一言で全てが片付きます……片手で頭蓋及び頸椎陥没……? 強化した脚力で肋骨複雑骨折及び内臓破裂……?
神代の剣技の重ね合わせ、物理的な鞘の効果補助を合わせた1回限りの破壊力とはいえ、発動領域が空間ごと消失……?
常識的に考えて拡大解釈<エクステンション>にも限度が過ぎるではございませんか…? 剣でさえなく拳で敵を瞬殺などと……
女神なのですから空気を読みましょうよ……これを許してしまうと以降この事実を基点にやりたい放題でございますからねえ……
巷では『空気など読むな!』とおっしゃる方もおりましょうが、もしやグリューネ様もそのたぐいで……?
ああ、いいえ、お答えになる必要はございません……ごさいませんとも……強制破棄を穿てばそれでおしまいですから……
というよりこの様な一手、梃子摺る道理もありません……
“やりすぎ”……この一言で全てが片付きます……片手で頭蓋及び頸椎陥没……? 強化した脚力で肋骨複雑骨折及び内臓破裂……?
神代の剣技の重ね合わせ、物理的な鞘の効果補助を合わせた1回限りの破壊力とはいえ、発動領域が空間ごと消失……?
常識的に考えて拡大解釈<エクステンション>にも限度が過ぎるではございませんか…? 剣でさえなく拳で敵を瞬殺などと……
女神なのですから空気を読みましょうよ……これを許してしまうと以降この事実を基点にやりたい放題でございますからねえ……
巷では『空気など読むな!』とおっしゃる方もおりましょうが、もしやグリューネ様もそのたぐいで……?
ああ、いいえ、お答えになる必要はございません……ごさいませんとも……強制破棄を穿てばそれでおしまいですから……
それでは宣言・敵手強制破棄……幾ら薬物による強化が在るとはいえこの様な無茶な展開を認めることはコノボクガッ。
……おや? 喉の調子が悪うございましたか……喋り続けるというのも疲れるものですからしてご容赦を……
気を取り直して宣言・敵手強制破棄……このような拡大解釈を認めれば今後カッコワルイトコロヲクソ,スマナイ。
……ま、まあ二度程度の失敗は誰にでもありますから……
それでは重ねて宣言・敵手強制バカナッ!
……おや? 喉の調子が悪うございましたか……喋り続けるというのも疲れるものですからしてご容赦を……
気を取り直して宣言・敵手強制破棄……このような拡大解釈を認めれば今後カッコワルイトコロヲクソ,スマナイ。
……ま、まあ二度程度の失敗は誰にでもありますから……
それでは重ねて宣言・敵手強制バカナッ!
こ、これは一体どういうことでございましょお~~~~~!?!?!?
宣言をしようとしても出来ないなんてぇーーーーー何故出来ないンだぁーーーーーー!!
宣言をしようとしても出来ないなんてぇーーーーー何故出来ないンだぁーーーーーー!!
と、サイグローグはサイグローグはインフェリア王立劇場が立ち見含めて満席で
観客全員スタンディングオベーションな程の名演技をお見せした次第でございますが……
ぶっちゃければこの私、プレイヤー代理であると同時にジャッジでもあります故……最初から理解しております……
観客全員スタンディングオベーションな程の名演技をお見せした次第でございますが……
ぶっちゃければこの私、プレイヤー代理であると同時にジャッジでもあります故……最初から理解しております……
これは潰しておくべき手……申請すればたちどころに破壊できるでしょう……ですが、こちら側からは申請できません……
何故なら……薬物によるエンチャントを施した“狂剣”を動かしてきたのはベルセリオス様―――――“絶望側”なのですから……!!
希望側が要求するならば至極道理でございますが……これまで散々エンチャントを施した絶望側が
いざ狂剣が自陣から駒失したからと『薬物強化でも強化し過ぎだから駄目』などと申しても……
そのような都合の良い道理などあるはずもございません……
一度切った牌での役上がり……一度通した事象の否定は御法度でございます……
故に……希望側が通してしまった場合……以後薬物強化を論点とした破棄請求は不可能……ッ!
“狂剣の薬物強化に制約はございません”……破棄リスクゼロで強化可能……正に青天井でございます……!!
実に見事でございますグリューネ様……破棄出来ぬ以上この一手は私も通さざるをえません……Congratulationでございます……!
何故なら……薬物によるエンチャントを施した“狂剣”を動かしてきたのはベルセリオス様―――――“絶望側”なのですから……!!
希望側が要求するならば至極道理でございますが……これまで散々エンチャントを施した絶望側が
いざ狂剣が自陣から駒失したからと『薬物強化でも強化し過ぎだから駄目』などと申しても……
そのような都合の良い道理などあるはずもございません……
一度切った牌での役上がり……一度通した事象の否定は御法度でございます……
故に……希望側が通してしまった場合……以後薬物強化を論点とした破棄請求は不可能……ッ!
“狂剣の薬物強化に制約はございません”……破棄リスクゼロで強化可能……正に青天井でございます……!!
実に見事でございますグリューネ様……破棄出来ぬ以上この一手は私も通さざるをえません……Congratulationでございます……!
と、グリューネ様の今回の一手を私なりに咀嚼して解釈してみたのですが……いかがでしたでしょうか……?」
一気にこれだけまくしたてておきながらティーポットに淹れた緑茶を悠々と啜りながら、サイグローグはグリューネに正否を問うた。
「――――私が言う手間が省けた以上に言いたいことが山ほど増えましたが……何故貴方は眼鏡をかけているのです?」
「おやぁ……ここは『なんで精神世界にしかいないはずのもう一人の狂剣が敵として、しかも何人もでてくるんですか?』と聞くところだと思いますが……
いきなり私の溢れ出るオシャレオーラに目を付けるとは……グリューネ様のえっち……でございますか……違いますか……
当てが外れてしまいました……このサイグローグ思わぬ肩透かしにションボリしております……ションボローグでございます……」
「王の本拠地には影を実体化させる鏡があると聞き及んでいます。この程度の演出、始まる前から読み筋でした。
それに比べれば貴方の趣味の悪い眼鏡の方がよっぽど胡散臭いでしょう」
「眼鏡ではございません……眼鏡(黒)でございます……私とて身形には気を遣うものでして……
手元にあったアタッチメントからつけて見た次第でございます……時に、グリューネ様……」
「なんですか?」
「いえ、私……今仮面の上から更に黒メガネをかけております……」
「不自然な上見苦しいですね。それが何か?」
「ええ、おかげさまで……今、世界が真黒黒介でございます……手元のポットも見当たらぬ次第でして……
当然……盤面の駒の位置も形も色も、全然まったく見えないありさまでございます……」
グリューネは道化の戯言の意味を測りかねて言葉を詰まらせる。サイグローグはやれやれと、口を開いた。
「……仮に、仮に、まったくの仮定の話でございますが……もし今、そっと駒を元の位置に戻しても……
私めは気付くことができないでしょうなあ……いえ……今、眼鏡をかけておりますが故……」
「――――――つまり、元に戻せと? 剣士にここから切り込まれるのがそんなに恐ろしいですか?」
「いえいえ、私何も言っておりません……唯の仮定法……例え噺でございます故……
して……ではそろそろ眼鏡を外そうかと思いますが……宜しいでしょうか……?」
「好きになさい」
「本当に……?」
執拗に問いかけるサイグローグに、グリューネは今までとは少し違った不快感を覚えた。
大人が、子供の間違いを見るに見かね、自発的にそれに気付くことを期待しているかのような真綿で絞るかの如く甘ったるい誘導だった。
「諄い! ベルセリオスが、彼を黒く鍛えに鍛え上げたのは他ならぬ貴方達絶望側です。
貴方達の罪が鍛えたこの剣で貴方達の心臓を“抉り”、その罪をここに罰する……それが私の一手です。
“一度差した手は絶対に覆らない”――――――――――今更命乞いを聞くと思いますか?」
グリューネはその甘言を一蹴する。
これまで散々駒達を苦しめ弄んで置きながらそのような戯言を紡げることが何より許せなかったからだ。
「――――私が言う手間が省けた以上に言いたいことが山ほど増えましたが……何故貴方は眼鏡をかけているのです?」
「おやぁ……ここは『なんで精神世界にしかいないはずのもう一人の狂剣が敵として、しかも何人もでてくるんですか?』と聞くところだと思いますが……
いきなり私の溢れ出るオシャレオーラに目を付けるとは……グリューネ様のえっち……でございますか……違いますか……
当てが外れてしまいました……このサイグローグ思わぬ肩透かしにションボリしております……ションボローグでございます……」
「王の本拠地には影を実体化させる鏡があると聞き及んでいます。この程度の演出、始まる前から読み筋でした。
それに比べれば貴方の趣味の悪い眼鏡の方がよっぽど胡散臭いでしょう」
「眼鏡ではございません……眼鏡(黒)でございます……私とて身形には気を遣うものでして……
手元にあったアタッチメントからつけて見た次第でございます……時に、グリューネ様……」
「なんですか?」
「いえ、私……今仮面の上から更に黒メガネをかけております……」
「不自然な上見苦しいですね。それが何か?」
「ええ、おかげさまで……今、世界が真黒黒介でございます……手元のポットも見当たらぬ次第でして……
当然……盤面の駒の位置も形も色も、全然まったく見えないありさまでございます……」
グリューネは道化の戯言の意味を測りかねて言葉を詰まらせる。サイグローグはやれやれと、口を開いた。
「……仮に、仮に、まったくの仮定の話でございますが……もし今、そっと駒を元の位置に戻しても……
私めは気付くことができないでしょうなあ……いえ……今、眼鏡をかけておりますが故……」
「――――――つまり、元に戻せと? 剣士にここから切り込まれるのがそんなに恐ろしいですか?」
「いえいえ、私何も言っておりません……唯の仮定法……例え噺でございます故……
して……ではそろそろ眼鏡を外そうかと思いますが……宜しいでしょうか……?」
「好きになさい」
「本当に……?」
執拗に問いかけるサイグローグに、グリューネは今までとは少し違った不快感を覚えた。
大人が、子供の間違いを見るに見かね、自発的にそれに気付くことを期待しているかのような真綿で絞るかの如く甘ったるい誘導だった。
「諄い! ベルセリオスが、彼を黒く鍛えに鍛え上げたのは他ならぬ貴方達絶望側です。
貴方達の罪が鍛えたこの剣で貴方達の心臓を“抉り”、その罪をここに罰する……それが私の一手です。
“一度差した手は絶対に覆らない”――――――――――今更命乞いを聞くと思いますか?」
グリューネはその甘言を一蹴する。
これまで散々駒達を苦しめ弄んで置きながらそのような戯言を紡げることが何より許せなかったからだ。
「三度……グリューネ様の意思を確認させていただきました……ご無礼をば……二度と申しませぬ……
それが希望側の意思ならば…………是非も無し…………大宣言・最高裁開廷<アドバンスドゲート>……ッ!!」
眼鏡を外し、サイグローグは一言呟きながらフレームと硝子を握り割った。
そしてその血の雫が盤に落ちると、それは波紋となって円陣を展開し部屋の周囲を塗りたくる様に封鎖していく。
それが希望側の意思ならば…………是非も無し…………大宣言・最高裁開廷<アドバンスドゲート>……ッ!!」
眼鏡を外し、サイグローグは一言呟きながらフレームと硝子を握り割った。
そしてその血の雫が盤に落ちると、それは波紋となって円陣を展開し部屋の周囲を塗りたくる様に封鎖していく。
「これは……!?」
「周回を重ねた遊戯に待つのはグレードショップだけではございませんよ……
グリューネ様のこの一手……正しくGOD級の難易度……これに相対するならば、最早UNKNOWNでは足りませぬ……
故に……私も“更なる高み”へと上り詰めようではありませんか……未知を越えて……悪魔を超えて……ッ!!」
黒血が全てを覆い、部屋を全て闇に閉ざす。それは星の見えない夜空、否、光射さぬ宇宙の底だった。
上も下も右も左も無くただ2人のプレイヤーと盤面、そして1つのティーポットがあるだけだ。
だが、グリューネはその珠の様な肌にひりひりと伝わる敵意を感じていた。まるで道化師の舌の上で弄られるかのような、温い感情を。
「怒っておりませんよ……私何も怒っておりません……自慢ではないですがこの私……
例え『お前ってトランプ武器にして戦いそうだよな(笑)』と言われても怒らない程に大らかだと自負しております……
怒ってないので怒ったグリューネ様はお茶などいかがですかな……これが最後の一滴になりますが……」
「この状況でよくもそんなものを勧められますね。一体この空間は? 得意の盤外撹乱でしょうが、この程度で揺らぐとでも?」
「そうですか……要りませんか……“ひとしずく”さえも拒むとは……ならば―――――――使わせていただきましょう……!!」
サイグローグはそういってポットを逆さに振ると、ポットの先端から緑茶の最後の一滴が虚空に落ちる。
そして、その一滴が翠に光り輝いた。この方向も天地も定まらない暗闇において唯一の光が世界を満たす。
「周回を重ねた遊戯に待つのはグレードショップだけではございませんよ……
グリューネ様のこの一手……正しくGOD級の難易度……これに相対するならば、最早UNKNOWNでは足りませぬ……
故に……私も“更なる高み”へと上り詰めようではありませんか……未知を越えて……悪魔を超えて……ッ!!」
黒血が全てを覆い、部屋を全て闇に閉ざす。それは星の見えない夜空、否、光射さぬ宇宙の底だった。
上も下も右も左も無くただ2人のプレイヤーと盤面、そして1つのティーポットがあるだけだ。
だが、グリューネはその珠の様な肌にひりひりと伝わる敵意を感じていた。まるで道化師の舌の上で弄られるかのような、温い感情を。
「怒っておりませんよ……私何も怒っておりません……自慢ではないですがこの私……
例え『お前ってトランプ武器にして戦いそうだよな(笑)』と言われても怒らない程に大らかだと自負しております……
怒ってないので怒ったグリューネ様はお茶などいかがですかな……これが最後の一滴になりますが……」
「この状況でよくもそんなものを勧められますね。一体この空間は? 得意の盤外撹乱でしょうが、この程度で揺らぐとでも?」
「そうですか……要りませんか……“ひとしずく”さえも拒むとは……ならば―――――――使わせていただきましょう……!!」
サイグローグはそういってポットを逆さに振ると、ポットの先端から緑茶の最後の一滴が虚空に落ちる。
そして、その一滴が翠に光り輝いた。この方向も天地も定まらない暗闇において唯一の光が世界を満たす。
「この御方まで引っ張り出す気はなかったのですが……グリューネ様がそのようなお考えである以上は致し方ありません……
私のコレクションの中でも超絶弩級Sの切札を用いるよりないでしょう……」
「サイグローグ! 一体何をする気ですか? それにその翠の滴ッ――――――まさか!?」
「あの御方を招聘するにはこの部屋では少々手狭でしたから……部屋の方を強化させていただきました……
さあ、来られるまで少々時間がかかるでしょうから……それでは次手を始めましょうカ……
……“最早取り返しはつきませんよ”グリューネ様……この一手にて貴方様が“賭けたモノ”は見極めさせていただきました……
No More Bet……一度チップを賭けた以上、オりることは許されません……」
私のコレクションの中でも超絶弩級Sの切札を用いるよりないでしょう……」
「サイグローグ! 一体何をする気ですか? それにその翠の滴ッ――――――まさか!?」
「あの御方を招聘するにはこの部屋では少々手狭でしたから……部屋の方を強化させていただきました……
さあ、来られるまで少々時間がかかるでしょうから……それでは次手を始めましょうカ……
……“最早取り返しはつきませんよ”グリューネ様……この一手にて貴方様が“賭けたモノ”は見極めさせていただきました……
No More Bet……一度チップを賭けた以上、オりることは許されません……」
滴より放たれる翠の輝きに眼を細めながらグリューネは叫び、逆光を受けたサイグローグは悦楽に顔を歪め直す。
「宣言・混沌解放<難易度Chaosが解放されました>……それではどうぞグリューネ様……難易度カオスの洞窟を抜けて法廷へ……
…………願わくば、即死だけはしないで下さいね……? クカカカカ……カカカカカカッッ!!!」
…………願わくば、即死だけはしないで下さいね……? クカカカカ……カカカカカカッッ!!!」
虚無の空間に道化の嘲笑が響き渡る。その中でグリューネは唯一の光源……緑色の滴を見ていた。
光射さぬ闇の中唯一の導となる光を――――――――――“希望のひとしずく”から、眼を離せなかった。
光射さぬ闇の中唯一の導となる光を――――――――――“希望のひとしずく”から、眼を離せなかった。