冷たき焔
男は小高い丘の上を登っていった。
表情は堅い、が、その瞳は決心でこうこうと暗く照らされていた。
表情は堅い、が、その瞳は決心でこうこうと暗く照らされていた。
後悔はしない。自らに誓った事だ。俺はこのゲームで生き残る。
道を暫く歩いた所だった。黒髪短髪の女がいる。地面にぺたりと座っていて明らかに注意力が散漫していた。
ヴェイグは内心ほっとした。殺すであろう相手が自分の見知った者ではない事を。
しかしまだそんな事を思ってしまうのは心の片隅に良心が残っているからなのだろう。それを鬱陶しいと感じてヴェイグは眉をしかめた。
ヴェイグは内心ほっとした。殺すであろう相手が自分の見知った者ではない事を。
しかしまだそんな事を思ってしまうのは心の片隅に良心が残っているからなのだろう。それを鬱陶しいと感じてヴェイグは眉をしかめた。
「さあって、行こうかな」
女が急に立ち上がっその時
女の背中を刃物が掠めた。
「…ちっ」
振るった短剣が外れ、ヴェイグが舌打ちをする。
「―――ちょっと!!なにすんのよ!!!」
斬り掛かられた女、ルーティーは顔面蒼白にして後ろに飛びずさって叫ぶ。
「悪いが、死んでもらう」
一言、そう宣告しヴェイグは容赦なくルーティーに短剣を構えて突進した。
「きゃあ!」
体を捻り、紙一重でその攻撃を回避する。素早い動きだ。
しかしヴェイグは腰に携えていたもう片方の短剣を引き抜き横に振るう。
彼女の腰を浅く裂き、顔を歪めた。
「ふざけないでよ!!」
いきなり降り懸かってきた戦闘にルーティーは驚愕した。
しかし
この男は本気だ。
剣筋には何の迷いもなかった。
武器の無い今は何とかして逃げなくては。
非常事態にルーティーはそれしか思い浮かばなかった。
そのまま北へと疾走する。ヴェイグにはとても追いつけないスピードだった。
だが
「させん!!」
ヴェイグが叫んだ。すると背後から鋭い冷気が迫っていたのが分かった。
「きゃあああ!!」
バリバリッと目の前の大気が固まり、鋭利な氷塊が道を阻む。
その切っ先はルーティーの左の二の腕に更に裂傷を作った。
「くっ…!!」
ルーティーは二の腕を押さえて、歯を噛みしめ、睨み付ける。
ニ十メートルほど離れた先に、冷ややかな目をした男が立っている。その体から放出されている冷気が、彼女の露出された肌をぴりぴりと刺激した。
本来は熱く感じる流れる血が、異様に冷たい。
しかし傷口は灼けるようで、ズキズキと痛む。
信じたくないがどうしようもない現実がそこにあった。
「あんた…本気なのね、こんなバカなゲームに乗るなんて…」
ヴェイグは口を開いた。
「俺は、このゲームでなんとしても勝ち残らねばならない。…待たせている人がいるんだ」
ヴェイグの脳裏に村の人々――そして共にいた女性の顔が浮かぶ。
「すまないな。俺は本気だ」
凍り付いたその眼は変わらない。
「まあったく、厄介だね」
顔を伏せ、ふふっとルーティーは笑った。
諦めだろうか。
いや、違う。
バッと顔を持ち上げ再び睨み返すその眼は熱く光っていた。
「バッカじゃないのっ!!!!!」
そう激昂すると目の前の氷塊を思い切り蹴飛ばした。
バンっとその先端が割れる。
空に散った欠片が、キラキラと輝いて降り注いだ。
「誰にだって大切なモノくらいあるわよ!!
あたしはあんたみたいなヤツがいっちばん嫌いなの!!!」
割れた長剣ほどの長さのある鋭利な氷をその手にした。
「自分ばっか不幸って思ってんじゃないわよ!!
あたしの覚悟、受け取りなさい!!」
氷を構え、握りしめる。
腕から伝う血が、氷を熱く濡らした。
「そうか…」
ヴェイグは一言呟くと、こちらも剣を構え、ルーティーに向けて走り出した。
女が急に立ち上がっその時
女の背中を刃物が掠めた。
「…ちっ」
振るった短剣が外れ、ヴェイグが舌打ちをする。
「―――ちょっと!!なにすんのよ!!!」
斬り掛かられた女、ルーティーは顔面蒼白にして後ろに飛びずさって叫ぶ。
「悪いが、死んでもらう」
一言、そう宣告しヴェイグは容赦なくルーティーに短剣を構えて突進した。
「きゃあ!」
体を捻り、紙一重でその攻撃を回避する。素早い動きだ。
しかしヴェイグは腰に携えていたもう片方の短剣を引き抜き横に振るう。
彼女の腰を浅く裂き、顔を歪めた。
「ふざけないでよ!!」
いきなり降り懸かってきた戦闘にルーティーは驚愕した。
しかし
この男は本気だ。
剣筋には何の迷いもなかった。
武器の無い今は何とかして逃げなくては。
非常事態にルーティーはそれしか思い浮かばなかった。
そのまま北へと疾走する。ヴェイグにはとても追いつけないスピードだった。
だが
「させん!!」
ヴェイグが叫んだ。すると背後から鋭い冷気が迫っていたのが分かった。
「きゃあああ!!」
バリバリッと目の前の大気が固まり、鋭利な氷塊が道を阻む。
その切っ先はルーティーの左の二の腕に更に裂傷を作った。
「くっ…!!」
ルーティーは二の腕を押さえて、歯を噛みしめ、睨み付ける。
ニ十メートルほど離れた先に、冷ややかな目をした男が立っている。その体から放出されている冷気が、彼女の露出された肌をぴりぴりと刺激した。
本来は熱く感じる流れる血が、異様に冷たい。
しかし傷口は灼けるようで、ズキズキと痛む。
信じたくないがどうしようもない現実がそこにあった。
「あんた…本気なのね、こんなバカなゲームに乗るなんて…」
ヴェイグは口を開いた。
「俺は、このゲームでなんとしても勝ち残らねばならない。…待たせている人がいるんだ」
ヴェイグの脳裏に村の人々――そして共にいた女性の顔が浮かぶ。
「すまないな。俺は本気だ」
凍り付いたその眼は変わらない。
「まあったく、厄介だね」
顔を伏せ、ふふっとルーティーは笑った。
諦めだろうか。
いや、違う。
バッと顔を持ち上げ再び睨み返すその眼は熱く光っていた。
「バッカじゃないのっ!!!!!」
そう激昂すると目の前の氷塊を思い切り蹴飛ばした。
バンっとその先端が割れる。
空に散った欠片が、キラキラと輝いて降り注いだ。
「誰にだって大切なモノくらいあるわよ!!
あたしはあんたみたいなヤツがいっちばん嫌いなの!!!」
割れた長剣ほどの長さのある鋭利な氷をその手にした。
「自分ばっか不幸って思ってんじゃないわよ!!
あたしの覚悟、受け取りなさい!!」
氷を構え、握りしめる。
腕から伝う血が、氷を熱く濡らした。
「そうか…」
ヴェイグは一言呟くと、こちらも剣を構え、ルーティーに向けて走り出した。
ヴェイグを纏うフォルスが一層高まる。
アトワイトがなければルーティーは魔法を使うことすらも叶わない。状況は圧倒的に不利だった。
氷を宿した疾る剣激がルーティーに迫る。
軽い身のこなしでステップを踏んでかわし、構えた氷の刃を振るう。
「ふんっ!!」 ヴェイグは短剣でそれを受けるが、刀身の短いそれでは間に合わず、一瞬バランスを崩す。
「くっ…!!」
しかしもう片方の短剣で大きく空を斬り裂いた。
「絶氷刃!!!」
大地から刃の氷柱が出現し、ルーティーは瞬時に間合いを広げて避けた。
地面を踏みしめ大きくジャンプし、次々に現る猛りがが地面を突き上げる度にその頂を足場にし、トントンとバックステップで上り詰める。
そして更にそこから大きく跳躍する。
「スナイプエア!!!」
宙を切り裂きながら、ヴェイグに向けて鋭鋒と共に突っ込む。
ヴェイグは素早く視線を上げるが、己の為した高い氷柱が日の光を反射し、眼を眩ませた。
手をかざした瞬間、ヴェイグの右肩――つまり利き手の方を深く斬りつけた。
「ぐあ…!!」
ヴェイグは膝を付いた。
血が溢れ、大地までもがその血に濡れた。
着地したルーティーも、絶氷刃により全身に浅くではあるが傷を負い、体がよろめく。
「さあて…」
ルーティーが荒い息を吐きながら言った。
「これでようやく状況はフェアって所かしらね」
顔を歪めながらもにこり、と笑みを浮かべる。
ヴェイグは暗い眼差しでルーティーを睨み付けた。
お互いが傷を負いながらも、しかし戦意は高まっていった。
元の世界に残してきた己が想う者達の為にも、生き残る為に――――――
アトワイトがなければルーティーは魔法を使うことすらも叶わない。状況は圧倒的に不利だった。
氷を宿した疾る剣激がルーティーに迫る。
軽い身のこなしでステップを踏んでかわし、構えた氷の刃を振るう。
「ふんっ!!」 ヴェイグは短剣でそれを受けるが、刀身の短いそれでは間に合わず、一瞬バランスを崩す。
「くっ…!!」
しかしもう片方の短剣で大きく空を斬り裂いた。
「絶氷刃!!!」
大地から刃の氷柱が出現し、ルーティーは瞬時に間合いを広げて避けた。
地面を踏みしめ大きくジャンプし、次々に現る猛りがが地面を突き上げる度にその頂を足場にし、トントンとバックステップで上り詰める。
そして更にそこから大きく跳躍する。
「スナイプエア!!!」
宙を切り裂きながら、ヴェイグに向けて鋭鋒と共に突っ込む。
ヴェイグは素早く視線を上げるが、己の為した高い氷柱が日の光を反射し、眼を眩ませた。
手をかざした瞬間、ヴェイグの右肩――つまり利き手の方を深く斬りつけた。
「ぐあ…!!」
ヴェイグは膝を付いた。
血が溢れ、大地までもがその血に濡れた。
着地したルーティーも、絶氷刃により全身に浅くではあるが傷を負い、体がよろめく。
「さあて…」
ルーティーが荒い息を吐きながら言った。
「これでようやく状況はフェアって所かしらね」
顔を歪めながらもにこり、と笑みを浮かべる。
ヴェイグは暗い眼差しでルーティーを睨み付けた。
お互いが傷を負いながらも、しかし戦意は高まっていった。
元の世界に残してきた己が想う者達の為にも、生き残る為に――――――
【ヴェイグ 生存確認】
所持品:スティレット チンケエデア
現在位置:F6丘の上
状態:右肩に激しい裂傷 高い戦意
行動方針:ルーティーの撃退
所持品:スティレット チンケエデア
現在位置:F6丘の上
状態:右肩に激しい裂傷 高い戦意
行動方針:ルーティーの撃退
【ルーティー 生存確認】
所持品:氷の剣 グミセット 強力グミセット
現在位置:F6丘の上
状態:全身に切創
行動方針:ヴェイグの撃退 高い戦意
所持品:氷の剣 グミセット 強力グミセット
現在位置:F6丘の上
状態:全身に切創
行動方針:ヴェイグの撃退 高い戦意